ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

カテゴリ: 首・肩・背中

 首を回旋したり横に倒したりすると肩上部が張って痛くなったり、じっとしていても常に肩上部に張
りを感じてしまうという場合、一番疑われるのは肩甲骨のズレです。
 首から肩甲骨につながっている筋肉には僧帽筋(上部線維)、肩甲挙筋、肩甲舌骨筋があります。肩甲舌骨筋は目立たない筋肉で、専門家の間でもあまり取り上げられない筋肉ですが、実際のところ、肩上部の張りや不具合にとても深く関与しています。
 これら3つの筋肉で、僧帽筋と肩甲挙筋は首の後面~肩甲骨にかけての張りをもたらしますが、肩甲舌骨筋は首の前側、喉仏の直上にある舌骨と肩甲骨の上面を結んでいますので、印象としては“首の真横”に張りをもたらし、首を回旋したり横に倒したときに“肩の真上”が痛むといった症状をもたらします。

僧帽筋上部線維と肩甲挙筋
 いわゆる“肩こり”で一番気になり、ついつい手がいってしまうのが、僧帽筋上部線維です。肩甲骨を持ち上げたり、腕を挙上したり、頭を後に倒すきに収縮する筋肉です。筋肉をたくさん鍛えているアスリートの首が短く見えてしまうのは、僧帽筋がとても発達しているからです。私のように肩の揉みほぐしを行っている施術者にとってこの筋肉が発達している人は、首肩の奥の方にある筋肉に手が届きにくくなるため、施術のしづらいタイプとなります。
 
首の運動制限に関わる筋01

 肩甲挙筋は頚椎の1~4番と肩甲骨の内側上面を結んでいますので、頚椎の歪みと関係する筋肉の一つです。その点が施術において重要なポイントとなります。また、目を動かす筋肉(外眼筋)と繋がりが深いので、“目が凝ってこめかみが張ると、肩甲挙筋が張ってしまう”という事象が臨床的に大切なポイントとなります。
 首を下方に向けたときに首の後面~肩甲骨の内側にかけて張りや痛みを感じる場合は肩甲挙筋の張りが疑われます。

肩甲舌骨筋
肩甲舌骨筋

 肩甲舌骨筋は一般的にマイナーな筋肉ですが、声楽家など発声に関係する人たちにとっては重要な筋肉であると考えられているようです。頚椎の3~4番の前面には宙に浮いた状態で舌骨があります。舌骨は舌(舌筋)の出発点ですから舌の動きや状態に関係します。舌骨が捻れていますと舌を噛みやすくなったり、滑舌が悪くなったり、無呼吸症候群になったりします。
 前述しましたとおり肩甲舌骨筋の張りは首の側面~肩上部の張りや痛みをもたらしますが、その原因として考えられるのは①舌骨がずれていること、②肩甲骨がずれていること、③発声によってこわばってしまったことなどが主なものです。一般の発声でこわばることは考えにくいですが、声楽家のように大きな声を連続して、かつ微妙な喉や舌の使い方を頻繁にされている人はこわばる可能性が高いかもしれません。大きな声を出すと肩に張りや凝りを感じるようでしたら、肩甲舌骨筋のこわばりが疑われます。

 舌骨がずれることでもたらされる肩甲舌骨筋のこわばりは、①頚椎の捻れ(舌骨が頚椎3~4番の前面にあるので)、②噛みしめや片噛み(噛みしめている方に舌骨はずれる)、③持ち上げる動作でこの筋肉を使ってしまう、などが考えられます。
 舌骨にはこの筋肉以外に顎二腹筋、頚突舌骨筋という筋肉がつながっています。噛みしめや片噛みによってこれらの筋肉がこわばりますと、そちらの方に舌骨が引き寄せられますので反対側の肩甲舌骨筋が張ってしまうということになります。右側ばかりで噛んでいる人は舌骨が右側にずれます。すると左側の肩甲骨と舌骨の距離が少し遠くなりますので、それを結んでいる肩甲舌骨筋が張ってしまうようになるという理屈です。
 また、例えば四十肩や五十肩になって、あるいは腕や肩に力が入らない状態になって肩関節が上手く使えない状態なのに重い物を持ち上げたり運んだりしなければならない状況になったとき、私たちのからだは肩関節の筋肉ではなく僧帽筋や肩甲挙筋や肩甲舌骨筋や菱形筋を使って肩甲骨そのものを挙げることで動作を行おうとしてしまいます。これは肩関節周囲炎の状態が悪化した人にとてもよく見られる現象ですが、「腕で持ち上げられないので肩で持ち上げてしまう」という表現があてはまるかもしれません。
 この状態が長く続きますと、僧帽筋、肩甲挙筋、肩甲舌骨筋、菱形筋はとてもこわばってしまいます。常に張りを感じるだけでなく、ちょっと触っただけでも痛みを感じたり、指圧などされたときには耐えられないくらいの痛みを感じるかもしれません。

