ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

カテゴリ: 筋・筋膜・骨

 いつも背中の張りや不快感を訴える人がいます。胃の調子も悪く、呼吸も中途半端な感じで、息苦しさを感じやすいと訴えます。
 肋骨(胸郭)に関係する筋肉(肋間筋、大胸筋、上後鋸筋)や背中の筋肉(脊柱起立筋群、広背筋)がこわばった状態で、息を吸いたくても胸が思うように開いてくれないような状態です。
 施術を行ってこれらの筋肉をゆるめますと、胃の調子や呼吸も改善し、ご本人は楽な状態になります。しかし何日かすると、また背中が辛くなり、呼吸も中途半端な状態に戻ってしまっていました。

 「どうしてなのかなぁ?」と熟考していたところ、「もしかしたらお腹の筋肉が使えないので、背中側の筋肉だけで頑張って生きているのかもしれない」という思いが浮かんできました。
 そして、お腹の筋肉が使えるようにからだを調整しますと、背中の辛さが和らぎ、呼吸も楽になった状態が長持ちするようになりました。

 今回は、お腹に力が入らない、つまり腹筋が上手く使えないために背中に大きな負担が掛かってしまい、からだに不調を感じてしまう話題です。


腹筋が働けない状態とは?

 椅子に座った状態(できれば足を浮かした状態)で、上半身を前傾していきます。30°程度曲げた状態で保持したときに、どこに力を入れて上半身を支えているかを観察します。
 この時、腰部や背中(背骨)の筋肉を主に使ってしまい、しばらくそのままの状態を保ったときに腰や背中が辛くなるようであれば、それは腹筋を働かすことが上手くできない状態です。そして、このような人は、意外に多いです。
 腹筋が使える人は、真っ直ぐ座った状態から上半身を前傾していくときに、背中ではなく下腹に力を入れながら上半身を支えています。このような状態であれば、腰部は辛さを観じることもありません。

 私たちは日々の暮らしの中でたくさん上半身を前傾させています。立った状態から座る時にも、座った状態から立ち上がる時にも上半身を前傾させて頭を沈めるようにしなければ動作をスムーズに行うことはできません。もし上半身を前傾することができなければ、ドスンと尻餅をつくように座らなければなりませんし、ギックリ腰のときに椅子から立ち上がるように背中をまっすぐにしたまま立ち上がらなければなりません。
 物を拾うとき、座りながら会釈をするとき、掃除機を掛けるとき‥‥、中腰になったり上半身を屈んだりする動作は日常生活の中でとても多いのですが、もし腹筋が働けない状態であれば、背骨を支えるために背筋や腰筋のみで頑張らなければなりません。
 そして、このような人は常に背筋に力が入っている状態ですから、腰部はこわばり、背中は常に張っている状態になってしまいます。

腹筋が弱いことと、腹筋が働けないことは違う

 「腹筋が働けない」状態を改善するためには「どうすれば良いのか?」ということに関して、多くの人は「腹筋を鍛える必要がある」と考えかもしれません。それは素直で純粋な考え方です。しかし、正解ではありません。
 腹筋が「弱い」のであれば、鍛えて強くする必要があります。ところが「筋肉が働けない」ことと「筋力が弱い」ことは観点が違いますので、同じカテゴリーで考えることはできません。(但し「筋力が弱すぎて働けない」という状態は存在します)
 筋肉が働けない状態を解決するための正解は「働ける状態にする」ことです。
 そして、そのためのキーワードは「重心移動」です。

働く筋肉の受け渡しと重心移動

 私は学問的専門家ではありません。ですから、言い方が正解かどうかはわかりませんが、「すべての運動の秘訣は重心移動に他ならない」と考えています。

 先ほど例として挙げました、座った状態で上半身を前傾していく運動を例にして説明してみます。

 骨盤の坐骨に重心があって真っ直ぐに座った状態のときに、背骨がしっかりと骨盤に乗っている状態ですと、腹筋にも背筋にも大して負荷は掛かっていません。骨盤が骨と骨の関係で上半身を受け止めています(骨盤に背骨が乗っている状態)ので、周りの筋肉はリラックスできます。ただし、坐骨に荷重がかかっていますので、長時間その状態を維持しますとお尻が痛くなります。ですから椅子に座っている場合は、背もたれに寄りかかるなどしてお尻(坐骨)の負担を軽減するようになります。
 この時、重心は坐骨から後に移動して骨盤を少し倒す姿勢になりますが、腰部や殿部の筋肉に負担が掛かるようになります。するとお尻や腰が疲れを感じますので、普通は倒れた骨盤を立てて、再び坐骨で座るようになります。私たちには無意識にこのような動作を繰り返し、重心の掛かる場所を少しずつ移動しながら、一箇所に負担が掛かり続けないようにしています。

