ゆめとわのblog

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2022年06月

 そしゃくと嚥下が上手くできなくて、食事ができない女性のその後の報告です。
 前回の投稿では、首の筋肉である前斜角筋がこわばっていることで舌が上がらず、満足なそしゃくができなくてスムーズな嚥下ができないという内容で終わりました。

 その女性が前回の施術から8日後に来店されました。そして、その後の食欲やそしゃくの状態について尋ねましたが、前斜角筋をケアしながらでもやはりそしゃくができなくて、全然食欲が出ないと仰いました。「喉は確かに上がっているのだけれど、舌が取り残されているようで上がってこない」と仰いました。

 私が触診で観察したところ、喉の状態は悪くありませんし、前斜角筋だけでなく他の斜角筋にも問題はありませんでした。舌骨の位置もたいして問題はありません。ですから「通常は問題がないはずなのに、どうしてなのだろう?」と思いました。

 頭部や顔面を観察していきますと、今回は鼻(鼻骨)が眉間の方に食い込むくらいに上がっていて、上の前歯や歯茎も鼻の方に突っ込んでいるように詰まっているのが分かりました。
 つまり、顔面が上がりすぎている状態なのですが、「もしかしたら口蓋(口の中の天井)が上がりすぎていて舌が届かない状態になっているのかもしれない」と直感しました。このようなことは通常はほとんど見られない状況です。大概は鼻骨や上顎骨が下がって問題が生じているのですが、今回は反対の状況です。

口蓋が上がって舌が届かない

 どうして鼻骨と上顎骨が上にずれてしまったのでしょうか?
 鼻骨と上顎骨をが上下に歪む、もっとも確率の高い原因は後頭骨の位置が上下に歪んでいることです。頭部は顔面部と後頭部でシーソーのような関係になっていて、後頭部が上がると顔面部が下がり、後頭部が下がると顔面部が上がるという関係性があります。

後頭下筋の「こ」によって舌が上がらない

 結論を言いますと、この女性の場合、後頭部と第1・第2頚椎を結ぶ後頭下筋(大後頭直筋と承光頭直筋)および後頭部の筋膜が非常に強くこわばっていて、後頭骨を前下方に引っ張り込んでいたことが主な原因でした。後頭骨がグイーッと首の方に食い込んだような状態になっていましたが、その影響で頭部が後ろ向きに回転した状態になっていた上に、後頭骨と鼻骨・上顎骨のシーソー関係から上顎が上に上がっていました。顔面で見ると上の前歯と鼻が眉間の方に押しつけられているような状態です。そして、この状況によって舌が口蓋に届かず「喉は上がっているのに舌が上がっていない」と自覚する状況になっていました。

 では、どうして後頭下筋がつよくこわばっているのか? という問題になりますが、その理由の主なものは、第1頚椎と第2頚椎のが上向き(=後ろの棘突起は下向き)になっていたために、後頭下筋を引っ張る状況となってこわばっていました。
 ですから、解決策としては第1頚椎と第2頚椎の上向き状態を修正することになります。
 専門的には、肩甲挙筋や中斜角筋がゆるんでいたり、働きが悪い状態だったりすることに着目します。
 施術の詳細は割愛しますが、胸郭に問題があってそれを修正することで問題は解決しました。

バイオリズム? それとも何故?

