ゆめとわのblog

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自律神経

 現在40歳の女性。元々精神的に不安定な傾向にあったようですが、この5年くらいの間に狭い空間に入ると呼吸が不安定になったり、動悸がすることがあったりという状況になることがありました。そして一時的に新幹線に乗ることができない、電車に乗ることが不安、という状態の時もあったということです。そして数ヶ月前のあるとき、デパートで買い物をしているときに、ふと、またあの不安に襲われる感覚がやってきてから、その状態がかなり悪化して一月以上まったく外に出られない状態になっていました。

 私のところまで来店することは難しいということで、私が自宅に訪問して施術を行うようになりましたが、これまで二週間に一度のペースで三回施術を行いました。
 本人の話をいろいろ聞きながらの施術となりましたが、私としては「きっかけ」が1番知りたいことですので、会話の中から一生懸命その糸口を見つけようとしていました。
 からだの方は、こういった症状を患っている人に定番の「呼吸が悪い」「胸が硬い」状態が慢性化されていて、深く息を吸い込むことができない状況でした。最も酸素を必要としている器官は脳ですが、その脳に酸素が十分に行き渡らないので、思考回路も不安定になってしまうものと思われます。

 1回、2回と施術を重ねるうちにからだの状態はかなり良くなりました。そして、その後は外に出られるようになり、15分くらいという短い時間ではありますがスーパーで買い物もできたと喜んでいました。
 3回目の施術が終わった後には、デパートに1時間ほど滞在できることもできたと仰っていましたが、腑とした瞬間に不安な気持ちに襲われそうになったり、たまに動悸がしたりすることもあると仰ってもいました。まだどこかに問題があって、安定性が確実なものになっていないのだと思いました。そして4回目の施術を行いました。

 からだを観察した状況では、首~背中にかけて硬さがあるので、少し呼吸は浅いとは思いましたが、そのような人はたくさんいますので、ま、普通の人と同じように感じました。
 背中の硬さと首の左側から左肩甲骨に掛けての張りを改善することから施術を始めましたが、仙骨・尾骨周辺を触ったときに、「力が乏しい!」という感覚が私の中に生まれました。
 これまでには、何度もその部分は触って施術してきました。この方もそうですが、ギックリ腰や尾骨周辺の打撲(尻餅など)を経験したことのある人は、この部分は弱くなっていて、それが腰痛などの原因になっていることがあります。しかし今回感じたのは、それとは違う感覚の力の乏しさです。
 しばらく尾骨辺りに手を当てていますと、私が咳き込んでしまう状況が訪れました。私の解釈では、邪気が放出されるので、私がそれを受けて反応しているということなのですが、そんな時間が2~3分間ほど続きました。そしてその時間が過ぎますと私の喉もスッキリして咳き込みはすっかり治まりました。

 この時、「ルートチャクラに問題があるのでは?」と直観的に思いました。私はチャクラについて専門的に勉強したわけではありませんので、詳細はほとんど知りません。ただ、会陰部の第1チャクラ=根チャクラ=ルートチャクラは、肉体的な安定性に深く関わるものであり、つまり地球(地上)にからだを安定的に結び付ける働きに関わっているという認識は持っていました。
 この女性がもしルートチャクラに問題があるとするのなら、それは今患っている症状に深く関連していることが予想できます。つまり「地に足が着かない」ような状況になっていることであり、それが故に表に出ることに不安感や恐怖心を感じてしまうことだろうと思いました。
 いろいろ話を聞いてみますと、子どもの頃からサイキック的能力もあり、タロットカードなどの占いもやっていたということです。また、気功治療や鍼治療なども積極的に取り入れるタイプの人でもあるようです。
 チャクラは7つあるとされています。多くの人は第1~第3までのチャクラは活性化されており、つまり生存、生殖、資本主義的という点に重点が置かれ、第4から上のチャクラ=普遍的愛、平等、信仰、霊性といったものは開発途中であるとされていますが、この女性は上の方のチャクラにエネルギーが言っているのかもしれません。それはそれで素晴らしいことであると思うのですが、この地上で、物質主義、資本主義社会、競争社会で暮らすのは辛いのではないかと思います。

