ゆめとわのblog

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 足裏(足底)やカカト(踵)がとても硬くなっている人がたくさんいることは前にもお話ししました。私は、腰痛や下半身に症状を抱えた方はもちろん、頭痛や首・肩のこりの人であってもほとんどの場合、足裏やふくらはぎを施術します。そして、「どうしてこんなに硬くなってしまうのだろう?」と思うことがよくあります。
 そしてたどりついた一つの見解が、“カカト重心の人が多い”ことです。私たちが普段立ったり歩いたりしている地面が硬いコンクリートやアスファルトなので自ずと足底は硬くなってしまうということを以前に記しましたが、それに加え、カカトで立っているためにどうしてもカカトが硬くなってしまうのだと思います。

カカト重心の人の特徴
 カカト重心の人の外見上の特徴があります。(すべてがあてはまるわけではありませんが)

①反り腰
 本人は背筋を伸ばして良い姿勢を保とうとしているのだと思いますが、腰の上部を反らせてしまうとカカトの方に重心が移ってしまいます。

②首が前に出ている
 肩甲骨の位置はカカト重心を改善するための決め手の一つです。肩甲骨が後方にあるとカカト重心になってしまいますが、このような人はバランスを維持するために頭部を前に出すようになってしまいます。「肩甲骨が後ろにあるので顔が前に出る」と言った方が解りやすいかもしれません。肩甲骨は鎖骨と対になっていますので、肩甲骨が後にある人は正面から見た時に鎖骨が埋もれてしまってよく見えないか、存在感が乏しい状態になっていると思います。首が前に出ていて鎖骨がハッキリ見えないような人は、カカト重心である可能性が高いと言えます。

③ガニ股歩き
 立った状態で意図的にカカトに体重を乗せようとしますと(少し後に反ろうとしますと)、膝の内側に力が入らなくなり膝が少し開いた状態になります。この状態で歩きますと、必然的にガニ股歩きになってしまいます。
 カカト重心の人は、常に後方から何かに引っ張られているのと同じ状態ですから、どうしても膝が外に向かってしまうような歩き方になってしまいます。女性の方で、それが気になる人は意図的に膝を締めて歩こうとしますので内股歩きのようになりますが、それはからだに無理を強いることになりますので、カカト重心を是非改善していただきたいと思います。

カカト重心の弊害
 カカトに体重が乗っているということは、後から何かの力で引っ張り続けられているようなものです。ですから前に進むためには普通の状態以上に力が必要になります。それはからだに疲労を蓄積しますし、筋肉に無理を強いる結果を招きます。また、カカトで立っているので、からだはバランスをとるためにいろいろ不自然な状態になります。

カカト重心の人2

 下半身の方から見ていきますと、後に倒れないようにするために腰や下腹部を前に出すようになります(=腹が出る)。そしてその反動として背中を反らせますので腰部や背中の下部にハリや緊張を感じるようになります(=反り腰、慢性的腰痛)。そして肩甲骨が後に位置するようになりますので首や頭が前に出て猫背になってしまいます。(上述の通り)

 足底では、カカトで立っていることは不安定ですから、自然と足の指(足趾)を曲げて足趾に力を入れて、足趾で踏ん張ってからだを支えるようになります。それは足底の筋肉に緊張状態をもたらしますので、カカトだけでなく足底も硬くなってしまいます。また足趾の筋肉はふくらはぎにつながっていますので、ふくらはぎも硬く太くなり血流も悪くなります。この状態は、足の冷えやむくみの原因の一つであると考えられます。

 足趾が曲がる=足趾に力を入れて立ったり歩いたり、あるいは座ったりする状態は、腰痛の原因になります。O脚、外反母趾、内反小趾等々下半身の問題の原因になるだけでなく、顔や首から力が抜けない、呼吸が悪いなどの問題にも絡んできますので、カカト重心は是非改善していただきたいと思います。

カカト重心と、硬いカカト、曲がった足趾との関係性
 「扁平足はからだが疲れやすい」というようなこと聞いたことがある人も多いと思います。足底には縦と横にアーチがあって、立ったり歩いたりする時にクッションのように働いてくれます。この仕組みによって地面からの衝撃は和らぎ、私たちの重み(体重)は分散されるので足をはじめからだの骨格が護られるようになっています。扁平足の人はこのアーチの働きが乏しくなってしまうので、足腰に掛かる負担が増えてしまい、“疲れやすい”、”故障しやすい”となってしまいます。
 ところが、この原理は重心の位置が良いところにある人に通じる理屈だと言えます。カカトに重心のある人の場合、足底のアーチがちゃんとしていたとしてもクッションの役割があまり果たせなくなってしまいます。

足に掛かる重心と足底_1

 重心が良い位置(私は足首の前側、足の甲の出発点くらいだと思っています)にある人の場合、体重の重みによって縦アーチが沈みますが、それによって重みは爪先側とカカト側に分散されます。足底の筋肉は伸ばされ、合わせて足趾も伸びます。重みが掛かることによって足が平たく引き伸ばされるようになります。

足に掛かる重心と足底_2


 一方、カカトに重心がある人の場合、立った時に爪先側が少し浮いたような状態になります。この状態は不安定ですので、自ずとからだは足趾を曲げて立位の安定を保つようになります。誰かに前方から押されて後に倒れそうにバランスを失った時、私たちは足趾をギュッと曲げて倒れないように頑張りますが、これと同じようなことがカカト重心の人には起こっていると考えていただければ解りやすいかもしれません。足趾を曲げることは足底の筋肉を収縮させることと同じですので、足底は硬くこわばった状態になります。また、重心も足底の力もカカトに集まりますので、カカトはとても硬くなってしまいます。

 カカトが硬くなるとどうなるのか? という疑問に全部答えられるわけではありませんが、幾つかの不都合については確認しています。
 カカトの内側にはふくらはぎの深部にある後脛骨筋と長趾屈筋の腱が通っています。また足底の母趾外転筋の出発点でもあります。これらの筋肉は太股の内転筋(長内転筋)と連動関係にありますので、カカト重心の人は太股の内側がコチコチに硬くなるのと同時に骨盤が後に傾きます。腹部では内腹斜筋もこわばってしまいますので、お腹の伸びやかさが失われたり、時には便秘になったりするかもしれません。
 また、カカトの外側には股関節の外側に位置する筋肉(中殿筋、小殿筋、大腿筋膜張筋)と関係の深い部分がありますので、股関節で太股の骨が出っ張ったような体型になったり、股の間が広くなってしまったりすることが考えられます。骨盤から下肢が少しはみ出たような状態です。さらに小殿筋は肩の棘上筋と連動しますので、肩関節の動きが鈍く感じたり、脇が常に開いているような体型になったり、肩に何かをしょい続けているように感じたりするかもしれません。
 その他には、舌が硬くなっていて喋りづらさを感じたり、飲み込み(嚥下動作)が悪く感じたりしているかもしれません。

