ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

 それぞれの人がいろんな癖を持っていて、普段の姿勢もまちまちです。寝ているときの姿勢、座っているときの姿勢、立っているときの姿勢、歩いている時の姿勢、これらがすべて理想的な状態の人は限りなくゼロに近いと思います。
 今回は立っているときや歩く動作に直接的に関わる重心の問題について取り上げてみます。
 私たちの体はとても精妙にできていて、動作の重心がどこにあるかによって体が効率よく働けたり、あるいは反対に効率悪く不具合を起こす方向に進んでしまったりすることがあります。また重心の位置はスタイルの善し悪しにも影響しますので、スマートな体型や動作を維持したいと考えている人は参考にしてください。

“かかと体重”の悪影響
 立った時に足のかかとに重心が乗っている状態を“かかと体重”などと呼んだりしますが、この状態が体や動作に直接及ぼす影響を挙げてみます。
①かかとが痛くなりやすい
 当然と云えば当然のことですが、かかと体重の人はいつもかかとに負担がかかっていますので、時折かかとの筋肉や筋膜が耐えられなくなり痛みを発します。朝起きた直後の第一歩でかかとがつけなくなるという場合、寝ている間の血行不良が原因の一つですが、かかと重心によるかかとの疲労がベースとしてあるのかもしれません。

②歩いても前に進みづらいので、歩くと疲れやすくなる
 かかとに重心があるということは、背中側から何かの力によって後に引っ張られている状態であると考えることもできます。歩く動作は前に進む動作ですが、常に後に引っ張られる力が働いているため、向かい風の中を歩くように体はスムーズに前に進むことができません。足腰の筋肉は余計な負担を強いられますので疲労しやすくなります。また呼吸も荒くなりますので、歩き続けていると息が上がってしまうので途中で休みたくなったりします。
骨盤底
骨盤後面

③骨盤底が硬くなり、お尻が下がる
 骨盤の下部(底)には肛門や生殖器がありますが、その部分を骨盤底といいます。骨盤底は強靱な筋肉(骨盤底筋)と結合組織でできた膜ですが、それによって骨盤内臓物が下に落ちないように支えています。骨盤底筋の働きが加齢やその他の理由で衰えたり弱くなったりしますと、失禁や生殖器系の不調や不具合が生じる原因になると考えられます。また反対に骨盤底筋がこわばって硬くなりますと体全体の筋肉の伸びが悪くなり、腰痛をはじめ様々な不具合の基礎的要因になると云えます。乳幼児は全身がとても柔らかいですが、骨盤底筋にたいへん柔軟性があるので股関節を大きく使うことができるのが特徴的ですし、その延長線上で全身の筋肉が柔軟性に富んでいます。
 加齢にともない骨盤底筋は柔軟性を失う傾向にあります。学生達の動作はしなやかですが、30代、40代、50代と年代が進むにつれ体つきも動作もしなやかさを欠いていきます。それは単に太っただけではなく、筋肉の微妙な柔軟性と働きが失われていくため、体つきにゴツゴツ感が感じられるようになったり、動作がロボットの動きに近づくような感じになったりするからです。ですから、いつまでもしなやかな状態でいたいと望むのであれば、骨盤底筋の強さと柔軟性を維持するようにすべきだと私は考えます。
 そして、骨盤底筋はかかとの結合組織と連動する関係にあります。つまり骨盤底筋がこわばるとかかともこわばって硬くなり、反対に、かかとがこわばって硬くなると骨盤底筋も硬くなってしまいます。かかと体重の人は立っているだけで常にかかとに力が入っている状態ですので、当然かかとはこわばり、連動して骨盤底筋も硬くなってしまいます。
 
 骨盤底筋は前方(腹側)では恥骨、股関節では腰骨(腸骨)下部の座骨結節、背側では尾骨とつながっている膜ですから、骨盤底筋がこわばりますと恥骨、座骨結節、尾骨の間隔が狭くなります。つまりお尻がすぼまった状態になります。尾骨と一体化している仙骨は下方に引っ張られますのでお尻は下がってしまいます。若い頃はお尻も上がって脚が長く見えたのに、加齢とともにお尻が垂れ気味になり脚が短くなったように感じるのは骨盤底筋が硬くなったからかもしれません。