 ところで、坐骨に掛かっていた重心を後方に移動して、お尻と腰で座る状態にしたとき、腰とお尻の筋肉、つまり背面の筋肉に負担が掛かるようになりました。すなわち、重心の後方移動によって背面の筋肉が作動した(作動させられた)状態になったわけです。
 これを同じ理屈で前面に当てはめて考えてみます。座った状態で上半身を前傾させるときに重心を坐骨から前方に移動させて恥骨に掛かるようにしますと、恥骨や鼡径部に繋がっています腹筋が作動するようになります。つまり、重心が前方に移動したことによって腹筋が働くようになったわけです。
 以上をまとめますと、私たちのからだは、骨盤を後方に倒して重心を後方に移動したときに背面の筋肉(腰部や殿部)の筋肉で頑張るようになり、重心を前方に移動(骨盤を前傾)したときに腹筋で頑張るようになる仕組みになっているということです。
 ですから、重心の移動によって頑張る(主体となって収縮する)筋肉が変わっていくということでありまして、バケツリレーのように働く筋肉がスムーズに受け渡されていく姿がそこにはあります。
 この仕組みによって筋肉はスイッチのオンとオフのように、頑張ったり、休んだりを繰り返すことができますので、疲労の蓄積が緩和できるようになっています。
 いつも重心が後方に固定されている人は、背筋や腰筋ばかりを使い、腹筋はほとんど使われない状態になりますので、背中や腰が辛くなりやすいと言えます。


重心移動がスムーズになるためには

 私たちのからだにはポイントとなる関節があります。そして、これらの大切な関節は関連性があります。
 以下のどの関節も重要ですが、立位で土台となる足関節(足首)とその要である距骨(きょこつ)の在り方は、「扇の要」のような役割を担っているのかもしれません。
 整体業の仕事として、膝関節を整えたり、骨盤や股関節を整えたり、肩関節や頚椎を整えたりすることが多いのですが、足関節における距骨、足のアーチなどを整えることはとても重要だと実感しています。

環椎後頭関節
 頭部と頚部との境には環椎後頭関節(かんついこうとうかんせつ)がありますが、頚椎の頭蓋骨がスッと乗っておさまっている状態が理想です。しかし実際には、首が前に出ている人が多いので、首と頭部を繋いでいる筋肉はいつも緊張状態になってしまいます。これが首・肩のコリや張りの主な原因だと考えられます。

第7頚椎と第1胸椎の関節
 首を胴体に繋ぐ所には第7頚椎と第1胸椎の関節があります。
 頚椎はゆるやかに前弯していますが、胸椎は反対にゆるやかに後弯しています。この接点である第1胸椎の関節面にバランス良く頚椎が乗っている状態が理想です。バランスが良ければ、第1胸椎が受ける頭部と頚部の重さはほとんど負担になりませんので、頚部と胴体を繋いでいる筋肉はリラックスできます。そしていつでも自由自在に首や頭を動かすことができるようになります。

腰仙関節
 背骨と骨盤の境には第5腰椎と仙骨を繋いでいる腰仙関節があります。立位の時、この腰仙関節には頭部・頚部を含めて上半身の重みがすべて乗っかるようになります。 背骨全体の状態が良く、骨盤もしっかりした状態であれば、苦もなく腰仙関節は上半身の重みを受け止めることができるようになっています。座った状態でも同様です。
 この腰仙関節が安定した状態の時には、重心移動は容易にできますので、今回話題になっています「お腹に力が入らない」という状況にはなりません。

膝関節
 膝関節は立ったり、しゃがんだり、中腰になったりと、下半身の運動においてとても大切な働きを担っていますし、非常に負荷が掛かるところでもあります。
 膝関節が不安定な状態ですと、普通に力を抜いて立っていることが難しくなります。立ち続けていますと膝が痛くなる場合もありますが、足首や股関節、腰、背中に痛みが現れることもあります。ですから、膝関節を安定させるためにも、大腿骨が脛骨の上にしっかりと乗っておさまっている状態を保つことが大切です。しかしながら、膝関節が歪んでいる人は多いです。

足関節
 足首(足関節)は全身の重みを受け、さらに足が地面から受ける諸々に刺激や負担に対応するために重要な働きを担っています。
 足首を挫いて捻挫状態になりますと、立っていることが辛くなりますし、歩行などで地面からやってくる刺激や圧力に耐えられなくなってしまいます。
 ですから、足関節は非常に重要です。頭と首の関係、首と胴体の関係、上半身と骨盤の関係、これらが正しく膝関節が安定していたとしても、足関節が歪んで機能不全の状態になっていますと、私たちは満足な立ち仕事ができなくなってしまいます。

 そして、これまで何度も説明してきましたが、足関節において距骨(きょこつ)は非常に重要です。距骨が正しい状態にありますと、前にも後にも、左にも右にも、重心の移動がいとも簡単に行えるようになります。距骨が捻れていたり、倒れていたりしますと、安定した立位を保つことができませんし、重心移動に手間取ってしまいますので、運動における「筋肉の受け渡し」がスムーズに行えません。ですから、からだに不調や不具合を生じたり、「運動が苦手」という状況になったりしてしまうでしょう。

参照: 距骨(きょこつ)‥‥足関節の安定と歩行と重心移動


 帝王切開やお腹を手術した経験のある人は、腹筋の働きが今一つしっかりしていない状態になっている可能性があります。
 ですから、そのような人達は尚更「スムーズな重心移動」が大切です。腹筋の働きが今一つの状態は、自ずと重心の前方移動を避ける傾向になっていると考えられます。それによって手術前と術後では体型やからだの使い方が変わってしまい、いろいろな不調を感じるようになってしまうかもしれません。
 そのように感じている人は、是非、足関節や膝関節を整えて、骨盤を良い状態にし、重心移動がスムーズに行えるからだを目指していただきたいと思います。そうすれば、最初は弱いながらも腹筋が使えるようになり、やがて腹筋が鍛えられて、手術の傷を補いながら普通の人のような状態になれるのではないかと思います。
 1年先、3年先、5年先の自分の在り方を改善するためには、「お腹に力が入る」ことは重要だと考えています。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
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(過去に投稿した記事を修正加筆したものです)

