ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

カテゴリ:体型 > 骨盤

 骨盤前面の中央には恥骨結合という頑丈な関節があります。

 この恥骨結合が硬直化しているのか、左右の恥骨間が狭くなっている女性がたくさんいます。
 恥骨および恥骨結合と鼡径部は股関節や骨盤前面の血液やリンパの“流れ”の要になる部分ですので、上半身と下半身の流通を快適に保つためにはとても大切です。
 そして、恥骨と恥骨結合は思いの外、重要な役割を果たしているようです。今回は、恥骨結合を中心にした話題です。

 例えば電車に乗って座った時、男性の多くは股間について殆ど意識しないと思います。隣の人に迷惑を掛けないように意識するかもしれませんが、膝の間が開かないようにと意識することはほとんどないと思います。
 ところが女性は、スカートを履いていることが多いせいなのか、無意識的に股間を締めて膝が開かないようにしているように察します。電車だけでなくオフィスでも、レストランなどでも同じかもしれませんが、このような行動は自然と太股の内側(内転筋群)に力を入れる体勢ですので、自ずと左右の恥骨間は狭くなり、恥骨結合が硬くなってしまう原因になると思われます。

恥骨結合と内側広筋

 太股前面には有名な大腿四頭筋(だいたいしとうきん)がありますが、その中の一つ、内側広筋(ないそくこうきん)が太く硬くなっている女性がたくさんいます。筋肉はこわばって常に収縮している状態になりますと硬く太くなりますので、膝の内側が太くて硬いと感じている人は内側広筋がこわばっている可能性が考えられます。

 そして太股の内側には大伏在静脈が通っていますので、内側広筋やその他の内転筋がこわばった状態になりますと膝関節での静脈血の流れもわるくなり、膝周りがむくんだ状態になりやすくなります。
 体型的には痩せているのに、膝周りがスッキリしなくて、太股の内側が太いと感じている人がいますが、その原因は内側広筋や内転筋群のこわばりによる可能性が高いと思われます。そして内股の人にこの傾向は強いかもしれません。

1)内股と内側広筋

 内股の人の最大の特徴は太股内側にあります内転筋群や内側広筋が強くこわばっていることです。そのこわばりは非常に頑固な状態、つまり形状記憶のような状態になっていますので、筋肉に変調のない普通の状態に戻すことに時間と労力がかかります。

 私は内股の人に対して「どうして内股になってしまったのだろう?」「どこを調整すれば内股状態が良くなっていくのだろうか?」と考えるときに、着物や浴衣を着た状態での動作をイメージして下半身各部の使い方を思い浮かべています。
 そうしますと、例えば歩くときには靴を履いて、大きな歩幅でさっそうと歩く姿は想像できません。小股で主に膝から下を使いながら、足はつま先側が狭くなった「ハの字」型で、小趾側を前に出しながらつま先から着地するような、ツンツンと突っ込むような歩き方が頭に浮かんできます。(音をたてない「忍び足」ができない歩き方です。)
 両膝は少し内側を向き合い、擦れるようにして膝を前に出すようになりますので、内側広筋がたくさん使われるようになります。それは内側広筋がこわばる理由の第一ですが、さらに、股(恥骨結節)を締めるようにして動きますので、左右の恥骨間は狭まった状態になります。骨盤も狭くなりますが、恥骨結節も硬くなります。そして、それが内側広筋のこわばりを頑固な状態にしているのではないかと考えています。

参照‥‥内股について

2)腰椎椎間板ヘルニアと内側広筋

 腰椎椎間板ヘルニアは坐骨神経痛を伴う腰部の疾患ですが、MRI診断などで発症部位は特定することができますが、その原因を探し出して(手術以外の)効果的な治療を行うことは難しいようです。
 「第4腰椎と第5腰椎の間が狭くなって、椎間板が潰された状態ではみ出し、神経を圧迫している」というのが一番多いのかもしれませんが、では、「どうしてその椎間が狭くなってしまったのか? どうすれば椎間が拡がるのか?」という問いには、医学はなかなか的確な答えを出してくれないようです。

 さて、私が知る限り、同じ椎間板ヘルニアでもいろいろなケースがありますが、今回のテーマに関連してのケースを紹介いたします。

 腰椎が軽く側弯状態になっていて、それが椎間板を扁平させる原因になっていることがあります。
 腰椎椎間板ヘルニアの症状の多くは坐骨神経痛です。
 坐骨神経は第4、第5腰椎と仙骨の椎間を通って骨盤の中に入り、そして殿部から再び表に現れて太股の裏を下方に降りていく太い神経ですが、この神経が圧迫されるなどの理由で異常な状態になりますとシビレ、痛み、筋肉の異様なこわばりなど坐骨神経痛の症状が現れます。

 腰椎を側弯状態にする原因としまして、腰部筋肉のこわばりがあります。骨盤と腰椎にに関係する筋肉としましては、脊柱起立筋群、腰方形筋、外腹斜筋、内腹斜筋、大腰筋などがあります。

 例えば右側の内腹斜筋がこわばります(常時収縮状態)と右側の胸郭と骨盤の間が左側に比べて狭くなります。
 (左側を下にして)横に寝転びながら左手で頭を支えてテレビや雑誌などを見る姿勢では背骨が「Cの字」型に歪みますが、右側の内腹斜筋がこわばりますと同じような状態になります。そうなりますと腰椎の椎間は右側が狭くなりますので、椎間板が圧迫されて右側にはみ出す可能性が生じます。そして、それが神経を圧迫して坐骨神経痛の症状が現れるという理屈が成り立ちます。
 食卓に普通に座っている間は何も感じないけれど、食後、畳に横になってテレビを見始めると脚が重くなったり、シビレを感じたりすることがあるという人は、このような原理で坐骨神経痛が発症している可能性が考えられます。

 腰椎が「Cの字」型に歪んでいる場合、その原因の多くは筋肉の問題ですから、右側の内腹斜筋、外腹斜筋、腰方形筋などを整えますと、腰椎が真っ直ぐになり、ヘルニア状態は改善されて症状は消失すると考えることができます。
 ところが、それらの筋肉を整えても腰椎の側弯が僅かに残ってしまう人がいました。そしてその原因を追及していったところ、なんとかたどり着いたのが内側広筋のこわばりであり、恥骨の変位でした。
 右側の恥骨が僅かに浮いた状態になっていたために内側広筋がこわばっていたのですが、そのこわばりが腰椎の際の筋肉(脊柱固有筋群)に連動して、第3~4腰椎の右側が左側に比べて硬くなっていました。その部分は狭い範囲でしたが、キュッなっていて、硬い側弯状態をもたらしていたのです。
 浮いていた右側の恥骨を整えることで内側広筋のこわばり状態が解消したのですが、同時に腰椎右側の硬いこわばりも取れて、腰椎に余裕が生まれました。
 結局、この人に対しては右側の内腹斜筋を整え、内側広筋を整えることをしましたが、それで例の左側を下にして横になり、背骨が「Cの字」になる姿勢をしてもらっても、右下肢に何の異常や違和感も現れない状態を実現することができました。
 あらためて恥骨の大切さを感じた次第です。

