ゆめとわのblog

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カテゴリ: 筋・筋膜・骨

 薬局を経営されている60歳代後半の女性Sさんが、4ヶ月ほど前から首を普通に保つことが出来なくなってしまったと来店されました。「年末の仕事が忙しく、ずっと下を向いた状態でいたのがいけなかったのかなぁ?」と仰っていました。

 からだの状況を観察しますと、立位では、首はその根元(第7頸椎)のところからすっかり前に倒れていて、無理をしないと首を起こして正面を向くことができません。
 首が倒れたままの状態で頭を回旋させ、横を向きながら覗き込むような感じで目の前の相手と会話しなければならない状況です。
 そして、下腹を大きく前に出すような反り腰で、その反動として猫背であり、確実なかかと重心です。骨盤はすっかり後傾していて、お尻はすごく垂れた状態になっていました。

 座位では背もたれもないのに、背もたれのある椅子に座っているように上半身が後に傾いています。
 「少し上半身を前傾させるように座ってみてください」と申し上げても、それができません。坐骨のかなり後側に重心があって、そこから重心を前に移動することができないので、前傾姿勢ができないのです。

ポイントは3つ

 Sさんは、これまでにギックリ腰の経験はなく、腰痛の経験もそれほどないとのことです。それなのに下腹を前に突き出すような反り腰の立ち姿になってしまったのは何故なのか? という疑問が生じます。(この疑問に対する明確な答えはまだ掴みきれていません)

 反り腰の姿勢は、それだけで猫背をまねき首が前に出てしまいますが、おそらく何十年もその姿勢を続けていたと予想されますので、背面の筋肉はゆるみきった状態になっていると思われます。そして前に出た首を支えるために、首前面や胸元の筋肉は反対に硬くなっていると思われます。

 そして全身を触りながら確認していきましたが、実際そのような感じになっていました。
 お尻の筋肉はとてもゆるゆるで、「しっかりした状態に戻せるだろうか?」と考え込んでしまうほどの状況でした。
 それでも、この問題(反り腰)が1番の要だと感じました。骨盤の後傾が改善され、お尻の筋肉がしっかりすれば、骨盤を中心に動くことができるようになって反り腰は改善されると思います。反り腰が改善されれば、猫背も改善され、首は自ずと立ってくると思います。
 ですから、次の3つのポイントに重点をおいて施術を行うことにしました。

  1. 反り腰の改善‥‥かかと重心にも通じることですが、骨盤が前傾して中殿筋に力が入る状態になれば、骨盤を中心に立ったり座ったりすることができるようになります。すると自然と反り腰状態は改善されていきます。
  2. ゆるんだ背面筋肉の機能回復‥‥長年の姿勢や下を向き続けることの多い仕事の影響で、首の後側の筋肉が伸びきった状態になっています。そして、その状態は首の後側だけでなく、背骨を支える筋肉(脊柱起立筋群)にまで及んでいますので、普通の人なら何の苦もなく行える「顔を上げる動作」ができない状態になっています。
     うつ伏せで寝た状態で、頭を上げて前を向くことが出来ないことからも、それがわかります。
  3. 首の前面~胸にかけてのこわばった筋肉の改善‥‥猫背で首が前に出てしまった姿勢であり、さらに首背面の筋肉が働きの悪い状態でありながら、なんとか首の状態を支えるためには、首前面の筋肉で頑張るしかありません。
     ですから、首前面の筋肉は強くこわばった状態になっていましたが、こわばりは胸回りの筋肉にまで及んでしました。顎は噛みしめ状態になって緊張していますので、肩こりも酷くなってしまいます。

 上記の3つのポイントは互いに関連し合っていますので、一度の施術で全部を行う必要があります。
 たとえば、首後面の筋肉を調整を行わないまま首前面のこわばりを取ってしまいますと、首を支えるために頑張っているのものがなくなってしまいますので、症状はさらに悪化してしまいます。
 このことは重要で、一般の人は「硬いところをほぐせば良くなる」と思っているようですが、首後面の調整を行わないまま、硬くこわばっているところを揉みほぐしたり、あるいは低周波などの電気をかけてゆるめたりしますと、とんでもない状況になってしまう可能性もありますので十分に注意してください。

反り腰を改善するために

 反り腰は「下腹を前にだしてバランスを取っている姿」とも解釈することが出来ます。ですから、「どうして元々のバランスが崩れてしまったのか?」という問題を追及しなければなりませんが、多くの場合で、ケガ(ギックリ腰や肉離れも含む)や歯の治療や手術といったことがきっかけになっています。ところが、Sさんの今の段階では記憶では、そのようなものは覚えもなく思い出せないとのことでした。(何度か施術しているうちに、フッと思い出すかもしれません。そのような人は多いので)

 Sさんの下腹を前に出す姿は骨盤に寄りかかっている状態であるとも解釈できます。このような状態をほとんどの人は骨盤を使って立っていると認識するかもしれませんが、それは間違いです。ただ骨盤に寄りかかっているだけです。

 反り腰の人は、骨盤が後に傾いていてお尻の筋肉がたるんでいるという特徴があります。若い人や子供たちはお尻の筋肉がプリプリしていますのでたるんでいるようには見えないかもしれませんが、年齢や若々しさに関係なく、骨盤が後傾しますとお尻の筋肉はたるみます。

 ですから、反り腰を改善するためには骨盤の後傾を改善する必要がありますが、要となるのは骨盤の中心である仙骨・尾骨です。

 仙骨は直接背骨(脊椎)に繋がっていますので、頸椎の状態や頭蓋骨(後頭骨)の影響を受けます。また尾骨は会陰や肛門を含んでいる骨盤底筋と直接関係していますし、間接的には太股裏側のハムストリングや大内転筋などの影響を受けます。

 椅子に座り続けることの多い人は骨盤底筋が硬くなっていますので、ストレッチは有効です。

 また、ふくらはぎがガチガチに硬くなっているのに反して、太股の裏側がユルユルになっている状態の人がいます。それはかかと重心の兆候であり、足裏の筋肉も硬くなっているはずです。ですから足裏の筋肉をよく揉みほぐすことは対症療法として有効です。
 ふくらはぎの筋肉は足の指(足趾)や足裏の筋肉の状態が反映されますので、硬いふくらはぎを揉みほぐすよりも足裏や足趾をよく揉みほぐした方が効果的です。
 そしてふくらはぎの筋肉の硬さが改善されますと、太股裏側のユルユルも良くなってしっかりとした感じになりますが、仙骨の状態もしっかりして、ある程度骨盤の後傾は改善されると思います。
(専門的には、半膜様筋と大内転筋の状態が良くなることが肝心です)

 頭部や頚部の問題で脊椎が歪み、その影響で仙骨が下がって骨盤が後傾している状況もあります。これについては、他(以下)の2つのポイントを調整することで修正します。

ゆるんでいる背面筋肉の回復

 ゆるんで働きの悪くなっている状態の筋肉を、私が専門家として施術で回復させるためには、以下の2つのことを行います。

  1. 筋肉の働きを邪魔する要因となっている骨格(脊椎)を調整する
  2. 細胞の働きが悪くなっている部分にエネルギーがやって来て細胞の働きが活性化するように手を当てる

 背骨は24個の脊椎が繋がって形成されていますので、一つ一つの脊椎(椎骨)はある程度自由に動ける状態になっています。そしてそれが故に、骨格は歪みやすいわけですが、椎骨が下を向いた状態(背骨の出っ張り=棘突起は上を向いた状態)では、その部分の筋肉は収縮しづらい状況になりますので、仙骨を引き上げる能力が低下してしまいます。
 ですから、脊椎の一つ一つを確認しながら椎骨が下向きになっているものを正すように調整を行います。(施術の詳細は省きますが、背骨をバキバキすることは全くありません)

