(今回は文章だけになってしまいますので、わかりにくいところもあろうかと思いますが、解りにくいところは読み流してください。長文ですが、最後まで読んでいただけますと、私の言いたいことを理解していただけると思います。)
古傷の影響でからだが歪んだり、不具合が生じたり、体調が思わしくなかったりすることなどにつきまして過去に何度か掲載してきました。
今回もそのような話ですが、実例として、多くの人に参考になればと思い書かせていただきました。
40歳代の女性は、中学生の時に激しい尻餅をつくかたちで尾骨周辺を強打しました。その時は何日間も歩くのが大変だったということです。
その他には、高校生の頃に交通事故で車と衝突し、からだが飛んで道路にうつ伏せの状態で落下した経験があるということです。一時的に意識が飛んでしまったので、打撲の詳細は記憶にないけれど下顎に創傷があったので顎を打撲したのではないかと話してくれました。
そして現在の症状は、右股関節の詰まり感と硬さ、右背中の腫れ、右目視力の低下、浅い呼吸、歯ぎしりなどがあり、精神的には不安や緊張、赤面恐怖なども感じやすいとのことです。
ベッドにうつ伏せになっていただき、股関節や背中の観察から施術を始めましたが、骨盤の形がおかしいことが見ただけでわかりました。右股関節は、大腿骨が骨盤に近づきすぎている状態になっていまして、背中右側の脊柱起立筋が太くこわばっていました。ご本人は背中の腫れが、肝臓や腎臓と関係があるのではないかとの心配を持っていましたが、そうではなくて骨格筋である脊柱起立筋が強くこわばっていることによるものだと説明しました。
呼吸はとても浅い状態で、腹式呼吸も胸式呼吸も両方とも芳しくない状態であることがすぐにわかりました。
まず骨盤を修正することから取り組みましたが、仙骨表層の筋膜がガチガチに硬くなっているために骨盤の柔軟性がまったく無く、さらに右の股関節では小殿筋(しょうでんきん)が強くこわばって大腿骨を骨盤の方に引き寄せていました。
施術は仙骨表層の筋膜をゆるめることからはじめました。丁寧に、そして念入りに筋膜をゆるめていきました。すると関節(仙腸関節)に少しゆとりが生まれだし、呼吸に合わせて骨盤が少し広がることができるようになりました。それによって少し腹式呼吸ができる状態になりました。(呼吸と骨盤の柔軟性は関係があります)
次に右の小殿筋をゆるめる必要がありますが、小殿筋がこわばっているのはおそらく中学生時代の尻餅による打撲の影響が残っているからだと思いました。ですから尾骨周辺で古傷として影響を及ぼしている部分を探していきました。
その部位は尾骨奥の右側にありましたが、そこを手当てしていますと硬くこわばっていた脊柱起立筋が少しゆるみだし、骨盤の形も良くなり、腹式呼吸が大きくなって空気を大きく吸うことができる状態になりました。
その後、その部位の損傷による他の影響を確認するために座っていただき、上半身を左右に捻る動作をしていただきました。右側の脊柱起立筋がこわばっていて伸びないために、左側に捻っても右背中の筋肉と右殿部の筋肉が突っ張ってしまい途中でストップがかかってしまいました。
次に、尾骨奥のその損傷部位に私が手指を当てて同じ動作をしてもらいましたが、すると突っ張りがゆるんで、十分とは言えないまでも、上半身を左に捻ることができる状態になりました。
つまり、中学生時代に尻餅をついて強打した尾骨奥右側の損傷が30年近く経っても回復していなかったために骨盤が歪んで柔軟性がなくなり、腹式呼吸が上手くできない状態になっていたということです。さらに同じ原因で、右側の小殿筋と脊柱起立筋が強くこわばってしまっていて、右股関節の不調と右背中の腫れた状態を招いていたことになります。
結局、尾骨奥の右側にダイオードを貼って、損傷部分の回復を促すようにしました。長年の損傷ですから少し時間がかかると思いますが、2つ問題を改善する希望が見えました。
次に、右目の視力低下、浅い呼吸、歯ぎしりなどを施術するためにベッドに仰向けになっていただきました。その時すぐに解ったことは、右目が右側を向いていることと、胸(胸郭)が右側に大きく捻れていることでした。
皆さんは「右目が右を向いている」状態を連想することはできないかもしれませんが、いわゆる右目が斜視状態になっているということです。そして、このような症状は普通にたくさん見かけることです。
視力は左目が1.0、右目が0.1と仰っていましたが、その主な原因は右目が斜視状態になっていることだろうと思われます。つまり、正面を見るためには右目を左側に捻りながら物を見ることになりまが、それは普通の人が瞳だけ右や左に向けながら見る動作を同時に行うとおなじことですから、当然物の見え方は悪くなってしまいます。