恥骨の損傷による影響

 現在30歳前後のOさんは、子供の頃はおてんばだったようで、たくさんのケガを経験しています。そのケガの中に恥骨に関係する出来事は2つありました。
 一つは子供の頃遊んでいて転び、地面に正面から恥骨を強打したことでした。
 もう一つは鉄棒遊びをしていて、股(恥骨の下方)に鉄棒を強く強打したことでした。
 Oさんは親からのDVなどもあり、その影響でいろいろな症状を抱えています。
 その症状の一つに、どうしても首肩顔に力が入ってしまい、反対に腹部や下腹部には力が入らないために、肉体面での「頑張りが効かない」というものがあります。そして、それは恥骨の一つ目のケガ、正面から打撲したことに関係がありました。
 恥骨をそっと触りながら観察していきますと、右側の恥骨に骨膜がゆるんでいる部分がありました。打撲によって骨膜が損傷したのだと思います。
 骨膜は骨を包む筋膜ですが、骨に栄養を与えたり情報を与えたりする役割も担っていますので骨の生育や在り方にとって重要です。骨折した場合、骨が元の状態にもどったとしても骨膜が損傷したままだったり、捻れていたり、皺が寄っているように感じられるままだったりする場合があります。 そのような状態では関係する筋肉は十分に力を発揮することができません。そして、その状態は自然治癒することなく何十年経ってもそのままになっていることが多々あります。強い捻挫などによる靱帯の損傷も同じような感じですが、痛みがなくなると「それで大丈夫」と考えられているようです。しかし、それでは不十分です。ですから、骨折や捻挫は、形だけでなく機能が正常に戻るまでしっかりと直す必要があります。

 話をOさんに戻しますが、その恥骨の骨膜が損傷していると思われる部分に手を当ててケアをしますと、顔から力が抜け、首肩の筋肉もゆるみ、だるさを感じて力が入りにくいと訴えていた手や腕にも力が入るようになりました。
 恥骨に関係する、例えば腹筋や骨盤底筋などの働きが良くなったために体幹がしっかりするようになったのだと思います。

 二つ目の恥骨下方の損傷につきましては、さすがに私は手をあてることはできませんので、Oさん本人に手を当てていたでき、私が言葉で指示しながらセルフケアをしていただきました。Oさんの右目は瞳が少し内に向いてしまう斜視だったのですが、恥骨のケアをしていただきますと、その斜視が改善されていきました。本人もビックリしていましたが、希望の光が灯った瞬間でした。
 このことについての原理は、まだ私にはわかりませんが、恥骨と恥骨結合の大切さを再認識した現象でした。
 

恥骨結合へのケア

 ガニ股の人を除いて、多くの人は恥骨結合が硬くて左右の恥骨間が狭まっていると思いますので、硬くなった恥骨結合をゆるめ、恥骨および骨盤をゆったりさせる目的のケアを紹介させていただきます。

 お臍に手をあてて、その手をゆっくり下方に降ろしていきますと恥骨の手前で骨の存在感を感じることができます。それが恥骨であり、右と左の対になっています。そしてその間に恥骨結節がありますが、ご自分でケアされるなら直接的に恥骨結節に手を当ててゆっくりそっと持続的な指圧を行うことで恥骨結節の硬さをゆるめることができます。あるいは、恥骨結節を直接触るのはなく、左右の恥骨に手をあてて、そっと、しかししっかりと両手を1㎜くらい拡げる感じで、縮んでいる恥骨結節を伸ばすようにゆるめてもよいかと思います。

 私が施術で行う時は、深く恥骨結節を触ることはしませんので、恥骨と恥骨結節の上辺に手をあてて行っています。
 どのくらいの時間、手を当てていればよいかということに関しましては個人差がありますので、それぞれ「適当な時間で」という答えになってしまいます。
 人によっては最初の2~3分間はほとんど変化を感じることもなく、その後次第に内側広筋や内転筋やふくらはぎの筋肉から力が抜けていくのが感じられ、さらにケアを続けていますと全身がゆるんで脚もほっそりし、お腹がゆるんで胃の調子も良くなったりすることもありました。

 セルフケアにとって大切なことは、心を静かにして集中(フォーカス)することです。私は実際、その部分の細胞に語りかけるような気持ち、細胞の言葉に耳を傾けるような集中力で施術を行っていますが、“手当て”とはそういうものだと思います。
 ですから、テレビやスマホを見ながらだったり、何か別の考え事をしながらだったりでは、セルフケアの効果はまったく望めないと思います。願望みたいな邪心があっても効果は薄いと思います。
 最初は、なかなか効果が実感できないかもしれませんが、自分のからだを心の底からいたわる気持ちで毎日粘り強く行っていただければ、コツがつかめると思いますし、必ずやからだから何らかの反応が返ってくると思います。

 また、例えば出産後のケアが不適切だったりして、恥骨結合や仙腸関節がゆるんだまま戻らず、骨盤が不安定になって様々な症状が現れてしまっている人もいらっしゃると思います。この場合は、「ゆるめるケア」ではなく、「締めるケア」「機能を回復させるケア」が必要です。
 本当に軽い力で恥骨結節にソーッと手を当ててじっくりエネルギーを注入するようなイメージでケアを行うようにしてください。ケアが上手くいきますと、ズーンと重苦しさを感じたり、からだの別の部分が反応したりする状態が訪れるかもしれません。嫌な感じでなければ、ケアを保持しながらその状態をじっくり観察してください。大切なことはフォーカスを途切れさせないことです。するとやがて、ズーンという感覚やその他の反応も自然とおさまっていくと思います。そのようなことを何回か繰り返していれば恥骨結節は能力を回復して、骨盤がしっかりすると思います。

恥骨と鼡径部

 長年仕事をしていますが、恥骨や恥骨結合に着目するようになったのは最近のことです。それまでは、例えば下半身のむくみに関しては「鼡径部の流れ」を中心に腸腰筋や大腿部の筋肉を調整することに主眼をおいていました。
 ところが恥骨と恥骨結合に着目し、それらを調整することで、もっと大きな効果を期待できることがわかりました。
 ですから新たな認識として、むくみのないスッキリとした下半身を実現するためには、恥骨、恥骨結合、鼡径部に主眼を置くことが重要で、加えて骨盤全体の在り方も大切だということが言えると思います。


 膝の内側が太くなって、膝周りがスッキリしていない人はたくさんいます。それは骨格の歪みだったり、内転筋や内側広筋のこわばりが原因であることはわかっていました。ところが内側広筋のこわばりを合格レベルまで解消することはなかなか難しいことでした。
 しかし、恥骨と恥骨結合のことを知ってからは、一つの壁をクリアした感じがします。

 骨盤は、私たちのからだの基礎です。その骨盤が窮屈な状態では、私たちの生理機能は十分な状態であるとは言えません。しっかりしながらも、ゆったりとしている骨盤の在り方が理想だと思います。そしてそのためには、今回取り上げました恥骨と恥骨結合、骨盤後方の仙腸関節、そして会陰と称される骨盤底の在り方が重要だと私は考えています。

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(以前に投稿した記事を修正加筆したものです)

 車や電車や飛行機などに長時間座り続けているとお尻の骨(坐骨付近)が次第にゴツゴツしだし辛くなったり痛くなったりする経験はどなたにでもあると思います。
 その原因は“お尻が疲れるから?”というのが一般的な見解だと思いますが、中には1~2分くらいしか座っていないのに坐骨付近が痛くなってしまう人がいます。ですから一概にお尻の疲労が原因であるとは言えません。今回はこのことについて考えてみたいと思います。

