ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

カテゴリ: 顔面・頭部

 「上部頚椎を整える」ことを専門にしているカイロプラクティックや整体院があります。上部頚椎というのは頚椎1番と頚椎2番のことですが、意味するところは頭蓋骨の基部である後頭骨と首との接続部分を整えると全身に影響が及び、からだが元から改善される可能性があるということだと思います。
 後頭骨と頚椎1番の関節部分は、その周りに筋肉を含め軟部組織が分厚くありますので直接触って状態を観察するのはなかなか難しいところです。また、歪みの状況が解ったとしても、それを素速くきれいに修正するのはなかなか難儀だと私は感じています。カイロプラクターや骨を直接動かす施術を行う整体師は「コツン」と軽く一撃することで歪みを修整するということですが、私はそういう技を持っていませんので修正に時間を要してしまいます。
 しかしながら、この部分が歪んでいるために首の動きが制限されていたり、「痛くて首を動かせない」状況だったり、さらには目や耳など感覚器官の働きが「今一」だったりすることがありますので、からだの能力を十分に発揮できるようになるためには、整えておかなければならないところだと考えています。

目の働き、舌の動きに影響する環椎後頭関節
 頚椎1番のことを専門用語として環椎(かんつい)と呼びます。私たちが軽くうなずいたり、少しだけ顎を上げたりする動作は、頭蓋骨(後頭骨)と環椎の間の関節(環椎後頭関節)で行われています。後頭骨は環椎の上で前後に滑るように少し動きますので、頭を少しだけ動かす時にはほとんどこの関節だけを使っている感じです。

 あるデザイナーの人は一日中パソコンを使ってデザインの仕事をしていますが、瞼が重たくなってしまい目を開けていることが辛い状態です。それでも目を開けていないと仕事になりませんので、頭の筋肉を使って瞼を引き上げているため頭もカチカチに硬くなっています。そんな辛い状況でも頑張らなければならないため噛みしめ癖も持つようになってしまい、更に辛い思いをする日々を過ごしています。

 私が施術を行った直後は、症状は軽快します。しかし、1分くらい座ったままでいますとまた瞼が重たくなってしまいます。原因について、いろいろな可能性を考えて対処しましたが「うまくいったようで‥‥、やっぱり駄目か」という状況が続きました。
 私も悩みまして「あと残った可能性は?」などと自問していましたが、すると「もしかしたら頭が乗っている位置が狂っているのかも」という思いが浮かび上がってきました。そこで、座った状態で頭を少しだけ後に引いてみました。すると“どよ~ん”としていた眼や瞼が開き出しました。そして私が頭から手を離して、再び元の状態(少し頭が前に出た状態)に戻ってしまうと、また“どよ~ん”としてしまいます。
 「頭の位置が悪くて脳の血流が悪くなっている」と私は思いました。

椎骨動脈(ついこつどうみゃく)
 心臓から頭(脳や顔面)に動脈血を運ぶルートには“頚動脈”と呼ばれて多くの人が知っている内頚動脈と外頚動脈がありますが、それ以外に頚椎に沿って進む椎骨動脈があります。

脳を養う内頚動脈と椎骨動脈

 椎骨動脈は鎖骨下動脈から枝分かれして頚椎6番の横突孔に進み、そのまま環椎(頚椎1番)の横突孔まで昇っていきますが、その後ほぼ直角に後方に曲がり、さらに大きく前方に曲がって後頭骨の中に入り脳へと進んでいきます(脳底動脈)。血流という面で、頚椎2番(軸椎)と環椎と後頭骨の関係性は気になるところです。
 椎骨動脈は左右2本ありますが、後頭骨に入ると1本に合して脳底動脈という名前になります。脳幹や小脳に血液を供給し、大脳の後頭葉に進みますので、脳の後方循環系と呼ばれます。脳幹には脳神経の核がありますが、鼻、眼、耳、舌といった感覚器官を司っているほか、表情筋とそしゃく筋の働き、嚥下の働きなども司っています。ですから、椎骨動脈の流れが悪化すると視力や視界が悪くなり、瞼の動きも悪くなるということは説明がつくことです。

椎骨動脈の流れ

 先ほどのデザイナーの人は、首に対して頭がちょっとだけ前に出た状態でした。つまり環椎後頭関節にズレが生じている状態ですが、それによって椎骨動脈の流れが悪くなり眼や瞼の動きが悪くなってしまった可能性があります。私が手で頭を後方に少し引っ張ると眼や瞼の状態が良くなったのは、その現れだと思います。

頭(後頭骨)のずれが舌の動きに影響を与える
 「しゃべると顎先が上下に動き、息苦しくなって舌の動きも悪くなる」と訴える人がいます。顎を下げた状態(顎先がからだに近づいた状態)では口を大きく動かすことができなくなってしまうので、言葉をしゃべるときは頭を上向き加減にして顎先を上げるようにしてしまいます。しかしそうなりますと気道がふさがってしまい呼吸が苦しくなって言葉を続けることができなくなってしまうということです。顎を下向き加減にすると呼吸ができて楽になるのですが、すると口が開かず喉が詰まるようになってしまいます。ですから結局この人は、言葉をしゃべりながら顎先を上下に揺らすようにしています。
 その他、この人は舌が硬く思い通りに動かせないという症状を抱えていました。現在、この問題はほとんど解決されましたが、動かない舌を無理して動かし続けていたことが今回の問題につながっているのかもしれません。
 
頭長筋と後頭下筋群の関係

頭長筋と頚長筋と斜角筋

 頭蓋骨と首の骨(頚椎)との接点は後頭骨と環椎(第1頚椎)で、環椎後頭関節と言います。環椎後頭関節は、環椎に対して後頭骨が前後に滑ることができる構造になっています。私たちがうなずいたり、ちょっと頭を上げたりする動きは後頭骨が環椎の上を滑ることによって行われますが、その動きをもたらす主な筋肉は頭長筋(とうちょうきん)と後頭下筋群です。頭長筋を収縮させることによって後頭骨の底部が前下方に引っ張られ、うなずく動作が行われます。スマホを見る、読書をするなど“ちょっと下を向き続ける”動作は頭長筋を収縮し続けることになりますので、頭長筋がこわばる可能性が高まります。(頭長筋がこわばったことによって頭部が下を向いた状態では後頭下筋群は張ってしまい、後頭部の頭痛や首後面の張りをもたらす可能性があります。)

 さて、この人は頭長筋も、その下にある頚長筋(けいちょうきん)もこわばっていました。動きづらい舌を無理して動かしていたたために喉周辺の筋肉も強くこわばっていましたが、合わせて頭長筋も頚長筋もこわばってしまったのだと思います。それによって常に頭や顔は下向き状態になっていますので、舌骨を含め喉が下顎に近づいた状態になっています。下顎を大きく開けようとしても舌骨や喉のところで詰まってしまうので、しゃべるときには自然と顎先を上げてこの状態を回避するのだと思います。
 顎先を上げる動作では後頭下筋群を収縮させることになりますが、張ってこわばった状態の筋肉をさらに収縮させなければならないということもあって、気道がふさがってしまう状況になってしまうのかもしれません。

 今回、この人に対する施術はこわばっている頭長筋と頚長筋をゆるめることでした。頚長筋は頚部から胸部までつながっていますが、そこそこ触ることができますので、こわばりを解消することが、まあ可能です。一方、頭長筋は一部しか触ることができません。ですから満足するほどこわばりを解消することはできませんでしたが、それでもまずまず成果がありました。下向き状態だった頭蓋骨はほぼまっすぐな状態になり、張っていた後頭下筋群もゆるみ後頭部に余裕が生まれました。そして、顎先を上げずとも口を大きく開くことができるようになり、頭を上下に揺らすことなくしゃべり続けることできるようになりました。

後頭骨と上部頚椎と椎骨動脈

椎骨動脈の走行

 椎骨動脈は頚椎の横突起にあります横突孔という穴の中を通って頭部に昇っていきますが、第3頚椎から軸椎、そして環椎のところで弯曲が生じ、環椎の横突孔を抜けた後はほぼ直角に後方に曲がります。その後、上関節窩(椎骨動脈溝)を大きく回り込み後頭骨に入って前方に進みます。後頭骨と環椎と軸椎は頭を動かす度に動きますので、椎骨動脈は大きくうねった状態で常に伸び縮みを強いられていることになります。

