ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

カテゴリ: 首・肩・背中

「腕を前に出そうとすると背中が痛む」「車のハンドルを握っていると腕~背中にかけて重たさを感じ、すぐに疲れる」など腕の動作を行うと背中にかけて重たさや痛みを感じる時は、菱形筋という肩甲骨内側の筋肉がこわばっている可能性が高いです。

菱形筋の「こ」と「ゆ」

 菱形筋は小菱形筋、大菱形筋に分けられますが、ともに背骨から出発(起始)し、肩甲骨の内側に付着(停止)しています。収縮することで肩甲骨を背骨の方へ引き寄せる働きをしますが、反対に伸びる(弛緩伸張)ことで肩甲骨の自由な動きを可能にする働きをしています。肩甲骨の動きと密接な関係がある筋肉の一つ(正確には二つ)です。

 二足歩行の私たちは他の四つ足哺乳動物たちとは違って、手や腕を歩いたり走ったりするためにではなく、いろいろな手作業のために使っています。そのために上肢(腕と肩)はとても大きな可動域を持っていますが、それは肩甲骨の動きがあるから可能になっています。

 からだの仕組みとして、もし肩甲骨が動くことができなければ私たちは最大限90°までしか腕を上げることが出来ません。肩(肩峰)と腕(上腕骨頭)がぶつかってしまうので、それ以上動かすことができなくなります。しかしながら実際には腕を真上まで上げることが出来ますが、それは肩甲骨が上方に回旋することによって可能になっています。(https://www.youtube.com/watch?v=CH3UZgg_lCM
 また反対に背中で手を組むなど、腕を背中側にグッと回し込むことができますが、それは肩甲骨が下方に回旋することができるので可能です。また、手の先にあるものを掴むために腕をグッと前に伸ばしますが、それは肩(肩甲骨)が前に出る(前方突出)ので可能です。
 ラジオ体操や準備体操やストレッチ運動は心地良いものですが、そこには普段あまり動かしていない筋肉を動かすことによる心地よさが含まれています。大きく腕を動かす動作は肩甲骨を最大限に動かす動作と言い換えることもできますが、肩甲骨を積極的に動かすことは心地良さをもたらす効果があると言うことができます。
 ところが時々、肩甲骨を動かすことを好まない人がいます。ラジオ体操は嫌いで、ストレッチや運動は面倒だと感じてしまう人は、怠惰という性格的なものもあるかもしれませんが、からだが運動を望んでいないという場合もあります。その理由の一つとして肩甲骨の動きをサポートする筋肉の状態が悪いことがありますが、今回はその中の菱形筋について考えてみます。

菱形筋のこわばりが背中に痛みをもたらすケース
 筋肉がこわばった状態とは、筋肉が収縮したままで上手く伸びることができない状態であると言い換えることができます。そして、こわばった筋線維は「硬くなって太くなる」という特徴もあります。例えば、日々パソコンを操作したり、重たいもの扱う仕事をしている人は手や腕の筋肉がこわばりますが、腕をグッと力強く掴んだり、押したりしますと深部に硬くなった筋肉を感じます。そして、さらに圧力を増やしますと痛みを感じると思います。つまり、こわばった筋肉は圧力を加えると痛みを発する(圧痛)という仕組みになっていますし、伸ばそうとしますと痛みを発する仕組みになっています。

 菱形筋は肩甲骨を背骨に近づける働きをしますので、菱形筋がこわばっていますと、常に、肩甲骨を背骨の方へ引きつける力が働き続けていることになります。そして菱形筋は硬くなり太くなりますので、肩甲骨の内側が厚ぼったくなり、布団に背中を付けることに違和感や不快感を感じるようになるかもしれません。「横向きでないと眠ることができない」理由の一つになります。
菱形筋と前鋸筋の「こ」による背中の痛み

 さらに、パソコン業務や腕を使う仕事を行っている人は前鋸筋がこわばって肩甲骨が外側に引っ張られる状態になっている場合が多いのですが、そうなりますと菱形筋のこわばりによって肩甲骨は背骨側に引きつけられているのに、一方で前鋸筋によって背骨から離れる方向に引っ張れるという状態になってしまいます。肩甲骨を介して菱形筋と前鋸筋が綱引きを行っているような状態です。こうなりますと菱形筋のこわばりは更に強くなりますので、肩甲骨が身動きのとれない状態になってしまったり、じっとしているだけでも背中(菱形筋)が重たく窮屈で、痛みを感じてしまう状態になってしまいます。

肩関節の屈曲動作

腕を前に出すと背中が痛む‥‥大菱形筋のこわばり
 「車を運転すると背中~腕にかけてだるくなり疲れる」「普通に座っているだけなら大丈夫なのに、食事をしたり、手作業をしたり、パソコンをすると腕や背中がつらくなる」といった場合は、二つある菱形筋の下方、大菱形筋がこわばっている可能性が高いと考えられます。
 車のハンドルを掴む姿勢、食事で茶碗を持ち上げたり、手作業で手を前に出すなどの動作では、肩甲骨が少し前に出て上方回旋する必要があります。そのためには大菱形筋が伸びなければなりませんが、筋肉がこわばっているために伸びにくかったり、縮む方向に力が働いていますと肩甲骨が上手く動いてくれなくなります。そのため、ハンドルを掴む姿勢は腕から背中にかけて負担が掛かり、茶碗を持つ姿勢は肩が前に出ないのでロボットの動作のような感じになってしまいます。手を前に出して行う作業は辛さをもたらすことでしょう。

大菱形筋がこわばる理由
 トレーニングジムなどで器具を使い、負荷をかけながら肩甲骨を引く(後方牽引)などの運動をしますと菱形筋がこわばる可能性はありますが、日常生活での動作で大菱形筋や小菱形筋自体がこわばることはほとんどないと思います。
 ですから大菱形筋がこわばっているのは、他の要素との関係や他の筋肉との連動関係でこわばっていることがほとんどであると言えます。そして筋肉の連動関係では、大菱形筋は大腰筋、大内転筋などと密接な関係があります。

大菱形筋と大内転筋と大腰筋

 大腰筋は腰痛に関係するインナーマッスルですが、普通の日常生活でこわばる可能性としては、骨盤(股関節)や脊椎がずれていることが挙げられます。大腰筋は腰椎の腹部側から始まり股関節の大腿骨(小転子)に繋がっていますので、大腿骨が下がったり、あるいは腰椎が上方へずれますと骨と骨の間が本来より遠くなりますので、筋肉が張ってこわばります。実際、大腿骨が股関節で下がってしまうことはよくあることです。(整体院で「脚の長さが違いますね~」などと言う時など)
 この場合は片側の大腰筋がこわばりますので、大菱形筋も片側がこわばり背中のどちらかが違和感や痛みを感じることになります。また、腰椎が上にずれる場合で多いケースは頚椎が捻れているときなどです。右眼ばかりを使っている人は、右眼を動かす外眼筋がこわばりますが、それは頚椎と肩甲骨をつなぐ肩甲挙筋のこわばりへと連動し、同時に頚椎7番を右側に引っ張ります。その影響で胸椎も腰椎も不安定になり、上にずれてしまうことがあります。この場合は両側の大腰筋がこわばりますので、両側の大菱形筋がこわばることになり、両方の肩甲骨の動きが制限されることになります。
 実際、大菱形筋のこわばりを解消するためにコメカミを持続指圧して外眼筋のこわばりをゆるめ、頚椎を戻す施術はよく行っています。

 時々大内転筋がこわばっている影響で大菱形筋がこわばっている人と出会います。内股の人にその傾向は強いかもしれません。内股の人は内転筋のほとんどがこわばった状態になっていることが多いのですが、その原因を探っていきますと、足の外側(小趾側)が硬くなっていることが挙げられます。歩くとき足が「ハ」の字になってしまうので、小趾側が前に出た状態で着地してしまうからだと思います。母趾を除いた4本の足趾を曲げる筋肉に長指屈筋がありますが、この筋肉が大変こわばっていることが内股の人の特徴でもあります。

足の第4骨間筋と大内転筋

 そして足裏の4趾と5趾の間の筋肉(骨間筋)がとても硬くこわばっていますが、それが大内転筋のこわばりの原因だと考えられます。内股でなくても小趾側に重心がかかっている人は同様です。
 ですから大内転筋がこわばっている人に対しては、足裏の4趾5趾間をよく揉みほぐすことと長指屈筋を弛めることが対策になります。

 また、小菱形筋と大菱形筋は拮抗する関係になることがあります。例えば肩に重いショルダーバックをかけることが多い人は、肩甲骨の上部が外側に引っ張られるよう力をかけ続けられているわけですが、すると僧帽筋の上部線維と小菱形筋は疲弊して伸びた状態になってしまうことがあります。小菱形筋が機能不全に陥った状況になるわけですが、そうなりますと大菱形筋は小菱形筋の分まで頑張って肩甲骨の位置を保つように働くことになります。つまり大菱形筋は収縮し続けこわばった状態になります。

菱形筋が収縮できずに痛みを発する場合
 菱形筋のこわばりが背中の痛みにつながるケースについて説明してきましたが、それとは反対に菱形筋がゆるんで収縮できないために背中に痛みを発することもあります。
 腕を真上に上げて大きく背伸びする動作や、胸を大きく開いて肩甲骨を後ろに引く動作では菱形筋が収縮します。肩を回したり、胸を閉じたり開いたりする運動では菱形筋が伸びたり縮んだりするわけですが、菱形筋に上手く収縮できない部分(筋線維)がありますと「余分な肉が余ったような状態」になってしまい、縮めない状態なのに無理やり縮めようとするので痛みを発するという状況になります。

