ゆめとわのblog

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カテゴリ: 背部・腰部

 骨盤と腰痛シリーズの3番目は、いわゆる「拡がった骨盤」のイメージに近い、不安定な状態の骨盤について取り上げます。

 骨盤を背面から見ますと、仙骨を中心に左右の寛骨(腸骨+坐骨+恥骨)が仙腸関節で繋がった状態になっています。仙腸関節はいくつかの強力な靱帯で強く結ばれていますので、「仙腸関節はほとんど動かない」と主張される専門家もいます。一昔前までは、それが定説になっていたようです。
 解剖学は死体解剖を基準としていますので「仙腸関節はほとんど動かない」という見解になるのかもしれません。しかし、生体の仙腸関節はあるていど柔軟性があります。呼吸のリズムに合わせて骨盤は少し拡がったり狭まったりと動きますし、「骨盤の歪み」のほとんどは仙腸関節における歪みですから、「仙腸関節は動くので骨盤は不安定になる可能性が十分にある」と言うことができます。

 さて、骨盤の上面は専門用語で腸骨陵(ちょうこつりょう)と言いますが、ここが拡がった状態になっている人がいます。それは仙腸関節の上方がゆるんだ状態になっているとも言えますし、何かの力によって腸骨陵が引っ張られているのかもしれないと考えることができます。

 いずれにせよ、骨盤の上方が拡がった状態になっている人は座った時に骨盤が後方に倒れてしまいます。いわゆる「背中(腰部)が丸くなった悪い姿勢」が普通の状態になってしまいます。そして、このような骨盤の状態であるにもかかわらず見かけ上で良い姿勢を保とうとしますと、背中(背筋)に力を入れて反るようにしなければなりません。ですから、このような状態の人は背中が痛くなったり、首や肩が凝りやすい状態になりますし、猫背になる可能性も高くなります。

右利きの人は右の腸骨が拡がっている可能性が高い

 以前にも話題にしたことですが、右利きの人の場合、骨盤において仙骨の上部(尖骨底)が背面から見て右側に歪み、左腸骨が後傾し、右腸骨が背面から見て右側に拡がった状態になりやすい傾向があります。
 これは右足に体重を乗せている傾向と、右腕を伸ばしてたくさん使っている傾向によることなどによる結果の現れです。腰の筋肉は左側が右側に比べて硬く伸びにくい状況になっていますので、動作を行うと左腰に不調を感じるかもしれません。
 右側の腰の筋肉はゆるんでいる状態になっているので普段は違和感や苦痛を感じませんが、筋肉の働きが悪いので座った状態で上半身を前後に動かすなどして重みが掛かったり、あるいは座ったまま左側にある何かに手を伸ばそうとして上半身を左側に傾けますと、それらの動きが支えられなくて痛みを感じるかもしれません。

骨盤の開きと後傾

 骨盤はその構造的な仕組みとして、仙骨が下がる(後傾する)と骨盤上部が拡がって下部(坐骨結節)が狭まります。腹式呼吸で息を吸うときにこのような状態になりますので、骨盤や仙骨に手を当てながら腹式呼吸を行いますと、そのことが実感できると思います。
 腹式呼吸で息を数段階では、仙骨が少し後傾して下がりますが、それに合わせて骨盤上部が拡がります。そして息を吐く段階では、仙骨が少し前傾しますが、それに合わせて骨盤上部が狭くなる方向に動きます。

 つまり仙骨が要になりますが、通常は仙骨が前傾しますと骨盤上が狭く、下部が拡がった「ハの字型」の骨盤になり、お尻も上がった状態になります。反対に仙骨が後傾しますと骨盤上部が拡がり、下部がすぼんだ「逆ハの字型」の骨盤になり、お尻が下がった状態になります。
 私たち日本人はアフリカの人たちや欧米人に比べて骨盤が後傾している傾向にありますが、それが故にお尻が下がり短足に見えてしまいます。


 私たちの骨盤が後傾して上部が拡がっている傾向にあることは、私たちの姿勢にも影響を及ぼします。骨盤通りに座りますと自ずと腰が少し丸まった状態になりますが、それが故に私たちは椅子に座り続けていますと、その傾向が強まっていきます。椅子に座り続けて何時間も過ごす事務職の人、学生の人たちの姿勢が悪くなってしまうのは、当然の流れと言えばその通りだと思います。
 私たち固有の伝統的な文化である「正座」は私たちの骨盤が後傾しやすい傾向を修正するための合理的な座り方です。正座しながら骨盤を寝かせた座り方は、寄り掛かることができませんので普通は長い時間できません。ですからしばしば骨盤を立てて腹筋に力をいれるようになりますが、そうすることで骨盤の後傾による弱点を克服することが可能になります。現在の生活様式では、なかなか正座する機会は少ないかもしれませんが、姿勢を正したいと考えるのであれば、正しい正座を行う機会を増やすことは有効だと思います。

 さて、骨盤が不安定なために椅子に座ることが苦痛に感じるような人の場合、骨盤の開きを修正することで症状が消失することが多々あります。
 骨盤上部が拡がった状態になっている場合は、座面に着く骨盤下部(坐骨結節間)が狭くなっているわけですが、このような状態では座って骨盤に重みが掛かりますと、益々その状態が強調されてしまいます。
 座面に着く坐骨結節間が狭くなっているので座位の姿勢が安定しません。さらに骨盤上部が拡がっているので、腰部の筋肉が自らの能力をしっかり発揮できない状態になります。(専門的には、外腹斜筋と内腹斜筋のバランスが崩れ、それが腰方形筋の働きを悪くする要因になる)
 この状態は骨盤がグラグラしている状態ですから、それを補うために腰部や背中や腹部の筋肉が緊張状態になってしまいます。そして、それが腰痛の原因になりますし、座位での動作が緩慢になってしまう原因になります。座りながら物を取ったり置いたりするときに、静かで繊細な動きができずに、物を放り投げるような感じで扱ってしまうかもしれません。それはその人の性格ではなく、骨盤が不安定なだけかもしれません。

骨盤が不安定な状態の特徴

  • 仙骨が後傾して下がっているが同時に骨盤も後傾し、骨盤上部が拡がり左右の坐骨間が狭くなっている。
  • 座位が安定せず、立ったり座ったりする動作で負荷がかかると痛みを感じる。
  • 片側の坐骨だけでは上半身を支え切れないので、座った状態で遠くお物を取ったり、上半身を捻ったりすると痛みを感じる。
  • 骨盤を立てた状態で座ることが苦手なので、骨盤を寝かせて腰を丸めた悪い姿勢になりやすい。

