ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

カテゴリ: 冷え

 オリンピック代表の女子バレーボール選手の中にはスラッとして背の高い選手がいますが、脚もとても長く見えます。しかしアフリカ代表の選手は更に脚が長く、お尻もキュッと上がってスタイルが日本の選手とはまったく違って見えます。お臍のすぐ下から脚が始まっているようにさえ感じますが、それはどうしてなのでしょうか。骨格が私たち日本人とは違うというのは確かにあると思いますが、どうも骨格だけの差ではないようです。

大腰筋01

 大腰筋という筋肉があります。文字が表現しているように腰の筋肉ですが、腹筋や太股の筋肉のように体表から触ることはほとんどできない内部の筋肉(インナーマッスル)です。腰部の背骨(腰椎)の前面から起こり、お腹や骨盤の内部を通って太股の骨(大腿骨)の内側につながっています。ですから大腰筋は“お腹と脚をつなげている筋肉”であるということになります。股関節は骨盤と脚との関節で、脚を動かすための筋肉が幾つもありますが、大腰筋は骨盤のもっと上、背骨と脚をつないでいます。そしてこの筋肉の発達具合が、私たち日本人と諸外国の人たちでは違っています。それがスタイルの差となって現れ、からだ全体の動きに差が生じる原因であると考えられます。極端に表現すれば、私たち日本人の歩き方は“ヒョコヒョコ”に近く、欧米人、特に黒人の歩き方は“ゆったり”して颯爽としているように見える原因であると思います。

アフリカと日本の選手の体型
 

大腰筋の働き
 大腰筋の主な働きは「股関節を屈曲する。股関節を僅かに外旋する。」と学問的にはなっています。しかし実際には、このような働きが主であるとして大腰筋を捉えますと間違ってしまいます。
 大腰筋は腰椎そのものにつながっている大きな筋肉ですから、まず第一に“腰椎の安定”に関係していると考えます。すると腰痛との関連性を考えることができます。
 第二に、大腰筋が収縮すると腰椎を前下方に動かしますので、腰部の前弯(からだの左側面から見て「C」字型の弯曲)に関係します。骨盤が前傾してお尻がキュッと上がっていることがスタイルがよく見える条件の一つだと思いますが、そのためには腰椎がしっかり前弯していなければなりません。ところが私たち日本人は腰椎前弯が小さい(弱い)傾向にあって、更に加齢とともにほとんど前弯がなくなってしまうような傾向にあります。ということは骨盤自体の前傾も望めなく、さらに加齢にともない骨盤の後傾が進むため、お尻は下がって見えるばかりの状況になってしまいます。おしゃれなジーンズも「お尻が決まらない」というのは“大腰筋の働き”に原因があるのかもしれません。
骨盤を前傾する大腰筋と腸骨筋
 
 また、大腰筋は大腿骨の内側(小転子)につながっていますので、大腿骨を腹部の方に引き寄せる働きをします。これを「股関節を屈曲させる働き」として定義しているようですが、実際には「脚をお腹の方に引き寄せて持ち上げる」までの働きであると考えた方が正確だと思います。それ以上に股関節を屈曲(太股を持ち上げる)する主動筋は腸骨筋や大腿直筋など骨盤から大腿骨につながっている筋肉の働きです。
 それでも、大腰筋のこの働きは、ゆったり、颯爽と歩くためにはとても重要です。骨格としては、脚は股関節から始まりますが、大腰筋が脚を持ち上げる最初の筋肉であると考えますと、歩く、あるいは走るという動作は”お腹の奥”から始まると考えることができるからです。大腰筋のとても発達している、例えば黒人の選手が走り出すととても脚が長く見えるのは、彼らの脚はお腹から動き出しているからです。

大腰筋を使って歩き始める
 

大腰筋と腰痛
 大腰筋には腰椎の前弯を維持する役割と腰椎を安定させる役割があります。大腰筋がしっかりしていれば、腰椎はしっかり安定します。腰痛の多くは腰部や殿部の筋肉が張って伸びなくなることによってもたらせれますが、腰椎が不安定な状態になっていることも原因の一つです。
 また股関節の筋肉の中で大腰筋は大内転筋と深い関係にあります。大腰筋の働きが悪いと大内転筋の働きも悪くなるため骨盤に歪みが生じ、それが腰痛の原因になることもあります。
 私が腰痛に対する施術を行う時には、まず大腿骨の頭(大転子)と骨盤の状態を確認し、痛みを発している腰部や殿部の筋肉を確認しますが、それと同時に大内転筋を操作します。手動で大内転筋をしっかりさせると骨盤や腰椎がしっかりして腰部のハリが取れるのであれば、それは大腰筋の状態をしっかりさせる必要があるということと同じですので、そのようにして施術の手順を決めていきます。
 