 今回の投稿を入れて3回は、同じ女性について書きました。
 彼女は食事を満足に摂ることができず、病院では逆流性食道炎と診断され、実際、胃液、それも時々緑色の液体まで吐き出してしまうほど消化系に問題を抱えています。
 そして彼女の状況に関して、私が思ったことは、まず口の中でしっかり食物を噛んで唾液による消化を行うことから始めなければならないことでした。口で噛むことをおろそかにした食物を胃に送ったのでは、胃の調子が悪くなるのは当たり前の話です。食物はそしゃくと唾液の消化酵素である程度消化され食塊となります。そしてその食塊が嚥下によって胃に送られ、胃では胃酸や酵素を使って更に消化されます。そしてそれが十二指腸で胆汁(緑色)や膵臓から分泌される酵素でさらに消化されて小腸に送られ、栄養として吸収される仕組みになっています。ですから、そしゃくと唾液の分泌がスタートです。その工程を飛ばしてしまいますと、消化が上手くいかないのは当然の理です。
 ところが彼女は出産時の問題で、そしゃく筋が働かない状態になってしまいました。それについては二つ前のブログに記載しました。
 分娩時の臍の緒が巻きついて首を損傷したことが原因でそしゃく筋が機能できない状態でしたが、それは今は大丈夫になっています。ところが、次には「舌が上がらない」という問題を修正しなければなりませんでした。舌が上がらないと口を閉じたままモグモグとウシが草を食べるようなそしゃくはできませんし、食塊を飲み込む嚥下動作もスムーズに行うことができません。ですから、前回は舌を上げるために斜角筋を整えました。
 ところが今回は、「喉は上がったけど、舌が取り残されたように上がらなくなってしまった」と本人が言っていましたが、それは舌の問題ではなく、頭蓋骨の歪みで口蓋が高くなってしまい舌が届かない状況になっていました。
 前回までの問題はクリアしたにも関わらず、結果論的には「そしゃくできない、嚥下できない」状況は持ち越されたままになっていました。
 そして今回はこの問題を修正しましたが、次回はどうなっているのか? まだ私は安心していません。

 話は変わりますが、もう何年も、だいたい10日間隔で来店されている50歳くらいの女性がいます。彼女が昨年の秋口くらいから右腕に違和感を感じ始めました。初期の初期の五十肩の兆候です。
 11月くらいになりますと、違和感から運動制限、そして痛みへと変化するようになり、それから一気にいわゆる本格的な五十肩の症状を呈するようになりました。
 来店されるたびに、私は真剣に、症状が悪化しないように心がけました。施術が終わると、まぁまぁ状態は良くなりました。ところが10日後に来店されるときには以前より悪い状態になっている状況が今年の3月くらいまで続きました。
 私は不思議に思うことがあります。症状は毎回殆どかわりませんが、症状に直接関係する原因が毎回異なっていることです。あるときは首周辺の問題だったり、あるときは手指や手首の問題だったり、またあるときは、骨盤や足の方の問題だったり、「これが原因だ!」というものを確定することができなかったのです。

 これが本当の五十肩(あるいは四十肩)なのかもしれません。年齢的になのか、ホルモンのバランス変化によるものなのかわかりませんが、人生におけるある時期の一定期間は「肩関節周辺がおかしくなる」という症状がもたらされるということなのかもしれません。その時々に不具合の直接的な原因は変わるけど症状はかわらない、なので整体の施術が力不足に感じてしまう、そんな感じを味わいます。
 こんな時は私にできることは、症状がなるべく悪化しないようにすることと、五十肩の期間をなるべく短いものにすることです。幸いにして、5月に入ったくらいから肩関節の動きも回復し始め、通常の日常生活では不便さを感じない程度にはなっています。ですから半年間苦しい状態だったということですが、ご本人は気持ちの優しい方なので、十分ではないにしても普通に近く生活できるようになったことを素直に喜んでくれていますので、私の気持ちも軽やかです。

 今回の女性に対しても同じような印象を感じています。そしゃくと嚥下がちゃんとできない、という症状に対して、この3回の施術では原因が異なりました。次回はどんな感じになっているのかわかりませんが、また別の理由で「やはりそしゃくや嚥下ができず食事がまともにできない」状況になっている可能性が高いように感じています。

 整体の仕事も長くやっていますが、私の力では克服できない、こういった面が私たちのからだにはあるのだろうと感じています。
 それはバイオリズムによるものなのかもしれませんし、あるいは精神的・霊的理由によるものであったり、別の理由によるものなのかもしれません。
 しかしながら、私は、まずはこの3次元的、物理次元的アプローチで施術を行うことから始めています。