骨盤の不安定さに関わる筋肉の変調と骨格

 まず、ギックリ腰や打撲による影響などで骨盤底に問題がある場合は、骨盤が不安定になりますが、それはこのシリーズの(1)(2)を参考にしてください。
 それ以外の理由で骨盤が不安定になる直接的な要因は、骨盤に関係する筋肉の変調です。

 ここでは、普通の人にたくさん見られるケースについて説明させていただきます。

  1. 縫工筋(ほうこうきん)のこわばり
     骨盤前面の上部に縫工筋があります。あぐらをかく動作の代表的な筋肉ですが、太ももを斜めに横切るように進みながら膝下の内側に付着しています。この筋肉がこわばりますと、骨盤前面を内側下方に引っ張るようになります。
     たとえば右側の縫工筋がこわばりますと、右側の腸骨は前面から見ますと内側に、頭部から見ますと反時計回りに歪みます。これを骨盤の背面で見ますと、仙骨から右の腸骨が離れる歪みとなりますが、この状態は「骨盤の右側が不安定な状態である」と判断することができます。

     

     たとえば、内股やO脚気味の人は立位で体重が足の小趾側に掛かる傾向がありますが、そのような理由でふくらはぎの骨(下腿)が外側に歪みやすくなります。あるいは、踵重心の人は膝裏が腫れぼったくなり、膝下の内側が凹んだ感じに見えますが、それはふくらはぎの骨が後方に歪んでいるということです。これらの歪みによって縫工筋はこわばりますので、結果論的に申しますと「内股の人、O脚気味の人、踵重心の人の骨盤は後傾して不安定であり、お尻が下がった状態になっている」となります。

  2. 前鋸筋(ぜんきょきん)―大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)のこわばり
     パソコン作業を業務としていたり、腕を伸ばした状態で力仕事をしたり、親指をたくさん使う仕事をしていたり、筆圧が高いなど親指と人差し指に力を入れて手作業をしてしまう癖のある人は肩甲骨を前に出す働きをする前鋸筋が強くこわばっている可能性があります。前鋸筋は脇の下~脇腹にかけてある大きな筋肉ですが、脇の下を指圧したときに「硬いな~」「痛!」と感じたならば前鋸筋がこわばっています。(おそらく胸式呼吸が不十分な状態で呼吸が浅いと思います。)

     前鋸筋は筋肉の連動として骨盤の前面~太股の真横に繋がる大腿筋膜張筋~腸脛靱帯と関係しますし、ふくらはぎでは膝下の真横にある長腓骨筋(ちょうひこつきん)に連動します。つまり前鋸筋がこわばっている人は太もも外側~ふくらはぎ外側の筋肉もこわばった状態になっていますが、その影響の関連で骨盤が外側に引っ張られる状態になっています。



     さきほど右利きの人は右側の骨盤が拡がった状態になっている可能性が高いと記しましたが、その理由は右側の前鋸筋がこわばっている可能性が高いからです。

     縫工筋、前鋸筋のこわばり以外の理由で骨盤が不安定になることもあります。腹筋のうち外腹斜筋と内腹斜筋は腸骨陵に付着していますので、これら腹斜筋のバランスの乱れで骨盤が不安定になることもあります。あるいは広背筋、腰方形筋などの影響も考えられます。
     しかしながら、上記で説明しました縫工筋と前鋸筋~大腿筋膜張筋の変調とそれに関連する骨格の歪みが原因になっている場合が割合としてかなり高いと言えます。

施術と対策

 骨盤の不安定が縫工筋のこわばりによる者である場合、その多くはふくらはぎの骨の歪みですからそれを修正する施術を行いますが、そのほとんどは足の半分より小趾側の筋肉のこわばりと第3腓骨筋のこわばりをゆるめる施術になります。

  1. 短小指屈筋(たんしょうしくっきん)のこわばりをゆるめる
     小趾側を中心に歩いている人は必ず短小指屈筋がこわばっています。この筋肉のこわばりは腓腹筋内側頭のこわばりにつながり、膝下の内側を凹ませる原因になります。
  2. 長腓骨筋と第3腓骨筋のこわばりをゆるめる
     長腓骨筋は前鋸筋とも連動しますが、そのこわばりはふくらはぎの骨を外側に歪ませる原因のひとつです。
     また、小趾側を中心に歩いている人は短小指屈筋同様、必ず第3腓骨筋がこわばっています。この筋肉のこわばりは外くるぶしを前方に歪ませますが、それはふくらはぎの骨を内側に捻ることにつながり、縫工筋のこわばりの原因のひとつになります。
  3. かかと外側のこわばりをゆるめる
     かかと重心の人は「膝裏が張っている」「膝裏が腫れぼったい」「ふくらはぎの裏側がいつも張っている」という傾向がありますが、かかとの靱帯や筋膜もコチコチに硬くなっています。加えて小趾側を中心に歩いている人は特にかかとの外側が硬くなっています。
     かかとの外側には踵腓靱帯(しょうひじんたい)がありますが、この靱帯が硬くなりますと、腓骨との関節に柔軟性がなくなり足首の動きが悪くなります。そしてその結果として、ふくらはぎの骨(腓骨)が外側下方に歪んで固定された状態になりますが、それも縫工筋のこわばりにつながります。

 また、縫工筋は上腕の烏口腕筋(うこうわんきん)とも連動関係にありまして、烏口腕筋は親指の使いすぎなどの影響をうけてこわばることがあります。ですから、手の問題で縫工筋がこわばり、骨盤が不安定になる場合もあります。

 縫工筋や大腿筋膜張筋をこわばらせる原因としてもっとも多いのは、小趾側を中心にして立ったり歩いたりしてしまうからだの状態です。
 この状態の特徴は、立位でも座位でも、太ももを上げ始める段階で股関節の外側の筋肉を使ってしまうことです。それは大腿筋膜張筋が主体となって太ももを上げている状況なのですが、本来正しい在り方は、股関節の内側の筋肉=大腰筋と腸骨筋を使って太ももを上げ始める状態です。
 ですから、施術としては上記で説明した筋肉を整えることになりますが、それだけでは使い方が変わらないので再び同じ状況に戻ってしまいます。ですから根本的な対策が必要ですが、それは股関節の内側の筋肉を使える状態することであり、常に下半身内側の筋肉がしっかり働ける状況になるよう修正して整えることです。
 O脚、ガニ股、内股等々、長年の癖によって現在の状態がありますので修正は一朝一夕にはいきませんが、忍耐強く取り組んでいただきたいと常々考えています。普段の筋肉の使い方が変われば、からだは楽になりますし、高齢になったときにそれが顕著に感じられると思います。