 ちなみに確認のための簡単なテストをしてみました。座った姿勢で眼を閉じていただき、私が第1~第5チャクラに対応する背骨の部分に手を当てて位置を確認していただきました。そしてその後、ご自分のイメージ力でチャクラに意識を送ってイメージできるか試してもらいました。
 すると第3~第5チャクラの部分はイメージできるけど、下の二つ(第1と第2)のチャクラには意識を届けることができないのでイメージでできないと仰いました。案の上の結果でした。
 もともと下二つのチャクラの活性が弱い状態であり、更に最近は何かのきっかけでその傾向が強まったので、地に足が着かず不安定な状態になってしまったのかもしれません。

 「何かのきっかけ」については、エネルギー的な側面では私なりに思い当たることはたくさんあります。今年に入って世界的に天候が非常に不安定で、特に7月くらいからは至るところで洪水が発生していますし、地震も非常に多発しています。私の住まうところは富士山が大きく見えるところですが、昨年までは富士山の上に雲がかかっていましたが、最近は雲はグッと下がって山頂の下に雲がある感じになっています。夜の星々も以前よりずっと近くなったように感じます。つまり、空が低くなった、あるいは近づいていると観じますが、これらの環境の大変化はエネルギー的大きな変化であり、それがきっかけでルートチャクラが弱いことの症状が表に出てきたということは、私は十分考えられることだと思っています。

 ですから、チャクラのことに詳しくない私ですが、アドバイスとして「会陰で呼吸する」イメージでゆっくり呼吸することを日々のケアとして勧めてきました。
 呼吸は鼻で行うわけですが、ゆっくりとした吸気に合わせて会陰からエネルギーを取り入れ、上方に引き上げるようにイメージし、そしてゆっくりと吐く息に合わせて引き上げたエネルギーを会陰から放出するようにして欲しいとアドバイスしました。
 この方は、ルートチャクラが弱いので会陰そのものをイメージすることも難しいようでしたので、尾骨に手を当てながら、ゆっくりと呼吸を繰り返しているうちに、会陰周辺の動きも感じられるようになるのだろうと思います。
 チャクラの専門家であれば、違う方法を提唱されると思いますが、私は以上のようにアドバイスしました。

 私自身、帰宅して入浴後、日々のケアとして会陰から背骨に沿ってエネルギーを上げていくことをやっています。自分の判断では、今はなんとか頭部までエネルギーを上げることができるようになったと思いますが、多くの人たちと同じように、最初の頃は背中の中程(第3チャクラ)から第4チャクラまでエネルギーを上げるのに時間を要しました。そしてその次の関門は首のところを解放して頭部にエネルギーを上げることですが、今は何となくできているような気がしています。
 このようなことをして何か良いことがあるのかどうかはわかりませんが、私の業界でも、髄液の循環を取り扱うオステオパシーなどもありますし、背骨の基底部(ルートチャクラ)から頭頂までエネルギーを循環させることはきっと何かに良いはずだと思ってやっています。

 今回の内容はまったくの私見ですから、ホームページに掲載することはしませんでした。
 また、ホームページの記事投稿が遅れ遅れになっていて申し訳ありません。新しい記事が途中まではできているのですが、画像の加工とかで手間取っています。もう少しお待ちください。