カカト重心を改善するために
 私が知っていることだけで申し上げれば、カカト重心を改善するための考え方は二つあります。(この先、もっと増えるかもしれませんが)
 一つ目の考え方は、“推進力のあるからだ”にすることです。カカト重心の人は後から何かの力に引かれているとか、向かい風の中に立ち続けているような状態ですから、前に進む力=推進力の乏しい状態です。骨盤は後傾し、お尻も垂れ気味になっています。この状態を克服して推進力のあるからだ、つまり歩いていても「自然に、前に前に脚が進んでいく」状態にするためには仙骨を前傾させて骨盤の後傾を改善することが必要です。
 仙骨の状態を整えることについてはだいぶ前に取り上げましたが、骨盤底の柔軟性やヒラメ筋、半膜様筋というハムストリングを整えることが必要になります。
 二つ目の考え方は、鎖骨を前に出すことです。鎖骨と肩甲骨は腕を動かす土台として一対になっていますが、合わせて上肢帯と呼ばれています。
 鎖骨を前に出すことは肩甲骨を前に出すという意味でもありますが、カカト重心の人のほとんどは肩甲骨あるいは鎖骨が本来の位置よりも後方にある状態ですので、これを改善する必要があります。

鎖骨を出すとかかと重心が改善_1
鎖骨を出すとかかと重心が改善_2

 パソコン作業が増えた今日、肩甲骨が外側に拡がり、肩が巻くように前に出て鎖骨が喉の下の方に埋もれてしまったような状態の人が増えています。猫背とも言えますし、胸が狭く閉じ込められたような状態であるとも言えます。このような状態はカカト重心になりやすい状態ですので、胸を開き(前鋸筋や大胸筋や小胸筋のこわばりを解消し)埋もれた鎖骨を表に出し、肩甲骨の位置を本来の状態に戻すことがカカト重心を改善するためには必要になります。

 普通は以上のように、仙骨のあり方を整え、鎖骨と肩甲骨の位置と状態を整えることで、多くのカカト重心を改善することは可能です。その他に、腰椎の在り方がおかしかったり、膝や足に故障を抱えていることによってカカト重心になっている場合などもありますが、基本としては仙骨と鎖骨・肩甲骨であると今の私は考えています。

 カカト重心にならないように意識的に体重を前に掛けて対応するという方法を思いつかれる方もいると思いますが、その状態はからだの何処かに力を入れて操作しているわけですから不自然な状態です。カカトの高い靴などを履いてもカカト重心を解消することができますが、それはそれで足の何処かに力が入ってしまいますのでやはり不自然な状態です。そうではなく、自然に立った時にカカト重心が克服されている状態になっていることが本道であり、大切です。
 以前に申し上げましたが、私たちが動作を行うということは“重心を移動させる”ことに他なりません。この重心移動がスムーズで上手な人が運動神経が良い人、バランス感覚の良い人であると言ってもよいと思います。
 そのためには、重心のホームポジションがカカトや爪先にあるのではなく、良い場所にくるようにからだを整えていただきたいと思います。ヨガやピラティスやいろんな健康運動によって、しなやかで健康的なからだを作り上げていくことは大切なことだと思いますが、その効率を高めるためにも重心の在り方を気に掛けていただきたいと思います。

 時々、小学生や中学性や高校生など若い人たちが来店されますが、椅子に座った状態でも、足底を床に着けるのではなく足趾を丸めている人たちをけっこう見かけます。これは単に“姿勢が悪い”とか”仕草がおかしい”という言葉で済ませてはいけないことだと思います。その状態が彼女や彼らにとっては自然であり、足裏を地面に着ける状態は不自然なわけですから、“貧乏揺すり”などと同じように、からだの何処かに狂いが生じているのだと考えられます。若い時分からそうであれば、将来的に不具合が表面化する可能性はとても高いと思います。
 ですから、若い人たちをもった親御さんは、“それくらいのことで‥‥”と見逃さないでいただきたいですし、スマホで酷使している親指などは原因になっているかもしれません。鎖骨を前に出す一つの方法は母指先を伸ばすことです。スマホ操作で酷使している指の第一関節はかなりこわばっています。それを伸ばすのはとても痛みを感じますが、それによってカカト重心が改善し、足趾が伸びて足裏で地面を捉えることが自然な状態になる可能性は高いと思います。

 先日、幼稚園児の男の子がお母さんに連れられてやって来ました。舌が引っ込んでしまって動きが悪く、言葉がしっかり喋れないという症状です。からだを見ますと、舌が硬くなって大きく出すことができない他、噛みしめがあり、腹筋が硬く、太股やふくらはぎが幼い子供さんとは思えないほど硬くなっていました。そして足底(足裏)もガチガチでした。
 「これは足裏の硬さが原因である可能性が高い」とすぐに思いました。足裏の硬さが太股の硬さにつながり、腹筋をこわばらせて舌の動きを制限していました。喉も下に引っ張られていたので、それに対抗するようにそしゃく筋が収縮して噛みしめ状態をつくっていると思いました。ですから対策は硬くなった足底やかかとを揉みほぐすことです。まだまだ小さなお子さんですから、揉みほぐしの痛みが強くなると嫌がると思いましたので、なるべく優しく、痛みを感じないようにと気を使いながらゆっくりほぐしていきました。ところが筋肉というのは、本当に硬いうちは感覚が鈍くなっているので痛みを感じないのですが、少し弛んできますと敏感になって痛みを感じやすくなってしまいます。一度痛い思いをしますと、もう触らせてくれません。お母さんが側でなだめても、バタバタ足やからだを動かして施術をさせてくれません。「どうすればいいか? ‥‥」とちょっと私も悩みましたが、ふとバランスクッションを使ってみようと思い浮かびました。「これを利用すれば上手くいくかも‥‥」、バランスクッションの上で足踏みをしてもらうことにしました。

バランスクッション 体幹クッション

 バランスクッションには中途半端な状態で空気が入っていて、踏むとグニョっと凹んで“不安定な足場”状態をつくってくれます。その上に立ってもらい、とりあえず「10回足踏みしてみて」とやってもらいますと、それまで口から出すことのできなかった舌を「べー」っと出すことができるようになりました。「今度は20回足踏みしてみて」とやってもらい、舌を出してもらうと、「こんなに出るの、これまで見たことない」とお母さんが感動するほど舌が出るようになりました。
 ふくらはぎも太股も柔らかくなり、お腹も弛んで噛みしめも軽減しました。「小さい子は、単純明快でいいなぁ!」と私は心の中で思いました。硬い足底を揉みほぐす手間が、バランスクッションに乗り20~30回足踏みしてもらうだけで省けてしまうのはきっと多くの人にとって朗報だと思います。
 「アマゾンで、1300円くらいで売ってますから」とお母さんに情報を提供し、「毎日、足踏みしてもらえば自然と良くなっていきますよ」と申し上げました。