 このブログを読んでくださっている人には何度もこの話を出して恐縮しますが、筋肉がゆるんで働きが悪くなってしまった状態は、伸びきってしまい戻らなくなったゴムにたとえることができます。ジャージやパジャマなどのウエストのゴムは使い続けているうちに伸びてしまい、ダラーンとしてしまいますが、筋肉も疲弊してしまいますと同じような感じになってしまいます。

 猫背の姿勢では、肩甲骨周辺の山(出っ張り)の部分の筋肉は伸びやすくなってしまいます。加えて首が下に向いているわけですから、首後面の筋肉は伸ばされ続けているわけで、疲弊して戻らないゴムに近い状態になってしまうのは当然のことであると言えます。
 ただ、ゴムはその弾力性や収縮力を取り戻すことは不可能ですが、筋肉の場合は、少しずつでも機能を回復することができます。そこに望みはあります。そして、そのためには筋細胞がしっかり働けるようになることが必要ですし、エネルギーが必要です。ですから、手当ては有効な手段です。

首前面~胸にかけてのこわばり

 私たちのからだには「補ってバランスをとる」という仕組みが備わっています。
 たとえば、左足の小指をケガして小指側に荷重をかけられない状態になったとします。すると、からだが勝手に調整して自動的に右足を主体にして動くようになったり、あるいは左足の親指側で頑張るようにして小指側の負担がなくなるような使い方をするようになったりします。

 Sさんの場合もこの仕組みが働いて、ゆるんで働きの悪くなっている背側の筋肉を補うように自動的に腹側の筋肉が頑張って姿勢を支えるようになります。つまり、腹筋や胸筋や首前面や喉の筋肉が背筋の分まで頑張るのです。ところが、反り腰の姿勢が影響して下腹の筋肉(腹筋)もゆるんでしまい力が入らないので、胸~首にかけての筋肉で頑張るしかない状態になってしまいます。
 ですから、胸回りの筋肉と首前面の筋肉はこわばった状態になっていますが、それもまた、首を上げることが出来ない原因になっています。

 斜角筋(しゃかくきん)はこのブログでもしばしば登場する筋肉ですが、首の運動と運動制限に深く関与する筋肉です。
 文献上は、その本来の働きは呼吸運動を補助することになっています。しかし実態は、頚部の不快感や首のコリと運動制限などの原因になる筋肉です。さらに、そしゃく筋と深い関係にありますので、噛みしめや歯ぎしりなどの癖に直接関わっています。
 また、頚椎を歪める筋肉ですので、脳神経の働きにも影響をもたらします。中斜角筋が強くこわばって眼の働きが悪くなっていることは頻繁に見受けられる現象です。

 Sさんの場合、普通はあまり見られない現象として3つある斜角筋のすべてがこわばった状態になっていました。つまり、3つの斜角筋のすべてが首(頚椎)を前下に引っ張っている状態でした。この状態では、首を起こすことは難しいですから、斜角筋のこわばりを解消することが必須事項となります。

〇大胸筋のこわばりと前鋸筋のこわばり

 Sさんの斜角筋がこわばっている原因を探していきますと、胸に拡がっている大胸筋が硬くこわばっているところにたどり着きました。中でも腕のつけ根の辺りの線維が強くこわばっていました。
 胸を揉みほぐすようにしてこわばっている大胸筋をゆるめますと、頑固にこわばっていた斜角筋が少しずつゆるみ始めました。

 そして次に大胸筋がこわばっている理由を探しましたが、それは体側にあります前鋸筋(ぜんきょきん)の硬さが原因でした。長年にわたるこわばりの蓄積なのか、ゆるめる施術を行ってもなかなか筋線維がゆるみません。前鋸筋は手の親指と関係する筋肉ですが、脇が開いた状態で手を使い続けていたのかもしれません。
 両側の前鋸筋をしばらくの間ゆるめていましたが、すると呼吸が深くなり始めて次第に全身から力が抜けていきました。そして、大胸筋のこわばりもゆるみ、斜角筋や首周りの他の筋肉もゆるんで、楽な状態になりました。

 私の施術は、筋肉の連動や骨の連動といった仕組みを利用しながら全身を整えていくものですが、前鋸筋と大胸筋が連動し、さらに斜角筋が連動するといった流れがあることは認識していませんでした。しかし、今回は明らかにこのような現象が起きました。
 このことについては追々考察していこうと考えていますが、もしかしたら腹筋が使えない状態だったために、胸回りの筋肉が総動員で頑張っていた結果として前鋸筋も大胸筋も斜角筋も全部硬くなってしまったということなのかもしれません。

 さて、以上の3つのポイントについて施術を終え、ベッドに座っていただきました。すると、すっかり良くなったというわけではありませんが、背もたれに寄り掛かるような姿勢ではなくなっていました。ほぼ垂直な感じで座ることができていて、首も立ち、まっすぐ正面を向くことができる状態になっていました。
 そして、立位を確認しましたが、反り腰状態もだいぶ軽減していました。かかと重心がすっかり良くなったわけではありませんが、施術の方向性は正しいと知ることができました。

 Sさんから話しを伺いますと、若い頃から反り腰だったようです。
 長年にわたるその癖はすぐには改善できないと思いますので、何度か施術を行っても「3歩進んで2歩下がる」というような感じになると思います。しかし、やがては確実に症状は克服でき、さらに反り腰と猫背が改善されれば、この先、効率的で快適なからだの使い方ができると思います。


 前述しましたが、今回の説明で皆さんに知っておいていただきたい大切なことは、3つのポイント全部を調整しなければ良い結果を期待することはできないということです。
 そして3つはバラバラにあるのではなく、密接に関連し合っています。
 反り腰によって猫背になり、背面の筋肉が伸びて首が支えられなくなり、それを支えるために首前面~胸にかけて硬くなり、それが故に益々猫背が進み、それが故にさらに反り腰になってしまう、といった関連性があります。ですから、反り腰も修正しなければなりませんし、背中の筋肉の働きも戻さなければなりませんし、硬くなっている首前面~胸の筋肉もゆるめなければなりません。どれか一つ欠けても良いバランスを築くことはできないと私は考えています。

足つぼ・整体 ゆめとわ
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 からだがリラックスできる状態になるためには、喉元の筋肉(舌骨筋群や頭長筋など)の筋肉の状態も大切であることを説明してきました。
 そして、そのためには足首の柔らかさも大切であると説明させていただきましたが、今回はその理由と、ポイントになる骨格と筋肉と靱帯について説明させていただきます。

足首が硬くなると喉元が緊張する理由

 詳細を説明しますと長くなってしまいますし、専門的になりすぎてしまいますので、だいぶ省略した説明になってしまいます。

 私は骨格や筋肉や筋膜の状態を判断するときにベクトル(中学の数学で勉強した「方向性」)をかなり重要視しています。
 それは、その骨が「どこを向いているのか」「どちらに行きたがっているのか」、その筋肉が「縮みたがっているのか、否か」、その筋膜が「どのように捻れたがっているのか」といったものです。
 このようなことを申しますと「変人」扱いされてしまうかもしれませんが、私たちのからだの骨や筋肉や筋膜には、あるいは細胞には、それぞれに意識や意見(訴え)があるよう感じています。それは私たちの意識が集中して繊細になることができれば、誰もが感じられるものだと思っています。そして、それを「ベクトル」と私は表現しています。