 私たちは哺乳動物に分類されますが、哺乳動物の大きな特徴の一つに「そしゃく」があります。私たち人間に限らず、犬や猫やその他の哺乳動物の赤ちゃんは目が見えなくても母親の乳房にくらいつき、チュッチュ、チュッチュと一生懸命乳首から乳を吸います。その動作こそ「そしゃく」に繋がる最も重要な動作です。

 前回(一つ前)のブログの女性の、その後について少しお話しさせていただきます。
 彼女は首の改善を続けていますが、その状態はだいぶ良くなりました。普通に口笛を吹くことも出来るようになりました。ところが、そしゃくについては「調子の良いときと悪いときがある」と言います。以前ほどひどくはないけど、その時の調子によって噛むことが嫌になり、食欲がなくなってしまうことがあると言います。

 「そしゃく筋はちゃんと作動するのに噛むことが嫌になる」ということは、次に疑うべきところは舌になります。
 私たちが食物を噛みくだいて、そしゃくして、飲み込む(嚥下)までの一連の動作で舌は決定的に重要な働きをしています。

嚥下


 そしゃく動作においても舌は働いていますので、舌先を噛んでケガしたり、口内炎が舌にできたりしますとそしゃくそのものに不具合や不調が生じます。しかし、そのこと以上に舌をピタッと口蓋
(口の中の天井)にくっつけることができないと「飲み込む」動作が普通にできなくなります。タイミングを見計らって「セイノー○○」という感じでないと飲み込めなくなったり、水分を利用して流し込むようにしないと食物(食塊)を食道に送ることができなくなってしまいます。
 つまり舌が下がった状態で、上に上がってこない状態では食物を効率よく飲み込むことができないのです。

 前回ブログの女性の話題に戻りますが、彼女が「調子の良いときと悪いときがある」と言ったことの理由は舌の状態に関係することだったのかもしれません。
 今回の施術で観察したとき、彼女の舌は下がった状態になっていました。
 通常、下がっている舌を上げるための施術としては、喉が上がるように胸郭を上げたり、こわばっている腹筋を整えたり、鼡径部や恥骨結合を上げるようにしていますが、この時は、それらだでは舌が上がりませんでした。

 そして新たに分かったのは、前斜角筋(ぜんしゃかくきん)が舌の動きと関連性があることでした。前斜角筋はそしゃく筋の一つである咬筋(こうきん)の浅層筋と連動関係にありますが、噛みしめの癖があるとこわばりますし、あるいは咬筋がこわばりますと噛みしめてしまうことになります。

斜角筋03

側頭筋と咬筋

 ご飯を噛むことが「調子の良い」ときは咬筋がこわばり状態ではなく、「調子が悪い」ときはこわばり状態になっていると考えられますが、その理由と解決は次回の施術に持ち越しとなりました。

 余談ですが、この女性は今は週一くらいのペースで来店されていますが、毎回のように不調や不具合の箇所が違います。毎回共通しているのは胃腸の働きが悪いこと、疲れやすいことです。
 前回のブログでは、出産時に臍の緒が首に巻きついてしまい、おそらくそれが原因でそしゃく筋が使えないために「生まれつきからだが弱い」、「全身の筋肉が上手く働けない」と記しました。つまり、肉体としての基礎がグラグラ状態だということですが、そうなりますとちょっとしたことで調子が悪くなったり、不具合が生じたりするようになってしまいます。ですから、不調や不具合箇所の個々を整えることに加えて、それ以上に、しっかりとしたそしゃくと嚥下ができる状態になることと、骨盤が肉体の中心としてしっかりと役割を果たせる状態になることが大切だと私は思っています。
 「そしゃくと骨盤」どうかこの二つを大切にされてください。

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