椎骨動脈の関節突起回り込み比較

 仮に頭長筋がこわばって後頭骨が前下方に引っ張られた状態になりますと、環椎の上関節窩(椎骨動脈溝)を回り込む辺りが圧迫を受け、血流が悪くなる可能性があります。
 先ほど例として取り上げたデザイナーの人は、頭部を後側に少しずらすことによって眼の働きが良くなったわけですが、それは環椎に対して前方にずれていた後頭骨を正しい位置に戻したので椎骨動脈の流れが回復し、脳の働きが良くなったからだと考えることができます。

上部頚椎と後頭骨を整えることの意味
 冒頭の話題に戻りますが、上部頚椎を整える専門家は「上部頚椎を整えると全身に影響が及び、からだが快適になる」というようなことを仰います。「首を整えると脳が体を治しだす」という題名の本もあります。
 私は、この方々が提唱されていることを「そうかもしれない」と思いながらも具体的にはどういうことを意味しているのか理解できないでいました。理屈を聞かされても今一、なんとなく漠然としているように感じられて腑に落ちませんでした。上部頚椎を整えることで確かに骨格の歪みは改善され、首の動きが良くなって肩こりが改善するというようなことは想像しやすいことですが、だからといって大したことではないと感じていました。ところが、ここにきてやっとその意味がわかりかけてきました。まだ途中の段階で、日々検証している最中ですが、上部頚椎と後頭骨の関係が整いますと椎骨動脈の流れが良くなる可能性があって、そのことがからだに様々な良い影響を及ぼすからなのではないかと思い始めています。
 左右の椎骨動脈は合流して脳底動脈となり、脳幹に血液を供給し、小脳と後頭葉へ血液を供給します。ですから椎骨動脈の流れが良くなりますと脳幹と小脳の働きが良くなるという理屈になります。
 脳幹には脳神経の核があります。脳神経は嗅覚、視覚、聴覚、味覚、そしゃく、嚥下、表情筋(顔面神経)などを司っています。ですから、脳幹の働きが良くなりますと、視界が広がってよく目が見えたり、耳の働きが良くなったり、嚥下や舌の動き、しゃべりが楽になったり、顔のたるみが軽減したり‥‥という現象が現れるはずです。
 そして実際、後頭骨と上部頚椎の関係性を整えますと、そのような現象が現れました。

 また、「座っているときは頭やからだがふらついたりすることはないのだけれど、立ち上がるとからだがふらついてしまって前に倒れそうになる」と訴える高齢者の人に対して、後頭骨の位置を整える施術を行いますとふらつきがなくなり、安定して立っていられるようになりました。これは小脳の働きが良くなったからなのではないかと思っています。

 脳幹や小脳の働きは勿論これらのことだけではありませんので、これからもいろいろ観察していきたいと考えていますが、からだを根本的に変えていくための方法や可能性が少し見えてきたような気がしています。
 「首を整えると脳が体を治しだす」という意味は、具体的には脳幹と小脳、そして後頭葉の働きがパワーアップするということかもしれません。それによってからだが自然と自らを治癒して改善し、より高いレベルの健康を実現できるようになるのかもしれません。
 「小脳」は私たちにとってまだまだ未知の領域ですが、私にとっては魅惑的に感じる存在です。そんなことも含めて、改めて投稿したいと考えています。


足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ http://yumetowa.com

  例えば自分の力では持ちきれないような重たい机や棚を移動しなければならないとき、私たちは歯を食いしばって持てる力の最大限を発揮しようとします。また、野球選手がバットでボールを叩く瞬間、バレーボールの選手がスパイクを打つ瞬間、顔が歪むほどに歯を思い切り食いしばっている姿をスローモーション再生で見ることがあります。
 通常の状態を超えて筋肉の能力を最大限に発揮しようとする時、自然と私たちは噛みしめたり、歯を食いしばったりして対応しているわけですが、それは私たちのからだが、そしゃく筋を収縮させることによって馬鹿力が発揮できる仕組みになっているからだと考えることができます。

 ところで、歯ぎしり癖、噛みしめの癖、食いしばりの影響でからだが歪み不調を感じたり、健康を害している人はたくさんいます。頭痛の多くは噛みしめ癖の影響ですし、顎関節の不具合、噛み合わせの不具合、歯茎の問題などはこれらの癖の直接的な影響によるものです。ですから「なぜ歯ぎしりをしてしまうのか?」「なぜ噛みしめ癖を持ってしまうのか?」という疑問に対する答えは健康を維持する上で重要なことだと言えます。
 最近は、3歳や4歳くらいの小さなお子さんでも「歯ぎしりをしている」という話をしばしば耳にします。「そんな小さいうちから不健康に向かっているのか‥‥」と私は内心ショックを受けます。

 私は仕事上、不調を抱えたたくさんの方々に触れてきましたが、多くの人が噛みしめ癖などでそしゃく筋がこわばり、顎関節が硬くなっていたり、あるいは手指や手のひらがとてもこわばっていたりします。「どうして皆さん、こんなに手がこわばっているのだろう?」とずっと考えていました。私のところに幾度か来店された人はよく知っていることですが、私は手や手指のこわばりをたくさん揉みほぐします。それらのこわばりが腰痛に繋がっていたり、下半身の不具合に繋がっていたりしますので、中途半端に妥協することなく念入りにほぐして筋肉の変調をとります。

 例えば私自身の場合は、仕事として手や手指をたくさん使いますので、私の手がこわばっていたとしてもそれは原因がはっきりしています。”仕事が原因”ということです。一日中、パソコンのキーボードを叩いている人はやはり手がこわばりますので、私と同じようなものです。ピアノをたくさん練習していたり、重たいものを持つことが多かったり、手を使うことの多い人は手や手指がこわばるのは理解が及ぶところです。ところがそれほど手を使うことをしていないのに手が強くこわばっている人がいます。「どうしてなんだろう?」とずっと考えていました。そして、ある時「もしかしたら、ついつい手を握ってしまう癖を持っているのかもしれない」との思いが浮かんできました。それから多くの人を、そのような観点で観察し始めるようになりました。
 首肩を揉みほぐすためにベッドにうつ伏せで寝た状態の時、左手は開いた状態なのに右手は軽く握った状態になっていたり、親指だけ曲げていたりと、皆さんいろいろな手の癖を持ています。痛みをこらえるとき手を強く握りしめてこらえる人もいれば、手足は平然としてお腹に力を入れてこらえる人もいます。「手を握ってください」とお願いしますと、親指を中に入れたゲンコツを作る人もいれば小指側を中心に手を握り親指は外に出したままの人もいます。
 これらを”その人の単なる癖”と考えることもできますし、”からだの使い方がそのようになってしまう状態にある”と考えることもできますが、私は後者の考え方をしています。

いつも手が凝っている人
 その方の職業は全身をケアするエステティシャンです。開業されて3年ほどですが、仕事の疲れもあって毎週来店されています。この方の両手はいつも強く凝っています。「まだ経験も浅いし、女性にとって全身ケアの仕事は重労働なので、手がこんなに凝ってしまうのかな?」と私はずっと思っていました。ところが「この一週間はほとんど仕事をしていないのに‥‥」ということでしたが、やはり手が凝っていましたので「何か怪しい」と私は思いました。
 手の強く凝った状態は必ずからだにいろいろな不調をもたらしますので、一通り施術を行い「まあまあの状態」になったところでテストをしてみました。
 このテストは単純で、手を開いた時と握った時ではどちらがからだを支える力が強いか、奥歯を合わせて噛みしめた時と顎を開いてそしゃく筋を伸ばした時ではどちらがからだを支える力が強いか、というものです。一通り施術した後ですので、手のこわばりもほとんど解消された状態でテストを行いました。するとこの方は、手を握った時と奥歯を噛みしめたと時はからだを支える筋肉がしっかりし、手を開いた時とそしゃく筋をゆるめた時はからだを支える筋肉の能力が明らかに落ちました。
 「これが、この人がいつも手を強くこわばらせ、そしゃく筋を硬くこわばらせている理由なんだ。仕事で手を使っていることが主な原因というわけではないんだ。」と私は思いました。「手を握り、噛みしめていないとからだを支えることができない」ということがわかった瞬間でした。
 ところで、これは不自然な状態です。軽い力であっても手を握るという行為は腹側(屈筋側)に刺激を入れて筋肉を収縮させていることですから、意志とは裏腹にからだが緊張状態になっているということです。
 この方の常態化している悩みの一番は、目がおかしいことです。「見えにくいわけでもないが、自分の目ではないように感じる」という症状を抱えています。そして仰向けで寝ると、枕を首にあて、顎が上がった状態、つまり顎を突き出して上を向いた状態になっているのですが、そのことが私はいつも気になっています。喉周辺が緊張し続けているため、そのようにしないと気道が確保できないのかもしれません。