菱形筋と僧帽筋の「ゆ」による背中の痛み

 先日、菱形筋を“寝違えた”ように損傷してしまった人が来店されました。損傷によりこのような状態でしたが、その他にも、過去に太股の裏側を肉離れして大内転がゆるんだままであったり、腰が悪くて大腰筋が上手く働かないために連動する大菱形筋が上手く収縮できない状態になっているなどということもあります。

 菱形筋の問題が原因で背中が痛くなるケースはそれほど割合が高いというものではありません。(肩甲骨の内側が痛いという場合は、前鋸筋の問題が原因しているケースが多い)
 しかしながら「腕を動かすと腕や背中が重い」、「手を前に出しているのがかったるい」という場合は菱形筋が原因となっている可能性が高いと思います。
 そして再度申し上げますが、菱形筋自体を使いすぎてこわばってしまうことは普通の日常生活の中ではほとんどないと起こらないと思います。菱形筋がこわばっている原因のほとんどは、足や股関節や腰などの問題だと考えられます。そうであるならば、腕や背中が辛いからといって腕や背中をマッサージしたところで解決にはつながりません。それよりも足裏やふくらはぎを念入りに揉みほぐしていたら背中の問題が解決するかもしれません。腕を動かすことがかったるいと思われる方は、足裏やふくらはぎのマッサージを試されてみてください。


足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ http://yumetowa.com

 胃の不調を訴える方々の状態を観察しますと、大きく3つくらいのパターンに分けられるようです。
  • 胃そのものが不調だったり病気の状態だったり場合
  • 胸郭の動きが悪くなっていたり、腹筋のこわばりが胃を圧迫している場合
  • 背骨が捻れている影響で呼吸や胃の状態が悪くなっている場合
 ですから、同じように感じる胃の不調であったとしても、少なくとも3つの側面から状態を確認して対応しなければならないと私は考えています。
 今回は、3番目の背骨が捻れているために胃の調子が悪くなっているケースについて取り上げます。

 その方は女性ですが、「子供の頃から胃腸が弱かった」ということです。二人のお子さんを持つ母親である現在も、しばしば胃の不調に悩まされています。自覚症状としては、食事が食べられなくなるほか、背中の上部に硬結と圧迫感を感じる、胃の存在感を感じるなどですが、その他、呼吸が浅くなって息苦しい症状もあります。

 からだに対する私の観察では以下の状態が見られました。
  • 胸郭が狭く(正面から見ると“細い”)なっているため胸郭内の臓器(肺、心臓、肝臓、胃、食道)が圧迫された状態になっている。
  • 本来は呼吸に合わせて動いている胸郭の動きがほとんど無く、横隔膜の動きも悪いので、酸欠状態に近くなっていると思われる。
  • 胸椎の4~6番が大きく右(頭部から見ると反時計回り)に捻れていて、その右側が盛り上がるように硬く張っている。他に同じような捻れを持つ脊椎は頚椎2番、6番、7番、腰椎4番。
 胃の不調や器質的変化の兆候の一つとして“背中のハリ感”があります。胃は張ると背中側に膨らむということですが、そうなりますと“胃がもたれる”状態を超えて“背中が張って息苦しい”状態になるようです。背中を床につけるのが嫌なので仰向きで寝ることが出来ず、横向きやうつ伏せ寝でないと眠れなくなってしまうかもしれません。

胸椎の捻れによる背中のハリと胃の不調

 さて、こんな状態の方ですが、捻れている胸椎を私の手を使って正しい状態に戻しますと、途端に息が入って呼吸が楽になるのが感じられました。そのままその状態を少し保っていますと、「胃や腸が楽になる」と仰いました。そして、私が操作していた手を胸椎から離してしまいますと、すぐに不調の状態に戻ってしまいました。
 つまり、今回の胃の不調と背中のハリは胸椎が捻れていることが主な原因だったということです。ですから、胸椎の状態を改善できれば胃の不調は改善されるということですので、そのような施術を行っていきました。

 胸椎の上部では頚椎の6、7番が同じような捻れをしていました。そしてその上部を探っていきますと頚椎2が同じように捻れていまして、その頚椎2番を私の手で正しい位置に戻すと、頚椎6、7番、と胸椎3~5番の捻れも戻り、呼吸と胃の状態が楽になるのが確認できました。ですから、頚椎2番の捻れを修正することが、今回の問題を解決するための施術になります。
 途中の経過は省きますが、左肩関節と左手に問題があって頚椎2番が捻れた状態になっていましたが、その原因をさらに追っていきますと左の膝関節で下腿(膝下)が外側にズレていて、その原因は左足にありました。この方は腰が大変悪く、その影響で歩き方に問題があります。現在、歩き方を直すことに取り組んでいますが、その過程で左足のバランスが悪くなっていること、さらに目の使い方や頭の使い方の癖(考え方の癖など)もあって頚椎が捻れやすいという要素を常に持っています。
 「子供の頃から胃の調子が悪い」ということでしたが、もしかしたら腰を悪くする以前から歩き方がおかしかった状態で、そこに頭や目の使い方の問題が絡んだときに“胃の不調”がやってきていたのかもしれません。

 別の例では、「この何日間か胃の調子が悪く、背中が張って頭もモヤモヤ重たい」という方が来店されました。上記の例の方ほど状態は悪くありませんが、やはり胸椎6番が頭から見て反時計回りに少し捻れていました。この方の場合は頚椎2番が上記の例とは反対に時計回りに捻れ、かつ少し左にずれていました。原因としては二つありまして、一つは眉間から眉にかけてこわばっていたこと、そしてもう一つは右顎につよい噛みしめがあったことです。

後頭下筋群と上部頚椎

 上目使いをする人、猫背などで首が前にでている人は物を見るときに眉間から眉にかけてのラインに力を入れてしまいますので、そこがこわばっていることが多いです。すると後頭骨と頚椎1、2番を繋いでいる後頭下筋群がこわばりますので、頚椎2番の棘突起を引き寄せるためストレートネックになったりします。また食いしばったりして顎の筋肉(そしゃく筋)がこわばりますと頚椎1番を引き寄せます。おそらくその力関係で、頚椎1番が右にずれた反動で2番が左にずれ、なおかつ時計回りに捻れたのではないかと思われます。ですから、右顎のこわばりを取って、眉間周辺のこわばりを取る施術を行いました。
 「どうして眉間に、特に右側の眉ラインやおでこに力が入ったのですかね?」と尋ねますと、「スマホを買い換えたばかりで、けっこう凝視していたからかなぁ‥‥」と思い当たることがあったようです。

 「肩こりをほぐして欲しい」と来店される方の場合、ベッドにうつぶせ寝の状態から施術に入るのがほとんどです。最初に背中の様子を見ますが、私は背中を大きく4つの区分に分けて観察します。背中の上部、肩甲骨の部分までが第1区分、その下~胸郭の上2/3くらいまでを第2区分、胸郭の下1/3~腰部の上部までを第3区分、そしてその下から骨盤までを第4区分といった感じです。
過去のブログでは背中を3つの区分に分けて記事を投稿しましたが、今は4つの区分に分けた方がより実用的であると考えています。)

背中の張りや痛みの原因区分2

 第1区分のハリの多くは肩甲骨の位置がズレていることや肩甲骨に関わる筋肉がこわばっていることが原因です。そして第2区分のハリは胃の状態などに関係していると考えています。第3区分は腎臓の腫れがハリをもたらしている可能性が高いと思いますし、第4区分のハリは腰痛に関連する筋肉のこわばりである可能性が高いと言えます。

 そのように観察しながら施術を行いますが、第2の区分にハリや硬さなどがある場合は、胃の調子などを尋ねるようにしています。肩が凝る
要因はいくつかありますが、胃腸の具合が悪いときに肩が張ってしまうことはよくあることです。ですから、肩こりを解消してスッキリしていただくためにも、胃の調子に関連した背中のハリは気になるところです。
 そして、背中の第2区分にハリがある場合は、大抵胸椎が歪んでいます。胃が張っているから胸椎が歪んでいるのか、それとも胸椎が歪んでいるから胃が張っているのか、それをしっかり鑑別して施術を行わなければなりません。そこで間違ってしまいますと“無駄な施術”、“意味の無い施術”になってしまいます。

 余談になりますが、仰向けで眠ることが出来ない人がけっこういます。①座り仕事が多くて腰や股関節の筋肉がこわばって伸びない、②舌がゆるんでいたり、喉が捻れていて仰向けだと気道が狭くなってしまい、イビキ、無呼吸になってしまう、③内圧の高くなった(腫れた)腎臓が肋骨で圧迫されたり、胃の張りで背中を床に着けたくない、などの原因が考えられます。

脊椎の調整と背中のツボ
 東洋医学では、背骨に沿って内臓を調整するためのツボ(?穴)があると考えられています。また、内臓の働きを調整している自律神経も背骨に沿って通っていますので、「背骨に沿って?穴を指圧すると内臓の働きが調整される可能性がある」と整体の学校では教えます。実際、お客さんの反応は「気持ちいい」「心地良い」というのが大半ですので施術に取り入れることも多いのですが、「本当に、内臓の調整効果があるのだろうか?」と思いますので、そのうち実証実験をしてみたいと考えています。
 ところが、歪んでいる脊椎を調整しますとからだの状態が変わることは実体験としてわかっています。頚椎の歪みを直しますと、モヤモヤしていた頭がスッキリしたり、噛みしめて痛みや重苦しさを感じていた顎周辺が楽になったり、動きの悪かった首が良く回るようになったりします。腰痛の時は大概腰椎が歪んでいますので、腰痛を改善するための道標として腰椎の状態を確認しながら施術したりします。そして胸椎の歪みを直すことで、呼吸が改善し胃腸の調子が良くなったりします。