ハムストと坐骨の関係

 太ももの裏側の筋肉をハムストリング(略して“ハムスト”)と言います。ハムストリングは坐骨から始まって太ももの裏を通り膝下の裏側につながっている筋肉群です。
 ハムストリングは坐骨を筋肉の出発点(起始)としていますので、坐骨の状態に深く関係する筋肉です。筋肉の性質上、同じ筋肉のどこかに働きの悪い部分が生まれますと別の部分がこわばって硬くなるという仕組みがあります。例えばハムストリングの中間部分、ちょうど太ももの裏側、座面についているところにゆるんだ部分ができますと、起始部の坐骨に近いところにこわばりができてしまいます。筋肉はこわばりますと硬くなりますので、“坐骨が尖ってゴツゴツした感じがする”という症状が現れます。
 基本的に、筋肉は同じ状態を長時間保つことが得意ではありません。特に伸ばされた状態で長時間耐えることは苦手です。椅子に座り続けることは、ハムストリングが座面に接触し続けることですが、加えて太ももの重みがかかっていますので、筋肉・筋膜・皮膚が重さに耐えながら伸ばされ続けているということです。時々立ったり歩いたりして筋肉を動かすことができれば、伸ばされ続けている状態は一時的に解消されて、一端リセットされますので筋肉が疲弊することもないのですが、そういうことができない場合は、筋膜や筋線維が伸ばされ続ける状態に耐えられなくなり、疲弊して収縮できなくなってしまう部分ができてしまう可能性が高まります。それは喩えて言いますと、筋肉や筋膜に“伸びきってしまい縮むことができなくなってしまったゴム”のような部分ができてしまうということです。そうなりますと筋肉全体の働き(収縮力)が悪くなりますので、それを補うように同じ筋肉の別の部分にキュッと硬く縮まったこわばりの部分が発生することになります。
 座り続けていますと次第に坐骨部分が尖ったように感じたり、あるいは坐骨周辺に“妙にありありと感じられる硬いもの”が感じられるようになることがありますが、それはこのような原理で生じます。

 坐骨が痛くなる理由は他にもありますが、“座り続けていると痛くなる”といった場合はこのような仕組によるものが最も多いと思います。また、何らかの理由でハムストリングがゆるんでしまっている人は座ると間もなく坐骨が痛くなったり腰が痛くなったりしてしまいます。ハムストリングはスポーツで肉離れを起こしやすいところですが、肉離れを患っている人は座面に太ももをつけるだけでも耐えられなくなってしまうことでしょう。

 さて、映画館などで長時間座り続けていなければならないときに坐骨や腰が痛くなった場合などの対処法としては、太ももと座面の間に手を入れて温めたり擦ったりしてハムストリングのゆるみを改善するようにすることが良いと思います。お尻をモゾモゾ動かしたり、お尻の痛くなったところに手を当てたりするより効果的です。

ハムストリングがゆるんでしまう理由

 上記のように筋肉が何かに長時間接触していたり、荷重がかかり続けていたりしますと筋線維が伸びて収縮できない部分ができ、筋肉の働きは悪くなりますが、それ以外にも筋肉がゆるんで働きが悪くなってしまう状況はあります。
 一つは使いすぎによるものです。これは筋肉疲労のことであり、この場合は休養することによって機能を回復することができます。
 もう一つは血液循環不良によるものです。端的な例は“冷え”です。からだ全体が冷えたり、部分的に冷えたりしますと動脈の巡りが悪くなり、細胞に十分な酸素が届けられないので筋細胞の働きが悪くなって筋肉はゆるんだ状態になってしまいます。
 その他には神経の問題もあります。ハムストリングで申せば、坐骨神経がコントロールしている筋肉ですので、坐骨神経の状態が悪くなりますと筋肉は働きの悪い状態になります。
 また他の筋肉の影響によってゆるんでしまう場合もあります(これが一番多いかもしれません)。例えば腰や膝が悪くて、歩いたり立ったりするときに下半身全体で踏ん張ることができない状況になりますと、自ずと通常以上に足の指に力を入れて頑張ることになります。それによって足裏や足趾(足指)の筋肉はカチカチにこわばりしますが、その影響でハムストリングがゆるんでしまうことがよく起こります。ふくらはぎはパツンパツンに張っているのに、お尻や太ももの裏はユルユルといった感じです。高いヒールを履いている人、靴のサイズが合っていない人、かかと体重の人、歩き方の悪い人、背中の丸まった人、こういう人達の足趾はこわばっていることが多いのですが、すると筋肉の連動関係、拮抗関係でハムストリングはゆるんでしまうのです。

筋肉は同じ状態を長く続けることが苦手

 今となってほとんど死語になりつつある“根性!”は、私の幼い頃、漫画「巨人の星」の時代にはごくごく一般的な言葉でした。「姿勢を正しく保ち続けることができないのは忍耐力が足りないからだ」などとよく言われたものです。今、この仕事についていろいろな方と接していますと、“耐えられる身体”と“耐えられない身体”という判別がつきますので、「今の状態では、それ(姿勢良く座り続けようとすることなど)は無理です」などと申し上げることがあります。
 ところが現実の今の社会では、この“無理”を強いられている場面がけっこうあります。デパートなどの売り場で働いている人は、お客さんが居ても居なくても座ることは許されない、などと耳にします。接客が忙しくて動き回っているのであれば、からだは疲労しますが、筋肉は同じ状態をじっと耐え続けるといった状況にはなりませんので疲弊してゆるんでしまう可能性は少ないです。ところが暇で動くこともないのに、座ることは許されず立ち続けていなければならない状況になりますと、筋肉は無理を強いられることになります。下半身の筋肉が疲労してきて次第に働き悪い状態になるわけですが、それでも立ち続けていなければならないとなりますと、無意識に肩や背中に力を入れて頑張り続けるようになってしまいます。肩こりがきつくなったり、背中の張りに辛さを感じる原因の一つであると思います。
 また反対にPC作業などで一日中座り続けていなければならない、というのも筋肉には良くありません。姿勢が崩れていくのは当然のことだと思います。筋肉は、それ自身が伸びたり縮んだりするようにできています。つまり伸縮を繰り返すのが本来の在り方ですので、どちらか一方に偏るという使い方は間違っているのです。
 職場環境改善を取りざたされている今日、整体的な観点で申し上げれば、企業側はこういうことにも配慮する必要があると思います。売り場の片隅、お客さんから見えないところに少しの時間でも座れる椅子を用意すことも職場環境の改善ではないでしょうか。
 座り続けることの多い仕事では、上司の方が積極的に声を掛けて、時々立ったり歩いたりすることを促すことも大切なように思います。


 今回のテーマは「座るとお尻の骨(=坐骨)が痛くなる」というものですが、その最も多い理由は太股裏の筋肉(ハムストリング)や筋膜がゆるんで働きの悪い状態になっていることだと私は思っています。
 筋肉や筋膜の働きが悪くなっているところに、さらに物(座面)と接触したり、荷重がかかったりしますと、筋肉や筋膜は耐えられなくなって反乱を起こすように、坐骨周辺を硬くして痛みとして訴えるようになります。
 ですから、このような場合は、痛いところ(坐骨周辺)を揉みほぐして弛めることが解決策ではなく、ゆるんで働きの悪くなっている部分の機能を回復させることが正しい対処方法です。そこを間違えますと状態が悪化することがあります。

 お尻が痛いからと、太股の裏に低周波治療器の端子を貼ったりする場合は、細心の注意が必要です。強い力(電力)でハムストリングを刺激し続けた結果、坐骨周辺だけでなく、お尻全体が硬くなって坐骨神経痛に苦しむようになった人を知っています。くれぐれも注意してください。


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 私は昭和35年生まれですが、私たちの世代のウインタースポーツの代表は「スキー」でした。ですから、骨盤が不安定な方(お客様)に対して「スキーなどで尻餅をつきませんでしたか?」などとついつい尋ねてしまうことがあります。硬い雪のところでドスンと尻餅をつきますと、尾骨周辺を打撲してしまい、その傷が影響して骨盤や背骨が不安定になることがあります。そして「猫背」「下腹が出る」「顔が下がる」等々、好ましくない症状につながることがあります。

 ところが私よりも若い世代以降はスキーではなくスノーボードがウインタースポーツのメインになっているようで、尻餅ではなく、後頭部の打撲がからだをおかしくしてしまう原因になっていることを知りました。
 私はスノーボードの経験はありませんので、お客さんから聞いた話で想像することだけしかできませんが、後頭部の打撲による影響で思い通りにからだを使うことができない人や姿勢を保つことができない人がこのところ何人も来店されています。

