ゆめとわのblog

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カテゴリ:体型 > 骨盤

 車や電車や飛行機などに長時間座り続けているとお尻の骨(坐骨付近)が次第にゴツゴツしだし辛くなったり痛くなったりする経験はどなたにでもあると思います。
 その原因は“お尻が疲れるから?”というのが一般的な見解だと思いますが、中には1~2分くらいしか座っていないのに坐骨付近が痛くなってしまう人がいます。ですから一概にお尻の疲労が原因であるとは言えません。今回はこのことについて考えてみたいと思います。

ハムストと坐骨の関係
 太ももの裏側の筋肉をハムストリング(略して“ハムスト”)と言います。ハムストリングは坐骨から始まって太ももの裏を通り膝下の裏側につながっている筋肉群です。
 
ハムスト「ゆ」で坐骨「こ」

 坐骨を起始としていますので、坐骨の状態に深く関係する筋肉です。筋肉の性質上、同じ筋肉の何処かに働きの悪い部分が生まれますと別の部分がこわばって硬くなるという仕組みがあります。例えばハムストリングの中間部分、ちょうど太ももの裏側、座面についているところにゆるんだ部分ができますと、起始部の坐骨に近いところにこわばりができてしまいます。筋肉はこわばると硬くなりますので、“坐骨が尖ってゴツゴツした感じ”というのが現れます。
 基本的に筋肉は同じ状態を長時間保つことが得意ではありません。特に伸ばされた状態で長時間耐えることは苦手です。椅子に座り続けるということはハムストリングが座面に接触し続けるわけですが、加えて太ももの重みがかかっていますので、筋肉・筋膜・皮膚からすると伸ばされ続けているのと同じです。時々立ったり歩いたりして筋肉を動かしてあげれば辛い状態はリセットされるのですが、それが叶わないと荷重に負けてしまいハムストリングに働きの悪い部分ができてしまいます。働きの悪い部分というのは、筋肉や筋膜の一部に“伸びきってしまったゴム”のような部分ができてしまった状況を連想していただくとよろしいかと思います。筋肉の中に縮むことができない部分が生まれてしまうのです。すると筋肉全体の働きが悪くなりますので、それを補うように同じ筋肉の別の部分にキュッと縮まって硬くなってしまうこわばりが生まれてしまいます。座り続けていると次第に坐骨部分が“妙にありありと感じられる”状況が生じるようになりますが、それはこのようにしてもたらされます。

 坐骨が痛くなる理由は他にもありますが、“座り続けていると痛くなる”といった場合はこのような仕組によるものが最も多いと思います。また、何らかの理由でハムストリングがゆるんでしまっている人は座ると間もなく坐骨が痛くなったり腰が痛くなったりしてしまいます。ハムストリングはスポーツで肉離れを起こしやすいところですが、肉離れを患っている人は座面に太ももをつけるだけでも耐えられなくなってしまうことでしょう。

 さて、映画館などで長時間座り続けていなければならないときに坐骨や腰が痛くなった場合などの対処法としては、太ももと座面の間に手を入れて温めたり擦ったりしてハムストリングのゆるみを改善するようにすることが良いと思います。お尻をモゾモゾ動かしたり、お尻の痛くなったところに手を当てたりするより効果的です。

ハムストリングがゆるんでしまう理由
 上記のように筋肉が何かに長時間接触していたり、荷重がかかり続けていたりしますと筋線維が伸びて収縮できない部分ができて働きが悪くなりますが、それ以外にも筋肉がゆるんで働きが悪くなってしまう理由はあります。
 一つは使いすぎによるものです。これは筋肉疲労のことであり、この場合は休養することによって機能を回復することができます。
 もう一つは血液循環不良によるものです。端的な例は“冷え”です。からだ全体が冷えたり、部分的に冷えたりしますと動脈の巡りが悪くなり、細胞に十分な酸素が届けられないため筋細胞の働きが悪くなって筋肉はゆるんだ状態になってしまいます。
 その他には神経の問題もあります。ハムストリングで言えば、坐骨神経がコントロールしている筋肉ですので、坐骨神経痛になりますと働きが悪くなります。
 また他の筋肉の影響によってゆるんでしまう場合もあります(これが一番多いかもしれません)。例えば腰や膝が悪くて歩いたり立ったりするときに下半身全体で踏ん張ることができないため、必要以上に足の指に力を入れて頑張らなければならない状況になりますと、足裏や足指の筋肉はカチカチにこわばったりします。その影響でハムストリングがゆるんでしまうというのはよくあることです。ふくらはぎはパツンパツンに張っているのに、お尻や太ももの裏はユルユル、といった状態です。高いヒールを履いている人、靴のサイズが合っていない人、かかと体重の人、歩き方の悪い人、背中の丸まった人、こういう人達の足指はこわばっていることが多いです。すると筋肉の連動関係、拮抗関係でハムストリングはゆるんでしまうのです。

