ゆめとわのblog

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カテゴリ: 体型

 今回は頻尿などの症状で苦しんでいた人の話題です。二人の40歳代の女性AさんとMさんの具体例を報告します。

子宮筋腫が大きくなって頻尿になってしまった

 Aさんが来店されたのは2年半ぶりのことです。来店された症状は腰痛で、結局それは軽いギックリ腰でした。久々の来店でしたので、いろいろと話しをしていたのですが、その話題の一つが2年ほど前から子宮筋腫が大きくなり、この半年はちょくちょくトイレに行かなければならないほど頻尿になってしまったとのことでした。
 自宅近くにある温熱療法の治療院で治療を受けると少し症状は緩和するけど、それでも効果は長持ちせず時間が経つと頻尿状態に戻ってしまうとのことでした。

 「子宮筋腫と頻尿は関係あるの?」と質問されました。
 「膀胱と子宮は隣接しているので、筋腫が大きければ膀胱が圧迫されて頻尿になることは考えられますよ」と私は応えまして、「ところで、筋腫の大きさはどのくらいですか?」と尋ねました。
 「だいたい10㎝くらい」とAさん。
 「それは、影響はあるでしょう」と私は言いました。

 「しかし、内臓が下垂していなければあまり影響はでないかもしれない」と私はつけ加えました。
 「そういえば、このところ下腹がぽっこりと出るようになってしまって。」
 「内臓下垂と関係あるの?」とAさん。

 「下腹が出てしまったということは、鼡径部が下がったということなので、内臓下垂につながる可能性がありますよ」
 「そうであれば、鼡径部が上がるように整えることで内臓が上がって筋腫がそれほど膀胱を圧迫しなくなるかもしれません。」「頻尿が改善する可能性は考えられますよ」と私は言いました。

 そして、鼡径部が上がって下腹がスッキリするよう全身を整えていきました。

 「どうして鼡径部が上がると内臓があがるの?」とAさん。
 「鼡径部は骨盤の前面から内臓がこぼれ落ちないように、道路のガードレールのような役割をしているので、鼡径部をしっかりさせることで内臓の収まりが良くなるんです。」「だから下腹もスッキリしてウエストも細くなると思いますよ」
 「また、私たちのからだには『上昇する力』があって、その力を発揮するためには鼡径部や舌が上がっていなければならなくて‥‥鼡径部はそういう意味でも大切なところなんです。」と私は言いました。

 このあと、「上昇する力」についていろいろ問答がありましたが、キーワードとして私はミトコンドリアの働きと鼡径部・舌・喉・足のアーチとの関係などについて応えながら施術を進めていきました。

 施術を終えたとき、まだ頻尿の問題については様子を知ることはできませんでしたが、ウエストが細くなって、下腹が引っ込んだことは実感されていました。そして、腰の状態も非常に楽になったとのことでした。

 その後、一週間ほどして来店された時に様子を伺いましたが、頻尿はかなり改善されていて、職場で午前中は一度もトイレに行かないで済むようになったとのことでした。
 「頻尿になる前とほとんど変わらない感じになった」
 「それまでは15分くらいしか持たない感じだったのでいつもそわそわしていたけど、そんな心配はまったくなくなった」とのことでした。

腰椎の問題で頻尿になり、下腹部に強い不快感

 Mさんの症状は幾つもありました。喉の痛みと不快感、腰痛、極端な頻尿、下腹部~陰部にかけての熱感と強い不快感、火照り、頭痛などです。
 座ることが非常に辛くて、横になるもの辛いので、一日中立った状態で過ごしているとのことです。夜もほとんど眠ることができないので、肉体的にも精神的にもまいっていしまい困り果てている様子でした。

 Mさんは更年期障害に該当する年齢でもあり、火照りや下腹部の不快感など、その影響もあるのかと思いそれなりに対応はしてきたとのことですが、最近になって座っていることが全くできなくなってしまったので、他に原因があるのではないかと考え、私のところを紹介されて来店されました。

 初回は、喉の痛みと不快感が最も気になるということと、全身をリラックスさせたいという要望でしたので、一通り通常の施術を行いました。
 頭痛、腰痛、頻尿、火照り等の症状に対応するつもりで、首肩を揉みほぐすことから始め、腰部では腎臓が膨らんでいましたので腎臓の反射区を刺激したり、骨盤を整えたりしました。
 腎臓が膨らんでいたことから、それが影響して頻尿になっていたのかもしれないと考えたり、全身がカチカチに硬くなっていましたので、血流も悪く、首から上への血流不足なども考えられます。そして、それによって火照りや頭痛といった症状がもたらされたのかもしれないとも考えました。
 また、喉の痛みと不快感は頚椎を整え、甲状舌骨筋など喉周辺の筋肉を整えることで症状は解消しました。
 一通り施術を終えますと、「スッキリして楽になった」ということで帰られましたので、その後、Mさんのことはほとんど気に留めていませんでした。

 ところが、2週間ほどしますとまた来店されまして、「まったく座っていられなくなってしまった」「あの時はスッキリしたけど、しばらくするとまた火照りが始まり、特に下腹部から陰部にかけて火照りが酷く、昨晩、一昨晩と全然眠れなくなってしまった」と仰いました。
 「ただ、腰の下の方を少しマッサージするとちょっと症状が落ち着くので、腰とか骨盤とかが関係しているのでは?」とも仰いました。

 そこで、今回は腰部に着目して施術を行うことにしました。
 細かく骨盤と腰椎を観察していきますと、第5腰椎が少し前方にすべっているのが確認できました。(正確には第4腰椎と第5腰椎の関節部分が前方に落ち込んでいました。)そして仙骨が後方にずれていて更に後傾していました。
 「これが原因かな~?」と疑いを持ちながら、いろいろ様子を探っていきました。

 そうであれば、下腹部から陰部にかけての火照り(熱感)や不快感は神経異常の症状であるとも考えられます。極端な頻尿も神経の働きがおかしくなっていることが原因なのかもしれません。
 また、座っていることができないという症状も、第4腰椎~仙骨にかけての不安定さが原因である可能性があります。骨盤(仙骨)と背骨(腰椎)との接点が不安定で、骨盤に上半身を乗せることが耐えられないと考えることができます。
 このようなことを思いながら、腰椎と仙骨の状態を修正する施術を行っていきました。

 ところで、Mさんの下半身は内股状態です。太ももが内側に少し捻れているのですが、それは子供の頃からの体型だということです。

 ところで、腰椎と大腿骨は大腰筋を介して直接的な関係があります。大腰筋は腰椎の椎体を起点(起始)として大腿骨の小転子というところにつながっていますので、内股で大腿骨が内側に捻れている状況は大腰筋をこわばった状態にします。
 つまり太ももが内側に捻れた内股状態の人は大腰筋がこわばってしまい(=収縮状態)、腰椎を前下方に引っ張っている状態になっている可能性があります。
 ですから、まず内側に捻れている大腿骨の状態を正すことから施術を始めました。
 大腿骨を内側に捻る(内旋する)働きをする筋肉には大腿筋膜張筋と小殿筋がありますが、それらの筋肉は強くこわばっていました。ですから、そのこわばり状態を解消するために多くの時間を足裏や踵や足首周辺の施術に費やしました。

 大腿筋膜張筋と小殿筋のこわばり状態が弱くなるにしたがって、前方に落ち込んでいた腰椎が少しずつ少しずつ後方に戻ってきましたので、この施術が正しい方向性であることはわかりました。

 大腿筋膜張筋と小殿筋の状態がある程度改善しましたので、次に仙骨が後傾している問題に取り組みました。
 Mさんの仙骨は単に後傾しているだけでなく、後方に出っ張った状態になっていました。ですから第4腰椎と第5腰椎の関係だけでなく、第5腰椎と仙骨の関係も悪かったわけです。
 骨盤内の臓器に対する神経は仙骨から出ていますので、仙骨の状態を改善することで膀胱の働きや下腹部から陰部に掛けての感覚異常などにも対応できるかもしれません。そのように私は思いました。

