ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

カテゴリ: 内臓の働き

 手先を動かしたり、からだを捻ったり、私たちの意志の力で筋肉を働かせる神経を随意神経と呼びます。反対に私たちの意志がほとんど通じない、例えば血圧をコントロールしたり、食物を消化・栄養・吸収したり、汗をかいて体温調整したりしている、からだの生理活動を自動的に行っている神経を自律神経と呼んでいます。
 自律神経は内臓を働かせる神経ですから、自律神経のバランスが乱れた状態が続きますと私たちは病気になります。そして病気になった時に処方される薬は、自律神経に働きかけて血圧を下げたり、血管を拡張したり、炎症を抑えたりしますので、「薬は自律神経を調整するためのもの」と言っても過言ではないと思います。
 私たちが普段口にしている食べ物(栄養)にもそういう側面がありますが、食べ物や薬以外では、呼吸が自律神経系をコントロールする窓口の一つです。
 自律神経は植物にもありますので別名、植物神経と呼び、随意神経は動物特有なので別名、動物神経と呼んだりすることがあります。

 さて、自律神経系は意志の力ではコントロールできませんので、実際のところ私たちは薬物を用いて調整しています。血圧をコントロールする薬は自律神経系をコントロールする薬です。血糖値やコレステロールをコントロールする薬は自律神経系をコントロールする薬です。
 ところで、これらの薬が存在していなかった時代、私たちの祖先は食物によって自律神経をコントロールしようとしていました。その名残は今でもたくさん残っていて、「ショウガは冷えに効く」とか「キュウリやトマトなど夏の野菜はからだの熱を冷ましてくれる」、「○○は血液をサラサラにする効果がある」などと、多くの人が食生活の中で実際に実践しています。また、さまざまにある呼吸法やヨガなどは、それぞれの表向きの目的もありますが、その根底には自律神経系のコントロールという目的が潜んでいます。からだをリラックスさせるのは自律神経の副交感神経系の働きですから、ゆったりとした深い呼吸が思いのままに実現できるようになるということは、いつでも自律神経をコントロールしてリラクゼーションを獲得することができるということに他なりません。
 その他、ペットと時を過ごすことによって「癒される」と感じるなら、それは自律神経のバランス回復にペットが役に立っているということです。海や山を眺めたり、波や水の音を聞いて癒されるなら、それも自律神経系が調整されているということです。

 これらのように自律神経系を調整する方法はいくつもありますが、「そんな気分になれない」と心理的に落ち込んでいる時や、もはや病気の域に突入していてペットや自然の力ではどうにもならないと感じている時は、今の時代、薬に頼ることになってしまうのでしょう。

片頭痛と自律神経の関係‥‥噛みしめと血管の収縮
 側頭部がズキンズキンと痛み出す耐えがたい片頭痛、頭部に“孫悟空の輪”が填められたかのように感じる慢性頭痛、これらは二つの側面から考える必要があります。

側頭筋と咬筋

 一つは筋肉の強い収縮によって頭が締めつけられている状態です。側頭部にはそしゃく筋である側頭筋がありますが、歯ぎしりや噛みしめの癖がありますと側頭筋が強く収縮した状態(筋肉のこわばり)になってしまいます。そのこわばりが頭部を締めつけますので頭痛をもたらします。
 もう一つは血管の収縮です。血管は自律神経の交感神経がコントロールしています。
 仮に、歯ぎしりや噛みしめを行う癖があったとします。その行為を行うためには側頭筋や咬筋への血流量を増やす必要があります。ところが側頭筋の血管がスムーズに拡張してくれなかった場合、心臓の働きで血液はどんどんやって来るのにホースである血管が拡がってくれないので内圧はどんどん高まってしまいます。この状態が長引きますとやがて血管は圧に耐えられなくなってしまうことでしょう。その反応が片頭痛であり、耐えがたい痛みをもたらすのかもしれません。
 あるいは、自律神経は正常に働いているのに“血液が流れにくい状態”になっているのかもしれません。筋肉には“収縮すると硬く太くなる”性質があります。側頭筋が強くこわばって筋線維が太くなりますと、筋肉内の血管を圧迫して血液が流れにくい状態になってしまいます。そこに心臓のポンプ力で血液がどんどんやってきますと、“狭い穴を無理やりこじ開けて通過する”ような状態になります。心臓の拍動に合わせて“ズキン、ズキン”と痛むような片頭痛は、このような状態なのかもしれません。

 この場合の対処しましては、まず噛みしめ状態を解除して側頭筋の収縮を弱めることから始めます。その上で、自律神経系をコントロールして血管の状態が整うようにするのがよいと思います。私のやり方としては、そしゃく筋をゆるめたり、手や足の指先を揉みほぐすことから施術を始めます。そして次に呼吸が整うようにからだ全体を調整していきます。

少商・母指先への施術

 以前に「本人の自覚に関係なく噛みしめ状態が存在する」ということを記しました。そしてそれは手の親指の先の部分(写真)のこわばりと深い関係があります。この部分が強くこわばって非常に硬くなっている人がいますが、そのような人はそしゃく筋が自動的にこわばっています。ですから、この手先のこわばりをほぐすことによってそしゃく筋のこわばりも弱まりますし、顎もゆるむようになります。それは片頭痛をもたらしている側頭筋もゆるむということでもあります。

老廃物や邪気が溜まりやすい部分・井穴

 そして、自律神経の働きを調整する意味で、手指の第一関節より先、爪との間を中心に指先の甲側をよく揉みほぐします。皆さんもやっていただくとわかると思いますが、揉みほぐしの最初のうちは痛みを感じることはありませんが、次第に痛みを感じるようになり、指によってはかなり痛く感じるようになるかもしれません。(非科学的な表現と受け取られるかもしれませんが、)この部分には老廃物やあるいは邪気が溜まりやすく、それが自律神経の乱れに関係している可能性がある私は思っています。指によっては爪と第一関節の間がプクッと膨らんでいるかもしれませんが、それは不必要な“老廃物(や未消化物)の溜まり”である可能性が高いと考えています。
 この指先の部分は東洋医学では井穴(セイケツ)とよばれるツボ(経穴)を含んでいますが、井穴は体内の気と外気の気とのやりとりをする部分であると考えられています。仮に井穴での通りが滞っていますと、体内の邪気や使い古された気を外に出して、自然界からの新鮮な気を取り入れることが不十分になってしまいますので、からだのバランスが乱れてしまうということになります。
 井穴については、もっともっと情報を集めて研究しなければならないと思っていますが、実際、指先への施術は有効です。