 皆さんも、是非地球や宇宙の変化を感じ取ってみてください。動物たちは鳥たちの行動も大きく変化しているように私は感じています。



足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
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 私は神奈川県小田原市在住ですし、店舗も同市内にあります。小田原名物は小田原城と蒲鉾かもしれませんが、箱根の玄関口のような場所でもありますので、観光に来られる人達がかなり多い街です。
 小田原駅前で土産物店を経営している50歳代の男性Hさんは、夏休みや年末年始など繁盛時期になりますと、忙しさにからだが悲鳴を上げてしまい疲れを癒したいと来店されます。平成30~31年に掛けての年末年始には、かなり体調を悪くして病院通いをするようになってしまいました。私のところにも例年になく、毎週のように来店されていました。一月が終わる頃になりますと、体調も回復され、来店することもなくなりましたが、先週に電話が入りました。
 「夏休みになったので忙しくなったのかな?」とも思いましたが、例年はお盆明け頃に来店されることが多いので、ちょっと不思議に思っていました。
 昨日(7/30)、Aさんが来店されました。すると「6月に入って自律神経がおかしくなったのか、全然ご飯が食べられなくなり、激痩せして非常に辛く、仕事をずっと休んでいる状態です。」「今月の半ば頃になって、やっと病院で処方される栄養剤が飲めるようになり、体重が少し戻ってきたのですが、ご飯は全然食べる気になれなくて‥‥。心療内科にもかかったんですが、薬を処方されても全然良くならなくて。」と話されました。

 Hさんはビックリするほど生気に乏しく、顔色も顔つきも悪く、今にも倒れ込みそうな感じでした。私の店から徒歩で5分くらいの所にお住まいですが、何とか私のところまで歩くことができ、「ようやくたどり着いた」という感じでした。

 このような場合、何をどうしてあげれば良いだろう? と、一瞬躊躇するような思考が湧き上がります。
 しかし、「ともかく、からだをよく観察するところから始めよう」と考え直して施術を開始しました。
 うつ伏せの状態になっていただき、首肩周りをじっくり揉みほぐすことから施術を始めましたが、揉みほぐしながら背中の状態、肋骨の動き、そして何より呼吸の状態を慎重に細かく観察していきました。
 ところで、「ご飯が食べられない」というキーワードは「胃の不調」を連想させます。胃の不調は背中の張りとなって現れることが多いのですが、背中の張りはそれほどではありませんでした。ですから、胃自体が悪いということではないように思いました。
 「自律神経」は内臓を動かす神経のことです。世の中の多くの人は「自律神経の不調=ストレスや精神的問題」と連想されるようで、Hさんも当初受診された内科で自律神経の問題を指摘されたために、心療内科を受診するに至りました。自律神経と心理や精神は直接的に結びつく関係にはありません。自律神経と胃の不調は直接結びつく関係にあります。なぜなら自律神経は内臓をコントロールする神経のことだからです。このあたりの認識につきましては、お医者さんがもっとしっかりと周知させなければならないことだと思います。自律神経失調=心理的ストレス、精神安定、鬱、心療内科などと結び付けて認識している人が多いのは巷の情報が誤っているからですが、大事なことなので、積極的に誤りを正し、正確な情報が広まるようにしていただきたいと思います。

 ところで、Hさんの呼吸は非常に悪い状態でした。「この呼吸では自律神経は不調になってしまう」と私は感じました。
 自律神経は、その字の現すように、私たちの意志の影響を受けることなく、言わば「勝手に動いている神経」のことです。(不正確な表現ですが)興奮状態をもたらす交感神経とリラックス状態をもたらす副交感神経のバランスによって血管や内臓をコントロールして私たちの生理機能を維持している神経ですので、原則的に私たちの意志ではどうにもできません。血圧のコントロールも自律神経の担当ですが、「血圧を下げたい」、あるいは「血圧を上げたい」と念じたところで、そのようには働いてくれません。
 ですから、おそらく現代医学の領域では「薬によって自律神経をコントロールする」ということが定説になっているのだろうと思われます。
 ところが、伝承とか伝統医学的考え方に立ちますと「呼吸や生活習慣によって自律神経のバランスを整えることは可能である」ということになります。
 ヨガ、丹田呼吸、剣術や武術、合気道、気功、太極拳‥‥、これらは呼吸の可能性を追求する側面を大いに持っています。ですから、伝統的に自律神経を整えて健康を実現する手段でもあると言うことができます。