 さて、この”手を握ると力が入る”という不自然な状態をどのように修正していけばよいのか? それが課題です。
 改めてじっくり観察していきますと、どうも顔や頭部に何か問題がありそうな気配を感じましたので、丁寧に頭から触っていきました。すると額の上、髪の毛の生え際より少し上のところに凹んでゆるんだ部分がありました。試しにその部分に手を当てながら、筋力テストを行ってみました。するとそれまでとは逆転して、手を開くと力が入り、顎を開いてそしゃく筋をゆるめると力が入る状態になりました。
 そして「手を握り続けてみてください。」「疲れて手を開きたくなりますか?」と聞いてみました。すると、それまでは手を軽く握った状態でいることが安心感のある状態だったものが、「手を開きたくなる」という状態になりました。私の手は、凹んだ部分に軽く当てたままの状態です。
 「ここに古傷の凹みがあるのですが、何か心当たりはありますか?」と聞いてみました。なかなか思い出せないでいましたが、「もう20年くらい前だけど、階段ですべって頭を何処かにぶつけたときの傷かもしれない」と仰いました。
 その後、しばらく私はその部分に施術を施しましたが、それだけでからだ全体がゆるみリラックスしました。顎を上げて上を向いた状態だった首もほとんど真っ直ぐな状態に変わりました。いつも緊張感が漂っていた目の周りがゆるみ、穏やかな眼差しに変わったことがとても印象的でした。

 さて、その凹んだ古傷のところのケアについてですが、髪の毛のないところであれば、いつもの「貼りもの」(ダイオードやマグレイン)を貼って修復を補うことが出来るのですが、この部分は無理ですので「一日に何度もこの部分に手を当ててケアしてください。」とアドバイスしました。
 これは文字通り「手当て」ですが、「そんなことで良くなるのか?」と皆さん思われます。私から見ると意味のないストレッチや筋トレの方が効果的だと考える人がほとんどです。マッサージをしたり運動をしたりする方が「筋肉に効果的」と思われるようですが、こういった古傷が問題になっているときは、丁寧に手を当てて細胞の働きが戻るようにケアする方がよほど効果的です。ですから「真面目にやってくれるといいのですが‥‥」

からだの芯の力を現す中間広筋と薬指
 この項目は完全に私の私見です。ですから本当は間違っているかもしれません。それを念頭にお読みになってください。

中間広筋のテスト

 私はからだの力、つまり筋肉の能力=働き方には二通りがあると考えています。一つは「動くための能力」であり、もう一つは「支えるための能力」です。再三申し上げていますが、筋肉は骨を足場にして自らを伸縮させることでからだの動作を生み出しています。ですから骨格が不安定ですと自らの能力を十分に発揮することができなかったり、こわばって緊張状態になってしまいます。そして「骨格の安定」をつくり出して維持しているのも筋肉の働きなのですが、これをここでは「支えるための能力」と表現しています。
 インナーマッスル、アウターマッスルという言葉がありますが、大雑把に申し上げれば、インナーマッスルが支えるために働く筋肉、アウターマッスルが動作のための筋肉と考えても、そう間違いではないと思います。
 支えるための筋肉がしっかり働くことによって骨格が安定します。すると骨を足場にして大きく伸縮する動作のための筋肉が十分に働ける状態になります。それによって、軽やかにスムーズにからだを動かすことができる、と私は考えています。
 そして、支えるための筋肉の能力を私は「からだの芯の力」と考えています。そして太股前面にある大腿四頭筋の中の中間広筋は芯の力を現していると考えています。
 
階段を降りる_中間広筋

 中間広筋は膝に粘りを与えてくれます。「階段を昇るのは大丈夫だけど、降りるとき膝が辛くて‥‥」「立った状態で玄関の下にある靴を履くとき、ふらついたり不安定になる」という場合、中間広筋の働きが悪いと考えられます。あるいは、トントンと素速く階段を降りることは出来ても、ゆっくり・じっくり降りることが苦手という場合も中間広筋の働きが悪いと考えられます。山登りの時、帰りの下りで膝がカクカクしてしまうのは脚が疲労しているからですが、それは中間広筋の働きが弱くなる現象として現れます。中間広筋は膝を支える地味な働きをしていますが、からだの粘る力、つまり芯の力を現していると考えられます。

 手を握ると力がどうなるのか、奥歯を噛みしめると力がどうなるのか、これらのテストは上記の意味から中間広筋の筋力テストで行いました。
 からだの健康を維持するという意味では、瞬間的な瞬発力よりも中間広筋に代表される「芯の力」の方が大事だと考えられるからです。
 また、以前に記しましたが、手指の中では薬指の力が芯の力を現すと私は考えています。薬指は普段使うことがほとんどありませんので、多くの人は何も気にしていないと思いますが、私はとても気になります。

対立筋テスト示指と環指

 掌の汗、足裏の汗で悩んでいる人、歯ぎしりや噛みしめる癖を持っている人、手を握りしめる癖を持っている人、こういう人たちは中間広筋の力も薬指の力も弱いです。
 からだの芯の力は”リラックスしている状態でのエネルギーの流れ”が大きな影響力を持っているように思います。夜眠っているときや、昼間リラックスしている時でも血液循環は一時も止みませんが、全身の隅々まで酸素と栄養豊かな動脈血が届き、エネルギーを消費して生じた老廃物や炭酸ガスが滞りなく回収されている状態であれば、芯の力はしっかりしていて基礎代謝も増大するのではないかと思います。ところが何処かに血液が十分届かない部分が生じたり、老廃物などの回収が滞ってしまった部分が生じますと、芯の力は弱くなってしまい基礎代謝も不十分になってしまうのではないかと思います。

 仮に、血液の循環に滞りがあり芯の力が弱かったとします。その状態では思考の速度が遅くなり、生理機能が弱くなってしまいますので、私たちは歯を噛みしめたり、手を握りしめたりすることでからだに力を伝え、循環力をアップしてからだの隅々まで血液を届けようとしているのではないでしょうか。
 ですから、このような人は奥歯を噛み合わせたり、手を握りますと中間広筋の力が強まります。反対に顎をゆるめて奥歯を離したり、手を開いた状態でテストをしますと力が弱くなってしまいます。それは改善を要する好ましくない状態です。手を開いた状態、顎をゆるめた状態でしっかり中間広筋に力が入る状態になることが好ましいことであり、正常な状態であると言えるのだと思います。

芯の力が弱くなってしまう理由
 中間広筋は膝関節に関係する筋肉ですから、膝の状態が悪ければ当然弱くなってしまいますので、そのような時は薬指の筋力テストで観察することになります。
 芯の力が弱くなってしまう理由は”幾つか”よりたくさんあります。身につけているペンダントやピアスやブレスレットなどが原因となっている場合もありました。ですから一概に「これが原因です」と確定的なことは言えません。しかし傾向としては、からだのエネルギーの流れと関係が深いようです。
 「エネルギーが順調に全身を巡っているので生理機能が良い状態を保ち、からだの力が充実している」
 という言葉を皆さんはどう受け取りますでしょうか? からだに関係して”エネルギー”という言葉は誤解を招きやすいので普段私はあまり口にしません。もし私が整体師でなくヒーラー(ヒーリングを施す人)であるならば、”エネルギー”という言葉はスピリチュアル的意味合いを含んだ言葉として受け取られると思います。しかし私は整体師ですので、スピリチュアル的な要素は含まずに肉体的、物質的な観点を原則にして説明し、施術を行っています。現代医学と伝統医学の範囲内が基盤です。そうお断りした上で、それでもやはり”エネルギーの流れ”という言葉が妥当だと思います。