大内転筋

大腰筋とお腹の冷え
 実際のところお腹の冷えている人はたくさんいます。「お腹の奥や腰が冷たい」と感じる時はほとんど間違いなく大腰筋の働きが悪いか、大腰筋が使われていないと考えられます。 「お腹の冷え=血流が悪い」というのはその通りですが「体熱の多くは骨格筋が生み出す」という観点で考えますと腹部の筋肉の働きが悪いか、腹部の筋肉が効率よく使われていないということも考える必要があります。
 腹部の筋肉といえば腹筋(腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋)がすぐに連想されると思いますが、その他に大腰筋(+小腰筋)、腰方形筋があります。そしてこの二つはお腹の深部、背中側に近いところにありますので、お腹の奥や腰部に冷えを感じるといった場合は、大腰筋、腰方形筋の状態や使われ方を確認する必要があります。そして大腰筋と腰方形筋の“使われ方”という観点では、“歩き方”の善し悪しが決め手になります。良い歩き方をしている人は自ずと大腰筋と腰方形筋をよく使っています。ですから、少し散歩するだけでもお腹の中が温まります。反対に歩き方の悪い人は、たくさん歩いて体中が温まったように感じたとしても「なぜかお腹の奥は冷たい」というように感じるかもしれません。
 
内臓を囲む筋肉

 大腰筋の前方には胃、十二指腸、小腸、膵臓、腎臓などの内臓がありますが、大腰筋がよく働いて熱を産生すれば、これら内臓に熱が伝わってその働きが良くなります。反対に大腰筋がほとんど熱をつくっていないような状態であれば、内臓は冷たくなって働きが悪くなります。それは様々な病気の原因にもなりますので、「大腰筋を働かす」ということを是非頭の中に入れていただきたいと思います。

大腰筋を使って歩く
 これまで大腰筋を使わずに歩いている人にとって、大腰筋を使って足を上げて踏み出すという動作はとても難しいようです。理屈は非常に簡単です。しかし実践は難しいと皆さんが仰います。
 歩くことに関する詳細は後日別の記事として投稿しますが、歩く動作は「片脚立ちの連続である」と簡単に表現することができます。小学校の体育などでやった腿上げ運動、足踏み運動です。
 正しい”片脚立ち”は、片方の脚(腰)にからだ全体を乗せて保持することができるということです。中途半端な乗り方では、上げた脚をすぐに降ろさざるを得なくなります。
 例えば、右脚にしっかりとからだを乗せることができれば左脚は自由になります。すると自由になった左脚は軽々と前方に出すことができますが、この“前に出す”動作の最初に働くのが大腰筋です。
 
歩行動作大腰筋01

 右側に重心が移ると左の太股がフッと少し持ち上がりますが、それは股関節の内側の筋肉(=大腰筋)が働くことによって行われます。仮に、右側に重心が乗り切らないのに左脚を出そうとしますと(これは歩き方の悪い人の特徴ですが)、股関節の内側ではなく外側の筋肉で太股を上げてしまいます。長く歩くと太股の外側の筋肉が疲れる人は、このような人です。
 文章で表すことはとても難しく伝わりにくいことですが、歩行の時、どの筋肉を使って脚を前に出しているかはとても重要です。大腰筋を使って股関節の内側を機能させている場合は、その後出した前脚が軸足となってからだを支え、地面を踏みしめる(蹴る)ことも脚の内側の筋肉を使って行うようになりますので、O脚になったりする可能性は低くなります。

歩行時に使う筋肉

 股関節の外側(大腿筋膜張筋)を使って脚を上げている人は、その後の動作を脚の外側の筋肉を使って行うようになってしまいますので、ふくらはぎの外側が張り、小趾側重心で着地して地面を蹴るようになってしまいます。ですから足首の外側(外踝周辺)に問題が起きたり、母趾の使い方もおかしくなるため内反小趾、外反母趾といった状態を招く可能性がとても高くなります。もちろんO脚へと進んでしまいます。