 さて、硬くなった足底や足首に対してバランスクッションが効果的な理由について少し説明させていただきます。バランスクッションの表面にはイボイボの突起がついていますので、そこに座れば殿部を、立てば足底を突起で刺激するということもありますが、“平ではない”ことの方が大事ではないかと思います。そしてパンパンではなく、中途半端に空気を入れることによって乗った時に不安定な状態になります。不安定なところに座って動けば体幹の強化に繋がりますし、立てば足や足首の柔軟性を養うことができます。日常生活では“不安定なところ”に立ったり座ったりすることはほとんどありませんから、筋肉の使い方が一定してしまうため柔軟性を失うことにつながります。ところが不安定な場所でからだの平衡を維持するためには、筋肉同士が互いに連携して微妙に調整し合ってバランスを保つ必要があります。それが筋肉の柔軟性に寄与し、硬直を解除することにつながるのではないかと思います。たった20~30回足踏みしてもらうだけで筋肉の硬直は解除されるという現実は、からだの神秘を垣間見た思いです。

足趾(足指)の曲がった人、足底と踵の硬い人は改善の必要性あり
 いろいろな人たちを施術しながら、「どうしてこんなに足裏やかかとが硬いのだろう?」と思うことがしばしばあります。経験的に足趾が曲がった人、足底やかかとの硬い人は、血行不良、むくみ、腰痛、膝の歪みなどを伴い、からだ全体が不調傾向にあると考えています。
 若い中学生や高校生でも足趾を曲げていないと座った姿勢が保てなかったり、真すっぐ立っていられなかったりする人たちをしばしば見かけます。足に力を入れておかないとからだを保つことができないわけですが、首肩や顔に力が入ってしまうのと同様に現代人に多い傾向かもしれません。
 からだの中心は腰部(腹部)と骨盤部ですから、その辺りを中心に使って立ったり、座ったり、歩いたりしていれば自然と顔・首肩や足底・足趾からは力が抜けて行くのが私たちのからだの仕組みです。ですから、足趾や足底で頑張らざるを得なくなっている人は“からだの使い方に誤りがある”ということになります。あるいは、私たちの生活している環境が影響して足趾が曲がりや足底が硬くなってしまう人が多くなってしまったのかもしれません。
 先ほどのバランスクッションの例を参考に、環境的要因によって私たちの足底が硬くなってしまう理由について考えてみましょう。

砂利道、あぜ道、凸凹道を利用しよう
 二月ほど前、山登りは脳を活性化するのに有効である、というテレビ番組がありました。木の根っこが露出している細い山道はとても凸凹しているわけですが、そこを歩くことによって足裏は普段とは違う刺激をたくさん受けますし、凸凹道でも転ばないように脳が一生懸命働いてバランスを維持しますが、そういうことが脳の活性化につながり認知症防止の効果が期待できるという話でした。
 ところで、私たちの多くが日常浸っている生活環境は凸凹道とはほとんど無縁です。歩く道路や床はほとんど平に近い状態で、しかもコンクリートやアスファルトなど硬い場所です。山道を歩くためにはつまずいたり転んだりしないように気を使って繊細に歩かなければなりませんが、道路を歩く時にはそのように気を使うこともなく、半自動モードで、悪く言えば無造作に歩いても大丈夫です。無造作の歩き方、硬い地面、これらの要因が硬い足底や足首に繋がるのではないかと私は考えています。

 ある人の例で説明します。その人は腰が非常に弱く、それを改善するために通ってこられていますが、歩くと足首の外くるぶし辺りが痛くなってしまうとしばしば訴えます。痛みの直接的な原因はくるぶし(外果)がずれて下がっていることです。歩行時、下がったくるぶしが邪魔して足首の運動が上手くできなくなってしまうので変な歩き方になってしまいます。そしてくるぶしが下がってしまう理由は、歩くときに足趾や足底にたくさん力を入れてしまうためにふくらはぎに繋がっている足の筋肉が収縮して外果(=腓骨)を引き下げてしまうからです。足や足趾の力を抜いて歩いて欲しいといつも助言するのですが、腰に力がないと思い込んでいるために“足で踏ん張る”という深層心理が働いてしまうようです。「転ばないように足で踏ん張る」「ギックリ腰にならないように、なるべく腰に負担をかけないように足で頑張る」こういう思いは「逆効果ですよ」といつも申し上げるのですが、心の中に深く染み付いているギックリ腰に対する恐怖心はなかなか克服できないようです。
 この人の歩き方は前足を着地するときに足趾を曲げる、つまり足を着くときに「グー」をつくる歩き方です。以前は常に「グー」でしたが、少し進歩して足を前に出すときは足趾を伸ばして「パー」になるようになったのですが、着地の瞬間に「パー」から「グー」に足底を収縮してしまうので、結果的に歩き方は根本的な面で改善していないことになります。
 音で表現すると「パタッ パタッ パタッ」という歩き方ですが、歩き方の理屈を何度説明しても結局は改善されないので「それでは、少し上を向いて地面を見ないようにして歩いてみてください」と言いました。するとそれだけで歩き方が良くなりました。目で見て、地面が平であることが認識されると足裏のセンサー機能は使われなくなるようで“無造作な歩き方”になってしまいますが、視覚的に地面の状態を把握することができなくなりますと、足裏のセンサー機能が前面にでてくるようで、途端に歩き方が繊細になります。地面に何があるか足裏で慎重に探りながら歩くので、足を静かに下ろすようになります。決して「パタッ パタッ パタッ」と歩くようにはなりません。すると重心が軸脚に残っている時間が長くなりますので、軸脚で地面を蹴ることができるようになります。軸脚の膝裏が伸び、母趾が一番最後まで残りながらからだを前に押し出すようになります。
 次にこの人を砂利が敷き詰められている広めの駐車場に連れて行き、砂利の上を歩いてもらいました。すると、やはり足裏をセンサーとして機能させるためか、前足を繊細に着地させながら歩きました。この時には普通に目で地面を確認しながら歩いてもらいましたが、視覚で確認しながらも足裏をセンサーとして機能させていたということです。そして面白いことに、砂利の駐車場を歩いてもらいながら、そのままアスファルトの道路も歩いてもらったのですが、道路に出ますとすぐに「パタッ パタッ パタッ」という悪い歩き方に戻ってしまいました。何度か同じことを繰り返しながら、「どうして歩き方が変化するのか? 心理的なことなのか、それとも別の理由なのか」を本人に考えていただいたのですが、結局答えはわからないということでした。
 しかし私は希望を得た気持ちになりました。これまで多くの人に歩き方について説明してきましたが、良い歩き方を身につける人はそれほど多くありませんでした。「どう説明すれば、もっと理解しやすく、体得しやすくなるのだろうか?」とずっと思ってきました。それが砂利道や凸凹道を歩いてもらうことで「良い歩き方がどういうものなのか」を体験していただくことができ、“感じ”をつかんでもらうことができるのであれば、停滞を抜け出して先に進むことができるからです。