④動作が鈍くなる
 私たちの体は何かの動作をするとき、そのために一端バランスを整えてから動作に移るようにできています。例えば椅子から立ち上がるときは、最初に頭を前に出して(=首を下に向けて)上体を前傾させてからお尻を座面から浮かすようにして重心を膝に移してから立ち上がります。強い腰痛になって首を下に向けることができなくなると、重心の移動ができなくなりますので、どんなに脚や膝に力があったとしても椅子からスムーズに立ち上がることができなくなります。肘掛けなどに手をついて、手の力で上体を押しだし重心を膝に乗せてからでないと立ち上がることができません。
 同様にあらゆる動作は重心を移動する過程を経過しないと行うことができませんが、重心の位置が理想に近いところにある人は動作のための重心移動がとても素速くできます。しかし、かかとに重心のある人は一端ニュートラルな位置に重心を戻すという過程を踏んでから必要な動作のための重心移動を行なわなければならないので手間と時間がかかってしまいます。この様子を遠くから眺めますと、“どこか無駄な動きが多い”と映ってしまいます。他人から注意などされて自分では動作を素速くしようと試みても、体がそのように動いてくれないので歯がゆく感じてしまうかもしれません。

⑤推進力が生まれない‥‥仙骨の後傾
 脚の速い人は、走り出すとどんどん前に進んでいきます。走り方も軽やかで、それほど力を入れて走っているように見えなくても他者より先に進んでしまいます。それは前に前にと重心を移動させる推進力に豊んでいるからです。歩くことも同様です。一生懸命力を入れて歩いている自分を横目に、すいすい軽やかに追い越していってしまう人がいますが、その人も推進力が豊かな人です。この違いは骨格的に見ると仙骨の傾き方に原因があります。仙骨が前傾している人は重心を前に移動させることが得意ですが、仙骨が後に傾いている人は重心を前に移動させることが苦手な体であると云えます。
 さらに、仙骨が前に傾き加減の時は自然と背筋が伸びますが、仙骨が後傾している人は自然と背中が丸まってしまいますので、猫背気味の体型になります。歩いている時や座っているときの自分の背中が丸くなっていて姿勢が悪いと感じたときに、仙骨を前に傾けるだけで自然と背筋が伸びますのでこのことが理解できると思います。
 さて、かかと重心の人は③に記したとおり尾骨と一緒に仙骨も下がりますので、仙骨が後傾した状態です。つまり、かかと重心の人は推進力に乏しい体になっていると云うことができます。そして、体の推進力と心理的な“やる気”は同調するようですので、“体がどうもかったるくて、やる気も出てこない”と感じているときは、仙骨の状態を整えるために、かかと重心の体を修正してみるのも一つの方法だと思います。

⑥その他
 上記以外に、ガニ股やO脚になりやすい、ふくらはぎの後側がいつも張ってしまう、骨盤の上部が拡がってしまう(→太る原因になりやすいとの見解もあります)などのマイナス面があります。

かかと重心になってしまう原因と対策
 骨盤が後に傾いていることが、かかと重心の直接的な原因であると思われます。骨盤は左右の腰骨(腸骨)と中央の仙骨・尾骨と前方の恥骨を合わせたものですから、腸骨が後傾しても、あるいは仙骨が後傾してもかかと重心になってしまいます。ですから、かかと重心を改善するためには骨盤が正しい状態に戻るように体を修正する必要があります。そして、これまで施術してきた経験で云いますと、後頭部から首のつけ根にかけての筋肉や筋膜がゆるんだ状態を修正することによってかかと重心が改善される場合が多くあります。立っているときに首の後側に手のひらを当てると次第に重心が前方に動いたり、歩いている時に首の後側に手のひらを当てると歩き方が軽快になり脚がどんどん前に進んでいくように感じるのであれば、それは首の後側に問題があってかかと重心になっているということです。
 過去のムチウチやケガ、頚椎の歪み、あるいは下半身の問題で首の後面がゆるみ、仙骨が下がっていることはよくあることです。私自身の場合、立った時に右脚の重心はちゃんとしているのですが、左側が少しかかと重心になっています。普通に歩いている分には何の問題もありませんが、少し長い時間を歩き続けますと左の膝から下が棒のようになってしまう感じになります。私は仕事がらか、あるいは過去の問題か、右側の第2肋骨が外側に歪んでいます。それによって首の筋肉(後斜角筋)がこわばり、第6頚椎が右側にずれています。それが原因となって首の後面が少しゆるんでいます。ですから、歩きながら第2肋骨を少し内側に押し込みますと歩き方が軽快になります。