 大腰筋を使って脚を上げ始めるのか、外側の大腿筋膜張筋を使って脚を上げ始めるのか、ちょっと見ただけでは見分けがつきませんし、どちらでも大差ないように思われるかもしれません。しかし筋肉の連動関係や連携関係上、この違いは非常に重要なポイントです。
 散歩するだけで他に特別な運動をすることもなく健康を維持でき、健やかに暮らすことができる人もいます。一方、からだをシェイプアップして健康を実現するために様々なトレーニングや運動を行いながらも「すっきりしない!」といつも感じている人もいます。ピラティス、加圧トレーニング‥‥、毎週一生懸命通い続け、トレーナーの指示に従っても「まったく進歩しているように感じない」という人がいますが、それは根本的なからだの使い方に問題があるからです。内転筋が弱いと指摘され、内転筋を強くするトレーニングを行っても、内転筋がうまく機能できない状態であれば意味をなしません。股関節の外側の筋肉を使って脚を上げ始めてしまう人はこのような人です。立った時、足裏と地面(床)との間に違和感を感じてしまうので、歩いても気持ちよくなりません。

 大腰筋はからだの深部にあるインナーマッスルです。つまり骨格を保持し、体幹を支えるための筋肉です。ジムに通い、たくさんのアウターマッスル(体壁筋)を鍛えてもインナーマッスルの力が弱かったり働きが悪かったりしますと、からだ全体としてのバランスや連携が上手くとれないので、強くなったアウターマッスルもその能力を十分に発揮することができません。
 では、どうやって大腰筋を鍛えるのか? という質問が浮かぶと思いますが、これについては近々投稿したいと考えている“歩き方”のところで考えたいと思います。私たち一般人はアスリートのようにタイムを競ったり、からだの能力アップを追求するわけではありませんので、大腰筋そのものに的を絞ったトレーニングなどは必要ないと考えます。使えば必要な筋力はついてきますので、一般人にとっては「どのようにして使うか?」がポイントになります。太股を上げる筋肉だからといって腿上げ運動をたくさんしたところで、別の筋肉(腸骨筋や大腿四頭筋など)を使ってトレーニングをしていたのでは何の意味もありません。そこは注意しなければなりません。
 大腰筋が上手く使えるようになれば、歩くことが心地良くなります。歩くだけでお腹は温まります。もちろん腰痛も軽減します。体型も良くなります。大腰筋とはそういった筋肉です。

 「朝、目が覚めたとき、からだがべとーっと布団にへばりついているようで、なかなか起き上がることができない。」「朝、目が覚めたときが一日の中で一番疲れを感じ、起き上がってから1~2時間しないとからだの重みが取れない」というような症状をお持ちの方が時々来店されます。
 「その原因は何?」と問われたときに、私は応えに躊躇するときがあります。冷えや寝ている間の血行不良が原因であると考えられるのですが、「冷えや血行不良だと思います。」という応えがあまりにも一般論的で空々しく思えてしまうからです。テレビやインターネットには情報が溢れていますので、皆さんは実際は知識をお持ちだと思います。それを私を通して再確認したいのかもしれません。しかし、一般的な情報はどこか肝心なところが抜けているように思えてなりませんので、なんとなく躊躇してしまいます。
 「冷えが原因」と応えれば「腹巻きをすればいいのか?」などという言葉が返ってきたり、「血行不良が原因」と応えれば「運動すればいいのか?」などという言葉が返ってきます。もちろん、それらのことをしていただければ症状は多少なりとも緩和するでしょう。しかし、ほとんどの場合、決定的な解決策にはなりません。
 とは言え、根本的な原因として考えられるのはやはり“寝ている間の血行不良”です。

 さて、寝ている間の血行、つまり夜中の血液循環について考えるとき、キーワードとなるのは“内臓の働きと副交感神経”です。(正確ではありませんが)非常に大雑把に申しますと、昼間私たちが行動している時には交感神経が優位で、心臓が活発に働き、血管は締まっています。そして血液は脳と筋肉(骨格筋)に集まり大量の酸素を消費します。反対に夜中寝ている間は副交感神経が優位になって血管や筋肉はゆるみ、血液は脳ではなく内臓に集まり、その日食べたものを吸収して栄養化し、肝臓でさまざまに処理されます。つまり夜中は小腸と肝臓が活躍する時間帯です。
 昼間血液が脳や骨格筋に集まるのは酸素を燃焼して細胞を活動させるためのエネルギーを得ることが主目的ですが、夜中に小腸や肝臓に血液が集まるのは、血液の中に含まれている有効成分(=栄養)を得て、次の日にからだがフレッシュな状態で活動できるように細胞を修復し新陳代謝を行うためです。これも大雑把ですが、そう考えても良いと思います。
 ですから、朝フレッシュな気分で爽快に目覚めたいのであれば、夜中に血液が小腸や肝臓に集まり、さらに小腸や肝臓が大いに活躍できる状態が必要です。そこで出てくるのが自律神経の問題です。胃や十二指腸、小腸、大腸、肝臓、膵臓、腎臓といった内臓は副交感神経の働きによって機能します。心臓は見方を変えれば血管が膨らんでポンプの働きをするものになったと考えることもできますが、血管の働きを支配する神経と同じ交感神経によって機能しています。
 ですから、寝ている間に小腸や肝臓の活動を高めたいと考えるなら、寝ている間は副交感神経が優位に働いている状態になっていなければなりません。眠りが浅く、寝ている間も脳が活動しつづけているような状態は交感神経が働いているということですから内臓の働きは弱まります。一般に言われる「ストレスで自律神経失調状態になる」状況の一つです。