あぜ道

 私の住んでいるところは片田舎で、田んぼもたくさんあります。ですから砂利道もあれば、あぜ道もあります。柔らかく凸凹した場所はすぐ側にあります。真冬の朝はとても寒いですが清々しく気持ちが良いです。通勤には少し遠回りになりますが、毎朝、昇る太陽を見ながら、あぜ道と砂利道を歩いて店舗に通っています。あぜ道の凸凹を歩きますと足首はフニャフニャしながらもからだはバランスを保ちます。「これは足首の柔軟性には最適だ」と思います。あぜ道の先には砂利道がありますが、砂利以外にも大きめの石がそこらじゅうに埋まっていますので、足裏はいろんな刺激を受けます。「これは足裏のマッサージ効果も期待できるので足の感覚が敏感になる」と思います。

 私たちは足場が悪いところでは自然とバランス機能を発揮します。からだがバランス機能を発揮するということは、たくさんの筋肉が柔軟に協調し合って全身の平衡を維持するということです。つまり足場が悪く不安定なところに立つと、たくさんの筋肉が自ずと動き出す=収縮と伸張を繰り返すということですから、流れに任せておけば固まることはあり得ないわけです。しかし、足場の不安定さに対抗しようとして足首などを硬くしてしまうと、足底も足趾も緊張して硬くなりますので逆効果になってしまいます。これは気をつけなければいけない注意点です。

 今は生活道路のどこもが舗装されていますので、足場の悪い場所を歩く機会はなかなか得られません。硬い道路や床の上を歩くので足底は硬くなりますし、無造作に歩いても転ぶことがないので、足の筋肉は柔軟性や協調性が乏しくなり足裏の感覚も鈍るだと思います。そうであれば、4歳・5歳といった小さな子供さんでも足が硬くなってからだが硬くなってしまうのは仕方のないことかもしれません。赤ちゃんのからだは何処を触ってもプニャプニャ柔らかいのが特徴ですが、わずか数年で筋肉が硬くなってしまうのは残念な気がします。

足趾が曲がっている人は足底の硬い人
 足底側の筋肉は屈筋で足趾を曲げる働きをしますが、これらの筋肉がこわばっているために足趾が曲がっている人がたくさんいます。母趾も含めて全部の足趾が曲がっている人、母趾は伸びているがそれ以外の4趾が曲がっている人、外反母趾や内反小趾で母趾と小趾が捻れながら曲がっている人、このような人たちの足底は常に硬い状態であると考えていただければと思います。足底の柔らかい人の足趾は力が抜けてスーッと伸びています。

下腿深部の屈筋

 足趾につながっている筋肉には短い筋肉と長い筋肉があります。短い筋肉はかかとの骨を出発点として足趾の真ん中くらいに付着しています(短趾屈筋、短母指屈筋、小趾屈筋)。長い筋肉はふくらはぎの深い部分(脛骨と腓骨)から出発して足趾の先端に付着しています(長趾屈筋、長母趾屈筋)。
 足趾が曲がっている人は、立っている時に足趾に力を入れて頑張っている人と言えます。あるいは座っている時も足趾に力を入れている可能性があります。
 足趾を曲げた状態を保つことはそれだけで疲れるわけですが、どうしてこういう人たちはリラックスした状態でも足趾を収縮させてしまうのだろう? と考えた時に、三つぐらいの原因が思いつきます。
 一つはヒールの高い靴を履いていることで、重心が前掛かりになるのをこらえるために足趾に力を入れていることです。爪先が詰まってしまうので、外反母趾や内反小趾になる可能性も考えられます。

足趾が曲がり外反母趾・内反小趾

 二つ目はゴム長靴のように足先に空間が広く空いている重たい靴を履いている場合です。安全靴などもこれに含まれると思いますが、足趾を曲げた状態で操作しないと靴が思うように動かないので、足趾を曲げて歩く癖がついています。
 三つ目はかかと重心の場合です。立った時、かかとに体重が乗ってしまう人は足先が浮き気味なります。それは不安定な状態なので、足趾を曲げて立位を安定させようとします。おそらくこのような状態の人が大変多いのだと思いますが、足裏全体で地面を捉えることができないので足趾に頼って立ったり歩いたりしてしまう人です。

 靴の問題は何か対策を講じなければならないかもしれません。高いヒールやサイズの合わない靴などを履いても全然大丈夫な人もいるでしょうしから、一概に靴だけの問題ではないと思いますが、対策によって足趾が伸びていくならそれは良い方法だと思います。
 かかと重心の人はいろいろと問題を生む可能性があります。足趾が曲がること以外にかかとが硬くなってしまうのですが、このこともからだの負担につながります。
 からだの不調を訴える人に共通している下半身の兆候として、内転筋がこわばっている、ふくらはぎが張ってむくみがある、足首周辺が太く硬い、膝関節が少し歪んでいることなどがあります。どれも血行不良につながる兆候ですが、かかとと足底の硬さはこれらの原因になります。
 かかとの内側や外側を揉み始めますと、最初は気持ちよ良さを感じるかもしれません。ところが表層がほぐれていきますと次第に痛みを感じるようになり、そのうち深い部分に手が届くようになりますと「ものすごく痛い」となります。深いところにとても硬い部分ができていて、それが内転筋の硬さにつながっていたり、ふくらはぎ外側のハリの原因になっていたりします。また、かかと後側はアキレス腱の付着部ですが、そこの硬さが膝関節の歪みの原因の一つになっています。
 誰もが足趾や足底やかかとがこれほどまでに硬くなっているとは思っていませんので施術を経験しますとビックリしますが、こういう部分がからだの不調の根本的な原因になっていることはよくあることです。

正しく使えば筋肉はすぐに柔らかくなる
 硬くなった足底、足趾、かかとの筋膜や筋肉を揉みほぐしても、使い方が悪ければ一日も経たないうちにまた元の状態に戻ってしまう可能性があります。反対に、筋肉や筋膜が硬い状態であったとしても、良い使い方をすればすぐに柔軟性が甦る可能性もあります。
 歩くとくるぶしが痛くなると訴える人に、施術を一切することなく、先に紹介したバランスクッションに乗っていただき足踏みをしてもらったり、立位のまま足首を回すような運動をしてもらったことがあります。すると足首の動きが軽快になるとともに、5本の足趾全部と足底全体で地面(床)を捉えて立つ感覚が実感でき、歩いても痛みを感じなくなりました。バランスクッションの突起による刺激や足首をグニャグニャ動かした効用で足底や足首周りの筋肉・筋膜がほぐれ、くるぶしの位置が正しいところに戻ったからです。