 足首が硬い人の特徴として、足のくるぶし(内果と外果)が下がっていて、足首が太くなるという現象があります。そしてくるぶしが靴の縁に当たって擦れてしまう可能性が高くなるかもしれません。
 これは単純に考えますと、ふくらはぎの骨(脛骨と腓骨)と足の骨が近づいてしまっているということなのですが、足首周辺の靱帯が縮んだ状態になっていて脛骨と腓骨を下に引っ張っている状態です。ですから、脛骨と腓骨を触りますと、ベクトルが下に向かっていると私は感じます。

 ここで視点を膝関節に向けますと、脛骨が下に引っ張られている分、大腿骨との間が少し拡がった状態になります。すると、脛骨と大腿骨を繋ぐ筋肉が緊張してこわばります。

 膝裏では膝窩筋がこわばって硬くなりますので「膝の裏が腫れぼっくて硬い」と感じると思います。また、ハムストリングや腓腹筋もこわばりますので、裏側(背側)の膝周辺も硬くなって張ります。さらに太股に対してふくらはぎが後側に歪んだ状態になりますが、それを前から見ますと膝小僧(膝蓋骨)が目立つ状態となります。

 この状況はかかと重心になってしまう状態ですが、骨盤も後傾しますので、猫背にもなりやすくなり、頭長筋がこわばって首・肩・顔に力が入りやすい状態を招きます。(「気になる頭長筋の状態」参照)

 膝関節の前面では大腿四頭筋がこわばります。ですから、太股の前面が太く硬くなってしまいますが、喉元では胸骨甲状筋(きょうこつこうじょうきん)がこわばりますので、食物の飲み込み(嚥下)や発声に悪影響がおよびます。(「食欲不振‥‥飲み込めなくて=嚥下の不調」 参照)

 足首の靱帯が縮んで足首が硬くなった状態は、その他に「鼡径部が下がるので下腹が出たり、舌が下がる」といった現象ももたらしますので、噛みしめや歯ぎしり、頭痛といった症状を招く可能性もあります。

距骨の不安定さと立方骨と短母趾屈筋

 足首の靱帯が硬く縮んでしまう理由について考えますと、二つのことが浮かんできます。

 一つは足首の使いすぎです。「足首の使いすぎ」といってもピンとこないと思いますが、この状態を招く理由としては、歩いたり立ったりするときに足やふくらはぎに力を入れすぎていて、「足で踏ん張っている」「足元で頑張っている」状態になっていることがあげられます。
 たとえば歩行においては、骨盤を中心にその周辺の筋肉を主体的に使って動作をおこなうのが良い在り方です。そうであれば、足元に力を入れなくてもサッサと軽やかに歩くことが出来ます。そしてこのような状態の人の歩き方を見ますと、お尻がプリプリ収縮を繰り返して歩いているように見えます。
 反対に骨盤中心ではなく、足元に力を入れて歩いている人の場合は、お尻はあまり動かず股関節から下ばかりが動いているように見えます。歩き方にバネが感じられません。
 このような人は歩行時における全体重の負荷を膝や足首で受け止めることになりますので、足首がその負荷に負けないようにとガチッと硬くなりますが、それが足首周辺の靱帯や筋肉を縮めてしまう要因になるのではないかと思います。長く歩いているとスネの外側が張って辛く感じる人は、まず間違いなくこのタイプの人と言えます。

 二つ目は、距骨が不安定な状態になっているので、それを補うように靱帯や筋肉が縮んでいる状況です。
 「距骨(きょこつ)‥‥足関節の安定と歩行と重心移動」で詳細は説明していますが、立位の状態で、全身の負荷を足で受け止める直接的な骨は距骨です。ですから、距骨の状態は立位の状態を決める「要」であると言うことができます。

 また、足首周辺の靱帯と距骨との関係では違う側面もあります。
 たとえば足を内側にグキッと捻ってしまった捻挫は、足首外側の靱帯に損傷を招きます。

 前距腓靱帯(ぜんきょひじんたい)や後距腓靱帯(こうきょひじんたい)が伸びて損傷しますと、距骨が小趾側に捻れた状態になる可能性があります。あるいは立方骨(りっぽうこつ)を安定させる靱帯が損傷しますと立方骨がグラグラしますが、あわせて距骨もグラグラして不安定になる可能性があります。
 すると、からだは足首の不安定さを嫌いますので、他の靱帯を固めるように縮めて足首の不安定さが小さくなるようにするのではないかと想像します。

 また、この状況に関連して母趾と立方骨を繋いでいる短母趾屈筋(たんぼしくっきん)がこわばりますと、立方骨が前方に引き付けられ前に歪んでしまいます。すると隣り合う関係の距骨も歪んで足首が不安定になりますが、このような状態の人はたくさんいます。



距骨を整えるための主な考え方と施術

 上記までの内容を要約しますと、足首が硬く縮んでしまう理由は以下の3つになります。

  1. 足首の酷使などの理由で足関節の靱帯がこわばってしまった。
  2. 捻挫などの影響で損傷した靱帯の働きを補うために他の靱帯や筋肉が硬く縮んでしまった。
  3. 立方骨の歪みが距骨の歪みに繋がり、足首が不安定な状態になってしまった。
    (短母趾屈筋のこわばりや捻挫等による靱帯の損傷が原因)

 ですから、それぞれの状況によって施術内容は異なります。

  1. の理由による靱帯のこわばりに対しては、靱帯をゆるめる手法を行います。それはストレッチや指圧などの手技になりますが、それ以外に足首をよく回すことも有効です。
  2. に対しては、損傷や疲弊してしまった靱帯を復活させる施術を行います。
     そして(悲しいことですが)、捻挫などのケガが何十年前のものであったとしても、靱帯の状態が元通りに回復していない現実があります。

     私たちの一般的な感覚では、捻挫をしたとしても腫れが治まって痛みが消失してしまえば、それで捻挫は治癒したと認識しているかもしれません。しかし、それだけでは捻挫の損傷は完全に回復しているわけではありません。靱帯の働きがしっかりと戻って関節のグラグラ感が消え、骨格が安定して周囲の筋肉がしっかり働ける状態になったときが損傷が回復した状態です。そうなりませんと足首(足関節)の要である距骨は頼りない状態のままですので、全体重を距骨に乗せることができません。このような状態ではかかと重心になっている可能性があります。

     損傷から回復しきっていない靱帯を回復させる手段は、やはり「手当て」です。あるいは、ピップエレキバンが有効な場合もあります。ともかく血液をたくさん運んできて、細胞の働きが活発になるようにする施術が必要です。(この感覚は実際に体験しないと解らないと思います。)
  3. 立方骨が歪んでいる理由として、立方骨と踵骨、あるいは4趾・5趾の中足骨を繋ぐ靱帯が損傷している場合には上記②と同じ手法を用います。


       あるいは短母趾屈筋(たんぼしくっきん)がこわばっていることで立方骨が前方に歪んでいるケースでは、短母趾屈筋のこわばりを解消する施術を行わなければなりません。

     但しこの場合、単にこわばりを解消するだけでは根本的な解決になりません。「どうして短母趾屈筋がこわばったのか?」について最終的には解決する必要があります。


       短母趾屈筋がこわばる理由として、多くの人のケースでは、歩き方の問題などで短母趾屈筋を必要以上に収縮させなければならない状況になっていることがあげられます。

     ですから、歩き方が良くなるようにからだを整えることが必要になりますが、それは長年の「癖」を克服する道のりでもあります。ですから一朝一夕にいきません。「形状記憶」のような状態を解除するように、時間をかけて着実に進めていく心構えが必要になると言えます。