中殿筋、大内転筋、大腰筋の働きが悪くなる
 長距離走の選手が足底腱膜炎(という診断)と腓骨筋(長腓骨筋と短腓骨筋)の痛みで練習ができないと来店されています。じっとしているだけでも右足の土踏まずから母趾のつけ根にかけて常にジワジワ痛みを感じ続け、歩くこともままならない状況だということでした。左足首の方は踵の外側からふくらはぎの外側にかけて(腓骨筋のところ)筋肉のこわばりによる痛みを感じる状態でした。

腓骨筋_前面・側面

 その男性の体型的は、長距離ランナーに多い痩せ型で、下半身はO脚の状態です。O脚の人は重心が外側に行ってしまいますので、走ることによって腓骨筋が酷使されて問題を起こしやすいというのは理解しやすいところです。
 足底腱膜炎と診断されている右足土踏まずの痛みは、実際には短母趾屈筋が痛みを発していて、その原因は付着している骨である立方骨が本来の位置より後方にずれていることでした。

足底腱膜炎(短母趾屈筋)

 この青年の走り方を、故障する前の動画で見せていただきましたが、右脚はまずまずですが、左脚の方は自身で地面を蹴って走るというよりも右脚の動きのリズムにただ合わせるかのように後から左脚がくっついて動いているといった感じでした。つまり、極端に表現すれば「右脚だけで走っている」という感じです。これでは右脚の負担が大きくなって故障しやすくなるのは当然だと考えられますし、ましてO脚というハンデがあれば尚更だと思います。(O脚は長距離走にとってはマイナス要素です)

 「どうして左脚を(能動的に)使うことができないのだろう?」という素朴な疑問がまず湧いてきます。筋肉の状態を観察しますと、このブログでも幾度となく登場している大腰筋の働きが悪い状態でした。特に左側の働きがとても悪い状態でしたので、大腿骨は股関節から離れてしまい、それがO脚の原因になっていることに加え、腓骨筋の痛みにつながっていることがわかりました。
 大腰筋は太股の裏側と内側にあります大内転筋に連動しますので「内転筋を使って太股を引き上げることができないし、地面をしっかり蹴ることができない」(=大腰筋と大内転筋が悪い)ことがわかります。

大腰筋の前面と側面

 大腰筋は腰椎の椎体(前面)及び横突起と大腿骨(小転子)をつなぐ筋肉ですので腰椎(背骨)が不安定ですと筋肉の働きが悪くなります。そして実際、彼はそのような状態でした。背骨に沿って存在している脊柱起立筋(脊柱固有筋群)がゆるんだ状態になっているので背骨が全部下を向いた状態になっていて、大腰筋が上手く機能しない状態になっていました。
 「どうして脊柱起立筋がゆるんだ状態になっているのだろう?」というのが次の疑問です。そして、そんなことを考えながら骨盤から後頭部にかけて観察していきますと、後頭部にとても弱い場所(=筋膜のゆるんだところ)があって、それが根本的な原因であることがわかりました。そして「後頭部の、この部分が弱いのだけれど‥‥」と尋ねますと、「だいぶ前にスノボで後頭部を強打し、脳振とうを起こして気を失ったことがある」ということでした。

立位_中殿筋と大内転筋

 大腰筋、大内転筋の働きが悪い状態ですと走ることだけでなく“忍び足”のようにゆっくり歩くこともできません。軸脚でしっかり体重を支えることができませんので、すぐに反対側の脚を着きたくなってしまいます。(このことについてはこのブログで何回も取り上げています。)
 そして軸脚でしっかり立つことができるようになるためには中殿筋の働きも重要です。最低限、大腰筋と大内転筋と中殿筋の働きがしっかりしていないと、軸脚でしっかりからだを支えて立つことができませんので、歩き方も走り方も、そして立ち方もおかしくなってしまいます。
 しっかり立つことができない、しっかり地面を蹴ることができない、股関節内側の筋肉を使って太股を引き上げることができない、こんな状態であるにもかかわらず陸上選手として練習し続けなければならないわけで、「故障してしまうのは当然の流れかな?」と思えてしまいます。

姿勢が保てず顔が下がる
 若い女性が、「良い姿勢が保てず、すぐ猫背になってしまい、さらに顔も下がっている」ということで来店されました。
 このブログを読んでいただいていて「顔が下がっているのは、きっと後頭部が上がっているからではないかと思った。横顔の自分の写真を見ると他の人たちに比べて頭が尖っているように感じる」と仰いました。
 実際、座っていただいても骨盤を立てて座ることができません。「骨盤を立てる、という意味がわからない」と仰います。「では、背筋を伸ばして良い姿勢を作ってください」と申しますと、背中の中程を反らせて背筋を伸ばそうとしますが、動作に無理があってなかなか大変そうです。瞬間的にはできても、背筋を伸ばした状態を保つことはできそうもありません。
 これらの主な原因は背筋(脊柱起立筋)の働きが悪いことです。
 「ギックリ腰や尻餅をつくなどして、動けなくなったような経験はありますか?」と尋ねました。答えは「No」です。
 年齢的なこともあり、上記(陸上選手)のようなこともありますので、
 「では、スノボなどで後頭部を強打したことはありますか?」と尋ねてみました。すると「Yes」という返答でした。脳振とうを起こすほどひどくはなかったようですが、打撲の後はしばらく動くことができず、安静にしていなければならなかったくらい衝撃は強かったようです。
 そこで、座った状態のまま後頭部に私の手を当ててみました。すると20秒ほど経った頃から変化が現れ始め、次第に骨盤が立ち始めました。骨盤が立ってきますと自然と背筋は伸び、顎が引かれて猫背は改善し始めます。そして上がっていた後頭部も下がって本来の位置に近づきますので、顔も上がってきます。
 その後1分程度手を当て続けますと、明らかに視線が上がり、自然に無理なく目が大きく開くようになりました。それまで力の入っていた首・肩・顔周辺から力が抜け、重心が下がって下腹部で上半身を支えることができるようになったため、何の無理もなく良い姿勢を保つことが出来るようになりました。
 この女性の場合も、スノボで打撲して以来、猫背で顔が下がる症状に悩まされていたことになります。顔が下がり、目を開くのに額の筋肉を使わなければならない状況は、女性にとって心理的なストレスをもたらすことに繋がりますので、原因がハッキリし、対処法がわかって良かったと思っています。
 この方は遠くにお住まいの方で、私のところに通うことは叶いません。ですから日々行っていただきたいセルフケアをアドバイスさせていただきました。

 この仕事をしていますと、毎日いろいろな体型の人に出会います。一人一人の顔が違いますように体型もそれぞれ違いますが、そういう個性的なものとは別に、「からだのケアをすれば、もっと楽に生きられるようになるのになぁ」と思うこともしばしばあります。
 その一つが過去の打撲や捻挫による影響であり、前回投稿させていただきました手術痕の影響です。
 例えばロボットや機械の類は、部品が故障して機能しなくなりますと目的の仕事がまったくできなくなってしまいます。部品の修理か交換が解決策です。ところが私たちには自然治癒力が備わっていますので、ある程度の傷までは、休んでいれば次第に癒えて元の状態に戻ることができます。しかしながら傷のダメージが強いと、自然治癒力だけでは完全な状態に戻ることが難しい場合もあります。そしてダメージを受けた部分が完全に元の状態に戻らなくても、70~80%くらいまで改善すると目的の働きを行うことが出来るようになりますので、「それで良し」と考える傾向にあるようです。
 足首を捻挫しても、腫れが引いて痛みがなくなり、普通に歩くことが出来るようになれば「それで良し」。脳振とうを起こすほど後頭部を打撲しても、頭痛や吐き気がなくなり、普通に歩いて、普通に生活できるようになれば「それで良し」。医師も私たちもそのような暗黙の了解の中にあるのかもしれません。
 ところが、それら「過去の傷」は思わぬところに悪い影響をもたらしていたり、あるいは加齢によって体力が落ちてきた頃に「きっとあの時のケガの影響だ!」という感じで思い出され、「なんであの時しっかり治しておかなかったのだろう」と後悔の念を抱かせるかもしれません。
 しかし、例えそうだったとしても、諦めるものでもありません。私たちの細胞は日々新陳代謝を繰り返しています。加齢によって新陳代謝の力が衰えたとしても、ちゃんと血液が廻るように整えてあげることによって過去の傷によるダメージはかなり軽減できると思います。

