ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

カテゴリ:顔面・頭部 > 顎関節

 Aさん:「9年前、長男を出産してから噛みしめるようになってしまい、朝起きると手まで握っていることが多くなり、しょっちゅう頭痛と顎の不調に悩まされているんです。」
 私:「自然分娩だったのですか?」
 Aさん:「最初の出産は帝王切開でした。二人目は、お腹を切ることは良くないと聞かされたので、無理して普通分娩にしたんですけど。」

 Aさんの方の今回の来店の主目的は、噛みしめによる顎の不調、後頭部の頭痛、左が向きづらい首の不具合を解消して欲しいというものでした。その他に、下の歯茎が年々薄くなって後退しているので、将来歯が取れてしまうのではないかという不安を抱えています。彼女は子供の頃から顎が小さく、歯並びが悪かったので抜歯による歯科矯正をしています。そして弱い側弯症でもあります。
 歯茎の後退は歯列矯正の影響が大きいと私は思います。抜歯を伴う矯正によって歯茎がゆるんでしまったままになっていることはよくあることですが、それによって噛みしめ癖になってしまったり、舌が硬くなって動きが悪くなるなどの不調がもたらされているケースは多いです。

 頭痛と噛みしめはセットになっているといっても過言ではありません。ですから噛みしめ状態と噛みしめてしまう癖の両方を何とかしないと本質的な問題の解決には向かいません。
 噛みしめ状態に対する考え方は二通りです。一つはこれまでの噛みしめが蓄積してそしゃく筋がコチコチに硬くなっていることです。これは単純な肩こりと一緒で、指圧によってほぐすことで対応し、改善することができます。
 もう一つは、自分では力を使っていないのに筋肉が勝手に収縮して噛みしめ状態になってしまうことです。からだの他の部分からの影響で自然とそうなってしまうので、その原因を解決しなければなりません。
 そして、その原因の一つとして歯科矯正による歯茎の弱さがあります。Aさんの場合、下の両側の小臼歯部分の歯茎がとても弱く、そこがしっかりするように施術しますと噛みしめ状態を起こしている咬筋の一部がゆるんで収縮から解放されました。
 しかし、歯茎への施術だけでは全部が解決するわけではなく、収縮状態が残ってしまいますので他にも原因があるということになります。そこで、もう少しお話しを聞いてみますと、冒頭の「9年前、長男を出産(帝王切開)してから噛みしめるようになってしまい、朝起きると手まで握っていることが多くなり、しょっちゅう頭痛と顎の不調に悩まされているんです。」という話しがでました。
 “帝王切開”、幸い縦方向にメスを入れているとのことでしたので、まだケアが楽です。帝王切開に限らず手術痕の影響でからだが不調になることはよくあることです。
 「では、私は隠れていますので、このテープをメスが入ったところ(縫合されている)に貼ってください。」と言って、ニチバンの最も粘着力の弱い絆創膏を貼ってもらいました。その後でそしゃく筋の状態を確認しますと、収縮状態はすっかり解消されて、顎のエラ部分(下顎骨)が少し下がった感じになりました。
 あとはこれまでの噛みしめで蓄積された強い凝りをほぐす施術を行いました。それで頭痛はすっかり解消し、首のコリも含めてからだ全体からこわばりによる緊張感が取れました。

帝王切開のテープケア

 少し前の投稿で、噛みしめ癖になる原因にエネルギーの循環不良があると記しましたが、帝王切開に限らず手術痕はエネルギー循環を弱めてしまう可能性が高いです。からだには微弱な電流が流れています。神経の働きは電気信号の伝達ですから、電流の流れが悪いところがありますと筋肉の働きは弱まります。ギックリ腰は仙骨尾骨部分に傷がついて(肉離れなど)しまうことですが、からだの中心部分の筋肉が働かなくなりますと腰だけでなく、からだ全体が動かなくなってしまいます。ギックリ腰で身動きが取れなくなってしまうのは、このような原理によるものです。

任脈と帝王切開

 下腹部は骨盤臓器や内臓の働きにとって重要なところですから、そこの電流の流れ悪くなりますとからだ全体の生理機能が低下すると考えられます。基礎代謝も落ちますから太りやすくなりますし、冷えやむくみという問題も出てくるようになるのではないかと思います。メスを入れるということは少なくとも皮膚とその下にあります筋膜は切断されるということです。その後、メスの傷はくっつきますが、それは元の状態に戻るというより“接着する”に近いのだと思います。ですから、どうしても流れが弱くなってしまいます。その部分が手や足などからだの中心から遠い部分であればそれほど大きな問題にはなりませんが、帝王切開のようにからだの正中線上であれば、やはり影響が強く出ると考えた方が良いと思います。
 このような場合ので施術としては、「電流の流れがよくなりますように」という意識を込めて傷になっている部分に手を当てることです。(こういうことを言いますと宗教的な何か、と受け止める人もいますが、全然そんなことではありません。実際これが一番効果あるのです)手を当てて“補う”ことを何度も何度も続けているうちに、やがてその必要がなくなる状態が訪れます。それまではケアを続けて欲しいと思います。
 しかし実際問題として、長さ10㎝の傷だった場合、手を当てるのも難しいのでテープ(絆創膏)を貼ることも手段の一つです。その原理の詳細はわかりませんが、テープを貼ることによって電流の流れが良くなるのかもしれません。