 仙骨の整え方は、実際いろいろ複雑でしたのでここでは説明を省略しますが、頚椎や頭部からの影響もありました。
 60分間、ほとんどの時間を腰椎と骨盤の調整に費やしましたが、前方に落ち込んでいた腰椎、後方に出っ張り後傾していた仙骨などはすっかり整いました。
 そして、ベッドに座っていただいた状態で、5分間くらいいろいろ微調整を行っていました。そしてその後、座っている間の様子を伺いました。
 「座っていることの辛さはまったく感じないし、違和感も火照りも感じない。ごく普通な感じです。」という返答でした。
 一応、症状の原因に対する予想も正しかったようで、思惑通りの結果は得られました。

 そして、第4腰椎と第5腰椎のこと、内股で大腿骨を内側に捻る筋肉が硬くこわばっていることなどが主な原因であることを伝えまして、「もし、また違和感などを感じるようになりましたら、太ももを外側に捻るようなストレッチを行ってください。あぐらをかいてしばらく座ってみるだけでも症状は緩和されると思いますよ。」とアドバイスして施術を終えました。

神経と血流について

 子宮筋腫ができてしまう理由、そして筋腫が大きくなってしまう理由については未だ原因が明確ではないようです。女性ホルモンの分泌には関係性が見られるようですが、はっきりしないことも多いようです。ところで、私は若い女性に子宮筋腫に限らず婦人科系の病気が目立つのが気になっています。
 女性ホルモンは卵巣が分泌しますが、そのコントロールは脳で行っているとされています。脳下垂体から血液の中に分泌される性腺刺激ホルモンが卵巣に届いて女性ホルモンが産生さる仕組みになっているとのことです。
 ですから、血流は重要です。脳と卵巣との間の血流状態に問題がありますと、女性ホルモンの分泌に問題が生じると考えることができるからです。

 また、子宮や膀胱、骨盤内臓物に関係する神経としては自律神経の骨盤内臓神経(副交感神経)と随意神経の陰部神経(感覚神経と運動神経)がありますが、どちらも仙骨(仙髄)に深く関係しています。
 そして神経というのは、神経管(ファイバー)とその中で働く神経伝達物質で構成されていますので、神経管も神経伝達物質もどちらも重要です。
 神経管を養うために動脈が伴行していますので、神経の働きという面でも血流は重要ということになります。

 Mさんが感じていた下腹部から陰部にかけての熱感や不快感は陰部神経の異常状態が原因だったかもしれません。
 腰椎が前に落ち込んだことで神経管が圧迫されて内部の神経伝達物質の働きがおかしくなったのかもしれません。あるいは正座をし続けるとやがて血流が途絶えて脚がしびれだしますが、同じような原理で感覚神経である陰部神経の反応がおかしくなったり、骨盤内臓神経が異常状態になったのかもしれません。

 私にはどちらが本当の原因かを判断する能力はありませんが、いずれにしても血流を邪魔する要因を除去して血液の流れを改善することは必要不可欠です。また、神経管を圧迫するような要因を除去するために、骨格を整えることも大切だと考えることができます。

内臓下垂を改善する‥‥鼡径部の大切さ

 Aさんに話題を戻しますが、Aさんの場合は子宮筋腫が大きくなって膀胱を圧迫しているために頻尿になってしまったという可能性が考えられました。子宮が大きくなる現象としましては妊娠があります。妊娠初期にはやはり膨らんで大きくなった子宮が膀胱を圧迫するために頻尿になったり、残尿感が残ったりする症状が現れると言います。ところがある時期を過ぎますと、子宮が膨らむ向きが上方(お臍の方)になるので、膀胱への圧迫が消えて頻尿や残尿感の症状が消えるということです。
 ですから、同じ理屈で考えますと、たとえ10㎝大の子宮筋腫であったとしても、その向きが上方に向かうようであれば膀胱への圧迫は改善すると考えることができます。

 胃下垂は内臓下垂の代表的な症状ですが、小腸が下垂して骨盤内臓物を圧迫する状況もあるかと思います。鼡径ヘルニア(脱腸)はその典型例ですが、妊娠が進んで子宮が大きくなり、鼡径部を圧迫して鼡径ヘルニアに近い状態になった妊婦さんをケアしたことがあります。
 その人は足首周辺が静脈瘤状態でしたが、体表の筋膜(皮下筋膜)がゆるんだ状態になっていて、鼡径部も下がった状態になっていました。お腹が大きいのに、加えて鼡径部も下がっていましたので、お腹が骨盤からはみ出てしまうような状態でした。私はひたすら筋膜の状態を整えることと、鼡径部を上げることの施術に専念していました。何回かの施術で鼡径部も安定し、鼡径ヘルニアに近い状態も足首周辺の静脈瘤も改善して無事出産されましたが、そのときに鼡径部の在り方は内臓の収まり方にとって大変重要だと知ることができました。

 Aさんに対しては鼡径部が上がるような施術も行いましたが、おそらくそれによって内臓全体の収まりが改善したので、筋腫で膨らんだ子宮が膀胱を圧迫する状態も改善されたのではないかと思います。
 女性で下腹が出ていることが気になっている人も結構いますが、それは「脂肪がついた」というよりも鼡径部が下がって内臓下垂の状態になっている方が多いのだと思います。
 ですから、鼡径部が上がるように調整することで、スタイルに対する悩みはけっこう解決できるのではないかと思っています。
 鼡径部の上げ方については、これまで幾度かブログに記してきましたので、そちらを参考にしていただくのもよいですが、ちょっとセルフケアでは難しいかもしれません。

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 当院では、まずベッドに伏臥位(うつ伏せ寝)になっていただいた状態から施術を始めることが多いのですが、それは症状の別に関わらず、全身の状況を確認するところから施術に入りたいと考えているからです。
 背面の歪みを観察し、軽く擦ってからだを揺らしながら背骨の状況、筋肉の大きな変調、骨盤の状態などを確認していきます。
 そして時々、「この人は今、胴体(上半身)が本来よりも長くなっていて短足に見える状態だ」と思うことがあります。

 骨盤の位置が本来より下がってしまい、お尻も垂れてしまっているために短足に見えることもあります。
 あるいは、骨盤と胸との間が間延びしたようになっていて胴が長くなっていると感じる場合もあります。
 今回は、からだの歪みの一つとして、胴(上半身)が本来よりも長くなっている状態について取り上げてみます。

筋骨格系の問題で上半身が長く見える

 私たち日本人は欧米人やアフリカ系の人達と比べますと、お尻が下がって短足に見える傾向があります。実際に脚の長さが違う面もありますが、お尻(=骨盤)の在り方次第で見栄えといいますか印象がかなり違ってきます。

 骨盤が前傾していてお尻がプリッと上がっている人達は、やはり脚が長く見えます。反対に骨盤が後傾していてお尻の肉も下がっている場合は、実際以上に脚が短く見えてしまいます。
 ですから傾きも含めて骨盤のあり方はスタイルにとって重要です。

 そしてもう一つ、骨盤の傾きにも関係することですが、実際に骨盤の位置が下がってしまう場合があります。
 それは、お尻の筋肉である小殿筋と中殿筋に関係しています。

 小殿筋も中殿筋も骨盤(腸骨)から始まり、大腿骨の大転子というところに繋がっています。ですから、股関節で大腿骨を外側に開く(外転)働きがあると、解剖学などの専門書には記載されています。書物によっては股関節の内旋など違う働きをするとの記述もありますが、概して、小殿筋も中殿筋も同じような働きを行い、股関節を支え、歩行を支えるために働く筋肉であるとされています。

 ところが、私はまったく別の見方をしています。
 それは連動する筋肉のことを知ることでわかります。
 小殿筋は中殿筋に比べて短い筋肉ですが、膝関節では膝裏にある短い膝窩筋(しつかきん)と連動します。上半身の肩関節ではやはり短い棘上筋(きょくじょうきん)と連動し、肘関節でも短い肘筋(ちゅうきん)と連動します。
 短い筋肉は大きな動作に関わるよりも、関節において骨と骨の関係を正しい状態に整える役割を有していると私は考えています。
 ですから小殿筋は、股関節で骨盤と大腿骨の関係を適切な状態に保つ役割として重要です。

 一方、小殿筋より大きくて筋の長さも長い中殿筋は動作を支え、姿勢を保つ働きをします。理想的な状態で立つことのできる人は、立った時にお尻にエクボができますが、それは中殿筋の働きによるものです。

