ゆめとわのblog

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 あるところから寄稿の依頼を受けました。
 これからの季節、女性にとって気になるダイエットと日焼けトラブルについて、日常生活でできるケアについて書いて欲しいとのことでした。以下がその原稿ですが、参考になればと思いブログに投稿します。

 ダイエットや日焼けによるトラブルを考える時、“新陳代謝”と“細胞の修復”というキーワードが登場します。新陳代謝は古い細胞が新しい細胞に入れ替わる変わることですが、それによって若々しいからだを保つことができます。単に体重を落とすとか、痩せるということではなく、健康的なダイエットを目指すなら活発な新陳代謝を維持することが必要になります。細胞が古いままでは脂肪を燃焼させる力も弱いですから体脂肪を落とすことが難しくなります。
 また紫外線は皮膚のメラニンを黒色に変化させますが、それは表皮で起こります。表皮は28日周期で入れ替わります(ターンオーバー)ので、理屈の上では日焼けしたとしても28日後には元の皮膚に戻るということになります。しかし実際は表皮のターンオーバーができない部分が皮膚に残るため“日焼け後のシミ”が所々にできてしまい、女性を悩ますことになります。
 紫外線はメラニンを黒色に変化させるだけでなく、細胞そのものを傷つけます。表皮やその下の真皮細胞が傷つきますと、その部分のターンオーバー機能は失われてしまいます。ですから傷ついた細胞を修復されなければなりません。そして、新陳代謝と細胞の修復を順調に機能させるためには、肝臓、核酸、タンパク質、血液循環というキーワードが現れます。
 新陳代謝は古い細胞が新しい細胞に入れ替わることですが、それは細胞分裂という方法によって行われます。細胞は自身の寿命が訪れますと自分と全く同じ情報を持った細胞、つまり自分自身のコピー(分身)を作ります。一時的に自分自身が二つになるわけですが、その後自分自身は死んで新しい細胞をその場に残します。これを生涯繰り返しているわけですが、この時に必要な物質が核酸でありタンパク質です。

 ところで、私たちが食べる食べ物は消化器官を通過したながら分解されて、小腸で吸収されて血液の中に栄養物質として入ります。その後その栄養豊かな血液は肝臓にそのまま送られ、肝臓でからだの細胞が必要とする様々な物質に合成されます。肝臓はからだの中の「化学工場」に喩えられますが、そこでは分解、合成、解毒など、様々な処理が行われています。新陳代謝に必要な核酸やタンパク質は肝臓で合成されますし、細胞の修復に必要なタンパク質も肝臓で作られます。またアルコールや有害物を解毒して血液を無害の状態に保つのもの肝臓の働きです。ですから健康で若々しいからだを維持するためには、肝臓を万全の状態に保つ必要があるということになります。
 たとえばアルコールを飲み過ぎて、肝臓が解毒作業ばかりに力を取られるようになりますと、新陳代謝や細胞の修復に必要な物質を合成する能力が低下してしまうと考えられますので、皮膚は荒れたままになったり、ダイエット食品をたくさん摂ったところで何の効果も現れないという結果を招いてしまいます。新陳代謝も鈍くなりますので若々しさが失われ老化が進んでしまいます。
 そして肝臓の働きを弱める要素はアルコールだけではありません。毎日飲み続けている合成薬や摂り続けているサプリメントが肝臓の働きを弱めているかもしれません。また、東洋医学では肝臓と目は関連性が深いと考えられていますが、眼精疲労は肝臓の疲労に直結しているかもしれません。さらにある種の感情(怒り)は肝臓の働きを弱めてしまうと考えられています。
五行色体表

 スマホ、パソコン、テレビなど、私たちが毎日多くの時間接しているものは目に疲労をもたらすものばかりです。同じ場所をずっと見続けることは目を動かす筋肉や焦点を調整する筋肉を硬直させます。ですから、画面に集中しすぎないように、しょっちゅう目を左右上下に動かしたり、遠くを見たりして目に関係する筋肉が偏らないようにしていただきたいと思います。さらに一日の終わりには、コメカミを強めの力で持続的に指圧したり、目のすぐ下、でっぱっている頬骨の下際の硬くなった筋肉を指圧してゆるめていただきたいと思います。また目を動かす筋肉をストレッチする意味で非常にゆっくりと大きく、瞳で八の字を描くような“目の運動”をしてケアしていただきたいと思います。筋肉が硬くなっていますとストレッチ運動を始めた最初のうちは少し痛みを感じるかもしれませんが、時間とともに筋肉がゆるみだし心地よさがやってくると思います。そこまでやってください。
 
目のストレッチ

 新陳代謝と細胞の修復のために肝臓でつくられたタンパク質やアミノ酸など、即戦力としての物質は心臓に戻り、酸素を含んだ血液(動脈血)となって全身を巡り目的の細胞に届けられるわけですが、血液循環が悪いとからだの隅々まで到達することができなくなってしまいます。動脈血は心臓(ポンプ力)と血管の働き(搏動)で全身を巡るわけですが、末端の毛細血管まではその力は及びません。
 実際に細胞が血液から必要な物質を受け取るのは毛細血管からになるわけですが、ここでの循環で重要になってくるのは静脈の流れです。新陳代謝を終えて死んだ細胞や二酸化炭素や老廃物は静脈やリンパの流れによってその場から去って行くのですが、静脈もリンパも自身の力で流れることはできません。周りの筋肉の働きによってゆっくりと流れていきます。ですから筋肉の働きが悪いと流れが停滞してしまいます。これがデスクワークや立ち仕事の多い人が夕方になると膝下のむくみが悪化する主な原因です。時々歩くなどして足やふくらはぎの筋肉を動かすことが静脈とリンパの流れにとって重要な理由です。
 細胞レベルでの循環は“動脈血が入り静脈血が出て行く”ことに他なりませんが、静脈血がそこから去って行かなければ動脈血が入っていく余地ができません。有酸素運動やいろいろな体操をして筋肉を鍛え、心肺機能を高めて動脈の働きが良くなるようにしてみたところで静脈が停滞してしまっていては努力が無駄になってしまいます。ですから全身の血液循環を考えるときには多くの場合、静脈とリンパの流れを改善することを優先させて対処する方が効率的です。私は血液循環を整えようとするときには、まず静脈の流れを整える作業からはじめます。その上で不十分であれば、心臓の働きを考えながら胸郭を整えたりして、動脈系の循環に対応するようにしていますが、多くの場合、静脈系を整えるだけで事足りてしまいます。