絆創膏

 以前に両方の膝を人工関節にした後、腰痛を発症して苦しんでいる人が来店されました。一通り施術した後、手術でメスを入れたところ全部にテープを貼り、「毎日、このようにテープを貼ってみてください。」とアドバイスしました。すると次に来店された時、「腰痛がかなり良くなった」ということでした。そして、その後来店されることはありませんでした。
 このような事例はたくさんあります。手術痕だけでなく、転んで膝を打撲して深めの傷痕が残っている、擦り傷や切り傷が残っている、そんな時にテープを貼ることは有効だと思います。

 現代医学ではたいして重きを置かないかもしれませんが、伝統医学的にはからだの正中線上は大切にしなければならないと考えます。東洋医学では腹側の正中線は任脈と言いまして、急所がたくさんある場所とされているため大切に扱うよう指導されます。
 
 ところで、帝王切開された方全員が噛みしめの癖を持つわけではないと思います。Aさんの場合は、その他に歯茎の問題や軽い側弯症がありますので、からだが疲労しますと噛みしめるだけでなく手まで握りしめてしまうほど全身に力を入れてしまう症状になってしまうのだと思います。
 しかしながら、帝王切開は正に任脈上を切開するわけですから、やはりからだには大なり小なり負担が掛かることになります。分娩方法の選択について考えている方がいらっしゃるなら、この辺りのリスクについても考慮していただきたいと思います。

 歯ぎしりや噛みしめの癖を持った人はかなり多くいますが、“なぜ噛みしめてしまうのか?”というテーマが私の中にあります。
 これまで幾度となく取り上げてきましたが、そしゃく筋は全身筋肉の司令塔としての役割をしていますので、そしゃく筋がこわばりますと全身的に緊張気味のからだになってしまいます。からだを芯からリラックスさせたいと思って体操やストレッチや呼吸法などやってみたところで、そしゃく筋がゆるまないと本当のリラックスは達成できません。

 噛みしめ癖を持っている人に対して「噛みしめないように注意してください。」とアドバイスしたところで、からだの何処かに不具合や調子の悪いところがあってどうしてもそしゃく筋に力が入ってしまう(収縮してしまう)状態の人には無理な要求になってしまいます。
 施術を受けに来られる方々の多くは噛みしめの癖を持っています。特に顎関節症や顎が痛いわけではないので自覚していないことがほとんどですが、そしゃく筋がゆるまないと頭痛は解消されませんし、膝の調子が改善しなかったりします。五十肩でもないのに腕が上がりにくい、常に息苦しい、クビの緊張感が取れない‥‥、そしゃく筋のこわばりによる不調は多岐にわたります。

 現在私は”自然にそしゃく筋がゆるむように”というテーマで施術に取り組んでいますが、いくつか例を挙げてみます。

ピアスをはずすと瞬時に噛みしめなくなった
 この方は20代の女性です。とても小柄で痩せています。私のところにはだいたい2週間に一度のペースで通われています。慢性的に胃の調子が悪く食事がそれほど摂れません。さらに痩せていて筋肉量も少ないですから熱をつくり出す能力が低いといえます。しかし仕事柄、冬の冷気にも耐えなければならず、11月から2月初旬まで“冷え”が根本原因と思われる背中~首筋にかけての張りと体調不良に悩んでいました。
 昨日(2/25)の来店では「肌が荒れる一方で‥‥。食事や生活習慣にも気をつけ、なるべく化粧品も使わないようにしているけど、全然改善の兆しがなくて。」と訴えました。さらに皮膚科では金属アレルギーであると診断されたということでした。20年近く前に歯の治療で埋めた銀歯しか金属は身につけていないので、昨日歯科医でそれをプラスチックに変えてみた、ということでした。銀歯のようなアレルギーの場合、唾液と反応して徐々にアレルゲンが体内に溜まっていくため、10年後20年後にアレルギー反応が現れる場合があると医師からの説明もあったようです。
 肌荒れの目立つ箇所は右頬や下顎の周りでした。いろいろ施術を行いましたが、気になったのはそしゃく筋のこわばりでした。特に右側の方が強くこわばっていました。こわばっているそしゃく筋を直接ゆるめることなく、からだを調整しながらこわばる可能性をひとつひとつ除去していきましたが、施術だけではこわばりが取り切れませんでした。そしてたどり着いたのが、左右の耳に3つずつつけていたピアスでした。金属性ではなく樹脂性の小さなピアスでしたのでアレルギー反応の一つとしてそしゃく筋がこわばっていたわけではありませ。しかしピアスを外してもらうと瞬時にそしゃく筋のこわばりはとれ、頬にあった緊張感が抜けました。苦しそうに見えていた眉間もゆるみ瞳の色が濃くなりました。顔全体の血流が良くなったので、肌荒れも良くなっていくと期待しています。
 施術後30分くらいして自宅からメールが入り、「顔がとてもスッキリした!」と喜んでいました。

