ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

カテゴリ: 顔面・頭部

 今回は短い話題ですが、最近の出来事から参考になればと思い書かせていただきました。

 20歳代前半の女性が「子供の頃から姿勢が悪く、毎晩歯を食いしばっているので改善したい」ということで来店されました。
 私との最初の会話は(いつものことですが)、「子供の頃とは、具体的にはいつですか? 小学生の時ですか? その前ですか?」というところから始まります。そして、時期、この場合は、姿勢が悪くなったと自覚した時期がだいたいわかりますと、次に「その頃に何かケガなどをしましたか? あるいは何かありましたか?」と質問を続けることになります。ところが「子供の頃にケガをした記憶はない」との返事でした。
 初対面で、根掘り葉掘り細かいことを尋ねることに躊躇する心はあるのですが、「姿勢が悪い」といった、私たち専門家からすると“漠然とした訴え”に思えることに対して、施術につなげるヒントを得るためには仕方のないことです。

 背の高い細身の女性で、立位では姿勢が悪いという印象はないのですが、座ると背筋を伸ばし続けることができません。腰が丸まってしまうので、自ずと肩甲骨の部分も丸まってしまい、すっかり猫背になってしまいます。
 パソコン業務や事務仕事などが多い人は猫背になりやすい傾向がありますが、その猫背とは違い、まだまだ若いのに高齢者が背中を丸めてしまうような、力ない猫背です。
 「やはり、からだのどこかがおかしくて猫背になってしまう」と私は感じました。

 私が子供だったときも親に「姿勢良くしなさい」としょっちゅう注意されていましたし、小学生の子供さんも時々来店されますが、男子のほとんどはクネクネしていて姿勢が良いとは言えません。ですから普段の悪い姿勢が定着してしまい猫背になる可能性もありますが、この女性の場合、そうではなく、きっと何かの理由があって姿勢が保てなくなってしまったと感じました。
 それで、更に質問を続けました。「それでは、寝ている時に歯を食いしばってしまう癖になってしまったのは、何かきっかけがありますか?」
 すると小学校5年生の時に「食事で噛んでいたときに顎が外れそうになって‥‥、思い切り口を閉じたら顎がガクッとして‥‥、とても痛かった。それからかなぁ」と仰いました。
 「もしからしたら、これかなぁ」と私は思いまして、ベッドに仰向けになっていただき、しばらく顎関節周辺を施術してみました。
 「顎がガクッとして、とても痛かった」ということから連想できますことは、顎関節にある“関節円板”が傷んだのか、そしゃく筋の“外側翼突筋”が傷んだのか、ということです。
 
外側翼突筋と関節円板

 5分間ほど施術した後、もう一度座っていただきました。すると骨盤が少し立つようになっていて、良い姿勢もなんとなく保てるような感じになっていました。そこで、「原因はこれでほとんど間違いない」と思いまして、その後30分近く顎周辺を施術しました。
 問題があったのは左顎関節でしたが、それが影響して右側のそしゃく筋が強くこわばっていました。しかし、時間の経過とともに右顎が弛みだし、やがて噛みしめ状態は解消されていきました。
 施術が終わって再び座っていただきますと、すっかり姿勢も良くなり、猫背が解消された状態になりました。顎もゆるんで「まずまず」という感じになりました。

 きっと小学校5年生の時から姿勢が悪くなってしまったのだと思います。それから10年以上、親や学校の先生などから姿勢について指摘されたり、注意され続けてきたのではないかと想像できますが、本人も辛かったことでしょう。
 表からは見えない、本人も自覚することができないからだの不具合によって、姿勢を保つにも保てない状態だったわけです。
「どうしたらよいか解らない」、きっとそんな状況で来店されたのだと思います。

 このブログでは、以前から古傷の影響、手術の影響などについて取り上げていますが、そのような影響で現在不調を抱え続けている人もたくさんいると思います。
 何か心当たりのある方がいらっしゃいましたら、是非一度ご来店ください。理由が解って、疑問が晴れるかもしれません。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ http://yumetowa.com
web予約 http://yumetowa.com/sp/reserve2.html  

 「顔を下げる筋肉のこわばり①」で大腿四頭筋の内側広筋について説明しました。(こちらを参照)
 今回は同じ大腿四頭筋の中の大腿直筋とその連動筋である腹直筋について説明させていただきます。
 大腿直筋は太股前面の表層にあって大腿四頭筋の中で一番触りやすい筋肉です。大腿四頭は四つの頭(起始)を持ち、それが膝関節のところで一つにまとまり、膝小僧(膝蓋骨)を越えてスネの骨(脛骨)に付着(停止)している筋肉ですが、他の3つの筋肉(内側広筋、外側広筋、中間広筋)が太股の骨から始まるのに対して、大腿直筋は骨盤から始まっているのが特徴の一つです。その構造から膝関節を伸ばす働きをするだけでなく、膝を骨盤の方へ引き寄せる、つまり腿上げをする働きもします。
 そして、膝から下の部分では長母趾屈筋という、歩行時に足の親指(母趾)の先端を曲げて踏ん張り、地面を蹴る動作を行う筋肉に連動します。また、腹部・胸部では、多くの人が「これが腹筋だ!」と思っている腹直筋に連動し、大胸筋に連動します。

腹筋と下肢筋肉の連動2

 立った時に、ふくらはぎの裏側に突っ張り感や重みを感じたり、長く歩くとふくらはぎの裏や外側がつらくなってしまう人は“かかと重心”の傾向にありますが、特徴の一つとして“足の指先が曲がっている”ことがあります。この原因の一つは立った時に重心がかかとに掛かってしまうため、そのままでは後に倒れそうになってしまいますので、「指先を曲げてこらえる」反応が無意識に行われることです。ですから足趾(足指)の先端を曲げる筋肉が常に作動しているような状態になりますので、それらの筋肉がこわばった状態になります。そして、足趾の先端を曲げる筋肉はふくらはぎの裏側にあります(長母指屈筋と長趾屈筋)ので、ふくらはぎの裏側が辛くなります。
 かかと重心ではなく、足底に均等に重心が掛かっている人は立ったときに体重の負荷が指先の方に抜けていくような状態(重みの負担を逃がしている)になりますので、足趾はまっすぐな状態になります。このような人は指先を曲げた状態で立ち続けることはできません。

長母指屈筋・長趾屈筋・後脛骨筋

 さて、母趾の指先が曲がっているということは長母趾屈筋が収縮しっぱなしのこわばった状態にあるということですが、そうなりますと大腿直筋、腹直筋、大胸筋も連動してこわばります。

大直・腹直筋の「こ」による口角の下がり

 腹直筋は恥骨とその周辺(恥骨上肢)から始まり、胸郭の前面に付着していますので、腹直筋がこわばりますと胸郭が下方向に引っ張られます。以前に取り上げました”内側広筋のこわばり”は腹直筋のセンターラインに影響を及ぼして胸骨を下方に引っ張りますが、大腿直筋と連動する腹直筋の部分はその外側になりますので、胸骨よりも肋骨を下方に引っ張った状態になります。そしてその引っ張りは首前面の斜め横あたりの筋膜に及び、その流れは口角~頬~目の周辺へと繋がります。ですから右側の大腿直筋がこわばっている人のは、右胸が下がり、右の口角~右頬~右目~右眉といったところが左側に比べて下がった状態になります。そして、左目に比べて右目を開くことに引っ掛かり感や重さを感じ、“心地良くない”と感じるかもしれません。

小指球のこわばりは腹直筋のこわばりにつながる

小指球と母指球

 手を酷使している人、例えば私の仕事もそうですが、そのような人は掌の母指球や小指球が硬くこわばっています。指圧しても硬くて奥まで圧がなかなか届きませんので指圧や揉みほぐしの最初の段階では痛みを感じません。ですから自分の母指球や小指球がこわばっているとは感じません。ところが、圧し続け、揉みほぐしを続けていますと少しずつ奥に圧が届くようになり、痛みを感じ始めます。そして更に圧を加え続けていきますと、痛みが強くなり、もだえるほどになるかもしれません。これが小指球や母指球のこわばりの特徴ですが、この小指球のこわばりは尺側手根屈筋と呼ばれる小指側ラインの筋肉に連動し、その先は上腕二頭筋短頭、大胸筋のこわばりへと連動します。つまり、手を酷使している人は腹直筋~大腿直筋~長母趾屈筋のこわばりを招くという理屈になります。そしてこのような人は実際、大変多いです。
 「手のこわばりが原因で、腹筋が硬くなり、胸が下がって顔も下がってしまう」と簡単に説明することがありますが、原理は上記の通りです。