 前鋸筋のこわばりに関しての詳細は、「背中の張りと痛み 肩甲骨周辺」を参照してください。
 現代社会を生きる私たちは、前鋸筋がこわばりやすい環境にあります。スマホの文字入力、パソコン操作、介護、ピッキング作業、スーパーの品出しや商品揃えなどなど、腕を伸ばしての作業は前鋸筋のこわばりに繋がります。
 前鋸筋はこわばりますと肋骨の動きを制限しますので、呼吸が悪くなって息苦しさの原因になります。また、背中の痛みの原因にもなりますので骨盤の不安定に限らず、常に柔らかい状態にしておきたい筋肉です。

しなやかさと堅固さが必要

 私たちのからだはとても精巧にできていて知れば知るほど神秘的だと言えます。
 肉体は無数に存在する筋線維や組織の線維の微妙な働きよって成り立っていますが、「軟らかいながらも、肝心のところはカチッとしてしっかりしている」という特徴があります。
 私たちが何かの動作をするというのは、現象的には筋線維が伸びたり縮んだりするということですが、筋線維の働きが良ければそれで大丈夫かというとそうではなく、その動作を支えるための骨格がしっかりしている必要があります。
 例えば椅子に座る動作では、お尻(骨盤)が座面に接してから上半身の重みを受け入れるようになりますが、もし骨盤に柔軟性がなく機械のように硬い状態でしたらクッション性の乏しいゴツンとした座り方になってしまいます。
 坐骨に体重が掛かるにしたがって仙腸関節が拡がって骨盤にクッション性が現れるので上半身の重みを分散して受け取ることができます。ですから負担の少ない軟らかくスムーズな座り方ができるようになります。
 ところが仙腸関節が柔軟なだけでは、骨盤は拡がるばかりで安定して座ることができません。上半身の重みを受け取った後は、骨盤廻りの筋肉が働いて骨盤が拡がりすぎないように自動的に調整しますが、それによって骨盤が安定します。そしてこの骨盤の安定性があるので、からだを骨盤に委ねることでき、腹筋や背筋、太ももの筋肉はリラックスすることができるようになります。腰部の筋肉は緊張から解き放たれますので腰痛を感じなくてすむようになります。

 私たちの肉体はこのように「しなやかさと堅固さ」の両方を兼ね備えた非常に繊細な存在です。
 残念ながらレントゲンやMRIなどの検査機器では「しやなかさ」や「堅固さ」は測定したり、判断したりすることはできません。骨や骨格に異常が有るとか無いとか、神経やその走行に問題が有るとか無いとか、そのような判断基準では骨盤と腰痛の関係はまったく見当がつかないと思います。
 腰痛を着実に改善しようとするのであれば、実際に骨盤を触り、実践的に筋肉の状況を把握して調整することのできる職人的専門家が必要なのだと思います。

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 一瞬にして、あるいは急に腰が痛くなって辛くなる症状を「急性腰痛」と呼びますが、その代表は多くの人が知っている「ギックリ腰」です。
 多くの人は思っている「ギックリ腰」のイメージは、腰部のどこかが「グキッ」とか「ビリッ」とか「ピリッ」とかした直後から急激に腰が痛くなり、からだを思うように動かせなくなる状態かもしれません。
 それは確かに解りやすいギックリ腰の状態ですが、その他にもいくつかのパターンがあります。その時「アレ!」と感じて少し不安はよぎったけれど、たいして痛くならなかったし、動作も普通にできたので「セーフ」だったと安心していたら時間の経過とともに腰部に痛みを感じるようになってしまったという場合もあります。
 また、少し痛かったけど風呂でゆっくり温まったら痛みが消失したので、安心していたら次の朝ベッドから起き上がることがままならなくなってしまったという場合もあります。
 あるいは自分では「ピリッ」した感覚はまったく感じなかったので、ギックリ腰だと言われても信じられないけれど、実はギックリ腰だったという場合もあります。

 普段から腰が痛いとか、中腰の姿勢や腰を使う動作を行うと痛みを感じるという、いわゆる「腰痛持ち」の場合は「慢性腰痛」に分類されます。同じ腰痛でも急性腰痛(ギックリ腰)とは区別されますが、ギックリ腰と慢性腰痛は原因がまったく異なりますので、施術方法も違ったものになります。

症状は辛いが早く治るギックリ腰

 ギックリ腰の症状もレベルがいろいろありますが、「力が入らない」という共通点あるのが特徴的です。

  • 症状が酷い場合は、まったく身動きできないほど、全身に力が入らなくなる。
  • ベッドから起き上がることができない。
  • 椅子から立ち上がる時、椅子に座る時、手で支えないと動作ができない。
  • 何とか歩くことはできるけど、からだを真っ直ぐすることができない。
  • 洗面で前屈みになることや中腰の姿勢ができない。

 これらの症状は、腰部の筋肉が収縮できない状態なので「腰に力が入らない」「腰で支えることができない」ことが原因でもたらされるわけですが、その大元の原因は筋線維が損傷したことです。

 私はギックリ腰の状態を皆さんに説明するときに「それはキズです。肉離れなどと同じで、それまで耐えて頑張っていた筋肉や筋膜の線維が耐えきれなくなって損傷してしまったのです。」と申し上げています。

 「そして、損傷してしまう場所は骨盤の中でも中心になる仙骨・尾骨のところです。歩くとか立ち上がるとか、その他いろいろな動作に骨盤は関与していますが、その中心部分が傷ついて収縮できなくなってしまったので、動作を行う力が発揮できなくなってしまったのです。」
 「その傷の程度と大きさによって症状の程度にも差が出ますが、慢性的な腰痛とは違って傷さえ治ってしまえば、何事もなかったかのようにすっかり元の状態に戻ります。」
 「ただし、傷がしっかり治るまでケアしないと、いつまで経っても、何十年経ってもギックリ腰の影響は残ってしまいますよ。」
 と申し上げています。

 傷ですから、皮膚を外傷したのと同じで、元通りになるのに1~2週間かかるかもしれませんが、安静にしていることができれば、それで済んでしまう症状であるとも言えます。
 ただし今の世の中、1~2週間安静にしていられる人はほとんどいませんでしょうから、積極的なケアが必要になります。