 また、骨盤底筋が硬くてかかと重心になっている場合、セルフケアとしては相撲取りが四股を踏んで股を大きく開き骨盤底を伸ばす恰好をしますが、それを真似るとか、和式便器で用をたす恰好のようなことをするなどして骨盤底のストレッチを行うことは有効です。
 私は施術で骨盤底をゆるめるときには直接骨盤底筋を指圧してゆるめる場合もあれば、骨盤底筋と連動しているかかとを揉みほぐすこともあります。かかとの底面は丈夫にできていますので表層部分はかなり強く揉んでも痛みを感じませんが、かかとがこわばっている人の深部はコリコリと硬くなっていて、それを揉みほぐしているうちにかなり強い痛みを感じるようになります。その痛みが軽減するまで揉みほぐすことがポイントです。
 骨盤底筋のこわばりが改善してきますと、お尻の底部がゆるんで拡がったようになります。反対に骨盤の上部は引き締まってしっかりした感じになります。

 その他には腹筋がゆるんでいる影響でかかと重心になっていることや、足の指先が硬く丸まっているためにかかと重心になっていることなどもあります。
 
かかと体重
 
 かかと重心の人でも、お腹を前に突き出すことによって重心を前方に移して立ったり歩いたりすることは可能です。つまり意図的にかかと重心を矯正することはできます。しかし、それは不自然な状態であり、体のどこかに力を入れている状態ですので疲れが溜まってしまいます。あくまでも自然な状態で立った時に、自ずと重心が足首の前方辺りにあって、かかとが微かに浮き気味になっている状態になることが本当の矯正です。

 呼吸に関連した項目でも“重心の位置”について記しましたが、私たちの体が効率よく順調に働ける状態であるためには、“重心”はとても重要です。ご自分が“かかと重心”だと感じる人は是非、重心の位置が正しくなるように体を整えてみてください。それだけで体が軽快に動けるようになると思います。

 その方はスーパーの鮮魚売り場で働く中年の女性です。毎日、包丁を使って魚をさばいています。私のところに通われるようになってもう長い年月が経ちます。
 この方の悩みは、右足の母趾のつけ根が痛くなり、左膝が時々不調を起こすこととと、忙しいときなど包丁を使いすぎて手が痛くなることです。魚屋さんは足元が常に冷たく、いつも長靴を履いていて、包丁を力を入れて使い続けていますが、これらが体に負担をかける主な要因となっています。
 若い頃に患った外反母趾の影響で、両母趾のつけ根が少し内側に飛び出していますが、今は靴を履くことによって生じる外反母趾特有の痛みはないということです。しかし、疲れが溜まってくると靴を履いているときではなく、家で休んでいるときなどに母趾つけ根内側の突出している部分がうずいて痛むということです。また、数年前に転んで膝に重いケガをしてしまい、その影響で、やはり疲れが溜まってくると膝の上に水が溜まり、関節の動きがおかしくなるということです。
 そして私のところの足リフレ(足つぼマッサージ)を気に入ってくれているようで、毎回、足リフレ+整体のコースを選択されます。魚屋さんは足元が冷えますので、足がむくみやすいので、ふくらはぎのマッサージが気持ちいいのだと思います。
 施術では最初に足リフレを行い、その後ベッドに仰向けになって膝と母趾の痛みを改善するのがこの方の定番のメニューですが、今回は顔のむくみとたるみを改善して欲しいとの要望でした。整体にあてられる時間は45分くらいですから、その中で母趾と膝に対する施術と顔への施術を行わなければなりません。実際、顔への施術は20分くらいの短時間でしたので本格的な調整はできませんでしたが、顔のむくみを取ってたるみを改善するくらいは可能でした。そして施術が終わった後、鏡をご覧になって満足そうでしたので、「このコースのこういう使い方もいいのかなぁ」と思い、このブログに記すことにしました。