     とはいえ、とりあえずは立方骨の歪みを改善する必要がありますので、こわばっている短母趾屈筋をゆるめる施術を行います。

 距骨の歪みに対しては、多くの場合で、上記の3つの観点で観察し、適切に施術を行うことで対処できると思います。しかし少数派なのでここでは説明を省きますが、脛骨の捻れが原因で距骨が歪んでいる場合もあります。

短母趾屈筋のこわばり

 上の写真の右側のように、脛骨に対して距骨が前方に歪んでいる状況では、その人はほぼ間違いなくかかと重心の状態になっています。ですから、この状態は確実に改善したいと考えていますが、この状態をもたらしている直接的な原因として最も多いのは、短母趾屈筋のこわばりです。

 ご自分の足を観察して、親指(母趾)が中足骨のところから下を向いているようであれば、ほぼ間違いなく短母趾屈筋はこわばっていると思われます。そして距骨は前に出ていると思われます。ですから、このような人は短母趾屈筋のストレッチをたくさん行う必要があります。

 また、短母趾屈筋は足底筋の中で、からだ全体に影響力の強い筋肉であると私は考えています。
 短母趾屈筋は私たちの日常生活の動きによってこわばりやすい筋肉でありますが、同時に、ストレッチなどしてこわばりを解消しますと、全身の血行が改善したり、縮こまっていた筋肉が伸びやかになるなど「快適さのコツ」に該当する筋肉であると考えられます。

 私の母は82歳になろうとしていますが、この年齢になりますと筋肉の働きが弱くなりますので熱を産生する能力も衰えます。ですからパジャマなど着るものを厚めに着て布団に入りますが、朝は私が20分くらいマッサージをしています。
 彼女は毎日買い物などで5000歩位を歩いていますが、それだけでも短母趾屈筋がこわばります。ですから、マッサージの中で短母趾屈筋をゆるめたりストレッチしたりしていますが、それだけでもからだが非常に温まり、眼がパッチリ開くようになります。そして「(指圧は)痛いけど、温まって気持ちいい~!」と言います。
 短母趾屈筋は、からだの冷えを感じている人にとっては毎日ケアしていただきたい筋肉でもあります。

足首をよく回しましょう

 この話題は3回連続になりますが、足首を丁寧にしっかりと回すことは、誰もが手軽にできて効果の期待できるセルフケアです。
 (イボのない、ツルツルとした)青竹踏みと足首回しは、皆さんにお勧めしたいセルフケアです。非常に単純ですが、是非行ってください。


 今回の話題の中で取り上げました短母趾屈筋については、まだまだ語るべきことがたくさんあります。また、別の話題の中で取り上げていこうと考えています。

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 「頭の天辺が痛くて、軽く触れるだけでも痛みを感じるんだけど、それっておかしいのかな?」と質問されました。

 その人は電気工事関係の職人で、腰痛や膝痛などの症状で月に一度くらいのペースで来店されていますが、今回は左の顎関節が痛くなってしまい、開けることもできないし、食事で噛むこともできないという症状でした。
 腕力など力を使う仕事でもあり、窮屈な姿勢で作業を行うことも多いようですから、つい噛みしめたり食いしばったりしてしまう状況が想像できます。ですから、常に顎の筋肉(そしゃく筋)がこわばっているために顎の動きが悪くなっている状況は予想できます。
 「そのような状態が酷くなったのかな?」などと思いながら施術を始めましたが、結論としては、噛みしめや食いしばりによる影響はあったものの、根本的な原因は頭頂部の筋膜がとても硬くなっていたことと頭頂部が尖ったように歪んでいたことでした。

 このブログでは何度も書いていますが、現代医学の一般的(?)見解では、頭蓋骨は顎関節を除いて、骨と骨が「不動結合」によって結びついていますので、「ほとんど動かない」とされています。ところが私のように毎日いろいろな人の頭を触っていますと、頭蓋骨の骨は容易く動くことが実感できます。
 動く距離(幅)はとても短いですが、頭蓋骨の関節は動くようにできているとことがわかります。

 今でも"たんこぶ”と呼ばれるのかどうかわかりませんが、その職人さんの頭頂部は少しブヨブヨしていて”たんこぶ”のように感じられる膨らみがありました。
 頭の天辺には「百会(ひゃくえ)」という大切なツボ(経穴)がありますが、そこを中心にブヨブヨ感がありまして、何かが「溜まってしまっている」と感じました。そしてその底の部分と頭蓋骨との境はピーンと張っていましたので、確かに「ここに触れると痛いだろうな」と思いました。

 この部分は頭蓋骨で言いますと、左と右の頭頂骨が関節している部分です。その関節を矢状縫合(やじょうほうごう)と呼びますが、この人の場合、左右の頭頂骨が矢状縫合に向かってぶつかり合うように力が働いていることが感じられました。
 ブヨブヨに関しまして、私は左右の頭頂骨がぶつかり合って頭頂部の骨格が細く(狭く)なってしまったので筋膜が余った状態になり、そこに水分が溜まったのではないかと感じました。
 つまり、余ったような状態になった筋膜の下に水分が溜まり、それがブヨブヨとした"たんこぶ”に感じられ、頭頂部が尖って見える原因になっているのではないかと思います。

 ですから、ぶつかり合っている頭頂骨の状態を本来の状態に戻すことができれば、頭部の尖りや頭頂部の痛み、"たんこぶ”のような膨らみは解消されると思いました。

 ところで、この職人さんの訴える症状は"顎の痛み”ですから、顎関節の不具合と頭の尖りとの関係について説明させていただきます。

 体表にあるそしゃく筋には、側頭部のこめかみ周辺で頭痛を引き起こす側頭筋(そくとうきん)と、耳の前から下顎のエラに繋がっている咬筋(こうきん)があります。顎関節周辺がガチガチに硬くなっていると感じる場合は、側頭筋と咬筋が強くこわばった状態になっていることがまず考えられます。
 ですから、顎関節が開かないという症状がある場合は、まず側頭筋と咬筋のこわばりを解消するような方法をとります。
 さらに口の中には内側翼突筋(ないそくよくとつきん)と呼ばれるそしゃく筋があります。内側翼突筋は頭蓋骨の中心部にあります蝶形骨(ちょうけいこつ)と下顎のエラの内側を繋いでいて、食事で硬いものを噛みしめるときなどに力を発揮します。
 ですから、単に噛みしめや食いしばりの癖などによって側頭筋、咬筋、内側翼突筋がこわばった状態になり、伸びることができない状態になりますと口を大きく開けることができなくなります。

 しかし、この職人さんの場合は「食事で噛んでも痛む」という症状ですから、単純に噛みしめや食いしばりの癖による問題だけではありません。
 「噛んで痛む」状況は、口の中の内側翼突筋がしっかり収縮できない状態になっていることが予想されます。グッと奥歯に力を入れて噛もうとしたときに筋肉が縮んでくれないので痛みを出してしまう状況です。

 何らかの原因によって、下顎が通常より上に引き上げられた状態になっているので、内側翼突筋がたるんでしまい上手く収縮できない状況になっている可能性が考えられます。
 そして、頭の尖りが原因の一つになっている可能性が疑われます。

 例えば、頭皮も含めて頭部の筋肉や筋膜が収縮したままのこわばった状態になってしまいますと、下顎が上に引っ張り上げられた状況になります。
 この状況では顎を開く動作もしづらくなりますが、口の中の内側翼突筋は少したるんだ状態になってしまいます。筋肉はたるみますと収縮する動作に支障がでますので食事の際、奥歯で力強く噛み砕く動作ができなくなってしまう可能性が考えられます。
 そして、私はそのような状況になっている可能性が高いと考えて施術を始めました。