 さらに「頭が詰まったように感じる」タイプの頭痛もありますが、多くの場合、それは頭部の血液が心臓へ戻りにくい状態になっていることが原因だと思います。結果として頭に血がたくさん溜まった状態になってしまい、その圧迫によって頭が詰まったように感じているのだと思います。

外頚静脈と鎖骨下静脈の停滞

 このような場合、注目すべきは鎖骨下静脈の流れです。鎖骨下静脈は鎖骨と第1肋骨(一番上の肋骨)の間の狭い隙間を通っていますので、鎖骨が埋もれているような人をはじめ、鎖骨と第1肋骨の関係が歪んでいる人は流れの悪い状態になっています。鎖骨下静脈の流れが停滞しますと脳から心臓に戻る道筋の一つ(外頚静脈)が停滞しますので、「頭が重くスッキリしない」状態を招いてしまうのではないかと思います。
 埋もれた鎖骨を前に出すことによって鎖骨下静脈の流れを改善しようとした時、先ほどの手の親指の先を伸ばすことは有効です。
 親指先のこの部分は東洋医学では“少商”という肺経の井穴の部分になりますが、深部が硬くなっている人が多く、(自動的な)噛みしめ状態や鎖骨の後退をもたらしています。
 かなり痛みを感じますが、深いところにあるコリッと硬くなっている部分をほぐすことによって噛みしめ状態が改善し、鎖骨が前にでてきます。それによって“カカト重心”が改善し、鎖骨下静脈の流れも良くなりますので“頭がスッキリ”したり、自律神経のバランスにも影響して“片頭痛が楽になる”という複合的な効果を期待することができます。

呼吸と手指の先端(井穴)との関係
 呼吸の状態が悪いと首肩に力が入り、からだはなかなかリラックスできないということは以前に記しました。ここで言う“呼吸の状態が悪い”状態は、横隔膜をゆっくりゆるめながら息を吐き出すことができない状態、と受け取っていただいてもよいと思います。普通の人は、普段の呼吸が胸式で浅かったとしても「腹筋をじっくり使いながら、吐いたところから更に吐き出す感じで最後まで息を吐ききってください。」とやってもらいますと、大概できます。しかし、呼吸の悪い人はこれができません。「フッ」と短い時間で息を吐き出すことはできても「フーーーッ」と長い時間を掛けて吐き出すことができないのです。「横隔膜をゆるめるイメージで腹筋をじっくり使って吐いてみてください」とやっていただくのですが、全然できない人がいます。しかし、このような人でも声を長く発し続けることはできたりします。長い時間にわたって「フウゥゥー」と声を出し続けることができるということは横隔膜がゆるみながら腹筋が使われているということですので、呼気(息を吐く)の動作がちゃんとできている状態です。しかし、声を出さないとそれができません。声を出すとできるのに、声を出さないとできない、というのはちょっと不思議に感じますが、現実としてそういうことがあります。
 ところがこのような人に対して、両手の指先、さらに両足の指先を揉みほぐす施術を行いますと、自然と呼気ができる状態になることがあります。ベッドに仰向けになっていただきながら施術をし始めるのですが、最初のうちはほとんどお腹の部分に動き(腹式呼吸による腹筋の運動)が見られなかったものが、施術が進んでいきますといつの間にか腹式呼吸をし始め、息を吐いている時間が次第に長くなったりします。指先への施術は痛みを伴うのですが、からだはリラックスした状態になっていくのです。それは、指先への施術によって自律神経の状態が調整されているからだと私は考えています。

井穴(セイケツ)は自律神経系を整えるツボ?
 東洋医学の世界では自律神経系を整えるためのツボとして井穴を捉えているようです。特に薬指の井穴に注目している治療家も多いようですが、薬指は別の面で私も注目しています。
 私の臨床経験では「井穴は自律神経を整えるための効果的なツボである」ということに完全に同意できる段階ではまだありません。しかし、井穴あるいは指先の状態が間違いなくからだに影響を及ぼしていることは知っています。
 「邪気や老廃物(未消化物)が溜まって腕が重たい」という表現を現代医学ではどう捉えるのか知りませんが、現実としてそういうことはあります。そんなときに、膨らんでいる爪と第一関節の間を中心に指先を(かなりの痛みをこらえながら)揉みほぐしますと、腕がスッキリして軽くなります。鎖骨が埋もれていてカカト重心の時に、あるいは本人の意志に関係なく噛みしめている状態(咬筋が収縮している)の時に親指の先を揉みほぐしますと鎖骨が前に出てきて、噛みしめ状態が緩和されます。カカト重心が改善し、血流も良くなり、頭がスッキリして顔から力が抜け、真にリラックスできる状態になります。
 私は毎日、湯船の中で両手の指先を揉みほぐしていますが、皆さんにも是非やっていただきたいと思っています。それだけで10分近く湯船の中にいるようになりますが、今の時期はからだが芯から温まります。
 揉み始めは痛みを感じません。しかし表層が柔らかくなり、揉んでいる指先が奥の方に届くようになりますと次第に痛みを感じ出します。ある指はものすごく痛くなるかもしれません。しかし許せる範囲で痛みをこらえながら揉み続けてください。一つの指は少なくとも30秒は揉んでください。さらっと揉んだだけでは効果は期待できません。