 静脈とリンパの流れを良くするために整えるポイントはいくつかありますが、普通の人が日常の生活で行うセルフケアとしてやっていただきたいのは、足と手の指の間をマッサージしてゆるめることです。手も足も表に出ている指は骨格としての指の一部ですが、マッサージしていただきたい筋肉は手の中や足の中にあります。パソコンでキーボードをたくさん使っている人は、手のこの筋肉(骨間筋)がとても硬くなっています。一日中立っているような人や歩き方の悪い人は足の骨間筋が非常に硬くなっています。
 手のひらを上に向けて手を大きくストレッチするように広げていますと手の骨間筋が引き伸ばされ、やがてジワーッとしだし気持ちよい開放感が感じられるようになります。30秒くらい続けていますと足の指がムズムズしだし、からだの血液が回り出すのが感じられるようになると思います。
 
足の骨間筋ストレッチ

 足の中にある足の指を一つずつ掴んで広げていますと足がジワーッとしてきませんでしょうか。特に足の親指と人差し指(2趾)の間と小指と薬指(4趾)の間を念入りにやっていただきたいと思います。
 このようなことでからだの血液循環は良くなります。それは検査の数値とかではなく、体感として感じられると思います。

 冒頭に申し上げましたとおり、活発な新陳代謝と細胞の修復のためには肝臓の働きと血液循環と食物としてはタンパク質と核酸が必要です。サプリメントを利用すると考えるなら、是非核酸を摂っていただきたいと思います。また大豆をはじめ良質なタンパク質を摂取することが良いと思いますし、白子など高核酸食を積極的に摂取するのも良いと思います。そして肝臓の健康を維持する意味で、アルコールや薬を飲み過ぎないようにすること、目の疲れを蓄積しないこと、ストレスを溜め込んで感情の起伏が大きくならないようにすることなどに注意していただきたいと思います。さらに全身の血液循環を順調に行うためにセルフケアとして手と足へのマッサージや指圧をおすすめします。

以下は、以前に中国の伝統中医学の先生に教えていただいたことです。「寒性・熱性」という言葉が出てきますが、それは体質をあらわしています。

【目は肝臓の窓】
 中国の諺に「目から心を洞察する」があります。
 黄帝内経にも「五臓六腑の精気はすべて目に注がれ、目の精となる」という言葉があります。漢方においては、これらの考え方からもわかる通り、目の観察はとても重要であります。
 まず目の結膜部。我々は暑い部屋の中に長くいると目が赤くなります。なぜならば身体が外からの熱によって「受熱」した状態になったからです。逆に云うならば、目の結膜部が赤いということは熱の体質であるということになります。
 また、直接熱を受ける「受熱」ばかりでなく、例えば夜勤・疲労・情緒の波動などによって目が赤くなることがあります。これらも熱の体質と考えなければなりません。
 以上の反対、結膜部が清く澄み切っている状態は寒の体質と考えられます。臨床においては熱性の目より寒性を判断することは難しく、かなりの経験を要します。
 以上のようなことから、熱性の場合は「目赤(モクセキ)」、寒性の場合は「目白(モクハク)」と云いますが、ここでいう目とは、目の全体ではなく結膜部のことです。
 例えば「目赤」の場合、熱性の生薬や食物を即時に止めなければなりません。また、仕事の疲労や徹夜のために目が赤くなったのならば注意を要します。それは内臓から訴えられた赤信号とも考えられるからです。もしもそれを無視して続けているならば、身体に何かが起こる危険性は十分にあることでしょう。
 飲酒についても当然考えなければなりません。酒は大熱という性質です。つまり、飲酒には身体を温めたり熱くしたりする効能があります。しかし、飲酒によって目が赤くなるということに関しては、それほど恐れることではありませんが、通常の場合、翌日ないしは2・3日で赤みが取れなければなりません。もしその赤みが消えないならば飲酒を中止してください。なぜならば体内にその熱が蓄積されているからです。そうしなければ目の問題だけではなく、肝臓が侵されることになります。
 「目は肝臓の窓」です。「目赤」という信号は無視してはなりません。

 また、「目の色」以外、目の分泌物も寒熱を探知する情報のひとつです。例えば、朝起きた時きに目が乾燥していて開けようと思ってもなかなか開けられなく、ネバネバした粘液ができた経験は多くの人がもっているでしょう。これは熱の症候です。この場合は寒性である緑茶やウーロン茶を飲んだりして、その熱を抑えなければなりません。漢方療法で行われることに、緑茶や菊花茶の汁で目を洗うことがあります。
 これらの反対に、何のきっかけもなくして涙を流すならば、それは寒性として考えることになります。