 血液には動脈血と静脈血がありますが、動脈血には細胞の活動に必要な栄養物質と酸素が含まれています。ですから「動脈血は体内エネルギーの基である」と言うことができます。
 からだが冷えますと手先がかじかんで動きが悪くなりますが、それは熱が足りなくなると筋肉の働きが悪くなるからです。ですから熱はからだの機能を快適に保つためのエネルギーであると考えることができます。「お腹を冷やしてはいけない」という昔からのアドバイスは、内臓の働きを保つためには熱エネルギーが必要だという意味です。
 肩こりを緩和するために身につける磁気ネックレスやピップエレキバンは私たちのからだに流れている電気的要素に作用させて血行を良くしようとするものです。整形外科や接骨院で行う低周波や高周波などの治療は「電気をかける」という言葉で表現されることが多いですが、つまり私たちのからだの電気的な仕組みに働きかけてからだを治療しようというものです。ですから私たちのからだの働きには電気的エネルギーが大きく関わっているということです。実際、筋肉の働きも、神経の働きも全て電気仕掛けですので、電気的エネルギーはからだを機能させる根本的要素です。
 これら血流、熱、電気以外に、東洋医学には「気」というエネルギー、あるいは「プラーナ」という概念がありますが、今回はそれらを除いて考えてみます。

①循環不良‥‥大きな関節の不具合
 前の投稿で”鎖骨下静脈と鼡径部”について取り上げましたが、これらの状態が悪いと血液の流れが悪くなりますので、細胞の働きが鈍くなってしまうと考えることができます。ですから芯の力は低下します。また、肩関節、肘、手首、股関節、膝、足首といった大きな関節の歪みは大なり小なり必ず血液やリンパの循環に影響を及ぼします。中でも体幹と四肢との境になります股関節と肩関節の歪みは全身的な血行不良を招きやすいようで、芯の力に大きく影響します。
 また、体熱は血液の循環と深く関係しますので、血流に問題がありますと熱が足りないことによる筋力低下、芯の力の低下も招きます。
 私たちのからだの熱の多くは筋肉(骨格筋)の働きによって生み出され、血流に乗って全身に分配される仕組みになっています。例えば運動をして筋肉が温まりますと、その中を流れている血液も温かくなりますが、その温かい血液が心臓に戻って再び全身の細胞に届けられます。ですから熱を生み出す能力のさほど持たない内臓や脳も温まり、それぞれの機能をしっかり果たすことができます。
 つまり、全身の細胞が消費する栄養と酸素を供給する動脈血は熱も運んでいますので、血液循環の善し悪しは”芯の力”に大きな影響を与えることになります。

②頭部の古傷、体幹中心部筋肉の損傷や変調
 例に取り上げた人のように、頭部に古傷があったり、たびたびギックリ腰をして骨盤や仙骨に古傷のある人などは芯の力が弱くなっている可能性があります。からだが元気であれば、その古傷のマイナス面を他がカバーしてくれますので芯の力もしっかりした状態を保つことができますが、疲労が蓄積したり、体調を崩したりしてカバー力が低下したり、あるいは加齢によってカバー力が弱まりますと古傷の影響が現れ、芯の力が弱くなってしまうことがあります。
 頭部を打撲した、尾てい骨を打撲した、昔学校の先生や親に頭を叩かれた、そういったものが何十年経った現在にも影響を及ぼしていることを度々目の当たりにします。皆さん、最初は信じられない思いを抱きますが、筋力テストしますと即座に結果として現れますので、このことを納得されます。
 また腹部の手術で腹筋を横断するようにメスを入れた場合は、腹筋の働きが悪くなりますが、同時に芯の力も低下します。「手術後、体質が変わったなぁ」と思われている人は、もしかしたら手術痕の影響かもしれません。そうであるならば、適切なケアをする必要があります。そして適切なケアをしていけば、体質が強くなっていく可能性は十分にあります。

③ご飯を噛まない‥‥そしゃく筋のゆるみ
 まず、ご飯を噛むことと噛みしめることは全然違いますので、そのことを認識していただきたく思います。先日、「子供の頃から歯ぎしりや食いしばる癖があって、顎が硬くなり口を動かすことが苦手で、喋ることが辛い」と訴える若い青年が来店されました。しかし同時に「最近、ガムを噛むようになってからは症状が少し楽になった」とも仰いました。また、「どうして噛まなければならないのか?」と近年の若者らしい質問をされました。私が子供の頃は小学校の先生が「一口30回噛みなさい」と給食の時間に指導されていましたので、噛むことは当然なことであり、そのことに疑問を感じることはありませんでした。
 この質問に対する私の答えは「それは私たちが哺乳動物だからで、哺乳動物は噛まなければならない仕組みになっている」というものでした。
 哺乳動物が母親の胎内から産み出された後に行うことは、目も見えないのに母親の乳首を必死になって探し出し、唇をあてがい、一心不乱に乳を吸うことです。これを筋肉の動きで説明しますと、唇や口周りや頬の筋肉、そしてそしゃく筋の働きを総動員して行う動作、ということになりますが、これが哺乳動物にとっての根源的な動作であると考えることができます。赤ちゃんはご飯が噛めないので、一生懸命乳を吸います。その延長線上がそしゃくであり、ご飯が食べられるようになった幼児はそしゃくをしなければなりません。この時に親が柔らかい、よく噛まなくても飲み込めてしまうようなものばかりを与えてしまいますと、そしゃく筋や口周りの筋肉があまり使われなくなりますので哺乳動物としての原動力が弱くなってしまう可能性があると考えることができます。そして口周りの筋肉も頼りない状態になりますので、口が閉じていられなくなり、結果、口呼吸となってアレルギー体質になってしまうとも考えることができます。顎も発達しませんので歯列が乱れてしまうため、歯列矯正が当然のように行われることになる風潮のようですが、それはまた将来的に悪影響を及ぼす可能性が考えられます。
 ですから”そしゃく”は私たち哺乳動物にとって、生理機能や体力を維持するために必要な欠かすことのできない義務です。
 そしゃくが足りないので芯の力が弱くなり、芯の力が弱くなったので噛みしめてしまう、そして顎関節がおかしくなり頭痛に悩まされるようになる、そういった悪い流れが出来てしまいます。ですから、理想的とは言えないまでもガムを噛むことでそしゃく筋を働かせていれば、症状が多少なりとも軽減するといったことになるのだろうと思います。
 また、そしゃくに関しては「噛み方と噛み合わせ」という問題を取り上げなければなりませんが、それはここでは省力します。過去の投稿を参考にされてください。

流れを変えて芯の力を強くするために
 手を握る癖、噛みしめたり、食いしばったり、歯ぎしりをする癖を改善するためには、そういう行為をしなくても芯の力が強く、体力が充実した状態になるようにからだを変えればよいのではないか、と私は今考えています。

「エネルギーの流れを変える」
 これまでは噛みしめたり握ったりする方が強まったエネルギーの流れを、噛みしめたり握ったりすると弱くなってしまうように変化させれば、噛みしめることも握ることも居心地が悪くなるので、自然とそのような行為は行わないからだに変わっていく。

「何処を調整したり修正すれば、流れが変わるのだろうか?」
 股関節や肩関節の不具合は? 鎖骨下静脈や鼡径部の状態は? 頭部の古傷は? そしゃく筋の状態は? しっかりご飯を噛んでいるだろうか? あるいは、ペンダントやブレスレットなど装飾品が悪さをしていないだろうか?