 話題をHさんに戻します。からだを観察した結果、私が感じたのは、まず何よりも呼吸の状態を良くすることから始める必要があるということでした。
 呼吸の状態が良くなれば「全身がダメ」という状況から脱して、「どこが大元の原因になっているのか?」という肉体面でのウイークポイントが見えてくると思ったからです。今はともかく全身的に活力をアップすることが大事で、食事が摂れて、眠ることができる状態になってもらうことが何よりも必要なことだと感じました。
 そして、そのためには一にも二にも「呼吸」を整えることから始めるべきだと思いました。

よい呼吸とは

 ところで、どんな呼吸が良くて、理想的なのでしょうか?
 生まれたときから死ぬときまで、心臓の働きと呼吸は一時も止むことがありません。そのくらい身近なものですから、普段は呼吸について考えることはないと思います。
 ところが喘息や過呼吸や息苦しさなど、呼吸系のトラブルを経験しますと、私たちは呼吸について考えるようになります。そしてインターネットやテレビや雑誌や本などからいろいろな情報を得て「どれが最も良いのだろう?」と考え始めます。そして迷いが生じるかもしれません。

 「やっぱり腹式呼吸が最も大切で、そのためには横隔膜の働きが重要で、横隔膜を鍛えるにはどうしたらよいのだろう?」と質問してきた青年がいました。
 「腹式呼吸ができていれば、胸式呼吸はおろそかになっていても良いと考えているのですか?」と聞いてみました。
 すると「胸式呼吸よりも、いろんな意味で腹式呼吸を優先させるべきだと本にありましたよ。横隔膜はどう鍛えたらいいのですか?」と仰いました。
 このような思い込みを持たれている人は、もしかしたら多いのかもしれません。私自身、この仕事に携わっていなければ、そう思っていたかもしれません。
 「腹筋は鍛えてもよい筋肉ですが、横隔膜は鍛える必要のある筋肉ではないですよ。働きが良い状態になるように整える、というのが正解だと思います。」
 「腹筋を鍛えるように筋力トレーニングなどをして、万一こわばった状態になってしまいますと、横隔膜がゆるむことができなくて息を深く吐き出せなくなるかもしれません」
 「息が深く吐き出せないということは、古い空気(二酸化炭素)が肺に残ってしまったままの状態になるということなので、それはそれでからだに悪い影響を与えることになりますよ」と申し上げました。

 私が呼吸を観察するポイントは下記のように5つくらいあります。

  1. 頭蓋骨が呼吸に合わせて動くかどうか? 副鼻腔に吸気は通っているか?
  2. 鎖骨や胸郭の上部(肋骨)が吸気に合わせて大きく緩やかに動いているかどうか?
  3. 胸郭下部と横隔膜がうまく連動して腹式呼吸が行われているかどうか?
  4. 呼吸に合わせて骨盤が動いているかどうか?
  5. 吸気と呼気の流れが頭から足ま連動性をもって一繋がりになっているかどうか?

 呼吸運動が肺に酸素を取り入れて二酸化炭素を排出する、ガス交換を行うためだけの役割であれば、上記の5項目の中の1つでも行われていれば、それで大丈夫です。窒息することはありません。
 ところが、それでは決して健康とは言えません。5項目を全部達成できないとしても、健康を維持したいと考えるのであれば①~③までは必ず実現しなければならないと私は考えています。

 一つ一つを要点だけ簡単に説明してみます。

  1. 本来、吸気の過程に合わせて頭蓋骨と骨盤は拡がる仕組みになっています。鼻から吸った空気は副鼻腔を通過しますが、それに合わせて側頭部が拡がります。そして、この頭が拡がる動きに合わせて脳内の血流がアップするように私は感じます。
     目の疲労や噛みしめなどによって側頭部の筋肉(=側頭筋)や頭皮(筋膜)が硬くなっていますと、頭蓋骨は動きませんので、副鼻腔に吸気を通すこともできませんし、脳内の血流もアップしないと思われます。すると脳が酸欠状態に近づきますので、頭がボーッとしたり、常に眠気に襲われたり、集中力がないために考え事ができなかったりという状態になってしまう可能性があります。