 いよいよ花粉症の時期になりますが、この時期になりますと多くの人の鼻が下がってしまいます。花粉症と鼻が下がることとの因果関係を云々する説はないかもしれませんが、整体的に見て、鼻、つまり鼻骨の下がりと鼻づまりはとても関係が深いように思います。そして鼻呼吸のきめてとなる副鼻腔の状態が悪くなる人も多くなります。花粉症の人は全員一時的な軽い副鼻腔炎になっているのかもしれません。
 インドの伝統医学(アーユルヴェーダ)に未消化物(アーマ)という考え方があります。アーマが体内に溜まると病気になってしまうという見解です。アーマは一般的には、食べたものが消化されず体内に毒素として溜まってしまったものであり、デトックス(排泄)する必要があるというように説明されています。しかし、アーユルヴェーダの本来の考え方に則せば、アーマとは食べたものに限らず体内に取り入れたもの全般を指しているはずです。呼吸によって取り入れる空気、空気中のチリやホコリ、ウイルス、微生物、PM2.5などの有害物質も含めて体内で無毒化できなければアーマになってからだの健康を阻害する要因になるという考え方だと思います。
 有害物質や異物が体内に入ってきたときに、私たちの免疫系がそれらに対処しますが、それらを上手く処理できずに、あるいは免疫系の処理能力を超えて入ってきてしまうため、体内で無毒な物質に変換できないと毒素として蓄積してしまい健康を害してしまうという考え方です。
 花粉症といえば“アレルギー”とすぐに連想できますが、アレルギー反応をもたらすアレルゲン(花粉)を体内に侵入させないようにマスクなどで対応することともに、アーマの考え方を取り入れて私たちの免疫系の力を適切に保ち、なおかつ体内に溜まっている毒素を排泄させることも花粉症対策として大切なことだと私は考えています。

①花粉をなるべく取り入れないようにする
②免疫系の力を増強する
③毒素を排泄する
の3つが花粉症にかぎらず、様々なアレルギー性疾患にたいする必要な対策だと思います。

鼻と副鼻腔と免疫系
 鼻呼吸が良くて口呼吸が悪いとされる根拠の一つは、口呼吸では大気中にあるチリやホコリやバイ菌が気管を通して肺に入ってしまう可能性が高いため健康を害しやすいということです。さらに大気をそのまま口に入れて気管を通過させますので、冷たい空気、乾燥した空気はそのままに近い状態で体内に入ってしまいます。元々水の中で生活していた私たちは(魚だった時代)、エラ呼吸によって水の中に含まれている酸素を取り入れるようにできていました。その名残はヒトである現在も残っていて、肺で空気から酸素を取り出すときにかなりの湿度がなければガス交換(血液中に酸素を入れて、血液中の二酸化炭素を取り出して排泄する)が上手くできません。また私たちの生理活動(化学反応)は酵素の働きによってなされていますので、肺が冷えた状態ではやはりガス交換に支障がでます。
 ですから呼吸によって取り入れる空気は肺に入るまでに、ホコリやチリやバイ菌類が除去され、湿度と温度が調整される必要があります。そしてそのために活躍する器官が鼻(鼻腔)と副鼻腔であり、鼻は匂いを嗅ぐ働きだけではなく免疫系の入口でもあるといえます。
 
 鼻の穴を通して入ってきた空気は粘液に覆われている鼻腔(鼻の奥)に入ります。そこで大きなチリやホコリやバイ菌は粘液にキャッチされ除去されます。鼻汁がでるのは汚れた粘液を排出することを意味します。その後、ある程度きれいになった空気は頬や額の骨にある副鼻腔に入ります。鼻から息を吸ったときに頬や額がひんやりしたりスーッとしたりするのは空気がここを通過しているからです。ここでは鼻腔で除去しきれなかった小さな異物を除去するとともに咽頭や気管を通して肺に送り込む空気の湿度と温度を瞬時に調整します。こうして肺で理想的なガス交換ができる状態に空気がかわります。

副鼻腔

 鼻腔が乾いていて粘液が足りなければ、あるいは副鼻腔炎などで副鼻腔に空気が入らなければ、口呼吸ほどではないとしても肺が負担を強いられることになり、からだに負担がかかってしまうことになってしまいます。
 喘息、気管支炎などの他、集中力の欠如、頭がスッキリしない、思考が働かないなどの脳の酸欠状態の原因として、口呼吸、鼻腔の乾燥やつまり、副鼻腔のつまりや炎症は十分に考えられることです。

鼻が下がってしまう=鼻骨の下がり
 鼻骨は鼻の一番上、額との境のすぐ下にある骨ですが、それを手で軽くつまんで額の方へ押し上げてみてください。鼻の奥(鼻腔)が広がった感じがしたり呼吸がしやすくなるのであれば、あなたの鼻は下がっているということです。
 反対に鼻骨を口の方に下げますと鼻づまりに近い感じで息が入りにくくなると思います。つまり鼻骨がさがると鼻呼吸では間に合わなくなってしまうので、知らず知らずのうちに口呼吸をしてしまう可能性が高まります。スポーツ選手など常に大量の酸素を消費している人たちは鼻呼吸では間に合わないので、口呼吸の人が多いです。口呼吸の人の特徴として上唇が上を向いていて上の歯が見えやすいことがあります。

 鼻骨が下がってしまう原因として考えられることはいくつかあります。
①加齢
②頭蓋骨の歪み
③眼鏡の重み
④お腹の冷え
⑤胸の状態(季節やストレスなど)