腹直筋がこわばる理由
 上記では、かかと重心などの理由で足の指先が曲がっている人(長母指屈筋のこわばっている人)や手の使いすぎで小指球が強くこわばっている人は、筋肉連動のしくみから、腹直筋もこわばり、胸郭を下げ、喉を下げ、顔を下げてしまう、という内容を説明しました。
 これ以外にも腹直筋がこわばってしまい顔が下がってしまう状況があります。

①お腹の冷え
 「冷えは筋肉の働きを悪くする」という説明たくさんしてきました。今の若い人たちはそうではないかもしれませんが、少し前の時代「ヘソ出しルック」が流行っていた頃、「将来この人達は苦しむかもしれない」と思いました。
 湯船に浸かる習慣がない外国の人たちは、少々寒くても半袖で過ごしたりして、民族性としてきっと冷えに強いのだと思います。ところが昔から温泉が好きで、湯船に浸かることが日課のようになっている私たちは、「お腹を冷やしてはいけない」のです。お腹が冷えますと、酵素の働きが低下するため内臓の働きが弱まります。そしてお腹の筋肉である腹筋も働きが弱まりますが、すると姿勢を保つことができなくなってしまいます。それでは困りますので、腹筋は自らを硬くこわばらせて対抗するようになります。その硬くこわばった部分がみぞおちの辺りになれば、胃や大腸(横行結腸)を圧迫したり呼吸運動を邪魔するようになりますので、慢性的な胃腸の不良や息苦しさを感じるようになるかもしれません。
 また単純に考えてみてください。例えば冬場、布団で寝ていたとします。明け方は気温が一番下がる時間帯ですので、からだから熱が逃げないように横を向いて背中を丸め、お腹をカバーするようになります。つまり、冷えると、無意識にお腹を冷やさないような姿勢をとるのです。そしてその姿勢は背中を丸め、腹筋を縮める姿勢ですが、この自然な行いは私たちだけでなく犬や猫など哺乳動物の本能のようなものだと思います。(反対に夏場はお腹を出して冷やそうとする)
 ですから、「冷えると腹筋は収縮してこわばる」という原理になっていると言うことができます。

②鼡径部が下がっている
 太股の付け根には鼡径部があります。場所的に骨盤の一部とも言えますし、股関節の一部とも言えるかもしれませんが、恥骨も含めて、腹筋群の出発点になっていることも重要です。また内臓との関係でも大切な役割をしています。小腸は下腹部から骨盤にかけてありますが、鼡径部は小腸が骨盤からはみ出さないように防ぐ働きをしています。さらに体幹から下肢に繋がる動脈、静脈、リンパ管は鼡径部の中を通っていますので、鼡径部の状態が悪くなりますと、血行不良やむくみの問題が起こってきます。

鼡径部は腹筋の起始部

 さて、鼡径部の下がっている人がいます。便秘、下痢、胃腸の調子が悪い、お腹が張る、お尻が落ち着かない、そんな症状を感じているようでしたら、鼡径部が下がっているかもしれません。
 お腹が冷えていなくても、鼡径部が下がっていますと腹筋は緊張状態になりますのでこわばってしまいます。ついどちらかの下腹部に手がいってしまう人は鼡径部が下がっていてお腹(内腹斜筋)が張っているのかもしれません。鼡径部を手で引っ張り上げるとなんとなく安堵感を感じるのであれば、それは間違いありません。
 鼡径部が下がった状態は、顔を引き下げてしまうだけでなく、「なんとなくしっくりこない」という骨盤周りの不安定さにつながり、お腹の不快感や違和感をもたらすことになると思います。

 鼡径部が下がってしまう理由の一つとして、外腹斜筋あるいは内腹斜筋の働きが悪くなって伸びた状態になっていることが考えられます。あるいは恥骨に付着している内転筋がこわばった状態になって恥骨を下方に引っ張り下がってしまう状況も考えられます。また、「出っ尻出っ腹」の体型で骨盤が極端に前傾している場合も考えられます。これらによって腹筋がこわばり、顔を引き下げている状況はしばしば目にします。
 しかしながら、「お腹の調子も悪い」「なんだか落ち着かない」いったことが重なった場合は、足の小趾側の縦アーチが崩れている可能性があります。
 「悪い足」の一例である扁平足は母指側のアーチが崩れた状態ですが、小指側にもアーチがあります。その他に横アーチの崩れによる開張足や甲高の問題もありますが、小趾側の縦アーチの崩れた状態はあまり問題として取り上げられませんが、鼡径部の状態、舌の状態に影響を与えているようです。
 小指側の縦アーチが崩れているということは「小趾中足骨が沈んでいる」こととほとんど同じですが、そのことによって「からだがシャンとしない」という状況を招いているようです。少し大きなテーマになりますので、改めて取り上げたいと考えています。
 扁平足の反対はハイアーチかもしれませんが、それはそれで良くありません。母趾側ハイアーチの人は小指側縦アーチが崩れている傾向があります。

 今回は「顔を引き下げる筋肉」というテーマで腹直筋及びその関連を取り上げました。実際のところ、ほとんどの人の顔は下がっています。テレビに映る芸能人の方々も顔の下がっている人がたくさんいます。「施術して顔を上げてあげたいなぁ」といつも思ってしまいます。本来は、みなさんもっと顔が上がっていて、目も赤ちゃんのようにパッチリ開くはずなのです。

 
足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ http://yumetowa.com
web予約 http://yumetowa.com/sp/reserve2.html   

 当店は駅前にあるのですが、玄関前の道路には小田原市水道局の大きなマンホールの蓋が設置されています。その蓋の上をしばしば車が通過していきますが、その時に「ペッコン、ペッコン」と音がします。
 毎週のように来店されている常連の方がいますが、「あの音、なぁに? 気になるわね!」と文句を言いました。毎週のように来店されているので、聞き慣れているはずなのですが、その時に限って不愉快に感じたようです。
 「耳が過敏な状態になっているんですね」と私は応えました。「???」、きっとその方はそう思ったと思います。音がうるさいわけで、自分の耳がおかしいとは想像できなかったのだと思います。

 こういう状況は誰にでもけっこうありまして、耳が過敏な状態になっているので“音に負けてしまう”という現象が起こってしまいます。それを確認するために私は次のテストを行います。
 まず肘を90°に曲げていただき、私が手首辺りを掴んで「肘を伸ばそうと力を加えますので、肘が伸びないように力を入れて肘が曲がった状態を保持してください」と行います。私はその時の反応を観察します。平然と耐え続けられるようであればOKですが、何秒もしないうちにガクガクしたり、顔や別の場所に力を入れて耐えるような仕草をしたり、あるいは力が抜けてしまって耐えることができないようになってしまったら問題有りです。
 まず、ただそのテストだけを行い、状態を確認します。そして次に、テストしながら耳元で音を鳴らします。私がいつも使うのは小さな鐘の音で、「チリーン、チリーン‥‥」という高音の音ですが、それはどんな音でもかまわないと思います。耳が音を聞いたときに、からだから力が抜けてしまうか、平然としていられるかのテストです。
 耳および聴覚系が普通の状態であれば、音があっても無くても、肘の筋力(耐える力)に大きな変化はありません。ところが聴覚系が過敏な状態になっていますと、耳に音が入ッタ瞬間に肘の力を保つことができなくなってしまいます。私は片手で鐘を鳴らしながら、他方の手だけで筋力検査を行わなければならないので肘の力が保持できるかどうかの筋力検査にしていますが、どんな筋力検査でもかまいません。Oリングテストなどに馴染みのある人は、Oリングテストで試してみてください。

 さて、冒頭に取り上げた常連の人は、左耳の検査では大丈夫でしたが、右耳の方は耳元で鐘の音をならした瞬間に肘から力がすっかり抜けてしまい、まったく耐えることができなくなってしまいました。耳がとても過敏になっていることがわかりました。

過敏になっている状態とは?
 春先になりますと多くの人が花粉症で悩まされます。それは純粋に花粉に対して「アレルギー反応を起こしてしまう」ということもありますが、鼻の粘膜が過敏になってしまい、花粉だけでなくハウスダストやその他のものにまでアレルギー反応を起こすようになってしまったり、ちょっとした気温の差や風などに反応するようになってしまったりします。元々の「花粉アレルギー」から鼻や眼が過敏になってしまった「花粉症」という状態になってしまったのだと思われます。
 