頭の尖りを修正して解決

 例えば考え事が多くて頭を使いすぎたりしますと、頭皮や頭部の筋膜がこわばって頭が硬くなり、頭重や頭痛を感じることがあります。ストレスの多い人もこの傾向があるかもしれません。
 しかし、この職人は肉体労働の人ですし、考え事で頭を使いすぎるタイプでもなさそうです。「最近、ストレスや悩み事などで頭をたくさん使ってますか?」とストレートに尋ねてみました。すると案の上、「そんなことはない」との返事でした。
 しかし、頭蓋骨はあきらかに中心(矢状縫合)方向に力が向かっていて尖っています。
 その原因はともかくとして、左右の頭頂骨に手をあてて、外側に少し開くような力を加えて縫合関節のストレッチを行いました。
 「詰まっている関節を開いて空気の通りを良くする」、そんなイメージの施術です。強い力を加えますと縫合関節が伸びてしまい別の問題を引き起こしますので、力加減は大切です。

 矢状縫合は長さが15㎝程度ですが、それを丁寧に少しずつ場所を変えながらストレッチしていきました。全部で20分くらいかかったかもしれません。
 施術を進めていますと次第に頭頂部の尖り具合が改善していきました。そしてブヨブヨして“たんこぶ”のような状態になっていたものも解消されていきました。

 その他に、噛みしめによる咬筋と側頭筋のこわばりへの施術、からだの歪みからくる下顎の変位を整える施術なども行いました。そして、顎関節の調子も良くなり、強く噛むこともできるようになりましたが、ポイントとなったのは頭部の尖り状態を改善したことでした。

季節による影響?

 上記の症例は一月前(一月下旬)のことですが、その後も頭の尖りによる影響で症状がでている人が何人か来店されました。
 そして注意深く観察しますと、頭が尖っているというほどではないですが、頭頂骨が矢状縫合に向かっている人が現在もけっこういらっしゃいます。

 花粉症が始まったこの時期は、鼻(鼻骨)の下がっている人がたくさんいます。そして、それは胸の状態と関連性があるのですが、鼻骨が下がったことで鼻腔粘膜の働きが悪くなり、花粉やその他の物質に対する処理能力が低下していることも要因の一つかもしれません。
 
 鼻骨が下がるのは季節的影響によるものだと私は考えているのですが、今回話題にしています頭の尖りも同様に季節的なものなのかもしれません。そして、両方とも胸(胸骨)に関係があるように私は感じています。胸は全身のセンサーであり、環境変化や心情変化の一々に反応するようです。胸が膨らんだり、扁平したり、内向きになって閉じるような状態になったり、高揚して大きく開いていたりと変化しますが、その影響で鼻骨が変化したり、頭頂部が変化したりする現象が現れるのではないかと考えています。

 もし、ご自分の頭頂部を触って「尖っているかも」と感じるようであれば、両手を頭頂部の頭頂骨にあてがい、矢状縫合を少し開くようなイメージでストレッチすると良いかもしれません。
 頭のモヤモヤが軽減したり、目尻から顎周りにかけてスッキリするかもしれません。ただし、強い力は使わないでください。気持ちよく、心地良くストレッチする感じで行ってください。

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 肩甲骨の下部から腰部の上までの、「背中の真ん中あたり」と表現される部分の張りや不快感や痛みは筋骨格系の不具合によるものと、体調に関係して内臓や循環の不調によるものがあります。

 この部分の不調を訴えられる人に対しては、施術方針を決定するまでに少し時間がかかる場合があります。
 何が症状を発しているかを見極めることが施術の第一段階になりますが、以下の3つを念頭にからだを観察して施術方針を決めることにしています。

  1. 脊柱起立筋や広背筋、肋間筋など筋骨格系
  2. 循環不良による静脈血やリンパの停滞‥‥むくみ
  3. 胃や腎臓など内臓器官の腫れや硬直など

 上記の3つの項目が単独で症状をもたらしている場合もありますが、2つが混ざっていることもあります。

(1)筋骨格系の不具合

・脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)の張りと痛み

 背中の最も深い層には骨盤から頭部にかけて、縦方向に連続的に繋がっている筋肉群があります。その筋肉群を専門的に脊柱起立筋群と呼んでいます。

 この筋肉群は背骨からの離れ方で3群に分けて考えることができます。
 背骨に最も近く、脊椎に付着している脊柱固有筋群(側線1)は背骨を安定させる働きをしています。
 そのすぐ外側には最長筋群とその流れの筋肉群があります(側線2)。これらの筋肉群は主に背骨の前後運動に関係します。
 そしてさらに外側には腸肋筋群とその流れの筋肉群があります(側線3)。肋骨を動かす働きをしますが、上半身を捻る動作に深く関係します。

 これら脊柱起立筋群は背骨と肋骨に付着していますので、猫背など姿勢が悪い状態が続いたり、あるいは背骨が曲がったりしますと変調してこわばったり、ゆるんだりします。

 背中で、縦方向に棒のような状態で硬くなった筋肉が感じられ、それが痛みを発するようであれば、それは脊柱起立筋群のこわばりによる痛みです。
 脊柱起立筋群は下半身ではふくらはぎの筋肉、上半身では頭部や手指の筋肉から連動関係で繋がっています。ですから症状が脊柱起立筋群の張りや痛みである場合は、姿勢のことも含めて、全身的に整えることが必要になっていきます。

・広背筋と肋間筋の張り

 広背筋は背中全体を覆うように存在している大きな筋肉です。その大きな筋肉が一つの束にまとまり腕に繋がっていますので、腕を動かすとき強い力を発揮することができます。

 そして、広背筋の出発点(起始)は骨盤(腸骨陵)、背骨、肋骨と広い範囲になっていますが、それ故に肋骨がグラグラした状態になるだけでも筋肉が変調するようになります。
 また、腕の使いすぎで背中が痛くなることがありますが、それは広背筋のこわばりによるものです。

 そして、ときどき肋骨がぐらぐらしている人が来店されます。肋骨がグラグラしている状況というのは普通の人にはわかりにくいと思いますが、胴体の骨格的締まりが乏しい状態で、本来肋骨はウエストラインに近づいて行くに従い幅が少しずつ狭くなっていくものなのですが、胸郭下部の方が拡がっているように見えるかもしれません。
 このような状態の人は、肋骨がぐらついていますので上半身を触った感触では柔らかく(不安定に)感じるのですが、本人の内的感覚では背中や脇の下あたりがこわばって動きが悪いと感じるかもしれません。
 肋骨のぐらつきは肋間筋と広背筋にこわばりをもたらします。



(2)循環不良によるむくみ

 「背中に鉄板が入っているように感じる」と訴える人が時々来店されます。あるいは「背中全体が重苦しい」と訴える人も時々来店されます。このような状態は、背中に水分(静脈血やリンパ液)が溜まっていて流れ出ていかない状況が考えられます。

 体液(血液とリンパ液)の循環は二つに大別できます。
 一つは心臓の力と血管(動脈)の搏動を主とした動脈血の循環です。「心疾患」「動脈硬化」など医療機関が専門にしている循環系です。
 もう一つは静脈血とリンパ液の循環です。こちらの循環系は心臓や血管の力というより、血管やリンパ管の周囲に存在している筋肉の働きが重要な要素になります。
 そして動脈は深層に、静脈は深層と浅層(皮静脈)にありますが、静脈系は深層と浅層が繋がっていたり(吻合)、何処かが詰まるなどしても別のルートを通って血液が心臓に戻れる構造になっています。

 静脈系の循環に注目しますと、全身的に見て、2ヶ所流れが滞りやすいところがあります。
 それは鎖骨と第1肋骨の隙間を通過している鎖骨下静脈の部分と、骨盤の前面にあります鼡径部の所です。(詳しくはこちらを参照してください)