顔のむくみとたるみの改善
 本格的に顔の整体を行う場合は、やはり60分くらいの施術時間は必要になります。骨格の歪みを調べて、その原因を探り、歪みをもたらしている原因を一つ一つ改善していくという作業が必要になるからです。目の使い方、噛み方、手の使い方、骨盤の状態、それらが顔の骨格に影響を与えることはよくあることです。
 しかし限定的にはなりますが、20~25分くらいの時間で顔に対する施術を行うことも可能です。この方の場合のように、年齢的にもある程度いきますと、加齢とともにどうしても顔の筋肉が弾力を失いたるんでしまう傾向になります。それは仕方のないことではありますが、それでも骨格を整えますと筋肉の働きが良くなり、張りが戻ってきてたるみ具合がけっこう改善されたりします。また、むくみがありますと筋肉や組織内部の水分が多くなって重たくなり、筋肉の張りが重力に負けてしまうタイプのたるみも加わってしまいますが、骨格と筋肉を調整することでむくみを減らすことができます。
 むくみを取って筋肉の働きが良くなるよう調整することで、たるみも自ずと軽減し、見た目も触った感じもかなり変わったと実感できると思います。ただし、年齢的なこともあり、ずっとその状態をキープし続けることはフェイシャルマッサージなどをしないと難しいかもしれません。
 短時間でできる顔への施術は、根本的な改善を目指すという意味からすると不十分な施術となってしまいます。しかし、二週間に一回とか、三週間に一回とかいう間隔で定期的にケアするのであれば、3ヶ月後、半年後と時間が経過するにしたがい、顔の感じもだいぶ変わっていくものと思われます。

 この方のように、主目的は母趾の痛みと膝の痛みのケアであり、ついでに顔のたるみも改善したいという要望であるならば、足リフレと整体のコースをこのように利用されるのは良い手段だと思います。
 あるいは整体60分コースの中で、首肩を30分、顔を30分という使い方も良いと思います。ただし、これは前提として定期的に施術を受けられる場合のおすすめです。首肩もバッチリで改善したいし、顔もしっかり改善したいというのであれば、それぞれ60分ずつのコースを選んでいただければと思います。

参考までに、顔以外でこの方に施術した概要を下記に記します。
①足リフレクソロジー
 足リフレの施術には大きく分けて二つのタイプがあります。心地よさとリラックスに重点をおいた軽やかなものと、施術者がかなり力をいれてグイグイやるタイプのものです。西洋式と台湾式(東洋式)と分ける見方とも言えます。私のところは後者に近い強めの力で施術する方式です。ですから、馴れていない方にとっては最初はかなり痛みを感じる施術となります。馴れてしまうと、その痛み具合に心地よさを感じるようになると皆さんは仰います。
 そして私が目的とするところは、足やふくらはぎに滞っている老廃物を除去して血液やリンパの流れを改善することです。そうすることでむくみが改善し、硬かった足やふくらはぎが柔らかくなります。施術中は痛みを感じますが、施術後は膝から下が軽やかになりますし、全身の血流も良くなりますので、皆さん「気持ちいい」「サッパリした」と仰います。
 この方のように、普段足元が冷えたところで作業されている人にとってはとても良いものだと思います。
 ただ、筋肉の張りとかシビレ感とかは足リフレでは改善できませんので、そこを間違わないようにしていただければと思います。

②母趾つけ根の痛み
 現在、外反母趾症状の真っ最中ということであれば他の要因も考えなければなりませんが、この方のように普段は靴を履いていても痛みを感じることはないが、疲れが溜まってくると靴を履いていなくても痛みを感じてしまうという場合は、母趾の内側にある母趾外転筋がこわばっているからです。
 そして多くの場合、手の使い方や手の使いすぎが原因でこの筋肉のこわばりが発生します。母趾のつけ根と手に関係性があるとはほとんどの人は考えられないと思いますが、私はまず最初にこの関係性を確認することから施術を始めます。そしてその経路の途中に膝がありますので、手の問題が膝に不具合をもたらせている可能性も高いと考えます。
 この方の右手は包丁をたくさん使っていることから、ゴチゴチに硬くなっています。そして母趾の内側(母趾外転筋)と直接的に関連するのは手の母指と示指になりますが、どちらの指もグラグラになっていました。その辺りを調整することで、母趾外転筋のこわばりは解消しますので、この痛みに対する施術は手指を揉みほぐすだけで終了です。