  2. 胸式呼吸のスタートは、鎖骨と胸郭上部(第1~第3肋骨)が上がりながら拡がる動作から始まるのが正しい状態だと思います。
     長い会話での瞬間的な息継ぎ、テンポの速い歌を歌っているときの一瞬のブレス、それらを行うためには瞬時に鼻腔を通して肺に空気を入れる必要があります。ゆっくりと腹式呼吸をしていたのではタイミングが遅れてしまいます。この意味でも、腹式呼吸だけでなく胸式呼吸も同じように重要であると言うことができます。


      100メートル走やマラソンなどで一生懸命走った直後は、息を切らせてしまったためにゼイゼイと肩を揺らした激しい呼吸を行いますが、それがここで言う胸式呼吸というわけではありません。安静時でも、息を吸ったときに鎖骨や第1~第3肋骨あたりが盛り上がるように動いて拡がるようになるのが望ましい状態です。

     胸式呼吸が上手くできない状態では、喋っていてもすぐに息苦しくなりますので「長い会話はしたくない」と思ってしまうかもしれませんし、すぐに溜め息をついてしまうようになるかもしれません。

  3. 肋骨と横隔膜と腹式呼吸
     腹式呼吸の中心は横隔膜です。横隔膜を動かす神経は頚椎にあります。
     カエルは息を吸うときに首を大きく膨らませますが、私たちの場合、その仕組みが胸の下まで降りてきて横隔膜になっているということです。


      横隔膜は胸部と腹部の境界ですが、ゆるんだ状態では天井が高いドーム状になっています。息を吸う動作に合わせて横隔膜は収縮しますが、すると天井が下がってきて横隔膜の上にある肺は膨らむようになります。この仕組みを利用して肺に空気が入る仕組みになっています。そして吸気時にドーム状の天井が平らになるように下がるわけですから、横隔膜の下にある胃と肝臓と大腸(横行結腸)などの内臓器官は圧迫されることになります。ですから、息を吸うときにお腹が膨らんで、息を吐くときにお腹が凹むようになるのが普通の腹式呼吸の正しい在り方であると言えます。(特殊な腹式呼吸もあると聞きます。)

     ところで、横隔膜は胸郭(肋骨)を足場にして伸縮を繰り返す筋肉です。ですから、肋骨や胸椎が歪んでいますと筋肉の働きが悪くなることがあります。

     腹式呼吸が上手くできない人に対しては、神経的な面で頚椎の歪み、筋肉の働きの面で肋骨、胸骨、胸椎を確認しますが、第7胸椎あたりの歪みは腹式呼吸に強い影響力があるようです。座った状態で第7胸椎を整えますと、スーッと大きく肺に空気が入って腹式呼吸が上手くできるようになることが多いです。

     尚、腹式呼吸で息を吐くときには腹筋が収縮して胸郭を下げる動作が必要になります。ですから腹筋の働きが悪い状態ですと、最後まで息を吐き出すことができない、長く息を吐き続けることができない、などの状態になってしまう可能性があります。そしてお腹の冷えは腹筋の働きを悪くする最も多い理由ですし、人によっては筋力不足が原因である場合もあります。


  4. 呼吸と骨盤の動き
     呼吸(肺呼吸)運動の中心は胸ですから、上記の①~③までの状態に問題がなければ、「呼吸に問題がある」といった状況にはなりません。ところが、「しっかり寝ているのに疲れが取れない」「ストレスを解消することができない」「からだがスッキリしない」「リラックスできない」という症状を感じてしまうかもしれません。

     からだの中心は骨盤です。そして骨盤は上半身と下半身の交流場所でもあります。骨盤が固かったり、歪みが大きかったりしますと、上半身と下半身の連絡が分断された状態になりやすくなります。