①加齢とともに頬がたるみやすくなるのは避けられないことかもしれません。筋力や関節線維の力が衰えてくるので、頬にかぎらず顔全体が下がりやすくなってしまいます。加齢とともに少しずつ顔が変化していくのは自然の流れとも言えます。しかし鼻呼吸のことを考えますと鼻骨の下がりは改善いたいものです。
②前にも記しましたが、鼻骨は後頭骨と深い関係にあって後頭骨が上がりますと鼻骨が下がります。後頭骨が上がってしまうもっとも多い原因は背筋のゆるみです。猫背などで背中を丸める悪い姿勢は背筋をゆるませますので、お尻が下がり後頭部が上にずれてしまいます。
 また、鼻骨は前頭骨と上顎骨に関節していますので、額(前頭骨)や上顎が歪みますとどちらかの鼻骨が下がってしまう可能性が高まります。
③今はかなり軽い眼鏡が普及していますが、それでも重さはあります。ですから長い時間眼鏡をかけ続けている人はどうしても鼻骨が下がってしまいます。しかし対処法はあります。
④腹筋がこわばると肋骨を下に引っ張ります。すると頸の前面、下顎、頬、目なども同様に下に引っ張られますので当然鼻骨も下がってしまいます。
 腹筋がこわばる理由はいくつもありますが、お腹の冷えもその一つです。その他免疫力のことも考えますと、お腹の冷えには十分注意していただきたいと思います。
⑤胸の中心にある胸骨の内側には免疫系の要として研究されつつある胸腺があります。胸腺の重要性はこれからもっともっと言われるようになると思います。
 胸はからだ全体のセンサー的な役割を果たしているようで、しょっちゅう変化しています。ストレスを感じるとすぐに胸を閉ざすように肋骨や胸骨が動きますし、喜ばしくワクワクするようなことがありますと大きく開いて開放的になったりします。そして季節的な影響も受けるようで、この時期は胸骨が凹み気味になる時間が増えるように感じます。鼻骨と胸骨(あるいは胸腺?)の関連性の理屈についてはわかりませんが、胸骨の状態によって鼻骨が上がったり下がったりする現実があります。

頬骨・前頭骨と副鼻腔
 鼻腔を通過した吸気は次に副鼻腔に入りますが、副鼻腔は前頭洞、篩骨洞、蝶形骨洞、上顎洞という名前のとおり骨の中に空いた“洞穴”です。副鼻腔炎はこれらの洞穴の内面(薄い粘膜)が炎症を起こして空気の通りが悪くなった状態です。そして新鮮な空気が通らない状態が続きますと、川の水が流れず澱んで汚くなるのと同様、汚れた粘液が溜まった状態になり不潔になります。この状態が慢性化しますと蓄膿症と呼ばれる病気になってしまいます。
 さて、副鼻腔の通りと頭蓋骨の歪み、表情筋などのこわばりとの関係について考えてみます。
 息を鼻から吸い上げて額の内部に通すイメージで呼吸をしてみてください。鼻腔で取り込んだ空気が前頭骨(額)にある前頭洞に入っていくかどうかがわかります。空気が入っていくのであれば額がひんやりしたり、あるいは何かが通っている感じがすると思います。前頭骨と鼻骨は関節していますので、頭蓋骨が歪んでいたり鼻が下がっていますと前頭洞に空気を通すことが難しくなります。
 同様に目の下の骨(頬骨)の奥には上顎洞、篩骨洞、蝶形骨洞がありますが、鼻から息を吸ってそこに空気を通すことはできますでしょうか。空気がしっかり通るようであれば、同じくひんやりしたり、電気的な何かを感じられると思います。次に、両手を頬骨(目の下の出っ張り)の内側にあてて強めの力で外側に広げるようにして息を吸ってみてください。この時、息が吸いやすくなったり副鼻腔にたくさん空気が通るように感じるのであれば、頬骨の間が狭くなっているために副鼻腔に空気が通りにくい状態になっているということです。
 息を吸ったときに額(前頭洞)にも頬骨の深部にも空気が入って顔面が広がるように感じられる状態になっていることが理想的ですが、どちらかでも空気を通すことができるのであれば、まずまずの状態だといえます。

鼻骨と頬骨を操作

 前頭洞に空気を通すためには、頭蓋骨の歪みをなくす必要があります。勉強や考え事をたくさんする人は前頭葉をフル回転させてたくさんの思考イメージをつくらなければなりません。ですから前頭洞に空気がたくさん通るように頭蓋骨を調整した方が良いと思います。
 頬骨の深部の副鼻腔に空気を通すためには、狭くなっている左右の頬骨間を広げることが一丸簡単な方法です。現代の私たちの暮らしはパソコンやスマホ、書類、家事・台所仕事などなど下を向く機会が上を向いたり遠くを見たりする機会よりはるかに多いです。ですから、目の下の筋肉が非常にこわばっています。また一点を集中して見たり、会話をして口をたくさん動かしたりすることによって鼻の周りの筋肉がたくさん使われこわばってしまうために顔のパーツが中央に寄ってしまいます。5歳の子供と、20歳の人と、50歳の人では、顔の筋肉のバランスがかなり違っています。50歳の人は鼻を中心に顔の中心部の筋肉はカチカチになっているのに対して、顎下ラインや頬の筋肉はたるんでいることがほとんどです。ですから鼻から頬骨にかけてのこわばっている筋肉を持続的な指圧でゆるめ、鼻の周りを広々とさせる必要があります。これだけも頬骨間は広がり副鼻腔に空気が通りやすくなると思います。

免疫力は消化力とも考えられる
 最初の話に戻って“アーマ(未消化物)がからだに蓄積すると病気になってしまう”という考え方に立ちますと、病気に対抗する力、病気にならない力、つまり抵抗力や免疫力はアーマを体内に溜め込まないようにすることと同じ意味になります。
 “消化”といいますと、食べたものを胃で消化して、さらに十二指腸で消化して‥‥というのが連想されると思いまが、もっと細かいレベル、細胞のレベルで考えますと、からだに有害な物質が侵入したとしても、それらを細胞の働きで無害な物質に変換することができれば問題ないことになります。そしてこれは毎日、毎時間、刻々と私たちのからだが自動的に行っていることです。白血球、リンパ球、食細胞‥‥という免疫系の用語はこのことを表しています。
 鼻呼吸によって様々なバイ菌類が鼻腔に侵入したとします。鼻腔や副鼻腔の粘膜はそれらバイ菌類を線毛や粘液でキャッチします。その後、鼻汁としてからだの外に出してしまうか、食細胞のようなリンパ系の細胞がやってきて有毒物を食べてしまい無毒化します。つまり細胞が有毒物を食べて消化が行われたということです。副鼻腔で処理できなければその先の咽頭にあるリンパ節の輪が捉えて、有毒物を消化して無毒化します。
 免疫力(抵抗力)はアレルギー疾患対策のキーワードであり、その他の病気でも、病を改善して健康を維持するためのキーワードです。ところが専門書には難しいことがたくさん書いてあって解りにくいですし、実際のところまだ確かなことは解明されていないようです。