 ざっと、以上が、考え方のポイントと施術での着目点です。
 この他には精神的ストレスや思い込みなど心理面での影響も考えられますが、それは私の範疇ではありませんので、ここでは取り上げません。
 しかし、これまでの経験で申し上げれば、皆さんが「精神的ストレスが原因?」などと感じていたものの多くが、実は肉体的な問題が原因だった、と言えます。

 噛みしめや歯ぎしりなどの癖は、からだに不具合をもたらす原因になります。また、手を握りしめてしまう癖も腰痛や膝痛、体調不全の原因になる可能性があります。更に、これらの癖を持っているということは、エネルギーの流れ方が「逆方向」ですので、是非改善していただきたいと思っています。そうすることが、どことなく不快感を感じ続ける毎日を快適な日々に変える第一歩であると考えます。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ http://yumetowa.com

 超大型台風21号が接近してきた昨日、「頭痛とめまいがする」と訴える方が来店されました。
そして「台風の影響かな? どうして低気圧や台風が近づくと体調が悪くなるんですか?」と質問されました。
 関節痛を抱えた高齢者もよく同じようなことを言われます。「低気圧が近づくと膝が痛くなる。どうして?」
 気象病という名称も付けられているようですが、気圧の変化が自律神経に影響を与え体調を崩しやすくなると説明されています。

 私はこれまで、からだの中でセンサーとして働いている部分は胸であると考えてきました。胸が環境の変化を始めいろいろなものを感じ、それによってからだが変化すると考えてきました。実際、肋骨は閉じたり開いたり、硬くなった柔らかくなったりして環境や心理に反応しています。
 ですから、昨日頭痛とめまいを訴えて来店された方に対して一番最初に胸を触り観察しました。案の上、胸の筋肉(大胸筋)は強くこわばっていて肋骨の動きが制限されていました。ですから呼吸も悪い状態で、息を吸うことも吐くことも満足にできていませんでした。

 「頭痛とめまい、か?」と私は心の中で考えました。胸が動かないので呼吸が満足にできないために、頭が酸欠状態のようになって頭痛とめまいを発症してしまったという仕組みも考えられます。しかし、そうであるなら「息苦しくて、頭痛とめまいがする」という表現になると思うのですが、そうではなかったので、今回の根本的な原因は「胸ではないかもしれない」と思いました。
 そして「頭痛とめまい」ということは頭の問題ですから、まず頭を観察していきました。すると後頭部がとても硬くなっていました。「そういえば今日来た(別の)お客さん達も後頭部が硬かったな」と思いました。台風と後頭部は関係性があるのかもしれません。そして、後頭部が柔らかくなるようにと思いながら、後頭部にそっと掌を当ててみました。

小脳と延髄

 後頭部は延髄と小脳の場所です。延髄は呼吸と心臓のコントロールを行っているところです。小脳の働きについてはまだまだ未解明のことが多いのですが「めまい」とは関わり合いがあると考えられるようになっていますし、私は自律神経との関わりも大きいのではないかと思っています。

 台風(低気圧)の影響で後頭部が硬くなり小脳を圧迫しているので頭痛とめまいをもたらしているのか、あるいは小脳が低気圧に反応して緊張状態になってしまったためにめまいを起こし、かつ後頭部の筋肉が収縮して頭痛の原因となっているのか、どちらかかもしれないと考えました。
1分ほど手を当てていますと、後頭部が少しずつゆるみ始めました。するとそれまで全然できていなかった腹式呼吸ができるようになってきましたので、胸がゆるみ始めたこともわかりました。7~8分は後頭部に掌を当てたままにしていましたが、すっかりからだや頭や首から緊張が取れリラックスした状態になりました。

 低気圧に弱い人は、後頭部に掌を当てたり、あるいは首~後頭部にかけてホットタオルなどで温めたりすることで楽になるかもしれないと思いました。皆さんも試してみてください。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ http://yumetowa.com

 医学界では、頭蓋骨はほとんどずれない、動かないことになっているようです。「頭蓋骨や顔が変形してしまう、寝て起きると顔が変わっているし、枕に後頭部をつけて寝ることはペシャッとなりそうで怖い」と医師に訴えても「あり得ない」と言われ、精神科に回されそうになると仰っていました。
 私は実際の解剖を経験したこともなく、直に頭蓋骨や骨盤を触ったこともありません。ですから「頭蓋骨が変形することはない」「仙腸関節もたやすく動くことはない」と言われますと、「確かに解剖所見ではそうかもしれません」と思いますが、同時に「屍体と生体では違うのではないか」と思います。私は筋肉や皮膚の上からしか頭蓋骨や骨盤を触ることはありませんが、常に生きているからだを触っていますので、頭蓋骨や仙腸関節が簡単に動くことはよく知っています。

 私が整体の学校に通っていた頃、先生は骨盤の模型を手に取りながら、「このように骨盤は表面も裏面も強靱な靱帯でガチガチ固められているので仙腸関節はほとんど動かないと考えられる」と説明していました。確かに「靱帯(関節を強固にし、その運動を制御する)」という言葉の印象と模型を見せられた印象で想像しますと「仙腸関節を動かすことは大変なことだ」と感じてしまいます。

マシュマロのように感じた頭蓋骨
 むくみで悩んでいる人はよくおわかりだと思いますが、足のむくみが強いとき、スネを指で押しますと凹みができてしばらく戻らなかったりします。頭蓋骨の弛み方が進行しますと、これと同じような感じになります。頭を左から右に押しますと、そのように頭が変形してなかなか戻らなくなります。頬骨を押しても同様になります。それはむくみの激しいときに皮膚を押すと凹んでなかなか戻らなくなるのに似ています。「まるでマシュマロのようだなぁ」、私がもっとも重症だと感じた頭蓋骨の状態です。
 歩く一歩一歩の振動で頭の骨がそのように揺らされ、頭を横に回すと後頭部や頭頂部が時間遅れで後から着いてくるような感じになってしまいます。それまで一つにまとまって一体化していた頭蓋骨がバラバラに動いてしまうように感じられるのだと思いますが、その不安感は大変なものだと思います。
 このような状態になってしまった人は「まさかこんなに酷くなるとは‥‥」と後悔されますが、同時に「もう生涯、元の状態には戻らないかもしれない」と強烈な不安感に襲われるようです。医師に相談しても「理解してもらえない」と感じてしまうのであれば、尚更そうだと思います。

ゆるみきってしまった筋膜、縫合はじっくり取り組むしかない
 20歳を超えたばかりの若い女性は、額の吹き出物やニキビが気になり、四六時中それらをいじったり、つぶすようにして頭蓋骨を押していたと言います。そうしているうちに少しずつ頭蓋骨がゆるみだし、あるとき「自分の顔がおかしくなっている」と危機感を感じ、美容整形や整体院を訪ねるようになったということです。整体院ではいろいろなやり方で頭蓋骨をいじられ、美容整形で顔にメスをいれるようになり、益々歪みと不安定さが増し、私のところに来店されました。
 「いじりすぎたために筋膜がゆるみ過ぎてしまい、何度も直接頭蓋骨を動かしたので縫合関節がゆるんで形が変わり、安定性がなくなってしまった」というのが実際の原因だと思います。
 こうなってしまったら、筋膜を元の状態に戻し、ゆるんでしまった縫合関節を元の状態に戻すしか方法はありません。それは時間と手間のかかることです。忍耐力が必要です。しかし、これしか方法がないと私は思います。
 この女性は最初は週に2度ほど来店され、それが週1になり、やがて月に2度ほどのペースになりましたが、1年近く来店されました。「気になって、気になって、つい触っていじってしまう」という癖がなかなか抜けなかったようです。

 皮膚や筋膜は触り方次第で、しっかりしたり、反対にゆるんでしまったりします。時々電話で「何処をどう触ればいいのか?」と問合せを受けますが、言葉で説明できるものではありません。実際に体験していただいて、やり方を覚えて帰っていただきたいのです。やり方自体は非常に簡単です。しかし、触る深さと集中力と意識が大切です。テレビに気を取られながら触り続けても意味のないばかりか、悪い影響を与えてしまうかもしれません。

 この若い女性は、今はだいたい3週間に一度くらいの間隔でケアのために来店されますが、「気になって触ってしまうことはもうなくなった」と言います。今の安定した状態からすれば、いったいあの時の状態は何だったのか? と思えます。
 