 そして、歩行の時に片脚立ち状態をしっかりした状態に支える役割を担っていますが、上半身で歩行運動に関わる腰方形筋(ようほうけいきん)と連動関係にあります。歩くときにお尻(=骨盤)がプリッ、プリッと左右交互に持ち上がるようになりますが、それは中殿筋と連動して上半身の腰方形筋が収縮することで骨盤を引き上げている姿です。
 ですから、中殿筋の働きが悪い状態になりますと、腰方形筋も収縮力を発揮することができませんので、骨盤の動きが感じられないトボトボとした、脚だけで歩いているような歩き方になってしまいます。

 さて、小殿筋も中殿筋も股関節を支える重要な筋肉ですが、互いに拮抗する関係になることがあります。つまり小殿筋が収縮してこわばった状態になりますと、中殿筋はゆるんで伸びた状態になります。そして、このような状態の人がたくさんいます。

 小殿筋と連動する筋肉の一つに膝裏の膝窩筋がありますが、膝裏がボーン膨らんで張っているような人のほとんどは膝窩筋がこわばった状態になっています。

 膝窩筋がこわばってしまう理由はいくつかありますが、踵重心やO脚で膝の裏側にテンションが掛かってしまう人(反張膝など)はこわばっている可能性が高いです。また、足首が硬くなっていて上手く軽やかに回すことのできない人も膝窩筋がこわばっています。
 足首の問題はもっと詳しく説明しなければならないと考えていますが、簡単に概要だけ申し上げます。

 足首(足関節)にはいくつもの大きな靱帯があります。捻挫の症状はその靱帯が損傷して伸びてしまったためにもたらされますが、足首の運動が足りなくなったり、あるいはしゃがみ込んだ姿勢や重心の掛かり方が偏ったりしますと、捻挫とは反対に靱帯が縮んで硬くなってしまいます。
 足首を回すと痛みを感じたり、あるいは一部(足首より前)は動くけど踵も含めた足全体を回旋することができないような人は足首の靱帯が硬くなっていると考えられます。
 足首の靱帯が縮んで硬くなりますと、ふくらはぎの骨(脛骨と腓骨)を足の方(=下方)に引っ張る状態になります。
 そしてこの時、膝関節に注目しますと、脛骨が下方に引っ張られたことによって大腿骨との関係で微妙に隙間が大きくなってしまいます。すると大腿骨と脛骨の関係を適切に保とうと働いている膝窩筋は自身を収縮させて関節を保持しようと頑張るようになりますが、これが膝窩筋のこわばり状態を招いてしまいます。

 膝窩筋のこわばりは筋連動の関係にある小殿筋をこわばらせますが、それによって拮抗する中殿筋はゆるんで働きの悪い状態になります。そして、それがお尻のたるみに繋がります。
 さらに、中殿筋と筋連動の関係にある腰方形筋もゆるんでしまいますので、肋骨と骨盤との間(距離)が拡がってしまい、胴が間延びしたような状態になりますし、骨盤が下がった状態になってしまいます。

 以上がよく見かける、小殿筋と中殿筋の関係による胴が間延びした状態の例ですが、小殿筋がこわばってしまう理由は膝窩筋のこわばりによる以外にもありますし、中殿筋がゆるんで腰方形筋の働きが悪くなる理由もいくつかあります。
 ですから、お尻を上げて脚が長く見えるようにしたいと考えるのであれば、小殿筋と中殿筋の状態に着目して、からだを整えることが筋骨格系での施術方法になります。

エネルギー不足で上半身が長くなってしまう

 上記で説明しました筋骨格系の問題で”胴長に見える”状態を整えることは、たいして難しいことではありませんが、なかなか手強い状況もあります。
 それは骨盤を中心とした、からだの中心部が力不足の状態になっていて、腹筋や腰部背筋の働きが悪いために胴長になっている状況です。

 からだを上半身と下半身に分けて考えたとき、肋骨(胸郭)から上を上半身、骨盤から下を下半身として、骨格のない(背骨はありますが)お腹と腰部をその繋ぎ役として見ることができます。
 繋ぎ役である腹筋と腰部背筋がしっかりしているのであれば、それは体幹がしっかりしているということであり、全身が一繋がりのものとして一体的に機能できます。

 例えば、手先を動かして作業するときでも、筋肉連動の仕組みによって足元や下半身からの力を利用することができますので、手先や手の筋肉はたいして疲れません。(同じ仕事をしても、疲れをあまり感じないような人はこのタイプに入ります。)
 ところが繋ぎ役である腹筋と腰部背筋の働きが悪い状態になりますと、上半身と下半身の動きに連動性がなくなってしまいます。手先を動かすときなど、足や下半身の筋肉はその動きに関わることができなくなりますので、腕や肩の力だけで作業を行うようになってしまいます。すると必要以上に力を入れなければならない状態になりますので顔や首に余計な力が入ってしまい、首肩のコリが強くなってしまう可能性が高くなります。もちろん手や腕の筋肉もこわばります。

 ときどき、このような状態の人を見ますが、その原因を私は「エネルギー不足の状態」と考える時があります。
 からだが「エネルギー不足」という状態を論理的に説明することは難しいのですが、感覚的に、やはり「体幹のエネルギーが足りない状態」というのが一番しっくりきます。

 それは仕事や作業のしすぎなどオーバーワークによってからだが疲れ、力が足りなくなってしまったという状態とは異なります。そうであれば休息をとることで解決することができます。
 あるいは、冷えなどの理由で筋肉の働きが悪くなったり、血流やリンパやエネルギーの循環が悪くなって力不足の状態になってしまうことがありますが、それとも違います。

 例えば風邪など引いて高熱がでてしまい、一日中布団の中で寝ていたとします。やがて高熱が治まり、頭も軽快になってきたので布団から出て何か食べようと起き上がろうとしたときに、何となくお腹や腰に力が入らなくなり、歩き方もフラフラしてしまうことがありますが、それに近い状況かもしれません。
 からだのエネルギーが高熱と闘うことに総動員されていたので、体幹のエネルギーがスカスカの状態になってしい、しばらくはエネルギー不足の状況になってしまう、そんな状況です。

 このように考えますと、この状態を解消するためには、本来体幹にあるはずのエネルギーが別の場所に行ってしまったのを(体幹に)呼び戻さなければならないということになります。
 東洋医学の「気の世界」に「導引」という手法がありますが、このことを指しているのかな? などと思ったりします。

 さて、ではどのような施術によって体幹のエネルギー不足状態を解消するかということになりますが、私は「筋肉を使える状態にすること」が肝心だと考えています。
 抽象的な表現ですが、この表現が最も正しいと思います。そして「使えない状態を、使える状態にする」というのは、私の仕事の核心的なところでもあります。

 からだに潜んでいる秘密の一面ですが‥‥、不思議なことに筋肉は、周辺環境を整えて、その筋肉が働きやすい状況になりますと、自ずと働くようになります。そして、その状態で働きだしますと自然とエネルギーが増大するようになります。(ただし、その筋肉にダメージがあったり、よほど疲労したり体力が衰えてしまったりした場合は違います。)
 つまり、エネルギーを高めるためには筋肉が適度に使われることが必要で、そのためには骨格が整っていて重心移動がスムーズに行える状況にあるなど、周辺環境が整っている必要があるということです。
 反対から申しますと、周辺環境など含めて筋肉が働ける条件が整っていませんと、働かせたくても働くことができないということです。

 ほとんどの人は、筋肉は「使えば、使えるようになる」と思っています。例えば腹筋が使えない状態なら、腹筋運動などトレーニングをすることによって腹筋の筋力が強くなりますので、腹筋が使えるようになるだろうと考えていると思います。
 ところが、それは誤解です。このブログでは何度となく申し上げてきましたが、重心移動が正しく行えないと目的の筋肉は作動することができません。

 少し前のブログで取り上げましたが、例えば座った状態で上半身を前傾させる運動では、腹筋が働いて下腹部の踏ん張りによって上半身の前傾を保てている状況が本来のあり方です。ですから、上半身を前傾するに従って恥骨付近に力が溜まってきます。

 しかし、これができない人がいます。上半身を前傾させる動作を背骨や腰部の筋肉で支えてしまうような人です。坐骨に重心(前傾運動の支点)が残ったままで上半身を屈めてしまうので、背中側の筋肉で動作を行ってしまうのです。
 腹筋を使って前傾動作のできる人は、動作の最初に重心を坐骨付近から恥骨の方に移しながら前傾動作を行います。ですから見かけ上は、恥骨や下腹部が前方に出るような感じで上半身を前傾させるようになります。