スマホのしすぎで母指先がこわばり噛みしめ癖がついてしまった
 私の娘もそうですが、若い人たちはとても器用にスマホを片手で操作します。親指を俊敏に動かして文字を入力していますが、職業柄私は以前からその偏った指の使い方や酷使が原因でいろいろなトラブルが現れると思っていました。
 親指の先が使い過ぎで強くこわばりますと筋肉の連動関係で肩甲骨が外側に引っ張られます。肩幅が拡がると言っていいかもしれません。すると下顎も同様に外側下方に引っ張られるようになります。右手でスマホを操作している人は、右肩が外側に出て、右顎を右下方に引っ張る力が常に働いているということです。すると下顎が右下方にずれてしまいますので、からだはそれを阻止しようとして自然(無意識)に咬筋を収縮させて顎がずれないようにします。”噛みしめ”というイメージとはかけ離れたそしゃく筋のとても小さな収縮ですが、しかし”常に”収縮しているわけですから、やがて強いこわばりに変化してしまうことになります。
 本人にはまったく噛みしめているという意識はありません。しかし徐々に顔の形が歪みはじめ、ある日顎関節症の症状が現れてしまうかもしれません。
 このような場合は親指の先(第1関節付近)のこわばりをほぐして対処しますが、とても強くこわばっているため施術が思いの外痛くなります。ほとんどの人が指先をほぐすことがそんなに痛いことだとは思っていませんが、使い方の偏りや酷使はからだの中に不自然な状態をつくってしまうということの現れです。

膝周辺の問題で噛みしめてしまう
 その方がケガをしたのは30年近く前の子供の頃のことです。車の後部座席に乗っていたのですが、車が急ブレーキを掛けた時に反動で前に飛び出し、膝頭が前の座席の背面についている取っ手の間に入ってしまいました。救助隊を要請して膝を抜くことができたくらいの大きな出来事でしたが、結果的にその時の損傷の影響を現在まで引きずってしまったことになりました。
 その方が初めて来店されたのはちょうど1年前になりますが、本当にひどい腰痛で、歩くことも立つことも介助なしでは出来ない状態で、座ることも出来ず、一日の大半を寝て過ごさなければならなかったのですが、それでも度々ギックリをしてしまうような状態でした。やっとの思いで車に乗り大きな病院を訪れて検査を受けても、例によって「骨にも神経にも異常は見られません」との診断だけで、痛み止めと湿布薬を処方されるだけの対処しかされませんでした。私がこれまで経験した中で最悪の状態の方です。今現在は40分くらいなら歩くことも、座り続けることも、車に乗ることも出来る状態にまで回復してきて、食卓に座って家族と一緒に食事が出来たり、ちょっとした家事もできるようになりました。この一年は大変な苦労と大きな出費でしたが、本人も私も明らかな回復の兆しをつかんでいますので希望の光に向かって着実に進んでいます。
 この方が今よりもっと回復するためには、単に腰部の悪いところを修正し運動をして筋肉を鍛えるだけでは無理ですので、からだのもっと隅々まで悪いところを修正していかなければなりません。「いつまたギクッとしてしまうか恐怖」という感情が心からなくならないかぎり、常に不安感がつきまとい緊張感が心とからだから抜けませんので、今はそこへの挑戦を始めているところです。そしてその中で緊張感の代表である“噛みしめ癖”を改善すべく改めてからだを見直していった時に左膝周辺の筋肉に異常を発見しました。そのことについて尋ねたところ30年前の膝のアクシデントを思い出して話してくれました。
 出来事から想像すると、かなりのダメージを受けていると思われます。筋膜や筋肉だけでなく骨膜まで損傷していると感じます。すでに何日か施術を行っていますが、明らかな回復の兆しという手応えはまだつかめていません。なかなか手強いです。しかし明らかなことが幾つか分かりました。この膝周辺の状態が良くなって膝関節がしっかりすれば、噛みしめ状態(そしゃく筋のこわばり)が解除されるとともに首肩から力が抜け呼吸がしやすくなって花粉症も状態が良くなること。これまでほとんど出来なかった上半身を横に捻る動作が少し出来るようになること。腰を中心に歩くことができ、地面を踏みしめて蹴る感覚が甦るのでからだの他の部分から余計な力が抜けること。普通の人から見ると“それきしのこと”となってしまいますが、こういう状態は、言わば“普通の人”のようになる、“日常生活が普通になる”ための明らかな前進ステップです。
 この膝周辺の問題を解決するまでにどれだけの時間が必要なのかまだ分かりませんが、噛みしめが取れ、からだがリラックスできることは全身の回復にとって大きなプラスになります。ですから今は互いに認識を共有して忍耐強く取り組んでいくしかないと思っています。この方の実家は栃木にありますが、当面はそこまで車に乗って行き、病気のお母様に会うことが出来るようになることが目標です。