 では、「過敏になる」とはどういうことでしょう? 「素肌が過敏ですぐに肌荒れしてしまう」「目が過敏で昼間のまぶしさに耐えられない」そして今回話題の「耳が過敏で、キーーっという金属音に耐えられない」という感覚器官の過敏状態があります。

耳の構造2


 耳(聴覚器)は音を聞き分ける感覚器官ですが、その仕組みを簡単に説明してみます。
 「音」の実態は空気の振動だとされています。ですから耳は空気の振動を感じて反応する器官であるということができます。
 耳は外耳、中耳、内耳の3つの部屋に分かれていますが、耳の穴(外耳道)から入ってきた空気の振動は外耳と中耳の境にある鼓膜を振動させます。すると鼓膜の振動は中耳にあります耳小骨と呼ばれる三つの小骨の振動に変換されます。音がしない(?)のに音を伝える「骨伝導イヤホン」などがありますが、それは鼓膜を介さずに直接中耳に働きかける仕組みになっています。
 中耳の奥には内耳がありますが、そこはリンパ液で満たされた仕組みになっています。かつて海の中で生活していた私たちの遠い祖先(=魚)の面影がそこに残されています。中耳で骨の振動に変換された音は、内耳の水を振動させます。つまり最初は空気の振動だった音が最終的に液体の振動に変換される仕組みになっているわけです。そして内耳の液体振動は、そこにある細かい毛を揺らすのですが、それによって微弱な電流が発生します。その微弱な電流は電気信号として神経(蝸牛神経など)を伝わり脳の中に入っていきます。そして脳内の担当部位で処理されて私たちが「音」として認識できるようになるわけです。

音波の伝わり方


 ですから耳が過敏になる、あるいは難聴状態になるというのは、空気の振動を正確に処理して電気信号として脳に伝え、私たちが音として認識する一連の過程の何処かに不具合や不調があるという理屈になります。
 第一段階は外耳~鼓膜にかけて、第二段階は中耳、第三段階は内耳、第四段階は神経、第五段階は脳という五つの過程のどこに問題があって耳の不調や症状となっているのかを考えることが必要になります。

 さて、「過敏な状態」とはどういうことかを考えてみます。私たちは常にいろいろな外的刺激受け続けているわけですが、その刺激に対して「迅速に、正確に対応できない状態」あるいは「刺激に耐えられない状態」が過敏な状態ではないかと私は考えています。
 例えばパソコンで動画を見るとします。動画は静止画を1秒間に30枚の速度で画面に表示し続けるわけですが、スムーズに再生するためにはパソコンにそれなり処理速度が求められます。十分な処理能力を持っているパソコンであれば快適に動画を見ることができます。ところが10年前、20年前のパソコンを引っ張り出してきて同じ動画を再生しますと、途中で動画が止まってしまったり、あるいはまったく再生できなかったりすることが起こります。それは動画という情報量の大きなデータを正確に処理できる能力をパソコンが持っていないからです。
 通常、私たちはある範囲内(周波数や音量)の音波は正確かつ迅速に処理することができる聴覚器官を持っています。ところが適正範囲を超えるような音波、たとえば大音量の音楽などの刺激には耐えられなくなってその場から離れたくなったりします。そうでなければ上記の五段階プロセスの何処かが傷んでしまうと本能として感じるからだと思います。
 あるいは適正範囲であったとしても自分の体調が悪かったりしますと、処理能力が落ちてしまいますので、音波を正確かつ迅速に処理することができなくなってしまいます。
 「会話の声が頭の中でガンガン響いて頭痛がする」「いつも心地良く聞いている鳥の囀りが気に障る」「自分の声が響いてしまう」‥‥‥これらの不調は音波の処理に関して自分の能力に問題があると考えるのが理にかなっています。「音が気になるから窓を閉めて、音が入らないようにする」「なるべく会話しないようにする」といった方向での対処は、それこそ対処療法であり、解決には至らない方向です。

 ですから「過敏な状態」とは、あるいは「過敏な状態になる」とは下記の二通りではないかと思います。
  1. 自分の処理能力に問題は無いが、刺激が強すぎて正確に処理しきれないため暴走状態になってしまう。
  2. 刺激の強さや量は通常であれば十分にこなせる守備範囲内なのに、自分の処理能力に問題があって正確に処理し蹴れない状態。

 上記2.の場合、問題を解決するためには低下してしまった自分の処理能力を本来の状態に戻すことが必要です。
 冒頭に登場していただいた方は、後頭部右側の後頭下筋群と呼ばれる筋肉が大変強くこわばっていました。その他に右手の親指や人差し指が少し捻れていて強くこわばっていました。これらによって右耳周辺~首筋にかけて強い「張り」がありました。左右の耳の位置を比べますと、右耳は左耳に比べて後方やや下方向にずれた状態でした。
 結論的としては、右手のこわばりや後頭部筋肉のこわばりによって右耳が後下方に引っ張られていたため、外耳道が歪んだ状態になっていて、さらに首筋の筋肉の張りもあって中耳につながる耳管も少し歪んでいたのではないかと思います。耳管は耳の中と外気との気圧を調整する働きをしますが、耳管閉塞症、耳管開放症と呼ばれる症状もありますように、聴覚にかなり影響力を持っています。
 外耳道の歪みは鼓膜の働きに影響を与え、耳管の歪みは中耳の働きに影響を与えますので、それらによって右耳の音波処理能力が低下してしまい、耳が音に対して過敏な状態になってしまっていたと考えられます。
 
 ですから私は右手の手指を整え、後頭下筋群のこわばりを改善して、頭蓋骨の歪みを修整することで右耳の位置を整え、首筋の張りがなくなるように施術を行いました。
 20分くらいの施術時間だったと思いますが、施術後、再び耳元で鐘を鳴らして肘の力がどうなるかのテストを行いました。するとまったく問題の無い状態になりました。そして、玄関外のマンホールの蓋が鳴ってしまう「ペッコン」という音も「さほど気にならない」と仰るようになりました。

 耳も目も鼻の穴も二つありますので、片方が他方を補う仕組みもあって、これら感覚器官の不調は自覚しづらいことではあります。しかしほとんどの人が、二つあるうちの一方を好んで使っている傾向があります。右眼ばかりを使って文字を見ていたり、右の鼻の穴は空気が通るけど左側の穴はほとんど呼吸で使っていなかったり、耳も聞きやすい方で聞いていたりします。両方の耳で受話器を使っている人は少ないと思います。
 不調は自覚しづらいかもしれませんが、実際には存在しているかもしれません。二つあるうちの一つを塞ぐなどして‥‥右の鼻の穴を塞いで鼻の通りを確認したり、眼も片方ずつ見え方を確認したりして不具合や不調の有る無しを確認してみてください。
 見たもの(=見え方)によって心は動かされますし、嗅いだ臭いや聞いた音によって、触れた感触によって感情は動きますので、感覚器官の状態は心を豊かに健やかに保つためにとても重要です。

 もし、「いつもストレスや圧迫感を感じる」とか「すぐにむかついてしまう」「短気をおこしてしまう」「心が塞いでしまう」など内的、心的問題を感じているなら、ご自分の感覚器官をチェックしてみることも必要なことだと思います。「(自分の)外の問題が降りかかっている」と感じていたものが、実は「自分の感覚器官に問題があった」となるかもしれません。それであれば、自分のやり方次第で問題は解決するわけですから、気持ちも楽になるのではないかと思います。


 今回登場していただいたの方は五つあるプロセスの最初の二つ、外耳と中耳の問題を修正しただけですみました。そしてこのような状況の人は「普通に居る」と私は思っています。
 外耳と中耳の問題であれば耳鼻科の医師が担当ですし、素人的な考えでは「それで事足りる」と思ってしまいます。ところが「外耳のズレ」とか「耳管の歪み」「首筋の張り」といった項目は耳鼻科の扱いにはないのかもしれません。
 ご自分の耳の働きに不具合があると認識された方は、一度は耳鼻科に行かれたほうがいいかもしれませんが、解決は期待できないかもしれません。その場合は、筋肉や骨格のことに詳しい治療院や整体院を探して訪れてみてはいかがでしょうか。普通にマッサージや揉みほぐしをしているチェーン店の整体院などでは話も通じないかもしれません。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ http://yumetowa.com
web予約 http://yumetowa.com/sp/reserve2.html  