③膝の不具合
 この方の場合、私から見ると両膝が万全とは言えなかったのですが、本人の自覚では以前に転んでケガをした左膝の上に水が溜まって曲げ伸ばしの際に違和感を感じるというものでした。
 そのケガはかなりのダメージを膝に与えるものでしたので膝周辺の筋肉が弱くなっていますが、疲れてくると症状が感じられるということです。ですから、他の何かの要因が加わったときに症状が現れると考えることができます。そして、やはり仕事柄、冷えと手の疲労が最も疑わしいものであると考えられます。足リフレによって冷えの方は改善されていると思われますので、あとは手の疲労となります。実際手の疲労で、ある筋肉がこわばり、それによって膝から下(脛骨)が外側に少し捻れていました。魚を切るのは右手ですが、左手も魚を押さえるためにかなり力を入れているとのことです。
 結局、左手を施術することで左膝を整えました。膝周辺は一切調整していません。ちなみに、左母趾も外反母趾気味になっていますが、こちら側が痛むことはないということでした。

 その方は91歳の女性です。ふくらはぎの下部から足にかけてむくみが強く、歩くとき足がなかなか前に出ないという訴えでした。これほど高齢になりますと、体のどこかに不調があるのは仕方のないことかもしれません。しかし、いつまでも自分の足で歩き続けたいと思うのは、私たちの切なる願いでもあります。
 むくみを起こす原因はいくつかありますが、この方の場合、腎臓機能の低下によるむくみかもしれません。と言いますのは、耳もかなり弱くなっていて補聴器がなければ日常生活ができない状態であると聞かされたからです。現代医学では耳と腎臓の関係性は特に指摘されませんが、東洋医学では耳と腎の働きは密接に関係し合っていると考えられています。

足裏の反射区で効果がある「腎臓」と「小腸」
 以前にも取り上げましたが、私の経験上、足裏や手の反射区で素速い効果が期待できるものに“
腎臓”と“小腸”があります。その他にも消化器系などの反射区も期待できますが、今回の”むくみ”というテーマではこの二つの反射区を利用することにしました。
 腎臓反射区は、まさしく腎機能をアップしむくみの改善を目指すためと、耳に対する効果を期待して用います。小腸反射区は血液循環の改善と体の芯を温める目的で用います。(この反射区については以前に取り上げました。)血液循環と体熱はもちろん”むくみ”に関係します。

腎と小腸反射区

 高齢になりますと筋肉量は落ちます。さらに運動量も落ちます。体熱は筋肉の働きと肝臓の働きに負うところが大きいので、高齢者になって運動量が落ち、食欲も落ちますと自ずと体は冷えた状態になってしまいます。そして、その状態はしっかりと小腸反射区に現れます。その部分の奥の方へ指をあてていきますと、板のように硬くなってしまったところに突き当たります。これが体の芯が冷えていることの証であると私は考えています。
 腎臓反射区の方は、これとは少し様子が異なります。奥の方へ指を沈めていきますと硬めのコリのようなものが見つかります。大きさはその時々によってまちまちです。直径2㎝くらいのときもあれば、5㎜程度の小さいときもあります。このコリのようなものがなくなるまで指圧し続けることが施術方法です。また、腎臓反射区のすぐ上に副腎の反射区がありますが、ここは東洋医学の腎の経絡で湧泉というツボにあたります。ここも強めに刺激するとよいと思います。

 施術前は足首の上部から足にかけて非常に硬く、指で押すとすっかり沈み込んでしまうほどむくみがひどかったのですが、40分程度の施術後は足裏はかなり柔らかくなりました。足の甲や足首の上部に硬さやむくみがすっかり良くなったわけではありませんが、かなり改善されました。
 これまで週に1回のペースで3回施術を行いましたが、歩く速度もかなり速くなり、普通の人が歩くのと大差がなくなりました。本人は「足が軽くなって、とても快適になった」と言っていました。

 今回、このことをご紹介したのは、この施術はとても簡単で、どなたでもすぐに覚えられ実践することができると考えたからです。自宅に高齢者が居て足がむくんでいたり、歩くのがおぼつかなかったりするようであれば毎日でなくとも週に二度三度して差し上げてみてください。あるいは、ご自分がむくみで不快な思いをされているようであれば、是非試してみてください。
 私のところでは足のリフレクソロジー(足つぼマッサージ)もやっていますが、むくみをとるという目的に絞れば、腎臓と小腸に集中したこのやり方の方が足リフレより効果が高いです。以下に、実際の手順を記します。ポイントは満遍なく一通り行うのではなく、腎臓反射区と小腸反射区に集中して”感じが変わる”まで粘り強く行うことです。溜まっていた物が”流れる”、という感じをつかみ取ってから次に進んでください。