 病気から縁遠くなり、健康的なからだを維持するためには自律神経の働きがとても重要だと私は考えています。栄養について考えたり、薬やサプリメントを摂取したり、ウォーキングをしたりする目的の半分以上は、実は自律神経を整えるためだと思っています。
 植物は人工的な操作をしない限り、ほぼ100%、自然界のリズムに従って生きています。 自律神経は植物神経と呼ばれることもありますが、それは本来、宇宙や自然界のリズムと完全に調和した存在であるという意味です。
 自律神経失調=自律神経がバランスを失っているということは、からだのリズムが自然界のリズムと調和していない状態であるということです。自然の風景を眺めたり、風に触れ、波や水の流れる音に接することが自律神経を整える上で役に立つのは、それらの行為によってからだのリズムが自然界のリズムに同調して修正されるからだと思います。そして自己努力で自律神経を整えようと考えるのでしたら、規則正しい生活習慣を築き、呼吸を見直し、日々のケアとして手や足の指先をマッサージしていただきたいと、そう思います。

 大脳がとても発達した私たち人間は、自律神経が担当する領域を脅かすほどに随意神経系、つまり意志や思考や感情の力の方が強くなっています。怒りや不安や心配事に頭が支配されますと、それまで正常だった血圧は一瞬にして異常な状態になってしまったりします。
 精神的に不安定な状態では、ゆったりした呼吸は実現できませんし、指先を揉みほぐしてもたいして効果は期待できません。ですから「自律神経を整えよう!」と実践する時には頭の中(随意神経系)を静かな状態にした上で、呼吸やマッサージを行ってください。これは大事なポイントだと思います。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ http://yumetowa.com

 あるところから寄稿の依頼を受けました。
 これからの季節、女性にとって気になるダイエットと日焼けトラブルについて、日常生活でできるケアについて書いて欲しいとのことでした。以下がその原稿ですが、参考になればと思いブログに投稿します。

 ダイエットや日焼けによるトラブルを考える時、“新陳代謝”と“細胞の修復”というキーワードが登場します。新陳代謝は古い細胞が新しい細胞に入れ替わる変わることですが、それによって若々しいからだを保つことができます。単に体重を落とすとか、痩せるということではなく、健康的なダイエットを目指すなら活発な新陳代謝を維持することが必要になります。細胞が古いままでは脂肪を燃焼させる力も弱いですから体脂肪を落とすことが難しくなります。
 また紫外線は皮膚のメラニンを黒色に変化させますが、それは表皮で起こります。表皮は28日周期で入れ替わります(ターンオーバー)ので、理屈の上では日焼けしたとしても28日後には元の皮膚に戻るということになります。しかし実際は表皮のターンオーバーができない部分が皮膚に残るため“日焼け後のシミ”が所々にできてしまい、女性を悩ますことになります。
 紫外線はメラニンを黒色に変化させるだけでなく、細胞そのものを傷つけます。表皮やその下の真皮細胞が傷つきますと、その部分のターンオーバー機能は失われてしまいます。ですから傷ついた細胞を修復されなければなりません。そして、新陳代謝と細胞の修復を順調に機能させるためには、肝臓、核酸、タンパク質、血液循環というキーワードが現れます。
 新陳代謝は古い細胞が新しい細胞に入れ替わることですが、それは細胞分裂という方法によって行われます。細胞は自身の寿命が訪れますと自分と全く同じ情報を持った細胞、つまり自分自身のコピー(分身)を作ります。一時的に自分自身が二つになるわけですが、その後自分自身は死んで新しい細胞をその場に残します。これを生涯繰り返しているわけですが、この時に必要な物質が核酸でありタンパク質です。

 ところで、私たちが食べる食べ物は消化器官を通過したながら分解されて、小腸で吸収されて血液の中に栄養物質として入ります。その後その栄養豊かな血液は肝臓にそのまま送られ、肝臓でからだの細胞が必要とする様々な物質に合成されます。肝臓はからだの中の「化学工場」に喩えられますが、そこでは分解、合成、解毒など、様々な処理が行われています。新陳代謝に必要な核酸やタンパク質は肝臓で合成されますし、細胞の修復に必要なタンパク質も肝臓で作られます。またアルコールや有害物を解毒して血液を無害の状態に保つのもの肝臓の働きです。ですから健康で若々しいからだを維持するためには、肝臓を万全の状態に保つ必要があるということになります。
 たとえばアルコールを飲み過ぎて、肝臓が解毒作業ばかりに力を取られるようになりますと、新陳代謝や細胞の修復に必要な物質を合成する能力が低下してしまうと考えられますので、皮膚は荒れたままになったり、ダイエット食品をたくさん摂ったところで何の効果も現れないという結果を招いてしまいます。新陳代謝も鈍くなりますので若々しさが失われ老化が進んでしまいます。
 そして肝臓の働きを弱める要素はアルコールだけではありません。毎日飲み続けている合成薬や摂り続けているサプリメントが肝臓の働きを弱めているかもしれません。また、東洋医学では肝臓と目は関連性が深いと考えられていますが、眼精疲労は肝臓の疲労に直結しているかもしれません。さらにある種の感情(怒り)は肝臓の働きを弱めてしまうと考えられています。
五行色体表

 スマホ、パソコン、テレビなど、私たちが毎日多くの時間接しているものは目に疲労をもたらすものばかりです。同じ場所をずっと見続けることは目を動かす筋肉や焦点を調整する筋肉を硬直させます。ですから、画面に集中しすぎないように、しょっちゅう目を左右上下に動かしたり、遠くを見たりして目に関係する筋肉が偏らないようにしていただきたいと思います。さらに一日の終わりには、コメカミを強めの力で持続的に指圧したり、目のすぐ下、でっぱっている頬骨の下際の硬くなった筋肉を指圧してゆるめていただきたいと思います。また目を動かす筋肉をストレッチする意味で非常にゆっくりと大きく、瞳で八の字を描くような“目の運動”をしてケアしていただきたいと思います。筋肉が硬くなっていますとストレッチ運動を始めた最初のうちは少し痛みを感じるかもしれませんが、時間とともに筋肉がゆるみだし心地よさがやってくると思います。そこまでやってください。
 