筋肉は同じ状態を長く続けることが苦手
 今となってほとんど死語になりつつある“根性!”は、私の幼い頃、漫画「巨人の星」の時代にはごくごく一般的な言葉でした。姿勢を正しく保ち続けることができないのは忍耐力が足りないからだ、などと親に言われた記憶があります。今、この仕事についていろいろな方と接していますと、“耐えられる身体”と“耐えられない身体”という判別がつきますので、「今の状態では、それ(姿勢良く座り続けようとすることなど)は無理」などとしばしば思います。「精神論は精神論として、からだには無理。しごきになるばかりで余計にからだを悪くする」などとお客さんに言うこともあります。
 ところが現実の今の社会では、この“無理”を強いられている場面がけっこうあります。デパートなどの売り場で働いている人は、お客さんが居ても居なくても座ることは許されない、などと耳にします。接客が忙しくて動き回っているのであれば、からだは疲労しますが、筋肉は同じ状態をじっと耐え続けるといった状況にはなりませんので疲弊してゆるんでしまう可能性は少ないです。ところが暇で動くこともないのに座ることは許されず立ち続けていなければならないとなると、筋肉には無理を強いることになります。下半身の筋肉が徐々に働けない状態になるのに、それでも立ち続けていなければならないとなると、肩や背中に力を入れて頑張り続けるようになってしまいます。肩こりがきつくなったり、背中の張りに辛さを感じる原因の一つであると思います。
 また反対にPC作業などで一日中座り続けていなければならない、というのも筋肉には良くありません。姿勢が崩れていくのは当然のことだと思います。筋肉は、それ自身が伸びたり縮んだりするようにできています。つまり伸縮を繰り返すのが本来の在り方ですので、どちらか一方に偏るというのは間違っているということになります。
 職場環境改善を取りざたされている今日、整体的な観点で見れば企業側はこういうことにも配慮する必要があると思います。売り場の片隅、お客さんから見えないところにちょっとの時間座れる椅子を用意すことも職場環境の改善ではないでしょうか。
 座り続けることの多い仕事では、上司の方が積極的に声を掛けて時々立ったり歩いたりすることを促すことも大切なように思います。

 からだを壊してハムストリングのゆるみを改善するのに時間のかかる人もいます。このような人は座って動作をすることが苦手です。ハムストリングに荷重がかかると腕も上げられなくなったり、首を上げるのが辛くなったり、肩に力が入って呼吸が悪くなったりすることもあります。
 食卓に座って家族とゆっくり食事を楽しむことを嫌い、テーブルに肘をつかないと茶碗や箸を口元まで運べなかったり、息苦しいので食事をしながらしばしば溜め息をついたりしてしまうかもしれません。家族団らんの一時が、その人がいるために気まずい雰囲気になったりするかもしれません。しかし、それは忍耐力や性格など内面的なことに問題があるのではなく、単に“からだが耐えられない状態”なのかもしれません。

 今朝目にしたテレビショッピングでは、“座っても辛くならない座椅子”というものを紹介していました。坐骨結節が座面に当たらないように工夫されているもので、骨盤自体もサポートするものでした。確かに、それで坐骨は痛みを感じなくなるかもしれませんが、ハムストリングがゆるまないように工夫されたものではありませんので、必ず歪みは何処かに現れると思います。首や肩の凝りが増したり、背中が張ったりと、別な場所に不調が現れるのではないでしょうか。それならいっそのこと、15分くらい座り続けたら自動的にハムストリングをマッサージしてくれるような仕組みにしたものを作った方が効果的なのではないかと思いました。マッサージ器の適当な何かを代用して実験してみたいと思います。