実際の施術
 時間は両足でだいたい40分間です。
①準備段階‥‥そんなに本気を出さなくても大丈夫です。
 まず最初は足裏全体に対する指圧です。縦方向に5本のラインをつくり、中心線からはじめます。一つのラインに対し5箇所ほど少し強めにゆっくりと指圧をしていきます。
 その次は指先を揉みほぐします。強く揉むとかなり痛みを感じるかもしれませんので、様子をみながら少し痛みを感じるくらいの力でほぐします。ここまでが準備体操のようなものです。
 
膝下から足のむくみに対するマッサージ01

②本番‥‥心を集中して行ってください。
 小腸反射区への粘り強い施術。肝腎なことは血液や体液の流れを感じ取り、全身の筋肉が次第にリラックスしていく様を感じ取ることです。
 この反射区は両手の母指を使ってかなりの強さで指圧します。硬くなっている部分は厚みがありますし面積も広いですが、根負けすることのないくらいの覚悟で深く深くと圧していきます。私はこの部分だけで5分ほど使う場合もありますが、そうしているうちに何となく血液が流れ出し、むくんで溜まっていたものが動き出す雰囲気が感じられるようになります。それまでカチカチだった足の骨格もゆるんできます。そうなりますと、指圧が痛気持ちよく感じられるようになります。ここまでやらなければ大きな効果は期待できません。
 腎臓(及び副腎の)反射区への施術。小腸反射区と同じような感じの施術になりますが、小腸区の方は指圧一辺倒だったものが、この反射区へは”コリの揉みほぐし”的要素が加わります。奥の方で少し指先を動かして揉みほぐすとも含めるといった感じです。
 この反射区への施術も時間をかけてゆっくりと行います。そうしていますと、コリが消えて指圧している部分を中心に周囲がフニャッとゆるんだ感じになります。停滞していたリンパが流れ出し、分厚く硬かった足裏が薄く柔らかくなっていきます。

膝下から足のむくみに対するマッサージ02

③仕上げの段階‥‥足裏全体がゆるんで、停滞していたものが流れやすい状態になっていますので、ここからは、流すことを中心に施術をします。
 足の甲側、足趾と足趾の間をほぐします。そこに停滞しているリンパを流すイメージです。
 ふくらはぎへの施術。これはいわゆるリンパマッサージのごとく行います。筋肉と筋肉の間に溜まっているリンパを分離するといった感じです。マッサージの方向にこだわる人もいますが、私はそれほどこだわっていません。やりやすいようにやっています。ふくらはぎの裏側を、膝裏のリンパ節に流すことばかりにこだわるより、ともかく溜まって筋肉とか筋膜にこびりついているものを流し離すといった感じでやっています。力は少し強めです。

足三里

 足三里への指圧。これはかなり重要だと考えています。このツボへの指圧は要領が必要かもしれません。
ツボの位置に正確に当たって、指圧の深さも適切なところにいきますと「流れ」が感じられます。

 来店された91歳の方はしばらく週一回のペースで通われるようです。玄関を出て駐車場まで歩く姿を拝見していますが、少し猫背ではあるもののスタスタと足が動いている様子を見ますと、私も嬉しく思います。
 また、高齢者が歩きづらくなるのは”むくみ”ばかりとは限りません。お腹の力が足りなくて足が動かなくなってしまうこともよくあることです。それについてはまた取り上げたいと考えています。

 5分ほど歩くと足が動かなくなり、しばらく休まないと歩き出せない。あるいはひどくなると、10メートルも歩けない、という症状がでる場合があります。「素足では全然普通に歩けるけど、靴を履くとすぐに疲れてしまう」という人もいます。
 「休み休みでないと歩くことができない」という症状の代表的な病名は脊柱管狭窄症ですが、脊柱管狭窄症以外にも同じような症状がでることがあります。それを今回はお話ししたいと思います。
 
足の伸筋腱と屈筋腱

足趾が丸まっている人は靴を履くと疲れやすい
 工場で働いている人は安全靴を履いています。1トンの重さにも耐えられる靴だそうですが、この靴は先が硬く強くなっているほか、長靴のように足先に大きな空間があるようです。その感じは、もしかしたら長靴のようであるかもしれません。私が小学生の頃、雨の日はゴムの長靴を履いて通学していました。すると普段靴のように足にフィットしていませんし、足先の空間が大きいので地面を蹴るときに靴を安定させるため指先を丸めるように力を使わなければなりませんでした。例えば同じ15分の通学路でも、普段靴では苦もないのに、長靴では歩くとことが疲れてしまいます。
 指先に普段以上に力を入れたので疲れるのか? あるいは他の理由で疲れるのか?
 これが今回のテーマになります。