 足に限らずからだの各部分は、間違った使い方をするとすぐに筋肉群のバランスが崩れ、骨格を歪めたり痛みを発したりするようになります。反対に、痛みを伴う状態であったとしても、からだの使い方が適正になれば歪みや痛みは瞬時に、あるいは徐々に消失していきます。使い方次第で良くも悪くもなるのです。
 ただ、筋肉には形状記憶的な能力があるようで、何十年も使い続けて出来上がった状態はそう容易く変化させることはできません。癖が染み付いているようなものです。今日、あぜ道を歩いたり、バランスクッションを使って痛みの出ない状態になったとしても、明日の朝歩くとまた痛みが出てしまうかもしれません。しかし明日もあぜ道を歩き足首を柔らかく使いますと再び痛みは消える状態になります。その繰り返しを何日か、あるいは何十日かしていますと筋肉の形状記憶が変化し、新しい足の使い方も十分に自分のものになり、完全に痛みから解放されるようになると思います。

正しく使えるように整えるのが私の仕事
 肩こり、首の痛み、腰痛、膝痛、頭痛、五十肩‥‥、こういったからだの痛みや不具合を調整するのが私の仕事ですし、皆さんが私に期待されるのもそういったことが主です。ところが私は施術をしながら「この人はどういったからだの使い方をしているのだろう? そしてそれは何故なんだろう?」と考えています。施術によって症状が軽減したり改善したりした後、皆さんから聞かれることは「何が原因で、自分はこうなったのか?」という類の質問と、「どういうことに気をつければ、症状が再発しないのか?」という質問です。
 「普段の姿勢が悪くて猫背になっているから首が前に出てしまい、首の後側に負担が掛かり首から肩にかけて凝りが強くなってしまう」「ですから、背筋を伸ばして顎を引くように心掛けてください。」といった説明でも納得してくれるかもしれませんが、「どうして猫背になってしまうのか?」とった根本的な原因に踏み込んで応えたいと思っています。「猫背になったしまうのは、骨盤(仙骨)が寝ている(後傾)ことが原因ですが、その理由は座っている時に骨盤の力ではなく内股に力をいれて頑張っているからです。内股の筋肉がこわばると骨盤が後に傾くようになってしまうので、毎日のケアとしては内股の筋肉をストレッチしてください。」「すると仙骨が立って坐骨で座ることができるようになるので猫背は自ずと改善されていきます。」
 この状況は座り続けて事務仕事をしている人にたくさん見られますが、足や足先が床についてしまうと内股に力が入ってしまうのです。足先が床に届かないような高い椅子、あるいは机やテーブルに座ると骨盤に頼るしかなくなりますので、それだけで仙骨が立ち猫背は改善します。
 それでは「足が床に着くとどうして内股に力が入ってしまうのか?」という問題が残りますが、それを改善するのが私の仕事の本質になろうかと思います。過去のケガが原因なのか、足や手の使い方の癖に問題があるのか、目の使い方に問題があるのか‥‥人それぞれだと思いますが、そこを指摘したり改善したりすることで、からだの使い方がそれまでとは変わるようになれば、もう同じ症状で悩むこともなくなるのではないかと思うのです。
 “症状が消えればそれでOK”という考えの人がほとんどですが、その先ももう少しお付き合いいただければ、もっと快適な日々を送っていただけるのに、と思ったりします。

 それぞれの人がいろんな癖を持っていて、普段の姿勢もまちまちです。寝ているときの姿勢、座っているときの姿勢、立っているときの姿勢、歩いている時の姿勢、これらがすべて理想的な状態の人は限りなくゼロに近いと思います。
 今回は立っているときや歩く動作に直接的に関わる重心の問題について取り上げてみます。
 私たちの体はとても精妙にできていて、動作の重心がどこにあるかによって体が効率よく働けたり、あるいは反対に効率悪く不具合を起こす方向に進んでしまったりすることがあります。また重心の位置はスタイルの善し悪しにも影響しますので、スマートな体型や動作を維持したいと考えている人は参考にしてください。

“かかと体重”の悪影響
 立った時に足のかかとに重心が乗っている状態を“かかと体重”などと呼んだりしますが、この状態が体や動作に直接及ぼす影響を挙げてみます。
①かかとが痛くなりやすい
 当然と云えば当然のことですが、かかと体重の人はいつもかかとに負担がかかっていますので、時折かかとの筋肉や筋膜が耐えられなくなり痛みを発します。朝起きた直後の第一歩でかかとがつけなくなるという場合、寝ている間の血行不良が原因の一つですが、かかと重心によるかかとの疲労がベースとしてあるのかもしれません。

②歩いても前に進みづらいので、歩くと疲れやすくなる
 かかとに重心があるということは、背中側から何かの力によって後に引っ張られている状態であると考えることもできます。歩く動作は前に進む動作ですが、常に後に引っ張られる力が働いているため、向かい風の中を歩くように体はスムーズに前に進むことができません。足腰の筋肉は余計な負担を強いられますので疲労しやすくなります。また呼吸も荒くなりますので、歩き続けていると息が上がってしまうので途中で休みたくなったりします。
骨盤底
骨盤後面

③骨盤底が硬くなり、お尻が下がる
 骨盤の下部(底)には肛門や生殖器がありますが、その部分を骨盤底といいます。骨盤底は強靱な筋肉(骨盤底筋)と結合組織でできた膜ですが、それによって骨盤内臓物が下に落ちないように支えています。骨盤底筋の働きが加齢やその他の理由で衰えたり弱くなったりしますと、失禁や生殖器系の不調や不具合が生じる原因になると考えられます。また反対に骨盤底筋がこわばって硬くなりますと体全体の筋肉の伸びが悪くなり、腰痛をはじめ様々な不具合の基礎的要因になると云えます。乳幼児は全身がとても柔らかいですが、骨盤底筋にたいへん柔軟性があるので股関節を大きく使うことができるのが特徴的ですし、その延長線上で全身の筋肉が柔軟性に富んでいます。
 加齢にともない骨盤底筋は柔軟性を失う傾向にあります。学生達の動作はしなやかですが、30代、40代、50代と年代が進むにつれ体つきも動作もしなやかさを欠いていきます。それは単に太っただけではなく、筋肉の微妙な柔軟性と働きが失われていくため、体つきにゴツゴツ感が感じられるようになったり、動作がロボットの動きに近づくような感じになったりするからです。ですから、いつまでもしなやかな状態でいたいと望むのであれば、骨盤底筋の強さと柔軟性を維持するようにすべきだと私は考えます。
 そして、骨盤底筋はかかとの結合組織と連動する関係にあります。つまり骨盤底筋がこわばるとかかともこわばって硬くなり、反対に、かかとがこわばって硬くなると骨盤底筋も硬くなってしまいます。かかと体重の人は立っているだけで常にかかとに力が入っている状態ですので、当然かかとはこわばり、連動して骨盤底筋も硬くなってしまいます。
 
 骨盤底筋は前方(腹側)では恥骨、股関節では腰骨(腸骨)下部の座骨結節、背側では尾骨とつながっている膜ですから、骨盤底筋がこわばりますと恥骨、座骨結節、尾骨の間隔が狭くなります。つまりお尻がすぼまった状態になります。尾骨と一体化している仙骨は下方に引っ張られますのでお尻は下がってしまいます。若い頃はお尻も上がって脚が長く見えたのに、加齢とともにお尻が垂れ気味になり脚が短くなったように感じるのは骨盤底筋が硬くなったからかもしれません。