 重心の在り方によって作動する筋肉は厳密に限定されます。ですから、いくら腹筋を鍛えて筋力をアップしようとも、恥骨に重心が移らなければ腹筋は効率よく作動しません。「腹筋を使おう」「腹筋を使いたい」と意識しても、願っても、それは無理なのです。

 そして上半身の前傾運動だけでなく、私たちの日常生活の動きのほとんどで腹筋と背筋は交互に使われるようになっています。
 例えば歩く動作においては、上げた前足を着地するまでの過程では腰部が少し反って重心が後側(軸足)にありますので、背筋が主に働いています。しかし着地した前足が軸足に変わり、地面を蹴るようにからだを前方に移動する段階では、骨盤の前側に重心が移動して腹部前面の筋肉が仕事をするようになります。
 デスクワークにおいては、椅子に座り続けていますと腰が疲労しますので、しばしば姿勢を変えて座面に当たる場所を前後左右にちょこちょこ動かしたりします。それは無意識的な行為ですが、重心の掛かっている場所を変えることで、働く筋肉が特定の筋肉に偏らないようにしているということです。腹筋を使ったり、腰部の筋肉を使ったり、腹筋でも右側を使ったり、左側を使ったりして、特定の筋肉が疲労しないようにしているわけですが、それができるためには重心移動が思い通りにできる状態になっていなければなりません。腰や殿部を傷めたりして、ある一部分が体重の負担に耐えられない状態になっていますと、思い通りの重心移動は実現しなくなってしまいます。

 また、筋肉には特性がありまして、収縮し続けたり、伸ばされ続けたりと、同じ状態を長く続けていることが苦手です。
 収縮し続けたり、過度に使われ続けますと、こわばったり、あるいは疲弊して働きの悪い状態になってしまうことがあります。
 反対に、使われない状態が長く続いたり、伸ばされたまま長時間放って置かれますと、伸びきって戻らなくなったゴムやバネのような状態になって上手く収縮することができなくなってしまうことがあります。
 仮に、骨盤の後側(坐骨)にある重心を前方(恥骨)に移動することができない状態だったとしますと、それは腹筋を上手く使うことができない状態ということです。本人の感覚では「お腹に力が入らない」と感じるかもしれません。
 すると腹筋ではなく背筋ばかりを使ってしまうようになりますので、背筋は疲弊し、腹筋は収縮できない状態を招く可能性があります。

 実際、私が体幹のエネルギー不足と感じるタイプの人の姿勢は、背中が丸まって猫背気味で、骨盤が後ろに倒れている傾向があります。
 骨盤が後ろに倒れているということは、座った時に坐骨より後側に重心が掛かっているということですから、座った状態では常に背中側の筋肉ばかりに負担が掛かるようになってしまいます。
 ですから、体幹の背中側は背筋が使われすぎて疲労し、働きが悪くなって伸びた状態になっています。また、お腹側の腹筋はほとんど使われませんのでゆるんで伸びた状態になっています。
 この状況を言葉で表現しますと「腹筋と背筋の働きが悪いので骨盤と胸が離れて胴が長くなってしまった」ということになりますし、私は「エネルギー不足で胴長の状態になっている」と感じて表現しています。

 ですから、この状況を脱して体幹を本来の状態に戻すためには、恥骨側に重心を乗せることができる状態にして、腹筋を使えるようにすることが必要です。
 腹筋が使えるようになれば背筋に掛かる負担も減りますので、背筋の疲弊状態も解消することができます。体幹において腹筋と背筋のバランスが良くなりますので、エネルギー不足と感じた状態は解消されることになります。

 「おなかに力が入らず、内臓の働きも今一で、背中や腰の辺りがいつも張っている」と感じ、何となく胴も長くなったと感じるようであれば、以上のような状態なのかもしれません。



 以上、本来の姿よりも胴長に見えてしまう状況につきまして、筋骨格系の観点と、エネルギー不足の観点で説明させていただきました。

 先日、高校時代のクラブ仲間と忘年会を行いました。私以外は会社勤めの仕事をしています。来年は私たちは60歳になりますので定年が間近に迫っています。再雇用を考えている友人、別の会社への就職を考えている友人など、それぞれですが、平均寿命が延びた現在は60歳を超えても皆、まだまだ働かなければなりません。
 こんなことを思いますと、みんな歳をとっても若々しく元気でいてほしいと思います。そして、歳をとっても顔の皺は少なく、背中もスッと伸びた状態でいることは、生き甲斐と活力に満ちた生活を送る上で重要なことだと思います。

 これまで「上昇する力」や「舌の在り方」について取り上げてきました。そして、今回の「エネルギー不足」の話も含めて、私たちのからだに潜んでいる見えざる仕組みを知っていただき、活用していただき、人生100年時代を生き抜いていただきたいと思っています。90歳まで背筋の伸びたからだでいて欲しいと思います。

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 誰もがスマホを使い、さらにデスクワークではPC操作が主流になっていますが、それによって肩(肩甲骨)が前に出て、胸が狭くなっている人がたくさんいます。
 そのような人達の多くは「猫背」など普段の姿勢を気にしていますが、それだけでなく、日々の生理機能にも悪影響が出ていますので、今回はそのことを題材にしたいと思います。

猫背‥‥肩が前に出るとむくみやすくなる

 多くの人達が気にしている猫背は背中が丸くなるのが特徴の一つですが、その他に左右の肩甲骨の間が拡がってしまい肩先が前にでてしまうことや、首が前にでてしまうという特徴があります。
 左右の肩甲骨間が拡がっていますので、そこに筋肉の張りができてしまい、常にそれが気になっているかもしれません。(背中の張りや痛み① 参照)
 肩甲骨の間が拡がってしまうのは、肩甲骨を前に引き出す筋肉がこわばっているからですが、それは腕を前に出している姿勢が多いこと、脇を開いて肘を浮かせた状態で手を使ってしまう癖を持っていることなどが主な原因です。

 さて肩甲骨が前に出た状態は、見方によって、背中側が拡がり胸側が狭くなった状態です。鎖骨は肩甲骨と一対になっていますので、肩甲骨の回転に合わせて鎖骨も位置を変化するようになります。

 鎖骨の位置が本来よりずれますと鎖骨と第1肋骨の間にあります鎖骨下静脈の血管が圧迫をうけ、静脈の流れが悪くなります。そして鎖骨下静脈には全身のリンパ液も合流していますので、肩甲骨の位置がずれたことによってリンパの流れも悪くなってしまうということになります。体液(血液+リンパ)の心臓への還りが悪くなりますので「全身がむくむ」という状況を招くことになります。
 頭の中も血液が溜まって循環の悪い状態になりますので、常に頭がスッキリせず重たくて、酸欠に近い症状を感じやすくなる可能性があります。つまり、ボーッとして思考力や集中力が乏しくなり、眠気に襲われやすい状況です。(鎖骨下静脈 参照)

上腕骨頭と頚椎と呼吸

 肩甲骨が前に出ている状況に加え、さらに腕(上腕骨頭)が前に出ている人もたくさんいます。
 上腕骨頭が前に出てしまう理由はいくつかありますが、その中の一つに親指と人差し指ばかりを使っている手指の使い癖によるものがあります。

 二の腕(上腕骨)の内側に烏口腕筋(うこうわんきん)があります。この筋肉は親指を動かす短母指外転筋(たんぼしがいてんきん)や長母指外転筋(ちょうぼしがいてんきん)の影響を受けてこわばることがあります。

 たとえば、スマホの文字入力やゲームで親指を頻繁に動かしますと短母指外転筋、長母指外転筋は酷使されることになりますが、そうしますと烏口腕筋もこわばってしまい、それによって上腕骨頭が前に出てしまうということがおこります。

 そして上腕骨頭が前に出ますと、骨連動の関係で上部胸郭(肋骨)が相対的に後方に下がるようになってしまいます。つまり胸元が少し凹んだような感じになるわけですが、それは胸郭上部(第1~3肋骨)が後方に歪み、さらに鎖骨と胸骨も喉の方に近づいたからです。見た目としては、鎖骨が埋もれてハッキリ見えないように感じるかもしれません。