 先日、朝、目が覚めますと、左頬から左顎にかけて腫れと痛みを感じ、左下の歯列が前に出ていて、思わず舌を噛んでしまう状況になっていました。その他に、鼻が下がり、おでこも下がっていました。
 私自身としまして「この状態は久々だなぁ」と思いました。暑さで寝苦しく「寝方が悪かったのかなぁ?」、それとも「体調不良になったのかなぁ?」などと半分まどろみ状態の中で考えていました。

 似たような症状を訴えるお客さんはしばしば来店されますが、下の歯列が前に出てしまい、上歯と下歯が当たってしまう状況はやはり不快です。
 「どうしようかなぁ」などと思いながらもベッドの上で自分のからだをあちらこちら触りながら、起床(6時頃)するまでの間(30分間くらい)にからだを整えようと試みました。

 まず、舌を噛みやすい状態を「いつもより舌が下がってしまっている」と感じました。私の舌の定位置(ホームポジション)は通常、舌先が上の歯と歯茎の境辺りにあって、さらに舌の上面前方が口蓋(口の中の天井)を軽く上に押し上げているような感じにあります。ところが、舌の位置が全体に下がってしまったので、舌先が上の歯と下の歯の間くらいになってしまい、歯の間に挟まりやすい状況になっていました。
 そして同時に、左顎の状態がおかしくなっていて、左顎が前方に捻れ出ている感じになっていました。「この状態で、さらに噛みしめていたので左頬から顎に掛けて腫れぼったくなってしまったのかな」と分析しました。

「舌が下がって(沈んで)、顎が捻れて、噛みしめていた。」

「どれが大元の犯人だろうか?」

 そんなことを思いながら、胸を触り、お腹を触り、股関節をさわり‥‥後頭部や額を触っていくうちに、「どうも胸が怪しい」‥‥という結論になりました。
 肋間筋(内肋間筋)がこわばってしまい、胸が閉じて、更に下がっていました。
 「どうして肋間筋がこわばっているのだろう?」と思いながら、前日の仕事内容を思い返してみました。
 「そういえば、(筋肉の)硬い人がいて、揉みほぐすのにずいぶん力を使ったな‥‥」
 「きっと手が原因だ。親指と人差し指を使いすぎてバランスが悪くなってしまったのかもしれない」と思いました。
 それで左手の「合谷(ごうこく)」というツボ周辺を指圧しますと、コリコリに硬くなっていました。
 その後、しばらくの間(5分くらい)合谷やその周辺を指圧し続けました。すると沈んでいた舌が少しずつ上に持ち上がってきます。前に突出していた左の歯列も後退していきます。噛み合わせが改善されていきました。
 そして、右手も同じところを指圧し続けてみましたが、するとすっかり舌も顎も良い状態に戻り、胸の状態も良くなって、下がっていた鼻や額も良い状態になりました。
 あれやこれやと20分以上かかったと思いますが、いつも通りの状態で起床することができました。

気になる舌の位置
 顎の開け方と顔の下がりの関係、舌のポジションとしゃべり方や首肩のコリとの関係などについて、過去に投稿させていただきましたが、その後も「舌の状態は気になる」という思いを持ち続けながら施術を行っています。
 そして一つの方向性として「舌の下がった状態は改善が必要で、舌が上がるようにからだを整える必要がある。」という結論的なものを感じています。

舌の位置2

 以前にも記しましたが、顔が下がるのを防ぐために舌が口蓋(口の中の天井)を軽く押し上げる働きをします。そのためには舌の定位置が上がった状態でなければなりません。舌が下がった状態では、ほぼ間違いなく鼻や額が下がった状態になってしまいますので、顔が重力に負けた状態になりやすいと言えます。
 女性にとっては気になることですが、加齢とともに筋・筋膜の働きが弱くなりますので、重力に負けた状態になり、頬が垂れ、目尻も口角も下がり、からだの肉にしまりがなくなってしまう‥‥という自然現象があります。自然の流れなので「仕方がない」ことではあるかもしれません。ところが、例外的な人がいるのも事実です。加齢による変化が少ない人です。
 エステなどに頻繁に通って素肌の手入れをしたり、あるいはジムなどでトレーニングをして筋肉を鍛え、柔軟性を維持して引き締まった状態を維持する努力をしている人もいます。ところが、そんなこととは全く無縁な生活を送っているのに重力に負けない状態を保っている人がいます。その理由はどこにあるのでしょう、気になるところです。

上昇する力
 ところで、鳥は地球の重力に逆らって空に昇っていきます。最初は羽を羽ばたかせて上昇するかもしれませんが、上昇気流に乗ってしまえば省エネでもどんどん上昇していきます。
 “上昇気流”は自然現象ですから、自然の中に重力に逆らう力と原理が存在していることがわかります。
 そしてもう一つ、“毛細管現象”という重力に逆らう自然現象があります。「細い管の中の液体は上昇していく」というのが毛細管現象の意味です。
 植物は地中に根を張って養分や水分を吸収しているわけですが、ポンプで吸い上げるような動力を使っているわけではありません。根という細い管の中に水分が入りますと、それは毛細管現象の原理によって根の中を上昇していきます。そしてその水分は地上を越えてどんどん上昇していき、高いところにある葉に届きます。葉は地中から届いた水分と空気中の炭酸ガス(二酸化炭素)と太陽の光を利用して光合成を行い、自らを養う栄養と大気中に放出する酸素を生み出します。
 私たちのからだの中にも「細い管」である毛細血管が隅々まで隈無く存在しています。ですから毛細管現象が体内で起こっています。
 頭の天辺まで毛細血管は張り巡らされていますので、血液は確実に天辺まで登っていきますが、それは心臓のポンプ力(=血圧)によるものではありません。それは毛細管現象の原理によって届いています。ですから、私たちのからだの中にも重力に逆らって“上昇する力”が内在していることがわかります。

 また、自然界にはまったく重力を無視して、上昇しかしない物質があります。それは“火”です。ロウソクの炎は下に向かうことも、横に向かうこともありません。無風状態であれば、ただただ真上にだけ向かいます。
 ここからはイメージ的な話になりますが‥‥もし私たちのからだの細胞の一つ一つの中に火の原理がたくさんあれば、私たちの細胞は重力に負けることなく存在することができるという理屈になります。
 火は燃やすことによって生じますが、私たちのすべての細胞の中にはミトコンドリアがいて、酸素を使って燃焼の仕事を行っています。ミトコンドリアは私たちが呼吸によって取り入れた酸素を燃やして(酸化反応)有機物(糖質や脂質)から細胞の活動に必要なエネルギー物質をつくり出しています。ですから、常に酸素を必要としている私たちの細胞は、常に燃焼し続けていることになり、常に火の原理を生み出していると考えることもできます。
 大人になって、高齢になりますと食が細くなりますが、それは、もうそれほどエネルギーを必要としないという意味でもあります。育ち盛りの子供達や若い人たちは食べてもすぐにお腹が空き、いくらでも食べられそうな感じですが、それは新陳代謝を活発にして成長しなければならないため、多くのエネルギーを必要としているからです。ミトコンドリアが多くのエネルギー物質を生み出すために酸素と水とたくさんの有機物を必要としているからです。
 ですから、子供達は大人や高齢者に比べて体内に火の原理を、つまり上昇する力をたくさん持っていることになります。それが頬や皮膚や筋肉が重力に負けない理由であり、ピチピチと締まった細胞を維持している理由であると考えることもできるのではないでしょうか。

舌の位置と上昇する力の関係
 さて、「顔が下がらないようにするためには、舌の位置が下がらないようにする必要がある」という考え方をしますと、「それでは、舌の位置を良い状態に保つためにはどうすればよいのか?」という疑問がやってきます。