ギックリ腰への施術

 ギックリ腰になるときの状況で多いのは、「ちょっとした瞬間」であり「ちょっとした動作」です。たとえばこれから非常に重たいものを持ち上げるなど、腰に力を入れたり、意識を下半身や筋肉に集中している時には、ほとんど患うことはありません。
 朝ベッドから起き上がる前に「伸びをした」ときにピリッとやったり、顔を洗おうと洗面台に上半身を屈めたときだったり、床に落ちている物を拾おうとしたときだったり、何気ない動作を行った時に患ってしまうというのが大半です。
 そんな大した動きでもない時に筋線維が損傷してしまうことは、普通に考えますと理屈に合わないことです。しかしながら次のように考えますと、ギックリ腰を患う仕組み見えてきて、どうすれば予防できるかという対策も見えてくると思います。

  1. 疲労蓄積や姿勢の悪さ、あるいは筋肉の酷使などによって、すでに骨盤の歪みが頑固な状態になっていました。ですから、骨盤に関係する筋肉には無理が掛かり続けている状況になっていました。
  2. 骨盤周辺の筋肉は強くこわばった状態になっているので、骨盤の中心の中心である仙骨・尾骨辺りの筋膜には四方八方から引っ張られる力が掛かり続けていました。しかし、筋膜は頑張って耐え続けていました。
  3. ところが「冷え」や「疲労」などの要因が重なって、筋膜が耐えきれない状態になってしまいました。ちょっとでもバランスが崩れますと、プッツンしそうな状況です。
  4. こんな状態の時に、一晩中エアコンを掛けていた、ビールを飲み過ぎてお腹を冷やしていた、冷たいベンチに腰掛けていた、アイスクリームでお腹が冷えていた、などの状況にからだがなってしましたら、ちょっとした動作でも筋線維が伸びなくなって損傷してしまうことは起こります。

 ですから、ギックリ腰に対する私の施術では、骨盤にテンションを与えている周囲の筋肉や筋膜の状態を整え、さらに骨盤の歪みを整えて、損傷した尾骨周辺が楽な状態になるようにします。そしてその上で、実際に損傷してしまった尾骨部を手当ての施術で修復するよう試みます。
 しかし、「傷」ですから手当てしてもすぐには修復されません。
 しかし、歩ける状態、無理のない範囲で仕事がこなせる状態にしたいですから、私はいつもの「ダイオード」を貼って補います。
 そして、大概(90%程度)は、以上の施術で良い状態になります。普通に立ち上がることができ、歩くことができて、中腰も無理のない範囲でできるようになります。

 「ダイオード」については以前にも説明させていただきましたが、私が好んで使っている道具です。
 それはラジオ部品として知られていますが、整流器であり、電気の流れを整える働きをするものです。
 私たちのからだには微弱な電流が流れています。そして神経の働きも、筋肉の収縮弛緩の動きもすべて電気的現象です。
 ギックリ腰に限らず、肉離れ、捻挫、打撲などによって筋線維や筋膜が損傷しますと、その部分の電気の流れが乱れた状態になると考えられます。ですから、筋線維は上手く収縮弛緩することができなくなりますが、それが損傷における「筋肉が働かない状態」として現れます。
 ですから、ダイオードを皮膚に貼ることによって乱れている電気の流れを整えるようにしているわけですが、これが思いの外、効果的です。
 但し損傷した部位にピンポイント的に合わせてピッタリと貼らなければなりません。少しでも位置が違いますと何の変化も起こりません。また、極性が間違っていますと逆効果になります。
 ダイオードによって皮膚や筋膜や筋線維の電気の流れが整いますと、おそらく修復速度も速くなるのだろうと思います。自己治癒力が発揮されやすい状況を作り上げる意味でも、ダイオードは効果的だと思います。

 よほどの重症でないかぎり、施術は一度で終わります。
 自動車の乗り降りに激痛が走ったり、しゃがむことができなかったり、痛くて寝返りができなかったり、腰(背筋)を伸ばして立ったり歩いたりすることができないなどの状態で来店されても、帰られるときは普通に近い状態になります。そして、そのまま一週間ぐらいすると元の状態に戻ると思います。
 ただし、稀に私の施術ではまったく改善されないということもあります。そのようなときには「どうしてなのだろう?」といつも考えるのですが、答えは解りません。

ギックリ腰に対する応急処置

 「ギックリ腰」に関して、私の同業者や整形外科学会や専門家達はどのような見解を持ち、どのような対処法を行っているのか検索してみました。
 原因についても、対処法についても、私の感覚からしますと明確なものは見つけられませんでした。曖昧な感じでお茶を濁しているような内容です。
 患った本人が知りたいことはもっと明確なことだと思います。ですから、これまでの経験から私の意見を述べさせていただきます。

 私は、今回説明させていただいた「尾骨周辺の損傷」以外にも腰部の筋肉をビリッとしてしまったもの、背骨(腰椎)を捻挫してしまったものなども知っています。そして、体質的と表現しても良いかもしれませんが、腰部筋肉の同じような場所を何度も何度も損傷してしまう人も知っています。しかし、それはとても少数派です。

 これまでの経験から損傷する場所のほとんどは尾骨周辺だと言えますし、それ以外の部位もたまに見受けますが、すべてに共通していることは、それは「筋線維や筋膜の損傷」であることです。外傷ではありませんが、内部に傷が生じてしまったのです。
 ですから、応急的対処法の第一は炎症が拡がらないように冷やすことです。おそらく腰部の痛みがもっとも強く感じられるでしょうから、そこに冷湿布貼って痛みは緩和するようにしてください。さらに尾骨周辺にも貼ってください。損傷部位の炎症が拡がらないように対処することはとても重要です。
 患った当日や翌日まではお風呂で温まることは控えてください。温まると腰部の痛みは軽減しますし、筋肉の働きも良くなりますので、症状が改善するかのように感じるかもしれません。
 ところが炎症は拡がりますので、翌朝まったく身動きできないというようなことが起こる可能性があります。

 仙骨・尾骨部の損傷であれば、骨盤は非常に不安定な状態になってしまいます。仕事の都合などで、どうしても安静にしていられないのであれば、腰痛ベルトを装着して骨盤を安定させるようにしてください。
 よほど酷いダメージでなければ、炎症が拡がらずに骨盤を安定させていれば、2~3日でだいぶ症状は緩和すると思います。そして歩ける状態になると思いますが、その時に手指を尾骨周辺にあてがってみてください。どこかに手指を当てると歩き方が楽になったり、腰が伸びて下半身に力が入るようになるところがあると思います。その部分が損傷部位になりますので、そこにピップエレキバンを貼ってください。できれば、もっとも弱い磁気のもの(80タイプ)をおすすめします。
 私はダイオードを使いますが、それは非常に専門的ですので普通の人には取り扱えません。弱い磁気を発するエレキバンはダイオードほどではありませんが、損傷部位を補う働きがあるようです。なるべく損傷部位にピタリと貼っていただきたいのですが、少々貼る場所が違っていてもある程度効果が期待できます。
 この状態を続けていただき、1週間程度無理しなければ症状は治まっていくのではないかと思います。
 炎症の具合にもよりますが、3日目くらいからはお風呂も大丈夫だと思いますし、その後は反対にお腹をよく温めて筋肉の働きがアップするように心がけてください。