 ところで、第1肋骨と第2肋骨には頚椎から斜角筋が繋がっていますが、骨が後方にずれますと斜角筋はこわばります。斜角筋はこわばりますと肋骨(胸郭)の方に頚椎を引き寄せますので、つまり、首が前に出てしまう姿勢となってしまいます。
 さらに、斜角筋はそしゃく筋と連動関係にありますので、本人の意志や癖とは関係なく常にそしゃく筋がこわばった状態になってしまい、噛みしめによる頭痛や顎関節の不調、緊張した表情などの症状を招く可能性が高くなります。

 そして、これらの鎖骨が埋もれ上部胸椎が凹んだ状況は肺を圧迫する、あるいは息を吸っても胸が広がらない状況を招きますので、吸気が中途半端になってしまいます。「もっと気持ちよく息を吸いたい」と感じますし、酸欠状態を助長します。

・上腕骨頭だけが前に出ていることもある

 多いのは肩が前に出ていて、さらに上腕骨頭も前に出ている状況ですが、肩の位置は良いのに上腕骨頭だけ前にでているという場合もあります。
 ご自分は「決して猫背ではない」と思っていても、首の横(斜角筋)が硬くて押すと痛みを感じるし、気持ちよく息を吸うことが難しいと感じるのであれば、上腕骨頭だけが前に出ているのかもしれません。

 また、上腕骨頭が前に出ている人は、筋肉連動の関係で大円筋(だいえんきん)がこわばります。脇の下の後側の壁が硬く感じ、手で摘まむと痛みを感じますが、背中側にあります大菱形筋(だいりょうけいきん)の働きが悪くなりますので、手を後ろに回す動作が十分にできなくなります。さらに歩行においても内股の筋肉(大腰筋と大内転筋)があまり働きませんので、股関節の外側ばかりを使って歩いているように感じると思います。

肩甲骨と上腕骨頭と立ち方や歩行の関係

 詳細は省きますが、肩甲骨が前に出ている、あるいは上腕骨頭が前に出ている人は、大腰筋の働きが悪くなり、大腿筋膜張筋に力が入りやすくなります。つまり、股関節では太股の内側ではなく外側に力が掛かってしまう状態になります。

 ですから、太股~ふくらはぎにかけて外側に重心が逃げてしまいますので、O脚になってしまう可能性が高まります。
 猫背気味で姿勢の悪い人は「自動的にO脚に進んでしまう」ということを私はここで申し上げていますが、実際、そのようになっている人がたくさんいます。
 私たちのからだは筋肉にしても骨格にしても「連動性」がありますので、一箇所を限定して、そこだけを修正を完了させることは不可能です。
 肩甲骨や上腕骨頭が前に出いているので、一生懸命肩周りを揉みほぐしたり、ストレッチして骨格を正しい状態にしようとしても、あるいは骨格をポキポキして整えようとしても、それは困難です。
 O脚を矯正するために膝を縛り付けて骨格を矯正しようとしても、あるいは特殊な靴を履いてO脚にならないようにと試みても、それは理屈に合わない行為です。かえって股関節や膝や足首の関節を傷めてしまうかもしれません。
 それよりも、上腕骨頭が前に出てしまった根本的な原因、たとえば短母指外転筋の硬いこわばりをほぐしたり、手首や肘関節の捻れが解消されるようなことを行った方が効果的です。

 肩甲骨が前に出ないように、パソコンやスマホを操作するときに「肘を下に降ろす」、ボクササイズのトレーニング後は肩甲骨を後に戻すようなストレッチを行いなどした方が良いと思います。
 そして上腕骨頭や肩甲骨の位置が正しい状態になれば、股関節~太股の内側の筋肉が使えるようになりますので、自ずと両膝は寄り、次第にO脚状態は改善されていきます。(O脚がすっかり固定化してしまった場合は、他の手段も必要)


 今回は、「肩が前に出ている」という、大変多く見られる骨格の歪みについて取り上げました。些細なことと言えば、それまでですが、呼吸を改善して楽に生きる、ドライアイを改善する、歩くことが心地良くなる、立ち仕事でも疲労を少なくする、といったことに関係する話題でした。
 

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 骨盤前面の中央には恥骨結合という頑丈な関節があります。

 この恥骨結合が硬直化しているのか、左右の恥骨間が狭くなっている女性がたくさんいます。
 恥骨および恥骨結合と鼡径部は股関節や骨盤前面の血液やリンパの“流れ”の要になる部分ですので、上半身と下半身の流通を快適に保つためにはとても大切です。
 そして、恥骨と恥骨結合は思いの外、重要な役割を果たしているようです。今回は、恥骨結合を中心にした話題です。

 例えば電車に乗って座った時、男性の多くは股間について殆ど意識しないと思います。隣の人に迷惑を掛けないように意識するかもしれませんが、膝の間が開かないようにと意識することはほとんどないと思います。
 ところが女性は、スカートを履いていることが多いせいなのか、無意識的に股間を締めて膝が開かないようにしているように察します。電車だけでなくオフィスでも、レストランなどでも同じかもしれませんが、このような行動は自然と太股の内側(内転筋群)に力を入れる体勢ですので、自ずと左右の恥骨間は狭くなり、恥骨結合が硬くなってしまう原因になると思われます。

恥骨結合と内側広筋

 太股前面には有名な大腿四頭筋(だいたいしとうきん)がありますが、その中の一つ、内側広筋(ないそくこうきん)が太く硬くなっている女性がたくさんいます。筋肉はこわばって常に収縮している状態になりますと硬く太くなりますので、膝の内側が太くて硬いと感じている人は内側広筋がこわばっている可能性が考えられます。

 そして太股の内側には大伏在静脈が通っていますので、内側広筋やその他の内転筋がこわばった状態になりますと膝関節での静脈血の流れもわるくなり、膝周りがむくんだ状態になりやすくなります。
 体型的には痩せているのに、膝周りがスッキリしなくて、太股の内側が太いと感じている人がいますが、その原因は内側広筋や内転筋群のこわばりによる可能性が高いと思われます。そして内股の人にこの傾向は強いかもしれません。

1)内股と内側広筋

 内股の人の最大の特徴は太股内側にあります内転筋群や内側広筋が強くこわばっていることです。そのこわばりは非常に頑固な状態、つまり形状記憶のような状態になっていますので、筋肉に変調のない普通の状態に戻すことに時間と労力がかかります。

 私は内股の人に対して「どうして内股になってしまったのだろう?」「どこを調整すれば内股状態が良くなっていくのだろうか?」と考えるときに、着物や浴衣を着た状態での動作をイメージして下半身各部の使い方を思い浮かべています。
 そうしますと、例えば歩くときには靴を履いて、大きな歩幅でさっそうと歩く姿は想像できません。小股で主に膝から下を使いながら、足はつま先側が狭くなった「ハの字」型で、小趾側を前に出しながらつま先から着地するような、ツンツンと突っ込むような歩き方が頭に浮かんできます。(音をたてない「忍び足」ができない歩き方です。)
 両膝は少し内側を向き合い、擦れるようにして膝を前に出すようになりますので、内側広筋がたくさん使われるようになります。それは内側広筋がこわばる理由の第一ですが、さらに、股(恥骨結節)を締めるようにして動きますので、左右の恥骨間は狭まった状態になります。骨盤も狭くなりますが、恥骨結節も硬くなります。そして、それが内側広筋のこわばりを頑固な状態にしているのではないかと考えています。

参照‥‥内股について

2)腰椎椎間板ヘルニアと内側広筋

 腰椎椎間板ヘルニアは坐骨神経痛を伴う腰部の疾患ですが、MRI診断などで発症部位は特定することができますが、その原因を探し出して(手術以外の)効果的な治療を行うことは難しいようです。
 「第4腰椎と第5腰椎の間が狭くなって、椎間板が潰された状態ではみ出し、神経を圧迫している」というのが一番多いのかもしれませんが、では、「どうしてその椎間が狭くなってしまったのか? どうすれば椎間が拡がるのか?」という問いには、医学はなかなか的確な答えを出してくれないようです。