 免疫力の専門的なことは学者や研究者など専門家に任せることにして、今私たちができることで免疫力を高めることを考えてみます。
 花粉症の場合、症状が出るのは主に鼻と眼ですから、鼻腔・副鼻腔と眼の粘膜を快適な状態にすることがまず大切です(口腔や耳の奥も粘膜ですから同様です)。それらの粘膜に花粉はキャッチされますが、それを無害化できないためにアレルギー反応がおこります。あるいは粘膜が機能できない状態にあるので花粉が体内に侵入してアレルギー反応をおこし、その結果が鼻や眼などの粘膜に現れるのかもしれません。いずれにしましても“穴の粘膜の状態”がポイントになります。
 粘膜ですから、
 ①湿っていないと駄目です。鼻孔の渇き、ドライアイ、唇や口腔の渇きなどは良くありません。
 ②適度な粘度が必要です。鼻水や涙で湿っていても、目薬や飲水などで湿らせても、それはちょっと違います。
 ドライアイは血液循環や外眼筋の状態がかなりの影響を与えると考えています。そういう意味でパソコン仕事の多い人、スマホやテレビの画面をたくさん見ていて眼をあまり動かさない人はドライアイになりやすいと思います。
 口腔内の湿り気は唾液の問題になりますが、緊張感の多い人、交感神経ばかり働かせている人、噛みしめる癖のある人、よく噛まない人などは口の中が乾きやすいと言えます。
 鼻腔・副鼻腔内の湿り気には“空気を通すことが必要”ではないかと私は考えています。鼻腔・副鼻腔には線毛と呼ばれる細かい毛があります。空気を通すことで線毛が運動する(揺れる)と電気的な刺激が生まれるはずです。その刺激が粘液の分泌に関係しているように思っています。

 アレルギー反応では粘膜が異物の侵入に対する最前線、つまり免疫力の最前線ですから、花粉に対処しなければならないこれからの時期、鼻腔と副鼻腔、口と唇、眼の粘膜をなるべく良い状態に保つことが花粉症を重症化させないための一つの手段だと思います。
 私自身、若い頃から花粉症でこれからの時期辛い思いをします。昔は飲み薬や点鼻薬、点眼薬に頼って対処していました。ところが薬を使うと渇いてしまい鼻血が出たり、眼を擦って結膜炎になったり、喉の渇きを感じましたので、この20年くらいはよほどでない限り薬は使わないようにしています。
 現在の薬は“渇き”をもたらさないようになっているのかもしれませんが、そうでないとしたら、一方(血液レベル)でアレルギー反応を軽減するようになっているとしても粘膜が渇いて機能が果たせない状態になってしまいますので、免疫という面では片手落ちであると言えます。渇きにくい薬を選んでいただきたいと思います。

整体で対応できること
 最初に、①花粉をからだに入れないようにする、②免疫系の力を増強する、③毒素を排泄する、の三つが花粉症対策として必要なことだと申しましたが、①はマスクをしたり、対策用眼鏡をしたり、鼻腔や眼を洗浄することなどが対処法ですので整体の領域ではありません。
 ②については、頭蓋骨の歪みや顔面の筋肉を整えて鼻腔・副鼻腔と眼と口を良い状態に保つという意味で整体が役に立つところです。とくに鼻骨を上げ、頬骨や周りの筋肉を整えて鼻腔・副鼻腔が力を十分に発揮できるようにするためには整体的な方法しかないように思います。
 そして③の毒素の排泄に関しても整体は役に立ちます。食べて、消化吸収栄養化して、排泄するのは自律神経の副交感神経系の仕事です。ですから非常に大雑把に言いますと、交感神経優位の人はこれらのことが苦手です。つまりいつもストレスでイライラしていたり、起こったり悲しんだり不安を感じたりして感情の起伏が激しい人は交感神経優位の状態であり、体内の毒素を排泄することが得意ではありません。
 排泄といいますと便や尿、その他に発汗や呼気が目に見える現象としてあります。しかし中医学的な見方、つまり“気”や“エネルギー”の観点を加えますと、“邪気”や不要エネルギーの排出というテーマが出てきます。これは言葉ではとても伝えづらいことですが、毎日いろいろな人のからだを見、触って、施術をしていますとなんとなく“気の巡り”みたいなものが感じられるようになってきます。慢性的な不調を抱えている人は気が抜けて出て行かず溜め込んでしまうばかりの状態になっていることがわかります。
 “ストレートに足裏から気が出ていくようにするためには、どこをどう整えれば良いか?”というのが施術の最終的な段階です。気が途中で何処かに停滞してしまったり、足裏から出ては行くけど途中でくねっていたりしますと真のリラックスは達成できません。
 花粉症で言いますと、眼や鼻や副鼻腔に邪気や不要なエネルギーが溜まっています。それを足裏から出ていくようにするためには呼吸を整え、からだの歪みや筋膜の捻れを整え、股関節や膝、足首など気やエネルギーの滞りやすい関節を整えるなどの作業が必要です。そこまでやらずに眼と鼻に直接関係するところだけ整えても排泄が上手くいかないので効果としては不十分になってしまいます。実際、このようにして足裏から出してしまえば鼻の状態、眼の状態がよくなることがほとんどです。
 万全の花粉症対策をしてもなお辛いと感じている人は整体的な方法も選択肢としてお考えいただければと思います。