肩関節や股関節の不具合は歯ぎしり、噛みしめの癖をまねく
 朝起きると顎が痛くなっているほどの強い噛みしめや歯ぎしり癖を持った人の多くは股関節に何らかの不具合がある可能性が高いです。これは臨床的に前々から感じていたことです。股関節の不具合にもいろいろな症状がありますが、鼡径部のところがパンパンにむくんでいるというのも症状の一つです。単なる“むくみ”とは言い切れません。
 四十肩や五十肩など肩関節の不具合でもそしゃく筋がこわばっている場合が多くあります。口(顎)が大きく開けられない、顎が引っかかって話しづらい、食事で噛むと顎が疲れる、これらの症状もそしゃく筋の問題が深く関わっていますが、何処かの関節の不具合が原因なのかもしれません。

 また、手汗や足裏に汗で悩んでいる人のほとんどは噛みしめの癖を持っていますが、直接的には体内エネルギーの循環が悪いことが原因していると考えられます。血流やリンパの流れも含めてエネルギー循環が悪い理由として考えられることは、自律神経系、冷え(低体温)、関節の不具合などです。(心理的なことは除いて)
 私はまだ手汗、足裏の汗、腋の多汗などについての的確な対応策を確立しているわけではありませんが、鍵になるのはやはりそしゃく筋だと感じています。
 考え方は二つあります。一つは“体内循環が悪いので噛みしめないとエネルギーが廻らない”ということです。そしゃく筋は全身筋肉の司令塔ですから、大きな力を必要とするときには誰でも”歯を食いしばって力を出す”ことをします。その延長線上で考えると、歯ぎしりや噛みしめ状態を起こさないと働かない筋肉や組織が何処かにあるという結論にたどり着きます。この場合は、噛みしめないでもエネルギーが十分に伝わるようにからだを整えれば自ずと噛みしめなくなる、という対策がとれます。
 二つ目は、噛みしめによるそしゃく筋のこわばりは全身の緊張状態につながりますので、それは“精神的緊張状態になると手のひらから汗が出てくる”のと通じるものがあります。こう考えますと、手を尽くしてそしゃく筋がこわばらない状態にすることで全身から緊張感が取れることを目指します。すると、自ずとこれらの汗は出てこなくなるのではないかと考えることができますし、実際そうなることが多いです。
 まだ的確なことが解っていない段階ですので、現在は一つ目、二つ目の両面から施術を行って対応しています。ただ“汗”は自律神経がコントロールしている領域ですので、整体の方法だけでは対応しきれない分野でもあります。しかし対応方法としてはこのよう考え方や対処方法があるということを知って頂ければと思います。

 私自身、毎日硬い肩や首を揉みほぐしたり、そしゃく筋などをほぐしたりしていますので両手先の関節がかなりこわばっています。ですから、そしゃく筋にこわばりが固定化していて噛みしめ状態にあります。折に触れ大きなあくびをしてそしゃく筋をストレッチして対処していますが、それでは不十分です。指先のこわばりを取らないと解決しないとわかっているのですが、セルフケアに時間を割くことはおろそかにしています。頭痛まではいきませんが常に頭を締めつけられているような感覚がありますし耳鳴りもあります。
 今こうして文章を書きながらも親指の先をゆるめますと、そしゃく筋がゆるみ、お腹が鳴り出し、眼が潤い、頭がゆるんでいくのがわかります。そんなことを自己観察しながらも”やはりそしゃく筋のこわばりは不調の大きな原因になる”と再確認しています。

 過度の喫煙やアルコールがからだを壊す、発がん性物質の摂取が病気を招く、ということだけでなく、不必要なそしゃく筋のこわばりは全身に不調をもたらす可能性があるということも知っていただければと思います。

 ほとんどの人が“噛みしめている自覚はない”と仰いますが、私の知るところ、多くの人のそしゃく筋はこわばっています。それがゆるんだ状態になったときの開放感を是非自分のものにしていただきたいと思います。

 歯ぎしりは寝ている間に行っていることなので、気を付けようがない、対処法が考えにくい癖、あるいは症状と言えます。噛みしめ癖もやはり“知らぬ間に”、”無意識で”行っていますので対処法に苦労する症状であるとも言えます。
 歯ぎしりも噛みしめも咬筋や側頭筋などそしゃく筋を硬くこわばらせますので、直接的には肩から上に不快感や不調をもたらします。こめかみの頭痛はそのものずばり側頭筋のこわばりによる場合がほとんどですので、噛みしめや歯ぎしりの癖を取り除かない限り一生つきまとう症状となってしまいます。その他にも首の張りや痛み、鼻づまり、耳の不調、目の不調をもたらす原因になっています。
 噛みしめ癖の対処法として、かつてNHKの”ためしてガッテン”では自分の行動する場所のあらゆる所に「歯をはなす」という張り紙をしてなるべく噛みしめないようにする、といったことが取り上げられました。それはそれで一つの対処法に違いはありませんが、どうもしっくりとこない方法だと感じています。そこで、歯ぎしりも噛みしめも“癖”ではなく“症状”であるという見方に変えて考え、いろいろ試してみました。