 踵(かかと)が痛くなる足底筋膜炎という症状があります。歩くと踵が痛くなったり、ひどい場合には軽く触れるだけでも痛みを感じますので、立ったり歩くことができなくなったりします。
 整形外科を受診しますと足底筋膜炎と診断されたり、あるいは踵の骨に棘ができて筋肉や筋膜を刺激するので痛みを発すると診断される場合もあります。その他には踵骨後部やアキレス腱皮下、踵骨下の滑液包炎などという診断もあります。
 しかし、診断はされても即効性のある有効な治療手段はないようで、「そのうち良くなる」みたいな感じで痛み止めと湿布薬で診察が終わってしまうようにも聞きます。

 地面に踵を着けたり、何かで踵を刺激しない限り、寝ている状態では痛みを感じないのであれば、それは筋肉や筋膜の問題であると考えることができます。



ふくらはぎの筋肉と踵の痛み

 さて、刺激を受けると痛みをだすということは、筋肉や筋膜がこわばっていると考えるのが原則です。
 足裏の皮膚の直下には足底筋膜があります。そしてその下には、小趾外転筋、短趾屈筋、母趾外転筋があります。これらの中のどれかが強くこわばっているので圧力や刺激を受けると痛みを出すと、まず考えてみます。
 筋肉や筋膜がこわばるということは、“縮んでいる”あるいは“縮みたがっている”ということですから、伸ばされたくない状態になっています。この状態の時に体重が掛かったり、刺激や圧力を受けますと、筋・筋膜は強制的に伸ばされる状況になりますので拒否反応として痛みを発します。

 踵の問題は足底(足裏)の筋肉や筋膜との関係もありますが、ふくらはぎの筋肉がこわばっていることによってもたらされている場合が多くあります。
 足底筋膜の中央部と短趾屈筋はふくらはぎの外側の筋肉(腓腹筋外側頭)と関連性があります。腓腹筋外側頭のこわばる理由はいくつかありますが、骨盤や膝関節の問題による影響を受けている場合もあります。踵の痛みを同時に膝関節の内側も時々痛むといった場合は、膝関節の歪みが原因になっている可能性が高いと思います。

足の骨格の歪みと踵の痛み

 「アキレス腱」と呼ばれています踵骨腱は腓腹筋(外側頭と内側頭)とヒラメ筋が足首近くで一緒になって踵の後側につながっていますので、教科書的に考えますと、ふくらはぎの裏側のほぼ中央を通って踵骨の中央部に付着しているのがバランスの良い状態です。

 ところが、腓腹筋の外側頭と内側頭のバランスが悪かったり、足の骨格が歪んでいて踵骨が内側か外側のどちらかに偏っていたりしますと、アキレス腱の付着部も偏った状態になります。
 アキレス腱の付着部が偏って歪んだ状態になりますと、それに合わせるように足底筋膜や短趾屈筋が変調状態になりますので、炎症を起こしやすい状態になってしまうと考えることができます。つまり、かかと重心でいつも踵に余計な荷重掛かっていたり、履き物が合わなくて踵に負担が掛かったりしますと、炎症を起こしてしまう可能性が高くなります。

 実際、足の骨格は踵骨だけでなく、距骨と脛骨や腓骨の関係も含めて歪んでいる人が多いのですが、踵の炎症によって痛みを発している人に対しては、足の骨格を整え、アキレス腱付着部の偏りを除去することは有効です。

血行不良と踵の痛み

 私は症状の原因を「老化現象」や「加齢による影響」と結論づけることにとても抵抗感を感じています。病院に罹ると、医師が「歳だから‥‥」とすぐに言い出すと、高齢者の人はよく訴えますが、確かに、失礼な話だと思います。
 しかしながら一方で、老化現象や加齢による影響は確かに存在します。その一つが寝ている間の血行不良です。
 朝、起きがけ、ベッドから降りようと床に足を着けたときに踵が痛み、何歩かあるいていると痛みが消える、というのであれば、血行不良が第1の原因だと考えることができます。
 筋肉が正常に働くための必要条件の中に、血流と温度があります。血流が不足していますと、筋肉はうまく伸びることができなくなりますので、踵を着けたときに足底筋膜や足底の筋肉、あるいはふくらはぎの筋肉やアキレス腱が痛みを発することは考えられることです。体温が足りなくても同じ事が言えます。
 このような場合は、何歩か歩くなどして、運動による血液循環が開始されますと自然と痛みは消失します。あるいは、高齢者などで寝ている間に熱をつくり出すことができない人は、起床後1時間ほどしますと、筋肉が正常に働き出しますので痛みが消失すると思います。

炎症が酷くなったら整形外科に

 筋肉だけでなく、私たちの体組織は炎症に弱いものです。風邪をはじめとする内臓系の炎症は発熱と機能低下を招きますが、筋骨格系の炎症は発熱に加え痛みも伴います。
 炎症に対しての対処は、まず冷やして、そして安静にすることです。ですから湿布薬は有効です。そして炎症が治まるまで安静にして刺激を与えないことが望ましいのですが、立つだけで踵は地面からの刺激と体重による圧力を受けますので、安静状態を保持することができません。
 立ち仕事をしないで済むことができる環境であるならば、それほど炎症は酷くなりませんので、上記に挙げたように筋肉や筋膜を整えたり、足の骨格を調整することで、症状は改善に向かうと思います。
 しかしながら、立ったり、歩いたりしなければ仕事にならないというのであれば、刺激や圧力を受け続けることになりますので炎症が悪化する可能性が高まります。