食物の消化吸収と血液循環の流れ

 また、内臓が十分に働ける状態になるためには“熱”が必要です。
 私たちが食べたものは胃で消化され、十二指腸で更に消化され分解されて小腸に送られます。そして小腸で栄養が吸収されて血液の中に入ります。その栄養豊かな血液は肝臓に真っ直ぐ送られ、肝臓で解毒され、からだを健康に維持するために必要な物質(ペプチド、タンパク質など)に合成されます。つまり究極的には、食べた物質がからだを維持するために必要な物質に変換され場所は肝臓であると考えることができます。肝臓の入口から入る血液は栄養で満たされ、肝臓の出口から出る血液は即戦力に満たされた状態です。その後血液は心臓に戻り、肺に送られてガス交換がなされ酸素を含んだ新鮮な動脈血として全身の細胞に行き渡ることになります。
 (副交感神経にコントロールされている)内臓の働きの柱の一つは食べたものを消化・吸収・栄養化し、からだを維持するために必要な物質に変換することですが、その作業を実際に行っているのは各器官や細胞内にに存在している“酵素”です。“酵素入り洗剤”というCMで、どなたも“酵素”という名前はご存じだと思いますが、酵素は物質をまったく違った物質に換えてしまう職人であり、魔法使いのような存在です。赤ちゃんを産んだお母さんからは母乳がでますが、母乳の元は血液です。血液が乳腺を通過した瞬間、あっと言う間にそれは血液とはまったく違う白いミルクに変わるわけですが、その技を行っているのは酵素です。タンパク質をアミノ酸にまで分解したり、炭水化物をブドウ糖にまで分解するのは酵素の働きによるものです。そして肝臓や細胞内でアミノ酸をタンパク質に合成するのも酵素です。脳から分泌されてからだの各部分に働き促すホルモンも酵素の働きによってつくられます。ですから体内の酵素がしっかりと働いてくれることが、からだを健康に保つための秘訣になりますが、酵素は温度(体温)がないと十分に働くことができません。
 私たちの平熱は36~36.5℃かもしれませんが、お腹の中や脳内の温度は37℃に厳密に管理されているといいます。37℃が酵素の働きに最適だからです。このことを私たちはもっともっと重く受け止める必要があると思います。学校教育の現場でももっとしっかり教えて欲しいと思います。今は、お腹を冷やすことを平気で行っている人たちがたくさんいます。その一方で、若い年代から成人病のような症状になったり、婦人科系の病気に悩まされたり、うつ症状が現れる人が増えています。内臓や脳の働きが機能不全に陥っていると考えることもできますが、その原因は「酵素の働きが悪いのかもしれない」という視点に立つなら「お腹を冷やしてはいけない」という“教え”がもっともっと浸透しなければならないと思います。
 お子さんやお孫さんがアイスクリームが好きだからといって頻繁に食べるのを許してしまうのは間違いです。冷たいビールが好きだからといってガボガボ飲んで直接胃を冷やしてしまうのは間違いです。