生身の私たちの骨格は固定されたものではない
 施術をしていて「硬いなぁ!」と感じるものは筋肉や靱帯や筋膜など軟部組織です。それらが硬くなっているために骨格が動かしにくというのはありますが、骨格が硬くて動かしようがないと感じることはありません。

頭蓋の主な縫合01

 頭蓋骨は20以上の骨が縫合関節というしっかりとした結合組織で結びついて一体化していますので「硬く固定されたもの」という印象をお持ちかもしれません。しかし実際には呼吸をする度に少し拡がったり縮んだりしています。そしゃくする度に少し動きますし、喋る度に動いています。関節があるということは、そこが動くようにできているということです。動かなくて済むならたくさんの関節がある必要はありません。

骨盤の靱帯

 それは骨盤の仙腸関節も同様です。骨盤の模型を見ますと、仙腸関節は強力な靱帯でガッチリ固められていますので、まったく動きが制限されているように思えます。実際、学校の授業で先生はそのように説明されていました。しかし、実際には歩く度に仙腸関節は動いていますし、立ったり座ったりする時に骨盤の形は変わりますが、それは仙腸関節が動いているから可能になります。もし仙腸関節がガッチリ固定されて動かないような状態でしたら、私たちの動作はロボットのようになってしまい、しなやかな動きはできなくなってしまいます。
 腰痛やギックリ腰の時には、私たちの動きにスムーズさが欠けてしまいますが、それは仙腸関節の動きにしなやかさが欠けてしまうからだと考えてもよいと思います。
 生気が失われてしまった、単なる物質としての靱帯、筋肉、筋膜、骨などを観察しますと「仙腸関節も頭蓋骨もほとんど動かない」という結論になるかもしれませんが、それは生きている生身の私たちには全然あてはまらないと私は考えます。

簡単に動いてしまうので、直接骨格を動かさない
 「整体」に対する一般的なイメージは「骨をボキボキする」ということのようです。ですから、そのようなことを一切しない私の施術は「何という施術方法なのか?」としばしば聞かれます。
 例えば、なんとなく肩関節や手指の関節に違和感を感じるので、故意に動かして「バキッ」と音を鳴らす癖を持った人がいます。それによって関節がはまり、スッキリすると言います。それはそれで整体の一つの手法ですから、ボキボキ直接骨を動かす整体も「あり」だと思います(私には上手くできませんが)。
 但し、頭蓋骨は別です。下顎骨を除いた頭蓋骨表層の骨は「縫合」という接続方法で隣の骨と結びついていますが、一つ一つの骨はパズルのピースのような関係性で頭蓋骨全体を形作っています。ですから一つが狂いますと全体に影響が及ぶことになります。どれかの骨を押し続けますと、その周辺の縫合がゆるみます。すると、その骨が安定性を失いグラグラすることになりますが、加えて頭蓋骨全体が歪みだし不安定になることになります。

 頭蓋骨を形作っている縫合関節は柔らかくて丈夫です。これは頭蓋骨に限ったことではありませんが、私たちのからだの骨格は「強く押すと反発する。そっと柔らかく触る(圧する)と動きがわかる」という特性があります。この特性を利用して私は、骨が上や下や右や左に「ずれている」と把握しています。見た目で骨のずれを察知しているのではなく、軽く圧して骨の動き具合を感じて判断していますが、こうした頭蓋骨の特性を無視して頭蓋骨をいじりますといろいろと問題が起きる可能性が高まります。
 コルギや小顔整体などで、頭蓋骨をグイグイ押し込みますと、最初は反発します。それは「強く押すと反発する」という特性です。ところが何度も何度も同じことを繰り返したり、あるいはたった一回かもしれませんが、縫合関節が反発する力を失ってしまいますと頭蓋骨は簡単に変形するようになります。コルギや頭蓋骨を直接操作する小顔整体はこの特性を利用して頭蓋骨を変形させているのかもしれないと思えてしまいます。他にも機械や電気を使って縫合を意図的にゆるめ、頭蓋骨が変形しやすい状態にしている方法があるのかもしれません。

 何処か一部分の縫合関節がゆるんだだけの状態であれば、すぐに取り返すことができます。しかし一部分の縫合がゆるんだだけでも頭蓋骨全体は歪みますし、そこに不安定さまで混じってきますと、気持ちとして「何とかしなければ」という思いが心を埋めるようになり、施術を重ねたり、自分でいじり続けることが制御できなくなってしまったりするようです。するとゆるんだ縫合の箇所が増えてしまいますので、益々頭蓋骨は不安定になり、やがてマシュマロのような頭蓋骨への道を歩むことになってしまうのだろうと思います。

  •  最初は頭蓋骨が反発するので「もっと強く押して屈服させよう」という思いでいじり始める。
  • そんなことを繰り返しているうちに、突然反発しなくなる時がやってきて「これは上手くいくかも(小顔になるかも)」と思い、さらにいじり続ける。
  • 「なんか骨の一部が落ち込んでいるように感じはじめ、ちょっと不安」
  • 「目や鼻など感覚器官に不調を感じ始め、顔面に違和感を感じ始める」
  • 焦る気持ちも混じり、「なんとかしなければ」と強く思うようになって、負のスパイラルへの道を進んでしまう
 屍体ではなく、生きている私たちの頭蓋骨やからだの骨格の関節は、丈夫ですが、とても柔軟です。ですから骨は簡単に動きます。硬く固定されたように見える頭蓋骨は、実は(ある範囲の中で)簡単に動かすことができます。ですから私はあえて「直接頭蓋骨を操作してはいけない」と申し上げたいのです。
 今から少し前、コルギがとても流行った頃、「自分で行うコルギ」みたいな本が売られていました。「どうしてこんな危険なものが一般に売られているのだろう?」と、ゾッとしました。個人的な見解ですが、まったく恐ろしいことだと思います。

絶望も、諦めることも必要ない
 頭蓋骨や顔を乱して、深い悩みや絶望感にさいなまれてしまった人が何人も来店されました。顔や頭は私たち自身(自己)に一番近いところですから、そこが物理的に不安定になりますと精神的にもとても不安定になってしまいます。
 「もう、生涯元の状態には戻らないかもしれない」
 心全体が不安感で埋まってしまいます。しかし、忍耐強く地道に修復に取り組んでいけば必ず元の状態、不安感が消える状態になる日が来ます。それまでに3ヶ月以上、あるいは半年くらい時間を要するかもしれません。人によっては1年以上になってしまうかもしれません。

 ゆるみきってしまった縫合や筋膜は、そう簡単には力を回復しません。時々来店していただき施術を行いますが、それだけでは足りませんので、自分で修復のためのケアをし続けなければなりません。改善に取り組み始めた当初は3歩進んで2歩後退、あるいは3歩後退しているように思える日々が続きますが、ある日を境に急に力を回復して関節が安定する時がやってきます。そんな部分が少しずつ増え、やがて頭蓋骨全体がしっかり安定するようになり、心が安らぐ時が必ず訪れます。忍耐、忍耐、忍耐の日々を何日も経験しなければなりませんが、やはりこの地道なやり方が王道だと思います。ゆるんでしまった縫合や筋膜の働きを即効的に回復させるための特効薬的手段はないと思います。特殊能力をもったヒーラーなどにはそういう力があるかもしれませんが、一般的には無理です。
 このような状態に陥った人は「他にもっと有効な方法はないのか?」と耐えきれずに私に迫ってきたりしますが、それは無理なのです。しかし、やがて、必ず安定した状態に戻るのです。

 私が知っている頭蓋骨はこういう特性を持ったものです。そして、解剖学的に顔は内臓(腸管)が表に飛び出したものだと解釈されていますので、顔や頭をいじることは内臓を直接いじっていることと同じことになります。ですから本当に細心の注意を払って取り扱わなければなりません。「エイヤー!」と気合いを入れて一気に取り扱う類のものではないのです。
 今も顔で悩まれている人、顔をいろいろいじっている人、そのような人がたくさんいると思いますが、どうぞくれぐれも注意していただきたいと、そう願っています。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ http://yumetowa.com