 運動が大変好きな人が踵の炎症による強い痛みの状態になりました。私は施術者として、筋肉を整え、骨格を整えることで対応していました。すると施術後は症状が少し緩和します。本当はそのまま安静を保っていただきたいのですが、仕事もありますし歩行しないわけにはいきません。それでも2~3度施術を行いますと、症状も大分緩和し、歩行ではそれほど痛みを観じない状態になりました。ところが運動が好きなその人はランニングを行ってしまいました。すると、その後、強い痛み襲われると伴に炎症がかなり悪化してしまいました。
 もうまともに歩行もできない状態になってしまいましたので、その人は整形外科を受診して痛み止めの注射を行いました。その後炎症は速やかに治まり、普通に暮らせるようになりました。
 その状態は私も確認しました。踵にあった筋肉のこわばり状態も良くなっていて炎症の腫れもだいぶ治まっていました。「注射ってすごいなぁ」と内心思いました。
 ところが、その人はその後テニスをしてしまい再び炎症状態になってしまいました。そして、その後二回、痛み止め注射を行いました。そして今は「もう大丈夫」という状態になってます。

 踵の炎症に対して、整形外科では「踵骨の棘が筋膜を刺激して炎症をおこしている」という見解が多いようです。これに対しては私は懐疑的です。なぜなら棘があっても大丈夫な人はたくさんいるからです。
 しかしながら「踵」という立つと刺激を受け続ける場所ですから、炎症を緩和するための注射は有効だと思います。この人のようにランニングやテニスなどをすることがなければ一度の注射で済んだのだと思いますが、そうであれば、それはとても良いことだと思います。

 今回のテーマである「踵の痛み」に関しては、炎症を取り除く意味で整形外科を受診されることは良いことだと思います。ただし、血行不良による痛みの場合は、炎症とは違いますので、効果は期待できないと思います。

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(過去に投稿した記事を修正加筆したものです)

「顔を下げる筋肉」シリーズの今回は大腿四頭筋の中の大腿直筋とその連動筋である腹直筋について説明させていただきます。
 大腿直筋は太股前面の表層にあって大腿四頭筋の中で一番触りやすい筋肉です。大腿四頭は四つの頭(起始)を持ち、それが膝関節のところで一つにまとまり、膝小僧(膝蓋骨)を越えてスネの骨(脛骨)に付着(停止)している筋肉ですが、他の3つの筋肉(内側広筋、外側広筋、中間広筋)が太股の骨から始まるのに対して、大腿直筋は骨盤から始まっているのが特徴の一つです。その構造から膝関節を伸ばす働きをするだけでなく、膝を骨盤の方へ引き寄せる、つまり腿上げをする働きもします。
 そして、膝から下の部分では長母趾屈筋という、歩行時に足の親指(母趾)の先端を曲げて踏ん張り、地面を蹴る動作を行う筋肉に連動します。
 また、腹部・胸部では、多くの人が「これが腹筋だ!」と思っている腹直筋に連動し、大胸筋に連動します。

 立った時に、ふくらはぎの裏側に突っ張り感や重みを感じたり、長く歩くとふくらはぎの裏や外側がつらくなってしまう人は“かかと重心”の傾向にありますが、特徴の一つとして“足の指先が曲がっている”ことがあります。この原因の一つは立った時に重心がかかとに掛かってしまうため、そのままでは後に倒れそうになってしまいますので、「指先を曲げてこらえる」反応が無意識に行われることです。ですから足趾(足指)の先端を曲げる筋肉が常に作動しているような状態になりますので、それらの筋肉がこわばった状態になります。そして、足趾の先端を曲げる筋肉はふくらはぎの裏側にあります(長母指屈筋と長趾屈筋)ので、ふくらはぎの裏側が辛くなります。
 かかと重心ではなく、足底に均等に重心が掛かっている人は立ったときに体重の負荷が指先の方に抜けていくような状態(重みの負担を逃がしている)になりますので、足趾はまっすぐな状態になります。このような人は指先を曲げた状態で立ち続けることはできません。

 さて、母趾の指先が曲がっているということは長母趾屈筋が収縮しっぱなしのこわばった状態にあるということですが、そうなりますと大腿直筋、腹直筋、大胸筋も連動してこわばります。

 腹直筋は恥骨とその周辺(恥骨上肢)から始まり、胸郭の前面に付着していますので、腹直筋がこわばりますと胸郭が下方向に引っ張られます。
 以前に取り上げました”内側広筋のこわばり”は腹直筋のセンターラインに影響を及ぼして胸骨を下方に引っ張りますが、大腿直筋と連動する腹直筋の部分はその外側になりますので、胸骨よりも肋骨を下方に引っ張った状態になります。そしてその引っ張りは首前面の斜め横あたりの筋膜に及び、その流れは口角~頬~目の周辺へと繋がります。ですから右側の大腿直筋がこわばっている人のは、右胸が下がり、右の口角~右頬~右目~右眉といったところが左側に比べて下がった状態になります。そして、左目に比べて右目を開くことに引っ掛かり感や重さを感じ、“心地良くない”と感じるかもしれません。