 ここで筋肉的な観点を離れて東洋医学的な見解で少し考えてみます。
 前回は腹側の「任脈(ニンミャク)」について触れましたが、今回は後頭部であり、背側の「督脈(トクミャク)」に関連する話題でもあります。

督脈の傷の影響

 督脈は尾骨から始まり、仙骨~背骨~後頭部~人中(鼻下)まで続く背側の正中ラインですが、ここに傷やダメージがありますと姿勢を保つ、歩く、走る、感覚を鋭敏に保つといった、言わば動物的な機能に影響が現れる可能性が高くなります。
 美容整形などで鼻や人中などにメスを入れたり、中には頭蓋骨を削るなどの手術を行うこともあるようですが、「止めたほうが健康のためです」と私は断言します。そして私と同業者で「小顔整体」と称して頭蓋骨をガツンガツンいじったりする施術もありますが、警戒してください。
 これらを行った後の経過が悪く、苦労している人や後悔の念に苦しんでいる人を何人も知っています。私が施術で対処できる場合もありますが、「もはや難しい」と感じる場合もありますし、あるいは「何度も施術しないと戻せない」という場合もあります。



 今回取り上げました後頭部のダメージを改善する方法は限られています。そこにテープを貼ることができるのであれば対処法も簡単なのですが、後頭部には髪の毛があるので、それができません。ですから手を当てることだけが対処法です。「どのように手を当てれば良いのか?」については場所と深さが大切で、「目が開いて視界が明るくなることを目安に」というのが答えになります。これは来店されないと具体的には理解できないと思いますが、このセルフケアを繰り返しているうちにやがてダメージを受けてエネルギーの低下している部分が復活するようになり、問題が解決されていくことになります。

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 普段は海外で暮らされている方が次のような質問をされました。
 「向こう(西欧)で週3回ほどのペースでジムに通っているのだけれど、コーチに指導されて、お尻を突き出して中腰になり、膝を90°曲げたような姿勢をつくろうとするのだけど、太股の裏がきつくてきつくて。どうしてできないのだろう?」
 さらに、「いつも猫背を指摘されるだけれど、どうやったら猫背を直すことができるの?」

中腰


 外国の人たちに比べると我が国の人たちの姿勢は猫背が多く、お尻が下がっている人が多いと言えるかもしれません。私は外国の人では、中国人、韓国人、ブラジル人、フィリピン人のほんの少数しか施術したことがありませんので、もしかしたら間違った見解かもしれませんが、韓国人以外の他の国の人たちは明らかに日本人の体型とは違う印象を持っています。韓国の人も似ているようでやはり少し違うかもしれません。
 そして街で見かけたり、テレビなどを通じて目にするアメリカやアフリカの人たちは、やはり私たちとは体型的にまったく違うことがわかりますが、一番の違いは“骨盤の在り方”なのかもしれないと思っています。
 俗な言い方で表現しますと「外国人はお尻がプリッと上がって大きく、脚が長い」となると思いますし、それに比べて私たちは「お尻が下がって胴長で、ジーンズ姿も今ひとつ冴えない」となるのかもしれません。しかし、反対に着物姿は「やはり日本人が最高」だと思いますし、それは私たちの民族的な体型によるものかもしれません。お尻がプリッと大きな外国人の後ろ姿には帯は似合わないように思います。

お尻が下がるのは仙骨が後傾しているため
 一般的に、日本人は骨盤が後に傾きやすい(後傾)傾向にあると言われています。実際施術をしている実感からしても骨盤が後傾している人が多いですし、それがお尻が下がって見える一番の理由だと思います。

骨盤基礎01

骨盤基礎02

 骨盤は、真ん中に仙骨と尾骨があり、その両側に完骨がつながったものです。後面には仙腸関節があり、前面は恥骨結合があります。
 完骨は、その昔バラバラであった腸骨と恥骨と坐骨が癒合して一つになったものですので、骨盤の話題になったときには仙骨と腸骨の関節である「仙腸関節」、座った時に骨盤が座面にあたる「坐骨」という言葉がしばしば登場します。そして骨盤の底にあって、子宮や膀胱など骨盤内臓物や小腸など内臓が下垂しないように支える強力な筋肉や筋膜がありますが、それらを総称して「骨盤底筋」と呼んでいます。そして、その代表的な存在として「会陰」があります。

会陰01

 骨盤の特徴の一つとして、仙骨が前傾すると骨盤底(坐骨結節間)が拡がるという仕組みがあります。反対に仙骨が後傾すると骨盤底が狭くなり、骨盤底が狭くなると仙骨が後傾するという仕組みです。実感として表現しますと、仙骨が前傾している人はお尻の形が「ハの字」であり、仙骨が後傾している人はお尻の形が「逆ハの字」になっています。

呼吸と骨盤との関係

 普通の状態であれば、骨盤は呼吸に合わせて少し動きます。息を吸うとき、仙骨は下がり(後傾する)ますが、同時に骨盤上部が拡がって骨盤底が狭くなりますので、左右の坐骨間の距離は短くなります。息を吐くときはこれとは反対に動きますので、骨盤底が拡がって仙骨が前傾するように動きます。
 つまり筋肉の状態がおかしくなければ、仙骨が前傾した状態では骨盤底が拡がり、仙骨が後傾した状態では骨盤底が縮んだ状態になります。あるいは、骨盤底が硬くなって縮むと仙骨は後傾し、骨盤底が広がった状態になれば仙骨は前傾しやすくなるということになります。

骨盤の前傾と後傾比較

 この骨盤の仕組みを元に、私たち日本人が外国の人たちに比べて骨盤が後傾し、お尻が下がっている理由を考えますと、「息を吸うことばかりしていて息を吐くことが上手くない=緊張度が高い、交感神経の働きが優位」あるいは「生活様式として会陰を収縮することが多くて骨盤底を硬くしやすい」、「民族性として元来骨盤が後傾している」などが思い浮かびます。
 昔の日本人の生活様式は正座を中心とした着物の生活でしたでしょうから、女性は内股になりやすいので骨盤が後傾しやすいことは理解できます。(O脚と内股の状態は骨盤が後傾してしまうという仕組みがあります)しかし、正座は骨盤底を伸ばす座り方ですので、正座の習慣によって骨盤底が硬くなるというのは考えにくいことです。
 私たちは他の国の人たちに比べて勤勉で真面目だと言われていますが、それは反面、緊張気味で、交感神経が優位の状態で日々を暮らしているということに繋がります。ですから息を吸った状態=骨盤底が狭い状態で生きている傾向がある、と考えることもできます。
 そして民族性として「本来の体型が骨盤が後傾気味」だという考え方に立てば、そのことによって息を吐くのが苦手で、交感神経が優位になりやすいので緊張気味の人生となり、体型的にも内股やO脚になりやすい、と考えることができます。反面、着物姿が「様になる」なるわけですが。