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 腰痛の原因は様々です。そんな数多くある原因の中で、骨盤周辺を打撲したり損傷したことが原因で腰痛になってしまっているケースについてシリーズ化して取り上げてみます。いわゆる「ギックリ腰」もこの中に分類されます。
 
 その一回目としまして、尻餅をつくなど尾骨やその周辺を打撲したケースについて説明させていただきます。


仙骨を揉むと痛みを感じる=筋膜のこわばり

 尻もちをつくケースはいろいろあります。階段を踏み外したり足を滑らせて尻もちをついたり、スケート・スキー・スノーボードなどで尻もちをついたりした経験をお持ちの人も多いのではないでしょうか。
 そして、尻もちをついた経験のある人は仙骨・尾骨を中心に、その周辺部を打撲して損傷している可能性があります。


 
 仙骨は骨盤背面の中心部になりますが、その表層には筋膜があります。筋膜の状態が良好であれば、そこを揉みほぐしますと心地良さを感じると思います。ところが、この部分が硬くなっていたり、ゴリゴリしていたりして少し強めの力で揉みますと「痛い!」と感じる場合があります。
 それはは仙骨表層の筋膜がこわばった状態になっているということですが、その筋膜のこわばりによって仙骨と腸骨との関節(仙腸関節)が固まった状態になっていることがあります。

 通常の場合、椅子などに座りますと仙腸関節の柔軟性により骨盤下部が少し拡がります。それによって骨盤全体がクッションのように働いて上半身の重みを分散して緩和しますが、仙腸関節が固まっているような状態ではそれが叶いません。
 ですから、骨盤自体のクッション作用を使うことができないので、腰(腰椎)を丸めるようにして対応することになります。骨盤に柔軟性がないので、それを腰椎を丸めることで代償する自然な反応です。

 このような状態が恒常的になりますと本来は前弯しているはずの腰椎がストレート状態になったり、あるいは反対に後弯した状態になってしまいます。そうなりますと、正しい姿勢を保つことは苦痛になりますし、常に腰部にハリ感や重みなどを感じるようになってしまいます。多くの人たちが言うところの「姿勢が悪い」状態の典型です。

打撲と仙腸関節

 そして、この仙骨表層筋膜のこわばりと殿部の打撲には深い関係があります。
 たとえば尾骨の左側を打撲しますと、左側の尾骨筋とよばれる骨盤底筋が損傷状態になって働きが悪くなります。すると仙骨・尾骨と坐骨の関係に狂いが生じますので骨盤が歪んだ状態になってしまいます。骨盤はからだの中心ですから、その歪みの影響は全身の機能に及んでしまうと考えられます。それはからだにとって好ましくないことですから、からだは自らの修正機能を発揮して骨盤のバランスを可能な限り良い状態に保つように働くと考えられます。その一つの在り方として、働きの悪い尾骨筋を補うように仙骨左側の筋膜をこわばらせて腸骨及び坐骨が仙骨から離れないようにするのではないかと考えられます。

 仙骨表層の筋膜がこわばりますと仙腸関節は柔軟性を失いますが、その影響で腰部の筋肉は硬くなり、腰痛を感じたり、脊椎(腰椎)の変位(捻れ)を招くようになります。
 実際、私の娘も同様の症状を持っています。おそらく幼い時の打撲によるものだと思いますが、腰椎が捻れ、それが元の原因となって脊椎が側弯状態になってしまいました。
 子供たちは、よく転ぶし、尻もちもよくつくし、打撲もしばしばです。そしてその時は大変痛がりますが時間が経てば何事もなかったかのように元気になりますので、私自身も含めて親はその打撲による影響を深く考えないと思います。ところが、私の娘のようにその打撲による損傷によって脊椎の側弯が始まる可能性もあります。

 私たちの肉体には自然治癒力が備わっていますので、多くの場合、自然治癒力によって損傷が修復され、ほとんど影響が見受けられない状態になると思います。しかしながら損傷によるダメージが強くて、自然治癒力の能力を超えてしまいますと、損傷は癒されないままその影響は残ることになります。そして私の知るところでは、時間の経過に関係なく何十年でもその影響は残り続けます。
 ですから、幼い頃の殿部の打撲によって仙骨表層の筋膜がこわばり、仙腸関節の柔軟性が失われたことの影響は、30歳になっても、50歳になっても少しも改善されることなく、それによる症状が現れ続ける場合も少なからずあると言うことができます。

骨盤底筋の働きを回復させる

 膝の状態が悪い人が「膝をかばって歩いていたら腰が痛くなった」というようなこと言うことがあります。おそらくそれが、その人にとっての実感だと思いますが、それは理屈上も合理的な見解であると言うことができます。
 私たちの筋肉システムには、どこか一部分の働きが悪くなるとそれを他の部分が補うという仕組みが備わっています。それは素晴らしいことなのですが、その状態を長く続けていますと、補っている方の筋肉や筋膜がおかしな状態になってしまい、痛みや不具合などの症状を発することがあります。
 たとえば膝の力が乏しいので、それを補うように膝の分まで腰が頑張り続けています、腰は大きな負荷に耐え続けなければ成りませんので、やがて疲弊して腰痛になってしまうという具合です。

 今回の件に、この仕組みを当てはめて説明しますと以下のようになります。

  1. 仙骨・尾骨周辺の筋肉(=骨盤底筋)が打撲によって損傷し、働きが悪くなりますと仙骨・尾骨と腸骨や坐骨との関係に歪みが生じます。
  2. その状態では全身の働きに影響が及びますので、仙骨表層の筋膜がいつも以上に頑張って骨盤の歪みが最小限になるように働きます。それは筋膜にこわばりを生じさせますので、筋膜は硬くなってコリコリ状態になります。
  3. そして、この状態は仙腸関節の柔軟性が失われた状態ですので、骨盤のクッション作用が乏しくなる他、腰部の脊柱起立筋が硬くこわばってしまいます。それによって腰痛を招いたり、腰椎に捻れを生じさせる可能性が生じます。