 おそらく現代医学ではこのような観点はないでしょうから、“背骨の微妙な歪みや捻れが体調不良の原因かもしれない”という発想はないと思います。しかし現実は現実ですから、背中のツボの件も含めて、背骨と体調との関係を研究して医療の現場に取り入れていただきたいと願っています。

 胃の問題に対する別のアプローチについては別途取り上げたいと考えています。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ http://yumetowa.com

 肩甲骨の上部に棘上筋(キョクジョウキン)という筋肉があります。筋肉のガイド書などによりますと、肩関節を安定させる筋肉のひとつであり、腕を横に開く=肘を横に上げる(上腕骨の外転)働きをする筋肉と解説されています。
 “肩こり”は私たちにとって厄介な問題ですが、肩こりの根深い芯はこの棘上筋にあるのではないかと私は最近考えるようになっています。
 “肩こり”は幾つかのタイプに分かれます。
 
肩こりを感じる主な筋肉
 
 首の後側の首筋から肩甲骨にかけての“こり”は肩甲挙筋のこわばりが主な原因で、目の酷使や疲労、肩甲骨のズレなどによってもたらされます。
 皆さんが「肩が凝った!」と言って、ついつい手を当ててしまう肩上部は僧帽筋の“こり”であり、運動不足であったり、肩に力が入りやすい性格の人によく見られる症状です。
 首の横の深い部分、鎖骨の後ろにある凹みや、その奥から首の横にかけてガチガチに硬くなり首を動かすこともつらいと感じる場合は斜角筋や胸鎖乳突筋のこわばりであり、歯ぎしりや噛みしめの癖と深い関係があります。
 少し背中側の両肩甲骨の間や肩甲骨内縁に感じる違和感やハリや痛みは菱形筋のこわばりによるものですが、肩甲骨のズレが一番の原因ですので、それを直さない限り、いくら揉みほぐしても解決しません。

棘上筋01

 さて、棘上筋は肩甲骨の上の方の凹み(棘上窩)にありますが、絵で見るイメージより実際は太く強い筋肉です。「いつも肩に何かをしょっているように感じる」「いくらマッサージしても肩の芯の”こり”が取れない」と感じているのであれば、それはこの筋肉の凝りやこわばりによる可能性が高いと思います。
 棘上筋は角度的に、肩上部の方向から指圧するようにしてほぐすことが適していますので、通常のマッサージでは“表面を舐める”程度しか力を及ぼすことができません。マッサージを受けると“痛気持ちいい”と感じるかもしれませんが、“こり”を改善する効果は期待できないと思います。
 私は指圧によって棘上筋の凝りやこわばりに対応していますが、指圧を始めた最初の頃は「痛いけど気持ちいい」とほとんどの人が仰います。ところが指圧によって表面の凝りが取れ、深部に圧が及んで行きますと「痛~い!」となります。通常、だいたい3分程度は持続的な指圧を行っていますが、それでもなかなか芯まではほぐれません。人によっては10分くらい指圧し続けることもありますが、それでも満足にほぐれなかったりします。それくらいこの筋肉の凝りやこわばりは頑固です。私たちが肩こりと長く付き合っていかなければならない理由はここにあるのかな? などと感じています。

棘上筋の“こり”と“こわばり”
 まず最初に私が使い分けて表現している“こり”と”こわばり”について簡単に説明します。“こり”は筋肉内に含まれている血液や水分などの流れが滞ってしまい、内圧が高くなってコチコチに硬くなった状態を言っています。「中身が詰まりすぎた状態」とイメージしていただければと思います。“こわばり”は筋肉自体が収縮して硬くなっている状態、あるいは収縮する方向に力が働いていて“張っている状態”を言っています。筋肉を使いすぎると硬くなりますが、それは“こわばり”状態です。筋肉が何かの力で引っ張られますと、伸ばされたくないので縮む方向に力が作用します。この状態も“こわばり”です。ストレッチ運動をして筋肉を伸ばしていきますと、あり段階で痛みを感じ「これ以上伸ばすことは無理」と感じたりしますが、それは筋肉が弛緩伸張状態からこわばりに転じたということですので、それ以上伸ばし続けると筋肉を傷める可能性がありますので気をつけなければなりません。
 “こり”は内圧が高い状態、”こわばり”は縮んで伸びない状態、と大雑把にイメージしていただければよいと思います。

 さて、棘上筋のこわばりについて考えてみます。使い過ぎるとこわばり、余計なテンションがかかるとこわばりる、といった観点で考えてみましょう。
 棘上筋は肩甲骨と腕(上腕骨)をつないで肩関節の安定に貢献し、肘(腕)を横に上げる(上腕骨の外転)働きをすると説明されていますが、実は地味な働きをするインナーマッスルです。ですから、実際には肘を上げるという表だった動作よりも、上げた肘を降ろさないように保持する働きをしていると考えた方がよいと思います。
 例えば、本やノートに目を近づけてペンを使い続けている学生は、脇を開いた(肘を上げた)状態で字を書いているわけですが、この姿勢は棘上筋を使い続けている姿勢です。
 (以前に取り上げた)“首肩に力が入りやすいタイプ”の人は、親指と人差し指を中心に物を持つ傾向がありますが、そうしますと自然と脇が開いてしまいます。それはつまり、棘上筋を使っているということです。パソコンのキーボードを打つ時に肘が上がっている人は棘上筋を作動し続けているということです。

 また、棘上筋は腕を肩にしっかり結び付けて肩関節を安定させる大事な働きをしています。例えば重い荷物を持って腕が肩から引き離されるような負荷が掛かりますと、棘上筋が収縮して腕を肩にしっかり留めようとします。この時、引っ張る力が強すぎて棘上筋が耐えきれなくなりますと“腱板損傷”などを起こしやすい状態になり、四十肩や五十肩など肩関節周囲炎になることがあります。
 重い物を持つことの多い人、肩関節周囲炎の人や、かつてそうだった人、そういう人は棘上筋がこわばっているか、あるいは反対に疲弊して筋力が発揮できない状態である可能性が高いと思います。

棘上筋の“こり”
 棘上筋は“肩こりが辛くて思わず手を当ててしまうところ”より少し下の深部にあります。ほとんどの人は凝っていますので、その部分を指圧しますと心地良い痛さを感じます。ところが、この筋肉はイメージ以上に厚みがありますので、深部深部へと指圧をすることができます。そして深部は表層以上にこわばりが強くなっていますので、指圧を続けていますと“心地良い痛さ”から”とても痛い”に変わっていきます。
 また、長さも肩甲骨内縁(背骨側)から肩関節付近まで10㎝以上ありまして、内縁側の方が分厚くなっていますので、そのことを念頭に満遍なく指圧してほぐすことが効果的です。指圧をしている時は痛みを感じますが、少しでもほぐれますと肩から荷が降ろされたような感覚になると思います。
 肩の上面にある筋肉(僧帽筋)のこりはマッサージなどで揉みほぐすことができますが、棘上筋は深部にありますし、角度的に背中側からのマッサージではほぐすことが難しいですから、持続的な指圧でほぐすことをお勧めします。

棘上筋のこわばりはO脚やガニ股を招く可能性
 からだの骨格筋には連動しあう仲間の筋肉というものがあります。棘上筋は肩関節の一番深層にある外転筋ですが、股関節で同じ条件をあてはめますと小殿筋が該当します。そして、実際、棘上筋と小殿筋は連動しあっています。つまり、棘上筋がこわばっている人は小殿筋もこわばっているということです。小殿筋は股関節で大腿骨を外転させ、股関節を外に開く働きをしますので、棘上筋がこわばっている人は股関節が開いた状態になりやすく、股間が広がった体型、ガニ股、O脚になりやすいということになります。

ジャイアン

 ドラえもんのジャイアンは棘上筋と小殿筋がこわばった人を表しています。からだが太いか細いかは別にして、このような体型の人を見かけることがあると思いますが、それは改善できないものではなく、棘上筋や小殿筋を整えることによってスマートな状態になる可能性があります。

インナーマッスルとしての棘上筋
 インナーマッスルを文字通り解釈しますと、体表ではなく、体幹の骨格に最も近い、深部にある筋肉ということになります。ざっくり表現しますと、体表にある表層の筋肉は素速く大きな動作を行う働きをしていて、深層にある筋肉は骨格を支え、表層の筋肉が働きやすい状態を築く役割をしていると言うことができます。筋肉は骨格を足場に、自らを伸縮して骨格自体を動かし、からだの動作としています。ですから骨格がグラグラして不安定な状態ですと、上手に伸縮することができなくなり、からだの動作が不安定になります。インナーマッスルは、そうならないように骨格を安定させる働きをしています。
 棘上筋は肘を横方向に上げ、脇が開いた状態を保持するために働きます。例えば日曜大工で、ドライバー(ネジ回し)を使ってネジを回すとき、普通は肘を少し浮かせ状態で作業を行います。脇を閉じた状態では手先だけの動作になってしまい力を入れてネジを回すことができません。この、肘を浮かせた状態は棘上筋の働きによって保たれています。ですから、もし棘上筋が損傷して十分に働くことができなくなりますと、ネジ回しも思うようにできなくなってしまうということになります。

三角筋と棘上筋01

 棘上筋の表層には三角筋があります。肘を上げる動作では棘上筋とともに三角筋が使われますが、動作の主体は三角筋の方になります。三角筋の中部線維が収縮することによって肘を直角近くまで上げることができます。ところが上げた肘を、その状態で保持する場合は主役が三角筋から棘上筋に移ります。例えば肘を直角まで上げた状態を2分間くらい保つとします。最初の内は三角筋が使われていることが実感できますが、時間の経過とともに肩甲骨の上部が気になりだし、そこが疲労を感じるようになります。この状態が長くなりますと“肩こり”になりますが、それは棘上筋が”こわばった"ということです。
 