肩甲骨のズレと首の動き
 肩甲骨と首を結んでいる僧帽筋、肩甲挙筋、肩甲舌骨筋は肩甲骨のズレによって影響を受けますので、肩甲骨のズレが原因で首の動きが制限されてしまうことが考えられます。
 肩甲骨のズレには幾つかのパターンがありますが、首の動きを制限する代表的なもの二つを取り上げてみます。
①肩甲骨が外側にずれると3つの筋肉は全部張ってしまう
 筋肉は骨と骨を結んでいますので、2つの骨の位置関係が本来の状態より遠くなりますとピーンと張ってしまいます。位置関係を元に戻そうとする力が働きますので筋肉はこわばります。反対に骨の位置関係で距離が短くなりますと筋肉はたるんでしまい上手く働けなくなります。
 これは電柱と電線の関係をイメージしていただければわかると思います。2つの電柱とそこに張られた電線は、ちょうどよい張りのバランスを保っています。ところが何かの影響で、たとえば地震で電柱の1本が倒れかけて電柱間の距離が遠くなったとします。すると、それまで良いバランスで張られていた電線には強い負荷がかかることになり、電線は頑張らなければならない状態になります。頑張りきれなくなりますと切断してしまいますが、これと同じような状態が骨と骨の間が離れたときの筋肉の状態にあてはまります。筋肉は頑張り続けなくてはいけませんので、身を縮めるようにこわばって硬くなってしまいます。頑張り続けることで一杯一杯になり、もはや柔軟性は期待できませんので、首の可動域がとても狭くなってしまいます。
 そしてこれまで幾度となく取り上げてきましたが、肩甲骨を外側にずらす原因の一番は前鋸筋です。前鋸筋は肩甲骨を外側や前方に出すときに働く筋肉ですが、パソコン操作をはじめ、私たちの現代の仕事は腕を前に出しっぱなしにすることが多いので、この筋肉がこわばっている人が大変多いです。自分は猫背だと感じている人はまず間違いありません。

②肩甲骨が下にずれると肩甲挙筋の張りが目立つ
 肩甲骨を下にずらす筋肉の代表は僧帽筋の下部線維です。同じ僧帽筋ですが、上部線維がこわばると肩甲骨が上に上がり、下部線維がこわばると下に下がります。またムチウチなどの影響で上部線維の働きが悪くなりますと肩甲骨は下がってしまいます。その他には菱形筋の働きが悪くなったり、胸にあります小胸筋の働きが悪くなっても肩甲骨は下がってしまいます。
 僧帽筋下部線維のこわばりに焦点を当てて考えますと、ポイントは胸椎下部の歪みです。僧帽筋は背骨の真ん中にあたる棘突起と肩甲骨を結んでいますので、棘突起が右側に歪んだり、胸椎自体が右側にずれますと左側の僧帽筋はこわばることになります。胸椎の最下部12番は腰椎との関節部分になりますが、腰椎や仙骨の影響を受けます。つまり下半身からの影響で歪みやすいポイントであるといえます。
 胸椎12番が下半身からの影響で右側にずれ(頭から見て反時計回りの捻れ)ますと左側の僧帽筋下部線維がこわばり左の肩甲骨を下げてしまい、左側の僧帽筋上部線維と肩甲挙筋がこわばり張ってしまいます。例えば(からだに歪みのない人が)椅子に座るとき左脚を上にするように脚を組みますと仙骨が右側に捻れ(頭から見て反時計回り)ますが、それに合わせて胸椎12番も同じようになり左肩が下がります。脚を反対にして右脚を上にしますと、これとは反対の現象がおこり右肩が下がります。これは骨盤の歪み~背骨の歪み~肩甲骨の歪みとつながる骨と筋肉の連動関係ですが、私たちのからだはこのようにして全身がつながっています。

 またムチウチで後頭部の首付根付近を伸ばしますと、それは間違いなく僧帽筋上部線維の働きを悪くします。それによって肩甲骨は下がってしまい常に肩甲挙筋など首筋が張ってしまうという状態を招きます。
 その他に肩甲骨が後方(背面方向)にずれても肩甲挙筋が張って下を向きづらくなりますが、これは骨盤の後傾、あるいは噛みしめや歯ぎしりによる胸鎖乳突筋のこわばりと関係します。
 右利きの多くの人は、左側の腰骨(腸骨)が後に傾いている傾向があります。すると肩甲骨も連動して左側が後に傾きます。そうなりますと頚椎と肩甲骨の距離が離れますので、肩甲挙筋や僧帽筋上部線維がこわばってしまい、下を向くと首の左側後部に張りを感じて動かしづらくなります。
 
胸鎖乳突筋と肩甲骨の関係

 また鎖骨につながっている胸鎖乳突筋がこわばって縮みますと、鎖骨を背面に引っ張ります。鎖骨は肩甲骨とつながっていますので、肩甲骨も背面方向にずれてしまうという理屈です。左右の鎖骨を触ったときにどちらかの鎖骨が「引っ込んでいる」と感じたときには、そちらの鎖骨が背面方向にずれていて、同様に肩甲骨もずれている状態であると判断することができます。
 こんな時には、首筋をいくら揉んだとしても張りはとれません。揉まれているときには気持ちよさを感じるかもしれませんが、揉み終えた瞬間からまた張りがやってきてしまいます。(筋肉の働きが戻らないほどに揉み倒してしまえば別ですが)

 以上、“肩甲骨のズレは首の動きを制限する”ということを説明してきましたが、肩甲骨の位置を本来の状態に戻して首の運動をスムーズにすためには次の項目をチェックして整える必要があります。