 ですから、この状態を改善する正当な方法は、①の損傷した部位(骨盤底筋)の働きを回復させることです。それによって仙骨表層の筋膜や靱帯のこわばりが自ずと消滅するように仕向けることが道理に合ったやり方です。

骨盤底筋

 骨盤の上部は大きく開いて受け皿のような形になったいます。そして、小腸がそこに収まるようになっていますが、骨盤は内臓を支える骨格としも機能しています。
 また、骨盤の底面も穴の開いた構造になっていますが、その穴(骨盤下口)をふさぐように骨盤底筋があります。尿道や生殖器、肛門は骨盤底筋の中にありますが、骨盤底筋はこれら内臓や骨盤臓器が下に落ちないように支える役割をはたしており、そのためにとても丈夫な構造になっています。

 丈夫にできている骨盤底筋は、通常は硬くなることはあっても疲弊して働きが悪くなることは考えにくいのですが、今回話題にしていますように打撲による損傷や、出産後のケア不良、あるいは会陰切開などの影響で働きが悪くなることは十分に考えられます。
 また、本来は頑丈にできている骨盤底筋ですから、加齢などの要因を除いてなかなか疲弊しにくい特徴をもっている反面、一度働きが悪くなりますと回復させるまでに手間と時間がかかってしまうという特長もあるようです。これは私の感想ですが、施術経験における実感として、そのように感じています。

 ですから骨盤底筋の機能回復に取り組む場合は忍耐が必要になります。施術しますと機能が回復することは実感できるのですが、一週間後に確認したときには、また機能低下の状態に戻ってしまっている、という過程を何度か繰り返します。それは一種の「形状記憶状態」とも受け取れる感じです。
 しかしながら、めげることなく同じ施術を何度か繰り返していますと、形状記憶のベクトルがはずれるときがやってきます。するとベクトルが機能回復に向うようになり、やがて施術が実を結ぶ段階がやってきます。

硬いこわばりをゆるめるのは邪道

 仙骨表層の筋膜が硬くこわばっているが故に、姿勢が悪くなったり、腰痛に悩まされたりしている場合、筋膜を指圧やマッサージなどでゆるめますと、その場で姿勢が良くなったり腰痛が消失するようになります。しかし、それは極めて一時的なものです。「施術後は良くなったけど、翌日にはすっかり元の状態に戻ってしまった」ということになってしまいますが、それは元の原因にアプローチしているわけではないので、当然のことです。

 しかしながら、私がお客さんたちから聞いている話を総合しますと、他の治療院や鍼灸院などでは「硬いところをゆるめる」手法をとっているところが多いようです。整形外科などにおける低周波治療も同様です。
 この方法は上記で説明しましたように、正当な方法ではないと私は考えています。そして何度も何度もゆるめる手法ばかりを行っていますと、確かに仙骨表層の筋膜のこわばりは完全に解消するかもしれませんが、すると、骨盤底筋でも支えられず仙腸関節でも支えられないという状況になりますので、腰痛に加えて坐骨神経痛や別の症状が現れるようになる可能性があります。
 現にそのような人たちが来店されていますし、それは「こじらせて悪化した状態」ですから、回復させるのが益々大変になります。

 多くの人たち、それは専門家も含めてですが、「硬い緊張状態を和らげれば、症状は治まる」との先入観念を持っているようです。

  • 腰痛であれば、一生懸命腰をもんだり、指圧したり。
  • 五十肩で関節が廻らなければ「固まらないように」と痛みをこらえてでも無理に可動域を拡げるように肩を廻してみたり。
  • ふくらはぎが張って辛くなれば、ふくらはぎを一生懸命揉んでみたり。

 これらは直接的であり、パフォーマンス的に正しいように見えますが、ほとんどの場合、それは適切な手段ではないと考えられます。
 手や指先などをはじめ「使いすぎて硬くなってしまった」という筋肉のこわばりに対しては揉みほぐすなどゆるめることで対応することは正しい手段です。しかしながら、今回のように「どこかの働きが悪くなったのを補うために硬くなっている」というこわばりに対しては、それをゆるめる手段は間違いとなります。
 ちょっと解りづらい内容になってしまいましたが、そのことを是非知っていただきたいと思っています。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
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 私たちは自然界に誕生しましたので、からだは自然界そのものであり、当然自然界からの様々な影響を受けて変化しています。
 「台風や低気圧が近づくと体調が悪くなる」
 「気温の高低差が激しいと、からだがついて行かない」
 当院に来店される人達がよく口にされることですが、ある程度年齢を重ねますと、私たちは自然界からの影響に俊敏に適応できなくなり、このような感想を持つようになるのかもしれません。

 今、季節は春ですが、この時期は花粉症で苦しむ人も多いように私たちのからだが自然界との関係でいろいろな変化を経験する時期でもあります。自然界も冬から新しい季節に向けて変化をし始めている時期であり、「春一番」「春の嵐」「三寒四温」など、私たちの体調にとって厄介な時期でもあります。
 さて、今回の話題は「春先は呼吸系の働きが低下し、その影響で腰もスッキリしなくなる」というものです。呼吸系と腰とは関係が薄いように思われると思いますが、実はかなり関係が深いというお話しです。

 呼吸系と申しますと、それは鼻であり、気管支や肺になりますので、花粉症のこの時期「春先に呼吸系が不調になる」というのはイメージしやすいことだと思います。

 ここで呼吸運動に関係する諸器官について説明させていただきます。
 呼吸で息を吸うとき、通常(口呼吸の人は別)は鼻の穴を通して空気を取り入れますが、正常であればその空気は頬と額にあります副鼻腔を通過した後、気管を通って肺に入っていきます。外気は春先であればまだ冷たいですし、乾燥もしていますので、鼻の穴を通しただけで肺に送られますと気管や肺を冷やすことになってしまいます。それはからだに負担を掛けることになりますので、そうならないように私たちのからだには副鼻腔があります。副鼻腔は鼻から取り入れた外気の温度と湿度を調整し、さらに汚れを除去する働きをしています。副鼻腔を通過した外気は瞬時に理想的な状態に調整されるということですが、そうすることで肺はガス交換を効率よく行うことができるようになるとのことです。ですから、鼻が詰まって鼻呼吸ができなかったり、あるいは鼻呼吸はしていても副鼻腔に空気が入らないような状態では、ガス交換の効率も悪くなりますし、肺や気管支に余計な負担を掛けてしまうことになってしまいます。
 また、肺は呼吸運動とガス交換の要となる大切な器官ですが、肺自体は筋肉ではありませんので、自らの能力で膨らんだり縮んだりすることはできません。肺は袋のようなもので、それが収まっている胸郭が膨らんだり縮んだりすることを利用して空気を出し入れする仕組みになっています。ですから、胸郭が十分に膨らんだり縮んだりすることができなければ、呼吸運動は不完全なものになってしまいます。

