硬い胸は放っておけない
前回の投稿で登場していただいたデザイナーの人が、元々の予定より一週間早く来店されました。やはり心療内科で処方されている薬が気になっていたようで、来店される前に心療内科を受診され、医師に薬のことなど相談されたようです。
この一週間の間に薬を飲む日と飲まない日とを比べてみたところ、飲まない日はちょっとしたストレスでも心に重くのしかかるように感じたということで、「まだ薬を減らすことはできないのかなぁ~」というのが医師と相談した結論のようです。
今回予定より一週間早く来店された主な理由は、前回(一週間前)の施術の後、気分も良くなったので東京まで出かけて行き、(趣味でもある)洋服を買うために都内のショップをいろいろ見て歩いたとのことですが、翌日になって脚をはじめ全身の筋肉が硬く張ってしまい、更にその状態が一週間経っても変わることなく、状態が和らぐこともなくて辛いということでした。
普段、運動不足ではあるものの、いつもよりたくさん歩きまわったからといって、筋肉痛になってもせいぜい2~3日で解消するだろうと予想していたのに、そうならなかったことでショックを受けている感じでした。
施術に入る前に少し話しをしました。おそらく精神を安定させる薬は筋肉を弛緩させるように働くと思いますので、その影響もあって全身のこわばりが取れないのではないかと私は思い、そんな話をしました。
普通の人に説明しても理解しづらいとはと思いますが、筋肉はあらゆる状況に対して最善のバランスをとるように働く特徴があります。
たとえば二つの筋肉で骨格を支えて安定している場合、片方の筋肉が何かの理由で働きが悪くなりますと、他方の筋肉がより頑張って骨格を支えるようになります。このような仕組みで、ゆるんで働きの悪くなっている筋肉と強く収縮してこわばり硬くなってしまう筋肉が生じることになります。
また、筋肉(骨格筋)の働きには大きく二つの側面があります。一つは歩いたり、立ち上がったり、屈んだりと私たちの動作に関係する働きの側面です。もう一つは、骨と骨を適切な状態でつなぎとめ骨格を安定させる働きの側面です。
原則的には、大きな動作や速い動作に関係する筋肉はからだの表層にあります。そして、それら動作に関わる筋肉は骨格を足場にして自らを伸縮することでからだの動作が生み出される仕組みになっています。もし足場の役割をしている骨格がグラグラで不安定な状態だったとしますと、動作のための筋肉は緊張状態になってしまいます。それは吊り橋や沼地など足元の悪いところを歩こうとしたときにリラックスすることは難しく、思わずからだを緊張させしまうのと似ています。
ですから、骨格を支える働きをする筋肉は地味な存在ですが非常に重要です。
皆さんがインナーマッスルとして知っている筋肉の多くは骨格を支える働きをしますので、インナーマッスルを充実した状態に保つことはとても良いことです。
話をデザイナーの人に戻しますが、心療内科で処方された薬には筋肉を弛緩させる働きもあるということです。つまり筋肉を弛めて働きを低下させる作用があるということです。私はこの薬の作用によってインナーマッスルの働きが弱まっているのではないかと思いました。
骨格に近い、からだの深部の筋肉がゆるゆるの状態になってしまったので、動作を行うことを役割としている表層の筋肉が本来の働きにプラスして骨格を支える働きまでしなければならない状況になっていることは考えられることです。そしてこのような仕組みで、表層の筋肉が常に緊張状態(=収縮)になってガチガチに硬くなってしまい、辛い状態になっているのではないかと考えました。
ですから、私は施術において、インナーマッスルの働きが回復するようなことを心がけました。
多くの人は「硬いところを揉みほぐして柔らかくして欲しい」と思うと思います。しかし、全身の硬いところを時間を掛けて揉みほぐしたところで、深部の筋肉の働きが良い状態に戻らなければすぐにまた硬い状態に戻ってしまいます。
深部の筋肉状態が改善すれば、自然と表層の筋肉の緊張状態は解除され、辛い状態を脱することができると考えましたし、実際、一部を除いてそのようになりました。
一通りの施術によって、この人の来店の目的である脚をはじめ全身の筋肉のこわばりはほとんど大丈夫になりました。ところが胸から喉やオトガイ(下顎の先端)にかけての硬さは「やったー!」と言うほどには解消されませんでした。「時間が経つとまた硬い状態に戻ってしまうな」と感じる程度にしかなりませんでした。
幾度も話題にしていますが、胸が硬い状態ですと呼吸や嚥下が不十分な感じになってしまいます。すると酸欠状態のようになりますのでイライラして手や足に余計な力が入ってしまう可能性がありますが、それによって全身が硬くなってしまう可能性も考えられます。
要となるインナーマッスルを整えましたので、”治らない筋肉痛”状態は脱したと思いますが、”芯からリラックスできるからだ”にはなりそうもありません。
心理的に不安定な状況で、からだ(肉体)まで緊張状態になってしまいますと、悪循環が始まってしまうと言いますか、少しずつマイナス方向に進んでしまう可能性があります。そうならないように、本人と私が共に十分に注意を払っていかなければなりません。
本人には、簡単にできるインナーマッスルを鍛える運動を教え、しばしば胸をマッサージして良い呼吸ができる状態を保てるように心がけていただきたいとアドバイスしました。
胸が硬くなってしまう原因として考えられるものはいくつかあります。
季節の変化による影響を受けている人は少なからずいます。胸が硬くなったり、あるいはゆるんで力が乏しくなってしまったり‥‥どちらもあります。
長時間のパソコン業務などによる影響もあります。そして心理的な影響によるものもあります。
次回もまた胸の変化によるからだへの影響について投稿します。
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