リラックスした状態は奥歯が離れているのが普通
 皆さんはからだから力を抜いてリラックスしようとしたとき左右とも奥歯が離れていますでしょうか。そしゃく筋がこわばりすぎて縮んでいる人を除いて、リラックスした状態では奥歯が離れているのが正常です。歯がくっついてしまっている人は、リラックスしていてもそしゃく筋が作動して収縮している、つまり力が入っている状態です。こういう人に「奥歯をはなしてください」と言ってやってもらいますと、途端に居心地が悪くなったりします。反対に正常な人に「奥歯を噛み合わせ続けてください」とやってもらいますと、次第に息苦しさがやってくるなど居心地が悪くなります。
 
噛みしめ・歯ぎしりによるそしゃく筋の「こ」

 リラックスした状態でも奥歯がくっついてしまう人は、常に筋肉を作動させている状態ですので筋肉はこわばって硬くなってしまいます。それは意識的に噛みしめるときの力に比べれば非常に小さな力かもしれませんが、力を入れ続けていることには変わりがないからです。こういう人は今日施術を行い、そしゃく筋のこわばりをゆるめても翌日にはまたそしゃく筋がこわばった状態で来店されるようになります。常に頭が締めつけられていたり、目の見え方がおかしかったりして、何となくいつも頭がスッキリしないと感じているのではないかと思います。

歯ぎしりの癖を改善するための考え方(心理的影響は除いて)
 仮に、日中は噛みしめる癖を持っていないが、寝ているときには歯ぎしりをしてしまう人がいるとします。この時の考え方はいくつかあります。

①心臓の働きが低下すると血液循環が悪くなる場合
 昼間は活動時間ですので心臓が一生懸命働いて血圧を上げ、酸素をたくさん消費する脳や動作を行う骨格筋などに血液を届けていますが、夜中は脳や骨格筋の酸素消費量が減るため心臓は働きを低下させ一種の休養状態に入ります。代わりに小腸や肝臓など内臓の活動が盛んになって、その日に摂取した食物を栄養に変えたり、新陳代謝やからだを修復するために必要な物質を製造したりしています。そのため血液は小腸や肝臓に集まります。つまり夜中の血液循環の主役は小腸や肝臓にバトンタッチされると考えることができます。(自律神経の働きによる=副交感神経優位)
 例えばお腹が冷えていて小腸の働きが悪くなりますと、夜中の血液循環が鈍くなると考えることができます。しかしそれではからだの末梢部分への血液循環が滞ってしまいますので、その日にからだに溜まった老廃物を回収したり、肝臓で製造された、細胞を修復するための物質を抹消まで届けたりすることができなくなってしまいます。このことは翌朝目が覚めてもスッキリしていなかったり、疲労や不具合を翌日まで持ち越してしまう一つの要因として考えられることだと思います。明け方にふくらはぎが攣ってしまうことと、体熱が足りなくて小腸の働きが悪いことは関係しているように思います。
 そこで、この状態を解消するために歯ぎしりをして骨格筋を作動させ、心臓の働きを高めて血液を循環させているのかもしれないと考えることもできます。寒い場所に長時間居て、からだが冷え切った状態になりますと、自分の意志とは関係なく顎をカタカタさせてふるえてしまいますが、それもそしゃく筋や骨格筋をたくさん使って血液循環を高めようとする自律神経の働きなのかもしれません。歯ぎしりは、これに通じるものがあるのではないかと思ったりします。

②関節が歪んでいるため血液循環が悪くなっている可能性
鼡径部04

 歯ぎしり癖をもっていると自覚している人は、関節、特に股関節に問題がある場合が多く見受けられます。股関節は鼡径部の状態に直結しますが、鼡径部は狭いところに筋肉、神経、動脈と静脈、リンパが密集しています。ですから股関節が歪み、鼡径部の動脈や静脈が圧迫されますと上半身と下半身の間での血液循環が悪くなります。余談ですが、下半身ばかりがむくむような人はこのような状態です。
 そのため上記同様、心臓の働きを高めて動脈の力を高めるか、骨格筋を作動させて静脈の還りを促そうという目的で歯ぎしりを行い力を伝えようとしているのかもしれません。

 “そしゃく筋は全身の骨格筋の司令塔の役割をしている”と以前に記しましたが、私たちは“頑張ろう”とするとき、噛みしめて、あるいは食いしばって筋力を発揮します。サッカー選手がシュートを打つとき、野球選手がボールを打つ瞬間、バレーボールの選手がスパイクを打つとき、みんな食いしばっています。つまり私たちのからだはそしゃく筋を働かせることによって大きな力を出そうとする仕組みになっています。そのように考えますと、寝ている状態ではからだのどこかに力が伝わりにくいところが存在するので、無意識に歯ぎしりをして力を伝えているのかもしれません。
 もうかなり前のことですが、寝ているときの歯ぎしりか噛みしめ癖で、朝起きると顎が痛くてたまらないという若い女性が来店されたことを思い出します。結局その方の場合、左手首につけていたブレスレットがからだに悪い影響を与えていたことが原因でした。こういうことはしばしば見られます。自分の思いとは別に“からだの細胞はそれを嫌がっている”ということなのですが、ピアスやイヤリング、ペンダントや指輪など、身につけるアクセサリーは私の立場からすると、慎重に選んで欲しいと思います。付けて細胞の働きを高めるもの、弱めるもの、変わらないもの、の三つがあります。それは思い入れとか、値段とか、評判とか、言い伝えとか、霊感とか、そういうものとは全然関係ありません。筋力テストをするとすぐにわかります。からだの力を弱めてしまうものは身につけないことです。
 この方には何年もの間一度も外したことのないブレスレットを外してもらいました。1週間後に来店していただきましたが、その間の経過を尋ねますと、外した翌朝から激しい顎の痛みは消え、日が経つにつれ顎が楽になってきたということでした。ブレスレットを外したことによって血液循環が良くなったのではないかと思います。