 まず、からだの歪みが原因で舌の位置が下がってしまうという現象があります。
 例えばお腹が冷えますと、腹筋がこわばってしまい、収縮したまま伸びない状態になってしまうことがあります。そうなりますと、胸を骨盤の方に引っ張り、喉を引き下げ、同時に舌も引き下げてしまいます。そして、鼻も、額も引き下げられて頭痛がしたりします。この場合の解決策は、腹筋を本来の状態に戻すことです。お腹を温めることは有効ですし、ストレッチして腹筋を伸ばすことも少しは効果があります。腹筋の状態が戻れば胸の位置も、喉の位置も、舌も、みな本来の状態に戻りますので問題は解決します。そして、このような状態、つまりからだの歪みにより顔が下がるなどのトラブルはよくあることです。
 次に、からだの歪みが原因ではなく、その他の要因で舌が下がってしまうことでは、東洋医学の経絡(けいらく)やツボといった“気の流れ”系のことでも考えられます。このたび私が手のツボである“合谷”やその周辺を指圧したことによって舌の位置が戻ったのは、この部類に入るかもしれません。
 その他には、心理的な問題といった精神的要因で舌の位置がおかしくなってしまうことも考えられます。舌は“喋り”に深く関係する器官ですから、「内向的で喋りが苦手」「会話がストレス」といったことは舌の状態に影響を与えます。無呼吸症候群やイビキがストレスの問題だと感じているのであれば、それもまた精神的な問題が舌の状態に影響していることになります。

 これまで私が舌の問題に対して施術してきた経験で申し上げれば、問題の大多数はからだの歪み、つまり筋・骨格系の問題が原因です。ところが、時々その他の問題が原因になっていたり、からだの歪みを修整しても問題がスッキリ解決しないこともあります。「なかなか舌の位置が戻らない」と感じながら手間取ることもありました。
 そんな時は、いろいろと考えを巡らすのですが、その中で浮かび上がってきた一つの思考が「上昇する力が不足しているのかもしれない」というものです。

 子供時代の体温は大人の今より高いものでした。それを単純に考えますと、大人よりも子供の方が「火の要素が強い」という見方ができます。
 食欲が旺盛で、たくさん食べて消化の火をたくさん燃やしていた若かった頃は、頬や口角が下がることも、ほうれい線が気になることもありませんでした。しかし、いつの頃からか「顔の感じが変わりはじめ、目元がスッキリしなくなり、ほうれい線が気になるようになった」という人も多いかもしれません。

 からだに内在する“上昇する力”が、顔やお腹や背中の肉が下がることを防いでいる、という考え方はほとんどないかもしれません。そして、そのバロメーターとなるのが舌の状態であると私は考えていますが、現在のところ、まだそれが「確定的である」と言える段階ではありません。
 しかし、例えば椅子に座った状態で骨盤を後方に寝かせるようにして背中を丸めますと、舌先は下の歯のところに落ちてしまい鼻も顔も下がりますが、骨盤を立たせて(仙骨の前傾)背筋が自然に伸びるようにしますと、舌の位置が上がって本来の場所に戻り、鼻と額(顔)も上がるという現象が起こります。
 私事ですが、骨盤を立たせた状態を継続しながらパソコン操作をするのは疲れますので、しばしば骨盤を寝かせて背中を丸めたくなります。しかし、しばらく背中を丸めた状態でいますと息苦しくなってしまいますので、ちょくちょく骨盤を立たせて舌が上がった状態になりたくなります。すると一気に空気が入ってきて呼吸が楽になり、気が休まります。
(但し、からだが歪んでいる人は、このような反応にならないかもしれません)

 このような現象をどう捉えたらよいでしょうか?

 私は、骨盤を立たせて座る姿勢によって“上昇する力”が発動するのかもしれないと考えています。つまり、言い換えますと、毛細血管における毛細管現象が活発化し、細胞内でのミトコンドリアの活動が活発化するようになるではないかと、そのように考えています。

“オトガイが梅干し”の人は舌が下がっている
 整体の仕事において呼吸を整えることは非常に重要なことです。呼吸が楽にならなければ、肩こりや腰痛が解消したところで、芯からリラックスすることはできないからです。ですから、施術中は常にお客さんの呼吸を観察し続けています。
 そして、呼吸が楽になった状態の目安として「オトガイ(顎先)から力が抜けているかどうか」を観察します。顔(下顎)の下がっている人は口を閉じるときにオトガイ周辺の筋肉を収縮させるようになります(オトガイが梅干しのようになる)。つまり、口や顎周辺に力を入れないと口が閉じられない状態です。
 ところが、舌の位置が上にある人は、力を使わずとも自然と口を閉じることができます。舌先あたりが口蓋を軽く押し上げているような状態になっていますと、その動きに乗じて自然と口が閉じる感じです。ですから、このような状態にある人のオトガイには梅干しはできません。
 舌が下がっていますと息苦しさを感じます。舌が上がりますと呼吸がリラックスします。ですから舌を上げて顔を上げ、呼吸を楽にするために、お客さんのオトガイを観察しながら、梅干しがなくなるように施術を行っているというのが現状です。
 ついついポカ~ンと口を開いてしまう人は、おそらく舌が下がっているのだと思います。その状態がみっともないと感じるので、無意識に力を使って口を結ぶような感じになっていると思います。

 実際のところ、下がっている舌が上がるように調整することは可能です。それほど難しいことではありません。ところが、日常生活を送り続ける中で、その良い状態を維持することは「難しいようだ」と私は感じています。
 生活習慣の中に舌を下げてしまう要素がある、あるいは体質的な要因で舌が下がってしまう、という弱点を克服するために生活の在り方を“矯正する”という方法もあると思います。
 そのように指導するトレーナーや医師やあるいは整体師がいると思います。ところが私は、そういうやり方はどうも合点がいきません。
 舌の上がった良い状態を維持できないのは、力が足りない、つまり内在する上昇する力のが不足していることが根本的な問題だと考えてしまいます。その力が充実している状態であれば、少々からだが歪んでいたり、過去の古傷がマイナスの影響力を持っていたとしても、それらの影響を悠々とはねのけて快適な状態を維持できるようになると考えています。

 “上昇する力”については、私の認識はまだまだ不確定な段階ですし、「○○すれば確実に上昇する力が増強する」というものを掴みきっているわけではありません。
 今はまだ途中の段階ですが、また進捗状況を報告させていただきたいと考えています。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ http://yumetowa.com
web予約 http://yumetowa.com/sp/reserve2.html     

 「うつ病と診断されたわけではないけど、うつ症状が長引き、このままではうつ病になってしまうのではないかと思って。整体で少しでも良くなるといいのですが‥‥」と来店される人が時々いらっしゃいます。
 “うつ症状”と言われても、私の専門外ですし、症状や病態についての知識もそれほどありません。ですから施術に際しては、心理的な面とか、生活環境のこととか、症状や病態のこととか、そういうことは一切考えることなく単純にからだを観察して、必要な施術を行うようにしています。
 ただ多くの人を観察し、施術してきた経験で申しますと、うつ症状を訴える人、心理的に弱っている人に共通している状態があります。それは呼吸が悪く、脳が酸素不足、つまり酸欠状態ではないかと思われる状態です。
 医学的に酸欠状態をどのように定義しているのかは知りませんが、脳に酸素が足りなくて頭の働きが鈍っていたり、ドヨ~ンとしてスッキリしていなかったりする状態は明らかに存在します。思考が停止状態に陥っていたり、あるいはいつも同じ思考回路ばかり使っていてそこから抜け出すことができなかったり、そんな経験は多くの人にあると思います。精神的ダメージが強かったり、押し寄せるストレスに耐えられないような状況が続きますと「どうしていいかわからない」「物事が手につかない」などの状況になるかもしれませんが、脳の酸欠状態もそんな感じになるのではないかと、そんなふうに思います。

 そして施術を行い、呼吸のあり方を改善して血液循環が良くなるように整えますと、多くの人がその場で楽な状態になります。
 酸欠状態の人に「酸欠状態で‥‥」と申してもピンときませんが、酸欠状態が改善された状態になったときに「酸欠状態だったのだと思います」と申しますと皆さん合点がいくようです。酸素が行き渡った頭の思考は、それまでのうつ症状の時とは違ったものになっているからです。
 
 酸欠状態=酸素不足ですから、その原因を単純に考えますと“呼吸が悪い”となります。そして実際、その通りです。ならば大きな深呼吸を繰り返して肺にたくさん酸素を取り入れれば解決するのではないかと思われるかもしれませんが、それは、そう簡単ではありません。
 今回はこのことについて掘り下げて考えてみます。