 ところで、指先を丸めることを筋肉の働きに置きかえて考えますと、指先の足底側の筋肉(長母趾屈筋と長趾屈筋)を縮め、指先の甲側の筋肉(長母趾伸筋と長趾伸筋)を伸ばすことになります。15分、あるいは30分や1時間くらい長靴を履いて歩く程度であれば、この状態を続けたとしても少し休めば筋肉に問題が起こることはほとんどないと思います。しかし一日8時間、それが週に5日間ということになりますと、足底側の長母趾屈筋と長趾屈筋はこわばった状態、反対側の長母趾伸筋と長趾伸筋はゆるんだ状態になってしまいます。
 安全靴や長靴だけでなく、おしゃれなサンダルや先細の靴やヒールの高い靴などを愛用している人は、外反母趾になりやすいというのもありますが、指先が丸まった状態、つまり甲側の筋肉がゆるんだ状態になっている可能性が高いと言えます。
 以前に、”枕が合わないのは、後頭部や頸の後ろ側の筋膜がゆるんでいるため”というのを取り上げましたが、靴を履くと長く歩くことができない、疲れやすいというのも同じ理屈があてはまります。

ゆるんでいるところに靴があたると筋肉の働きがおかしくなる
 こわばっている部分に何かがあたると痛みを感じることが多いです。こわばっている部分というのは縮む方向に力が働いているところなので、それを引き伸ばすような刺激や動作に対しては拒否反応を示し痛みを感じやすくなります。これとは反対にゆるんでいる部分に物が接触しますと、その部分は刺激に抵抗する力を持っていませんので、その歪みが他の部分にでるようになります。伸びきった状態のゴムの部分に力を加えるとゴムはその刺激に耐えられなくなるので他の部分に助けを求める、といった感じでしょうか。
 長母趾伸筋(腱)や長趾伸筋(腱)あるいは足の甲の筋膜がゆるんだ状態で、歩く度にその部分に靴と接触する力が加わりますと、その部分ではその力(刺激)を処理しきれずに膝や腰などに負担が及ぶことになります。これが、素足では普通に歩けるが、靴やサンダルを履くと急に腰が重くなり疲れやすくなってしまうことの原理です。(私はそう考えています。)
 この状態が進みますとスリッパを履くことができなくなったりします。靴下を履いているくらいの刺激は大丈夫でも、スリッパに足をくぐらせた瞬間に息苦しくなって足がおぼつかなくなってしまう方もいます。

 「足袋なら軽快に動けるけど、靴を履くと足が上がらなくなってしまう」という建設作業に従事している方もいました。「座ったり、寝たりしているぶんにはどこも痛くないけど、散歩するとすぐに腰が痛くなってしまう」という方もこのような状態だと思います。
 足趾の先(第一関節)が曲がっているような方であれば、その指先を伸ばすようにストレッチして長母趾屈筋、長趾屈筋のこわばりを改善するようにすれば、症状は少しよくなるかもしれません。あるいは足趾先を動かす長母趾屈筋、長趾屈筋、長母趾伸筋、長趾伸筋の本体(筋腹)はふくらはぎの一番深い部分にありますので、ふくらはぎの深い部分をようくマッサージすれば症状が改善するかもしれません。しかし本格的に改善したいと考えるのであれば、ここでの施術をしていただくのが一番だと思います。それが早いです。

下腿の伸筋と屈筋

 病院などで「長く歩けない」「部屋の中では大丈夫だけど、外に出ると歩けなくなる」などと訴えますと、まず脊柱管狭窄症の疑いがかけられ、レントゲンやMRIなどの診断を受けることになるかもしれません。それでも原因がよくわからなければ、いろんな検査を受けなければならなくなるかもしれません。あるいは原因不明として処理されたり、“精神的な問題かも”などと言われてしまうかもしれません。
 私から見ると「ただ足の筋膜や筋肉がゆるんでいるだけです」となります。そしてそのゆるみを解消するだけで症状は大きく改善しますので、そのような悩みをお持ちの方は是非ご来店いただければと思います。