 1.手や腕からの影響の有無‥‥前鋸筋‥‥肩甲骨の外方、前方へのずれ
 2.舌骨の位置による影響の有無‥‥目・噛みしめ・片噛み‥‥肩甲舌骨筋のこわばり
 3.頭部や頸部の損傷による影響‥‥ムチウチ、寝違え、打撲‥‥僧帽筋上部線維、肩甲挙筋などの損傷によって肩甲骨が下がっていないか。
 4.胸椎の捻れや歪みによる影響の有無‥‥胸郭や骨盤の歪み‥‥僧帽筋下部線維や広背筋のこわばりにより肩甲骨が下がっていないか。
 5.骨盤の影響による肩甲骨の後傾の有無‥‥腰骨と肩甲骨の連動関係‥‥下半身からの影響で首筋が張っている可能性。
 6.噛みしめや片噛みにる肩甲骨のずれの有無‥‥鎖骨の歪み=肩甲骨の歪み‥‥胸鎖乳突筋のこわばりは肩甲骨を後にずらす。
 7.僧帽筋上部線維、肩甲挙筋、菱形筋、肩甲舌骨筋、小胸筋など筋肉自体の変調の有無‥‥肩関節の状態と関係‥‥腕で持ち上げられないので、これらの筋肉を使って作業を行っている可能性はないか。

 これらのことをチェックして整えれば、肩甲骨のズレによる首の動作制限や痛みの問題はほとんど解決します。ただし、時々手強いと感じる時もあります。
 代表的なのは、四十肩・五十肩を悪化させてしまい時間が経過した状態の時です。「7」のように筋肉自体が強くこわばってしまった場合は、それをゆるめる施術が痛いですし、これらの筋肉を使って腕を動かす癖が抜けないため1週間後にはまた強いこわばりの状態で来店されるようになってしまいます。五十肩(肩関節周囲炎)をこじらしてしまいますと肩関節を動かすための筋肉がほとんど働かない状態になりますが、それを補うように今回取り上げた肩甲骨を動かすための筋肉を代用してしまう癖がついてしまうのです。その癖を抜け出すまでに労力と時間がかかってしまうのが実際です。

 首の運動を制限して痛みをもたらす要因として、前回は“頚椎の歪み”を取り上げ、今回は“肩甲骨のズレ”を取り上げましたが、もう一つ大きな要因があります。それは胸郭(肋骨)の歪みとそれに関係する筋肉の変調です。これについては次回に説明させていただきます。

 首を回旋したり上下や左右に動かそうとした時に痛みを感じたり、途中までしか動かない場合、考え方は大きく二つに分かれます。一つは頚椎が捻れたり歪んだりして、骨の動きに制限がかかってしまうことです。もう一つは首や肩の筋肉が張っていて、首の動きを制限してしまうことです。
 ともに首の筋肉に張りやこわばりができますが、頚椎に近いところに触れたときピンポイント的に痛みが出る場合は頚椎の捻れ、首筋全体が張っていて押すと痛みを感じる場合は首に繋がる筋肉のこわばりが疑われます。
 今回は頚椎の捻れが原因となっている場合について取り上げます。

上部頚椎の捻れ‥‥頚椎1番と2番
 後頭部の真ん中の出っ張り(後頭隆起)に手をあて、まっすぐ下に降ろしてきて首のつけ根の凹んだ部分を通過して次にぶつかる骨の出っ張りは頚椎2番の棘突起です。首を下向き加減で、少し強めの力で圧しながら触ると棘突起がわかりやすいかもしれません。その棘突起は真っ直ぐのライン上にありますでしょうか。
 
頚椎の捻れ_C1右C2左

 頚椎に問題があるときに多く見られるのは、2番の棘突起が左側にずれていることです。この場合は首を左側に回旋することが苦手だったり、回旋し始めに違和感や痛みを感じると思います。
 頚椎2番が左に捻れる理由はいくつかかんがえられますが、一番手強いのはその上部の頚椎1番が右側に捻れ、その反動で2番が左に捻れることです。頚椎1番の捻れは後頭骨の歪みや片噛み癖、目を動かす筋肉のこわばりなどが関係します。右目ばかりを使っているか、右の方ばかりを見ていると頚椎1番は右にずれます。右側ばかりで噛んでいても同様です。
 首の動きが制限されて痛みが出るほどの状態であれば、噛む筋肉や目を動かす筋のこわばりがかなり強いことが考えられます。また、頚椎1番・2番は次に説明します頚椎7番の影響も受けますので、施術においては、目と咬筋と頚椎7番を歪ませている原因を改善しなければなりません。

 頚椎2番が左側に捻れ、その下の頚椎も左側にずれているような状態では、左側の首から肩にかけても張りが強い状態ですが、頚椎の右側の筋肉が引っ張られた状態になっていますので、自覚としては首のつけ根の右側がとても辛く感じるかもしれません。だからといって首の右側をいくら揉んでほぐしたとしても、解決には向かいません。上部頚椎を中心に、頚椎全体の歪みを改善することが何よりも優先すべき事だと思います。

頚椎7番の捻れ
 頚椎7番は首をガクンと下に向けたとき、首の最下部の一番出っ張るところです。この頚椎が右側にずれている人がとても多くいます。それは右利きの人がとても多いことと関係していると考えられます。右手ばかりを使っていると右側の肩甲骨が外側(右)にずれます。それに合わせるように鎖骨とともに頚椎7番が右側に引っ張られます。あるいは仙骨や後頭骨との関係でそうなっているかもしれません。
 頚椎7番がずれますと、肩甲挙筋への影響が症状として顕著になります。首を下に向けたり、倒したりすると首筋から背中(肩甲骨の内側あたり)に突っ張りが感じられます。あるいは、いつもそこが張っていて辛く感じます。その他には肩上部が張ったり、背中の上部に張りを感じたりします。