 鎖骨下静脈は心臓の上から静脈血が心臓に還るルート(上大静脈)ですが、鼡径部の静脈(大腿静脈)は心臓の下から心臓に還るルート(下大静脈)です。
 例えば鎖骨と第1肋骨の関係が歪んでしまい鎖骨下静脈の流れが悪くなったとします。すると本来は鎖骨下静脈を通って心臓に還るはずだった腕の静脈血は、鎖骨下静脈が通行止めになっている状況なので、他のルートを通って心臓に還ろうとします。つまりそのルートははるばるお腹を下って伏在静脈~大腿静脈~下大静脈に合流しようとします。
 このような状況になりますと、鼡径部に静脈血が集中して渋滞状態になりますので、下半身の静脈の流れも悪くなり、下半身がむくむようになってしまいます。
 そして、このような状態は日常的にたくさん見ることができます。
 つまり下半身にむくみを感じている人の多くはこのような状況です。
 施術で鎖骨下静脈の流れを改善しますと、実際に足の方から流れが良くなりむくみが改善します。そしてしばらく施術を継続していますと上半身の流れが良くなりだし、手のむくみが取れ、頭の中がスッキリしはじめるという現象が起こります。

 さて、背中の停滞に話を戻しますが、背中側がむくんだような状態になるということは、同じように考えますと、お腹側の静脈やリンパの流れが悪くなっている可能性があることになります。
 あるいは鎖骨下静脈も鼡径部の流れも両方悪く、浅層の静脈血やリンパ液がほとんど心臓に還ることができない状況になっているのかもしれません。


 ですから、この状況を改善するための方法は、お腹側の筋肉や筋膜を整えて腹壁の浅層静脈の流れを良くすることと、鎖骨下静脈の流れを整えることと、鼡径部の流れを整えることの三つを行うことになります。

 背中に水分が停滞して、背中がカチカチになっているので揉みほぐしをたくさん行ったとしても、それはなかなか改善しません。水分の抜け道が塞がったままでは無理なのです。
 それよりも、上記の三つを行うことの方が、スマートに、スムーズに辛い状況を改善することができます。

(3)内臓の影響による背中の張りと痛み

・胃の不調における背中の張り

 だいぶ前になりますが、NHKの「ためしてガッテン」で、胃の不調についてのテーマでしたが、胃が腫れる様子をX線撮影した映像を見ました。そこには胃が腫れると背中側に膨れる様子が映し出されていました。
 「胃の裏側が苦しい」とか「痛い」と表現される人が時々いますが、それは正しく正確で、背中側に膨れた胃が背骨や肋骨を圧迫している症状です。
 ですから、場所的に「みぞおち」の裏側辺りの背中が硬くなって辛い状況では、「胃が不調で硬く腫れている」可能性が高いと思われます。
 そしてこのような状況が考えられるときの施術では、「胃の調子はいかがですか?」と必ず尋ねまして、ご本人がうなずかれるようでしたら、胃に着目した施術を行うようにしています。

 胃の不調に対して私が持っている対処法は二つです。一つは呼吸を整えることで、もう一つは胃の反射区やツボを利用することです。

 胃は横隔膜のすぐ下にあります。ですから横隔膜の状況は胃の状態に影響を及ぼすと考えられます。息を吸ったときに横隔膜が下がり胃を上から圧迫しますが、同時に胸郭が拡がりますので、胃は横に拡がることができます。そして息を吐く段階では、横隔膜が上がって腹部が拡がりますので、胃は圧迫から解放され、本来の状況に戻ることができます。
 横隔膜と胸郭の動きが正常であれば、呼吸の度に胃は圧迫されながら横に拡がったり、本来の状況に戻ったりと適度な運動を行うことができますので、快適な状態を保つことができるのではないかと思います。
 もし、横隔膜が上手く収縮することができなかったり、胸郭が拡がることができなかったりしますと胃の運動は不適切な状態になってしまうと考えられます。あるいは息を吸ったままの状態で吐くことが上手くできなければ、横隔膜はゆるむことができずに胃は圧迫を受け続ける状況になってしまいます。
 これらによって胃の消化能力が落ちてしまうことは十分に考えられますし、それによって不調を感じるようになることは十分に考えられることです。
 ですから、胃の不調を改善しようとするならば、先ずは呼吸状態を整えて横隔膜と胸郭の運動を正常な状態に保つことが必要なことだと私は考えます。

 その上で、それでも胃の不調や背中の硬さが取れない場合は、手と足にあります胃の反射区に対する刺激を行います。
 場合によってはさらに足三里や中?(ちゅうかん)といった東洋医学のツボ(経穴)を刺激することもあります。

 胃の不調は背中の苦しさだけでなく、時に非常に重苦しい肩こりをもたらすことがあります。原因もよく解らないのに、急に肩こりが強くなって非常に辛い状況になる場合がありますが、胃の不調と関連している場合があります。
 そんな場合も含めて、呼吸を整えることと、反射区やツボに対する刺激を適切に行うことで、病的状態ではない限り、大概の胃の不調は改善します。

・腎臓の腫れによる背中の辛さ

 胃の不調による背中の張りは、鳩尾(みぞおち)の裏側あたりになりますが、その下の胸郭下部から腰部にかけての部分の辛さは腎臓の膨らみによる可能性があります。

 腎臓が膨らんで硬くなり、それが肋骨や後腹壁を圧迫して痛みをだしたり辛さを感じるようになるのですが、場所的に腰痛と間違ってしまうかもしれません。
 「腎臓が膨らむ(あるいは腫れる)」と申しますと、病気を疑ってしまうかもしれませんが、私たちのからだは疲労が強くなると腎臓が膨らむ傾向にあるのかもしれません。
 また、腎臓は東洋医学によりますと耳と深い関係にありますので、耳の状態が悪くなりますと腎臓が膨らむ傾向もあります。そして反対に腎臓の状態が悪くなりますと耳に不調や不具合が起こる可能性も考えられます。
 実際の施術経験上、私は耳と腎臓の関連性は明らかに存在すると知りましたし、耳鳴り、難聴、中耳炎など耳の不調に対しては必ず腎臓の状態を整えるようにしています。

 さて、腎臓の膨らみを改善するための施術では、胸郭を整えること、耳のある側頭骨を含めた頭蓋骨を整えること、そして腎臓の反射区を刺激することを行います。
 腎臓の反射区では手のひらの反射区と足裏の反射区を利用しますが、足裏の反射区の方が効果が高いような印象を持っています。

 「腎臓の不調」と言いますと「むくみ」が連想されます。心臓や肝臓もむくみに関係する臓器ですが、私は「むくみ」と聞きますと、血液循環と腎臓をまず思い浮かべて考えるようになっています。
 私が行う整体の施術では、特別な理由がない限り先ずベッドにうつ伏せ(伏臥位)になっていただいた状態から施術を始めます。そして最初は全身を軽く擦ったり揺らしながら大まかな状態を把握してくのですが、背中の状態を見るときには胃と腎臓の場所に注目します。
 程度の差は様々ですが、腎臓が膨らんで肋骨を圧迫している人はたくさんいます。みなさん、お疲れなのですね。