小指球のこわばりは腹直筋のこわばりにつながる

 手を酷使している人‥‥例えば私の仕事もそうですが‥‥、そのような人は掌の母指球や小指球が硬くこわばっています。
 母指球や小指球が強くこわばっている人の特徴として、指圧しても硬くて奥まで圧がなかなか届きませんので、指圧や揉みほぐしの最初の段階では痛みを感じません。ですからご自分の母指球や小指球がこわばっているとは感じません。ところが、圧し続け、揉みほぐしを続けていますと少しずつ奥に圧が届くようになり、痛みを感じ始めます。そして更に圧を加え続けていきますと、痛みが強くなり、もだえるほどになるかもしれません。

 さて、小指球のこわばりは尺側手根屈筋と呼ばれる小指側ラインの筋肉に連動し、その先は上腕二頭筋(短頭)、大胸筋のこわばりへと連動します。つまり、手を酷使している人は腹直筋~大腿直筋~長母趾屈筋のこわばりを招くという理屈になります。そしてこのような人は実際、大変多いです。
 そのような人に対して、「手のこわばりが原因で、腹筋がこわばり、胸が下がって顔も下がっています」と説明することがありますが、原理は上記の通りです。

腹直筋がこわばる理由

 上記では、かかと重心などの理由で足の指先が曲がっている人(長母指屈筋のこわばっている人)や手の使いすぎで小指球が強くこわばっている人は、筋肉連動のしくみから、腹直筋もこわばり、胸郭を下げ、喉を下げ、顔を下げてしまう、という内容を説明しました。
 これ以外にも腹直筋がこわばってしまい顔が下がってしまう状況があります。

①お腹の冷え
 「冷えは筋肉の働きを悪くする」という説明たくさんしてきました。今の若い人たちはそうではないかもしれませんが、少し前の時代「ヘソ出しルック」が流行っていた頃、「将来この人達は大丈夫かな?」と思っていました。
 湯船に浸かる習慣がない外国の人たちは、少々寒くても半袖で過ごしたりして、民族性としてきっと冷えに強いのだと思います。ところが昔から温泉が好きで、湯船に浸かることが日課のようになっている私たちは、「お腹を冷やしてはいけない」のです。お腹が冷えますと、酵素の働きが低下しますので内臓の働きが弱まります。そしてお腹の筋肉である腹筋も働きが弱まりますが、すると姿勢を保つことができなくなってしまいます。それでは困りますので、腹筋は自らを硬くこわばらせて頑張るようになります。その硬くこわばった部分がみぞおちの辺りになれば、胃や大腸(横行結腸)を圧迫したり呼吸運動を邪魔するようになりますので、慢性的な胃の不調や便秘、息苦しさを感じるようになるかもしれません。
 また想像していただきたいのですが、例えば冬場、布団で寝ていたとします。寒い明け方は気温が一番下がる時間帯ですので、からだから熱が逃げないように横を向いて背中を丸め、お腹をカバーするようになると思います。「大の字」で眠り続けることはできないと思います。つまり、冷えると、私たちは無意識にお腹を冷やさないような姿勢をとるのです。そしてその姿勢は背中を丸め、腹筋を縮める(こわばらせる)姿勢ですが、この自然な行いは私たちだけでなく犬や猫など哺乳動物の本能のようなものだと思います。(反対に夏場はお腹を出して冷やそうとする)
 ですから、「冷えると腹筋はこわばる」という現象が自然に起こると考えることができます。

②鼡径部が下がっている
 太股の付け根には鼡径部があります。場所的に骨盤の一部とも言えますし、股関節の一部とも言えるかもしれませんが、恥骨も含めて、腹筋群の出発点になっている点で重要です。また内臓との関係でも大切な役割をしています。

 下腹部から骨盤にかけて小腸がありますが、鼡径部は小腸が骨盤からはみ出さないように防ぐ働きをしています。さらに体幹から下肢に繋がる動脈、静脈、リンパ管は鼡径部の中を通っていますので、鼡径部の状態が悪くなりますと、血行不良やむくみの問題が起こってきます。

 さて、鼡径部の下がっている人がいます。便秘、下痢、胃腸の調子が悪い、お腹が張る、お尻が落ち着かない、そんな症状を感じているようでしたら、鼡径部が下がっているかもしれません。
 お腹が冷えていなくても、鼡径部が下がっていますと腹筋は緊張状態になりますのでこわばってしまいます。ついどちらかの下腹部に手がいってしまう人は鼡径部が下がっていてお腹(内腹斜筋)が張っているのかもしれません。鼡径部を手で引っ張り上げるとなんとなく安堵感を感じるのであれば、それは間違いありません。
 鼡径部が下がった状態は、顔を引き下げてしまうだけでなく、「なんとなくしっくりこない」という骨盤周りの不安定さにつながり、お腹の不快感や違和感をもたらす可能性があります。

 鼡径部が下がってしまう理由の一つとして、外腹斜筋あるいは内腹斜筋の働きが悪くなって伸びた状態になっていることが考えられます。あるいは恥骨に付着している内転筋がこわばった状態になって恥骨を下方に引っ張り下がってしまう状況も考えられます。また、「出っ尻出っ腹」の体型で骨盤が極端に前傾している場合も考えられます。これらによって腹筋がこわばり、顔を引き下げている状況はしばしば目にします。
 しかしながら、「お腹の調子も悪い」「なんだか落ち着かない」いったことが重なった場合は、足の小趾側の縦アーチが崩れている可能性があります。