 「肩の力を抜いて‥‥」とは、緊張をほどいてリラックスするためによく言ったり聞いたりする言葉です。しかし、どうしても肩の力を抜くことができないときや、肩の力を抜くと何の仕事もできなくなってしまう状態というものがあります。何かを指導する立場にある人は、このことを理解しないと善意で発した言葉が、聞く人にとってはとてもプレッシャーになって心を閉ざしてしまうことになるかもしれません。
 私の業界でも、施術者がお客さんに対して「体の力を抜いてください」と発することがあります。体に力が入っていると筋肉が硬くなってしまうのでマッサージしにくいからです。しかしそれは話が反対で、お客さんにしてみれば、体の力を抜いてリラックスすることができないのでマッサージを受けに来たわけです。このことを理解できない対応は適切であると言えません。

 さて、肩の力を抜くことができないということは、肩の力を抜くと体や精神を保つことができない状態にあると考えることができます。
 肩に力が入った状態を整体的に表現しますと、首の筋肉を収縮させて肩甲骨を持ち上げ、肋骨も持ち上げた状態です。これは呼吸で息を吸った時と同じ状態です。自律神経でいえば、交感神経が優位になった状態で、臨戦態勢であり、気持ちが高ぶった状態です。
 ですから常に肩に力が入っている人は、常に息を吸った状態にあると考えることができます。息を吐いたとしても、それは溜め息のようであり、苦しいから吐き出すのであって、息を吐き出す(呼気)ことを利用して副交感神経を働かせるまでには至りません。ですからリラックスすることができないと考えることもできます。

肩に力が入ったとき作動する筋(背面)

 こんな例があります。その方は長い間腰を患っていて、座ることもできず普通に立ち続けることもできません。何とか短い距離を歩くことができる程度です。足裏全体で立てないので、足の指先に力を入れて、足指で踏ん張るようにして立つことしかできません。その状態が長く続いていましたので、足の指先を曲げる筋肉(長母趾屈筋と長趾屈筋)がすっかりこわばってしまいました。その影響で腹筋の働きが悪くなり、体を普通に支えることができない状態になっています。そのため普通の人ならリラックスして自然に簡単にできる作業や動作ができないでいます。
 体はネットワークです。各筋肉、各器官が連携性をもって互いに補い合い機能を果たす仕組みにできています。この方の場合、ゆるんで働けなくなっている腹筋をなんとかしないと仰向けで寝ることすらできません。ですから無意識に首の筋肉を収縮させ、その連動性で無理やり腹筋を収縮させて、ようやく仰向けで寝ることができ、短い時間であれば立つことができ、歩くことができるようになっています。首の筋肉を収縮させていないと、これらのことができない状態なのです。寝ていても肩から力を抜くことができないのですが、それはこういう理由からです。
 また噛みしめの癖も持っていますが、噛みしめることによって何処かの筋肉を働かせ、それで体の機能を維持しています。これらのことは本人の意志とは関係なく、体が自己防衛手段として仕方なく勝手にやっていることと言えます。
 本来、肩に力を入れることも、噛みしめることも体の健康には良くないことです。マイナス面がたくさんあります。しかし、そのマイナス面を天秤にかけて差し引いても、現在の体の状況ではそうした方が体を維持できると体自身が判断して、無意識に行ってしまうのだと思われます。「ふと気づくと肩に力が入って息を吸った状態になっていた。」「ふと気づくと噛みしめていた。」そんな感じです。

 これから先、この方の“肩に力を入れてしまう”状態を改善するための施術に本格的に取り組みますが、立った時、足裏全体で体を支えられるような状態になるよう下半身の筋肉を整えることから始めます。それによって腹筋の働きが改善すれば首や肩の筋肉を収縮させなくても体を支えられるようになるからです。これまでは、すぐにギックリ腰になりやすい状態だった腰部や殿部の筋肉を整えることに集中していましたが、ようやく次の段階に進むことができるようになりました。

 全般的に言えば、吸気は交感神経を刺激し、呼気は副交感神経を刺激しますので、リラックスして日常生活を送るためには呼気を大切にしなければなりません。フーーっと息を吐きながら胸を降ろしていく動作が重要です。首や肩に力を入れる動作は息を吸う動作ですが、吸ってばかりいますとどんどん胸は上に上がってしまいます。するともうそれ以上吸えない状態になりますが、これが過呼吸状態であるとも言えます。
 ご自分の首が太く硬くなっていて、いつも肩に力が入っていると感じている人は過呼吸予備軍です。そのような人は意識的に、“吐いて、吐いて、吐いて”を繰り返し、胸が下がるようにしてみてください。そして、そのようにしてもなかなか肩の力を抜くことができないようであれば、体を整えることを考えてみてください。

 武芸をされている人はわかると思いますが、私たちの体は息を吸ったときにスキができます。息を吸っている瞬間は身動きのとれない無防備な状態になってしまうのです。ギックリ腰は重い物を持った時や無理な体勢で作業をした時ではなく、そのような動作を息を吸いながら、あるいは息を止めてやった時に起こしやすいのかもしれません。“作業は常に息を吐きながら”、そんなことを心がけてみてください。

 これまで幾人かアゴのエラをほっそりさせる目的でボトックス注射を利用している人が来店されました。額のシワをなくす目的で利用されている方も来店されました。
ボトックス注射は筋肉の働きを弱めて、筋線維を細くする効果があると説明されています。小顔目的ではエラにある咬筋に注射するようですが、それは一時的に美容目的はかなえられると思いますが、長期的には体へのマイナス面があるので、私としてはおすすめできません。