めまいに関係する頚椎4番
 めまいを起こす原因はいろいろ考えられますが、その一つに首の中間(頚椎4番くらい)が歪んでいることがあります。起き上がろうとしたり、首を動かそうとすると突然めまいに襲われ吐き気が伴うような場合は、頚椎4番あたりの歪みを疑ってみるのも一つの手だと思います。
頚椎の歪みに関係する主な筋肉

 頚椎の3番から6番までの歪みは斜角筋の変調を確認することが最初の方法だと私は考えています。
 斜角筋は前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋と三本ありますが、それぞれ頚椎と肋骨を繋いでいますので、肋骨(胸郭)が捻れたり歪んだりしますと、頚椎に歪みをもたらします。また噛みしめや歯ぎしりの癖がありますと、あるいは一時的にでも強く食いしばったりしますと斜角筋がこわばってしまい胸郭を歪ませます。斜角筋以外では肩甲挙筋が頚椎の歪みに関係します。スマホなどの見過ぎで、目の筋肉が固まってしまいますと、肩甲挙筋がこわばって頚椎が歪みます。

ケガによる頚椎の歪み
 ムチウチ、打撲、それらは頚椎を歪ませる大きな原因となります。
 先日、スノーボードで転倒し頭部を強打して首を痛めた方が来店されました。一月経っても症状が改善されないということでした。
 
後頭下筋群

 からだを観ますと、普通のムチウチではほとんど損傷しないような一番深い筋肉が損傷を起こしているようでした。後頭下筋群と言いまして、後頭骨と頚椎1番、2番を繋いでいる最も深い筋肉です。30分近く、その筋肉だけを施術していましたが、スッキリ改善とはいきませんでした。かなりのダメージだったと思われます。施術の後は、首を緩やかに動かすことには痛みがそれほど感じられなくなったのですが、ちょっとした瞬間的な動きではまだ痛みを感じてしまうとのことでした。
 後頭下筋群も最も深い部分にある筋肉なので手が届きません。あと何回か来店していただくことになると思いますが、この筋肉群の状態が良くなるのを願うばかりです。

 以上、頚椎の捻れに関する説明を行ってきましたが、上部頚椎は後頭骨との境であり、その内部には触れることのできない筋肉や組織が複雑に存在します。手技でそれらを的確に捉えて状態を把握し、整えることはなかなかできないことですから、頚椎の問題は時にとても厄介だったりします。それでも、片噛み、噛みしめ、歯ぎしりなどによるそしゃく筋のこわばり、目の使い方によるこわばり、胸郭や肩甲骨の歪みなどを修整することで改善されるものも多くあります。ですから、いろいろ試したが症状の改善が見受けられないと感じていらっしゃる方は、一度ご来店いただければと思います。

 首と肩が緊張している人がたくさんいます。このような人は体型的に、猫背であったり、首が短く見えるようになっています。体型的なことだけであれば、さして云々する必要はないかもしれませんが、首・肩の緊張は体の働きにも悪い影響を与えますし、精神的にもリラックスできないのでなんとか改善していただきたい問題です。
 首を触ったときに硬くなったスジ(筋)がはっきりわかるようであれば、それは筋肉がこわばっていて緊張状態にあるということです。筋肉のこわばりが解消すると首はしなやかでなめらかな状態に感じられるようになります。

 さて、肉体を動かすことより考え事をたくさんする傾向にある現代の私たちは、どうしても意識が頭の方に向かいます。一日の活動を、頭を中心に行っていると言ってもよいでしょう。そうしますと“気”がどんどん上の方に上がってしまいますので、胸から下がおろそかになってしまいます。こういう生活を長く続けていますと“気を下ろす”ことができない体になってしまい、呼吸で言えば、“吸ってばかりで吐くことのできない体”、つまり“過呼吸状態の体”になってしまいます。この状態では自律神経が交感神経優位になってしまいますので、芯からリラックスすることは難しくなります。子供の頃とは違って、朝目覚めても疲れが残ったままで一日を始めなくてはいけない状態になってしまいます。

 ところで、簡単なテストをやってみましょう。手や腕のどこか、指圧すると痛みを感じる部分を、痛みを我慢しなければならないほど強く押してみてください。
 この時、痛みをこらえるために体のどこに力を入れていますでしょうか?
 臍から下の下腹部あたりに力をいれてますでしょうか。あるいは胸、あるいは首や肩の方でしょうか。
 これは体のどこを中心に使っているのか、つまり重心がどこにあるのかを知るための簡単なテストです。

 痛みをこらえるために思わず首・肩に力が入ってしまうようですと、それは重心が上にあるということで、私たちの本来の状態とは違っています。痛みをこらえるときは無意識に息を止めますが、下腹部の方に力をいれて息を止めている人は吐いた状態で止めていると思います。首・肩に力を入れて息を止めている人はで、吸った状態で止めているはずです。私たちの体は息を吸っている過程では無防備(すきだらけ)になり筋肉に意志が通じず傷める可能性が高い状態になります。つまり、首肩につい力を入れてしまうようなときは体を壊しやすということです。ギックリ腰を度々経験する人は思い当たる節があるのではないでしょうか。