 「悪い足」の一例である扁平足は母指側のアーチが崩れた状態ですが、小指側にもアーチがあります。その他に横アーチの崩れによる開張足や甲高の問題もありますが、小趾側の縦アーチの崩れた状態はあまり問題として取り上げられません。しかし、鼡径部の状態、舌の状態と密接な関係があるようです。

 足の小趾アーチにつきましては
足の小趾側アーチと上昇する力」を参照してください。



 今回は「顔を引き下げる筋肉」というテーマで腹直筋及びその関連を取り上げました。実際のところ、ほとんどの人の顔は下がっています。テレビに映る芸能人の方々も顔の下がっている人がたくさんいます。「施術して顔を上げてあげたいなぁ」といつも思ってしまいます。本来は、みなさんもっと顔が上がっていて、目も赤ちゃんのようにパッチリ開くはずなのです。
 

足つぼ・整体 ゆめとわ
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(過去に投稿した記事を修正加筆したものです)

 私が毎日数人の人達を観察していますが、顔の下がっている人は大変多いです。と、申しますか、程度の差こそあれ、ほとんどの人の顔は下がっています。地球に重力があって、その中で生活している以上、それは仕方のないことでもあります。
 しかし健康面において不調や不具合がでる程、あるいは美容的に問題を感じる程、顔が下がってしまうのは改善したいところです。

 「顔が下がる」というのは、その人の本来の状態に比べて頭蓋骨の顔面部が歪んで下がっているということです。加齢によって顔の皮膚や筋肉がたるんで顔が下がったように見えてしまう場合もありますが、ここでは顔の骨格が下がっていることを中心に説明させていただきます。

 「頭蓋骨が歪んで下がってしまうなど有り得ない!」と思われている人は多いと思いますが、しかし、実際そのようなことは普通に起こっています。
 そして、顔の骨格を下げてしまう理由はいくつもありますが、大きく二つに分けますと、頭蓋骨の関節(縫合)や顔面・頭部の筋肉の問題が原因になっている場合と、顔面頭部以外の原因で顔の骨格が下がっている場合があります。

 今回は、顔面・頭部以外の原因で顔が下がってしまうことについての話になりますが、太股の筋肉が問題になる場合について取り上げます。
 太股の前面には膝を伸ばす働きをする大腿四頭筋(だいたいしとうきん)があります。筋肉についてある程度知識のある人は「大腿四頭筋」という名前はご存じだと思います。
 この大腿四頭筋は、四つの頭(起始=筋肉のはじまり)を持つ筋肉で、膝のところで合流して一つの停止(筋肉のおわり)となりますので、このような名前になっています。つまり、元々は4つの別々の筋肉であったのですが、そのことが施術の実際ではとても重要です。
 からだの基本的な仕組みとして全身の筋肉(骨格筋)は必ず他の筋肉と連動して働きます。大腿四頭筋の四つの筋肉はそれぞれ連動する筋肉が違いますので、「筋トレ」では大腿四頭筋を一つの筋肉として扱うかもしれませんが、整体的には別々の筋肉として扱う必要があります。

 大腿四頭筋の中の一つに内側広筋(ないそくこうきん)があります。大腿骨の内側に沿って位置し、太股の中程~膝にかけての内側面に筋腹が感じられますが、内股の人はこの筋肉が硬くこわばっています。(こわばる≒いつも収縮している状態)

 さて「内側広筋がこわばると顔の中央が下がる」という現象が起きます。
 顔が下がってしまう、あるいは顔を下げてしまう原因は幾つもありますが、内側広筋が強くこわばりますと、腹直筋の中央ライン部がこわばりますので、みぞおちや胸骨を下に引っ張り、喉の中央ライン、オトガイ(下顎の先端)、鼻筋といったところを引っ張ります。
 大きく息を吸い込むと胸や肩が上がって顔の方に迫ってきますが、なんとなく胸郭の中央部や喉の上がり方が悪いと感じたり、制限されているように感じる時は、内側広筋のこわばりが原因している可能性が高いと考えられます。

内股=内側広筋のこわばり

 たくさんの人を見てきた経験から申し上げますと、内股の人は内側広筋が強くこわばっています。そして内股の人の内側広筋をゆるめるために施術するポイントを探していきますと、ほとんどの場合、母趾の内側にたどり着きます。
 例えば、着物を着て草履で歩くときは、普通に歩くように膝を上げて足を大きく前に出して歩くことはできません。ですから内股歩きかガニ股歩きになってしまいます。そういうこともあってか、昔の男性にはガニ股の人が多く、女性には内股の人が多いという印象があります。実際、着物の女性は内股歩きがスマートであり、着物を着て大股で歩くのは不格好に見えます。
 その、チョンチョンとした内股歩きでは足の向きが「ハの字」になるわけですが、すると地面を蹴るところが足底の内側になりますが、一番力を使う部分は母趾第一関節の内側になります。ですから、その部分が強くこわばって硬くなります。皮膚が厚くなってマメができている人も結構います。