④動作が鈍くなる
 私たちの体は何かの動作をするとき、そのために一端バランスを整えてから動作に移るようにできています。例えば椅子から立ち上がるときは、最初に頭を前に出して(=首を下に向けて)上体を前傾させてからお尻を座面から浮かすようにして重心を膝に移してから立ち上がります。強い腰痛になって首を下に向けることができなくなると、重心の移動ができなくなりますので、どんなに脚や膝に力があったとしても椅子からスムーズに立ち上がることができなくなります。肘掛けなどに手をついて、手の力で上体を押しだし重心を膝に乗せてからでないと立ち上がることができません。
 同様にあらゆる動作は重心を移動する過程を経過しないと行うことができませんが、重心の位置が理想に近いところにある人は動作のための重心移動がとても素速くできます。しかし、かかとに重心のある人は一端ニュートラルな位置に重心を戻すという過程を踏んでから必要な動作のための重心移動を行なわなければならないので手間と時間がかかってしまいます。この様子を遠くから眺めますと、“どこか無駄な動きが多い”と映ってしまいます。他人から注意などされて自分では動作を素速くしようと試みても、体がそのように動いてくれないので歯がゆく感じてしまうかもしれません。

⑤推進力が生まれない‥‥仙骨の後傾
 脚の速い人は、走り出すとどんどん前に進んでいきます。走り方も軽やかで、それほど力を入れて走っているように見えなくても他者より先に進んでしまいます。それは前に前にと重心を移動させる推進力に豊んでいるからです。歩くことも同様です。一生懸命力を入れて歩いている自分を横目に、すいすい軽やかに追い越していってしまう人がいますが、その人も推進力が豊かな人です。この違いは骨格的に見ると仙骨の傾き方に原因があります。仙骨が前傾している人は重心を前に移動させることが得意ですが、仙骨が後に傾いている人は重心を前に移動させることが苦手な体であると云えます。
 さらに、仙骨が前に傾き加減の時は自然と背筋が伸びますが、仙骨が後傾している人は自然と背中が丸まってしまいますので、猫背気味の体型になります。歩いている時や座っているときの自分の背中が丸くなっていて姿勢が悪いと感じたときに、仙骨を前に傾けるだけで自然と背筋が伸びますのでこのことが理解できると思います。
 さて、かかと重心の人は③に記したとおり尾骨と一緒に仙骨も下がりますので、仙骨が後傾した状態です。つまり、かかと重心の人は推進力に乏しい体になっていると云うことができます。そして、体の推進力と心理的な“やる気”は同調するようですので、“体がどうもかったるくて、やる気も出てこない”と感じているときは、仙骨の状態を整えるために、かかと重心の体を修正してみるのも一つの方法だと思います。

⑥その他
 上記以外に、ガニ股やO脚になりやすい、ふくらはぎの後側がいつも張ってしまう、骨盤の上部が拡がってしまう(→太る原因になりやすいとの見解もあります)などのマイナス面があります。

かかと重心になってしまう原因と対策
 骨盤が後に傾いていることが、かかと重心の直接的な原因であると思われます。骨盤は左右の腰骨(腸骨)と中央の仙骨・尾骨と前方の恥骨を合わせたものですから、腸骨が後傾しても、あるいは仙骨が後傾してもかかと重心になってしまいます。ですから、かかと重心を改善するためには骨盤が正しい状態に戻るように体を修正する必要があります。そして、これまで施術してきた経験で云いますと、後頭部から首のつけ根にかけての筋肉や筋膜がゆるんだ状態を修正することによってかかと重心が改善される場合が多くあります。立っているときに首の後側に手のひらを当てると次第に重心が前方に動いたり、歩いている時に首の後側に手のひらを当てると歩き方が軽快になり脚がどんどん前に進んでいくように感じるのであれば、それは首の後側に問題があってかかと重心になっているということです。
 過去のムチウチやケガ、頚椎の歪み、あるいは下半身の問題で首の後面がゆるみ、仙骨が下がっていることはよくあることです。私自身の場合、立った時に右脚の重心はちゃんとしているのですが、左側が少しかかと重心になっています。普通に歩いている分には何の問題もありませんが、少し長い時間を歩き続けますと左の膝から下が棒のようになってしまう感じになります。私は仕事がらか、あるいは過去の問題か、右側の第2肋骨が外側に歪んでいます。それによって首の筋肉(後斜角筋)がこわばり、第6頚椎が右側にずれています。それが原因となって首の後面が少しゆるんでいます。ですから、歩きながら第2肋骨を少し内側に押し込みますと歩き方が軽快になります。

 また、骨盤底筋が硬くてかかと重心になっている場合、セルフケアとしては相撲取りが四股を踏んで股を大きく開き骨盤底を伸ばす恰好をしますが、それを真似るとか、和式便器で用をたす恰好のようなことをするなどして骨盤底のストレッチを行うことは有効です。
 私は施術で骨盤底をゆるめるときには直接骨盤底筋を指圧してゆるめる場合もあれば、骨盤底筋と連動しているかかとを揉みほぐすこともあります。かかとの底面は丈夫にできていますので表層部分はかなり強く揉んでも痛みを感じませんが、かかとがこわばっている人の深部はコリコリと硬くなっていて、それを揉みほぐしているうちにかなり強い痛みを感じるようになります。その痛みが軽減するまで揉みほぐすことがポイントです。
 骨盤底筋のこわばりが改善してきますと、お尻の底部がゆるんで拡がったようになります。反対に骨盤の上部は引き締まってしっかりした感じになります。

 その他には腹筋がゆるんでいる影響でかかと重心になっていることや、足の指先が硬く丸まっているためにかかと重心になっていることなどもあります。
 
かかと体重
 
 かかと重心の人でも、お腹を前に突き出すことによって重心を前方に移して立ったり歩いたりすることは可能です。つまり意図的にかかと重心を矯正することはできます。しかし、それは不自然な状態であり、体のどこかに力を入れている状態ですので疲れが溜まってしまいます。あくまでも自然な状態で立った時に、自ずと重心が足首の前方辺りにあって、かかとが微かに浮き気味になっている状態になることが本当の矯正です。

 呼吸に関連した項目でも“重心の位置”について記しましたが、私たちの体が効率よく順調に働ける状態であるためには、“重心”はとても重要です。ご自分が“かかと重心”だと感じる人は是非、重心の位置が正しくなるように体を整えてみてください。それだけで体が軽快に動けるようになると思います。