咬筋は全身の筋肉の働きに影響を及ぼす
 私たちは“火事場の馬鹿力”のような強い力を出そうとするとき、歯を強く食いしばりながら全身の筋肉を総動員しようとします。口を開いたまま全身の筋肉を働かすことはできません。
 歯を食いしばる筋肉を”そしゃく筋”と呼びますが、そしゃく筋は全身の筋肉の司令塔のような働きをしています。強い力を出そうとするときはまず、そしゃく筋を収縮させて目的の筋肉を働かすことができる仕組みに私たちの体はなっているということです。
 そしゃく筋がしっかりしていれば、全身の筋肉も概ねしっかりしていると考えることができます。そして経験的にもこれは真実であるといえます。そしてボトックス注射の対象となる咬筋はそしゃく筋の一つですから、こうして取り上げた次第です。

 「一口30回噛んで食べる」という死語になりつつある言葉は、そしゃく筋の大切さを物語っています。現在は柔らかい食べ物で溢れているため、子供達や若者達も含めて多くの人が十分な“そしゃく”をしなくなっています。そのことが、毎日体がだるかったり、姿勢が保てなかったり、活力に欠けた生活を送ってしまう原因の一つであると私は考えています。私は毎日何人かの人の顔や体を触っていますので、このことが身にしみて理解できます。

ボトックス注射による影響

 さて、アゴの咬筋にボトックス注射をしますと、その部分の筋線維は細くなり働きが悪くなります。つまりゆるみきった状態になってしまうということです。それでも私たちは毎日食事をしたり、会話をしたりするため口を閉じたり開けたりしなければなりません。咬筋がしっかりしていれば、何の苦労もない動作ですが、咬筋が働かないため別の筋肉の力を借りてこれらの動作をしなければならなくなります。口周りの表情筋や頬の筋肉が本来の役割以上に力を使うので、これらの筋肉がこわばり顔が硬くなってしまうかもしれません。また、咬筋と同じそしゃく筋の一つである側頭筋が咬筋の働き分まで負担することになるので、強くこわばってしまい、コメカミの頭痛や片頭痛を招く可能性は非常に高いと考えることができます。
 咬筋がしっかりしていれば全身の筋肉が持てる力を楽に発揮することができますので、普通に立ったり、姿勢を保ったりすることは特に苦を要することもありません。しかし筋肉の働きが悪いため、無意識に、常に咬筋に刺激を入れ続けようとして噛みしめる癖を持ってしまうことは十分に考えらることです。もちろん寝ている間の歯ぎしりの原因にもなります。
 ボトックスによってエラは細くなったけど、顎が開かなくなったり、顎関節症になったり、イビキをかくようになったり、歩き方に安定性がなくなったり、腰が常に重かったりする、といったことは関連性のあることとして考えることができます。それくらい咬筋=そしゃく筋は私たちの体にとって重要なものです。「噛めなくなったらおわり」などと昔の人はよく口にしていました。今となっては乱暴で不適切な言葉遣いかもしれませんが、当を得た表現であると思えてしまいます。

対処方法
 ボトックス注射の効果はかなり長続きするようです。数ヶ月で効果はなくなるという話を聞きますが、その間、細くなり弱くなってしまった筋線維はそう易々とは働きが戻りません。しかし、だからといって対処法がないわけではありません。
 対処法の一つは筋肉を鍛えることです。つまり、そしゃくの回数を増やして痩せてしまった筋線維鍛えて太く強くすることです。口を閉じてモグモグとしっかりかみ続けることです。ボトックスの影響はエラの角の部分が一番あるようですから、その部分に指をあて、モグモグしているときに”力こぶ”がその部分にできるように噛むことです。柔らかいガムやパンなどで、噛み方は柔らかく、しかし、しっかりと、という感じです。最後まで噛まないとエラの角の部分に力こぶはできません。また、口を開けてペチャペチャ噛んではいけません。そのような噛み方ですと力こぶが顎関節のそばにできてしまい目的が達成できません。
 対処法のもう一つは、エネルギーを与えることです。”エネルギーがそこから去って行くので、筋肉が衰える”という考え方をしますと、ボトックス注射は局所的にエネルギーを奪う注射であると考えることができます。
 エネルギーを与えるためにはどうすれば良いか? なかなか方法が思いつかないかもしれませんが、一番手っ取り早いのは手を当てることです。誤解を恐れずに言えば、いわゆる”ハンドパワー”です。細くて頼りなくなってしまったエラ部分の咬筋に、そっと指先をあて、ジワーッと想いを込め続けることです。皮膚の表面ではなく、そこから指先を沈めて筋肉に触ります。咬筋自体はエラの部分から顎関節の側までありますので、指先を深めに入れて下から上まで触っていくと、弱っている部分としっかりしている部分の触り分けができると思います。その弱っている部分にしばらく指先をあててください。指圧のように押してはいけません。またマッサージのように回しても行けないし、強弱をつけてもいけません。ただただジワーッと触り続けるだけです。しばらくすると、それまで弱々しかった部分に少し力感が出始め、ハリのようなしっかりした感じがでると思います。そうしましたら別の弱い部分を見つけて同じことを行います。面倒な根気と時間を要する作業です。しかし、咬筋の働きはそれほど大切なのです。
 実際、私は施術でこれと同じことをしています。何分も、時には何十分もただ触り続けるだけの施術をしたりします。

 以上が対処法です。しかし、ボトックスに対しては即効性は期待できません。一度良くなったと思っても、薬効のおかげで次の日はまた弱くなってしまいます。しかし根気よく続けていると、そのうち、急に筋肉の働きが甦り、それまでの頭痛や顎関節の異常や体のだるさなどが改善されていくようになると思います。