 骨盤の歪みが原因で顕著に自覚できる症状は、腰部の張り、腰痛、下肢のしびれ(坐骨神経痛)、股関節の不調、殿部の痛みなど腰部と下半身に現れる不調です。しかし、それ以外にも頭痛、肩甲骨周辺の張りや痛み、お腹の張り、手の不具合など上半身にも影響が及ぶことがあります。また、骨盤の歪みが原因して太る、胃腸の調子が悪くなる、などということも指摘されています。
 ところで、多くの整体院では「脚の長さが左右で違うのは骨盤が歪んでいるから」ということで、脚の長さを揃えるために骨盤や背骨や股関節をグイッとやって骨盤を矯正するようですが、私はそのようなことをしたことがありません。それは一種のパフォーマンスにすぎないと思っているからです。
 私が整体を学んでいた学校でも、そのような手技を教えていましたが、先生は「ま、一時的な効果だけど‥‥」と言っていましたので、そんな手技は信用できませんでした。
 骨盤矯正も、その他の骨格矯正も、理屈をちゃんと理解した上で行わなければ本当の意味での“矯正”ではありません。そして骨格矯正は“バランス”が大きなキーワードになると考えています。骨盤に繋がっている多くの筋肉のバランス、からだに捻れをもたらせている筋膜のバランス、それらを整えてはじめて“骨盤矯正”の目的が達成されるのだと考えています。

骨盤で確認するポイント
 骨盤の構造のところで説明したとおり、骨盤の骨格は腸骨、恥骨、坐骨が一体となった一対の完骨と仙骨と尾骨でできています。“骨盤が歪む”ということは関節で骨と骨の関係がおかしくなるということですが、一番影響力が大きいのは完骨(腸骨)と仙骨の間にある仙腸関節です。この関節は外側も内側も強力なじん帯でガッチリかためられていますので、一昔前まで「仙腸関節は固定して動かない」という定説もあったようです。ところが実際は、仙腸関節が歪んでいることがとても多いです。

骨盤背面

①左右の腸骨と仙骨の関係
 骨盤上部を背側から見ますと仙骨の上部(専門用語では仙骨底といいます)を挟んで左右に腸骨があります。右利きの多くの人は、仙骨底が右側(時計回り)に少し傾いていて、左側の腸骨が後に傾き、右側の腸骨が外側前方に傾いている傾向にあります。そして左側股関節の伸びが悪いため、うつ伏せになったとき、左側のお尻が右側よ少し高くなっています。腰部も右側より左側がこわばっています。これは右手ばかりを使っていることと、右足に体重を乗せて立っていることが原因だと考えられます。からだには重心を掛けた方の筋肉が伸びるという原理がありますので、右足に体重をかけて立つ癖のある人は、右半身の筋肉がゆむみ、左半身の筋肉がこわばってしまいます。
 この歪みを修整する作業の第一段階は、腸骨を正しい位置に戻せば仙骨の歪みが改善されるのか、あるいは仙骨を正せば腸骨の歪みが改善されるのか、どちらであるかを把握することです。それによって調整しなければならない筋肉がまったく違ってくるからです。

②骨盤の捻れ
 スカートやジーンズなどを履くと、どうもどちらかの骨盤が前に出ているように感じるとか、動いているとスカートが回ってしまう、などというときは骨盤全体が捻れているからかもしれません。
 骨盤が捻れてしまうのは、①の腸骨と仙骨の関係に歪みがあることの他、上半身や下肢からの捻れが原因となっていることも考えられます。
 上半身の捻れが原因となっている場合、多く見られるのは胸郭の上部が利き腕の方に引っ張られ、その反動で胸郭の下部が反対方向に捻れを起こし、その捻れの流れによって骨盤が捻れてしまうことです。鎖骨も注意深く観察すると左右対称でなかったり、脇腹の肋骨を触った感じが左右で違うと感じるときは確実に上半身が捻れています。この捻れは、筋肉で云えば腹斜筋、腹横筋、前鋸筋、大胸筋などのバランスが悪いことでもたらされている可能性が高いです。
 下半身(下肢)からの影響で骨盤が捻れている場合は、原因として考えられることはたくさんあります。膝や足首の不調、O脚、外反母趾、内反小趾、足趾の捻れや曲がり‥‥、ともかくたくさんあります。
 このような場合、仰向けで寝たときに左右の脚の開き具合が股関節で違っていることが見受けられますが、骨盤の捻れを手動で直すと足の開き具合が少し改善するのか、あるいは脚の開き具合を手動で修正すると骨盤の捻れが少し改善するのかによって骨盤の捻れが下半身に影響しているのか、下半身の捻れが骨盤に影響しているのかを把握する目安になります。