 “朝スッキリと目覚める”ためにはどうすれば良いか? という話題に戻ってもう一度考えてみます。
 仮に睡眠時間が6時間だったとして、目覚めたときから眠りにつくまでの18時間を私たちのからだ(骨格筋)や頭(脳)は何らかの活動を行っていることになります。すると骨格筋の筋細胞や脳細胞や血液細胞は疲労します。その疲労を翌日に持ち越さないために、6時間の睡眠時間の間に私たちのからだは傷ついた細胞を修復したり、新しい細胞と交換(新陳代謝)する作業を行っています。そしてその作業で必要な原材料は、その日や前日に食べたものから得た栄養やそれを肝臓で加工した物質(ほとんどはタンパク質)です。
 もし交感神経系に抑圧されて副交感神経系の働きが悪かったとしますと、小腸は栄養を十分に吸収できず、肝臓は修復や新陳代謝に必要な材料を十分につくり出すことができません。お腹が冷えていても同様です。そうなりますと次の朝は古いからだ、傷ついたままのからだで目覚めなければなりません。これが根本的な原理であると私は考えています。
 副交感神経の働きと内臓の適切な温度という必要条件を外したままで、いろいろなサプリメントなどを摂取したところで大きな効果は期待できないと思います。何故なら、そのサプリの有効成分を小腸が吸収できなければ本当の意味で体内に入っていかないからです。
 もちろん私たちのからだは、0か、100か、という感じで機能しているわけではありませんので、副交感神経の働きが悪かったとしても、お腹が冷えていたとしても、20とか30、あるいは50とかの効果はあるかもしれません。それは個人差の領域です。(100%近く効き目がある“薬”というのはどういう仕組みなのでしょう? それはそれで怖い気もしますが)

 ストレスは交感神経系の働きを亢進させる、つまり副交感神経系の働きを抑圧することがわかっています。ですからストレスをどう処理するかは“心地良い目覚め”に関係するでしょう。また、交感神経系は基本的に血管や血流をコントロールする神経ですので“からだの冷え”にも関わってきます。血液を体表の血管にまわして熱を放出するか、深部の血管にまわして体表は冷えても深部の熱が奪われないようにするかは交感神経系の働きなのかもしれません。(自律神経の働きについては改めて考察したいと思います。)

 マッサージなどでリラックスすることは副交感神経系の働きが高まったことを意味しますが、私は呼吸が整うことの方が効果が高いと感じています。
 “呼吸”については幾度となく取り上げ説明してきましたが、理想に近い呼吸状態を実現することは、思いの外難しいことでもあります。それが多くの人たちにアドバイスしてきた実感です。呼吸が整うと即座にからだは温まり出します。なんとか自宅でも良い呼吸をしていただきたいと思い、時々、一切からだに触れることなく言葉を掛けるだけでリードし、自分の力で呼吸を調整していただくことがありますが、「ここ(ゆめとわのベッド)では出来ても、何故か自宅では出来ない」とほとんどの方が仰います。
 自律神経系は私たちの思いや意志とは関係なく勝手に働いていますので、自律神経の調整を意図的に行うことなかなか難しいことです。しかしながら一番手軽な手段として“呼吸を調整して自律神経のバランスを回復させる”ことができると考えています。ただし、“その時”だけでなく、“いつも”良い呼吸ができていなければなりません。ゆっくりと息を吐き出す過程(解放)は副交感神経系、息を止めてしまう(息詰まり)のは交感神経系です。そんな風に感じています。

 日々のストレスをなくすことはほとんど無理でしょう。ですから頭をすっかり切り換えられる何かを持っていただきたいと思います。音楽を聴くだけではなく、実際に楽器を弾いてみてはいかがでしょうか。
 お腹が冷えていると感じている人は、あるいはそう感じていなくても目覚めが悪いと感じている人は、ゆっくり歩いてみてはいかがでしょうか。地面に立つ自分をたくさん感じながら、足裏が地面を踏みしめていることを実感しながら歩くことは開放感につながると思います。するとお腹が温まってくるかもしれません。
 自律神経系は私たちの意図、思考とは関係なく動いています。「そんなことで良くなるはずはない!」と私たちの頭が思ったとしても、それとはまったく関係なく、バランスが良くなるかもしれません。

 今回のテーマ「寝起きが調子悪い」につきましては、確実な解決策や「施術によって改善される」という結論的な説明にはなりませんでした。
 しかしながら私がこれまで携わってきた経験で申し上げますと、ここに記しましたとおり改善のためのキーワードは副交感神経とお腹の熱だと感じています。この問題で悩まれている方がいらっしゃいましたら、一度考えてみていただければと思います。

 この寒さの厳しい季節、来店される方の多くは案の上、体の芯が冷えています。腰が重たい、関節の動きが悪い、膝が痛む、お腹が張る等々、体が冷えるだけでもたらされる症状があります。体の機能は本当に正直で、温かい時期は不調を感じなかったものが、体の芯がちょっと冷えただけですぐに不調を訴えるようになります。
 さて以前にも、体の冷えに対しては足裏の小腸区を施術するのが効果的だと記しました。今回はそれに加え、手の反射区への施術を紹介します。
 