 私たちの体の本来の状態は、骨盤が中心ですべての動作が行われるようになっています。しかし、日々の生活では本来の状態を保てない状況がかなりあります。 
パソコンの姿勢
 例えばパソコンのキーボードを操作するのは指先ですが、指先を動かすための力は骨盤(下腹部)から来ることが理想です。そのためには肘を下に降ろし、手首(手根部)は床面に着いた状態でなければなりません。この状態であれば肩に力を入れることなくリラックスした状態でキーボードを操作できますし、実際に文字を打っているときに下腹部に力が入っているのが確認できると思います。ところが肘を浮かせ、手首も浮かせますと途端に肩に力が入ってしまい、息を吐き出すことが困難になってしまいます。仕事上、書類を見ながら腕を前に出した状態でキーボードを操作しなければならない状況が何時間も続けば、肩に力が入りっぱなし、息を止めっぱなしの時間がとても長くなってしまうということです。こんな日常を続けていますと、動作の重心が首・肩の方に上がってしまうのは仕方のないことかもしれません。
 社会生活を続けている以上、首・肩に力が入り重心が上がってしまう傾向にあるということを知った上で、その状態を解除し、重心を下腹部に戻すためにはどうすればよいか、ということを考えてみましょう。

骨盤が中心である理由
 ところで、骨盤中心で動作を行うことが何故重要なのかということについて考えてみます。
 私たち人間は生物学的に哺乳類になりますが、もう一つ大きい枠では脊椎動物に属します。脊椎動物というのは背骨がある動物のことです。太古の時代、脊椎動物の先祖に背骨がまだできていないとき、体には頭も尻もありませんでした。丸い袋状のような形をして海の中で生活していました。袋には穴が開いていて、その穴からプランクトンなどの食物を摂取しては、同じ穴から尿や便を排泄していました。つまり最初は口と肛門、頭と尻(骨盤)はくっついていたのです。それが億年単位というとても長い間海中の波に揺らされ、流されていると、次第に体に長さができ、頭らしきものができるようになりました。頭らしきものには鼻ができ、エサを嗅ぎ分ける能力ができたのかもしれません。すると頭に相当する部分はエサに向かって進みたいと考えるようになったのか、やがて頭が尻(骨盤)から分離するようになります。これを“頭進”と言うそうですが、尻(骨盤)から分離した頭部(頭脳)は、その本能として前に前に進みたいという欲求があり、やがて頭が尻を従えるようになったのかもしれません。
 やがて進化が進むと頭と尻がすっかり分かれ、その間に背骨ができた脊椎動物となりますが、それは魚の姿です。その後、魚が陸に上がり、手と足ができて爬虫類(ワニなど)になり、哺乳類に進化が進み、私たち人間が誕生するのですが、骨盤と頭の関係を考えるとき私はいつもこのことを思います。
 つまり、骨盤が最初にできて、次に頭ができて体幹となり、手と足は最後にできて四肢と呼ばれるようになりましたので、筋肉の流れもこのようになっているのです。全身の筋肉は収縮するとき骨盤に向かいます。筋肉が伸びるときは骨盤から遠ざかる方向に向かいます。この現象が私の整体の基本中の基本なのですが、筋肉だけでなくエネルギーの流れも同じなのではないかと考えています。
 骨盤(下腹部)から力をもらって手足や指先などが動いているのであれば何の問題も起こりませんが、そうではない動作をしていますと、いろいろと体に不具合が生じてくるのではないかと思っています。激しいギックリ腰になり、骨盤部の力をまったく使えない状態になりますと、体を動かすことができなくなってしまうことがあります。そういう経験をされた方は、骨盤や腰部の力が体にとっていかに大切かということがよく解るのではないでしょうか。

首・肩から力を抜いて重心を下げるには呼吸しかない
 またまた呼吸の話になってしまいますが、首・肩に力が入って常に緊張状態にある状況を解除するためには呼吸を利用するしかないように思います。
会陰中心部上面

 「意識はエネルギー」ですから、意識が下腹部に向かっているときは、エネルギーは下腹部に集まります。そして意識を下腹部に向かわせるためには、息をゆっくり吐き出しながら下腹部に集中するのが簡単な方法です。ところで、下腹部とか下丹田とか骨盤とかの言葉は範囲も広く曖昧な受け取られかたをするかもしれませんので、これからは“会陰”と改めます。骨盤底で尾てい骨のすぐ前にあるのが肛門で、そのすぐ前にあるのが会陰中心部です。息をゆっくり吐きながら会陰中心部に意識を集めます。呼吸は普通にしていれば良いです。そうしながら5回、10回と呼吸をしていると次第に首・肩から力が抜けていくと思います。そしていつの間にか精神的な緊張もほぐれ、会陰が息づき始めるのを感じることができるかもしれません。
 はじめのうちは会陰を明確にイメージすることができないかもしれません。そんな時は下腹部とか尾骨に意識を集めることから始めてください。やがて馴れてくると、会陰中心部が明確にイメージできるようになり、そこへの集中も簡単になります。

 会陰に意識が集まるということは、エネルギーが会陰に集まることと同じです。何の動作をするにも会陰をイメージながら行っていれば、それは骨盤の力を使って動作を行っていることになります。会陰で座り、会陰で立ち上がり、会陰で歩く、こんなことが無意識に自然に行うことができるようになれば、それまで首・肩中心に行っていた様々な動作が骨盤中心の動作に変わるようになります。そうなりますと、肘と手首を浮かせた状態でキーボードを打つことが、いかに不自然な動作であるかに気づくことでしょう。仕事場の配置を変えたりして、自分がリラックスして作業を行えるよう工夫するようになるかもしれません。