 最近では、歯ぎしりや噛みしめの癖を持っている人に対して、リラックスした状態で奥歯が離れるようにからだを整えることを積極的に行っています。普通にしているときにそしゃく筋から力が抜ける状態にすることができれば、噛みしめの癖は自ずと改善されると考えられますし、歯ぎしりの癖を改善するきっかけになるかもしれないと思うからです。
 右下半身に力が入らない人は、立ったり座ったりすると無意識に右奥歯が噛み合ってしまいます。しかし右の太ももに力が入って左右の脚でバランス良く立てる状態に整えますと、自然と噛み合っていた奥歯が離れ、それまで少し力の入っていた右首肩から力が抜けてリラックスできる状態になりました。
 右手の人差し指のつけ根に深い傷をつくって、右人差し指に力が入りにくい状態をケアしますと、やはりそれまで噛み合っていた右の奥歯が瞬時に離れます。
 これらのように、からだのどこかに弱点がある人は自然と歯が噛み合ってしまうようですが、その弱点を整えますとそしゃく筋から力が抜けて噛み合っていた奥歯が離れるという現象が起こります。これが噛みしめや歯ぎしりの癖を改善するためのポイントになるのではないかと今は考えています。

 噛みしめや歯ぎしりでそしゃく筋がこわばりますと、いろいろな不調や不具合、不快感が現れます。たかが噛みしめ、たかが歯ぎしり、と私たちの頭は考えがちですが、そのからだに与える影響は根深いものがあります。全部を整えても、その部分が解決しなければスッキリしないし、リラックスできないのです。

 噛みしめ、歯ぎしりによるそしゃく筋のこわばりの代表的な症状は次の通りです。
1.リラックスしようとしても、首・肩から力が抜けきれない。
2.耳や顎関節周辺が硬くなってしまう。
3.目の見え方がハッキリしない。視界が何となく暗い。
4.顔が歪み、からだも捻れる。噛み合わせが悪く、片噛み癖になってしまう。
5.慢性的に首肩のこりを感じ、マッサージしてもすぐに戻ってしまう。
6.こめかみ(側頭部)の頭痛や片頭痛にたびたび襲われる。頭がスッキリしない。

 これら以外にもまだまだ症状はありますが、何とか癖を脱して、毎日を快適に楽しい気持ちで過ごしていただきたいと思います。そのためにはからだの弱点を整えて、普通にしているときに奥歯が噛み合わずに離れた状態になることが最低限必要なことかもしれないと考えています。

 20年ほど陶芸人形作りの仕事をやっておられる方が来ました。主訴は左顎が痛くて、口も開けられないし食事で強く噛むことができないので胃の調子もおかしくなったと言うことです。その他に強い首・肩のこりと眼精疲労、そして寝つきが悪く眠りも浅く、無呼吸の症状もあるということでした。
 仕事がら、一日何時間も座り続け、ずっと手を前に出して作業しているということです。力は使わないけど、うつむきかげんでいる時間が長いため首から肩甲骨にかけて強く張ってしまいつらいということです。また、無呼吸で夜中にハッと目が覚めたことがあるので、仰向けではなく横を向いて寝るようにしていると言っていました。数ヶ月前、右の歯を抜いてブリッジをかけてからなんとなく顎の調子が悪くなり、この2~3ヶ月前から左顎がとても痛くなり何件か整体や治療院を訪れたけど良くならないということでした。
 本人は左顎の痛みを何とかして欲しいという思いでしたが、私は無呼吸や眠りの悪さの方が気になりました。と言いますのは、顎関節の痛みを改善することはそれほど難しいことではなく、それよりも顎関節をおかしくしてしまう理由として歯ぎしりや噛みしめの癖が考えられますし、その原因として呼吸の悪さが考えられるからです。
 施術に入る前にいろいろ質問させていただきましたが、その中でポイントのなるキーワードは以下の通りです。

①いつも腕を前にだして作業をしている
 パソコンの仕事が多い人にも言えることですが、腕を前方に出す働きをする筋肉は前鋸筋です。前鋸筋を使い続けているので、こわばっているはずです。(前鋸筋についてはこれまで何度も触れてきました。のでそちらを参考にしてください。)
 前鋸筋がこわばると肩甲骨が外前方にずれます。これによって肩甲骨から首(僧帽筋と肩甲挙筋)や舌のつけ根につながっている筋肉(肩甲舌骨筋)が張ります。これによって首肩の張りやこりがもたらされ、舌の状態も悪くなりますので無呼吸症候群に関係がでてきます。
 また、前鋸筋のこわばりは肋骨の動きを制限しますので深い呼吸ができなくなります。呼吸がとても浅くなるため、寝つきも悪く夜中に何度も目が覚めてしまう不眠症の状態を招く可能性があります。