 ところで、もう何年も隔週で来店されている人が「右足が着けないほどに右脇腹~腰~太股~ふくらはぎにかけて強烈に痛む!」と言って来店されました。私が少し脇腹に触れますと、それだけ「痛い!」と嫌がりました。
 「触ることもできないのに、どうやって施術しようか?」と少し悩んだのですが、なんとかベッドに寝ていただき、慎重に施術を始めていきました。
 そして解ったことは、結局のところ右側の腎臓の腫れが問題を引き起こしていたことでした。その状態がかなり悪かったために、放散痛が右半身全体に及んでいたのです。
 全身的に骨格を整え、その上で20分近く右足裏の腎臓反射区に集中して施術を行いました。
 足裏もカチカチに硬くなっていて、腎臓の反射区は足裏の深いところにあるのですが、私の指がなかなかそこまで届かない状態でした。私も負けずに頑張って指圧をつづけていましたが、さすがに、私の指もほとんど力が入らないほどに疲れ切ってしまいまして、これ以上手指ので施術はできない旨を話して、足つぼ用の棒を使って反射区に対する施術を続けていきました。
 20分くらい施術を続けていましたら、ようやく足裏の反射区に変化が現れ始め、同時にカチカチに膨らんでいた腎臓周辺も柔らかくなり始めました。そして、それからは浮き袋から次第に空気が抜けていくような感じで柔らかさが戻ってきました。もう触っても痛がりませんし、少し強めに圧迫しても痛がらない状態になりました。
 その後、座っていただいて上半身を捻ったり、立って歩いたりしていただきましたが、痛みは感じない状態になっていました。
 私自身、そうとうに体力を使った施術でしたし、受け手のご本人も施術の途中からは反射区への刺激がかなり痛かったと思いますが、耐えていただいた甲斐あって、状態はすっかり良くなりました。
 念のために、翌週に来店していただきましたが、その間も状態は良好だったということでした。

 私自身、長い施術経験の中でも、腎臓の膨らみでここまで痛みを感じる状況に対峙したのは初めてでした。そして腎臓の膨らみだけで、脇腹~ふくらはぎまで痛くなり、足が着けなくなることを知りました。


 以上、今回は背中の真ん中から下部にかけての張りや痛みについて取り上げてきました。
 なかなか背中の張りや痛み、重苦しさが取れないと感じている人にとって、参考になれば幸いです。

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 肩こりを訴える人の中には「肩甲骨の内側も張って痛い」という人もいます。
 今回は肩甲骨を中心とした背中の上部の張りと痛みについて説明させていただきます。

 “張り”とか“痛み”というのは、ほとんどの場合、筋肉の緊張やこわばりによる症状です。
 そして、緊張やこわばりにが生じる理由は大きく二つに分けることができます。

 一つは、筋肉を酷使するなど筋線維を収縮し続けていたり、たくさん収縮する状況を続けてしまった結果、筋肉がこわばって縮んだ状態になっている場合です。
 つい顔や首や肩に力が入ってしまうような人、あるいはからだの何処かに力を入れることでからだを支えているような人は、顔や首や肩や上背部の筋肉を収縮させ続けている可能性があります。
 このような場合、筋肉は縮む方向に働いていますので、引き伸ばされると痛みを発するようになります。
 例えばストレッチ運動などで気持ちよく筋肉が伸びているうちは心地良いのですが、限界まで伸ばした後、さらに伸ばそうとしますと痛みを感じます。それは、それ以上筋肉は伸ばされたくないので拒否反応を起こし、伸びる方向ではなく縮む方向に働き方を変えたからです。
 それ以上伸ばされると筋線維を傷める危険性があるので、筋肉の自己防御反応として反射的に筋線維は収縮して伸ばす力に対抗しますし、「これ以上は危険だよ」というサインとして痛みを発します。

 二つ目は、筋肉が繋がっている骨と骨の間隔が本来の在り方より拡がってしまった場合です。
 筋肉は骨と別の骨を繋いで、自身を収縮したり伸張したりすることで骨を動かします。
 そして、からだの動作とは骨格の動き、骨の動きのことですから、筋肉が働くことによって骨が動き、動作が行われるという理屈になります。
 例えば、からだの動作が行われていない状態、つまりからだがリラックスしている時、二つの骨を繋いでいる筋肉の適正な張り具合によって骨格の位置は決まります。そして、この状態が骨と骨の本来の在り方であるとしたとき、何か理由で骨と骨の間が離れますと、間をつないでいる筋肉は骨に引っ張られる状況になりますので、緊張状態になります。
 これが筋肉の緊張であり、こわばり状態です。

 私は、この骨格の歪みと筋肉の変調の関係を説明するときに、電柱と電線の関係を引き合いに出してイメージしていただいています。骨と骨の間が拡がると筋肉はこわばり、反対に骨と骨の間が狭くなりますと筋肉はたるんで収縮力を発揮できない、ゆるんだ状態になります。

 仮に、左右の肩甲骨の間が本来よりも拡がったとしますと、背骨と肩甲骨を繋いでいる筋肉(小菱形筋と大菱形筋と僧帽筋)は緊張してこわばります。そして、この筋肉のこわばりが痛みや不快感や違和感を発するようになります。

 以上の二つが、筋肉が張ったりこわばったりする大きな理由ですが、肩甲骨周辺の痛みや不快感では、二つ目の骨と骨の関係が歪んでしまったことが原因になっている場合が多く見受けられます。

肩甲骨内側の張りと痛み

 肩甲骨周辺の上背部で、多くの人が不快感や痛みを訴える場所は肩甲骨と背骨の間です。
 痛みや不快感のほとんどは筋肉の変調がもたらす深部感覚ですが、この部位の表層には僧帽筋(そうぼうきん)があり、その深部に二つの菱形筋(りょうけいきん)=小菱形筋(しょうりょうけいきん)と大菱形筋(だいりょうけいきん)があり、更に深部に上後鋸筋(じょうこうきょきん)があります。

 そして実際のところ、肩甲骨内側の不快感と痛みの場合は小菱形筋と大菱形筋のこわばりによるものが最も多いと言えます。
 この二つの筋肉の最大の特徴は、背骨と肩甲骨内縁を繋いで肩甲骨の動きに深く関係することですから、肩甲骨の歪みによって筋肉はすぐに変調を起こします。
 ですから、「肩甲骨内側が痛い・張っている・気持ち悪い」という訴えに対しては、まず小菱形筋と大菱形筋の状態を確認することから施術を始めることになります。
 そして次に、二つの菱形筋に変調をもたらす原因として肩甲骨と背骨の在り方を確認するようになりますが、肩甲骨と背骨の間を拡げる要因として、まず前鋸筋(ぜんきょきん)を確認することになります。




前鋸筋のこわばりによる肩甲骨間の拡がり

 肩甲骨を外(腕の方)にずらす筋肉の代表は前鋸筋(ぜんきょきん)です。
 日常動作で前鋸筋がもっとも働く状況は、腕を伸ばした状態から更に腕を伸ばすようなときです。手を伸ばして物を取るとか、物を遠くに置くようなときに、腕を伸ばし肩を前に出して動作を行いますが、このように肩を前や外に突き出すときに前鋸筋が働きます。
 ボクササイズという人気のトレーニングがありますが、ストレートパンチを打つ動作は前鋸筋を力強く使いますので、それによる弊害もあります。トレーニングの後は、しっかりと前鋸筋のストレッチをして、肩甲骨の位置を本来のところに戻すようにしていただきたいと思っています。

 そして、肘を浮かせた状態で腕を前方に保持する動作の時も前鋸筋は作動します。つまりパソコン業務です。
 パソコン業務を行う時、肘を下ろした状態でキーボードを叩いているのであれば前鋸筋は働きませんが、肘を浮かせますと、その状態を保つために前鋸筋は緊張状態になります。

 また、パソコン操作に限らず、肘を浮かせた状態を保つ姿勢は前鋸筋が収縮する可能性が高まります。
 脇が開いて、肘を張った姿勢で文字を書いたり、物を持ったり、箸を使ったりすることでも前鋸筋はこわばります。