 その方はスーパーの鮮魚売り場で働く中年の女性です。毎日、包丁を使って魚をさばいています。私のところに通われるようになってもう長い年月が経ちます。
 この方の悩みは、右足の母趾のつけ根が痛くなり、左膝が時々不調を起こすこととと、忙しいときなど包丁を使いすぎて手が痛くなることです。魚屋さんは足元が常に冷たく、いつも長靴を履いていて、包丁を力を入れて使い続けていますが、これらが体に負担をかける主な要因となっています。
 若い頃に患った外反母趾の影響で、両母趾のつけ根が少し内側に飛び出していますが、今は靴を履くことによって生じる外反母趾特有の痛みはないということです。しかし、疲れが溜まってくると靴を履いているときではなく、家で休んでいるときなどに母趾つけ根内側の突出している部分がうずいて痛むということです。また、数年前に転んで膝に重いケガをしてしまい、その影響で、やはり疲れが溜まってくると膝の上に水が溜まり、関節の動きがおかしくなるということです。
 そして私のところの足リフレ(足つぼマッサージ)を気に入ってくれているようで、毎回、足リフレ+整体のコースを選択されます。魚屋さんは足元が冷えますので、足がむくみやすいので、ふくらはぎのマッサージが気持ちいいのだと思います。
 施術では最初に足リフレを行い、その後ベッドに仰向けになって膝と母趾の痛みを改善するのがこの方の定番のメニューですが、今回は顔のむくみとたるみを改善して欲しいとの要望でした。整体にあてられる時間は45分くらいですから、その中で母趾と膝に対する施術と顔への施術を行わなければなりません。実際、顔への施術は20分くらいの短時間でしたので本格的な調整はできませんでしたが、顔のむくみを取ってたるみを改善するくらいは可能でした。そして施術が終わった後、鏡をご覧になって満足そうでしたので、「このコースのこういう使い方もいいのかなぁ」と思い、このブログに記すことにしました。

顔のむくみとたるみの改善
 本格的に顔の整体を行う場合は、やはり60分くらいの施術時間は必要になります。骨格の歪みを調べて、その原因を探り、歪みをもたらしている原因を一つ一つ改善していくという作業が必要になるからです。目の使い方、噛み方、手の使い方、骨盤の状態、それらが顔の骨格に影響を与えることはよくあることです。
 しかし限定的にはなりますが、20~25分くらいの時間で顔に対する施術を行うことも可能です。この方の場合のように、年齢的にもある程度いきますと、加齢とともにどうしても顔の筋肉が弾力を失いたるんでしまう傾向になります。それは仕方のないことではありますが、それでも骨格を整えますと筋肉の働きが良くなり、張りが戻ってきてたるみ具合がけっこう改善されたりします。また、むくみがありますと筋肉や組織内部の水分が多くなって重たくなり、筋肉の張りが重力に負けてしまうタイプのたるみも加わってしまいますが、骨格と筋肉を調整することでむくみを減らすことができます。
 むくみを取って筋肉の働きが良くなるよう調整することで、たるみも自ずと軽減し、見た目も触った感じもかなり変わったと実感できると思います。ただし、年齢的なこともあり、ずっとその状態をキープし続けることはフェイシャルマッサージなどをしないと難しいかもしれません。
 短時間でできる顔への施術は、根本的な改善を目指すという意味からすると不十分な施術となってしまいます。しかし、二週間に一回とか、三週間に一回とかいう間隔で定期的にケアするのであれば、3ヶ月後、半年後と時間が経過するにしたがい、顔の感じもだいぶ変わっていくものと思われます。

 この方のように、主目的は母趾の痛みと膝の痛みのケアであり、ついでに顔のたるみも改善したいという要望であるならば、足リフレと整体のコースをこのように利用されるのは良い手段だと思います。
 あるいは整体60分コースの中で、首肩を30分、顔を30分という使い方も良いと思います。ただし、これは前提として定期的に施術を受けられる場合のおすすめです。首肩もバッチリで改善したいし、顔もしっかり改善したいというのであれば、それぞれ60分ずつのコースを選んでいただければと思います。

参考までに、顔以外でこの方に施術した概要を下記に記します。
①足リフレクソロジー
 足リフレの施術には大きく分けて二つのタイプがあります。心地よさとリラックスに重点をおいた軽やかなものと、施術者がかなり力をいれてグイグイやるタイプのものです。西洋式と台湾式(東洋式)と分ける見方とも言えます。私のところは後者に近い強めの力で施術する方式です。ですから、馴れていない方にとっては最初はかなり痛みを感じる施術となります。馴れてしまうと、その痛み具合に心地よさを感じるようになると皆さんは仰います。
 そして私が目的とするところは、足やふくらはぎに滞っている老廃物を除去して血液やリンパの流れを改善することです。そうすることでむくみが改善し、硬かった足やふくらはぎが柔らかくなります。施術中は痛みを感じますが、施術後は膝から下が軽やかになりますし、全身の血流も良くなりますので、皆さん「気持ちいい」「サッパリした」と仰います。
 この方のように、普段足元が冷えたところで作業されている人にとってはとても良いものだと思います。
 ただ、筋肉の張りとかシビレ感とかは足リフレでは改善できませんので、そこを間違わないようにしていただければと思います。

②母趾つけ根の痛み
 現在、外反母趾症状の真っ最中ということであれば他の要因も考えなければなりませんが、この方のように普段は靴を履いていても痛みを感じることはないが、疲れが溜まってくると靴を履いていなくても痛みを感じてしまうという場合は、母趾の内側にある母趾外転筋がこわばっているからです。
 そして多くの場合、手の使い方や手の使いすぎが原因でこの筋肉のこわばりが発生します。母趾のつけ根と手に関係性があるとはほとんどの人は考えられないと思いますが、私はまず最初にこの関係性を確認することから施術を始めます。そしてその経路の途中に膝がありますので、手の問題が膝に不具合をもたらせている可能性も高いと考えます。
 この方の右手は包丁をたくさん使っていることから、ゴチゴチに硬くなっています。そして母趾の内側(母趾外転筋)と直接的に関連するのは手の母指と示指になりますが、どちらの指もグラグラになっていました。その辺りを調整することで、母趾外転筋のこわばりは解消しますので、この痛みに対する施術は手指を揉みほぐすだけで終了です。

③膝の不具合
 この方の場合、私から見ると両膝が万全とは言えなかったのですが、本人の自覚では以前に転んでケガをした左膝の上に水が溜まって曲げ伸ばしの際に違和感を感じるというものでした。
 そのケガはかなりのダメージを膝に与えるものでしたので膝周辺の筋肉が弱くなっていますが、疲れてくると症状が感じられるということです。ですから、他の何かの要因が加わったときに症状が現れると考えることができます。そして、やはり仕事柄、冷えと手の疲労が最も疑わしいものであると考えられます。足リフレによって冷えの方は改善されていると思われますので、あとは手の疲労となります。実際手の疲労で、ある筋肉がこわばり、それによって膝から下(脛骨)が外側に少し捻れていました。魚を切るのは右手ですが、左手も魚を押さえるためにかなり力を入れているとのことです。
 結局、左手を施術することで左膝を整えました。膝周辺は一切調整していません。ちなみに、左母趾も外反母趾気味になっていますが、こちら側が痛むことはないということでした。