目のストレッチ

 新陳代謝と細胞の修復のために肝臓でつくられたタンパク質やアミノ酸など、即戦力としての物質は心臓に戻り、酸素を含んだ血液(動脈血)となって全身を巡り目的の細胞に届けられるわけですが、血液循環が悪いとからだの隅々まで到達することができなくなってしまいます。動脈血は心臓(ポンプ力)と血管の働き(搏動)で全身を巡るわけですが、末端の毛細血管まではその力は及びません。
 実際に細胞が血液から必要な物質を受け取るのは毛細血管からになるわけですが、ここでの循環で重要になってくるのは静脈の流れです。新陳代謝を終えて死んだ細胞や二酸化炭素や老廃物は静脈やリンパの流れによってその場から去って行くのですが、静脈もリンパも自身の力で流れることはできません。周りの筋肉の働きによってゆっくりと流れていきます。ですから筋肉の働きが悪いと流れが停滞してしまいます。これがデスクワークや立ち仕事の多い人が夕方になると膝下のむくみが悪化する主な原因です。時々歩くなどして足やふくらはぎの筋肉を動かすことが静脈とリンパの流れにとって重要な理由です。
 細胞レベルでの循環は“動脈血が入り静脈血が出て行く”ことに他なりませんが、静脈血がそこから去って行かなければ動脈血が入っていく余地ができません。有酸素運動やいろいろな体操をして筋肉を鍛え、心肺機能を高めて動脈の働きが良くなるようにしてみたところで静脈が停滞してしまっていては努力が無駄になってしまいます。ですから全身の血液循環を考えるときには多くの場合、静脈とリンパの流れを改善することを優先させて対処する方が効率的です。私は血液循環を整えようとするときには、まず静脈の流れを整える作業からはじめます。その上で不十分であれば、心臓の働きを考えながら胸郭を整えたりして、動脈系の循環に対応するようにしていますが、多くの場合、静脈系を整えるだけで事足りてしまいます。

 静脈とリンパの流れを良くするために整えるポイントはいくつかありますが、普通の人が日常の生活で行うセルフケアとしてやっていただきたいのは、足と手の指の間をマッサージしてゆるめることです。手も足も表に出ている指は骨格としての指の一部ですが、マッサージしていただきたい筋肉は手の中や足の中にあります。パソコンでキーボードをたくさん使っている人は、手のこの筋肉(骨間筋)がとても硬くなっています。一日中立っているような人や歩き方の悪い人は足の骨間筋が非常に硬くなっています。
 手のひらを上に向けて手を大きくストレッチするように広げていますと手の骨間筋が引き伸ばされ、やがてジワーッとしだし気持ちよい開放感が感じられるようになります。30秒くらい続けていますと足の指がムズムズしだし、からだの血液が回り出すのが感じられるようになると思います。
 
足の骨間筋ストレッチ

 足の中にある足の指を一つずつ掴んで広げていますと足がジワーッとしてきませんでしょうか。特に足の親指と人差し指(2趾)の間と小指と薬指(4趾)の間を念入りにやっていただきたいと思います。
 このようなことでからだの血液循環は良くなります。それは検査の数値とかではなく、体感として感じられると思います。

 冒頭に申し上げましたとおり、活発な新陳代謝と細胞の修復のためには肝臓の働きと血液循環と食物としてはタンパク質と核酸が必要です。サプリメントを利用すると考えるなら、是非核酸を摂っていただきたいと思います。また大豆をはじめ良質なタンパク質を摂取することが良いと思いますし、白子など高核酸食を積極的に摂取するのも良いと思います。そして肝臓の健康を維持する意味で、アルコールや薬を飲み過ぎないようにすること、目の疲れを蓄積しないこと、ストレスを溜め込んで感情の起伏が大きくならないようにすることなどに注意していただきたいと思います。さらに全身の血液循環を順調に行うためにセルフケアとして手と足へのマッサージや指圧をおすすめします。

以下は、以前に中国の伝統中医学の先生に教えていただいたことです。「寒性・熱性」という言葉が出てきますが、それは体質をあらわしています。

【目は肝臓の窓】
 中国の諺に「目から心を洞察する」があります。
 黄帝内経にも「五臓六腑の精気はすべて目に注がれ、目の精となる」という言葉があります。漢方においては、これらの考え方からもわかる通り、目の観察はとても重要であります。
 まず目の結膜部。我々は暑い部屋の中に長くいると目が赤くなります。なぜならば身体が外からの熱によって「受熱」した状態になったからです。逆に云うならば、目の結膜部が赤いということは熱の体質であるということになります。
 また、直接熱を受ける「受熱」ばかりでなく、例えば夜勤・疲労・情緒の波動などによって目が赤くなることがあります。これらも熱の体質と考えなければなりません。
 以上の反対、結膜部が清く澄み切っている状態は寒の体質と考えられます。臨床においては熱性の目より寒性を判断することは難しく、かなりの経験を要します。
 以上のようなことから、熱性の場合は「目赤(モクセキ)」、寒性の場合は「目白(モクハク)」と云いますが、ここでいう目とは、目の全体ではなく結膜部のことです。
 例えば「目赤」の場合、熱性の生薬や食物を即時に止めなければなりません。また、仕事の疲労や徹夜のために目が赤くなったのならば注意を要します。それは内臓から訴えられた赤信号とも考えられるからです。もしもそれを無視して続けているならば、身体に何かが起こる危険性は十分にあることでしょう。
 飲酒についても当然考えなければなりません。酒は大熱という性質です。つまり、飲酒には身体を温めたり熱くしたりする効能があります。しかし、飲酒によって目が赤くなるということに関しては、それほど恐れることではありませんが、通常の場合、翌日ないしは2・3日で赤みが取れなければなりません。もしその赤みが消えないならば飲酒を中止してください。なぜならば体内にその熱が蓄積されているからです。そうしなければ目の問題だけではなく、肝臓が侵されることになります。
 「目は肝臓の窓」です。「目赤」という信号は無視してはなりません。

 また、「目の色」以外、目の分泌物も寒熱を探知する情報のひとつです。例えば、朝起きた時きに目が乾燥していて開けようと思ってもなかなか開けられなく、ネバネバした粘液ができた経験は多くの人がもっているでしょう。これは熱の症候です。この場合は寒性である緑茶やウーロン茶を飲んだりして、その熱を抑えなければなりません。漢方療法で行われることに、緑茶や菊花茶の汁で目を洗うことがあります。
 これらの反対に、何のきっかけもなくして涙を流すならば、それは寒性として考えることになります。