 この部分のこわばりはスネ(脛骨)の前面、少し内側の筋膜に緊張をもたらし内側広筋にこわばりをもたらします。そして恥骨から胸骨に向かう腹部のセンターラインにこわばりをつくり、胸骨上の筋膜~首前面のセンターライン、喉仏(後頭隆起)~オトガイにつながる筋筋膜を収縮状態(こわばり)にします。
 この一連のこわばりライン上には胃(みぞおち)がありますので、慢性的に胃の調子は冴えることなく、胸骨も下がっていますので胸が少し窮屈で、息を大きく吸う深呼吸をしても気持ち良いとは感じないと思います。鎖骨の形は「V字」で、首の前面から胸にかけての部分が広く感じられ上を向き続けることは辛く感じてしまうことでしょう。
 そしてオトガイ(下顎の先端)が下がっていることから、その延長線上にある人中(鼻の下)、鼻、眉間など顔のセンターラインも下がっています。
 オトガイは常に下方に引っ張られていますので、食事や会話など口を閉じる動作でそしゃく筋を通常以上に強く使わなければなりませんので、そしゃく筋もこわばり、噛みしめ癖の人と同じような症状(側頭部の頭痛、顎関節の不調など)を持ってしまう可能性も出てきます。
 また、内側広筋のこわばっている人の特徴として、太股が硬く棒のような感じで、膝関節の伸びが悪いというのがあります。長時間仰向けで寝ることは苦手に感じるのではないかと思います。

内股による内側広筋のこわばりは手強い

 内股のスタイルでなくても内側広筋がこわばっている人はいます。
 例えば、O脚の人の多くは膝から下(下腿)が外側にずれていますが、すると太股内側の筋肉には「外側に引っ張られる」という負荷がかかりますので、内側広筋を含む膝内側の筋肉はこわばってしまいます。あるいは太股(大腿骨)と膝下との関係がずれたり捻れたりしますと、やはり内側広筋は影響を受けこわばったりします。しかし、これらのこわばりはO脚状態を改善したり、膝関節の状態を改善すれば解消されてしまいます。
 ところが、長い年月内股状態で生活してきた人は、内側広筋や長内転筋、薄筋など太股内側の内転筋に力を入れて歩いていましたので、それらの筋肉自体が強くこわばってしまっています。
 40歳、50歳、60歳と、内股で生きてきた人たちに対して内転筋をゆるめる施術を行うのですが、形状記憶のようにしぶとくて、なかなかこわばり状態を解消することができません。何度も何度も同じような施術を繰り返さなければならないという現実があります。
 「使い方が変わらなければ、状態は良くならない」というのが整体的な原則です。つまり、形を整えたとしても使い方が以前と同じであれば、結局元の状態に戻ってしまうということです。ですから使い方が変わるように整えるのが整体師としての仕事ですし、内股の人に対しては、内股ではない歩き方や立ち方ができるようにすることが先ず大切なことです。そしてそのためには内側広筋の強いこわばりを解消することがキーポイントになりますが、それがなかなか手強いのです。

内側広筋のこわばりを解消するためのセルフケア

 原因の別に関わらず、内側広筋のこわばっている人のほとんどは母趾先の内側が非常にこわばっていて、奥がマメのようになっています。

 これを揉みほぐすことは有効です。母趾の第一関節付近から母趾先に向けて揉みほぐしたり指圧を加えたりします。この部分の表層は硬くなっていますので、なかなか奥まで圧が届きません。ですから最初のうちは痛みを感じることはないかもしれません。だからといって「特にこわばっているわけでもなさそう」と判断して、それで終わりにしては何の意味もありません。1分、2分、3分と揉みほぐしたり、奥の方へ圧を加えたりしているうちにだんだんと痛みを感じるようになり、やがて痛みが増して非常に痛く感じるようになります。ここからが本番です。
 その痛みに耐えながらも圧を加え続けていますと痛みが少し和らいだり、太股の内側が温かくなったり、あるいは反対に涼しく感じたり、伸びたように感じたりするような変化が現れると思います。そこまで行うことがポイントです。
 馴れないうちは、片方の母趾先だけで10分くらい掛かってしまうかもしれません。しかしやがて要領がわかるようになりますと3分で大丈夫になるかもしれません。
 このように母趾先のその部分がゆるみますと、それまで曲がっていた母趾がなんとなく伸びたように見えると思いますし、第一関節もゆるみますので、首や足首を回すように、母趾先を第一関節のところで回すことができるようになると思います。


 今回は、内側広筋のこわばりによって顔のセンターラインが下がってしまうことについて説明しました。顔だけでなく、胸のセンターラインが下がり、みぞおちが圧迫されて胃の調子も悪くなり、息を大きく吸うことができません(胸が上に上がりきらない)ので、呼吸も浅くなってしまうという状態を招いてしまう可能性があります。
 内股の人に限らずO脚の人も含めて内側広筋のこわばっている人は、スタイルのことだけでなく生理機能にも影響が及んでいることを知っていただければと思います。
 そして顔を下げてしまうからだの筋肉は、まだまだありますので、追々取り上げていきたいと考えています。

追記
 この記事の元原稿は2018年2月に書きました。今回の投稿で文章を少し修正しましたが、加えて2019年8月に投稿しました「恥骨と恥骨結節の大切さ」の中で、恥骨結節と内側広筋の関係について記しました。そちらも参考にされてください。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ http://yumetowa.com
web予約 http://yumetowa.com/sp/reserve2.html

 “足つぼ”、”足リフレ”の施術にはエステの施術に近い、あまり痛みを感じないものと、強い痛みを感じる施術があります。テレビ版組などで話題性のために取り上げられるのは、まるで罰ゲームのように強烈な痛みを感じる場面になりますが、実際、足裏や足の指(足趾)には強烈に痛みを感じるポイントがあります。
 今回は足裏で、とても強い痛みを感じる部分についての話題です。と申しましても足の反射区(足裏のツボ)についてではありません。
 普段はまったく気にならないけれど、実は非常に強くこわばっているポイントが足裏の深部にあります。そして、それによってふくらはぎや太股がおかしな状態になっていたり、骨盤が歪むなど体型に影響を及んでいることがあります。また、その影響が手先にまで及んで、ペンの握り方がおかしかったり、筆圧に問題があったり、箸が上手く使えなかったりという問題が生じている場合もあります。