四十肩や五十肩(肩関節周囲炎)と棘上筋
 棘上筋は太くて丈夫ですから、そう簡単に疲弊して能力が極端に低下することはないと思います。ところが強い衝撃などによって損傷したり、他の筋肉との関係で酷使状態となって働きが悪くなったりすることはあります。
 肩関節が脱臼したり、あるいはそれに近い状態になった時、棘上筋が損傷することはあります。病名としては“腱板損傷”と診断されるかもしれません。(普段持ち馴れない重い荷物を持つ時は注意が必要です。)
 肩関節は棘上筋を含め、他の回旋筋腱板(肩甲下筋、棘下筋、小円筋)によって脱臼状態にならないように支えられていますが、これらの中のどれかの筋肉の働きが悪くなりますと、棘上筋にかかる負担が増えますので、棘上筋は酷使状態になります。その状態が長く続きますと、やがて負担に耐えられなくなって炎症を起こし、筋肉の能力が極端に低下する可能性があります。こうなりますと肩関節を正常に維持することができなくなり、いわゆる四十肩、五十肩と呼ばれる肩関節周囲炎となってしまいます。棘上筋は肩関節の安定に対して貢献度の高い筋肉ですから、棘上筋の損傷や疲弊による肩関節周囲炎は重症化します。腕が肩からぶら下がった感じになり、ただ立ったり座ったりしているだけでも痛みを感じ続けるようになってしまう可能性があります。
 ですから「棘上筋が損傷したかも」と感じた時には、なるべく安静にして筋肉の回復を待ってください。揉みほぐしたり、リハビリ運動などをしてしまいますと逆効果になって重症化への道を進んでしまいます。痛みをこらえながらの「関節が固まらないように動かさなければならない」は、この状態では全くの逆効果です。
 棘上筋の損傷や疲弊状態では、腕が肩関節から少し落ちた状態(上腕骨が肩甲骨から離れる)になりますので肩関節の動きが悪くなったり、他の筋肉に負担が掛かって痛みを感じたりします。そんな時の対処法としては、肩関節を安定させる意味で肩上部から上腕の外側面にキネシオテープを貼ることをお勧めします。それだけで働きの悪くなった棘上筋を補ってくれますので、肩関節は少し安定します。ストレッチや変な運動療法などをするよりも、テーピングをして1~2週間ほど余計な負荷ををかけることなく安静に過ごしていただいた方が筋肉の回復が速いと思います。2週間程度関節を動かさなくても固まってしまうことはありませんので、筋肉が回復してから運動を始めてください。

 私たちは、精神的にも肉体的にも“実は頑固な存在”だと、私は思っています。いろんな人を施術していますと、“こり”というのは肉体的頑固さの象徴なのかもしれないと思います。そして、もしかしたら肉体的頑固さの“根っこ”は棘上筋なのかもしれないと最近感じ始めています。棘上筋のこわばりや硬さはなかなか取れないのです。少し緩和したかな、と思っても2~3日後にはまた硬い状態に戻ってしまいます。
 棘上筋がコチコチに硬くなったとしても、それだけでは、“肩こり”として感じることはないかもしれません。「押されるとそんなに凝っているんだ! と感じるけど」というのがほとんどの人の反応です。
 しかし、「もし、棘上筋のこわばりや硬さが解決すれば、この上なく“肩が軽い”という感触を感じてもらえるのかもしれない」という思いの元、なんとか効率的なやり方はないかと模索している現在です。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ http://yumetowa.com

 今回はほとんどの人が信じないだろうと思われる、“眉唾”に受け取られる話題です。

 過去に経験した肉体的な大ケガやそれに基づく精神的な恐れやトラウマ、それらを克服することはなかなか困難のようです。鬱、ストレス、それらから抜け出せない人もかなりいると思います。このブログで「首肩から力が抜けない」というの話題を幾度か取り上げましたが、実際、首肩から力が抜けない状態を克服することもなかなか大変です。
 私の母はリウマチを患い膝関節が変形してしまったため、常に膝が締めつけられているように感じていますし、長く歩くと膝が痛くなります。しかし、時々からだに何の痛みや違和感を感じなくなる時があります。すると「なぜか意識がからだをチェックしだし、何処かに悪いところはないかと探し始めてしまう」と言います。「何かに夢中になり、意識がそちらにとられていると痛みのことなど一切忘れてしまうのに‥‥」というのは誰もが実際に体験していることではないでしょうか。
 何度も何度も”ぎっくり腰”を繰り返し、常に腰に不安を抱えている人は、実際には筋肉の状態が良くなって腰を使うことができるのに、なるべく腰部を使わないようにガッチリ腰を固めて動作しようとする傾向があります。すると腰や背中はピンと張った状態になりますので、捻ったり曲げたりすることができないばかりか、ちょっとしたことでまたピリッ、グキッとなってしまいます。心理の深い部分に「もう腰をケガしたくないので腰をガチッと固めておきたい」というのがあるのは理解できます。しかし、これでは自分で自分自身に制限をかけているのと同じこと、つまり自分で症状の改善をストップしているのと同じことですので、そこから先には一歩も進めなくなってしまいます。いつもいつも同じことの繰り返しで、少し状態が良くなったとしても、またちょっとしたことで腰部が傷つき、腰痛状態に戻ってしまいます。

不安、恐れ‥‥負の思考回路
 「マイナス思考」「ネガティブ」という言葉はよく耳にしますが、それを克服することは実際なかなか難しいことです。
 私の仕事に関連して例をあげてみます。
 何度も何度もギックリ腰を繰り返して腰の状態が非常に悪くなった人は、ちょっとしたことですぐにピリッ、ギクッ、グキッとなってしまう経験が身にしみていますので、常にその状態にならないようにと気を使っています。そしてそれは“腰部を固めてなるべく動かないようにする”という対処方法です。布団に入る時、布団から起き上がる時、椅子に座る時、椅子から立ち上がる時、必ず背中や腰を固めて動かない状態にしてから動作を行おうとします。“固める”ということは”息を止めた状態”で動作するということです。「腰をゆるめながら動作しないと危ないですよ!」と注意するのですが、どうしてもそれができません。不安や恐れの気持ちが根深くあるので、本人が「ゆるめなくては‥‥」と思っていてもそれができないのです。
 そしてこのような人はすべての動作において警戒心が働いてしまうようです。自分の意に反して常に腰部が固まった状態になってしまいます。家事で洗い物をするとき、包丁を使う時、洗濯物を干す時、入浴で髪やからだを洗う時、誰かに呼ばれてふり向く時‥‥、あらゆる動きで腰や背中を固めてしまいますので筋肉のしなやかな連係プレイは望むことができず、すべての動作がロボットの動きのようになってしまいます。そして何よりも、すべての動作でピリッとかギクッとか筋肉を傷める確率が高くなってしまいます。

 筋肉や骨格の状態も改善してきて、普通にしているだけではそれほど腰痛を感じる状態ではないのに、散歩をしてくると腰部や殿部がカチッとなってしまい痛みを感じる部分ができてしまいます。すると、その後の家事がやりづらくなったり、肩や腕などに痛みを感じるようになってしまうことがあります。「朝は普通に包丁が使えたのに、夕方は肩がカチッと固まってしまい包丁が使えなくなった。」というのは腰が固まっているからかもしれません。
 右手を使う時、普通は左腰に体重を預けて動作を行います。椅子に座った状態で、右のお尻(坐骨)に重心を乗せた状態で右手を動かそうとすると、どことなく不自然な動きになります。ところが左のお尻に体重を移すと途端に右手の動きが楽になります。重心を掛けた側とは反対側の腕や脚がフリーになるからです。からだはこのようにできています。ですから右手で包丁を使うならば左脚に体重を乗せるようにしたり、あるいはキッチン台に左腰を預ける(ぶつける)ようにして斜に構えて右腕を操作するのが自然な在り方であると言えます。ところが左腰に痛みを感じたり、左腰が固まっている時はそれができませんので、両足で突っ立ったまま、あるいは右側に体重をかけて右腕を操作してしまいます。すると包丁が上手く使えないばかりか、右肩や右腕の負担が増し、痛みを感じるようになってしまうかもしれません。包丁を使った後、字を書いた後、手や腕がとても疲労してしまう人は、重心のかけ方を工夫するだけで問題が解決するかもしれません。

 「左腰がカチッとしているので体重を掛けられない」という心理は解ります。しかし私はあえて「工夫をして左腰に体重を乗せてください」と言います。ゆっくり軽く足踏みをしたり、ゆっくりからだを捻ったりして左腰が固まった状態を解除してくださいと言います。「左側に体重を掛けられる状態にしてからでないと包丁は使ってはいけない」と言っていますが、からだの改善を図っている人にとってはこの微妙な重心移動がとても重要な要素であると考えています。