 「朝、目が覚めたとき、からだがべとーっと布団にへばりついているようで、なかなか起き上がることができない。」「朝、目が覚めたときが一日の中で一番疲れを感じ、起き上がってから1~2時間しないとからだの重みが取れない」というような症状をお持ちの方が時々来店されます。
 「その原因は何?」と問われたときに、私は応えに躊躇するときがあります。冷えや寝ている間の血行不良が原因であると考えられるのですが、「冷えや血行不良だと思います。」という応えがあまりにも一般論的で空々しく思えてしまうからです。テレビやインターネットには情報が溢れていますので、皆さんは実際は知識をお持ちだと思います。それを私を通して再確認したいのかもしれません。しかし、一般的な情報はどこか肝心なところが抜けているように思えてなりませんので、なんとなく躊躇してしまいます。
 「冷えが原因」と応えれば「腹巻きをすればいいのか?」などという言葉が返ってきたり、「血行不良が原因」と応えれば「運動すればいいのか?」などという言葉が返ってきます。もちろん、それらのことをしていただければ症状は多少なりとも緩和するでしょう。しかし、ほとんどの場合、決定的な解決策にはなりません。
 とは言え、根本的な原因として考えられるのはやはり“寝ている間の血行不良”です。

 さて、寝ている間の血行、つまり夜中の血液循環について考えるとき、キーワードとなるのは“内臓の働きと副交感神経”です。(正確ではありませんが)非常に大雑把に申しますと、昼間私たちが行動している時には交感神経が優位で、心臓が活発に働き、血管は締まっています。そして血液は脳と筋肉(骨格筋)に集まり大量の酸素を消費します。反対に夜中寝ている間は副交感神経が優位になって血管や筋肉はゆるみ、血液は脳ではなく内臓に集まり、その日食べたものを吸収して栄養化し、肝臓でさまざまに処理されます。つまり夜中は小腸と肝臓が活躍する時間帯です。
 昼間血液が脳や骨格筋に集まるのは酸素を燃焼して細胞を活動させるためのエネルギーを得ることが主目的ですが、夜中に小腸や肝臓に血液が集まるのは、血液の中に含まれている有効成分(=栄養)を得て、次の日にからだがフレッシュな状態で活動できるように細胞を修復し新陳代謝を行うためです。これも大雑把ですが、そう考えても良いと思います。
 ですから、朝フレッシュな気分で爽快に目覚めたいのであれば、夜中に血液が小腸や肝臓に集まり、さらに小腸や肝臓が大いに活躍できる状態が必要です。そこで出てくるのが自律神経の問題です。胃や十二指腸、小腸、大腸、肝臓、膵臓、腎臓といった内臓は副交感神経の働きによって機能します。心臓は見方を変えれば血管が膨らんでポンプの働きをするものになったと考えることもできますが、血管の働きを支配する神経と同じ交感神経によって機能しています。
 ですから、寝ている間に小腸や肝臓の活動を高めたいと考えるなら、寝ている間は副交感神経が優位に働いている状態になっていなければなりません。眠りが浅く、寝ている間も脳が活動しつづけているような状態は交感神経が働いているということですから内臓の働きは弱まります。一般に言われる「ストレスで自律神経失調状態になる」状況の一つです。

食物の消化吸収と血液循環の流れ

 また、内臓が十分に働ける状態になるためには“熱”が必要です。
 私たちが食べたものは胃で消化され、十二指腸で更に消化され分解されて小腸に送られます。そして小腸で栄養が吸収されて血液の中に入ります。その栄養豊かな血液は肝臓に真っ直ぐ送られ、肝臓で解毒され、からだを健康に維持するために必要な物質(ペプチド、タンパク質など)に合成されます。つまり究極的には、食べた物質がからだを維持するために必要な物質に変換され場所は肝臓であると考えることができます。肝臓の入口から入る血液は栄養で満たされ、肝臓の出口から出る血液は即戦力に満たされた状態です。その後血液は心臓に戻り、肺に送られてガス交換がなされ酸素を含んだ新鮮な動脈血として全身の細胞に行き渡ることになります。
 (副交感神経にコントロールされている)内臓の働きの柱の一つは食べたものを消化・吸収・栄養化し、からだを維持するために必要な物質に変換することですが、その作業を実際に行っているのは各器官や細胞内にに存在している“酵素”です。“酵素入り洗剤”というCMで、どなたも“酵素”という名前はご存じだと思いますが、酵素は物質をまったく違った物質に換えてしまう職人であり、魔法使いのような存在です。赤ちゃんを産んだお母さんからは母乳がでますが、母乳の元は血液です。血液が乳腺を通過した瞬間、あっと言う間にそれは血液とはまったく違う白いミルクに変わるわけですが、その技を行っているのは酵素です。タンパク質をアミノ酸にまで分解したり、炭水化物をブドウ糖にまで分解するのは酵素の働きによるものです。そして肝臓や細胞内でアミノ酸をタンパク質に合成するのも酵素です。脳から分泌されてからだの各部分に働き促すホルモンも酵素の働きによってつくられます。ですから体内の酵素がしっかりと働いてくれることが、からだを健康に保つための秘訣になりますが、酵素は温度(体温)がないと十分に働くことができません。
 私たちの平熱は36~36.5℃かもしれませんが、お腹の中や脳内の温度は37℃に厳密に管理されているといいます。37℃が酵素の働きに最適だからです。このことを私たちはもっともっと重く受け止める必要があると思います。学校教育の現場でももっとしっかり教えて欲しいと思います。今は、お腹を冷やすことを平気で行っている人たちがたくさんいます。その一方で、若い年代から成人病のような症状になったり、婦人科系の病気に悩まされたり、うつ症状が現れる人が増えています。内臓や脳の働きが機能不全に陥っていると考えることもできますが、その原因は「酵素の働きが悪いのかもしれない」という視点に立つなら「お腹を冷やしてはいけない」という“教え”がもっともっと浸透しなければならないと思います。
 お子さんやお孫さんがアイスクリームが好きだからといって頻繁に食べるのを許してしまうのは間違いです。冷たいビールが好きだからといってガボガボ飲んで直接胃を冷やしてしまうのは間違いです。