  顎に関係する症状といえば、顎関節症、反対咬合、噛みしめ食いしばり癖、歯ぎしり癖、片噛み癖、といったところでしょうか。
 これらの症状に共通していることは、そしゃく筋から力が抜けない、あるいはついついそしゃく筋に力が入ってしまう、ということです。顎から力が抜ければ大きな問題にはなることはありませんが、本人の意思や自覚に関係なく筋肉に力が入った状態、筋肉が収縮したままの状態が存在するので、問題を解決することがしばしば厄介になってしまいます。
 「どうすれば力が抜けるのか?」この問題はそしゃく筋に限らず全身の筋肉に当てはめることもできます。力を抜くことができればリラックスできますし、呼吸も楽になります。ところが、それがなかなか実現できないので、いつもスッキリしない状態、常に不定愁訴を抱えた状態になってしまいます。

骨格がしっかりしていれば筋肉から自然と力が抜ける
 私はしばしば骨と筋肉の関係について、骨は筋肉が自らを動かすための「足場」という表現を使います。
 私たちがコンクリートやアスファルトなど地面のしっかりしたところに立ったり、歩いたりするときは安心できますので余計な力を使わずにすみます。ところが足場がとても不安定な場所を歩かなければならないとき、例えば細い吊り橋などを渡らなければならないとき、精神的にとても緊張しますが、からだも硬直して動きがとても悪くなります。筋肉もこれと同様です。基本的に骨と骨の間に筋肉があって、筋肉が伸び縮みすることによって骨を動かすので動作が生まれます。この動作を生み出すとき、筋肉は必ず一方の骨を足場にして自らを伸縮して他方の骨を動かします。腕の動きであれば、肘から肩関節にかけての上腕骨を足場に上腕二頭筋、上腕三頭筋という筋肉が伸縮して肘から手首にかけての前腕を動かして肘の曲げ伸ばしを行います。ですから上腕骨がしっかりしていないと上手く肘を曲げることができなかったり、あるいは力を抜いても筋肉がこわばったままなので肘が伸び切らない状態になってしまいます。
 このように筋肉の能力を十分に発揮してもらうためには、その条件として骨格の安定がとても大切です。

側頭筋と咬筋02

舌骨上筋群と舌骨下筋群

 さて、顎関節の動きや顎関節の状態にこのことを当てはめて考えてみます。
 細かい部分では違っている点もありますが、ざっくり表現しますと、顎を閉じる、つまり上顎骨に下顎骨を近づける働きをする主な筋肉はそしゃく筋(外側翼突筋を除く)です。反対に顎を開く(開口)ための主な筋肉は舌骨上筋群と呼ばれる筋肉です。ですから私たちが食事や会話などで顎を使うときは、そしゃく筋と舌骨上筋群がタイミングよく伸びたり縮んだりしながら協働して顎を動かしているということになります。
 重力がありますので、下顎を引き上げる方が引き下げるよりたくさんの力を必要とします。ですからそしゃく筋の方が舌骨上筋群よりはるかに筋力が強くなっています。

 さて、ここで顎を開く動作をそしゃく筋を中心に考えてみます。
 そしゃく筋には体表から触ることのできる側頭筋と咬筋があります。
 側頭筋はしばしば片頭痛おこす側頭部の側頭骨及び前頭骨を足場に、下顎骨の筋突起につながっています。収縮することで下顎骨を引き寄せて口を閉じ、弛緩伸長することで下顎骨を落として開口する動作を行います。
 咬筋は頬骨から耳にかけて繋がっている頬骨弓を足場に下顎骨のエラ(下顎角)につながり、側頭筋同様収縮することで下顎を引き上げ、弛緩伸長することで開口する動作を行います。

内側翼突筋と外側翼突筋

 体表から触ることのできないそしゃく筋として内側翼突筋と外側翼突筋があります。
 内側翼突筋は頭蓋骨の深部にあります蝶形骨を足場に下顎骨(下顎角)の裏側につながっています。口の中に指を入れて頬の内面を触ろうとするとき、歯茎と頬肉の間に壁のように硬くなっているものがありますが、それが内側翼突筋です。収縮することで下顎を引き上げる点は咬筋や側頭筋と同様ですが、それ以外に下顎を横に動かして、そしゃく時の複雑な動きを可能にしています。
 外側翼突筋は、蝶形骨を足場に顎関節のところで下顎骨につながっています。収縮すると顎関節で下顎を少し前に出します。この動きはとても繊細で、閉じて半ばロックがかかったような状態の顎関節からロックを外す働きをします。つまり外側翼突筋の収縮は他のそしゃく筋とは反対に開口に働きます。

 ですから、口を開く動作では咬筋、側頭筋、内側翼突筋が弛緩伸長し、外側翼突筋が収縮しなければなりません。筋肉の弛緩伸長は、簡単に表現しますと“リラックスして力が抜ける”ことです。
 ここで足場の話を思い出していただきたいのですが、安心感と共にリラックスして力が抜けるためには足場がしっかりしている必要があります。つまり側頭骨、頬骨弓、蝶形骨が安定していないとこれらの筋肉から上手く力が抜けないことになります。自分では一生懸命力を抜こうと努力するのですが、それは無理なのです。

顎が落ちるという感覚
 リラックスしているとき、あるいは無意識のとき、口は閉じているけれども顎は少し開いて奥歯が離れた状態になっているのが普通の状態です。口呼吸にならないように意識している人は奥歯を噛み合わせて口が開かないようにしているかもしれませんが、それは噛みしめ状態、つまりそしゃく筋が作動して少し収縮している状態です。収縮力はそれほど強いものではありませんので、短時間のことであればほとんど問題にならないと思いますが、何時間にもわたってそのような状態を続けていますと、そしゃく筋はこわばった状態になってしまい頭痛を招いてしまうかもしれません。このような人は、ご自分では噛みしめている意識はありませんので、「頭痛の原因は噛みしめです」と指摘されても腑に落ちず納得ができないかもしれません。しかし実際には、そしゃく筋から力が抜けない状態で、側頭筋の収縮が側頭部を圧迫して起こす緊張型頭痛になっています。

 さて、例えば椅子に座ってからだを緊張感から解放しますと下顎がスッと落ちるように動きます。夜、眠るために布団に入って目を閉じますと自然と顎がゆるんで下顎が落ちます。状態の良い人は、このようになっているはずです。そしてそのような人は、食物をモグモグとそしゃくする際、顎を開く時にも同じように「顎が落ちる」感じで顎関節が動いているのが感じられると思います。
 ところが、このような説明にまったく納得できない人、何のことやらさっぱり理解できない人、そのような人もいます。結論を先に言いますと、そのような人は顔の骨格が下がっている人です。
 「顎が落ちる感覚」というのは咬筋、側頭筋、内側翼突筋がゆるんで、あとはほとんど重力によって下顎が下がっている状態であると言い換えることができます。頭蓋骨の骨格がしっかり安定していれば、容易に咬筋、側頭筋、内側翼突筋から力を抜くことができますので、重力任せにしておくことができます。
 反対に、顔面が下がって頭蓋骨が不安定な状態の人は、咬筋、側頭筋、内側翼突筋から力を抜くことができません。顎関節を開くために、下顎骨を下に引っ張る舌骨上筋群を通常以上に働かせて下顎を引き下げなければなりません。このような状態の人は、リラックスするために奥歯が噛み合わない状態をつくろうと試みても、舌骨上筋群を収縮させた状態を保たなければならないため、とても疲れてしまいます。ですから、奥歯を噛み合わせた状態(=咬筋、側頭筋、内側翼突筋が少し収縮した状態で、舌骨上筋群が作動していない状態)の方が楽に感じられると思います。布団に入って眠りにつくとき、奥歯を合わせていた方が落ち着くのであれば、顔の骨格が下がっているか、頭蓋骨が不安定な状態である可能性が高いと考えられます。