 胸郭は12本の肋骨でできている籠のよなものですが、その底にあります横隔膜(筋肉)が伸縮することで胸腔が拡がったり狭まったりします。この原理を利用して肺が膨らんだり(吸気)縮んだり(呼気)しますが、この呼吸を腹式呼吸と呼びます。
 また胸郭を形成しています肋骨と肋骨の間には外肋間筋と内肋間筋の二種類の肋間筋があります。外肋間筋は吸気の時に収縮しますが、それによって下の肋骨を引き上げます。見た目には、肋骨が持ち上がって胸の厚みが増す状態になります。内肋間筋はこれとは反対に、息を吐き出す(呼気)時に収縮しますが、それによって上の肋骨を引き下げます。見た目には、肋骨が下がって胸の厚みが減る状態になります。つまり二つの肋間筋が働くことによって胸郭が持ち上がり息を吸い込むことができ、胸が下がって息を吐き出すことができるわけですが、この呼吸を胸式呼吸と呼びます。
 つまり呼吸運動には横隔膜主体による腹式呼吸と肋間筋主体による胸式呼吸があるわけですが、両方の呼吸方法が機能していて、且つ、それらがリズミカルに関連しあっている状態が理想的な呼吸状態であると言うことができます。
 風潮として、腹式呼吸ばかりが強調される傾向があるようですが、お腹ばかりが出っ張ったり凹んだりして胸郭がほとんど動かないような状態は決して良いことではありません。
 例えば、言葉を続けるのが苦手だったり、カラオケのテンポの速い歌でブレス(息継ぎ)が上手くできなかったりするのは、瞬間的な胸式呼吸ができないからですが、その理由は肋間筋の働きが悪くて胸郭が動かないからだと考えることができます。

 さて、今の時期、多くの人の胸郭は下がっています。その理由の多くは内肋間筋がこわばっているからですが、それは副鼻腔の状態と関係が深いように私は感じています。
 副鼻腔はいくつかありますが、その中で頬骨の下にあります上顎洞と額にあります前頭洞が状態を把握しやすいものです。

 上顎洞は鼻の真横に位置していますが、そこは上顎骨と頬骨の関節部分に近いところです。そしてその部分の表層は眼輪筋の下端や上唇鼻翼筋、上唇挙筋といった表情筋に覆われていますので、本来は指圧すると「筋肉」とわかるところなのですが、この時期はカチカチに硬くなっていて、骨と間違って感じてしまう人も多くいます。そして、そんな人は副鼻腔(上顎洞)の状態も芳しくなく、鼻から息を吸っても副鼻腔の中に空気が入りにくい状態になっています。私はこのような状態の時は内肋間筋もこわばっていて上手く吸気ができないと認識していますので、持続的な表情筋への指圧によって硬さを除去し、副鼻腔に空気が通るように施術を行います。だいたい5分間くらい指圧し続ける感じですが、そうしますと次第に鼻呼吸が大きくなり、併せて胸郭も動き出すようになります。胸式呼吸が復活しますので、全体的に呼吸状態が改善してからだも楽になります。

副鼻腔と腰との関係

 今の時期に目立つことですが、後ろ姿で、右肩甲骨と左肩甲骨の間が大きく拡がっている人がいます。その理由は、背骨と肩甲骨を繋いでいます大菱形筋(だいりょうけいきん)がゆるんで伸びた状態になっているからです。そして、大菱形筋は筋肉の連動として腰部の大腰筋と連関しますので大腰筋の働きも悪い状態になっています。

 大腰筋は腰部の状態に大きな影響力を持つ筋肉です。腰椎の椎体から骨盤の前面を経由して大腿骨(小転子)に繋がっていますが、腰椎をグイッと前に引っ張り、腰椎の前弯を実現しています。大腰筋の働きが悪くなりますと、腰椎の前弯が乏しくなったり、あるいは腰椎が後方に出っ張るようになってしまうかもしれません。いつも骨盤を含めて背中を丸めて座っている人は、腰椎が後方に出っ張った状態になっていると思いますが、そのような人は大腰筋の働きが悪くなっています。

 「姿勢を正すように背中を軽く反ってみてください」と座った状態でやっていただいたときに、何処を支点にして背骨を反っているかが私にとっての注目ポイントです。大腰筋がしっかり働いている人は、腰椎下部を支点にして仙骨を前傾させるようにして背骨を反るようになります。このような人は骨盤の状態も良くて、座り姿勢も立ち姿勢もスッキリしています。ところが大腰筋の働きが悪い人は腰椎部分を反らすことができませんので、背骨の上の方を支点にして反るようになってしまいます。このような人は背中を反る、あるいは背筋を伸ばすことが苦手ですから、正しい姿勢を保つことが辛く感じます。立ち姿も「出っ尻出っ腹」に近い感じになってしまいます。

 ですから、大腰筋の働きを高めて骨盤や腰部の状態を改善しようとするのであれば、連動する大菱形筋の働きを高めて拡がってしまった肩甲骨間を本来の位置にもどるようにする必要があります。そしてこの時の重要なポイントとして下位頚椎の在り方があります。

 頚椎は7個ありますが、3つの斜角筋(しゃかくきん=前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋)が第1肋骨、第2肋骨と頚椎を繋いでいます。そして斜角筋がこわばった状態になりますと頚椎を肋骨の方に引っ張るようになります。
 ここからはかなり専門的な内容ですが、特に後斜角筋がこわばりますと第5頚椎、第6頚椎が下を向くようになりまが、それによって大菱形筋がゆるんだ状態になってしまいます。(同時に脇の下の大円筋と小菱形筋はこわばります)
 第5、第6頚椎が下を向いた状態は、立位で、背筋を伸ばして首も真っ直ぐにしようとしても、何となく首のつけ根のところで頚椎が前に落ちてしまい、首が真っ直ぐにならない状態として感じ取ることができると思います。
 このような状態の時に、第5、第6頚椎の後側にあります出っ張り(棘突起)を下方に引き下げる(頚椎自体は上を向く)ようにしますと、首も自然と真っ直ぐになり、大腰筋の働きも良くなりますので腰部も伸びる感じがすると思います。