要は“内呼吸”
  生理学の言葉になりますが、呼吸には“外呼吸”と”内呼吸”があります。
 外呼吸は誰もがイメージしています、肺で息を吸って血液中に酸素を取り入れ、不要な二酸化炭素(炭酸ガス)を吐き出す呼吸のことです。肺と呼吸運動に関係する筋肉と骨格(胸郭)が主役の呼吸です。
 一方、内呼吸は、血液(動脈血)中の酸素を細胞内に取り入れ、細胞内で不要となった炭酸ガスや老廃物を静脈血へ排出する作業のことです。細胞の中にはミトコンドリアがいますが、ミトコンドリアが動脈から取り入れた酸素を利用してエネルギー物質を生産し、そのエネルギーを利用して細胞は様々な活動を行っています。ですから細胞に動脈血が十分に届かなければエネルギー不足の状態となり細胞の機能は低下してしまいます。こんな状態が広範囲に及びますと、からだの生理機能は低下してしまいます。
 さらに、ミトコンドリアが消費した酸素は炭酸ガスとなって細胞から排出され、静脈に乗って一端心臓に戻ります。そして肺に送られて口や鼻から体外に放出されるという仕組みになっています。仮に何らかの理由で静脈の流れが悪くなりますと、炭酸ガスの心臓への戻りと肺への運搬が不十分な状態になってしまいますので、体内に炭酸ガスが溜まった状態になってしまいます。つまり内呼吸にとっては、動脈と静脈の両方の流れが重要な要素になっているということです。“血圧”や”コレステロール”や”動脈硬化”など、動脈系のことばかりに着目する傾向がありますが、それでは片手落ちの状態だと言えると思います。

 血圧は動脈の流れと関連性が深いですから、血圧の低い人は動脈血不足になりやすい傾向があると考えられます。しばしば脳貧血の症状になってしまうのは低血圧に原因があると考えられます。“冷え”は動脈、静脈にかかわらず血管の働きを弱め細胞の働きも弱めますので、内呼吸の働きを低下させる原因になります。動脈硬化、自律神経失調、それらも動脈の循環に影響を与えます。

 整体的に重要なことだと私は思っていますが、”静脈血が出ていかないと動脈血が入ってこない”という原理があります。ですから整体の施術において静脈の流れを整えることは非常に重要なことだと考えていますが、それを少し説明させていただきます。
 細胞は毛細血管によって運ばれてきた血液を内部に取り入れ、ミトコンドリアがそれを消費します。消費された酸素は炭酸ガスに変わって細胞から排出されますが、それらがまとまって水分に溶け込み静脈血となります。そして静脈血は血管(静脈)の中に戻って心臓への道を進むわけですが、もしその流れが停滞してしまいますと細胞に出入りする毛細血管からの血液の流れも止まってしいますので、「酸素が細胞に届けられない」という現象が起きてしまいます。
 毛細血管の血液の流れにはもはや血圧は関係ありません。ですから「血圧の力を利用して血液を細胞内に押し込む」ということはまったく期待できません。「静脈血がどんどん流れ去っていくので、動脈血がスムーズに細胞内に取り込まれていく」といったイメージの方が現状に近いのだと思います。
 そして静脈は動脈と違い、血圧や血管の弾力性を利用して血液を流しているのではなく、周りの筋肉の働きを利用して血液を運んでいます。動脈の流れが能動的であるのに対して静脈(リンパも含めて)の流れは受動的であると表現できます。筋肉が疲れ果てて働けない状態ですと、その周辺の静脈血は前に進むことができなくなってしまいます。ふくらはぎや足がむくみやすい理由の一つです。ですから骨格筋の働きと運動は静脈の流れにとって非常に重要だと言えます。その
意味で、整体の施術は内呼吸にとって価値のあるものとなってきます。

 “脳の酸欠状態を改善する”ということで考えたとき、まず「脳細胞に十分な動脈血が届いているか?」という視点があります。そして脳内の血液循環を停滞させないために「静脈の流れが滞っていないか?」という視点が出てきます。
 十分な動脈血を供給するという視点では、血圧、動脈硬化、首肩のコリや捻れといったキーワードが登場します。
 静脈の流れを整え血液循環を活発にするという視点では、鎖骨下静脈、鎖骨と肋骨の歪みというキーワードが登場します。
 そして血液(動脈血)の中に十分に酸素を取り込むために、外呼吸、肺、鉄分というキーワードが登場します。鉄分は血液中で酸素を運搬するヘモグロビンに関係しますが、それは食事で、あるいはサプリや薬で補うことができます。肺の病変については医療機関に頼ることが最善です。
 そして外呼吸につきましては、医療機関や薬などよりも整体的なアプローチが最も適していると私は考えます。

外呼吸を改善するときに着目するポイント
 私たちの様々な生理機能にとって内呼吸は最も重要な問題ですが、そのためにも外呼吸がしっかり行える状態にすることは重要なことです。
 胸式呼吸と腹式呼吸のどちらが良いか? あるいは他の呼吸法の方が優れているとか、外呼吸に対しての考え方は幾つかあるようですが、それらはそれとして、方法論ばかりに目を奪われますと肝心なポイントを外してしまうと私は考えています。
 おそらく殆どの人は鼻から息を吸って肺に空気を取り入れ、そして肺から空気を吐き出すことの繰り返しが“呼吸(外呼吸)の殆どである”と考えていると思います。それは間違いではありません。しかし、その外呼吸の効率を高め、外呼吸と内呼吸にリズム的な繋がりを持たせ、さらに外呼吸によって快適な状態を維持するためには、整えておかなければならないポイントがいくつかあります。
 それは、頭部の柔軟性、副鼻腔(鼻呼吸)、胸郭と肋間筋、首の筋肉、喉と舌、腹筋になります。

頭部の柔軟性と呼吸
 今の世の中、頭と目(感覚器官)の使い過ぎで頭部がガチガチに硬くなり、頭の中がパンクしそうにたくさん詰まっている人がたくさんいます。そのような人は頭蓋骨の柔軟性に乏しいのですが、すると呼吸が中途半端な状態になってしまいます。
 以前にも取り上げましたが、頭蓋骨は一般に「硬いもの」とイメージされていると思いますが、そんなことはまったくありません。本来は柔軟に動くものです。もちろん動ける範囲は非常に小さいですが、骨同士が関節(縫合)で繋がれているということは、「動くようにできている」ということです。
 さて本来であれば、私たちが息を吸うとき、後頭部が上方に動き、側頭部が膨らみます。耳の上部に軽く手を当てて繊細に観察しますと、呼吸動作における頭蓋骨の動きが感じられると思います。
 ところが頭(頭皮など)が硬く、その中がパンパン状態の人は、呼吸における頭蓋骨の動きがほとんど感じられません。

呼吸と頭蓋と骨盤の動き

 年度の切り替え時期になりますと事務職の人はパソコン仕事で大忙しになりますが、目と頭を酷使するためこのような状態になる人も多くいます。「マッサージしても疲れが取れなくて‥‥」「寝ても全然疲労感が抜けていかない」と感じている人は、頭のマッサージをすることで改善されるかもしれません。
 「頭が硬くなっている」というのは具体的には頭皮や頭部の筋膜が張っていたり、側頭筋や額や鼻周り筋肉がこわばっている状態のことですが、疲れているにもかかわらず仕事をしなければならないので歯を食いしばって頑張っていたり、目を酷使しているためにそのようになってしまったのかもしれません。
 また「頭が詰まった状態」というのは頭をたくさん使うため血液(動脈)がたくさんやって来たのですが、静脈の流れが悪く頭の中が血液過剰の状態になっている、つまり脳内がむくんだようになっている状態のことです。これは鎖骨下静脈の流れと密接に絡み合うことですが、詳細については過去の記事をご覧になってください。
 この二つの状態=“頭が硬くなって詰まっている状態”がありますと頭蓋骨は動きにくくなりますので、結論的に申しますと吸気が中途半端な状態になってしまいます。するとからだや頭は酸素不足の状態になってしまいますので、「からだをマッサージしても、休めても疲労がとれない」となってしまいます。
 これまでの経験で申しますと、頭を柔らかい状態にして静脈の流れを改善しますと何分もしないうちに呼吸状態が良くなり、間もなく活力が戻ってくるようになります。

