久々のホームページ更新です。
本日、「大切な骨盤底‥‥女性はとくに」をアップしました。
この現象世界は二元性の世界です。表と裏、光と闇、昼と夜など相反する性質が一対になっているのが原理であり、それらは絶対に切り離すことができません。
そして、この原理は私たちの肉体にもあてはまり、お腹側(陰)と背中側(陽)が一体になって全身のバランスが保たれ、生理機能を正常に働かすことができます。
骨盤底(会陰)は肉体の陰と陽の接点です。ですから、骨盤底の状態が芳しくないと私たちはバランスを失い、不調や不具合を抱えることになります。
そんな内容です。どうぞご覧になってください。
ところで、陰陽の接点はもう一つあります。それは顎関節の噛み合わせです。噛み合わせの状態が悪いと上手く噛めないだけでなく、からだのバランスを保つことができず、いろいろな弊害を生じるようになります。
現在、毎週のように来店されている25歳くらいの女性がいます。さまざまな不調を抱えています。施術を行うとそれらの不調は良くなるのですが、次週には違う不調を持って来店されるといった感じが長期間続いています。
このように決まった症状で苦しむのではなく、一つ良くなると別のところに不調や不具合が生じることが、モグラ叩きのように果てしなく繰り返されるのは稀なケースなのですが、このループをなんとか脱したいと熟考しました。
最近の彼女は毎晩噛みしめてしまうと聞きました。そのような人は多いのですが、もう少し突っ込んで話を聞いてみました。
すると胃腸の調子が大変悪いにもかかわらず、ご飯を噛む回数がとても少ないと言います。そして、この癖は幼児頃からだと言います。「3回噛むと飲み込んでしまうので親からよく指摘されたけど、噛むことができない」
「噛むことができない」‥‥これは大きなヒントになります。咀嚼できないのに噛みしめてしまう癖を持っているということです。
「赤ちゃんの時、おっぱいは吸えたの?」と聞きました。
すると「母親の乳首に吸い付くことができなくて、おっぱいも上手く飲めなかったと母が言っていた」とのことです。そして母親に生まれてからの様子をもう少し詳しく聞いてもらいました。
出産直後からおっぱいが吸えず、上から乳房をかぶせるようにして、乳首を口の中に押し込むようにしないと乳を飲ますことができなかったようです。‥‥つまり出産時からそしゃく筋が使えなかったということです。
私は、そしゃく筋は「全身筋肉の司令塔」と表現していますが、そしゃく筋がしっかりしていないと全身の筋肉の働きが悪くなります。力が入りません。ですから彼女は筋力が発揮できない筋肉と噛み合わせが合わない、バランスの悪い肉体で25年間生きてきたということになります。
食べ物を噛むことができないので、当然胃は悪くなります。逆流性食道炎をとおり超えて、胃酸や緑色の胆汁まで吐いてしまうほどの不調を抱えています。生理痛が激しすぎて痛みに耐えられないため、ピルを毎日飲んでいるとのことです。その他にもたくさんの不調を経験しています。
さて、この状態をどうしたものかと考えました。生まれつきの不具合でなければ、出産時のアクシデントによる影響でそしゃく筋が使えないと考えるしかありません。
そこで、母親に出産時の様子を尋ねますと、臍の緒が首に巻きついてしまったので、慌てるように会陰切開して分娩したとのことです。
ということは、分娩時に巻きついた臍の緒で首(頚椎)が損傷し、そしゃくができなくなった可能性も考えられます。
「口笛を吹いてみて」と私は彼女に言いました。すると唇を突き出して口笛を吹く形を作ることができません。「スースー」とするだけです。そしゃく筋が働かないと、乳を吸う形、つまり口笛を吹く形ができません。もし、口笛を心地良く吹くことができないならば、それはそしゃく筋の働きが満足にできていないということです。
「私が首をいろいろ触っていきますが、どこかに触ると口笛が吹けそうな感じになるかもしれないので、そうなったら教えてください。」と彼女に言いながら、私は首の筋肉や頚椎を探っていきました。
そうやって、第4頚椎の右側にポイントを見つけました。そこを触ると口笛を吹く形、つまりおっぱいを吸う形が苦も無くできるようになりました。そして下顎が上顎の方に食い込んでいるように噛みしめ状態にあった筋肉はゆるんで、顎関節の状態も良くなりました。
長年整体の仕事をしてきましたが、今回のケースは初めてでした。「頚椎がおかしくなっても咀嚼ができなくなる場合がある」ということを知りました。
これで彼女のたくさんある不調が楽になるといいのですが。