 さて、私が知る限り、同じ椎間板ヘルニアでもいろいろなケースがありますが、今回のテーマに関連してのケースを紹介いたします。

 腰椎が軽く側弯状態になっていて、それが椎間板を扁平させる原因になっていることがあります。
 腰椎椎間板ヘルニアの症状の多くは坐骨神経痛です。
 坐骨神経は第4、第5腰椎と仙骨の椎間を通って骨盤の中に入り、そして殿部から再び表に現れて太股の裏を下方に降りていく太い神経ですが、この神経が圧迫されるなどの理由で異常な状態になりますとシビレ、痛み、筋肉の異様なこわばりなど坐骨神経痛の症状が現れます。

 腰椎を側弯状態にする原因としまして、腰部筋肉のこわばりがあります。骨盤と腰椎にに関係する筋肉としましては、脊柱起立筋群、腰方形筋、外腹斜筋、内腹斜筋、大腰筋などがあります。

 例えば右側の内腹斜筋がこわばります(常時収縮状態)と右側の胸郭と骨盤の間が左側に比べて狭くなります。
 (左側を下にして)横に寝転びながら左手で頭を支えてテレビや雑誌などを見る姿勢では背骨が「Cの字」型に歪みますが、右側の内腹斜筋がこわばりますと同じような状態になります。そうなりますと腰椎の椎間は右側が狭くなりますので、椎間板が圧迫されて右側にはみ出す可能性が生じます。そして、それが神経を圧迫して坐骨神経痛の症状が現れるという理屈が成り立ちます。
 食卓に普通に座っている間は何も感じないけれど、食後、畳に横になってテレビを見始めると脚が重くなったり、シビレを感じたりすることがあるという人は、このような原理で坐骨神経痛が発症している可能性が考えられます。

 腰椎が「Cの字」型に歪んでいる場合、その原因の多くは筋肉の問題ですから、右側の内腹斜筋、外腹斜筋、腰方形筋などを整えますと、腰椎が真っ直ぐになり、ヘルニア状態は改善されて症状は消失すると考えることができます。
 ところが、それらの筋肉を整えても腰椎の側弯が僅かに残ってしまう人がいました。そしてその原因を追及していったところ、なんとかたどり着いたのが内側広筋のこわばりであり、恥骨の変位でした。
 右側の恥骨が僅かに浮いた状態になっていたために内側広筋がこわばっていたのですが、そのこわばりが腰椎の際の筋肉(脊柱固有筋群)に連動して、第3~4腰椎の右側が左側に比べて硬くなっていました。その部分は狭い範囲でしたが、キュッなっていて、硬い側弯状態をもたらしていたのです。
 浮いていた右側の恥骨を整えることで内側広筋のこわばり状態が解消したのですが、同時に腰椎右側の硬いこわばりも取れて、腰椎に余裕が生まれました。
 結局、この人に対しては右側の内腹斜筋を整え、内側広筋を整えることをしましたが、それで例の左側を下にして横になり、背骨が「Cの字」になる姿勢をしてもらっても、右下肢に何の異常や違和感も現れない状態を実現することができました。
 あらためて恥骨の大切さを感じた次第です。

恥骨の損傷による影響

 現在30歳前後のOさんは、子供の頃はおてんばだったようで、たくさんのケガを経験しています。そのケガの中に恥骨に関係する出来事は2つありました。
 一つは子供の頃遊んでいて転び、地面に正面から恥骨を強打したことでした。
 もう一つは鉄棒遊びをしていて、股(恥骨の下方)に鉄棒を強く強打したことでした。
 Oさんは親からのDVなどもあり、その影響でいろいろな症状を抱えています。
 その症状の一つに、どうしても首肩顔に力が入ってしまい、反対に腹部や下腹部には力が入らないために、肉体面での「頑張りが効かない」というものがあります。そして、それは恥骨の一つ目のケガ、正面から打撲したことに関係がありました。
 恥骨をそっと触りながら観察していきますと、右側の恥骨に骨膜がゆるんでいる部分がありました。打撲によって骨膜が損傷したのだと思います。
 骨膜は骨を包む筋膜ですが、骨に栄養を与えたり情報を与えたりする役割も担っていますので骨の生育や在り方にとって重要です。骨折した場合、骨が元の状態にもどったとしても骨膜が損傷したままだったり、捻れていたり、皺が寄っているように感じられるままだったりする場合があります。 そのような状態では関係する筋肉は十分に力を発揮することができません。そして、その状態は自然治癒することなく何十年経ってもそのままになっていることが多々あります。強い捻挫などによる靱帯の損傷も同じような感じですが、痛みがなくなると「それで大丈夫」と考えられているようです。しかし、それでは不十分です。ですから、骨折や捻挫は、形だけでなく機能が正常に戻るまでしっかりと直す必要があります。

 話をOさんに戻しますが、その恥骨の骨膜が損傷していると思われる部分に手を当ててケアをしますと、顔から力が抜け、首肩の筋肉もゆるみ、だるさを感じて力が入りにくいと訴えていた手や腕にも力が入るようになりました。
 恥骨に関係する、例えば腹筋や骨盤底筋などの働きが良くなったために体幹がしっかりするようになったのだと思います。

 二つ目の恥骨下方の損傷につきましては、さすがに私は手をあてることはできませんので、Oさん本人に手を当てていたでき、私が言葉で指示しながらセルフケアをしていただきました。Oさんの右目は瞳が少し内に向いてしまう斜視だったのですが、恥骨のケアをしていただきますと、その斜視が改善されていきました。本人もビックリしていましたが、希望の光が灯った瞬間でした。
 このことについての原理は、まだ私にはわかりませんが、恥骨と恥骨結合の大切さを再認識した現象でした。
 

恥骨結合へのケア

 ガニ股の人を除いて、多くの人は恥骨結合が硬くて左右の恥骨間が狭まっていると思いますので、硬くなった恥骨結合をゆるめ、恥骨および骨盤をゆったりさせる目的のケアを紹介させていただきます。

 お臍に手をあてて、その手をゆっくり下方に降ろしていきますと恥骨の手前で骨の存在感を感じることができます。それが恥骨であり、右と左の対になっています。そしてその間に恥骨結節がありますが、ご自分でケアされるなら直接的に恥骨結節に手を当ててゆっくりそっと持続的な指圧を行うことで恥骨結節の硬さをゆるめることができます。あるいは、恥骨結節を直接触るのはなく、左右の恥骨に手をあてて、そっと、しかししっかりと両手を1㎜くらい拡げる感じで、縮んでいる恥骨結節を伸ばすようにゆるめてもよいかと思います。

 私が施術で行う時は、深く恥骨結節を触ることはしませんので、恥骨と恥骨結節の上辺に手をあてて行っています。
 どのくらいの時間、手を当てていればよいかということに関しましては個人差がありますので、それぞれ「適当な時間で」という答えになってしまいます。
 人によっては最初の2~3分間はほとんど変化を感じることもなく、その後次第に内側広筋や内転筋やふくらはぎの筋肉から力が抜けていくのが感じられ、さらにケアを続けていますと全身がゆるんで脚もほっそりし、お腹がゆるんで胃の調子も良くなったりすることもありました。

 セルフケアにとって大切なことは、心を静かにして集中(フォーカス)することです。私は実際、その部分の細胞に語りかけるような気持ち、細胞の言葉に耳を傾けるような集中力で施術を行っていますが、“手当て”とはそういうものだと思います。
 ですから、テレビやスマホを見ながらだったり、何か別の考え事をしながらだったりでは、セルフケアの効果はまったく望めないと思います。願望みたいな邪心があっても効果は薄いと思います。
 最初は、なかなか効果が実感できないかもしれませんが、自分のからだを心の底からいたわる気持ちで毎日粘り強く行っていただければ、コツがつかめると思いますし、必ずやからだから何らかの反応が返ってくると思います。

 また、例えば出産後のケアが不適切だったりして、恥骨結合や仙腸関節がゆるんだまま戻らず、骨盤が不安定になって様々な症状が現れてしまっている人もいらっしゃると思います。この場合は、「ゆるめるケア」ではなく、「締めるケア」「機能を回復させるケア」が必要です。
 本当に軽い力で恥骨結節にソーッと手を当ててじっくりエネルギーを注入するようなイメージでケアを行うようにしてください。ケアが上手くいきますと、ズーンと重苦しさを感じたり、からだの別の部分が反応したりする状態が訪れるかもしれません。嫌な感じでなければ、ケアを保持しながらその状態をじっくり観察してください。大切なことはフォーカスを途切れさせないことです。するとやがて、ズーンという感覚やその他の反応も自然とおさまっていくと思います。そのようなことを何回か繰り返していれば恥骨結節は能力を回復して、骨盤がしっかりすると思います。