姿勢を正すことは背筋を伸ばすこと?
 普段の自分の姿勢が悪いと感じている人は、姿勢を正そうとするとき「背筋を伸ばす」ことをするようです。それは‥‥つまり、背中に力を入れて背筋を収縮させることなのですが‥‥無理のある不自然な動作と言えます。意図的に背筋を伸ばして座り続けるのは体操疲れますし、自ずと首や肩や顔に力が入ってしまいますの良いことではありません。
 パソコンやスマホやタブレットの操作、その他手作業を主体としている人はどうしても首と肩が前に出た猫背の姿勢になりやすいのですが、気をつけて欲しいことの一つに「骨盤が寝た状態にならない」ことがあります。「骨盤が寝る」というのは仙骨を含めて骨盤が後傾することなのですが、必然的に腰椎も丸くなって後弯するようになります。

 本来、仙骨近くの腰椎は前弯しています。普通の状態の人は座った状態で上半身を後に反らす動作をしますと、この仙骨近くの腰椎下部のところを支点として上半身が後方に倒れるようになります。こういう人は、姿勢を正そうとするときには、背筋を伸ばすのでは無く、骨盤を立てる、つまり仙骨を前傾させるようにします。すると腰椎下部で前弯が起こりますので、自ずと背筋は真っ直ぐになりますし、前に出ていた首も戻り、顎が自然と引かれた状態になります。「下腹部がしっかりして腰に上半身を乗せることができる」あるいは「骨盤に上半身を委ねることができる」状態になりますので、背中には力が入りません。顎もゆるみ首の力も抜けます。
 ですから、正しい姿勢に戻す(=姿勢を正す)とは仙骨を前傾させて骨盤を立たせ、坐骨結節部で座る状態になることだと言えます。ところが、猫背+背中(腰椎も)の丸くなった人は腰椎の前弯が失われていますので、骨盤を立てて座ることが辛くなります。座った状態で上半身を反らそうとしますと、背中の中間地点くらいでやっと脊椎を反らすことができる感じで、骨盤近くの腰部はなかなか動かせません。

 さて、このような状態の人でも、お尻の横(外側)から座面と坐骨の間に手を入れて坐骨を外側に引っ張り、左右の坐骨結節間の距離を拡げますと(=骨盤底を拡げる)、骨盤を立てることが比較的容易になり、腰椎下部で前弯が生まれるので背中に力をいれなくても背筋が伸びるような感覚を味わうことができると思います。
 つまり、骨盤底に柔軟性が戻れば骨盤を立てて座ることが容易になり、仙骨が前傾して下腹部に力が集まるので首や肩から力が抜けるようになります。そして自ずと背筋が伸びて姿勢が良くなります。
 ですから姿勢を正す動作とは背筋を伸ばすのではなく、仙骨を前傾させて骨盤を立たし、骨盤底が拡がるようにすることだと言えます。
 骨盤底の硬い人は最初のうちはなかなか思うようにはできないと思いますが、練習してどうにか“感じ”をつかんでいただきたいと思いますし、併せて骨盤底に柔軟性と力を取り戻す運動をしていただきたいと思います。

骨盤底の柔軟性を取り戻すために
 骨盤底が硬くて骨盤が後傾している人に対して、骨盤底をほぐすような施術を行うことがあります。すると、骨盤底をゆるめているにもかかわらず「頬や肩から力が抜けていく」という反応を得ることがあります。つまり、顔や肩に力が入ってしまう原因の一つとして骨盤底の硬さ(=こわばり)があるということです。
 以前にも紹介しましたが、私は骨盤底のトレーニングとしてバランスクッションを使うことを勧めています。骨盤底には骨盤底筋と呼ばれる幾つかの筋肉があります。そしてそれらの筋肉と筋膜は総体として会陰を形成していますが、会陰は顎関節と対称する関係になっているようです。
 「会陰がゆるむと顎関節もゆるむ」「顎関節がゆるむと会陰がゆるむ」「会陰がしっかりすればそしゃく筋もしっかりし、全身の筋肉がしっかりする」。反対に「噛みしめや歯ぎしりの癖などで顎関節がおかしな状態になると会陰も硬くなって柔軟性を失い、骨盤はさらに後傾する」という仕組みのようなものがあります。

 会陰の働きが悪い人は、例えば両足とも床から浮いてしまう高い椅子などに座って、骨盤の力を主体に右のお尻に重心を移したり左のお尻に重心を移動したりして片方のお尻にすっかり体重を乗っけて座る動作を繰り返すことが苦手です。つまり会陰の筋肉(=骨盤底筋)をつかって自分の重心を移動させることが上手くできません。この動作ができないので首を振ってみたり、骨盤より先に肩や腕を動かして重心移動させようとしてしまいます。そして、実際このような人は大変多いです。「会陰の筋肉が働いている実感」が味わえません。
 筋肉を鍛えるためには「使っている実感」が必要です。その実感を味わうために、バランスクッションを使用することを勧めています。バランスクッションは座ると不安定な反面、重心移動が容易です。簡単に右のお尻から左のお尻に重心を移すことができますが、この時の会陰の動きを感じて欲しいのです。

バランスクッション 体幹クッション

 注意事項も含めて使い方を説明しますと
 「骨盤の動きに上半身が抵抗しないようにしてください。バランスが崩れて倒れそうになったら手をついてもいいですから、上半身をくねらせて抵抗して欲しくないのです(右に倒れそうになったとき、首や肩を左に曲げて倒れないように抵抗するなどの動作をすると会陰が動いて要る実感が薄れてしまうので)。クッションの動きにすっかり身を委ねて欲しいのです。そして会陰がどのように働くかを観察してください。」と言っています。

会陰トレーニング

 最初は不安定でバランスが取れないので上手くできませんが、すぐに、何分もしないうちにできるようになると思います。そして、何分間か左右に重心を移す動作をしたり、あるいは回転させて会陰が上下左右に働くことを感じていますと、会陰は柔軟性を取り戻します。バランスクッションを外して、普通に座りますと、それまで座っていた感覚とは明らかに違った感じになると思います。会陰が拡がったため「逆ハの字」だった骨盤は「ハの字」に近くなり座面が拡がったように感じると思います。そして仙骨を前傾させることが容易になるため自然と背筋は伸びた状態になると思います。

 尚、バランスクッションを使わずとも上記のような運動はできます。ただ先ほども申し上げましたが、間違えやすい点は、自分では会陰を使って重心移動させているつもりでも、実際は頭や首や肩や腕を動かすことによって右から左へ、左から右へ上半身を動かしているだけになってしまうのでは、会陰の動きが取り残されて後から付いてくるような感じになってしまいます。これではトレーニングの意味はありません。
 その他の運動としては、「外人さんのようにお尻をプリプリさせながら歩く」というのも会陰を鍛えることになります。お尻をプリプリさせながら左右の骨盤や下半身に、交互に体重をすっかり乗せきって歩くのは、会陰の働きがなければ可能になりません。
 「お尻の穴をしめる」というのは骨盤底筋の一つ肛門括約筋を収縮させることなのですが、それも会陰を鍛える手段の一つです。街を歩いている人をよく観察しますが、会陰を働かせながら=お尻をキュッ、キュッとさせながら地面を軸脚で蹴って進んでいる人はとても少ないです。多くの人が、上半身が前に行くの合わせて脚が後からついてくるような歩き方をしています。これでは、骨盤底はまったく鍛えられないと思います。