 ここからが謎めいた話になりますが、私の母は考え事をするとき必ず頭を動かして右下やや後方に視線を向けます。こういう仕草をしないと脳の思考回路のスイッチが入らないのかもしれません。一方で“右下やや後方”ということは、脳の右端、“右耳辺り”の場所を使って思考を展開していると解釈することもできます。人それぞれに脳の中で思考を展開する特定の場所というものがあるようです。
 ある人は額(前頭葉)の右側寄りを使って思考を展開しています。何を考えるにもそこを使っていますので、しばしばその部分が頭痛に襲われますし、頭蓋骨もそのように歪んでいます(頭部が右側にずれている=頭の右側が大きい)。それだけならまだ良いのですが、観察していますとその部分を通過する思考は必ずマイナス思考になってしまうようで、それが問題です。「できない」「恐い」「慎重」「不安」というフィルターがそこに存在しているかのようです。例えばこれまで30㎝くらいしか動かすことができなかった動作を35㎝に拡げようとします。筋肉の状態は十分にその動作が可能な状態です。ところがこれまでよりも5㎝動作が大きくなると考えただけで息が上がりだし、緊張感が生まれ、不安に襲われてからだが硬直してしまいます。当然動作は上手くできません。
 「首肩から力を抜いてゆったりと腹式呼吸をしてください。」とやってもらいますと、始めの2~3回は上手くできます。余計なことを考えることなく、単にそのリズムと雰囲気を継続してもらうだけでからだはどんどんリラックスしていくのですが、こういうタイプの人はすぐさま頭の“いつもの場所”を使い始めてしまいます。「このやり方でいいのだろうか?」とマイナス思考の回路が台頭し始めます。すると腹式呼吸をしているはずが、次第に呼吸が上がってきて息苦しくなり首肩の緊張が増してしまいます。
 そうなった場合でも、「そこ(額の右側)に意識やイメージを持っていかないでください。額の中央にイメージを持っていき、“単に吐くこと”だけに集中してください。」と言いますと、すっかり息苦しく感じていた呼吸が急に楽になり始め、腹式呼吸ができるようになります。
 呼吸に限らずどんな運動を開始する時も、この方は先ず身構えてから動作を始めようとします。慎重に体勢を整えてから動作を開始しようとする姿は“集中する”という面では長所です。ところが知らず知らずのうちに額の右側を使ってしまので、それは大きなマイナスです。「そこ(額の右側)で何を考えているのですか?」と尋ねても「別に何も考えていない」と応えます。もう何十年もこの癖を持って生きてきたので本人にはごく自然のことであり、「何がいけないのか?」まったくわからないのかもしれません。
 「では、そこ(額の右側)に意図的に意識を持っていかないようにしてください。何を思うにも額の真ん中で行ってください。」とやっていただくと身構えることなく動作を開始することができるようになります。あるいは動作をしながら意識を額の中央に持っていっていただくと、最初はぎこちなかった動作が次第にスムーズにできるようになります。
 この方のご両親は大変しつけが厳しかったようで、幼少の頃から“ミスしてはいけい”という思いを抱いていたということです。これは私の想像ですが、怯えが常にあったのでご両親を真正面から見ることが出来なかったのかもしれません。そうであるならば、それが知らず知らずのうちに視線と意識を額の右側に寄せてしまう癖をつくってしまったのかもしれません。

 「上手くやろうとしないでください。気持ち良くなるようにやってください。」私が今、この方に言い続けている言葉です。たとえば最初から上手く歩くことができなくてもかまいません。歩き続けているうちに、歩みの一歩一歩が次第に心地良く感じられ、腰やお尻の筋肉が働いていることが気持ちよく感じられるようになれば、歩き方は自ずと良くなっていきます。そして気持ちよく歩けている時は額の右側の思考回路は停止しています。自然に顔が上を向き出し、視線がしっかりと前方を捉えるようになります。背も高くなったように感じられます。「この感覚をしっかり覚えてください。からだに染み付かせてください。」とそう言っています。
 しかし、一端止まって再び歩き始めてもらおうとすると、例によって、“上手く再現しよう”という思いが額の右側を占有し始め、身構えることから始めてしまいます。すると、たった今できたことが何秒か後にはできなくなってしまう状態になってしまいます。

 ピアノや楽器の練習、スポーツの練習、あるいは何かの習い事などを真剣にやってきた経験のある人たちには理解できると思いますが、「上手くやろう」という邪心が芽生えますと、それが自分自身を制限し始め、それまで普通にできていたことが突如できなくなってしまったりします。また反対に、その時の技量では「なかなか難しい」と思われていたことも一生懸命トレーニングを繰り返し、頭の中にしっかりとしたイメージが出来上がれば、いざ本番という時に無心(余計なことを思わない集中した状態)になって取り組むことができるようになり、自分の限界を超えることができたという経験をお持ちの人も多くいると思います。これをメンタルトレーニングなどと言って心理学的に考えることもできるのかもしれませんが、頭の使う場所、つまり脳のどの思考回路を使うかという観点で考えることもできると私は思っています。

 四十肩や五十肩で肩関節が思うように動かせないのに「関節が固まってしまうから‥‥」という私から見ればとても不合理な理屈でオモリを持たせ強制的に関節を動かすようなトレーニングをさせたり、膝が痛むのに太もも(大腿四頭筋)にかなりの負荷をかけて筋力をアップさせようとするトレーニングなどを推奨している専門家がたくさんいます。こういうことは私のところでは一切やりませんが、時々、その時点でのご自分の限界点をその方が超えようとするとき、どのような息づかい(呼吸)、どのような気持ちや頭の使い方をしているかを観察するために、「動かせる限界から、もう少しだけ動かそうとしてみてください。」とお願いすることがあります。
 限界点を超えて動かそうとするので痛みを感じます。ですから誰もが一瞬不安な気持ちに襲われます。この時、もしその方がこの症状でとても辛い思いや痛みを経験したことがあったり、あるいはトラウマが頭に甦ったりしますと、その方の呼吸は突如として変わり、からだが硬直して手に冷や汗が出てくるかもしれません。「少し痛くてもリラックスして、息を吐きながらもう少しだけ動かしてみてください」と言われたところで、「わかってはいるけど、できない!」ときっと思われることでしょう。
 そして「できない!」という思いがどこかにあれば、実際、それ以上は動かすことはできません。“恐い”、“できない”という否定的な感情や思考はとても強力です。瞬時に呼吸を悪くし、筋肉を硬直させてしまいます。
 限界を超えて何かに挑戦するためには集中力が何よりも大切です。腕が30㎝しか上がらなかったものを35㎝に拡げようとするなら、肩関節や腕のつけ根の筋肉に全意識を集中させて取り組む必要があります。ところが頭の中に否定的な思考が生まれますと、意識の力が分散してしまい集中力が消え失せてしまいます。ご自分では肩関節や腕に意識を集中させているつもりでも、実際には頭の中にある「できない!」という恐怖心に意識がとられてしまいます。ですから実際、“できない状態”になるばかりか、痛みを感じたり、呼吸が荒くなって息苦しさを体験することになります。

 この時の「できない!」「恐い!」という感情は思考回路だと私は考えています。
 腕が30㎝しか上がらないなら、30㎝上げることをゆっくりと幾度か繰り返してもらいます。この時に意識を肩関節あるいは腕のつけ根に持っていってもらうのですが、それは実際には頭の中にイメージを作りあげるという作業です。頭に肩関節のイメージを描いて、そこに意識を集中するということですが、この作業をいつもの右側ではなく額の中央で行ってもらいます。ゆっくりと幾度か(30㎝動かす)動作を繰り返していると集中力が増していき、無心の領域に近づいていくのが感じられます。するとやがて30㎝だった可動域が自然に35㎝になり、それを超えていくようになったりします。(但し、肉体的状態として”動かすことができない”というのはあります。こういう状態の時に「もっと動かして!」と強要するのはからだを更に壊す原因になりますので、それはダメです。)

 少々乱暴な言い方になりますが、誰でもプラス思考やマイナス思考を持っています。額は脳の前頭葉の場所ですが、そこで私たちはイメージを形成して思考を展開していきます。仮にその方の前頭葉の右側で視覚化されたイメージはマイナス思考に結びつき、前頭葉の中央で視覚化されたイメージはプラス思考に結びつくと考えるならば、額の右側を無視して欲しいと思います。長年の癖は引力がとても強いものです。実際、額の中央に集中しようとしても動作が限界点に近づくと額の右側から“引っ張り”がやってきます。一連のトレーニングが終了して“ふっ”と安心して気を許すとすぐに思考の場所が右側に戻ってしまったりします。ですから、額の中央で視覚化することが“ごく普通”、“当たり前”になるまで自分の思考の在り方を注視し続けなければなりません。

集中するということ
 ほとんどの人は今回の話に疑問や疑いを持たれていることと思います。実際に体験しなければ“誰もわからないだろう”ということを承知の上であえて話題にしました。その理由は、私のところに来られる方々の中には肉体的な不調だけでなく、それに関連して精神的にも苦しんでいる方々が多くいらっしゃいまして、「何か良い手立てはないだろうか?」と毎日のように考えているからです。
 これらの方々は、施術を終えたときは症状も軽快して心理的にも明るくなるのですが、何日かしますとまた元の悪い状態に戻ってしまいます。肉体的な問題だけでそうなるのであれば、私の見立てが見当違いだったのか、私の技術力が未熟だったのか、という問題としてとらえることができるのですが、明らかにそうではなく、本人の心理状態が不調を改善することに対して邪魔になっている場合があります。“呼吸が悪く首肩から力が抜けない人”はこの傾向の人だと思われます。

 “疑いの心”、“恐れ”、“不安感”は、からだを改善することだけでなくいろいろな面で“邪魔者”です。何かを達成しようとするとき、私たちはそのことに集中して取り組まなければなりません。集中力が欠如した状態では思いを現実化することはできません。好きな楽器を練習するとき、趣味やスポーツに没頭するとき、商談で話し合うとき、美味しい食事を口にするとき、私たちは自然とそのことに集中し、瞬間的であったとしても他のことは頭から消えてしまいます。それが私たちに本来備わっている“集中力”という能力です。「どうせできないさ」とか「自分にできるだろうか?」とか「できなかったらどうしよう?」といった邪心(疑い、不安、恐れ)が頭にある状態では物事に集中することはできません。
 ですから、からだの状態が悪い「今」を、良い状態に変更しようと考えるならば‥‥つまり健康な自分を現実化しようとするならば、邪心をどこかに放り出して集中力を最大限に発揮する必要があるという理屈になります。