②横向きで寝ている
 右側の方を下にして横向きで寝ることが多いということでした。顎の痛みは左側でしたが、可能性としては右側の顎関節がおかしくなって左側が動かせなくなったのかもしれません。また右側を下にして寝ていたため、右側の歯を抜歯しなければならない状態になったのかもしれません。いずれにせよ、左顎関節の問題に右顎は大きく影響を及ぼしていることは想像できます。
 本人はマスメディアからの情報で「無呼吸になるのは下顎の下がたるんでいるのが原因」だと思っていたようで、そのため仰向けではなく横向きで寝るようになったということです。確かにイビキのひどい人を横向きにさせるとイビキが弱まったりするので、無呼吸対策の一つとしては有効かもしれません。しかし、顔の歪みや顎関節への影響という意味では、やはり横向き寝は止めた方が良いと思います。

 実際に施術をはじめ、体を見ていきますと案の上、前鋸筋はガチガチにこわばっていて肋骨がほとんど動かないため呼吸がか細い感じでした。
 これほど前鋸筋のこわばりが強い人はあまりいませんが、そのこわばりを改善していくと次第に呼吸に合わせて胸が動くようになりました。そして肩甲骨の位置も本来在る場所に近づきますので首・肩のはりは施術が進むほどに改善していきます。
 次に目の疲労と噛みしめの改善ですが、これも思ったとおり右顎の方が噛みしめが強かったです。また、右を下にして寝ていた影響か、噛みしめによる筋肉のこわばり以外に、下顎骨が全体に右側にずれている状態でした。このずれが左顎の痛みの直接的な原因だと思います。
外側翼突筋模型

内側翼突筋模型

 口が開きにくいのはそしゃく筋のこわばりと顎関節に影響を与える顎から下の舌骨、舌骨上筋・舌骨下筋群、鎖骨や肋骨の歪みなどが大きく関係しますが、顎の局所的な痛みや違和感は頭蓋骨の内部にある外側翼突筋・内側翼突筋が関係していると思われます。この方の場合、下顎が右にずれたため左顎関節の耳穴ちかくにある外側翼突筋がこわばってしまいそれが痛みや違和感の原因でした。
 結局、最後の微調整で、再度右側の前鋸筋の奥のこわばりを解消することと、骨盤の歪みによる左首筋の張りを解消することで施術を終えました。
 
 前鋸筋のこわばりが半端でないため一回の施術では取り切ることができませんでしたが、呼吸も楽になり、その他の不具合も一通り改善しましたので、ご本人は満足されました。
 2週間後に再度来店していただき、前鋸筋の残ったこわばりを何とか解消したいと考えていますが、その間、どのように体が崩れるのかを観察してみたいと思っています。それを確認することによって、この方の癖が解るでしょうし、なぜ歯の治療をしてから左顎に痛みが出たのかもわかるかもしれません。

 顎関節の不具合を修正すること自体はそれほど難しいことではありません。どうして顎関節に不具合が生じたのかを知ることと、今後そうならないようにするためにはどうすればよいのか? ということが、皆さんが知りたいことではないでしょうか。 

 顎関節の調子が悪い状態にはいろいろあります。①口を大きく開けることができない。②シャリシャリ音がする。③口を開閉するとき下顎がゆれる。あるいは顎がカクンカクンする。④ものを噛むと顎が痛む、といったところが多いでしょうか。
 
顎関節

 顎関節の構造について少しお話しします。顎関節自体は耳のある側頭骨と下顎骨をつなぐものですが、頭蓋骨全体を考えますと、下顎骨だけが他の頭蓋骨にぶら下がった構造になっています。そして顎関節の動きは、上部の頭蓋骨と下顎骨を結ぶそしゃく筋の働きに多くを依存しています。しかし顎関節を整える上で見逃せないのは下顎骨の下にある筋肉(舌骨上筋群・舌骨下筋群)や筋膜の状態です。
 そしゃく筋が収縮すると下顎が上に引きつけられ口が閉じます。しかしこの時同時に舌骨上筋群が伸びて(ゆるんで)口が閉じることに協力します。反対に口を開ける(下顎が下に動く)ときは、そしゃく筋がゆるんで舌骨上筋群や舌骨下筋群が収縮します。このように顎関節の動きはそしゃく筋と舌骨上筋群・舌骨下筋群の働きや状態に影響されますので、顎関節の不具合を修正する場合は両側面の状態を確認して施術しなければなりません。
 