腹筋の中に腹横筋(ふくおうきん)があります。お腹に力を入れたときに腹圧を保つ働きをする筋肉として知られていますが、この筋肉は目の左右の動きと連動関係にあります。つまり、胸郭が右側に捻れていることの理由として右側の腹横筋がこわばっていることがありますが、その時には同時に右側の眼球も右側に捻れた状態になり、右顔面も右後方に歪んでいる状態になってしまいます。あるいは、反対に右眼球が右側に捻れてしまうと右側の腹横筋がこわばって胸郭が右側に捻れてしまいます。
この方の場合は、右目が捻れていることが影響して胸郭が歪んでいました。そして、そのことは右の股関節の不具合にもある程度影響を及ぼしていました。
右目が捻れている原因を探っていきますと、最終的には左側の中斜角筋(ちゅうしゃかくきん)という首の筋肉が強くこわばっていたことが原因であることがわかりました。
ここで、もう一つの訴えである歯ぎしりの問題との関連性も生じることになります。
中斜角筋はそしゃく筋の一つである内側翼突筋(ないそくよくとつきん)と連動関係にあります。中斜角筋が強くこわばっているということは、内側翼突筋も強くこわばっていることですが、それは自分の意志に関係なく噛みしめ状態になってしまうということ意味しています。口を大きく開くことができなくなりますし、自然と噛みしめてしまいますので、歯ぎしりの癖を持つようになってしまいます。
今度はどうして左側の中斜角筋が強くこわばってしまったのか? ということになりますが、その原因は胸骨と左側鎖骨との関節付近の損傷状態でした。私が想像するに、高校生のとき交通事故にあって道路に落下したときに、その部分を打撲したのではないでしょうか。
しばらその損傷して凹んだ部分に手当ての施術をした後、ダイオードを貼りました。ここも尾骨奥同様に回復を促さなければいけない部分です。
また、その他にも胸に関係して、子供の頃に病気で胸骨の中央部分に何度も注射をしたことがあると仰いました。ご本人は、その注射の薬剤がきつくて辛かったと仰っていましたが、私は注射針を何回も刺したことが気になりました。
胸骨表層には筋肉はほとんどありません。筋膜と皮膚しかないような状態ですが、それだけに敏感なところでもあります。そこに何度も注射針を刺したということは、必ず損傷状態になっていてからだに悪い影響を及ぼしているはずだと私は考えました。
そして案の上、胸骨を手当てしていますと、腹式呼吸がとても大きくなり、空気をたくさん吸い込むことができるようになりました。そしてその部分にはピップエレキバンを貼りましたが、ご本人には毎日のように手当てのケアをしていただきたいと思っています。
今回はここまでの施術になりましたが、その他に胸式呼吸がしづらいなどの問題があります。その症状は「息継ぎがうまくできない」など、瞬時に空気を取り入れることが苦手な状態です。喋っていると息苦しくなってしまうので長話はしたくない、カラオケで速い曲を歌うと息継ぎが間に合わない感じになるので苦手といった感じです。つまり、腹式呼吸のようにゆったりとした呼吸はできても、瞬時にスッと空気を吸い込むことができないのです。
その理由としては胸郭上部の肋骨が動きにくい状態であること、副鼻腔の働きが悪いことなどが考えられます。そして、ご本人は「確かに酷い副鼻腔炎を経験したことがあり、今も副鼻腔に空気を通すことはできにくい」と仰っていました。ですから、そこは次回以降の施術となりますが、胸式呼吸が上手く出来るようになって、副鼻腔に空気を通すことが出来るようになりますと、頭もスッキリしますし脳への酸素供給も快適になりますので、不安や緊張を感じやすいなど精神的なマイナス面を改善することにも出来るようになるのではないかと思っています。
古傷の影響が表面化して肉体的に辛くなるのは平均的には40歳を超えたくらいからかもしれません。学生時代にスポーツに打ち込んで激しく運動していた、子供の頃に大きなケガをした、そういったことによる骨や靱帯や筋肉の損傷があったとしても、若くて体力があり、筋肉のポテンシャルが高い状態ですと、マイナス面を他の筋肉が補ってくれるために不具合や不調が表面化することは少ないようです。しかし、加齢にともない筋肉のポテンシャルが下がってきますと、筋肉は本来の自分の仕事をこなすことで精一杯の状態となり、古傷のマイナス面をカバーすることまで手が回らなくなってしまうようです。
すると、古傷による影響が表面化して加齢と共にからだがどんどん辛い状態になっていくのではないかと私は考えています。
今、腰痛や肩こりで悩んでいたとして、その原因が古傷による影響であるのであれば、腰や肩を一生懸命マッサージしたところで、あるいは鍼灸治療などをしたところで、本当に効果は一時的なものになってしまいます。
私の整体では、古傷、手術、歯科矯正、そういったものを無視することは絶対にできません。なぜなら、それらは確実にからだに悪い影響をもたらしているからです。そして、おそらくそういったことが他の整体院とは違うところかもしれません。