 「体を変えることは、使い方を変えること」これは私の整体に対する理念の一つです。肩が凝りやすい、膝が痛みやすい、股関節がすぐに痛くなる、等々、多くの人が自分の傾向を把握しています。そしてそれをなんとか改善したいと私のところにきます。私はその症状を改善することと併せて、その症状になりやすい原因をその方に明らかにするようにしています。そして体の使い方が変わるように施術を行い、その方にもアドバイスをさせていただいています。それでもなかなか“使い方の癖”を一朝一夕に改善することは難しいことがほとんどだと思います。「右側ばかりで噛まないでください。」「いつも同じ場所でテレビを見ないようにしてください。」「一日の終わりには肩甲骨を後に引くストレッチをして脇の下の筋肉を伸ばしてください」などと申し上げますが、後ほど確認すると「つい忘れてしまって‥‥」などと、“ついつい‥‥”という返事が多く返ってきます。
 使い方が偏りますと、筋肉の状態がバランスを失い、体や顔が歪むようになります。施術で整えたとしても、使い方が変わらなければやがて元の状態に戻ってしまいます。それが道理です。

 今回テーマの首・肩に力が入ってしまう状態に対しては、施術で、自然に骨盤に力が集まり首肩から力が抜けるように整えるのが私の仕事です。一回の施術では無理にしても、数少ない施術で骨盤が中心になって体を使えるように整えようといつも考えています。体が上手く使えない状態なのに、“こうしては駄目”とか“こうしてください”など使い方を無理やり矯正するようなことは強要しません。しかし、一定期間は日常生活での体の使い方に注意を払っていただかなければなりません。
 頭の“思い込み”の思考回路はなかなか頑固で、考え方を変えるのはなかなか難しいですが、体の使い癖もそれなりに頑固です。自分では気をつけているつもりでも、油断するとすぐに以前の癖に戻ってしまうことでしょう。しかし、それでも忍耐強く挑戦し続けていただきたいと願っています。

 まとめになりますが、首肩の力が抜けない人は、全身の動作を行う中心(起点・重心)が体の上の方にあって、意識(=エネルギー)も上にありますので、胸から下がおろそかな状態になっています。本来、私たちのあらゆる動作の中心は骨盤(会陰)になるように体ができていますので、首肩に力が入っているときは体を壊す可能性が高い状態であると言えます。
 それを改善するための一番簡単な方法は呼吸であり、会陰に意識が集まるようにゆっくり息を吐くことを中心にした呼吸を行っていくことで、重心を上部から骨盤部に移すことができます。無意識に、自然にこの呼吸ができるようになれば、それまで首肩あるいは胸にあった動作の中心が骨盤部に定着しますので、体は理に合った、省エネの動作をすることができるようになりますし、体を壊しにくい状態になります。
 そしてそのためには、重心が骨盤部に安定するまでの間、体の使い方の癖を変化させるために、いつも会陰を意識するように忍耐強く頑張る必要があります。
 こうして首肩から力が抜ける状態が定着しますと、それまで交感神経優位で肉体的に緊張状態にあったものが解消されますので、体をリラックスさせることがいとも簡単にできるようになると思います。

 ストレス社会と言われている今日、それは環境や外部の状況から受けるストレス要因だけでなく、ご自分の体が緊張しやすい状態にあることも大きな要因だと思います。外側の状況を変えることはなかなか思うようには行かないと思いますが、ご自分の体を変えることは努力一つでできることです。是非試してみてください。
 この文章だけでは理解できなと思われる方は、一度来ていただければ体験を通して理解できるようになると思います。

 「背中が痛くて辛い」「背中が痛くて仰向けで寝ることができない」と訴えてこられた方を施術するに際して最初に確認することは、背中のどの部分が張っていて辛いのかということです。そして実際にどの筋肉が張りや痛みの原因となっているのかを細かく正確に把握することが重要です。“だいたいこの辺り”のような大雑把なとらえ方では、施術を行ってもまったくかいぜんされないという結果に陥ってしまうことがあります。

背中の張りや痛みの区分

 肩甲骨の内側を中心に、肩甲骨から肩にかけて張りや痛みであれば、それはたいがい肩甲骨のずれによる筋肉の張りが原因となっています。
 肩甲骨の下部から肋骨の下部にかけて腫れや張りや硬さが見られる時は、胃・膵臓などの消化器系や腎臓など内臓の不調が原因となっていることが多いですが、猫背や背骨の弯曲が強いことなどが原因となっていることもあります。
 そして、その下、肋骨の下縁から骨盤にかけての部分に張りや痛みがある場合は腰痛として対応しますが、施術者として一番気を使うのは、図に示した②の“肩甲骨下部の張りや痛み”に対する対応です。