下顎を引き上げる筋肉

片噛み、噛みしめ、歯ぎしり、食いしばりによるそしゃく筋のこわばりが最も影響を与える
 顎関節に不具合を持った人に共通するのは、そしゃく筋に強いこわばりがあることです。頬骨に指先を当てて少しずつ耳の方にずらしながら強めの指圧をしていくと耳に近づくほどに硬くなっていて押すと痛みを感じると思います。そしてこの痛みを感じる部分がほとんど骨と間違えるほどコチコチに硬くなっている人がいます。力を入れて強く押すとかなり痛みを感じますが、それは骨ではなく筋肉です。口を開けるとき、その筋肉が伸びなければならないのですが、あまりにも強くこわばっていて伸びることができないと口が開かない状態になってしまいます。また左右でこわばり方に差がありますと筋肉の伸び方に差が出ますので、口の開け方が歪むようになります。そしてこのような方がたくさんいます。
 このような状態を招く理由のほとんどは、片噛み、噛みしめ、歯ぎしり、食いしばりの癖によるものです。施術を行えばとても楽に口を開けることができるようになりますが、癖を直すことができなければ、また同じように顎関節が開かない状態になってしまいます。
 問題はどうしてそういう癖になってしまったということですが、その理由は千差万別です。ストレスや精神的緊張など心理的なことも関係すると思いますし、体のエネルギーの流れ方に問題があるかもしれません。まずは原因を探しだし、それを改善することを目指さなければなりません。多くの人たちや医師達はすぐに精神的な問題に結び付ける傾向があるようですが、体の歪みによってエネルギーの流れが悪くストレスとなっている場合も多々あります。

下顎骨を引き下げる筋

舌骨上筋・舌骨下筋群や首の筋膜がこわばっている場合‥‥噛むことがかったるくなる
 口を閉じるとき舌骨上筋群がゆるんで伸びる必要があるのですが、これが上手くできない状態ですと、口を閉じるときそしゃく筋に必要以上に力を入れなければならなくなります。下顎を上に引き上げるとき下顎の下の方で下に引っ張る力が働いているためです。こういう状態の人は食事で長く噛むと顎に疲れを感じますので、噛まずにすぐ飲み込んでしまったり、硬いものは嫌で柔らかいものばかりを好むようになってしまいます。
 下顎を下に引っ張る力は舌骨上筋・舌骨下筋群だけでなく、首前面の筋膜も大いに関係します。たとえば胸が下がっている人や腹筋がこわばっている人は筋膜が常にお腹の方に下顎を引っ張っていますので、口を閉じている状態を長く続けることすら疲れを感じるようになります。リラックスするとすぐに口が開いてしまう人は、舌骨上筋・舌骨下筋群や首の筋膜がこわばっている可能性が高いです。口が開いてしまうのは“だらしない”のではなく、下の方で引っ張る力が働いていると考えてみてください。こんな状態の時に“口を閉じていよう”と緊張していますと、それだけで口を閉じるそしゃく筋が作動し続けますので、“噛みしめている覚えはないのに”噛みしめた状態と同じになってしまいます。
 また、下方への引っ張り方に左右差がありますと口を閉じる動作に時間差が生じますので“歪んだ口の閉じ方”になってしまうでしょう。この問題で顎関節症になっている人も多くいます。

硬いものを噛むと痛む‥‥噛む力が入りきらない場合と口の中の筋肉に問題がある場合
 筋肉には上記のこわばりとは反対に“ゆるんで収縮できない状態”というのがあります。例えばグッと食いしばるとき、そしゃく筋を強く収縮させるわけですが、筋肉のどこかに上手く働けない(収縮できない)部分がありますと筋肉全体の能力が弱まるだけでなく、縮まないところを縮ませようとするので痛みを感じます。「柔らかいものをふんわり噛むことは平気だが、ちょっと硬いものを砕こうとして力をいれると痛みを感じる。」というのであれば、そしゃく筋にゆるんで働けない部分がある可能性があります。
 そしゃく筋は口の内部にもあって(内側翼突筋と外側翼突筋)、下顎骨を横に動かしたり前に出したりする働きをしていますが、それらの筋肉がこわばっていますと顎を自在に動かすことができなくなります。食べ物をそしゃくする動作は砕く動作以外に“こねる”という複雑な動きもします。物が口の中にない状態で、力を入れて食いしばっても痛くないが、口の中に物をいれて噛み砕いてそしゃくすると痛みを感じるのであれば、これら口の中の筋肉に問題がある可能性も考えられます。

 上記以外の顎関節の不具合、たとえば口を開けるとき左右に大きく揺れてしまうという場合は、肩甲骨との絡みもでてきます。あるいは物を食べていると音がする。口を開け閉めすると音がする。そんな場合は側頭骨をはじめ頭蓋骨全体の歪みを修正する必要もあります。
 実際のところ顎関節症を調整する場合は、口から首周辺の調整ですむ場合もあれば、手先、足先まで含めて体全体を調整しないと上手くいかない場合があります。

 ところで顎関節症を歯科医などに相談するとマウスピースを薦められるようですが、それでは解決しないことがほとんどでしょう。確かに歯は守られますが、原理的に考えてマウスピースで改善させようとする考え方が理解できません。もしマウスピースによって顎関節症が改善したのだとすると、それはマウスピースがなくても自ずと改善するものだったと私は考えます。
 ほとんどの場合、私はその場で解決します。(但し、噛みしめや歯ぎしりなどの癖が直らないために再び顎関節症になってしまう人はいます)顎関節症を改善するのに数ヶ月もかかってしまうというのはおかしいことだと考えます。

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