私たちは哺乳動物に分類されますが、哺乳動物の大きな特徴の一つに「そしゃく」があります。私たち人間に限らず、犬や猫やその他の哺乳動物の赤ちゃんは目が見えなくても母親の乳房にくらいつき、チュッチュ、チュッチュと一生懸命乳首から乳を吸います。その動作こそ「そしゃく」に繋がる最も重要な動作です。
前回(一つ前)のブログの女性の、その後について少しお話しさせていただきます。
彼女は首の改善を続けていますが、その状態はだいぶ良くなりました。普通に口笛を吹くことも出来るようになりました。ところが、そしゃくについては「調子の良いときと悪いときがある」と言います。以前ほどひどくはないけど、その時の調子によって噛むことが嫌になり、食欲がなくなってしまうことがあると言います。
「そしゃく筋はちゃんと作動するのに噛むことが嫌になる」ということは、次に疑うべきところは舌になります。
私たちが食物を噛みくだいて、そしゃくして、飲み込む(嚥下)までの一連の動作で舌は決定的に重要な働きをしています。
そしゃく動作においても舌は働いていますので、舌先を噛んでケガしたり、口内炎が舌にできたりしますとそしゃくそのものに不具合や不調が生じます。しかし、そのこと以上に舌をピタッと口蓋
(口の中の天井)にくっつけることができないと「飲み込む」動作が普通にできなくなります。タイミングを見計らって「セイノー○○」という感じでないと飲み込めなくなったり、水分を利用して流し込むようにしないと食物(食塊)を食道に送ることができなくなってしまいます。
つまり舌が下がった状態で、上に上がってこない状態では食物を効率よく飲み込むことができないのです。
前回ブログの女性の話題に戻りますが、彼女が「調子の良いときと悪いときがある」と言ったことの理由は舌の状態に関係することだったのかもしれません。
今回の施術で観察したとき、彼女の舌は下がった状態になっていました。
通常、下がっている舌を上げるための施術としては、喉が上がるように胸郭を上げたり、こわばっている腹筋を整えたり、鼡径部や恥骨結合を上げるようにしていますが、この時は、それらだでは舌が上がりませんでした。
そして新たに分かったのは、前斜角筋(ぜんしゃかくきん)が舌の動きと関連性があることでした。前斜角筋はそしゃく筋の一つである咬筋(こうきん)の浅層筋と連動関係にありますが、噛みしめの癖があるとこわばりますし、あるいは咬筋がこわばりますと噛みしめてしまうことになります。


ご飯を噛むことが「調子の良い」ときは咬筋がこわばり状態ではなく、「調子が悪い」ときはこわばり状態になっていると考えられますが、その理由と解決は次回の施術に持ち越しとなりました。
余談ですが、この女性は今は週一くらいのペースで来店されていますが、毎回のように不調や不具合の箇所が違います。毎回共通しているのは胃腸の働きが悪いこと、疲れやすいことです。
前回のブログでは、出産時に臍の緒が首に巻きついてしまい、おそらくそれが原因でそしゃく筋が使えないために「生まれつきからだが弱い」、「全身の筋肉が上手く働けない」と記しました。つまり、肉体としての基礎がグラグラ状態だということですが、そうなりますとちょっとしたことで調子が悪くなったり、不具合が生じたりするようになってしまいます。ですから、不調や不具合箇所の個々を整えることに加えて、それ以上に、しっかりとしたそしゃくと嚥下ができる状態になることと、骨盤が肉体の中心としてしっかりと役割を果たせる状態になることが大切だと私は思っています。
「そしゃくと骨盤」どうかこの二つを大切にされてください。

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