恥骨と鼡径部

 長年仕事をしていますが、恥骨や恥骨結合に着目するようになったのは最近のことです。それまでは、例えば下半身のむくみに関しては「鼡径部の流れ」を中心に腸腰筋や大腿部の筋肉を調整することに主眼をおいていました。
 ところが恥骨と恥骨結合に着目し、それらを調整することで、もっと大きな効果を期待できることがわかりました。
 ですから新たな認識として、むくみのないスッキリとした下半身を実現するためには、恥骨、恥骨結合、鼡径部に主眼を置くことが重要で、加えて骨盤全体の在り方も大切だということが言えると思います。


 膝の内側が太くなって、膝周りがスッキリしていない人はたくさんいます。それは骨格の歪みだったり、内転筋や内側広筋のこわばりが原因であることはわかっていました。ところが内側広筋のこわばりを合格レベルまで解消することはなかなか難しいことでした。
 しかし、恥骨と恥骨結合のことを知ってからは、一つの壁をクリアした感じがします。

 骨盤は、私たちのからだの基礎です。その骨盤が窮屈な状態では、私たちの生理機能は十分な状態であるとは言えません。しっかりしながらも、ゆったりとしている骨盤の在り方が理想だと思います。そしてそのためには、今回取り上げました恥骨と恥骨結合、骨盤後方の仙腸関節、そして会陰と称される骨盤底の在り方が重要だと私は考えています。

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 昨年の4月の検査で側弯症と診断された、当時中学1年生(現在は2年生)の女子が昨年8月から月2回のペースで来店されています。
 その時の検査で角度(コブ角)が30°だったということで、学校側の指定する医療機関で装具を装着するように強く勧められているとのことでした。

 本人と母親の希望もあって、「装具を装着することなく側弯症が良くならないものだろうか?」と相談を受けました。からだを観察しますと、明らかに側弯症と認識できる状態でしたが、症状がかなり進行しているというレベルでもありませんでしたので、「装具は必要ないと思いますし、安心できる状態になるまでは時間は掛かりますが、十分に対応できますよ。」と申し上げて、施術で対応することに決めました。
 施術を始めて8ヶ月が経ちましたが、今年の4月に再び学校側の検査がありました。レントゲンによる診断では、昨年30°だった角度が18°になっていて、医師から「装具を装着する必要はない」と言われたとのことです。
 私自身は「まだ18°もあるのか‥‥」と少し残念な気持ちでしたが、母親はご自分の選択(当院での施術を選んだこと)で改善が見られたことで一安心といった様子でした。同じように側弯症と診断されて装具装着を選ばれたクラスメイトの女子は、昨年に比べて更に側弯が進行していたということでした。

側弯症への具体的対応

 成長期の側弯症進行を阻止する目的で、装具を装着させる治療法があります。装具によって側弯のさらなる進行が抑えられると考えての方法かもしれませんが、私にはその理屈が理解できません。

 歯列矯正のために装具を用いることはなんとなく理解できます。歯は軽い力で横方向には動きますので、装具を装着して軽い力をかけ続けていれば、歯列がそのようになるのだろうと思います。
 あるいは、ムチウチをしてしまった頚椎を保護するために装具をつけたり、捻挫や骨折から骨格や組織を保護するために装具を装着するのも理解できます。
 ところが背骨の歪みを進行させないように、大がかりな装具を、それも一日中窮屈な思いをしながら装着したとして、どれだけの効果が期待できるのか、私はとても懐疑的です。
 背骨はからだのセンターラインです。ですから、からだが望むようなバランスを反映するようにして背骨は歪みます。例えば、いつも右側にばかりからだを捻っている人は、その状態でバランスが取れるように背骨が捻れます。からだが右に捻れているのに背骨だけ捻れない状態でいることはできません。装具を使って強制的に背骨だけ捻れない状態にしたとしますと、からだ全体と背骨の在り方が乖離していしまいますので、からだにとってはとても辛い状況になってしまいます。ですから、背骨の捻れや歪みを改善したいと考えるのであれば、からだの捻れや歪みが改善するようにすることが王道であると私は考えます。
 「どうしてからだが歪んでしまったのだろう?」、このことを追求することなく形だけ強制的に整えようとしても、からだはそれに応えてくれません。細かく、繊細で、多くの忍耐を要求される作業になりますが、歪みが生じた原因を探し出す作業を欠かすことはできません。そして、それこそが解決に至るための最も重要なポイントであると私は考えています。

きっかけがあって歪み始める

 病気や先天性の要因による場合は別にして、からだや背骨が歪んでしまうのには必ず原因ときっかけがあると私は考えて観察と施術を行っています。
 「いつもの姿勢が悪かったから、歪んでしまったのだろうか?」という問いかけをされる人がいます。確かに姿勢の悪さは歪みの原因ですが、「どうして姿勢が悪くなってしまったのだろう?」というところに着目しなければならないと思っています。
 3歳とか、5歳とか、小学校低学年の子供たちの中には、落ち着きがなくてじっとしていることが苦手な子がいます。食卓に座ってご飯を食べることができなかったり、いつも肩肘をついてダラダラと食事していたりと、「ちゃんと座ってご飯をたべなさい!」と母親をイライラさせる子供がいます。そんな子供たちは将来、側弯症になる可能性を秘めていますが、ちゃんと座ることができないのは性格などの問題ではなく、骨盤に問題があったり、腹筋に力が入らなかったりと、肉体的な問題が原因になっていることが多いと思います。
 乳幼児と呼ばれる頃の子供たちは関節がとても柔らかいので、肩や股関節が瞬間的に脱臼したとしてもすぐに戻ったりします。そして親にぶら下がってブン回されたりする遊びが好きです。もしかしたら、それによって肩関節や股関節がゆるんだ状態になってしまい、骨盤が不安定になって座位で体重を支えることができないために、ちゃんと座ることができないのかもしれません。あるいは出産時の臍の緒の処理に問題があって、腹直筋の働きが悪く、舌の動きも悪くなって、なんとなくしゃべり方もおかしく、しっかり座位を保つことができない状態になっているのかもしれません。
 「そんなことが影響しているんですか!?」と、皆さんにとっては思いも寄らないことが原因やきっかけになって、からだが歪んでいることは実際とても多いのです。

 今回の女子は、やはり小学校高学年の頃から食卓の椅子に真っ直ぐ座って食事することができず、いつも脚を曲げているような変な格好をしていたとのことでした。
 そこで本人に「小学生の時、何か大きなケガなどしたの?」と尋ねました。同伴した母親にも尋ねてみましたが、特に大きなケガをした記憶はないとのことでした。しかしながらからだを観察していきますと、腹部左側の肋骨とみぞおちの境辺りに他の場所とは感触の違う場所がありました。
 「ここ少しおかしいのだけれど、何かあったのかな?」と本人に尋ねました。すると「小学校4年生の時、体育の跳び箱の授業で踏切のタイミング合わなくて、そのまま真っ直ぐ跳び箱に突っ込んでしまいお腹を強打してしまった」とのことでした。
 「しばらくの間、息ができなくて苦しかったけど、少し休んでいたら大丈夫になったので‥‥」
 これは場所的に見て、充分に歪みのきっかけになる出来事だと思いました。
 また、その後の母親との会話からいろいろな情報を得ました。幼い頃から、歩いていてしょっちゅう何かにぶつかってしまう、つまり本人はぶつかるつもりはなくても廊下の壁にぶつかったり、テーブルにぶつかったりしてしまう癖があったとのことでした。これも貴重な情報です。1歳の時に髄膜炎を患ったとのことですが、それが関係しているのかもしれません。

歪みの始まりを特定して、そこを施術する

 「背骨の歪み」が側弯症ですから、それを修正するためには背骨がどこから歪み始めたのかを特定することが非常に重要です。歪みが一番大きくなる部位は大概肩甲骨の下部辺りになりますが、そこから背骨が歪み始めるということはほとんどないと思います。下半身の問題で背骨が歪んでしまったのであれば、その歪みは骨盤近くから始まります。頭部や手や腕、上半身の問題であれば、頚椎、あるいは胸椎の上の方から歪みが始まります。
 そして、その始まりである脊椎の歪みや捻れに従って上半身が捻れるようになりますが、やがてその捻れが定着するようになってしまいます。そうなりますと「ちゃんと座っていられない」など姿勢の悪い状態になりますが、その悪い姿勢を長く続けていますと、次第に最初の歪みが増幅されて脊椎全体を歪めるようになってしまいます。そして成長期という要因も合わさって背骨が肩甲骨下部辺りで大きく歪んだ状態になってしまうのではないかと思います。