③骨盤の開き
 「骨盤が開いている」とはよく使われる言葉ですが、正確には、骨盤の上部が開いているのか、下部が開いているのか、両方が開いているのか、ということを把握しなければなりません。
 女性の場合、出産のときに骨盤が開き、出産後時間をかけてゆっくりと元の状態に戻っていきますが、産後のケアが悪いと骨盤が開いたままの状態になっていることがあります。その場合は、上部も下部も開いた状態の場合が多く見受けられます。
 出産や生理時以外の通常の場合、骨盤は上部と下部がシーソーのように一方が開けば他方が閉じるという動き方をします。例えば、太りすぎや腹筋の働きが悪くなって骨盤の上部(上前腸骨棘=腰骨に手を開いて当てたときに人差し指が当たる部分)が開いてからだの真横近くに来ている場合、骨盤の下部が閉じて左右の坐骨の間が短くなっています。また反対に骨盤底部がゆるんだままで坐骨間が開いていますと、骨盤上部は狭くなって窮屈になってしまいます。
 良いスタイルとかダイエットとかを目指す場合は、大抵骨盤上部の開きを改善したいということになりますが、そのためには骨盤底部の筋肉のこわばりを改善しなければなりません。それをせずに骨盤上部をバンドやコルセットなどで締めつけたところで、それは骨盤の動きの道理に合っていませんので、効果を期待するのは難しいことになります。
 “骨盤の開き”は次に説明する“骨盤の傾き”と表裏一体の関係にありますので、「開きを直したいなら傾きを直さなければならない」ということになります。

④骨盤の傾き
 骨盤の傾きは骨盤矯正にとって非常に重要なポイントだと私は考えています。
 私たち日本人は諸外国の人たちに比べると骨盤が後ろに傾いている(後傾)傾向にあると云われています。その結果、お尻が下がって脚の長さも実際より短く見えてしまいます。また、若い頃に比べて歳を重ねていくとお尻がたれてくる傾向がありますが、それは骨盤の傾きが変わった影響による可能性が考えられます。
 骨盤は背面から見ますと、仙骨を挟むようにして左右の完骨が両側に配置され股関節で下肢とつながっています。そして骨盤の傾きでカギを握るのは仙骨です。仙骨が後に傾きますと、仕組みとして両側の完骨は下部が狭まり上部が開いて骨盤全体が後に傾きます。また両側の完骨の下部(坐骨部分)の間が狭まるか、上部が開きますと仙骨が下がるか後傾してしまい同様に骨盤全体が後に傾いてしまいます。
 仙骨は前傾しすぎても、出っ腹、出っ尻になってしまうのでよくありませんが、実際に前傾している人は太りすぎてお腹が大きく張り出している人ぐらいで、多くの場合、仙骨の後傾を修正するようになります。

仙骨の角度と脊椎の状態

・仙骨後傾の場合
 仙骨の状態は頭部の後頭骨、背骨の際にある脊柱起立筋(脊柱固有筋群)、下肢の内側の筋肉、そして腹直筋の状態によって決まります。

後頭骨と仙骨に影響を与える脊柱起立筋と下肢の筋肉

 頭部の後頭骨との関係で云えば、後頭骨が上がると仙骨は下がります。呼吸で息を吸うときは頭部が膨らむとともに後頭骨が上がりますが、その時仙骨は下に動きます。息を吐くときは反対に後頭骨が下がり、仙骨は上がります。
 いつも下を向き加減、あるいは背中を丸めて作業をしている時間が多い人は、仙骨~背中~首後面とつながって後頭部に達している脊柱起立筋が伸び気味になっていますので後頭骨が上にずれた状態になっています。つまり仙骨は下がった状態になっているということになります。

腹側から見た骨盤の歪み_1

 また、腹直筋は解剖学的には恥骨から始まり肋骨につながっている筋肉ですから、直接的には仙骨とは関係ないと考えられがちですが、現実には腹側の直筋は下顎~首の前面~胸骨~腹部、恥骨を越えて骨盤底~尾骨までつながっています。ですから腹直筋がこわばりますと尾骨を腹側に、つまり前下方に引っ張ることになります。そうなりますと尾骨とつながっている仙骨は後に傾いてしまうことになります。
 時々、喉の周辺から下顎にかけてとても硬くこわばっている人をみかけますが、それは舌筋などがこわばっているということです。このこわばりはそのまま腹直筋につながり、尾骨と仙骨を後傾させる原因となります。また、次に説明しますが、腹直筋のこわばりは恥骨を頭部の方へ引っ張りますので、骨盤全体が後傾する原因になります。
 