     例えば、デスクワークで一日の長い時間を座り続けた状態で過ごしますと、骨盤が椅子の座面に接する坐骨周辺や骨盤底(会陰)が固くなってしまいます。すると骨盤は後傾気味になってお尻は下がりますが、上半身が呼吸に合わせて大きく動いていても骨盤は無関係な状態、「上半身だけ勝手にやってて」というような状態になってしまいます。

     このような状態の人に対しては骨盤底や坐骨周辺がゆるむような施術を行いますが、そうしますと速やかに呼吸の波に合わせて骨盤が躍動する感じになります。そして呼吸のリズムが変わります。それまでは「息を吸って~、吐いて~」という呼吸の往復運動が鼻~お腹までで折り返していたものが、鼻(頭)~骨盤までに伸びますので、リズムがゆったりとしてきます。そして、この状態がしばらく続きますと、からだはどんどんリラックス状態になっていきます。

     いつもこのような状態でいることは難しいかもしれませんが、なるべくこのような状態を保ったまま眠り続けることができれば、疲れは解消し、頭もスッキリして、ストレスも何処かに消えてしまうかもしれません。

     赤ちゃんや幼い子供たちは、スヤスヤと気持ちよさそうに眠りますが、呼吸に合わせて骨盤もきっと動いていることでしょう。


  5. 頭~足まで、一繋がりの呼吸
     本来、呼吸運動は「波」です。そして理想的な呼吸の波は、頭の天辺から足先まで一繋がりで流れていきます。
     鼻孔~副鼻腔を通して取り入れた吸気は脳下垂体の前面をかすめるようにして咽頭に送られ気管をとおして肺に入っていきますが、この一連の運動は胸鎖乳突筋が収縮して鎖骨と胸郭を持ち上げ、外肋間筋を作動させて胸郭を拡げる一連の運動を誘発します。同時に横隔膜が収縮して腹筋がゆみ、お腹が膨れる腹式呼吸が行われますが、その流れは骨盤に拡がり、足先やふくらはぎに溜まっている静脈血やリンパを骨盤の方に引き上げる働きを誘発するようになります。

     股関節(鼡径部)や膝関節や足関節(足首)などに問題がなければ、?の骨盤の動きに合わせて、下半身の血液やリンパが動いて鼡径部まで戻る道を進みます。その状況は観察眼を鍛えることでしっかり把握することができますが、このような状態こそ理想的であり、呼吸によって「リラックス→浄化」が実現できる段階だと思います。

     足先にあった古い血液や古いリンパ液が他の老廃物などと一緒に回収されることになりますが、外呼吸(肺呼吸)と内呼吸(細胞呼吸)が一体化した状態であり、私たちに生来内在している「呼吸の力」の偉大さや深遠さを感じることができると、私は感じています。

頭の硬さ

 私はHさんの呼吸状態がまず上記①~③をクリアできる状態になることを目指して施術を行いました。自律神経を整えるための第一歩は呼吸を整えることだと考えているからです。
 しかし、頭の側頭部と後頭部が異様に硬い状態で、①の頭が呼吸に合わせて拡がるような動きはなかなか実現できません。
 側頭部が硬い理由は「食いしばり」です。この一月間、よっぽど辛かったのだと思います。肉体的辛さに耐えるために歯を食いしばって頑張っていたのだと思いました。
 後頭部~首のつけ根に掛けての異様な硬さはかなりのもので、普段はなかなかお目にかかることのできないほどのものでした。「どうしたら、こんなに硬くなるのだろう?」と思いながらも、この硬さがゆるまない限り頭に血液が行き渡らないような感じがしました。
 20分間くらいは、側頭部と後頭部の硬さをゆるめるためだけの施術を行いましたが、本人も痛かっただろうと思います。

 今回は60分間の施術でしたが、施術を終えると顔色はだいぶ良くなっていました。目つきや顔つきも戻ってきて、普通の状態の時の雰囲気になっていました。
 ただ、心はまだ落ち込んだままで、光の見えない暗闇の中にいるような、そんな感じに見えました。
 「また、近いうちに必ず来てください。まだまだ調整しなければいけないので。」と申し上げました。