 “朝スッキリと目覚める”ためにはどうすれば良いか? という話題に戻ってもう一度考えてみます。
 仮に睡眠時間が6時間だったとして、目覚めたときから眠りにつくまでの18時間を私たちのからだ(骨格筋)や頭(脳)は何らかの活動を行っていることになります。すると骨格筋の筋細胞や脳細胞や血液細胞は疲労します。その疲労を翌日に持ち越さないために、6時間の睡眠時間の間に私たちのからだは傷ついた細胞を修復したり、新しい細胞と交換(新陳代謝)する作業を行っています。そしてその作業で必要な原材料は、その日や前日に食べたものから得た栄養やそれを肝臓で加工した物質(ほとんどはタンパク質)です。
 もし交感神経系に抑圧されて副交感神経系の働きが悪かったとしますと、小腸は栄養を十分に吸収できず、肝臓は修復や新陳代謝に必要な材料を十分につくり出すことができません。お腹が冷えていても同様です。そうなりますと次の朝は古いからだ、傷ついたままのからだで目覚めなければなりません。これが根本的な原理であると私は考えています。
 副交感神経の働きと内臓の適切な温度という必要条件を外したままで、いろいろなサプリメントなどを摂取したところで大きな効果は期待できないと思います。何故なら、そのサプリの有効成分を小腸が吸収できなければ本当の意味で体内に入っていかないからです。
 もちろん私たちのからだは、0か、100か、という感じで機能しているわけではありませんので、副交感神経の働きが悪かったとしても、お腹が冷えていたとしても、20とか30、あるいは50とかの効果はあるかもしれません。それは個人差の領域です。(100%近く効き目がある“薬”というのはどういう仕組みなのでしょう? それはそれで怖い気もしますが)

 ストレスは交感神経系の働きを亢進させる、つまり副交感神経系の働きを抑圧することがわかっています。ですからストレスをどう処理するかは“心地良い目覚め”に関係するでしょう。また、交感神経系は基本的に血管や血流をコントロールする神経ですので“からだの冷え”にも関わってきます。血液を体表の血管にまわして熱を放出するか、深部の血管にまわして体表は冷えても深部の熱が奪われないようにするかは交感神経系の働きなのかもしれません。(自律神経の働きについては改めて考察したいと思います。)

 マッサージなどでリラックスすることは副交感神経系の働きが高まったことを意味しますが、私は呼吸が整うことの方が効果が高いと感じています。
 “呼吸”については幾度となく取り上げ説明してきましたが、理想に近い呼吸状態を実現することは、思いの外難しいことでもあります。それが多くの人たちにアドバイスしてきた実感です。呼吸が整うと即座にからだは温まり出します。なんとか自宅でも良い呼吸をしていただきたいと思い、時々、一切からだに触れることなく言葉を掛けるだけでリードし、自分の力で呼吸を調整していただくことがありますが、「ここ(ゆめとわのベッド)では出来ても、何故か自宅では出来ない」とほとんどの方が仰います。
 自律神経系は私たちの思いや意志とは関係なく勝手に働いていますので、自律神経の調整を意図的に行うことなかなか難しいことです。しかしながら一番手軽な手段として“呼吸を調整して自律神経のバランスを回復させる”ことができると考えています。ただし、“その時”だけでなく、“いつも”良い呼吸ができていなければなりません。ゆっくりと息を吐き出す過程(解放)は副交感神経系、息を止めてしまう(息詰まり)のは交感神経系です。そんな風に感じています。

 日々のストレスをなくすことはほとんど無理でしょう。ですから頭をすっかり切り換えられる何かを持っていただきたいと思います。音楽を聴くだけではなく、実際に楽器を弾いてみてはいかがでしょうか。
 お腹が冷えていると感じている人は、あるいはそう感じていなくても目覚めが悪いと感じている人は、ゆっくり歩いてみてはいかがでしょうか。地面に立つ自分をたくさん感じながら、足裏が地面を踏みしめていることを実感しながら歩くことは開放感につながると思います。するとお腹が温まってくるかもしれません。
 自律神経系は私たちの意図、思考とは関係なく動いています。「そんなことで良くなるはずはない!」と私たちの頭が思ったとしても、それとはまったく関係なく、バランスが良くなるかもしれません。

 今回のテーマ「寝起きが調子悪い」につきましては、確実な解決策や「施術によって改善される」という結論的な説明にはなりませんでした。
 しかしながら私がこれまで携わってきた経験で申し上げますと、ここに記しましたとおり改善のためのキーワードは副交感神経とお腹の熱だと感じています。この問題で悩まれている方がいらっしゃいましたら、一度考えてみていただければと思います。

 「背中が痛くて辛い」「背中が痛くて仰向けで寝ることができない」と訴えてこられた方を施術するに際して最初に確認することは、背中のどの部分が張っていて辛いのかということです。そして実際にどの筋肉が張りや痛みの原因となっているのかを細かく正確に把握することが重要です。“だいたいこの辺り”のような大雑把なとらえ方では、施術を行ってもまったくかいぜんされないという結果に陥ってしまうことがあります。

背中の張りや痛みの区分

 肩甲骨の内側を中心に、肩甲骨から肩にかけて張りや痛みであれば、それはたいがい肩甲骨のずれによる筋肉の張りが原因となっています。
 肩甲骨の下部から肋骨の下部にかけて腫れや張りや硬さが見られる時は、胃・膵臓などの消化器系や腎臓など内臓の不調が原因となっていることが多いですが、猫背や背骨の弯曲が強いことなどが原因となっていることもあります。
 そして、その下、肋骨の下縁から骨盤にかけての部分に張りや痛みがある場合は腰痛として対応しますが、施術者として一番気を使うのは、図に示した②の“肩甲骨下部の張りや痛み”に対する対応です。