 ですから、実際のところ多くの人の前鋸筋はこわばっています。そして、そのこわばり状態が悪化しますと、肩甲骨を大きく外側や前方に歪ませることになります。肩が前に出て猫背のようになっている人は大抵このような状態です。



前鋸筋のこわばり以外の理由で肩甲骨と背骨の間が拡がる理由

 専門的な言葉ですが、肩甲骨のことを別の呼び方として上肢帯(じょうしたい)と呼ぶことがあります。その意味は腕(=上肢)を体幹(=胴体)に繋げる帯の役割をしている骨格ということです。つまり肩甲骨は腕と胴体を結び付けて動作を円滑に行うための骨格であるということです。
 ですから、肩甲骨の位置を考えるとき、背骨(体幹)と肩甲骨の関係だけでなく、腕と肩甲骨の関係も考える必要があります。
 腕と肩甲骨を繋いでいる筋肉には三角筋(さんかくきん)があります。また、上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)や上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)、烏口腕筋(うこうわんきん)も腕と肩甲骨を繋いでいますので、それらの筋肉のどれかがこわばった状態になりますと、肩甲骨を腕の方に引っ張ってしまう可能性も出てきます。
 そうなりますと、肩甲骨は腕の方に引っ張られ外側に歪みますので、背骨との間が拡がり、小菱形筋、大菱形筋がこわばる可能性も出てきます。

 そしてここでは省略しますが、上記以外にも肩甲骨が外側に歪んでしまうからだの仕組み(構造的原理)はあります。

菱形筋のこわばりが発する不快感や痛みへの対応

 上述しましたが、背骨と肩甲骨を繋いでいる菱形筋がこわばる理由の多くは肩甲骨が外側方向に歪んでいることですから、肩甲骨の位置を本来の状態に戻す作業が必要になります。
 そして肩甲骨が外側に歪んでいる理由の一番は前鋸筋のこわばりですが、脇の下や脇腹に直接手を当てて縮んでしまっている筋肉を伸ばすような施術が効果的です。但し、かなり痛みを伴います。

 また、筋連動の仕組みで前鋸筋がこわばっている場合もあります。
 手の親指の筋肉(短母指外転筋、長母指外転筋)の使いすぎ、例えばスマホゲームのやり過ぎなどで前鋸筋がこわばり肩甲骨が外側に歪んでしまうことがあります。その他、パソコン業務や親指と人差し指をたくさん使う作業で手首や肘の状態が歪み、それが前鋸筋のこわばりに繋がってしまうこともあります。

 足の方では、小趾側に重心がある人、O脚の人などは下半身の外側に負担が掛かり、外側の筋肉がこわばりますが、それが連動して前鋸筋がこわばってしまいます。
 ですから整体の施術としましては、手の使い方が変わるようにする、立った時の体重の乗り方が小趾側に偏らないようにする、なども行う必要があります。

 また、肩甲骨が歪んでいることで菱形筋がこわばる以外に、菱形筋自体がこわばっていて肩甲骨内側の不快感や運動制限を感じる場合があります。
 この場合は、肩甲骨が背骨の方に引きつけられますので、肩が後方に歪んでいる可能性があります。洋服を着たときに「肩のラインが合わず、しっくりしない」と感じるかもしれません。

 そして、前鋸筋がこわばって肩甲骨を外側に引っ張っている状況にプラスして、菱形筋自体がこわばって肩甲骨を背骨の方に引き寄せる力が働いているような場合は、最悪の状況に近く、じっとしているだけでも肩甲骨の内側にたまらない痛さを感じることになります。

 肩甲骨の内側のこわばりが強い場合、「肩甲骨の内側には手が届かないので、柱の角にこすりつけて辛さをごまかしている」などと仰る人がいますが、その場合は、前鋸筋と菱形筋の両方がこわばっている可能性が高いと考えられます。

 このような場合は、前鋸筋のこわばりを解消する施術に加えて、菱形筋のこわばりも解消する施術を行うことになります。

上後鋸筋が発する痛みと対策

 肩甲骨の内側には違いないのですが、表層(菱形筋や僧帽筋)ではなく、もっと深い部分が辛く、場合によっては常に締めつけられているような不快感を感じる状況があります。
 いくらマッサージしても解決することはなく、内臓系に問題があるのかと考えてしまう場合もありますが、それは上後鋸筋(じょうこうきょきん)のこわばりである可能性があります。
 上後鋸筋は菱形筋の下層にありますが、肩甲骨とは直接的な関係はありません。背骨と肋骨を繋いでいますので、胸郭の状態に関係します。

 胸郭は、背面の背骨(胸椎)と12本の肋骨と前面中央の胸骨で成り立っていますが、呼吸によって膨らんだり縮んだりしなければなりませんし、上半身の動きに合わせて柔軟に対応しなければなりませんので、骨盤や頭蓋骨とは違って自由度の高い骨格であると同時に、歪みやすい骨格でもあります。
 胸郭の状態を現す表現の一つに「鳩胸」があります。鳩胸と呼ばれる状態は胸郭の厚みが増している状態ですが、それは息を吸ったままの状態であると考えることができます。あるいは息を吐き出すことのできない状態であるとも言えます。

 上後鋸筋は背骨と肋骨を繋いでいますので、背骨から肋骨が離れてしまうような力が掛かっていたり、肋骨が離れているような状況になりますと変調してこわばります。
 そしてこのような状態が多く見受けられるのは、腹側の大胸筋がこわばっていて肋骨を胸骨の方に引っ張っていたり、胸骨の状態がおかしくてやはり肋骨を腹側に引っ張っている場合などです。
 あるいは、外肋間筋が強くこわばっていて、鳩胸のように胸郭が膨らんでいる場合もあります。
 つまり、胸側(前面)に力が偏って硬くなっていたり、縮こまっていたりしている時に上後鋸筋がこわばって、上背部を締めつけるような辛さを感じることが多いと言えます。

 ですから実際の施術では、一応背面から肩こりを揉みほぐすように上後鋸筋にアプローチしますが、それでらちがあかなければ前面の胸周辺を施術することになります。そして大概は、胸をゆるめることでリラックスしますと上後鋸筋のこわばりも解消します。
 上後鋸筋は背面の辛さですが、揉みほぐしや施術を行う場所は胸周辺になることが多いと言えます。

肩甲骨の表面に痛みや不快感を感じる場合

 肩甲骨の背面には、腕に繋がる幾つかの筋肉がありますが、その中で棘下筋(きょくかきん)がこわばって不快感や運動制限を感じる場合があります。

 棘下筋は肩関節を安定させて腕を外側に捻る働きをしますが、この筋肉自体がおかしくなることはあまりなく、腕や首や背筋や下半身の筋肉の影響を受けておかしくなる場合がほとんどです。
 ですから、棘下筋の変調を改善して肩甲骨背面の不快感を解消するためには全身を観察して対処する必要があります。
 棘下筋が張っているからといって、そこを揉みほぐしても痛いばかりで効果を期待することはできないと思います。

 また、同じ肩甲骨背面には棘上筋(きょくじょうきん)がありますが、よほど凝っていたり変調していない限り、この筋肉を辛いと感じたり、不快感を感じることはないと思います。
 しかし、肩こりの芯になる可能性のある筋肉でもあります。私は個人的見解として、人生の重荷は棘上筋が背負っているのはないかと感じています。
 指圧でゆるめることがこの筋肉に対する施術になりますが、指圧で指が深く入るに従って痛みが増しますが、同時に何かから解放されるような感覚も感じると思います。


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