 たとえば痛みの出ない範囲でゆっくりと腕を動かし始めることは、不安感や恐怖心が表に現れませんので、集中力を発揮しやすい状態で運動を開始するということです。そして何度か同じ運動を繰り返していますと、集中が次第に深まっていき、他のことは何も頭になくなるという領域に心がシフトしていきます。するとからだの細胞は頭(脳)の状態を反映するかのように動きが良くなり始め、可動域が少しずつ大きくなっていきます。(ゆっくり、じっくり動かすということが大切です。)
 観察していますと 不思議なことですが、頭(脳)はギアチェンジするかのように違う領域へと状態をシフトしていきます。それを“脳波の移行”(α波、β波、θ波、Δ波)というとらえ方で説明できるのかもしれませんが、それについては私はよく知りません。
 ミュージシャンや歌手が音楽に集中するとき、野球選手が最大限に集中力を発揮しているとき、サッカー選手が集中しているとき、顔つきが普段とは違って「集中しているなぁ!」とわかりますが、ここに来られる方々も集中しているときは、顔つきが変化しますので私にはわかります。それは“わざとらしい集中”や“大げさな集中”ではなく、地味で”静かな集中”という様相ですが、確実に呼吸の状態も良くなっています。ですから、自分自身の変革、変化に取り組んでいるときは「いつもこうあってほしいなぁ!」と思っています。
 そのためには、先ず邪心の入らない状態に自分をおくことから始め、少しだけの進歩や変化でもいいですから、それを”良し”と思っていただき、毎日着実に前に進んでいることを実感していただくことが大切だと思います。

 また、からだの不調をいつも気にしている人は、ここで取り上げた”静かな集中”、“邪心のない集中”が苦手な傾向にあります。からだの不調とは関係のない、例えばお喋りに夢中になる、テレビ番組に集中する、といったことに対しては何の邪心もないままにストレートに集中することができますが、からだや心の気になることに関しては「単に集中して観察する」ということができないようです。どうしても“自分の想い‥‥不安、恐れ、疑い”というフィルターを通して観察してしまうようです。疑いのフィルターを通してからだを観察すれば、「今は良くてもまた駄目になってしまうのではないか」という思考が形成されます。恐れのフィルターを通して観察すれば、「この運動でまたグキッと筋肉を傷めたらどうしよう」となります。
 そしてこれらの邪魔なフィルターは“思考回路”だと私は考えています。道路を走る自動車に例えるならば、目的地に着くまでにどうしても寄りたくなってしまう「道の駅」みたいなものです。道の駅を無視して真っ直ぐに目的地に向かうなら余計な買い物をすることもなく、時間を浪費することもありません。道の駅に寄って一服してしまいますと、トイレを済ました後突然、「やっぱり行くのは止めて家に戻ろうかな?」などという心が芽生えてしまうかもしれません。朝目覚めたときに思いついた「今日は遠出をして気分転換しよう!」という素晴らしい計画は道の駅に寄ったがために「遠出して本当に気分が変わるだろうか? やっぱり家に帰ってのんびりしよう」という尻つぼみの結果になってしまうかもしれません。
 邪魔なフィルターの回路とは、この道の駅のようなものです。そこを思考が通過してしまいますと、当初の目的とは別の結果が導き出されてしまうのです。ですから、その思考回路に思考を通過させないようにと、苦しんでいる方々にはお伝えしたいのです。

 上記に例として取り上げた方は、この邪魔な思考回路のある場所が額の右側です。ですから何を考えるにも「額の右側に持っていかないでください」と注意し続けています。それでも何十年にもわたる癖ですから、そう容易く克服することはできません。ふとした瞬間に、油断した瞬間に、額の右側は思考を引っ張り込んでしまうのです。

意識の向け方とからだの変化
 やはり首肩から力が抜けずに顎、首、肩が不調で苦しんでいる別の人がいます。「私は二人で並んで歩く時、左側(連れの人が右側) に居ないと落ち着かない」と仰います。つまり誰かが自分の左側にいると落ち着かなくなると解釈することができます。また同時に「赤面症の気があるようで、正面で相対して仕事の話しなどをすると顔が火照ってきて緊張してしまう」とも仰っていました。そこで実際に、私がその方の左側と右側に立ってからだの変化を観察してみました。すると実際には本人の思いとは反対に、私が左側に立つと首肩から力が抜けてからだはリラックスした状態になり、右側に立つと首肩に力が入りだし呼吸も荒くなってしまいました。そしてその方の正面に相対して眼を見ながら会話を始めると、ここでも二つの状態が現れました。私が正面やや右側で相対すると首肩に力が入り出し息が荒くなりますが、私が少し移動して正面やや左側の位置になりますと、それまでの緊張感はスッと消えました。
 この反応を私は、意識を右側に向けるとからだが緊張する、つまり自律神経の交感神経が優位になる傾向があると解釈しました。からだが自然と防御体制になってしまうと考えました。
 「これまでの人生でトラウマになるような出来事はありましたか?」と尋ねますと、なかなか思い出せなかったのですが、しばらくしてから「そういえば随分前だけど、子供の友人のお母さんから激しく苦情を言われたことがあって、その時のことがずっと心に残っているのかもしれない。赤面症のようになったのもそれからかもしれない。」と仰いました。
 赤面症を医学的どう捉えているのかは知りませんが、単純に考えますと“顔の表面に血液がたくさん集まる”ということですから、顔の血管をコントロールしている交感神経が活発に働き出すということであると考えることができます。また火照りなども感じるのであれば、顔だけでなく脳も含めて頭部全体の交感神経が活発化するということです。自律神経のうち交感神経は、本来“防御体制をとっていつでも逃げられる”準備をするためのものですし、副交感神経はこれとは反対にリラックスしてからだを休めるためのものです。
 こう考えますと、この方が誰かと並ぶ時は右側にいて欲しいと願うのは、何かあったらいつでも逃げ出せる状態に自分を置いておきたいという深層心理なのかもしれません。
 これを“意識の向け方”という観点で考えますと、意識を右側に向けておけばいつでも防御できる状態なので安心感が生まれ、意識を左側に向けることは、どこか無防備に感じてしまい、からだはリラックスするかもしれないけど心は落ち着かなくなる、ということであると考えることもできます。

 意識がいつも頭や首や肩にある人はそこから力を抜くことがなかなかできません。つまり悩み続けている時や、いつも頭で考え続けている人は自然と顔首肩に力が入ってしまうということです。こういう人に「肩の力を抜いてください」と言ったところで、実際のところそれは難しいことです。意識がそこ(首・肩・頭)から離れないので力の抜き方がわからなくなってしまうのです。ですから私は「意識を足の方に向けてください」とか、腰を捻る運動や下半身を使う運動をやってもらったりします。すると意識がそちらの方に移動するので自然と首肩から力が抜けるようになります。
 なかなか首肩から力を抜くことができない人に対して、稀にとても抽象的な質問ですが、「今、この瞬間、あなたはどこで生きていますか?」と尋ねることがあります。つまり意識をどこに集中させていますか? ということなのですが、上記の”思考回路”のことも含めて、その方の癖を自分自身で実感していただきたい、そしてその癖を克服することに挑戦していただきたいという願いを込めて、こんな突飛な質問をすることがあります。

 私は心理学者でも心理セラピストでもありませんので、トラウマや上記で取り上げたような状況を根本的に解決するためにどうすればよいかということは知りません。ですからここに記してきたような事柄はもしかしたら単なる対処法に過ぎないかもしれません。しかしながら色々な病院を巡っても曖昧な応えしか得られず、挙げ句の果てに心療内科に回され、結局のところ薬を出されて釈然としない思いを抱いている人達の話を聞きますと、このようなアプローチ方法も有効な手段ではないかと思っています。

 思考回路のことに話を戻せば、私の仕事上での思考回路は「からだは全部つながっている」というものです。この思考回路を通して皆さんのからだを観察し、施術の方針を決めています。ですから骨盤を調整するために足先や手指を施術したり、噛みしめや目のコリを解消したりすることは、からだは全てつながっていて影響し合っていると考えている私にとっては何ら不自然ではなくごく当たり前のことです。ところが現代医学ではほとんどそのような考え方やアプローチはしませんし、テレビや本や雑誌などから情報を得ている皆さんも同様だと思います。これは大雑把に言ってしまえば、私とお医者さんとは思考回路がまったく異なっているということです。私もかつてはお医者さんや皆さんと同じような思考回路を使ってからだを観察していました。「腰痛の原因は椎間板が云々で、神経が圧迫されて云々」と勉強していましたので、そのような目(思考回路)で腰痛を捉えていました。ところがそれでは解決しない、“腑に落ちない”ことをたくさん経験しましたので、根本的に考え方を変えようと決心しました。つまり、それまでコツコツと勉強して築き上げてきた思考回路を全く別のものに取り替える作業に取り組んだのです。新しい思考回路が確立するまで2~3年は掛かったと思います。その間は、元々の思考回路からの攻撃(引力)をたくさん受けました。腰痛の方が来店されると、つい“神経の圧迫”とか“椎間や腰椎”などと頭に浮かんできてしまうのです。
 ですから思考回路を変更するということ、これまでの思考回路を使わずに新たな思考回路を築き上げるという作業が如何に大変で、粘り強い忍耐力が必要なことはよく理解しています。決して一朝一夕にできることではありません。しかし思考回路が変われば、からだが変わり、からだの使い方が変わります。
 顔・首・肩から力が抜けずに辛い思いをしている人、呼吸が苦しくて生きているだけでも辛いと感じている人、そういう人達は肉体的な調整だけでは不十分です。肩こりをほぐしても、楽に感じるのはその時だけです。
“今の自分”を抜け出して、心地良い自分、新たな自分になることを目指すのであれば、忍耐することを心に決めて”考え方を変えること”、つまり新たな思考回路を築き上げることに取り組んでみてはいかがかと思います。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com