 昨晩、娘の会話で「土踏まずのところが盛り上がったインソールを使うと足が疲れにくい」という話を耳にしました。歩くと少し痛いけど足の疲れは減るということでした。私としてはちょっと気になる話だったので、すかさず娘に立ってもらい足を確認しました。扁平足ではないのですが、それに近い状態でした。体重がかからない状態では足の縦のアーチはあるのですが、立つとそのアーチがぐっと減ってしまいます。
 
 足には重力(体重)を分散して疲労を防ぐために横と縦と外側の3つのアーチがあります。横のアーチがない人は足の5本指が広がっていて「だんびろ」とか「ばんびろ」とか言われているかもしれません。外反母趾・内反小趾のひとは横アーチがない場合が多いですね。外側のアーチについてはまた後日取り上げようと思いますが、今回娘の足を観察して気になったのは内側の縦アーチです。土踏まずはそのアーチによってもたらされているわけですが、そこが盛り上がったインソールが販売されているということは扁平足気味の人がたくさんいるということなのでしょうか。

足骨格内側面
扁平足

 さて、足の内側には第一中足骨、内側楔状骨、舟状骨という骨があります。この3つの骨が上の方に引っ張り上げられているのでアーチができています。ですから扁平足気味の人は、この3つの骨が下がってしまっているということです。
 第一中足骨と内側楔状骨と舟状骨に関係する筋肉は、前脛骨筋(ぜんけいこつきん)と後脛骨筋(こうけいこつきん)です。後脛骨筋は舟状骨を引っ張り上げるというよりも、舟状骨、楔状骨など足裏の骨をしっかりさせる意味合いの方が大きいかもしれません。
 内側の縦アーチをつくるために第一中足骨と内側楔状骨を引っ張り上げているのは前脛骨筋です。この筋肉は、歩くとき前足になった親指を浮かせる働きもしていますので、ちょっとした段差でも足がつまずきやすい時などは、前脛骨筋の働きが悪くなっていることが考えられます。つまずきやすくなり、(アーチがないため)立っているのが疲れやすいので、「足がだいぶ弱くなってきた。歳かなぁ?」などと感じている人がいますが、歳には関係なく単に前脛骨筋の働きが悪いだけかもしれません。

 娘を立たせたまま、両腕の筋肉を少し操作しました。するとグニャッとなっていたアーチがしっかりして「立ちやすい!」となりました。娘の腕を触ったところパンパンに張っていましたので、前脛骨筋の働きが悪くなっているのは手の方に問題があると思ったからです。
 筋肉には連動性という仕組みがあります。前脛骨筋は体の前面少し外側の筋肉と連動性があります。(専門的になりますが、前脛骨筋―外側広筋―外腹斜筋―三角筋―上腕二頭筋―橈側手根屈筋―短母指屈筋と連動します。)
 前脛骨筋をたくさん使うような運動をしたわけでもないのに働きが悪くなっているのは、連動する筋肉のどこかに働きが悪いところがあるからです。多くは、普段たくさん使っている“手”に原因があります。ですから実際に整体で整えるとしたら、手を施術することになります。昨晩は家で仕事などしたくなかったので、手に問題があると思ったものの、それは別の時に整えることにして、とりあえず橈側手根屈筋をちょっと操作してみただけです。

足三里

 一般の人にこんな筋肉連動の話をしても難しいので、毎晩ケアしていただければそれなりに効果がでると思われることを一つ提案させていただきます。
 「足三里(あしさんり)」という非常に有名な、効果の期待できるツボがちょうど前脛骨筋にあります。そこの深い部分を親指の先で強く押し続けてください。場所は、強く押すと「ズーン」とか「ジーン」とか感じるところです。片方ずつ2分くらい押し続けますと、なんとなく血の巡りが良くなり体の雰囲気が変わってくる感じがすると思います。それをやっていただくと前脛骨筋の働きが良くりますので、足のアーチがしっかりすると思います。

 土踏まずの盛り上がったインソールがどんなものかわかりませんが、素材が硬ければやはり体には負担になると思います。体重を分散させて足に負担がないようにするのがアーチの役割ですから、そのアーチ部分が沈まないのであれば、地面からの衝撃は直接的に足裏にきます。インソールを使うのであれば、素材を良く吟味していただきたいと思います。

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