手の小腸区施術

 私の母が薬の飲み間違いで、昨年12月に入院した話の続きになりますが、彼女は激しい口内炎になり、一時的に水すら口に入れることができなくなりました。食事を摂っていないので当然体は冷えます。私は一日おきに見舞いに行きましたが、その時必ず行っていたのが、手と足裏の反射区への揉みほぐしと、お腹への施術と、ツボの合谷と足三里への指圧でした。退院して一月ほど経ちますが、今でも毎朝20分くらい手と足裏の反射区への揉みほぐしを行っています。
 体が冷えていますと、この反射区の部分(うんと奥の方)はコリコリと硬くなっています。それを揉みほぐすのですが、最初はじんわり優しい感じで始めますが、すると次第に奥の硬い部分が浮き上がってきます。そこまでは本人も平然と気持ちよさそうな顔をしていますが、それから浮き上がってきた硬いコリコリをかなり強めの力で指圧しながら揉みます。すると途端に顔が歪んでいき、もだえるほどに痛みを感じるようになります。「普通の人はきっとこのあたりで止めてしまうのかな?」と思いながら、私は力を弛めません。あまりにも痛がるようでしたら揉みを止めジワーッと指圧するだけに変えます。すると間もなくコリコリだったところがフワーッと弛むようになって血液が回り出すのが感じられるようになります。ここまで到達しますと「なんだか背中が温かくなってきた」という母の言葉が返ってきます。
 それを両足裏、両手へと20分くらいかけて行っていますが、顔色が良くなって目に輝きがでるようになります。[目がハッキリしてきた」と言いだし、体全体の筋肉も柔らかくなります。

 私は来店される方々に必ずと言っていいほど手と足裏への施術は行いますが、今の時期は小腸区から太陽神経叢(腹腔神経叢)への施術は念入りに行っています。
 私はいわゆる足つぼマッサージもメニューに入れていますが、足の反射区に関しては全部を信じているわけでもありません。(経験的に効果を実感していないという意味です。)それでも、胃・膵臓などの消化器系、腎臓、小腸、頭については効果を実感しています。
 反射区への施術のポイントは、全部をまんべんなく刺激するよりも、焦点を絞ってしつこいくらい念入りに行うことです。そうすることで反射区は嘘ではないということがわかります。ちょこちょこっとやっただけでは“ただ気持ちいい”“足がスッキリした”で終わってしまうでしょう。