内臓の影響による背中の張りと痛み
 肩甲骨下部から肋骨下部にかけての張りや痛みの場合、胃などの消化器系の不調や腎臓の腫れが原因となっている場合があります。実体験として実感している人も多いと思いますが、胃の調子が悪くなるとなんとなく背中が張ってしまったり重くなって息苦しさを感じたりすることがあります。
 胃、膵臓、十二指腸、小腸、大腸など内臓器官も筋肉でできていますので、収縮したり伸張したりすることはもちろん、硬くなったり柔らかくなったりします。筋肉はこわばると太くなりますので、例えば何らかの理由で胃の筋肉がこわばりますと硬くなって太くなるため背中側の胸郭(肋骨)を圧迫することになります。胸郭が内側から圧迫されますと胸郭の外側にある骨格筋はその圧迫に抵抗するように緊張しますが、これが背中の筋肉がこわばりであり、背中の筋肉が張ってしまう理屈ではないかと思います。
 こうなりますと胸郭の内側では胃が硬くなって動きも悪いので消化機能が不十分な状態になり、胃もたれや逆流性食道炎などの症状をもたらすかもしれません。胸郭の外側では一つ一つの肋骨を結び付ける筋肉(外肋間筋、内肋間筋)や肋骨に付いている脊柱起立筋などがこわばるため張りと痛みを伴うようになります。するとこれら骨格筋のこわばりは肋骨の動きをさらに制限しますので、胃は益々動かなくなるし呼吸もしづらくなります。このような悪循環に陥りますと、この状態が慢性化してしまうため、“辛くて夜も眠れない”などという状態になるのではないかと思います。
 背中をマッサージして骨格筋の張りやこわばりを改善することで、一時的に楽な状態になることはできますが、元々が内臓の不調から始まった症状であれば、内臓の不調が改善しない限り同じ状態を繰り返すことが考えられます。ですから胃の不調が原因で背中に張りができたと考えられるのであれば、一時的に断食をして胃を休ませるようにした方が良いのかもしれません。

 本日、まさにこのような方が来店されました。肩甲骨下部の背筋(脊柱起立筋など)はゴリゴリにこわばって太くなっていました。肋骨に張り付いているような深層にある筋肉はコリコリでした。すぐに胃の不調を疑いましたので、本人に胃の調子を尋ねますと、逆流性食道炎でかなり調子が悪いとのことでした。「病院の薬では背中の張りと痛みは取れない」ということで私のところにきたのだということです。
 こういった場合、整体の施術でできることは限られます。東洋医学的な“ツボ”や手と足裏にある内臓の反射区を利用することが主な対応策になります。その他には腹筋の状態を整え、胸郭の動きを制限する筋肉の状態を整えることが施術内容になります。

反射区と内臓
 いわゆる“足つぼマッサージ=足リフレ”では、足裏にある反射区を刺激することで内臓の働きを整え体調を改善するという理屈がよく説明されます。私のところでも30分くらいの足リフレをやっていますが、正直なところ、この施術を単発に行ったところで内臓の働きが良くなるとは思えません。むくみを取って足をスッキリさせるには足リフレはとても良い施術だと思いますが、単発的な施術ではそれ以上は望めないと考えています。例えば週に一度、あるいは二週に一度くらいのペースで定期的に繰り返すのであれば、それは内臓の働きを全体的に整える効果は多いに期待できますが。
 ただし、反射区の一つ一つは確かに効果があると考えています。このブログでも幾度か紹介させていただきましたが、腎臓の反射区、小腸の反射区、そして今回対象となる胃・膵臓・十二指腸など消化器系の反射区は私もよく施術に取り入れています。そして、その施術方法は学校で習ったとおりではありません。学校では一つの反射区を数回指圧して刺激するように教えられましたが、私が現在実際に行っているのは、反射区にある“凝り”や”しこりのようなもの”が改善するまで入念に刺激し続けることです。一箇所の反射区を1~3分くらい指圧し続けることもよくありますが、そうしていると、ある瞬間にしこりがフワッと緩み始めるようになります。この状態にもっていくことが反射区の効果を実際の内臓に期待できる段階だと考えています。
 今回来店された方の胃・膵臓・十二指腸の反射区は本当に硬かったです。腎臓の反射区もかなり硬かったです。手と足裏のこれらの反射区をかなり入念に施術しまして、ふくらはぎにある足三里(胃経のツボ)も入念に指圧しました。それによって背中の張りは緩んできて、呼吸に合わせて胸郭が動ける状態にまではなりました。その後は、お腹側で胃と呼吸の動きを制限する腹筋の変調を改善して施術(60分)を終えました。
 ご本人は「楽になった!」と仰ってましたが、私としてはもう少し時間があれば、もっと楽にできたのではないかと感じました。
 内臓の不調に由来する今回のような背中の張りや痛みは、内臓が絡んでいるだけに「必ず改善する」とは言い切れません。しかし、病院の治療では顕著な改善が感じられないと思われている人も多いと思います。そんな場合は整体でも“やりよう”はあるということをお知らせしたいと思います。

内臓の不調以外の肩甲骨下部から肋骨にかけての背中の張り
 単純に骨格と骨格筋の関係でこの部分に張りができるもありますが、それは姿勢による影響が一番多いかもしれません。いわゆる“猫背”も度合いが強くなりますと、萬年「背中の張りがとれない」となってしまいます。
 背骨は横から見ますとゆるやかなS字のカーブ描いていて、ちょうど肩甲骨の下部が後弯の頂点になっています。猫背の姿勢では、この頂点部分に重みが強く掛かるため、それに対抗するように背中の筋肉がこわばって頑張るようになります。それが背中の張りとなり、痛みや辛さを招くことになるのだろうと思います。
 この場合も、マッサージなどで背中の筋肉の張りを改善すれば状態は一時的に良くなりますが、しかしそれは、あくまでも一時的な効果しか期待できません。根本的に改善するためには“猫背の改善”が不可欠になりますが、それについてはまた後日触れたいと思います。

 胃が不調になるから背中が張るのか? 背中が張るから胃の調子が悪くなるのか?
 それは、どちらもあり得ると思いますし、消化器系の調子と背中のこの部分の張りとは互いに関係し合っていると考えた方が良いと思います。
 「病院で胃の治療を行い調子が良くなってきたら、自然と背中の張りも取れてきた」ということもあるでしょうし、「背中の張りが取れてきたら胃の調子も良くなった」ということもあり得ます。
 もし、慢性胃炎などで長く病院での治療や薬に頼ってきたがなかなか状態が改善しないということであれば、一度整体の施術などを試みることをお奨めします。