ホームページ http://yumetowa.com

 現在、顎(そしゃく筋)、喉、首、肩など上半身の上部に力が入ってしまい下腹部や下半身があまり機能していない方が二人定期的に来店されています。お二人に共通している点は以下の通りです。
①子供の頃からずっとこの状態が続いているので、それが普通なのかと思っていた。
②呼吸状態が悪い。
③ムチウチの経験がある。
④歯列矯正をした。
⑤骨盤や股関節に問題を抱えている。

 お二人とも腰に力が入らないため、座った時に骨盤にからだをあずけることができません。ですから普通の人がやっているような背もたれにからだを委ねるような座り方は苦手です。背中をピンと張って座らざるを得ないので、一見姿勢が良い人のように見えますが、実は上半身、特に胸から上の部分に力を入れないと座る姿勢を保つことができないのです。腰を使って背筋を伸ばしているのではなく、首や肩の力を使って背中を張っているため、すぐに疲労してしまい長く座ると腰が痛くなってしまいます。
 「からだの中心は骨盤であり、会陰である」と過去のブログに書きましたが、骨盤を中心に、下腹部・腰部の力を使って姿勢を保ち、動作を行っていればからだを壊すようなことはそうありません。しかしこの方々のように、動作の中心が首肩周辺になってしまいますといろいろと問題が起きてきます。そして共に子供の頃からずとその状態で生きてきましたので、そのこと(首肩中心)が不自然なことだとは思っていませんでした。“常に息苦しい”、“すぐに息が上がってしまう”、“腰が弱い”というような点が他者との違いとして感じてはいるものの、それが“からだがおかしい”こととは結びつかなかったようです。
 (私の目から見て)お二人の性格に共通している点があります。それは不安に襲われやすい、心配性である、恐れている、といったことです。お二人とも神経質ではありませんが、これらの不安、心配、恐れといった感情は胸の圧迫感や頭の圧迫感と関係しているのではないかと思います。
  また、お二人とも呼吸の仕方が良くないのですが、仰向けで寝た状態で「息を吸うことは考えずに(自然にできるので)単に吐き出してください」とやってもらいますと、最初の1~2回はできるのですが、その後それを続けることができなくなります。息をたくさん胸に入れないと吐き出すことができませんし、その吐き出し方も胸中心でかろうじて腹部が少し動いているのが観察できる程度です。
 このテストは呼吸の中心を胸から下腹部の方に移動できるかどうかを確認するものですが、単にゆっくり吐き出すことをするためには腹筋をじっくり使わなければなりませんし、横隔膜がスムーズにゆるんでいかなければなりません。
 腹筋と横隔膜の状態が悪いと、息をゆっくり吐き出しながらリラックスすることができません。普通の人は首や肩や頭に力が入ってしまったり、息を止めたために肺の中に空気が溜まった状態になったりしますと、“溜め息”のようなことをして息を吐き出し、その状態を無意識的に解除するのですが、このような人達の“溜め息”は形だけで終わってしまい目的を達成することはできません。

 ここで筋肉と骨格の関係から首肩に力が入ってしまうことと呼吸の関係を説明してみます。
肩甲骨を引き上げる筋

 首の筋肉で気になるのを専門用語であげれば、僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋、斜角筋、胸鎖乳突筋、肩甲舌骨筋、胸骨舌骨筋などです。僧帽筋と肩甲挙筋は肩甲骨と鎖骨を引き上げますので首の長さの見え方に関係します。実際は首が長さが変わったわけではないのですが、これらの筋肉が緊張状態になりますと首が短かくなったように見えます。時々、中年の太ったおじさんはワイシャツの襟に隠れて首がないように見えたりしますが、それは僧帽筋、肩甲挙筋の張りによるものかもしれません。(トレーニングなどでこれらの筋肉がすごく発達した人も同様に見えますが)

頚部前面の筋

 斜角筋、胸鎖乳突筋、胸骨舌骨筋などの緊張(収縮)は胸郭を引き上げます。胸郭が上がった状態というのは息を吸った状態ですから、これらの筋肉がいつもこわばっている人は「常に息を吸った状態」であり、過呼吸になりやすい傾向にあります。息苦しい人、息が荒い人、頭に圧迫感を感じている人などは、これらの筋肉を整えて胸郭を下げることで状態が改善することがあります。
 そして肩甲骨や鎖骨、胸郭を引き上げるこれらの筋肉はそしゃく筋と関係しますので、噛みしめる癖があったり、そしゃく筋が収縮してしまう状態にありますと、これらの筋肉も収縮状態になるため首肩が張り、胸が上がった状態になってしまいます。腹式呼吸はできなくなり胸でハアハア呼吸する状態になりますし、力の中心(重心)が首肩の方に上がってしまうことになります。その他、“目の疲労”などによって首肩に力が入ってしまうこともありますが、多く見受けられるのはそしゃく筋の状態に関連してもたらされているものです。ですから“そしゃく筋のこわばり”(頬の内側にある噛む筋肉の緊張状態)を如何に解除するかが、首肩から力を抜くための有力な方法になります。
 ただ、ほとんどの人は自分のそしゃく筋がこわばっていることに気がつきません。いつも意識してそしゃく筋を観察している人は「今、噛みしめてきた」「こわばりがゆるんできた」ということに気づきますが、“奥歯が合っていなければ噛みしめた状態ではない”と思っている人がほとんどですので、「首肩から力を抜くためには、まずそしゃく筋をダラーッと脱力してください。」とアドバイスしてもすんなり納得できないようです。

 一生懸命になって首肩から力を抜こうとしてみても、それは一時的なものになってしまいます。その時は力が抜けます。しかし次の瞬間、何かが起こったり、感情が変化したりしますと、また首肩に力が入った状態になってしまいます。なぜならそしゃく筋が収縮したままの状態であるからです。

 骨盤や腰部・下腹部に力が入らない状態であれば、からだを支える中心は首肩の方に移ってしまいます。ギックリ腰の経験のある人はおわかりになると思いますが、椅子から立ち上がる時に腰や下半身の力を使えないので腕の力を使って立ち上がるようになります。単に座るだけでも腰に体重をゆだねることができませんので、肩甲骨周辺や首肩に力をいれ続けて姿勢を維持しなければならなくなります。それは非常に疲れる状態ですのですぐに寝転びたくなってしまうかもしれません。極端な例ではありますが、これに近いような状態が内在しているのが首肩から力が抜けない人の傾向かもしれません。腰部を強打した、尻もちをついた、ぎくり腰を何度か繰り返した、このような人は腰部の働きが悪くなっているため、それを補うように首肩周辺に力を入れている可能性があります。
 ムチウチは後頭部の首のつけ根辺りを損傷することが多いのですが、頭痛や首の痛みが改善されるとそれでムチウチは「治った」と判断しているかもしれません。病院の判断もそのような感じかもしれません。しかし、後頭部や首の損傷で、筋肉や筋膜の状態が悪いまま何十年も経っている人が多くいます。「なんとなく腰周りがスッキリせず、ついつい前屈み気味になってしまう」あるいは「無理して腰を反った状態にしないと座り続けたり歩いたりすることができない」というような方は、ムチウチの損傷がすっかり改善したわけではないと思われます。「ムチウチを経験してから首肩に力が入ってしまい息苦しさを感じるようになったのかもしれない」と、思い当たる節があるのであれば、今一度後頭部から後頚部にかけて治療する必要があるのかもしれません。
 ムチウチは後頭部から首後側の筋肉の働きを弱めてしまいますが、それは当然腰部の筋肉にも影響を及ぼします。腰を支えて動かす力が弱くなりますので、腰痛持ちの人と同じように首肩背中の上部に力を入れて姿勢を保つようになってしまいます。ですから自ずと重心は上部になってしまいます。

 私は“歯”については専門家ではありませんので確かなことは言えません。しかし現実に、歯科矯正の影響でからだの働きが悪くなっている人を見てきました。“歯”そのものよりも“歯茎”が弱々しくなっていて、その影響でそしゃく筋がこわばったり、舌や喉が硬くなって常に首肩に力が入った状態になっていたりします。
 歯茎は上顎骨の一部です。顔面を強打して歯茎が弱くなったために顔が歪んだり、感覚器官がなんとなく不調に感じたりすることはよくあることです。抜歯を伴う歯列矯正は、“上顎骨の健康度”という観点で考えると、やはりマイナス要因です。私たちには生まれながらに決められている歯の本数とそれぞれの役割があるわけですから、そのことの大切さを慎重に考えて歯列矯正の方法を選んでいただきたいと願っています。
 からだの不調がなかなか改善しない方々からの問い合わせの中で、「歯を削られてから‥‥」「歯列矯正をしてから‥‥」という言葉も多く聞きます。上歯と下歯は上顎骨と下顎骨であり、その関係はからだにおける陰(腹側)と陽(背側)の接点ですので、噛み合わせも含めて上歯と下歯のバランスが崩れますと、からだ全体のバランスが崩れる可能性があります。
 定期的に来店されている方で、歯を削られすぎてから体調がガタガタになってしまった人がいます。歯科の先生は歯の削りすぎによる噛み合わせ不良と体調不良との因果関係を認めないようで、理解ある歯科医院を求めて苦労しています。私のところに来て、顔やからだの歪みを修整しますと、その場では状態が安定します。しかし日が経つにつれ、徐々に元の悪い状態に戻ってしまいます。私もいろいろ考えて対応していますが、物理的に歯の高さが足りない状態は整体ではどうにもできませんので、良い歯科医の先生に巡り会うことを願っています。
 “歯”にまつわるいろいろな状況を目の当たりにしていますと、安易な考えで歯列矯正を選んで欲しくはないと思ってしまいます。