 この時期、体の内部が冷えていると感じる方は、是非小腸区から太陽神経叢にかけての部分を痛みに耐えながら指圧してみてください。

小腸区への刺激
 

 10日ほど前に「目の下のくま」を改善したいと顔の整体を受けに女性が来ました。くすみは比較的簡単に改善しますが、目の下のくまは内臓からの影響もありますので、そう簡単には改善しない場合が多いです。
 この方は、噛みしめの癖もあって首や肩もガチガチに凝っていました。腰も痛く仰向けで寝ることができません。さらに、お腹がパンパンに張っていて呼吸も良くありません。施術はまず本人の希望通り、顔の整体から始めました。
 噛みしめを取って、顔の骨格を整え、特に目の下のゆるんでいる部分はしっかりするようにしました。施術をしながらいろいろお話しを伺っていくと、もう長い間お腹の調子が良くないとのことです。3~4年前からは消化器科の病院を頻繁に訪れるようになり、それでも胃腸の調子が良くならないので漢方薬やいろいろなサプリメントを試しているとのことです。そしていつも体全体が冷えていて血行が悪いと言っていました。
 目の下のくまは、きっとこのお腹の調子や血行不良と関係しているはずです。お腹の状態は腹筋がとても硬くなっていて、本当はそれほど太っているわけでもないのに、お腹全体が腫れたようになっているので本人も太ってしまったと思っていました。食事を摂ってもすぐに胃が張ってしまい一人前を満足に食べることができないということです。
 私としては“目の下のくま”のことよりも先にお腹の問題を改善するべきだと考え、そのように施術しながら話しました。初回は多くの時間、顔の施術に時間を費やし、お腹への施術は少ししかできませんでしたが、「まずお腹を良い状態にしましょう。そうすれば目の下のくまの問題はだんだん改善されていくはずです。次回はそのつもりで来てください。」と言いました。
 それから3日して「胃と腸が痛くなり、吐き気もしたので病院に行ってきたが、それでも施術はできますか」と連絡が入りました。私は「こちらに来た方が、その痛みや吐き気はすぐによくなると思いますよ」と返事を返して来店していただきました。来店時は胃と下腹部(小腸)のところを手で押さえた状態で、体が真っ直ぐに伸ばせませんでした。胃腸に痛みが出たのは気候が急に寒くなったことが関係あったのかもしれません。とりあえずベッドに仰向けで寝ていただきお腹への施術を始めました。みぞおちのところの腹筋がコチコチに硬くなっていました。この硬さによって胃が圧迫をうけ痛みにつながっているのだと思いました。さらに下腹部全体がパンパンに張っていて呼吸も満足にできない状態です。ともかく痛みと吐き気を取るのが先決です。腹筋への施術を10分くらい続けていると、痛みも取れ体が少し温かくなってきたということです。その後、ホットパックでお腹を温めながら足裏と手のひらの胃と小腸の反射区を揉みほぐしました。それから後はずっとお腹への施術のみを行いました。施術時間は60分でしたが、胃に痛みは少しは感じるが、その他はだいぶ楽になったということで帰られました。
 そして一昨日の朝電話が入り「胃腸の調子はよくなって食事も普通にちかく摂れるようになったが、体がすごく冷たく感じてしまい、喉の調子が悪く咳が出てしまう。」と来店されました。今回の施術もお腹が中心です。相変わらずお腹は張った状態で呼吸の状態も良くありません。施術を始めて15分くらいすると「体が温まってきた」と言い、それから「今まで血行不良が原因で体が冷たく胃腸が悪いのだと思っていましたが、お腹が原因なのですか?」と質問されました。
 私は「だいたいそうです。お腹というより腹筋がこわばってしまい、それによって腕や脚の筋肉もこわばり、肩関節や股関節が詰まってしまい血液循環が悪くなっているのでしょう。こうして腹筋が少し伸びると関節での血行も改善するので全身の血液循環が良くなり体が温まるのだと思います。そして腹筋が伸びやかになると、腹筋の下にある胃や腸の動きもよくなり、そうなることでさらに体が温まるのだと思います。腰の筋肉がガチガチに硬くなってしまうのは腹筋の働きが悪いからで、腹筋の状態が良くなれば自ずと腰の筋肉もゆるんで痛みはなくなります。」と答えました。実際、腹筋の働きが悪いと、体を支えるために腰の筋肉が本来以上に頑張るためとてもこわばります。仰向けで寝られないというのは腹筋に原因がある場合が多いです。

 ところで、筋肉は冷えにとても弱い性質を持っています。今の時期、朝の寒さの中では手先に力が入らず思うように動かせなくなりますが、それは筋肉が冷えに弱いからです。胃や腸といった内臓も筋肉でできています。ですから、お腹が冷えますと当然内臓の働きも悪くなります。さらに腹筋の働きも低下しますが、すると多くの場合、みぞおちの辺りがこわばります。そのこわばりが胃を圧迫し肝臓の働きにも影響を与えると考えられます。胃は痛みや気持ち悪さ、膨満感などで私たちの感覚に訴えますが、肝臓は沈黙の臓器ですので何も訴えてきません。しかしその位置が胃の右側にあることを考えると、みぞおちの硬さは肝臓にも影響を与えていると考えるのが自然です。
 
腹直筋施術

 腹筋の調整方法を言葉にするのは難しいですが、だいたい臍を中心とした部分の少し深めのところに手を当てます。お腹が冷えているときの腹筋は、表面は柔らかいのですが、少し手を深く入れた行きますと、硬い板状のものに突き当たります。それが硬くなって動きの悪くなった腹筋です。施術をしばらく継続していますと腹筋の働きが少しずつ回復してきます。すると、なんとなくお腹が伸びたよう感じになります。そこで止めずにさらに施術を続けていますと徐々にみぞおちのこわばりがゆるんできます。そうなることで胃が動ける状態になり、やがて胃の不調は改善していきます。

 冷え症は手や足の冷えが主な部位ですが、体がガクガクするような寒気や、ふるえるような寒さを感じるのは低体温による冷えです。体が芯から冷えています。この場合、体が普通の状態の人であれば、運動をしたり、暖をとったり、湯船に浸かったりすれば症状はやがて消えていきます。ところが慢性的にお腹が冷えている人は、外から温めたり、温かい食べ物を摂ってもその場限りで、すぐに冷たくなってしまいます。一般的に冷えは体質であったり、血行不良が原因であると考えられているかもしれません。しかし私が施術を通して経験したところでは、腹筋の状態と呼吸の状態が悪いことが原因である場合が多いと思います。どう表現すればよいかわかりませんが、呼吸は大きな波であり、うねりです。呼吸の状態が良い場合は、呼吸のリズムに合わせて体全体がゆったりとしたひとつの波で調和します。ところが呼吸の悪い場合は、お腹だけペコペコ上下に動くだけだったり、あるいは胸だけがハッハッと動くだけだったりで、波にはなりません。そんな場合でも腹筋の状態と胸郭の状態を改善すると、それまでペコペコだったものが、いきなり息が大きく入るようになって呼吸の波が生まれるようになります。するとどんどん血液が回りだすのか顔色も良くなり体が温まってきます。そしてこわばっていた腕や脚の筋肉もゆるんできて、私から見れば「ああ、ちゃんとした体になったな」と感じられるようになります。