 その方は91歳の女性です。ふくらはぎの下部から足にかけてむくみが強く、歩くとき足がなかなか前に出ないという訴えでした。これほど高齢になりますと、体のどこかに不調があるのは仕方のないことかもしれません。しかし、いつまでも自分の足で歩き続けたいと思うのは、私たちの切なる願いでもあります。
 むくみを起こす原因はいくつかありますが、この方の場合、腎臓機能の低下によるむくみかもしれません。と言いますのは、耳もかなり弱くなっていて補聴器がなければ日常生活ができない状態であると聞かされたからです。現代医学では耳と腎臓の関係性は特に指摘されませんが、東洋医学では耳と腎の働きは密接に関係し合っていると考えられています。

足裏の反射区で効果がある「腎臓」と「小腸」
 以前にも取り上げましたが、私の経験上、足裏や手の反射区で素速い効果が期待できるものに“
腎臓”と“小腸”があります。その他にも消化器系などの反射区も期待できますが、今回の”むくみ”というテーマではこの二つの反射区を利用することにしました。
 腎臓反射区は、まさしく腎機能をアップしむくみの改善を目指すためと、耳に対する効果を期待して用います。小腸反射区は血液循環の改善と体の芯を温める目的で用います。(この反射区については以前に取り上げました。)血液循環と体熱はもちろん”むくみ”に関係します。

腎と小腸反射区

 高齢になりますと筋肉量は落ちます。さらに運動量も落ちます。体熱は筋肉の働きと肝臓の働きに負うところが大きいので、高齢者になって運動量が落ち、食欲も落ちますと自ずと体は冷えた状態になってしまいます。そして、その状態はしっかりと小腸反射区に現れます。その部分の奥の方へ指をあてていきますと、板のように硬くなってしまったところに突き当たります。これが体の芯が冷えていることの証であると私は考えています。
 腎臓反射区の方は、これとは少し様子が異なります。奥の方へ指を沈めていきますと硬めのコリのようなものが見つかります。大きさはその時々によってまちまちです。直径2㎝くらいのときもあれば、5㎜程度の小さいときもあります。このコリのようなものがなくなるまで指圧し続けることが施術方法です。また、腎臓反射区のすぐ上に副腎の反射区がありますが、ここは東洋医学の腎の経絡で湧泉というツボにあたります。ここも強めに刺激するとよいと思います。

 施術前は足首の上部から足にかけて非常に硬く、指で押すとすっかり沈み込んでしまうほどむくみがひどかったのですが、40分程度の施術後は足裏はかなり柔らかくなりました。足の甲や足首の上部に硬さやむくみがすっかり良くなったわけではありませんが、かなり改善されました。
 これまで週に1回のペースで3回施術を行いましたが、歩く速度もかなり速くなり、普通の人が歩くのと大差がなくなりました。本人は「足が軽くなって、とても快適になった」と言っていました。

 今回、このことをご紹介したのは、この施術はとても簡単で、どなたでもすぐに覚えられ実践することができると考えたからです。自宅に高齢者が居て足がむくんでいたり、歩くのがおぼつかなかったりするようであれば毎日でなくとも週に二度三度して差し上げてみてください。あるいは、ご自分がむくみで不快な思いをされているようであれば、是非試してみてください。
 私のところでは足のリフレクソロジー(足つぼマッサージ)もやっていますが、むくみをとるという目的に絞れば、腎臓と小腸に集中したこのやり方の方が足リフレより効果が高いです。以下に、実際の手順を記します。ポイントは満遍なく一通り行うのではなく、腎臓反射区と小腸反射区に集中して”感じが変わる”まで粘り強く行うことです。溜まっていた物が”流れる”、という感じをつかみ取ってから次に進んでください。

実際の施術
 時間は両足でだいたい40分間です。
①準備段階‥‥そんなに本気を出さなくても大丈夫です。
 まず最初は足裏全体に対する指圧です。縦方向に5本のラインをつくり、中心線からはじめます。一つのラインに対し5箇所ほど少し強めにゆっくりと指圧をしていきます。
 その次は指先を揉みほぐします。強く揉むとかなり痛みを感じるかもしれませんので、様子をみながら少し痛みを感じるくらいの力でほぐします。ここまでが準備体操のようなものです。
 
膝下から足のむくみに対するマッサージ01

②本番‥‥心を集中して行ってください。
 小腸反射区への粘り強い施術。肝腎なことは血液や体液の流れを感じ取り、全身の筋肉が次第にリラックスしていく様を感じ取ることです。
 この反射区は両手の母指を使ってかなりの強さで指圧します。硬くなっている部分は厚みがありますし面積も広いですが、根負けすることのないくらいの覚悟で深く深くと圧していきます。私はこの部分だけで5分ほど使う場合もありますが、そうしているうちに何となく血液が流れ出し、むくんで溜まっていたものが動き出す雰囲気が感じられるようになります。それまでカチカチだった足の骨格もゆるんできます。そうなりますと、指圧が痛気持ちよく感じられるようになります。ここまでやらなければ大きな効果は期待できません。
 腎臓(及び副腎の)反射区への施術。小腸反射区と同じような感じの施術になりますが、小腸区の方は指圧一辺倒だったものが、この反射区へは”コリの揉みほぐし”的要素が加わります。奥の方で少し指先を動かして揉みほぐすとも含めるといった感じです。
 この反射区への施術も時間をかけてゆっくりと行います。そうしていますと、コリが消えて指圧している部分を中心に周囲がフニャッとゆるんだ感じになります。停滞していたリンパが流れ出し、分厚く硬かった足裏が薄く柔らかくなっていきます。

膝下から足のむくみに対するマッサージ02

③仕上げの段階‥‥足裏全体がゆるんで、停滞していたものが流れやすい状態になっていますので、ここからは、流すことを中心に施術をします。
 足の甲側、足趾と足趾の間をほぐします。そこに停滞しているリンパを流すイメージです。
 ふくらはぎへの施術。これはいわゆるリンパマッサージのごとく行います。筋肉と筋肉の間に溜まっているリンパを分離するといった感じです。マッサージの方向にこだわる人もいますが、私はそれほどこだわっていません。やりやすいようにやっています。ふくらはぎの裏側を、膝裏のリンパ節に流すことばかりにこだわるより、ともかく溜まって筋肉とか筋膜にこびりついているものを流し離すといった感じでやっています。力は少し強めです。

足三里

 足三里への指圧。これはかなり重要だと考えています。このツボへの指圧は要領が必要かもしれません。
ツボの位置に正確に当たって、指圧の深さも適切なところにいきますと「流れ」が感じられます。

 来店された91歳の方はしばらく週一回のペースで通われるようです。玄関を出て駐車場まで歩く姿を拝見していますが、少し猫背ではあるもののスタスタと足が動いている様子を見ますと、私も嬉しく思います。
 また、高齢者が歩きづらくなるのは”むくみ”ばかりとは限りません。お腹の力が足りなくて足が動かなくなってしまうこともよくあることです。それについてはまた取り上げたいと考えています。

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