 「肩の力を抜いて‥‥」とは、緊張をほどいてリラックスするためによく言ったり聞いたりする言葉です。しかし、どうしても肩の力を抜くことができないときや、肩の力を抜くと何の仕事もできなくなってしまう状態というものがあります。何かを指導する立場にある人は、このことを理解しないと善意で発した言葉が、聞く人にとってはとてもプレッシャーになって心を閉ざしてしまうことになるかもしれません。
 私の業界でも、施術者がお客さんに対して「体の力を抜いてください」と発することがあります。体に力が入っていると筋肉が硬くなってしまうのでマッサージしにくいからです。しかしそれは話が反対で、お客さんにしてみれば、体の力を抜いてリラックスすることができないのでマッサージを受けに来たわけです。このことを理解できない対応は適切であると言えません。

 さて、肩の力を抜くことができないということは、肩の力を抜くと体や精神を保つことができない状態にあると考えることができます。
 肩に力が入った状態を整体的に表現しますと、首の筋肉を収縮させて肩甲骨を持ち上げ、肋骨も持ち上げた状態です。これは呼吸で息を吸った時と同じ状態です。自律神経でいえば、交感神経が優位になった状態で、臨戦態勢であり、気持ちが高ぶった状態です。
 ですから常に肩に力が入っている人は、常に息を吸った状態にあると考えることができます。息を吐いたとしても、それは溜め息のようであり、苦しいから吐き出すのであって、息を吐き出す(呼気)ことを利用して副交感神経を働かせるまでには至りません。ですからリラックスすることができないと考えることもできます。

肩に力が入ったとき作動する筋(背面)

 こんな例があります。その方は長い間腰を患っていて、座ることもできず普通に立ち続けることもできません。何とか短い距離を歩くことができる程度です。足裏全体で立てないので、足の指先に力を入れて、足指で踏ん張るようにして立つことしかできません。その状態が長く続いていましたので、足の指先を曲げる筋肉(長母趾屈筋と長趾屈筋)がすっかりこわばってしまいました。その影響で腹筋の働きが悪くなり、体を普通に支えることができない状態になっています。そのため普通の人ならリラックスして自然に簡単にできる作業や動作ができないでいます。
 体はネットワークです。各筋肉、各器官が連携性をもって互いに補い合い機能を果たす仕組みにできています。この方の場合、ゆるんで働けなくなっている腹筋をなんとかしないと仰向けで寝ることすらできません。ですから無意識に首の筋肉を収縮させ、その連動性で無理やり腹筋を収縮させて、ようやく仰向けで寝ることができ、短い時間であれば立つことができ、歩くことができるようになっています。首の筋肉を収縮させていないと、これらのことができない状態なのです。寝ていても肩から力を抜くことができないのですが、それはこういう理由からです。
 また噛みしめの癖も持っていますが、噛みしめることによって何処かの筋肉を働かせ、それで体の機能を維持しています。これらのことは本人の意志とは関係なく、体が自己防衛手段として仕方なく勝手にやっていることと言えます。
 本来、肩に力を入れることも、噛みしめることも体の健康には良くないことです。マイナス面がたくさんあります。しかし、そのマイナス面を天秤にかけて差し引いても、現在の体の状況ではそうした方が体を維持できると体自身が判断して、無意識に行ってしまうのだと思われます。「ふと気づくと肩に力が入って息を吸った状態になっていた。」「ふと気づくと噛みしめていた。」そんな感じです。

 これから先、この方の“肩に力を入れてしまう”状態を改善するための施術に本格的に取り組みますが、立った時、足裏全体で体を支えられるような状態になるよう下半身の筋肉を整えることから始めます。それによって腹筋の働きが改善すれば首や肩の筋肉を収縮させなくても体を支えられるようになるからです。これまでは、すぐにギックリ腰になりやすい状態だった腰部や殿部の筋肉を整えることに集中していましたが、ようやく次の段階に進むことができるようになりました。

 全般的に言えば、吸気は交感神経を刺激し、呼気は副交感神経を刺激しますので、リラックスして日常生活を送るためには呼気を大切にしなければなりません。フーーっと息を吐きながら胸を降ろしていく動作が重要です。首や肩に力を入れる動作は息を吸う動作ですが、吸ってばかりいますとどんどん胸は上に上がってしまいます。するともうそれ以上吸えない状態になりますが、これが過呼吸状態であるとも言えます。
 ご自分の首が太く硬くなっていて、いつも肩に力が入っていると感じている人は過呼吸予備軍です。そのような人は意識的に、“吐いて、吐いて、吐いて”を繰り返し、胸が下がるようにしてみてください。そして、そのようにしてもなかなか肩の力を抜くことができないようであれば、体を整えることを考えてみてください。

 武芸をされている人はわかると思いますが、私たちの体は息を吸ったときにスキができます。息を吸っている瞬間は身動きのとれない無防備な状態になってしまうのです。ギックリ腰は重い物を持った時や無理な体勢で作業をした時ではなく、そのような動作を息を吸いながら、あるいは息を止めてやった時に起こしやすいのかもしれません。“作業は常に息を吐きながら”、そんなことを心がけてみてください。

↑このページのトップヘ