内臓の影響による背中の張りと痛み
 肩甲骨下部から肋骨下部にかけての張りや痛みの場合、胃などの消化器系の不調や腎臓の腫れが原因となっている場合があります。実体験として実感している人も多いと思いますが、胃の調子が悪くなるとなんとなく背中が張ってしまったり重くなって息苦しさを感じたりすることがあります。
 胃、膵臓、十二指腸、小腸、大腸など内臓器官も筋肉でできていますので、収縮したり伸張したりすることはもちろん、硬くなったり柔らかくなったりします。筋肉はこわばると太くなりますので、例えば何らかの理由で胃の筋肉がこわばりますと硬くなって太くなるため背中側の胸郭(肋骨)を圧迫することになります。胸郭が内側から圧迫されますと胸郭の外側にある骨格筋はその圧迫に抵抗するように緊張しますが、これが背中の筋肉がこわばりであり、背中の筋肉が張ってしまう理屈ではないかと思います。
 こうなりますと胸郭の内側では胃が硬くなって動きも悪いので消化機能が不十分な状態になり、胃もたれや逆流性食道炎などの症状をもたらすかもしれません。胸郭の外側では一つ一つの肋骨を結び付ける筋肉(外肋間筋、内肋間筋)や肋骨に付いている脊柱起立筋などがこわばるため張りと痛みを伴うようになります。するとこれら骨格筋のこわばりは肋骨の動きをさらに制限しますので、胃は益々動かなくなるし呼吸もしづらくなります。このような悪循環に陥りますと、この状態が慢性化してしまうため、“辛くて夜も眠れない”などという状態になるのではないかと思います。
 背中をマッサージして骨格筋の張りやこわばりを改善することで、一時的に楽な状態になることはできますが、元々が内臓の不調から始まった症状であれば、内臓の不調が改善しない限り同じ状態を繰り返すことが考えられます。ですから胃の不調が原因で背中に張りができたと考えられるのであれば、一時的に断食をして胃を休ませるようにした方が良いのかもしれません。

 本日、まさにこのような方が来店されました。肩甲骨下部の背筋(脊柱起立筋など)はゴリゴリにこわばって太くなっていました。肋骨に張り付いているような深層にある筋肉はコリコリでした。すぐに胃の不調を疑いましたので、本人に胃の調子を尋ねますと、逆流性食道炎でかなり調子が悪いとのことでした。「病院の薬では背中の張りと痛みは取れない」ということで私のところにきたのだということです。
 こういった場合、整体の施術でできることは限られます。東洋医学的な“ツボ”や手と足裏にある内臓の反射区を利用することが主な対応策になります。その他には腹筋の状態を整え、胸郭の動きを制限する筋肉の状態を整えることが施術内容になります。

反射区と内臓
 いわゆる“足つぼマッサージ=足リフレ”では、足裏にある反射区を刺激することで内臓の働きを整え体調を改善するという理屈がよく説明されます。私のところでも30分くらいの足リフレをやっていますが、正直なところ、この施術を単発に行ったところで内臓の働きが良くなるとは思えません。むくみを取って足をスッキリさせるには足リフレはとても良い施術だと思いますが、単発的な施術ではそれ以上は望めないと考えています。例えば週に一度、あるいは二週に一度くらいのペースで定期的に繰り返すのであれば、それは内臓の働きを全体的に整える効果は多いに期待できますが。
 ただし、反射区の一つ一つは確かに効果があると考えています。このブログでも幾度か紹介させていただきましたが、腎臓の反射区、小腸の反射区、そして今回対象となる胃・膵臓・十二指腸など消化器系の反射区は私もよく施術に取り入れています。そして、その施術方法は学校で習ったとおりではありません。学校では一つの反射区を数回指圧して刺激するように教えられましたが、私が現在実際に行っているのは、反射区にある“凝り”や”しこりのようなもの”が改善するまで入念に刺激し続けることです。一箇所の反射区を1~3分くらい指圧し続けることもよくありますが、そうしていると、ある瞬間にしこりがフワッと緩み始めるようになります。この状態にもっていくことが反射区の効果を実際の内臓に期待できる段階だと考えています。
 今回来店された方の胃・膵臓・十二指腸の反射区は本当に硬かったです。腎臓の反射区もかなり硬かったです。手と足裏のこれらの反射区をかなり入念に施術しまして、ふくらはぎにある足三里(胃経のツボ)も入念に指圧しました。それによって背中の張りは緩んできて、呼吸に合わせて胸郭が動ける状態にまではなりました。その後は、お腹側で胃と呼吸の動きを制限する腹筋の変調を改善して施術(60分)を終えました。
 ご本人は「楽になった!」と仰ってましたが、私としてはもう少し時間があれば、もっと楽にできたのではないかと感じました。
 内臓の不調に由来する今回のような背中の張りや痛みは、内臓が絡んでいるだけに「必ず改善する」とは言い切れません。しかし、病院の治療では顕著な改善が感じられないと思われている人も多いと思います。そんな場合は整体でも“やりよう”はあるということをお知らせしたいと思います。

内臓の不調以外の肩甲骨下部から肋骨にかけての背中の張り
 単純に骨格と骨格筋の関係でこの部分に張りができるもありますが、それは姿勢による影響が一番多いかもしれません。いわゆる“猫背”も度合いが強くなりますと、萬年「背中の張りがとれない」となってしまいます。
 背骨は横から見ますとゆるやかなS字のカーブ描いていて、ちょうど肩甲骨の下部が後弯の頂点になっています。猫背の姿勢では、この頂点部分に重みが強く掛かるため、それに対抗するように背中の筋肉がこわばって頑張るようになります。それが背中の張りとなり、痛みや辛さを招くことになるのだろうと思います。
 この場合も、マッサージなどで背中の筋肉の張りを改善すれば状態は一時的に良くなりますが、しかしそれは、あくまでも一時的な効果しか期待できません。根本的に改善するためには“猫背の改善”が不可欠になりますが、それについてはまた後日触れたいと思います。

 胃が不調になるから背中が張るのか? 背中が張るから胃の調子が悪くなるのか?
 それは、どちらもあり得ると思いますし、消化器系の調子と背中のこの部分の張りとは互いに関係し合っていると考えた方が良いと思います。
 「病院で胃の治療を行い調子が良くなってきたら、自然と背中の張りも取れてきた」ということもあるでしょうし、「背中の張りが取れてきたら胃の調子も良くなった」ということもあり得ます。
 もし、慢性胃炎などで長く病院での治療や薬に頼ってきたがなかなか状態が改善しないということであれば、一度整体の施術などを試みることをお奨めします。