骨格が自然と持ち上がるのが正常?
 結論を先に言いますと、顎を開こうとしたとき、つまり下顎を下げようとしたとき、自然な反応(反作用)として上顎骨、頬骨、前頭骨、側頭骨などが僅かに上に動きます。そのようにしてからだは頭蓋骨を安定させ、顎関節が脱力できる状態にしているようです。
 鼻筋の一番上、眉間の辺りに軽く指を当てて観察してみます。普通の状態の人であれば、下顎を下ろそうとするのと同時に眉間がわずかに上に動くのが感じられると思います。眉間のすぐ上には前頭筋という表情筋がありますが、それが微妙に収縮するのも感じられると思います。
 ところが、頭蓋骨の下がっている人、表情筋の働きが悪い人などはこのようには動きません。顎を開くときに脱力することができないため力を必要としてしまいます。
 正常に近い状態の人は食物をそしゃくする場合、下顎を下ろすときにはほとんど力を使いません。ですから、顎を引き上げて噛むときにだけ力を使えばよい状態す。往路は休んで、復路だけ力を使うようなリズムでそしゃくすることができます。一方、顎を開くときにも力を使わなければならない人は、往路も復路も力を使う状態ですから、息を抜いて休むことができないので筋肉は疲労しやすくなります。
 こういう意味でも、頭蓋骨を整え、表情筋の働きを整えることは大切なことだと言うことができます。

食物を噛みながら息苦しくなってしまうのは異常な状態
 食事中のお喋りが好きな人は、口に物を入れた状態でクチャクチャしながら噛んだり喋ったりする傾向があります。それは行儀の良いことではありませんが、整体的な観点では特に問題はありません。ところが、お喋りしながら食べているわけでもないのに、口を閉じてモグモグ噛み続ることができず、クチャクチャ噛んで、噛んでいる途中で息継ぎしなければならないような人や子供がいます。その状態は整体的に見て芳しくありません。
 顔の骨格が下がっていたり、表情筋(顔面神経)の働きが悪かったりしますとモグモグそしゃくしながら鼻から息を入れることができにくくなります。ですからすぐに口を開いて口呼吸をしてしまいます。あるいは食べながら口呼吸をするため、モグモグせずにクチャクチャ口を開いてそしゃくするようになります。(親御さん達はお子さんのこのサインを見逃さないで欲しいと私は思っています。)
 そうなりますと歯ぎしり、噛みしめ、首肩の凝り、浅い呼吸、胃腸の不調といった症状を招きやすくなります。それは小さなお子さんでも同じです。本人はまったく自覚していないかもしれませんが、3歳とか5歳とかの幼児でも肩こりになっているのを見たりします。お腹が硬くなって、顔が下がっているのです。
 乳幼児でも足裏が硬くなっている子がたくさんいます。硬く平らなところばかりを歩いていることが原因の一つだと考えられます。足裏が硬くなって腹筋がこわばり、頭蓋骨を下に引っ張ってしまうので顔が下がります。すると、そしゃくが上手くできなくなりますが、そういう一連の流れが考えられます。

「顎先が小さい?」‥‥舌骨上筋群や喉がこわばっている
 反対咬合ではありませんが下顎が少し前に出る傾向にある人が、「私の顎が小さいのはどうしてですか?」 と、まったく予想外な質問をされました。私は下顎が目立つような感じを気にしているのかな? と思っていたからです。「顎は十分に大きいけれど」と一瞬心の中で思いましたが、「そうか、顎先からすぐに喉の膨らみになっていることを指摘しているのか」と思い直しました。
 「顎の下(底面)がスッキリしていない」、「首と喉と顎の境がよくわからない」、「喉が硬く大きくなっている」と感じている人はこの方と同じような状態にあります。 下顎の底面には、顎を下に引っ張って開口させる舌骨上筋群があります。そして、喉のすぐ上にある舌骨から首の前面を胸骨まで繋いでいる舌骨下筋群があります。
 普通に食べたり喋ったりしている程度の顎の開閉では、舌骨上筋群が働くだけで事足りるため、舌骨下筋群を使うことはあまりないと言います。欠伸するほど大きく口を開いたり、声楽家や歌手の方が声帯の能力をフルに引き出して歌うときなどは舌骨下筋群がたくさん使われます。
 顎の底面が狭く、すぐに喉仏にぶつかってしまうような人は、舌骨上筋群も舌骨下筋群もこわばっているということですが、その理由は二つ程考えられます。
 一つはすでに記しましたが、骨格が不安定な状態なので開口時にそしゃく筋から力を抜くことができず、主に舌骨上筋群の力で下顎を引き下げなければならない時です。舌骨上筋群に通常以上の負荷をかけることになりますので、筋肉がこわばり、硬く太くなってしまいます。
 顎が落ちる感じで開口できる場合は、舌骨上筋群に負担を掛けることもありませんので、リラックスした状態で顎を使うことができます。ですから筋肉が変調状態になることはありません。

舌骨上筋_口腔底2

 二つ目は、舌骨上筋群の中で顎舌骨筋とオトガイ舌骨筋を主体に使っているからです。この二つの筋肉は下顎やオトガイ(顎先)の方に舌骨を引きつける働きをしますので、オトガイのすぐそばに舌骨を含めた喉が来てしまいます。すると舌骨と胸骨を繋いでいる舌骨下筋群は引っ張られた状態になりますので、こわばって硬くなってしまいます。このような方は反対咬合になりやすい傾向ですが、仕草によって顎先に梅干しのようなシワを持ったこわばりが発生します。最近はこのような人が増えたようにも感じます。

オトガイ舌骨筋・顎舌骨筋優位の顎ライン
 
 二重顎も含め下顎の底面がスッキリしていない場合、舌(舌筋)や舌骨上筋群がゆるんで落ちていることと、ここで取りあげましたように舌骨上筋群や喉がこわばって膨らんでいるようになっている場合があります。
 舌がゆるんでいる場合は、イビキや無呼吸症候群の危険性が高まります。舌骨上筋群や喉がこわばっている場合は、呼吸がしづらい、頭部への血行不良、目や鼻などの感覚器官に支障が現れる、舌の動きも含めてそしゃくや喋りに不具合を感じるなどの症状が現れる可能性が高いと思われます。

顎を上手に使うために
 噛みしめや歯ぎしり、食いしばり癖などの影響でそしゃく筋が強くこわばり、顎関節症になったり、顎の調子が悪かったり、頭痛や首のコリで辛い思いをしている人はたくさんいます。また、噛み合わせがしっくりいかないために不快な思いをしていたり、奥歯で食物を噛むことができない人もいます。
 時々、噛み合わせについてとても細かい情報を教えてくださったり、同時に学説的なことについて質問される方もいます。しかし現在の医学的な見解では、頭蓋骨はほとんど固定されていて「動かない」ということを基準にして理論が展開されているようですので、私のこのような話はまったく受け入れられないことでしょう。
 「頭蓋骨は簡単に動きます」そして、「だから頭蓋骨を直接動かしては危険です」という現場で実感している認識を土台として申し上げれば、「頭蓋骨は動かない」という見解でいる限り、医学は噛み合わせや嚥下やそしゃくに関する問題を解決することはできないと思います。

 自然現象は、作用があれば必ず反作用があるというのが法則です。下顎が下がれば上顎は反作用として上がります。下顎が上がれば、上顎は下がります。下顎は腹側(陰)であり、上顎は背側(陽)です。ですから下顎を自然に落とそう(下げよう)とするなら、同時に上顎が自然と上がる状態にしておかなければなりません。上顎は背側ですから、尾骨・仙骨から出発して後頭部にくっついている背筋がしっかりしている必要があるのです。
 その他にも、眼鏡をかけ続けているため鼻骨が下がり上顎が下がっている、ご飯をあまり噛まないのでそしゃく筋の働きが悪くなり、側頭骨が歪んで上顎が下がってしまう、いつも下を向いているので首の後面が伸びてしまい上顎が下がっている、というのもあります。
 いずれにせよ、陰と陽は一対であり、互いに影響を及ぼし合う関係ですから、下顎の動きを快適にしようと考えるならば、上顎側(背側)を良い状態にしておかなければなりません。これを平たく表現しますと、「頭蓋骨が安定していて顔が下がっていない状態」が顎を上手に使うためには必要だということになります。

 顎の問題で悩まれている方は、原因として考えられる要素としていろいろあるかもしれませんが、骨盤、背筋、首という視点で考え直してみますとヒントになることが浮かんでくるかもしれません。


顎関節の動き01
顎関節の動き02

顎関節の動き03

顎関節の動き04

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ http://yumetowa.com

↑このページのトップヘ