 話を副鼻腔と内肋間筋と大菱形筋と大腰筋の関係に戻しますが、顔面の筋肉が硬くなったり季節的な理由で副鼻腔の働きが悪くなりますと、同時に内肋間筋がこわばってしまい胸郭(肋骨)が下がったままの状態になってしまいます。
 肋骨が下がった状態になりますと後斜角筋がこわばってしまい、第5、第6頚椎を下向きの状態にしてしまいます。すると大菱形筋の働きが悪くなって肩甲骨間が広がった状態になりますが、同時に連動する大腰筋の働きも悪くなりますので、腰椎の前弯が乏しくなって腰部の状態も悪くなってしまいます。
 立った状態でも、歩いている時でも、なんとなく上半身を腰に乗せることができなくて「出っ腹出っ尻」になっているように感じたり、あるいは座った状態で背筋を伸ばす動作をした時に、不自然さや疲れを感じたりするようであれば、それは大腰筋の働きが悪いからかもしれません。
 そして大腰筋の働きが悪くなる理由の一つとして大菱形の働きが悪くなっていることがありますが、季節的な要因として、花粉症のこの時期は副鼻腔の状態が悪くなっていることが原因になっている可能性が高いと考えられます。
 実際、この時期に来店されるほとんどの人に副鼻腔を機能的な状態に戻す施術を行っています。

 また、副鼻腔以外の原因で第5、第6頚椎が下を向いてしまうこともありますが、それは今回のテーマから外れてしまいますので、またの機会にしたいと思います。

足つぼ・整体 ゆめとわ
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 2年前に頚椎ヘルニアの手術を行った後から肩こりが辛くなり、慢性的な腰痛に悩まされている50代の女性が来店されました。お仕事は和菓子の販売で、長い時間立ちっぱなしで動くこと(歩き回るなど)もあまりないということです。
 
 からだを観察しますと、背面の首~背中~骨盤にかけてピーンと張り詰めた太い筋がありました。強い脊柱起立筋のこわばりなのですが、これが原因で腰を動かすと痛みを発することが一目瞭然です。また、仕事で立ち続けてことだけも腰痛を感じるとのことでしたから、他にも問題があることが予想されました。

手術痕の影響_頚椎ヘルニア

 頚椎ヘルニアの場所は頚椎5番と6番の間で、手術は首の前面を切開して行われていました。
「横に切っているのか‥‥」というのが私の最初の印象でした。手術については全く知りませんので、頚椎ヘルニアでは横に切るしかないのかもしれません。ところが、このブログで何度か説明してきましたとおり、からだの中のエネルギーの流れは原則として縦方向です。横方向にメスを入れることは、大きな幅でエネルギーの流れを弱めてしまうことになります。
 「ちょっと厄介かな」と思いながらも、手術でメスを入れたところを人差し指の腹で隠すように手を当てました。1分くらい手を当ててますと、強く張っていた首筋がゆるみはじめました。そして背中や腰部を確認しますと、同じように最初の時の強いこわばりに変化が起こっておりまして、筋を強く圧してもそれほど痛みを感じなくなっていました。
 それで、手術でメスが入った部分に粘着力の弱い1㎝幅の絆創膏を貼りまして皮膚を補い、エネルギーが少しでも多く流れる状態にしまして、残りの「じっと立ち続けるだけでも腰が痛くなる」問題に取り組みました。

 前回のO脚に関する投稿で「次回は膝関節で膝窩筋がこわばっていることについて」という主旨の予告をさせていただきましたが、この方の膝窩筋もこわばっていまして、その影響が腰痛に反映されていました。

膝窩筋

 私たちのからだには、姿勢のそれぞれで、より効率良く、より楽な状態になれるような仕組みがあります。座った時には骨盤(坐骨)にからだを乗っけることが座った姿勢を楽に保つ仕組みです。そして立った姿勢を楽に保つための仕組みの一つとして“膝がロックしてからだの重さを骨で受け止める”というのがあります。本来、脚(下肢)の骨格は大腿骨と脛骨・腓骨に膝関節で分かれていますが、それを膝関節をロックすることで、あたかも一本の骨のような状態にして、太股やふくらはぎの筋肉の負担を軽減するようにしています。
 例えば床の上に長座して膝関節をを90°くらい曲げた状態にします。そこからゆっくり膝を伸ばしていきますと、床と一直線になる手前で膝下(脛骨)少し外側に廻ります。この脛骨の外旋によって膝がロックされ、大腿骨と脛骨が一直線のようになります。今度は床の上にすっかり伸びた状態の膝関節を浮かすようにして膝を曲げ始めますが、その曲げはじめの最初の段階で脛骨が僅かに内側に捻れます。このちょっとした脛骨の内旋によって膝関節のロックが外れ、膝を曲げることができるようになります。
 そして、この時にロックを外すために働く筋肉が膝窩筋です。膝窩筋は膝を真っ直ぐ伸ばした立位の時には少しゆるんで膝関節のロックを可能にし、膝を曲げるときに収縮して脛骨を内旋させて膝のロックを外し膝関節がスムーズに動くことを可能にしています。歩く動作では、膝が伸びたり曲がったりする度に弛緩したり収縮したりを繰り返しているわけです。
 さて、この膝窩筋がこわばって弛緩しない状態になったとします。すると膝関節がロックされませんので、立位で大腿骨と脛骨の一体化はおこなわれません。見かけ上は膝が真っ直ぐになっているように見えても、実は少し曲がった状態で立っています。太股の筋肉もふくらはぎの筋肉も楽な状態にはなりません。ですから、立ち続けていることは非常に辛いことです。そしてそれが腰痛となって現れたりします。

 この女性が、長時間の立ち仕事が腰痛を招いていしまう原因はここにあります。
 膝窩筋がこわばる理由については小殿筋、棘上筋、肘筋との連動なども考えられますし、他の要因かもしれません。それをじっくり探っている時間はありませんでしたが、足裏の母趾と2趾の間の踵近くがひどくこわばっていまして、それを指圧でゆるめますと膝窩筋もゆるみましたので、立ち続ける動作をそこに力を入れて支えていたのかもしれません。
 
 膝窩筋のことは近いうちに投稿しようと原稿を書き始めています。その中で詳しく説明したいと考えています。
 今回は頚椎ヘルニアの手術を受けて慢性腰痛になってしまった方が来店されましたので、一つの情報としてお知らせしようと思い、臨時的に投稿させていただきました。
 頚椎ヘルニアに限らず、手術をしようかどうかと考えられている人の参考になればと思います。
 また外科の先生の目にとまるのであれば、医学界が無視しているように見受けられる予後の問題の一つとして、「手術痕がからだに及ぼす影響」があることを知っていただき、患者さんの予後についてもっと考えていただきたいと、そう思います。

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