足裏(足底)の一番深い場所

 足裏は地面と接触するばしょですから、とても強靱にできています。筋肉も三層あって、その表層に厚い筋膜(足底腱膜)がありますので、本来は裸足でも生活できるようになっているのだろうと思います。
 
 今回、取り上げますのは足底の最も深くにあります長腓骨筋腱(ちょうひこつきんけん)と前脛骨筋腱(ぜんけいこつきんけん)の関係と、その影響についてです。
 「腱」というのは筋肉が骨に繋がる部分のことですが、手と足の腱は細長くなっていて、人形劇で人形を動かす紐のような役割をしています。つまり、筋肉の本体(筋腹)が伸び縮みすることによって腱を動かしますが、それによって腱の繋がっている骨が動くという仕組みになっています。

 足底の最も深いところには、足趾の奥の骨(中足骨といいます)同士を結び付ける骨間筋(底側骨間筋と背側骨間筋)があります。主な働きは中足骨同士を結び付けることで足の骨格を安定させ、体重の重みなどに負けない足を保つことですが、もちろん足趾を動かす時にも働きます。そしてふくらはぎの長腓骨筋、前脛骨筋、後脛骨筋の腱があります。

 多くの人達に共通する実態としまして、これら前脛骨筋、後脛骨筋、長腓骨筋と、それらが連動している他の筋肉の変調が、からだの歪みや動作の不具合に繋がっているケースが多くあります。
 一例を簡単に紹介します。

 前脛骨筋は手の親指を曲げる短母指屈筋、長腓骨筋は親指を伸ばすときに使う短母指外転筋、後脛骨筋は親指を閉じる母指内転筋と深い関係にありますので、これらの筋肉が変調をおこしますと、手の親指の働きがおかしくなったり、手の形がおかしくなったりします。そして、ペンや箸の持ち方がおかしい、手や腕を使う時に脇が開いてしまう、腕立て伏せをすると肩に負担が掛かる、息を大きく吸うことができない、股関節で太股が外に出っ張ってしまう、いつも太股やふくらはぎの外側が張っている、O脚になりやすい、靴が外側(小趾側)ばかり減ってしまうなどの症状がもたらされる可能性があります。

長腓骨筋と前脛骨筋の関係

 ここで、とても多く見受けられるケースを例にだして説明させていただきます。
 私のところに来店される人達は、からだの何処かの調子が悪い状態です。そういうこともあってか、多くの人達が踵重心(踵に重心が乗っている)の状態です。ふくらはぎに張りを感じやすい、というのは踵重心の人の特徴でもありますが、O脚やその傾向にある人も踵重心です。

 踵に重心が乗っている人は、そのままでは不安定で後に倒れてしまいますので、下腹を前に出して、反り腰の状態にしてバランスを保つようになります。この状態では、足の指を曲げて「足趾で踏ん張る」立ち方になってしまいますが、それが足底の深い部分に影響をもたらすことになります。足趾を曲げて踏ん張る状態は、必然的に第1背側骨間筋や土踏まずのところに力が入ってしまうのです。
 ちなみに重心の位置が正しい人は、立っていても決して踏ん張る状態にはなりません。

 このような状況が常態化しますと、当然土踏まずの筋肉はこわばることになりますが、最も深いところにあります第1背側骨間筋や長腓骨筋腱の停止部(中足骨付着部)のこわばりは頑固なものになります。すると第一中足骨は内側に捻れた状態なりますが、それによって前脛骨筋腱が引っ張られ、前脛骨筋もこわばった状態になります。
 つまりふくらはぎの外側面にあります長腓骨筋と前脛骨筋の両方がこわばって張った状態になりますので、「常にふくらはぎの外側に張りを感じてうっとうしい」といった心境になってしまいます。
 この状態を解消するためには、第1背側骨間筋や頑固にこわばっている長腓骨筋腱の状態を改善しなければなりません。ですから私は、指圧やその他の手技で念入りにし施術を行うのですが、これがとても強い痛みを伴います。
 施術が痛いのは心苦しいのですが、「かなり痛いですけど‥‥」と前置きしながら、状態が良くなるまで施術を行っています。


 今回取り上げました“足底深部の強いこわばり”は、「雑草の根」に似た存在に喩えられます。つまり、雑草が邪魔だから草刈りをしたところで根が土中に残ったままですと、また同じようにすぐに雑草が生えてきてしまいます。しばらく、あるいは永遠に雑草とお別れしたいのであれば、「根こそぎ」除去しなければなりません。
 足底深部に「芯」のように存在するこわばりが残っていますと、一時的に状態が良くなったとしましても再び同じような症状が現れてしまいます。
 ですから、私はそのような気持ちで施術を行っています。しかし、それまでのからだの使い方の癖が改善されませんと「しばらくするとまた根付いてしまう」という状況になってしまいます。「
 ほとんどの人は、症状が軽くなりますと来店されなくなります。しかし、こんかいのような場合は、使い方の癖」が改善されるまで来店していただきたいと思っています。

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