追記
 おでこのシワをなくす目的でボトックス注射を額にすると前頭筋の働きが弱まります。すると瞼を開けたり、口角を上げたりするのも本来以上の力を使うことになります。そのことによって次第に表情筋が硬くなっていき、表情をつくる動作がスムーズにできなくなっていく可能性も出てきます。
 ボトックス注射は“筋肉の働きを弱める”ということを頭に入れていただき、それが全身に及ぼす影響についてもよく考えていただきたいと思います。
 私たちの体はロボットのようにパーツを組み合わせてできているわけではありません。元々は受精卵というたった一つの細胞が発展して拡がっていき現在の体となっています。ですから、手も足も顔も上半身も全部関連し合っています。

 先日お客さんから素朴な疑問として「体の老廃物って何?」と聞かれました。“デトックス”という言葉も流行って、体内に溜まった老廃物を出すことによって健康になり、ダイエットになるというイメージを持っている人も多いと思います。ところで“体の老廃物”とは一体何でしょう?

 老廃物について、大辞林の説明は下記の通りです。
 「生体内で生成された代謝産物で生体にとって不必要となったもの。二酸化炭素・尿素・尿酸・クレアチニンなどの含窒素有機物,種々の有機酸・無機塩などで,呼気・尿・汗・糞便などに混じって排出される。」

 少し難しい言葉が並んでいますので、もう少しわかりやすくしてみたいと思います。
 “老廃物を流す”ことを語る上でのキーワードは“水”と“代謝”になろうかと思います。
 私たちは油分以外の汚れを流し去るために水道水を使いますが、水が汚れを落としてくれれることは誰にでも理解できるところです。私たちは口を通して水を飲み、汗や尿として排出しますが、それは体内の汚れを流し去るためだというのが主な理由です。ですから汗や尿の出が悪いときは、体内の汚れを外に出すことができないで不調になると考えることができます。

 “代謝”、“代謝産物”については、細胞の活動がイメージしやすい例えかもしれません。
 私たちの今の体の細胞は1年後にはすっかり入れ替わっていると言います(入れ替わりの周期は器官によって様々)。古い細胞が新しい細胞に入れ替わることを新陳代謝と呼びますが、その方法は自分自身の分身(コピー)を新たにつくり出す細胞分裂です。一つの細胞の中には細胞核があり、その中に遺伝子DNAがあります。細胞分裂のはじめ、DNAが自分とまったく同じDNAをもう一つつくります。それが二つの極に分かれますが、それにともない細胞が二つに分かれるという段階を経て細胞分裂が行われるのですが、その仕事が終わると古い方の細胞は自ら死んで新しい細胞のみその場に残していくという命を繋ぐという営みがなされています。この時、死骸となった古い細胞をつくっていた物質が老廃物となります。
 また細胞分裂だけでなく細胞は私たちの体の機能を維持するために様々な活動を行っています。例えば体の活動にとってホルモンはなくてはならないものですが、ストレスに対抗するために欠かすことのできないステロイドホルモンは副腎という器官でつくられます。血液(動脈血)の中には細胞の活動に必要なあらゆる物質が含まれていますが、副腎は脳からの指令(これもホルモンであり、血液中を流れてやって来る)に基づき、血中成分からステロイドホルモンを産生するのに必要な物質を取り入れ細胞内で化学反応を行います。この時、実際には細胞内の酵素がその作業を担当するのですが(代謝)、そこでも作業が終わった後にゴミがでます。日曜大工で材料を削った時に出てしまうゴミと同じようなもので、これも老廃物です。
 さらに細胞が活動するためにはエネルギーが必要ですが、そのエネルギーは呼吸によって取り入れた酸素を燃やす(酸化作用)ことによって得ます。酸素が燃焼した後には炭酸ガス(二酸化炭素)ができますが、それも細胞にとっては不要なゴミですので老廃物となります。
 ですから体の老廃物とは、①古くなった細胞の死骸、②細胞内の化学反応でできた不要物、③二酸化炭素の3つが主な物であると考えてよいと思います。

老廃物を排泄する経路
 動脈の毛細血管から細胞内に取り入れられた水と酸素と材料(栄養)は細胞内で様々に加工され、不要となった二酸化炭素を含めた老廃物(ゴミ)は細胞から出て静脈やリンパの流れに乗って一端心臓に戻ります。その後腎臓に送られ、何度も何度も濾過されます。その過程で再利用できる物質は肝臓に送られ再利用され、不要な物質は分別されて尿となり体外に放出されます。これが体内でできた老廃物(炭酸ガス以外)の排出主要経路ですが、その他には糞便排泄や発汗があります。
 糞便は食物繊維など摂取した食物の中で(小腸で)吸収されなかったカスや、大腸内のビフィズス菌などの微生物・細菌類や、腸管から垢となって剥離した細胞の死骸が主な構成物です。
 発汗は、そのほとんどが水と塩ですが、尿と同じ成分も微量含まれています。ただ腋窩や会陰にあるアポクリン腺からは臭いも出ますので、その他の物質も含まれていると思われます。

老廃物の停滞
 ところで体の老廃物が順調に循環し、排出されていれば問題ないのですが、時に体内に停滞してしまう場合があります。肩こりでパンパンに硬くなってしまうのはその典型的な例ですが、筋肉を使い続けると乳酸がたくさんできて停滞し、ふくらはぎや腕などが硬くなり張ってしまうこともあり余す。
 老廃物は静脈やリンパに乗って循環しますので、老廃物が停滞しているということは静脈やリンパの流れが滞っているということです。ですからそのような場合はリンパマッサージや肩こりマッサージなどが有効ですが、マッサージをしてもすぐにまたパンパンになってしまうようであれば、静脈の流れを整える必要があると考えられます。 

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