 原理について確定的なことは云えませんが、実際の現象として、下肢内側の筋肉の働きが悪くなりますと仙骨は下がってしまいます。足の母趾の内側から踵にかけて、ふくらはぎの内側(ヒラメ筋内側)、太もも裏側の内側(半膜様筋)、これらの筋肉がゆるんでいますと仙骨は下がってしまいます。

・完骨が後傾する場合
 完骨は腸骨(腰骨)と恥骨と坐骨の合体したものですので、骨盤の中で後面中央の仙骨・尾骨を除いたものです。
 腹側では恥骨が腹直筋とつながっていますので、腹直筋がこわばりますと恥骨が頭部の方に引きつけられ骨盤が後傾します。仰向けで寝たとき、恥骨部分が盛り上がっているように見える場合は、このような状態である可能性があります。あるいは、腹直筋が大丈夫でも外腹斜筋や内腹斜筋がこわばりますと、それらは腸骨の傾きに影響を与えますので、片方の骨盤が前傾して反対側が後傾するといった捻れを生じる可能性があります。
 また、内腹斜筋や腹横筋の働きが悪くなりますと骨盤上部は開いてしまいますので骨盤は後傾してしまいます。

腹側から見た骨盤の歪み_2

 骨盤は下部(骨盤底)が狭まると上部が開くとともに完骨自体が後傾する仕組みになっています。骨盤底(尾骨と恥骨と二つの坐骨の間)には幾つかの筋肉と強靱な筋膜がありますが、それらがこわばってしまうと骨盤底が狭くなります。また、加齢によって骨盤底は柔軟性を失う傾向がありますので、年齢とともに骨盤底が狭くなり骨盤が後傾するようになってしまいます。高齢者のお尻がすぼんで下がり、貧弱に見えてしまうのはこのためだと考えられます。また、若くても、いつも座ってばかりの作業をしていますと、やはり骨盤底はこわばってしまい骨盤が後傾してしまいます。

骨盤矯正の考え方
 骨盤はからだの中心ですから、からだ全体を考えたとき、中心である骨盤を整えることが、からだ全体を整える上での基礎となります。あらゆるところを整えたとしても骨盤が歪んでいれば、やはり歪みが残ってしまいます。慢性腰痛、慢性的な首・肩の張り、慢性的な足のだるさ、血行不良、冷え、‥‥あらゆる慢性的な不調は骨盤の歪みが関係している可能性があると思います。
 しかしながら――これが私たちのからだが部品を組み合わせたロボットと一番違う点ですが――中心である骨盤もまたからだの各部分との依存関係にあります。骨盤が歪めば手にも足にも歪みが現れますが、反対に手や足が歪んでも骨盤が歪んでしまうのが私たちのからだです。ロボットは手の調子が悪くなったとしても骨盤に相当する部分に影響を及ぼすことはありませんので、頭部がおかしくなったり、足がおかしくなったりすることはありません。不具合になった手の部品を修理したり交換すれば事足ります。しかし私たちのからだはすべて繋がっていますので、手がおかしくなると骨盤が影響を受け、その歪みによって頭痛になったり、歩き方がおかしくなったり、と骨盤の歪みによる影響が全身に現れます。ただ歪み方が一定の範囲内におさまっていて、なおかつ筋肉の働きに粘りと対応力があれば、歪みが不調として自覚される程にはならないというだけです。
 ですから骨盤矯正に際しては、骨盤だけに着目するのではなく、からだの各部位との関連性、特に普段たくさん使っている部位=手や足や顔との関連性の中で骨盤を修正するように考えることが正しい在り方だと思います。あるいは、お腹の冷えは直接骨盤に影響を与えますし、精神的緊張など心理面との関連性もあると思います。