副鼻腔
 私たちが息を吸うときは鼻孔で行うのが本来の在り方です。しかしながら、昨今は口呼吸、つまり口から息を吸ってしまう人が大変多くなっています。口呼吸ばかりの人は口の形にその特徴が現れます。鼻の下を人中(じんちゅう)と呼びますが、そこが短くなっていたり上唇が上を向いていて前歯がすぐに見えてしまう口の形がそれです。激しくハアハアと呼吸を繰り返さなければならないために鼻で吸っていたのでは間に合わない、たとえばサッカー選手などはどうしても口呼吸になりやすいですが、口呼吸には弊害があります。
 鼻孔を通して取り入れた空気は、副鼻腔を通過させることで健康を維持することに貢献します。副鼻腔は頬のところ(上顎洞)と額のところ(前頭洞)にあります。鼻でスーッと吸った空気を頬や額の副鼻腔を通過させますと顔の中に風が通るような感じになりますが、それによって空気は汚れを除かれ、温度と湿度を調整されます。1秒も掛からない短時間の間に外気をからだにとって最適な状態に調整する能力が副鼻腔にはあります。調整された空気はそのまま気管や肺に入っていっても安全で臓器に負担をかけることはないと言います。

副鼻腔2

 一方、口呼吸によって鼻孔や副鼻腔を通さずに取り入れた空気は、このような調整機能をまったく受けることなく咽頭や気管や肺の中に入っていきますので、からだに負担を掛けることになります。口の中には扁桃腺などがあって汚れやバイ菌をある程度除去してくれますが、それらは本来は食物に対するものですので、副鼻腔の空気浄化力にはかないません。扁桃腺が腫れやすい人は口呼吸を改めることを積極的に考える必要があると思います。
 また副鼻腔炎になりやすい人もおりますが、それは副鼻腔に新鮮な空気が通っていない、つまり、副鼻腔の中の空気が停滞してしまっていることが原因かもしれません。
 鼻孔で呼吸をしていても副鼻腔に空気を通さずにそのまま咽頭の方に空気を通過させている人もいます。鼻(鼻骨)が下がっていますと額の副鼻腔には空気が通りにくくなってしまいます。目元や鼻の周りが硬くこわばっている人、あるいは顔の骨格が歪んでいる人は頬の副鼻腔に空気が入りにくい状態になっていますが、このような人はせっかく鼻呼吸をしているのに、鼻呼吸の恩恵が半減している状態です。

胸郭と肋間筋
 胸郭は12本の肋骨と背骨でできています。その中には肺と心臓が収まっていて底面に横隔膜があります。肺にはほとんど筋肉がありませんので、肺は自らの力で膨らんだり縮んだりすることはできません。胸郭が拡がり、横隔膜が収縮して胸の底面が下がることによって袋である肺に空気が入ってくる仕組みになっています。
 さて、私たちのからだには鼻孔と副鼻腔を通して息を吸う動作に合わせて胸郭が拡がり横隔膜が収縮して肺に空気が入る連動性が備わっています。鼻のつけ根、鼻骨のところにスーッと音を立てて空気を吸い上げるように吸い込みますと、自然に肋骨が上がって胸が拡がり空気がたくさん肺に入ってきます。この一連の流れは呼吸独特のリズム感を生み出しますが、それに伴ってからだは次第にリラックスするようになります。
 ところが、口で息を吸う場合はこのような連動性は生じません。すぐに胸やお腹が詰まったような状態になってしまいます。

 ベッドに横たわっている人の呼吸を観察していますと幾つかのパターンがあります。胸郭の下部だけが動いて胸式呼吸をしている人、お腹だけが上下に動いて、胸郭の動かない腹式呼吸をしている人、喉元だけで呼吸をしているように見える人、その様子は様々です。理想は鼻孔~副鼻腔を通して吸気行い、一連のリズムで胸郭が拡がり横隔膜が下がって腹式呼吸をしている状態になることですが、そのためには肋間筋が整っている必要があります。また、胸鎖乳突筋や斜角筋、肩甲挙筋といった頚部の筋肉がしっかり働ける状態になっている必要もあります。

呼吸時における外肋間筋と横隔膜の動き

 肋骨は12本あります。そして肋骨と肋骨の間には2種類の肋間筋があります。内側にある内肋間筋(ないろっかんきん)は収縮することによって上部の肋骨を下方に引っ張りますが、全体の内肋間筋が働きますと胸郭全体が下がって平たく(薄く)なります。私たちが息を吐くとき、このような状態になりますが、それによって肺が縮まり中の空気が外に吐き出されます。
 外側にあります外肋間筋(がいろっかんきん)は収縮することによって下部の肋骨を上方へ引き上げますが、全体の外肋間筋が働くことによって胸郭全体が引き上げられ更に膨らみます。ちょうど内肋間筋と反対の働きをしますが、それによって肺も膨らんで空気がたくさん入ってくることになります。
 ところで外肋間筋も内肋間筋も正常な状態であれば、私たちが息を吸うときには内肋間筋がゆるんで伸張し、外肋間筋が収縮します。息を吐くときには内肋間筋が収縮して外肋間筋がゆるみます。ところが、内肋間筋がこわばっていてゆるむことができないために胸郭が拡がらず、心地良く肺に空気を入れることができない、つまり吸気が不十分な状態になっている人がいます。あるいは反対に、外肋間筋がこわばったままでゆるむことができないために、常に胸郭が拡がったままの人もいます。「鳩胸」ということで、単に個性的な特徴と捉えられるかもしれませんが、それは外肋間筋がこわばった状態になり続けているということなのかもしれません。このような人は息を吸ったままの状態と同じ状態ですので、いわゆる過呼吸状態であり息を吐き出すことが苦手な人だと言えます。首肩から力が抜けない緊張状態、ストレス一杯の状態であるとも考えられます。

 呼吸運動は波のような大きなリズム感を伴った一連の流れです。砂浜に海の波が心地良く押し寄せるようなリズムと臨場感に似た状態が理想ですが、そのためには肋間筋の状態が良くなければなりません。

 また肋間筋は使い過ぎによってこわばったり変調を起こすような類の筋肉ではありませんので、肋間筋の状態を整えるために胸郭に対して直接施術するようなことはほとんどありません。手先の使い方、目を開けるときに眉間辺りに力が入る癖などによってこわばってしまいます。ですから、その辺りをほぐして肋間筋の状態を整えることになります。

胸郭を引き上げる首の筋肉
 呼吸運動においては、吸気の時に胸郭が引き上げられて拡がるのですが、そのために働く筋肉が頭部と頚部から出ています。
 僧帽筋(そうぼうきん)の上部線維は頭部と肩甲骨及び鎖骨を繋いでいますが、収縮することで肩甲骨と鎖骨の外側部を引き上げる働きをします。
 頚部から肩甲骨に繋がっている肩甲挙筋(けんこうきょきん)は肩甲骨の内側部を引き上げる働きをします。僧帽筋の上部線維と肩甲挙筋は直接胸郭を引き上げるわけではありませんが、肩甲骨と鎖骨も引き上げられないと胸郭は上がってきませんので、呼吸運動においてこの二つの筋肉は脇役ながら重要な働きをしています。

吸息時に働く首周りの筋

 そして鎖骨を引き上げるもう一つの筋肉は胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)です。胸鎖乳突筋は鎖骨と胸骨の関節付近に付着していますので、収縮することで鎖骨の内側部と胸郭(胸骨)を引き上げる働きをします。
 そして首から胸郭の上部肋骨につながっていて胸郭を直接引き上げる働きをしている筋肉があります。それは斜角筋(しゃかくきん)のことですが、斜角筋には第1肋骨に繋がっている前斜角筋と中斜角筋、第2肋骨に繋がっている後斜角筋の3つがあります。斜角筋は首の側面にありますので、首の側面がガチガチで痛みを感じたり首を倒すと突っ張ったりする人は斜角筋がこわばっている可能性があります。そして斜角筋はそしゃく筋と関係が深い筋肉ですので、歯ぎしりや噛みしめの癖を持っている人は斜角筋がこわばった状態になっています。
 本来は吸気動作の時に斜角筋が収縮して胸郭が引き上げられ、呼気の動作の時に斜角筋がゆるみ同時に腹筋が働いて胸郭が下がるようになっています。ところが噛みしめの癖、歯ぎしり癖、首や顔に力の入りやすい癖の人などは斜角筋がこわばっているために常に胸郭が上がった状態になっていたりします。
 そして、それは息を吸ったときの状態ですので、その人は息苦しそうに見えます。本人の自覚ではそうは思っていないかもしれませんが、「過呼吸状態の人」であると考えることができます。胸郭が下がっていかないので息を吐き出せないのですが、その状態でさらに息を吸いますので、肺の中は常に空気でいっぱいの状態です。ですからしばしば溜め息をついて処理しなければならなったりします。
 「頭の中も(ストレスなどで)いっぱい、肺の中も空気でいっぱい。どうして溜め込んでばかりなんだろう?」と思われる人は、斜角筋をはじめとして首の筋肉をチェックする必要があるのかもしれません。