 体の冷えや血行不良に対しては、体を温める食物やサプリメントや漢方薬が有効であると思われているようです。それはそれとして大事かもしれませんが、腹筋の働きを良くすることと呼吸で胸郭がちゃんと可動するようにすることの方がよっぽど早く効果が現れると私は考えています。
 冷え対策にテレビや雑誌などで紹介されている方法を試しても、たいして効果が感じられない人は、是非腹筋の働きが良くなるよう調整してみてください。

 私たちの体温(平熱)は36~36.5℃の間に保たれていますが、それは体の生理機能が潤滑に順調に働くためです。風邪など引いて、これより1℃高くなりますと体がだるくなり違和感を感じることは誰もが経験していることです。また、平熱が35℃代になりますと低体温となり、自覚がない人もいるかもしれませんが、やはり体の機能が不完全な状態になってしまいます。
 ところで、腋の下や口の中で計る平熱は36.5℃かもしれませんが、内臓や脳などの深部体温は37℃に保たれています。私たちの内臓では、消化・吸収・代謝という化学反応が常に行われていますが、それは体内の酵素の働きによってまかなわれています。そして酵素は37℃の温度がないと効率よく働くことができません。深部体温が36~34℃の状態になりますと、猛烈に寒く感じ体が震え出すといいます。体が震えるのは、それによって筋肉を動かし熱をつくろうとする体の防衛反応です。
 また“冬山で遭難して凍死した”という話題が時々でますが、“凍死”と言いますと体が凍ってしまったというイメージだと思います。ところが実際は凍らずとも体温が20℃くらいになってしまうと死に至ってしまいます。ですから、低体温には十分に注意していただきたいと思います。

 さて体温はどのようにしてるくられるかという話に移りますが、体熱の80%は筋肉の働きによるものだといわれています。運動すると体温が上がりますし、汗をかきますので、筋肉を動かすことが体熱をつくっていることは想像できると思います。しかし80%も筋肉がまかなっているとは、私もはじめて知ったときはビックリしました。筋肉量が少ない女性や痩せた人が寒さに弱いという理由がこれでわかる気がします。(資料によって数字はまちまちですが)

体熱の産生

 安静時の熱産生量をみますと、産熱の主体は肝臓など内臓に移りますが、それでもほとんど働いていないはずの骨格筋(体を動かす筋肉)が18%の熱を産生しています。これは筋肉が収縮することによる産熱ではなく、筋細胞の活動による代謝産熱と考えられます。しかし私の実感としては、産熱量はもっと高くなる可能性があると感じています。
 例えば、ふくらはぎの筋肉がゆるんで働きが悪い場合、私はそこに手を当てて筋肉の働きが良くなるように施術をします。簡単に言えば、ふにょふにょの状態を張りのある状態にするということですが、そうしますと筋肉全体の細胞が元気を取り戻すのが感じられます。そして多くの人が「体が温まってきた」と言います。筋肉を揉んだり動かしたりしているわけではありません。ただ筋肉の変調を整えただけです。それだけで熱は生み出されますが、はっきりと体が内側から温まるのが感じられるくらいですから、骨格筋の安静時の発熱量はもっと高くなる可能性があると思うのです。
 ですから平熱が35℃代の人は、筋肉トレーニングによって筋肉量を増やすことも一つの手段ですが、筋肉の状態を整える方が素速く効果を期待することができますし楽だと思います。この施術には技術が必要ですので、残念ながら誰もができるというものではありません。こちらに来ることができる方で、冷えや低体温が気になる方は是非施術を受けに来てください。
 また、肝臓・消化管・腎臓といった内臓も熱をつくっていますので、食欲の旺盛な人は体が温かいという理由もうなずけます。食が細くて痩せている人は、冬の間だけでも温かい食べ物を多く摂るよう工夫をしてみてください。

↑このページのトップヘ