今年の梅雨は例年に比べ非常に早く開けましたが、同時に気温がものすごい勢いで高くなりました。寝苦しさに辛い思いをされている人も多いかと思います。
 この一週間くらいに来店された人たちの中の数人に、例年にはない特徴的な症状がありました。
 それは背中の下部の痛みや不快感、肋骨が終わったあたりの脇腹や腹部のハリ感や重苦しさなどの症状ですが、一般的で通常に見受けられる背中の痛みや腹部の痛みとは様相が違います。

 背中の下部には腎臓がありますので、腎臓がむくんだ状態になっていて痛みや重苦しさを感じる場合がありますが、それとも違いますし、腰痛で痛みを感じる場所より上の部分になります。
 腹部もみぞおちや下腹部周辺に不快感や重苦しさや痛みを感じる場合は多いのですが、そことも違って肋骨との境界辺りに硬いものができ、それが重苦しかったり痛みを発しています。
 このような症状を訴える人が毎日のように来店されていますので、私としても初めての経験です。

体幹を支えるコルセットのような働きをする腹横筋

 「腹筋と背筋」と一般的によく用いられる用語ですが、腹筋には四種類の筋肉があります。最も認識されている腹筋はお腹に四角い割れ目をつくる腹直筋です。その他にも腹部から背中にかけて斜めに交叉するように走っている外腹斜筋と内腹斜筋があります。そして、地味な筋肉ですが、最も深部に背中から腹部にかけて真横に走っている腹横筋があります。

腹横筋

 私たちのからだは背中(背骨)を除いて、胸郭(肋骨)と骨盤との間がすっかり開いていて動きやすい構造になっています。ですから体型もいろいろで、中高年になるとお腹が出てきますが、それは腹部には骨格がないので、お腹が出たり、大きく出たり、反対にお腹が凹んだスリムな体型になることが可能になっています。
 ところが腹部に骨格がないということは、人体骨格としては不安定になってしまいますので、それを補うように腹横筋がコルセットのように働いて体幹をしっかりとした状態に保っています。

腹横筋の働きが悪いことが原因

 先ほど申し上げたような症状を訴えてきた人に共通して見られたのは腹横筋の働きが悪い状態でした。腹横筋の働きが悪い、というのは筋肉に締まりがないということですから、コルセットがゆるゆるの状態になっていると考えていただければと思います。
 すると上半身はグラグラの状態になってしまい、肋骨も背中側では背骨から離れたような感じになりますし、お腹側では胸郭の下部が広がった状態になってしまいます。これは体幹がとても不安定な状況ですから、からだは自ずと他の筋肉を使って体幹をしっかりするように働きます。つまり普段以上に幾つかの筋肉を強く収縮させるようにして体幹をなるべく安定に保とうとします。
 そして、この普段以上に収縮力を強めてこわばってしまった筋肉が痛みを発したり、重苦しさの原因になります。そしてその場所はおそらく、胸郭と腹部や脇腹の境あたりや骨盤との境界辺りだと思います。そこは背中側では腎臓、お腹の右側では肝臓の位置になりますので、人によっては、普通の背中の痛みや腹痛より恐怖感を覚えるかもしれません。

 このような状態の人はまだ数人しか見ていませんが、腹横筋に問題を起こしている原因には幾つかのパターンがあります。
 一つは目の向きと腹横筋は関係が深いという連動性がありますので、瞳が内側に寄っているような状況の人は腹横筋の働きも悪くなっていると考えられます。
 また、股関節の状態と腹横筋の働きにも関係性があります。股関節が不安定でスムーズにしっかりと歩くことができない状況の時は、腹横筋がゆるんでいる可能性があります。
 しかし私の直感としては、この急激な高温化が深く関係しているのではないかと感じています。いわゆる「お腹の冷え」です。
 これだけ高温になりますが、湯船に浸かることなくシャワーだけで済ましてしまう人は大変多いのですが、気をつけなければならないことです。
 体感としては、エアコンの冷気はたいして影響していないと感じるかもしれませんが、実は影響力が強いものです。そして、冷気は体内に蓄積していると私は感じています。日中もエアコン、そして寝苦しいので夜中も弱いにエアコン、といった生活をされている人も多いかと思います。それはそれで実際のところ仕方のないことですので、せめて一度湯船に浸かって、体内の冷気をリセットしていただきたいと思います。
 一端体内冷気をチャラにして、そしてエアコンにあたり、冷たい物を飲んだり、アイスクリームを食べるようにして欲しいと思います。シャワーだけで済ますと冷気は着実に蓄積していきます。当然胃腸の働きは悪くなりますし、体力も落ちますので熱中症に罹りやすくもなるでしょう。そして、腹横筋は最も深部の筋肉ですから、お腹の冷えは直接的に影響します。筋肉は冷えに弱いのです。

 腹横筋は腹圧を保つ働きをしています。下っ腹に力を入れるときには腹圧が非常に大切ですが、それは便通にも関係します。
 「下腹部に力がはいらない」「便秘ではないけど、最後まで出きらないのでスッキリしない」と感じている人は、腹横筋の働きが悪い事が原因であるかもしれません。
 そのような人はお腹をよく温めたり、あるいは体操として肛門を締めるような、内股~お尻の内側にに力をいれて収縮させるような運動を行ってみてください。股関節の状態と腹横筋は関係が深いと私は認識しています。