 私はよく「モデルさんのように一本のラインの上を腰を捻りながらゆっくり歩いてみてください」と言って、お客さんにやってもらいますが、思いの外、皆さん上手くできません。
 極端に表現しますと、膝から下ばかりで歩いている人は、腰を使って歩いているわけではありませんので(内股歩きが良い例)、腰部の柔軟性に欠けますし、会陰を鍛えることとは無縁の歩き方になっています。“モデル歩き”は、腰を捻って(実際は脇腹に捻りが生まれる)軸脚(後ろ脚)に重心を残したまましっかり立っていられる状態でないと前脚を一本ラインの上に乗せることができません(綱渡りような状態)。この時軸脚のお尻と会陰は収縮しますので、骨盤底を鍛える訓練になります。



 さて、冒頭の外国暮らしの方ですが、この方の骨盤底がこわばっていた主な理由は幼い頃から股関節の状態が悪く内股であったことと、腰椎の4番が捻れていたことでした。そして腰椎の捻れの原因は右手の小指と薬指にあって、一歳の頃の写真を見せていただいたところ、乳母車の取っ手を握る右手が少しおかしかいことから本当に小さいときの出来事が原因だったと思われます。
 いろいろなところを調整して、右手を念入りに調整したところ腰椎の捻れが軽減し、例の苦手のポーズが楽にできるようになりました。あわせて噛みしめの癖も改善し、ひどかったドライアイも改善しました。
 腰椎の捻れが良くなったことで会陰のこわばり状態が改善したため、からだが楽な状態になったのだと思います。
 骨盤も骨盤底も大切です。

足つぼ・整体 ゆめとわ
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 骨盤の歪みが原因で顕著に自覚できる症状は、腰部の張り、腰痛、下肢のしびれ(坐骨神経痛)、股関節の不調、殿部の痛みなど腰部と下半身に現れる不調です。しかし、それ以外にも頭痛、肩甲骨周辺の張りや痛み、お腹の張り、手の不具合など上半身にも影響が及ぶことがあります。また、骨盤の歪みが原因して太る、胃腸の調子が悪くなる、などということも指摘されています。
 ところで、多くの整体院では「脚の長さが左右で違うのは骨盤が歪んでいるから」ということで、脚の長さを揃えるために骨盤や背骨や股関節をグイッとやって骨盤を矯正するようですが、私はそのようなことをしたことがありません。それは一種のパフォーマンスにすぎないと思っているからです。
 私が整体を学んでいた学校でも、そのような手技を教えていましたが、先生は「ま、一時的な効果だけど‥‥」と言っていましたので、そんな手技は信用できませんでした。
 骨盤矯正も、その他の骨格矯正も、理屈をちゃんと理解した上で行わなければ本当の意味での“矯正”ではありません。そして骨格矯正は“バランス”が大きなキーワードになると考えています。骨盤に繋がっている多くの筋肉のバランス、からだに捻れをもたらせている筋膜のバランス、それらを整えてはじめて“骨盤矯正”の目的が達成されるのだと考えています。

骨盤で確認するポイント
 骨盤の構造のところで説明したとおり、骨盤の骨格は腸骨、恥骨、坐骨が一体となった一対の完骨と仙骨と尾骨でできています。“骨盤が歪む”ということは関節で骨と骨の関係がおかしくなるということですが、一番影響力が大きいのは完骨(腸骨)と仙骨の間にある仙腸関節です。この関節は外側も内側も強力なじん帯でガッチリかためられていますので、一昔前まで「仙腸関節は固定して動かない」という定説もあったようです。ところが実際は、仙腸関節が歪んでいることがとても多いです。

骨盤背面

①左右の腸骨と仙骨の関係
 骨盤上部を背側から見ますと仙骨の上部(専門用語では仙骨底といいます)を挟んで左右に腸骨があります。右利きの多くの人は、仙骨底が右側(時計回り)に少し傾いていて、左側の腸骨が後に傾き、右側の腸骨が外側前方に傾いている傾向にあります。そして左側股関節の伸びが悪いため、うつ伏せになったとき、左側のお尻が右側よ少し高くなっています。腰部も右側より左側がこわばっています。これは右手ばかりを使っていることと、右足に体重を乗せて立っていることが原因だと考えられます。からだには重心を掛けた方の筋肉が伸びるという原理がありますので、右足に体重をかけて立つ癖のある人は、右半身の筋肉がゆむみ、左半身の筋肉がこわばってしまいます。
 この歪みを修整する作業の第一段階は、腸骨を正しい位置に戻せば仙骨の歪みが改善されるのか、あるいは仙骨を正せば腸骨の歪みが改善されるのか、どちらであるかを把握することです。それによって調整しなければならない筋肉がまったく違ってくるからです。

②骨盤の捻れ
 スカートやジーンズなどを履くと、どうもどちらかの骨盤が前に出ているように感じるとか、動いているとスカートが回ってしまう、などというときは骨盤全体が捻れているからかもしれません。
 骨盤が捻れてしまうのは、①の腸骨と仙骨の関係に歪みがあることの他、上半身や下肢からの捻れが原因となっていることも考えられます。
 上半身の捻れが原因となっている場合、多く見られるのは胸郭の上部が利き腕の方に引っ張られ、その反動で胸郭の下部が反対方向に捻れを起こし、その捻れの流れによって骨盤が捻れてしまうことです。鎖骨も注意深く観察すると左右対称でなかったり、脇腹の肋骨を触った感じが左右で違うと感じるときは確実に上半身が捻れています。この捻れは、筋肉で云えば腹斜筋、腹横筋、前鋸筋、大胸筋などのバランスが悪いことでもたらされている可能性が高いです。
 下半身(下肢)からの影響で骨盤が捻れている場合は、原因として考えられることはたくさんあります。膝や足首の不調、O脚、外反母趾、内反小趾、足趾の捻れや曲がり‥‥、ともかくたくさんあります。
 このような場合、仰向けで寝たときに左右の脚の開き具合が股関節で違っていることが見受けられますが、骨盤の捻れを手動で直すと足の開き具合が少し改善するのか、あるいは脚の開き具合を手動で修正すると骨盤の捻れが少し改善するのかによって骨盤の捻れが下半身に影響しているのか、下半身の捻れが骨盤に影響しているのかを把握する目安になります。

③骨盤の開き
 「骨盤が開いている」とはよく使われる言葉ですが、正確には、骨盤の上部が開いているのか、下部が開いているのか、両方が開いているのか、ということを把握しなければなりません。
 女性の場合、出産のときに骨盤が開き、出産後時間をかけてゆっくりと元の状態に戻っていきますが、産後のケアが悪いと骨盤が開いたままの状態になっていることがあります。その場合は、上部も下部も開いた状態の場合が多く見受けられます。
 出産や生理時以外の通常の場合、骨盤は上部と下部がシーソーのように一方が開けば他方が閉じるという動き方をします。例えば、太りすぎや腹筋の働きが悪くなって骨盤の上部(上前腸骨棘=腰骨に手を開いて当てたときに人差し指が当たる部分)が開いてからだの真横近くに来ている場合、骨盤の下部が閉じて左右の坐骨の間が短くなっています。また反対に骨盤底部がゆるんだままで坐骨間が開いていますと、骨盤上部は狭くなって窮屈になってしまいます。
 良いスタイルとかダイエットとかを目指す場合は、大抵骨盤上部の開きを改善したいということになりますが、そのためには骨盤底部の筋肉のこわばりを改善しなければなりません。それをせずに骨盤上部をバンドやコルセットなどで締めつけたところで、それは骨盤の動きの道理に合っていませんので、効果を期待するのは難しいことになります。
 “骨盤の開き”は次に説明する“骨盤の傾き”と表裏一体の関係にありますので、「開きを直したいなら傾きを直さなければならない」ということになります。