翌日の来店

 翌日の夕方、Hさんから電話が入りました。「今日も、昨日のような施術をお願いしたいのですが‥‥」という内容でした。
 来店された時の様子は、昨日の施術直後の感じとは違っていました。
 「その後、どうでしたか? 今日はどんな調子でしたか?」と私は最初に尋ねました。
 冴えない様子で
 「今日は一日中頭(後頭部)が痛くて‥‥」
 「そして、いろいろな感情が湧き上がってきて‥‥。友人から電話が入ると、それだけで泣けてきたり‥‥、ともかく自分の感情を抑えるのが大変で」
 と仰いました。精神的落ち込みが強まったとも考えられましたし、あるいは、うつ状態で無感情に近かった状態から少し解放されて、感情が表に出てきたとも考えられました。そのあたりにつきましては何が正解か、私はよく解りませんし、担当分野でもありませんので、早速昨日と同じように首肩を揉みほぐすことから施術を開始しました。
 相変わらず後頭部から首にかけては張りが強かったですが、その他のところ、肩、背中、腰部から殿部、下半身などは、前日の状態とは変わっていて緊張感がかなり緩和していました。当然呼吸についても観察していましたが、「まあまあできている」と言った感じでした。
 そして昨日と大きく違っていたのは、Hさん自ら施術を受けながら会話を始めたことです。6月28日に真鶴(車で30~40分くらいの所)までラーメンを食べに行き、楽しみにしていたラーメンの味がまったく感じられないことに気づいたことから症状を認識し始めたということです。味覚がわからなくなり、頭がボーッとし始め、時々記憶が飛んでしまう症状が現れ、どんどん体調が悪くなり食事もできなくなって、あっという間に10㎏以上痩せてしまった、というような話をうつ伏せ状態で施術を受けながらしてくれました。
 その後、仰向けになっての施術を行いましたが、会話は途切れることなく、合計40分間くらいは会話をしていた感じでした。
 ここまで会話が継続してできるようになったということは呼吸状態も良くなってきたと判断することができます。私の見解では、自律神経回復のための第一歩はクリアできたということです。
 味覚の問題、頭痛の問題、記憶がところどころ飛んでしまう認知症に近い状態、食欲の問題、不眠の問題などを考えますと脳神経、脳幹、脳への血流などが頭に浮かんできます。また、食いしばりによるそしゃく筋の強いこわばりは頭痛の原因の一つであり、脳への血流にも関係ある事柄ですが、「どうして食いしばってしまうのか?」という課題も解決していかなければなりません。

 施術のおわりに、顎関節周辺がコチコチに硬くなっていることを認識していただき、指圧して、あるいは大きなあくびをして、硬くなっているそしゃく筋を少しずつでもストレッチしてほしいと申し上げました。



 今は3日目の8月1日、18時ですが、Hさんからの電話はありませんので、本日の来店はないと思います。状態が少しでも落ち着いていれば良いのですが‥‥。

 この度は具体例としてHさんを引き合いに出しましたが、私が申し上げたかったことは、「自律神経と呼吸は関係が深いですよ」ということです。
 自律神経系のトラブルに対し、現代医学では脳や血管の活動に働きかける薬で対応していますが、その他にも呼吸状態を良くすることで対応できることも知っていただきたいと思いました。
 薬は飲み続けているうちに、からだに耐性ができ「量を増やさなければ効かない」という状態を招く可能性があります。それは、漢方薬であっても同じだと思います。
 薬の効きが悪くなるという状況になりますと、「自分の状態が悪化しているのではないか」という不安に襲われるかもしれません。そうしますとマイナス思考に陥って負のスパイラルにはまり込んでしまう危険性さえ出てきます。
 ですから、別のアプローチとして「呼吸状態を良くする」という手段があることを知っていただき、薬と呼吸の両面で対応していただくのが良いのではないかと思います。

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