 私は通常、腰痛などに対する施術では、はじめに足趾やふくらはぎを整えることからはじめます。そして骨盤底の筋肉を整え、下半身の筋肉状態がより正常に近づくようにして、その後で骨盤自体を改めて検査し、歪みの状態を確認した上で手や肩や頭部といった上半身への施術を行っていきます。ギックリ腰、肉離れ、筋肉を損傷したなど、明らかにケガと思われることが原因でないかぎり、骨盤を歪ませているのは他に原因があると考えているからです。
 脚の長さが左右で違っているのは確かに骨盤が歪んでいるからです。だからといって骨盤や股関節や背骨をグイッと矯正したところで、極めて一時的に脚の長さは整うかもしれませんが、骨盤に歪みをもたらせている原因を修正しなければすぐに元の状態に戻ってしまいます。イメージ的に、確かにグイッとやると整体っぽいかもしれません。私のようにじっくりやっていると整体っぽくないかもしれません。しかし、理屈を一つ一つ考えていくとこういう施術になるのだと思います。
 「ひとつながりの身体」というのが私の店の看板ですが、本当にからだは頭の天辺からつま先まで、ひとつながりに繋がっているのです。

 今回は骨盤の歪みの実際と骨盤矯正に対する考え方について記しました。次回は施術の実際について記します。

 時々、「この人、骨盤の位置がもっと上にあるはずなのに?」と思えることがあります。骨盤が後に傾くとお尻が下がってしまうのですが、そういう人はかなり多くいます。これは下半身を整えていくうちに自然と改善できますが、骨盤そのものが下がってしまっている場合はなかなか厄介です。
 このような人は、”かつてはもっとジーンズ姿が決まっていたのに”とか、”もっとウエストにくびれがあったのに”とか“だんだん脚が短くなってしまっているようだ”とか感じているかもしれません。
 さて、骨盤が下がるということを筋肉の働きという観点で考えてみます。
 お腹側では、肋骨(胸郭)と骨盤を結ぶ主な筋肉には腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋があります。これらの筋肉を整えることはそう難しくありません。これらの筋肉の働きが悪い場合は骨盤の前側が下がります。そしてこのような人もけっこういます。
 一方、背中側では脊柱起立筋群が首から骨盤までつながっていますが、これらの筋肉の働きが悪い場合は骨盤の後ろ側が下がります。このような人も多くいますが、この脊柱起立筋群を整えることもさほど難しいことではありません。
 骨盤全体が下がっている人の場合、上記に加え別の筋肉の働きも悪いということがわかってきました。一つは大腰筋であり、もう一つは腰方形筋です。
 大腰筋(ホームページでも紹介しています)は背骨の前面と股関節(大腿骨小転子)を結んでいますが、その働きは“もも上げ”をしたり、腰椎をしっかりさせ立位での姿勢を正しく保つことなどです。もも上げ運動や自転車こぎなどですぐに疲れてしまう人は大腰筋の働きが悪いのかもしれません。
 腰方形筋は肋骨の下部と骨盤(腸骨)を結んでいます。その働きは上体を横に曲げる(側屈)ことです。上体が動かない場合は、骨盤を引き上げますので、いわゆるモンローウォークなどのように歩行時に骨盤が左右に揺れる動きを生み出す筋肉と考えてもよいと思います。腰方形筋の働きが悪いと、歩き姿に若さが見受けられなくなってしまうと言っていいかもしれません。

大腰筋02
腰方形筋

 さて、骨盤全体が下がっている問題を解決するためには、大腰筋と腰方形筋の働きを良くする必要があると私は考えています。これらの筋肉はいわゆるインナーマッスルでありケガとか大きな衝撃とかがないかぎりそう直接的に傷めるところではないと考えられます。ですから多くの場合、別の筋肉が傷むか疲弊し、その影響(連動性)で働きが悪くなっていると思われます。実際の施術では、その筋肉を探し出し、それを修正するようにします。
 加齢にともなって歩き方に若さが失われているのであれば、日常生活での癖が原因であると考えられますし、捻挫や骨折や手術やスポーツなどで過去に体を酷使したことがあるならば、それらの中に原因がある可能性が考えられます。先日来店された方は、数年前に受けた顔への強い整体手技によって全身に不調が現れ、その中のひとつが”骨盤の位置が下がって短足になった”というものでした。またフラダンスは腰方形筋をたくさん使う踊りですが、踊り続けることによって筋肉が疲弊してしまうということも考えられます。

 “体型の変化”という視点では、骨盤周りの変化は大きなウエイトを占めます。
 “骨盤が拡がると太るといわれているので骨盤を締めてほしい”という要望が多いのですが、それだけでなく、骨盤の位置そのものの変化も注目していただければと思います。

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