④骨盤の傾き
 骨盤の傾きは骨盤矯正にとって非常に重要なポイントだと私は考えています。
 私たち日本人は諸外国の人たちに比べると骨盤が後ろに傾いている(後傾)傾向にあると云われています。その結果、お尻が下がって脚の長さも実際より短く見えてしまいます。また、若い頃に比べて歳を重ねていくとお尻がたれてくる傾向がありますが、それは骨盤の傾きが変わった影響による可能性が考えられます。
 骨盤は背面から見ますと、仙骨を挟むようにして左右の完骨が両側に配置され股関節で下肢とつながっています。そして骨盤の傾きでカギを握るのは仙骨です。仙骨が後に傾きますと、仕組みとして両側の完骨は下部が狭まり上部が開いて骨盤全体が後に傾きます。また両側の完骨の下部(坐骨部分)の間が狭まるか、上部が開きますと仙骨が下がるか後傾してしまい同様に骨盤全体が後に傾いてしまいます。
 仙骨は前傾しすぎても、出っ腹、出っ尻になってしまうのでよくありませんが、実際に前傾している人は太りすぎてお腹が大きく張り出している人ぐらいで、多くの場合、仙骨の後傾を修正するようになります。

仙骨の角度と脊椎の状態

・仙骨後傾の場合
 仙骨の状態は頭部の後頭骨、背骨の際にある脊柱起立筋(脊柱固有筋群)、下肢の内側の筋肉、そして腹直筋の状態によって決まります。

後頭骨と仙骨に影響を与える脊柱起立筋と下肢の筋肉

 頭部の後頭骨との関係で云えば、後頭骨が上がると仙骨は下がります。呼吸で息を吸うときは頭部が膨らむとともに後頭骨が上がりますが、その時仙骨は下に動きます。息を吐くときは反対に後頭骨が下がり、仙骨は上がります。
 いつも下を向き加減、あるいは背中を丸めて作業をしている時間が多い人は、仙骨~背中~首後面とつながって後頭部に達している脊柱起立筋が伸び気味になっていますので後頭骨が上にずれた状態になっています。つまり仙骨は下がった状態になっているということになります。

腹側から見た骨盤の歪み_1

 また、腹直筋は解剖学的には恥骨から始まり肋骨につながっている筋肉ですから、直接的には仙骨とは関係ないと考えられがちですが、現実には腹側の直筋は下顎~首の前面~胸骨~腹部、恥骨を越えて骨盤底~尾骨までつながっています。ですから腹直筋がこわばりますと尾骨を腹側に、つまり前下方に引っ張ることになります。そうなりますと尾骨とつながっている仙骨は後に傾いてしまうことになります。
 時々、喉の周辺から下顎にかけてとても硬くこわばっている人をみかけますが、それは舌筋などがこわばっているということです。このこわばりはそのまま腹直筋につながり、尾骨と仙骨を後傾させる原因となります。また、次に説明しますが、腹直筋のこわばりは恥骨を頭部の方へ引っ張りますので、骨盤全体が後傾する原因になります。
 
 原理について確定的なことは云えませんが、実際の現象として、下肢内側の筋肉の働きが悪くなりますと仙骨は下がってしまいます。足の母趾の内側から踵にかけて、ふくらはぎの内側(ヒラメ筋内側)、太もも裏側の内側(半膜様筋)、これらの筋肉がゆるんでいますと仙骨は下がってしまいます。

・完骨が後傾する場合
 完骨は腸骨(腰骨)と恥骨と坐骨の合体したものですので、骨盤の中で後面中央の仙骨・尾骨を除いたものです。
 腹側では恥骨が腹直筋とつながっていますので、腹直筋がこわばりますと恥骨が頭部の方に引きつけられ骨盤が後傾します。仰向けで寝たとき、恥骨部分が盛り上がっているように見える場合は、このような状態である可能性があります。あるいは、腹直筋が大丈夫でも外腹斜筋や内腹斜筋がこわばりますと、それらは腸骨の傾きに影響を与えますので、片方の骨盤が前傾して反対側が後傾するといった捻れを生じる可能性があります。
 また、内腹斜筋や腹横筋の働きが悪くなりますと骨盤上部は開いてしまいますので骨盤は後傾してしまいます。

腹側から見た骨盤の歪み_2

 骨盤は下部(骨盤底)が狭まると上部が開くとともに完骨自体が後傾する仕組みになっています。骨盤底(尾骨と恥骨と二つの坐骨の間)には幾つかの筋肉と強靱な筋膜がありますが、それらがこわばってしまうと骨盤底が狭くなります。また、加齢によって骨盤底は柔軟性を失う傾向がありますので、年齢とともに骨盤底が狭くなり骨盤が後傾するようになってしまいます。高齢者のお尻がすぼんで下がり、貧弱に見えてしまうのはこのためだと考えられます。また、若くても、いつも座ってばかりの作業をしていますと、やはり骨盤底はこわばってしまい骨盤が後傾してしまいます。

骨盤矯正の考え方
 骨盤はからだの中心ですから、からだ全体を考えたとき、中心である骨盤を整えることが、からだ全体を整える上での基礎となります。あらゆるところを整えたとしても骨盤が歪んでいれば、やはり歪みが残ってしまいます。慢性腰痛、慢性的な首・肩の張り、慢性的な足のだるさ、血行不良、冷え、‥‥あらゆる慢性的な不調は骨盤の歪みが関係している可能性があると思います。
 しかしながら――これが私たちのからだが部品を組み合わせたロボットと一番違う点ですが――中心である骨盤もまたからだの各部分との依存関係にあります。骨盤が歪めば手にも足にも歪みが現れますが、反対に手や足が歪んでも骨盤が歪んでしまうのが私たちのからだです。ロボットは手の調子が悪くなったとしても骨盤に相当する部分に影響を及ぼすことはありませんので、頭部がおかしくなったり、足がおかしくなったりすることはありません。不具合になった手の部品を修理したり交換すれば事足ります。しかし私たちのからだはすべて繋がっていますので、手がおかしくなると骨盤が影響を受け、その歪みによって頭痛になったり、歩き方がおかしくなったり、と骨盤の歪みによる影響が全身に現れます。ただ歪み方が一定の範囲内におさまっていて、なおかつ筋肉の働きに粘りと対応力があれば、歪みが不調として自覚される程にはならないというだけです。
 ですから骨盤矯正に際しては、骨盤だけに着目するのではなく、からだの各部位との関連性、特に普段たくさん使っている部位=手や足や顔との関連性の中で骨盤を修正するように考えることが正しい在り方だと思います。あるいは、お腹の冷えは直接骨盤に影響を与えますし、精神的緊張など心理面との関連性もあると思います。

 私は通常、腰痛などに対する施術では、はじめに足趾やふくらはぎを整えることからはじめます。そして骨盤底の筋肉を整え、下半身の筋肉状態がより正常に近づくようにして、その後で骨盤自体を改めて検査し、歪みの状態を確認した上で手や肩や頭部といった上半身への施術を行っていきます。ギックリ腰、肉離れ、筋肉を損傷したなど、明らかにケガと思われることが原因でないかぎり、骨盤を歪ませているのは他に原因があると考えているからです。
 脚の長さが左右で違っているのは確かに骨盤が歪んでいるからです。だからといって骨盤や股関節や背骨をグイッと矯正したところで、極めて一時的に脚の長さは整うかもしれませんが、骨盤に歪みをもたらせている原因を修正しなければすぐに元の状態に戻ってしまいます。イメージ的に、確かにグイッとやると整体っぽいかもしれません。私のようにじっくりやっていると整体っぽくないかもしれません。しかし、理屈を一つ一つ考えていくとこういう施術になるのだと思います。
 「ひとつながりの身体」というのが私の店の看板ですが、本当にからだは頭の天辺からつま先まで、ひとつながりに繋がっているのです。

 今回は骨盤の歪みの実際と骨盤矯正に対する考え方について記しました。次回は施術の実際について記します。

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