 今回は医学的・学術的根拠に基づいた見解ではなく、あくまでも私の感触と経験に即しての話になります。それを最初におことわりします。

 心臓の働きに関して、ごく一般的に観察できるのは血圧と脈に限られるかもしれません。しかし、その変化だけでも心臓が楽に働いているのか、窮屈そうに、苦しそうに働いているのかをうかがい知ることがある程度はできると考えています。以下に、心臓の問題や血圧に関してこれまでに私が経験した中から二つの例をあげてみます。

激しい不整脈で医師からはペースメーカー以外に方法はないと言われた人
 その方は心臓の病気で半年ほど入院していました。退院してからも週に一度は通院しなければならない状況で、月に一度、脈の状態を24時監視する計器を付けていました。歳は60歳で、医師からは強くペースメーカーの装着を薦められていましたが、本人はどうしても付けたくないという思いを持っていました。
 私のところには心臓の問題ではなく、強い肩こりを解消したいということで来店されました。心臓に問題があると肩が強く凝ってしまうことがありますので、私はそんなことも頭に描きながら施術を行いました。不整脈が激しいとそれだけで息苦しくなりますが、その方もハァハァととても息苦しそうな息をしていました。
 心臓の働きが悪いから息苦しいのか? それとも他に要因があって息苦しいのか?
 つまり、心臓自体が悪いのか、それとも、何かの要因で心臓が働きにくい状況になっているのか、というのが私が最初に思ったことです。心臓自体の問題であれば、私の力では何もできないかもしれません。しかし骨格系の何かの影響で心臓の動きに余計な負荷が掛かっているために調子が悪いのであれば、それは整体施術で何とかなるかもしれません。そう思いました。
 
心臓と肺と横隔膜と大胸筋jpg

 その方の胸は右側に捻れていました。そして左側の大胸筋がこわばっていました。この二つのことは心臓のあるスペースを狭めることと、左胸が大胸筋によって締めつけられている状態ですから、心臓が窮屈な状態で働かなければならないことを連想させます。それで、私のできることとして、胸郭を正しい状態に戻し、大胸筋やその他胸郭の動きを制限するような筋肉の状態を改善することを行いました。
 はじめのうちは週に1度くらいのペースで、一月を過ぎた頃から2週に1度くらいのペースで来店していただきました。2度目の施術が終わった頃から肩の凝り方も改善し、息も楽にできるようになったと言うことです。一月が経過した頃からは不整脈はあるものの、その状態も改善し始めたということでした。そして半年が過ぎる頃からは医師がペースメーカーの装着を薦めることもなくなりました。この頃には月に1度くらいの来店頻度でした。
 一年が経過すると仕事(塗装業)を再開し、今は二年が経過しましたが、来店も3ヶ月に一度くらいです。完全に心臓の状態が良くなったとは言い切れない状態かもしれませんが、心臓の調子をそれほど気にすることもない日々を送っているとのことです。
 施術に際して私がいつも心がけていたことは、左胸に余裕を持たせるようにすることでした。そうすることで心臓が動きやすい状態になって欲しいと願っていました。

低血圧の若い女性
 高血圧に対する薬はたくさんあります。しかし、低血圧を改善することはなかなか難しいと聞きます。
 20代の女性が来店されました。来店の主目的は受け口の改善とO脚の改善です。その他にこの方の自分に対するストレスとして、頭の回転が鈍く、普通の人のようには素速く受け答えができず、物忘れも激しいというのがありました。低血圧でもあるということでしたので、施術前に血圧を測定してみました。すると上が100位でした。(手首に巻く測定器を使用)
 脳の働きが鈍いことの原因として低血圧は十分考えられることです。心臓の力が弱いため血圧も上がらず、脳に血液が行き渡るのに時間がかかってしまうと考えることができるからです。その他には受け口であることも含めて頭蓋骨が歪んでいることも脳の血流が悪い理由にもなります。
 この方の場合、呼吸も悪い状態でした。呼吸、心臓の力、と考えますと、やはり“胸郭の状態”というキーワードが私には浮かんできます。
 施術では、左胸の中で心臓が動きやすい状態になるように胸郭を整え、併せて頭蓋骨を調整しました。その他に重心が体の中央に集まるようにしてO脚を改善しようとしました。施術を終えるとき再度血圧を測定しましたが、上が117に上がっていました。
 2週間後に再び来店していただき、施術前に血圧を測定しましたが、値は118でした。頭の回転や物忘れの状態などを質問しましたが、受け答えも速くなり、それらの状態も良くなっているとのことでした。
 2度目の施術では、脳の使い方についていろいろ話をしながら体を整えていきました。脳の使い方についてはまたお話ししたいと思いますが、本当に皆さんそれぞれに癖があって、観察する立場としては興味深いことが多いです。
 施術が終わって血圧を測定すると121でした。この数値は理想に近いものですが、脈の数が1分間に60未満であり、まだ少し心臓の働きが弱いのかなぁ、という感じを持ちました。
 
心臓と胸郭の関係

 心臓は肋骨でつくられた籠(胸郭)の中央部やや左側にあります。その左右には肺があり、下には横隔膜がありますので、呼吸運動と心臓の働きは密接に関わりあっていると考えることができます。と言いますか、整体的に見れば、呼吸運動と切り離して心臓の運動を考えることはできません。血圧、動悸、不整脈、これらの問題を考えるときは、呼吸運動の主体である肺と横隔膜、つまり胸郭の状態をいつも念頭におく必要があると考えます。心臓がその中で働きやすい状態になるよう、胸郭自体(肋骨)や胸郭を取り巻く筋肉(大胸筋、小胸筋、肋間筋、腹筋など)を整えることが一つの要になるのではないかと思っています。

 冒頭に申しましたとおり、今回の話は医学的根拠に基づくものではありません。また、心臓や血圧の問題を整体で改善できると断言しているわけでもありません。あくまでも参考としてお読みいただけたら幸いです。そして、いろいろな治療を試みたがうまく改善できないと言う方がいらっしゃったら、一つの方法として考えたいただければと考えます。

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