喉と舌の状態は隠れたポイント
 性格が内向的で、思っていることがなかなか言葉にできなかったり、うつむき加減で顎を引いた状態で喋る癖になっている人は、構造的に息継ぎが上手くできない可能性があります。瞬間的な息継ぎが苦手なので、苦しくなって言葉を続けることが億劫になっているかもしれません。
 お喋りが得意な人は、次から次にと言葉が続いて出てくるわけですが、そのためには息継ぎがポイントになります。言葉を発することは息を吐き続けるということですから、瞬間的な息継ぎをして空気を吸わないと苦しくなってしまいます。素速い息継ぎのためには肋間筋が素速く働いて胸郭が拡がり、肺に空気が瞬時に入る必要がありますが、それ以外に舌と喉など内部の筋肉の連携が上手くいっている必要もあります。
 食物や唾を飲み込むときの舌や喉の動きを観察しますと、まず舌を使って口の中を塞ぎ、次に舌を口蓋(天井)に押しつけながら舌と喉の筋肉を連動させて食道内に食物や唾を送り込みます。正常であれば、この動作に合わせて喉仏が上下に大きく動きます。もし喉仏の上下運動が何かの原因で障害されるようですと、飲み込む動作が不自然な感じになってしまいます。タイミングを見計らってからでないと飲み込めないような人は舌と喉の連携に問題がある可能性があります。
 息継ぎをすることと食物や唾を飲み込むことは、気管に空気を通すか食道に食物を通すかという違いはありますが、舌と喉の連携、喉仏の上下運動という点では共通点があります。

甲状軟骨と舌骨筋群

 さて、喉仏の上下運動は左右の胸鎖乳突筋の間で行われます。ですから、頭部や首が歪んでいたり、鎖骨の位置が狂っていたりして左右の胸鎖乳突筋のバランスが悪い状態ですと、あるいは頚椎に捻れがあって喉も捻れている状態ですと、喉仏の上下運動が胸鎖乳突筋に当たってしまい十分にできない可能性があります。あるいは、顎を引いた状態で喋ることは、それだけで喉の動きを制限しますので、息継ぎが苦手になってしまい言葉を続けることが難しくなります。
 また、舌は非常に微妙な動きをすることができますが、そのために幾つもの筋線維が複雑に絡み合ってできています。さらに舌には食物を取捨選択するための非常に鋭く繊細な感覚が備わっていますので、舌そのものを壊してしまいますと本人がすっかり満足するほど完全な状態に戻すことにとても苦労します。「まぁまぁ」の状態に戻すことは速やかにできても、息継ぎなど他の筋肉との緊密で繊細な連携を必要とするような繊細さを取り戻すまでには、私の経験から申しますと時間がかかります。ですから舌は大切に、大切にしてください。

腹筋は呼吸筋でもある
 人体模型など見ますと、胸郭と骨盤との間には背骨しかありませんので、大切な内臓をおさめる腹部は無防備で頼りない感じに思えます。しかし私たちには4種類の腹筋があって骨格的に弱点となっている腹部をしっかりと守っています。

腹部の4つの筋

呼気に働く腹筋02


 腹部のセンターラインには腹直筋(ふくちょくきん)がありますが、ちょうど背骨と相対するようにして腹部の“芯”になっています。そして腹直筋と背骨をつなぐように一番深部に腹横筋(ふくおうきん)があります。その表層部に斜め方向クロスするように走っている内腹斜筋(ないふくしゃきん)と外腹斜筋(外腹斜筋)があります。腹直筋も内腹斜筋も外腹斜筋も収縮することによって胸郭を下げる働きをしますので、呼吸運動においては呼気(息を吐き出す)の時にこれらの腹筋が働くことになります。そして吸気の時は、これらの腹筋が伸びることで胸郭がスムーズに上方に動くので肺が大きく膨らむことを可能にしています。
 もしこれら腹筋群の働きが弱い状態ですと最後まで息を吐き出すことが難しくなります。呼吸をして新鮮な空気をたくさん取り入れたいのに古い空気が肺の中に残ったままの状態になっているので呼吸の効率が悪くなります。
 また、腹筋群がこわばった状態の人は胸郭が上に動きにくい状態ですので、吸気が十分にできません。呼吸が浅くなってしまいますので、すぐに息苦しくなったり、しばしば動悸に襲われたりするかもしれません。

その他の呼吸に関わる要素
 「胸はセンサー」と前にも申しましたが、呼吸運動の舞台である胸部は精神的なことや環境からの要素などいろいろな事象に反応して状態を刻々変化させます。心理的ストレスによって胸は塞がったりしますが、具体的な現象としては、肋骨が胸骨のほうに巻き込むように向かっていき、息を吸っても胸郭が拡がらなくなってしまったりします。そのような時には“胸腺”を主眼に、胸骨上をほぐしてみたり、肋骨を胸骨方向に引っ張っている大胸筋がゆるむような施術を行ったりします。
 また、呼吸に合わせて頭蓋骨が動くように、骨盤も拡がったり縮んだりしますが、この動きが起こらないと呼吸が全身的なものになりません。一つの呼吸リズムが全身に拡がって「呼吸が心地良いもの」と感じ、芯からリラックスするためには骨盤の柔軟性が必要になります。
 骨盤の柔軟性を奪うのは腹筋や殿部の筋肉であり、足や下半身からの影響が考えられますので、足やふくらはぎを施術したりします。

 呼吸の理想は、鼻の上部、鼻骨のところでスーッと吸い込んだ空気が副鼻腔を通過しながら頭部と骨盤を拡げ、同時に胸郭を引き上げながら拡げて、ゆったりと肺に空気が十分に静かに入っていくこと。そして次に呼気の段階では、横隔膜がゆるみだし腹筋が働いて息をゆっくり吐き出しながら胸郭が下がって骨盤が閉まるようになりますが、その波とリズムが太股を伝わり、ふくらはぎを伝わって足裏から出て行くようになることです。
 このような状態が理想ですし、私のところでの施術ではそこまで実現しようと常に思っていますが、普段はここまで実現できなくても、今回取り上げた項目の半分以上ができている状態になっていただきたいと考えています。

 さて、うつ症状(うつ病ではない)に対する対応として「酸欠状態を解決すること」が有効だと私は考えていて、そのためには呼吸のあり方を見直して改善する必要がある、というスタンスで長々と書いてきました。
 私たちのからだの中で、脳は最も酸素を必要としている臓器です。考え事をする=思考を展開するためには非常にたくさんの酸素が必要だと言います。脳内が常に十分な酸素で満たされていれば、脳神経の伝達がスムーズで、思考を素速く思い通りに展開することができると思います。しかし頭に疲労(物質)が溜まってしまい、酸素の供給が不十分な状態になってしまいますと「考えたいけど‥‥考えられない!」というような状況になってしまいます。そして、これは誰もが経験していることではないでしょうか。
 もし慢性的に、つまり常に脳内の酸素が不十分な状態であれば、心で思ってもそれを頭にイメージとして構築することができないので実際の行動に移すことができなくなってしまうかもしれません。「思ってはいるけど、からだがついていかない」、このようなうつ状態は、このようにしてもたらされるのかもしれません。

 インターネットなどの情報によれば、うつ症状を改善するための方法の一つとして「深呼吸で酸素不足を解消する」というのがあります。それは上記の理由からも理にかなっていることだと思います。しかしながら、深呼吸をすることによって実際に脳内の酸素が満たされた状態になるかどうかという問題が残ってきます。
 今回取り上げましたいろいろな要素―頭蓋、副鼻腔、首の筋肉、肋間筋、腹筋など―に問題がありますと、深呼吸の動作は「単なるポーズで効果薄し」となってしまいます。ハッキリとした効果が感じられなければ、日課として始めた深呼吸の習慣もいつの間にか続かなくなり、うつ症状というマイナスループから抜け出すことがなかなかできないという状態になってしまうでしょう。
 実際、うつ症状を抱えて困っている人は、何とか改善したいと思っているはずです。ところが、その思いを実際の行動に移すことができないので、うつ状態なのだと思います。
 そんな方は、どうぞご来店いただければと思っています。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ http://yumetowa.com
web予約 http://yumetowa.com/sp/reserve2.html 

↑このページのトップヘ