重心のホームポジション
「舌のホームポジション」については以前に取り上げましたが、からだの重心にもホームポジションがあります。ホームポジションという意味は、必ずそこになければならないということではなく、動作とともに重心は前後・左右・上下といろいろ動きますが、動作が一段落したときには、重心がその位置に戻るということです。重心のホームポジションが首肩周辺にあるのか、下腹部・腰部辺りにあるのかでは、動作の起点が何処にあるのかという意味で大きな差となります。
 なお、自分のホームポジションが何処にあるのかを知る一番簡単な方法は、“痛みをこらえるとき何処に力を入れているか”でわかります。ご自分の腕などを強めにつねったとき、どこに力を入れて痛みに耐えていますでしょうか。顔を歪めたり首に力が入ってしまう人は、首肩周辺にホームポジションがある人だと思います。下っ腹に力が入って痛みに対抗する人は下腹部にホームポジションがある人です。
 そして重要な点は、首肩タイプの人は息を吸った状態で動作を停止しやすい傾向があり、からだが無防備でスキだらけの状態になりやすいということです。「ビックリすると途端にからだにきてしまう」といった感じでしょうか。
 ホームポジションが下腹部タイプの人は、例えば人混みで前方から来る人とすれ違いながら歩くことも苦と思わず、たとえからだが少々ぶつかったとしても動じることはありません。そんな感じだと思います。武道をやっている人は、如何に相手にスキを見せないかというのが大切なことですが、そのためには吸気を悟られないようにする必要があります。何故なら息を吸う動作の時、私たちは無防備になってしまうからです。

 “からだを動かすこと”は“重心を動かすこと”に等しいとも言えます。
 私たちは無意識に重心を動かしています。椅子から立ち上がろうとすれば、まず頭部や首を前に出して重心を前に動かしてから上体を屈めて立ち上がり、椅子から離れます。しかし、よく観察しますと一番先に動くのは舌先です。舌先が微妙に動くのあわせて頭や首が前に動きます。もし舌が強くこわばっていて前に出すことができない状態であれば重心移動がスムーズにできないため、椅子から立ち上がる動作でさえ余計な負担をからだに強いることになります。試しに、舌を奥に引っ込めたままの状態で椅子から立ち上がろうとしてみてください。動作がスムーズにいかないばかりか、足腰にすごく負担がかかってしまいます。このことから解りますように、重心を動かさずにからだを動かすとすぐにからだは故障してしまうかもしれません。

重心の移動

 からだの動作に合わせて重心は大小様々に動きます。たとえば座った状態から横になろうとすれば、下腹部のところにあった重心はからだの傾斜に合わせて喉元まで動きます。しかし動作が一段落して体勢が落ち着くと重心は再び下腹部のところに戻ります。これがからだの自然な動きです。自分は首肩に重心があるからといって、それを下腹部にもってこないといけないと思い込み、常に下腹部ばかりを意識して重心をそこから動かさないようにして動作をしますと、それは自然の動きに反していますので、やはりからだを壊す原因になってしまいます。からだの動きに合わせて重心は行ったり来たりします。そして戻る場所がホームポジションであり、そこが首肩周辺ではなく下腹部であることが望ましいということです。
 筋肉は使うことによって鍛えられます。ホームポジションが下腹部・腰部にある人は、特に何をするわけでなくても下腹部・腰部の筋肉をたくさん使っていることになりますので、下腹部・腰部の筋肉が強くなります。首肩周辺がホームポジションの人は首や肩の筋肉をたくさん使ってしまうことになりますので、首肩のこり、喉や舌のこわばり、顔のこわばりなどを招く反面、下腹部・腰部はおろそかになりますので、腹式呼吸が苦手で腰痛に悩まされる可能性が高くなります。
 ですから慢性腰痛に悩んでいる人、呼吸が浅くて息苦しい人、首肩のこりやハリに苦しんでいる人、さらに胃腸の調子がおかしい人などは、重心のホームポジションを首肩周辺から下腹部にもってくる訓練をしていただきたいと思います。

 腰が重症の方から「文字を書く時、重心をどうすればよいか?」という質問を受けました。文字を書くのもからだの動作ですから、重心は動かなければなりません。小さな文字を書くのでは解りづらいと思いましたので、大きな文字や大きな「○」を書くことで本人に確認しもらいながら試してみました。
 椅子に座った状態では坐骨が座面に着いています。何もしなければ左右の坐骨にほぼ均等に体重が乗っているはずです。
 大きめの「○」を左側から書き始めるには右手に持ったペンを最初にからだの左方向に持っていきます。そして紙にペン先を置き「○」を書き始めるのですが、この時左の坐骨に体重を乗せるようにしていただきました。つまり重心を左側に移動させたということです。そして「○」の上部の膨らみを書き始める時には重心を左側から中央に戻しながら下腹部を少し前に出すようにし、「○」の右側を書く時には重心を右の坐骨に乗せるようにしていただき、「○」の手前側の膨らみを書く時には重心を坐骨の後側に移すようにしていただきました。文章で説明するのは難しいのですが、要するに、手の動きに合わせて坐骨で文字を書くように重心移動をしていただきました。そして「あ・い・う・え・お」と紙に書く時も同じような感じで重心を動かしながらゆっくりと書いていただきました。
 この微妙な重心移動は普通の人にとっては、何を考えることもなくごく自然にできる動作です。しかし、腰が重症の人にとっては“自然な重心移動”が難しいのです。そしてこういう練習を通して、私が日頃からアドバイスしてきた“重心移動”の意味が実感として理解していただけたようです。
 重心移動は動作のリズムでもあり、リズム感のある動作は重心移動が伴っています。食器を洗うにしても、掃除機をかけるにしても、何をするにも微妙に重心移動をさせながら動作を行っていればからだは楽です。そして腰部は自然と鍛えられますので、腰痛も楽になると思います。
 ところが横着をして、寝転んだまま手だけを伸ばしてテレビのリモコンを取ろうとした瞬間や、思いも掛けぬ出来事にビクッとして息が上がった瞬間に、ピリッと腰や背中を損傷してしまうことがあります。重心移動の伴わない動作はとても危険です。

 重心のホームポジションが首肩周辺にある人は首肩から力が抜けにくい人ですが、そのような人に「肩から力を抜いて下さい」と言ってみたところで、なかなか上手くできません。ですから私は「力を抜く」ことではなく「力を移動させる」ようにアドバイスすることもあります。
 「では最初に首肩に力を入れて首肩を硬直させて下さい。 次にその力を胸に移動して下さい。 では力を下腹部に移動して下さい。 膝に移動して下さい。 最後は足首に移動して下さい。」と、こんな感じです。普通の人は首肩からいきなり腰や足首に重心を移動させることが容易にできるかもしれません。しかし“首肩中心”が根強い人には難しいこのなので、首肩 → 胸 → 下腹部(腰部)→ 膝 → 足首と重心を一つずつ実感しながら移動させて、からだの感覚として覚えていただきたいと思います。足首までしっかり重心を移動させることができますと、首肩からすっかり力が抜けていることが実感できると思います。
 根のしっかり張った植物は背を高くすることができますが、私たちも同様です。足元がしっかりして力強い状態であれば重力に負けることなく地面を踏みしめることができます。すると背筋がスッと伸び、軽やかで背が高くなったように感じます。そして不思議なことに重心がある足首や足は硬くなってしまうのではなく、反対に動きが良くなります。意識と重心とが合致して一体になると、そういう現象が起きます。
 「足首まで重心が降りたら歩き始めて下さい」
 これは私が首肩に力を入れながら歩いている人にアドバイスしていることですが、これだけで本当に歩き方がゴロッと変わってしまいます。ただし首肩中心の人は、重心を移動させることも、そう簡単なことではありません。本人は「足首に移動できた」と思いたいのかもしれませんが、私が見たところ移動できていないことが多々あります。

重心の移動_首から下腹部へ

 これまでたくさんの人を施術してきましたが、“癖”を改善することは互いに根気を必要とする作業です。その癖がからだに大きな影響を及ぼすものでなければ、それは一つの個性として深く考える必要はないとも思います。ところが今回取り上げましたような、首肩に力が入り続けてしまうような癖は必ずからだの不調につながります。体力のあるうちは影響が表に現れないかもしれません。ところが加齢やいろいろなことで体力が弱った状況になりますと、一気に「あっちも、こっちも、何処もそこも、おかしくなった」という事態になってしまうかもしれません。
 重心の位置を改善するという施術は、顔の歪みを修整する、首肩の張りを軽減する、腰痛や膝痛を解消する、頭痛を解消するといった、結果がわかりやすい施術とは趣が異なります。つまり急を要するものとは違いますので、ある程度良くなり、抱えていた症状が気にならなくなる程度になるとほとんどの人が来店されなくなります。呼吸が浅くて少し息苦しくても、その状態に馴れてしまうと「こんなものかも」と思ってしまうのかもしれません。
 もっと楽なからだになって人生を楽しみたいのなら、頭をスッキリとして脳の働きを良くしたいと思うのなら、首肩に力を入れてしまう癖を解消することに取り組んで、成功していただきたいと思います。

↑このページのトップヘ