 ですから歪みを修整しようとする場合は、最初の歪み、つまり歪みの始まりの場所を特定して、その歪みが始まった原因を修正する必要があります。
 例えば側弯症の場合、肩甲骨辺りに一番大きな歪みがありますが、そこばかりに着目して、その部位にたくさん施術を行って歪みを正そうとしても、それでは上手くいきません。そこは結果的に歪んでしまった部位、歪みのシワ寄せが最も大きくなって現れた部位ですから、たとえその部位の歪みが一時的に改善されたとしても、原因であり、歪みの始まりの部位が修正されていなければ、すぐに再び歪んだ状態に戻ってしまいます。そしてこれが、私が装具は意味をなさないと考える理由でもあります。
 クラスメイトの女子が、「装具を装着していたのに、一年前より歪みが大きくなってしまった」というのは、このことの具体的な現象です。

 この女子の場合、頚椎から歪みが始まっていました。ただし、歪みの原因は一つだけではありませんでした。腹部の打撲により腹筋の一部の働きが悪くなっていて、それによる胸郭の歪みもありました。また、頭皮やその下の筋膜にも打撲によると思われる損傷が残った状態になっていました。右肘もゆるんだ状態になっていましたが、しばしばテーブルなどにぶつけていたということです。
 頚椎全体が左側に弯曲した状態になっていて、その反動のような感じで胸椎が右側に弯曲し、それが肩甲骨の下部あたりで最大の歪みになっていました。そして、その結果として首の左側筋肉が強くこわばって張っていました。胸郭は右側へ歪んでいましたが、それを強調するかのように右側の肩甲骨が右前方に大きく回った状態になっていました。上半身が逆「く」の字のようになっていましたが、腰部は左側の脊柱起立筋が「ボーン」と棒のように突っ張った状態になっていました。
 このような骨格の状態ですから、当然運動制限もありまして、首を下に向けることも反ることも途中までしかできませんし、腰を捻る動作も不十分な状態です。

 施術は、歪みの始まりであると特定した頚椎の修正からはじめました。左顎が噛みしめた状態になっていて、それが左首の筋肉(斜角筋)のこわばりをもたらし、頚椎を左側に引っ張っていました。さらに腹部の打撲による影響で第7頚椎やその下部の胸椎が、噛みしめによる頚椎の捻れとは反対方向の歪みをもたらしていました。そして右肘の損傷による影響で右肩甲骨が外側に大きくずれる状態になっていました。当初、何回かの施術はこれらの歪みを修整することを主目的に調整していきました。
 左顎の噛みしめ状態を解除すること(噛みしめない状態にすること)。腹部の打撲部位の損傷を改善すること。右肘の状態を改善すること。
 これら3点に集中して4~5回の施術を行いますと、背骨の状態は当初の側弯とは様相が変わっていきました。この女子はバレエ(踊り)を習っていますが、レオタードを着た容姿が大分変わったと10月くらいに母親が仰いました。普通の人がパッと見ただけでは側弯症だとは気がつかない程度にはなったのだろうと思います。

側弯症に対して気になること

 整形外科の先生たちの見解によりますと、成人時のコブ角が30°未満であれば生活にそれほど支障はでないだろうということです。成長期であっても20°(ありは25°)未満であれば装具は必要なく、要観察の状態だということですが、私はこの見解に不満を感じます。
 これまで幾人かの側弯症の人達を観てきたことで申し上げれば、明らかに側弯症であるとわかるようなコブ角が30°程度の人の場合、内臓の配置が通常の人とは異なります。上半身の右側か左側か、どちらかに寄っている状況になっていますので、通常の人とは消化吸収能力に差が出てもおかしくないと思えます。通常の人でも胃下垂などの状況になりますと胃もたれや不快感、消化不良を感じるわけですから、内臓の配置に偏りがある人は不調や不都合があるのが自然な状態になっているのではないかと思います。ただ、本人にとってはその状態が普通ですから、特に不調だとは思わないかもしれません。
 また、胸郭の歪みが大きいわけですから、呼吸運動には確実に影響が出ます。特に胸式呼吸の方への影響が強いと考えられますが、その場合「芯からリラックスする」という状態を達成することが難しくなります。
 このブログでは何回も呼吸の大切さについて記してきましたが、呼吸は単に肺でガス交換を行っているだけのことではありません。大切な脳も含めてからだの隅々の小さな細胞にまで酸素が充分に届けられ、そこでのガス交換がちゃんと行われることが最も重要なことです。肺呼吸がしっかりできていて、血中の酸素濃度にも問題がなかったとしても、脳が酸欠状態で、いつも頭がボーッとして半分寝ているような状態であれば、それは呼吸が良いとは言えません。

 現に、からだが大きく歪んでいる人は噛みしめや歯ぎしりの癖、片噛みの癖などを持つことになりますが、それはからだを緊張状態にします。私は施術で噛みしめや食いしばりの癖に対処する場合、からだの歪みや呼吸状態の改善を試みますが、側弯の大きい人は、そこでつまずいてしまいます。
 ですから、「コブ角30°未満であれば生活に支障がでない」などという医学的ガイドラインがあるとするのであれば、それは無責任な見解であると言わざるを得ません。たとえ成人であったとしても、30°が20°に、20°が10°になるような方策を考えて提供するのが専門家としての在り方ではないかと思います。

側弯症の改善は時間を要するが成果はでる

 この度の女子を受け入れるにあたって、お母様に「時間は掛かりますよ」と最初に申し上げましたが、現に、これまで9ヶ月が過ぎました。当初、コブ角30°だったものが、4月の時点で18°になりました。私はなんとか10°まで持っていきたいと考えています。
 これまでたくさんの人の背骨を観察してきましたが、真っ直ぐな人は一人もいませんでした。多少の歪みは誰にもあります。ですから、おそらく10°以下は標準であり、充分許容範囲であるのではないかと思っています。

 この9ヶ月はこの女子にとっては確かに成長期でありまして、体重が10㎏以上、身長も10㎝以上は増えたのではないかと思います。幸いにして母親の協力がありまして、このように良い方向に進みました。あと半年くらいで施術を終える段階に到達したいというのが現在の目標ですが、半年が1年になったとしても、必ずその時はやって来ると思っています。
 これまでも何人かの側弯症と診断された成長期のお子さんが親御さんに連れられて来店されました。しかし、ほとんどの人達が3回程度来店されて、その後来店されなくなってしまいました。目に見えた結果が現れないので頼りなく感じたのかもしれません。

 確かに私たち整体の業界は、一般的な見解として「いいかげん」とか「口からでまかせ」とか「信用できない」などのレッテルが貼られているかもしれません。やはり「医師」の方が権威がありますし、検査機器などの機械が揃っていますので、信用しやすいのかもしれません。しかし現実には、「装具を装着して様子を観ましょう」、症状が進行したら「手術で対処しましょう」ということしかできないようです。それでは、揚々とした将来を持っている少年少女たちが可哀想です。そう私は思ってしまいます。

 側弯症を修正するためには、今回記しましたとおり、元々の原因を特定しなければなりませんし、一つや二つや三つくらいの原因でなったわけではありません。ですから、実際の作業では施術を進めながら別の問題点と直面し、それを修正するとまた別の問題点が表面化するといった工程を何度も繰り返すことになります。
 最初の原因で歪みバランスが悪くなってしまったからだは、どこかに要らぬ負担をかけてしまいますが、その状態を続けていることで別な場所が歪み始めます。すると、さらにその影響で別の場所が歪んでしまうというようなことが繰り返されますが、このような状態が常態化して側弯症という背骨の大きな歪みにつながってしまいます。
 ですから、一つの歪みが解消されるように施術を行いますと、潜んでいた新たな歪みに直面し、それに対処するとまた別な歪みが気になるといった状況になります。ですから、どうしても施術回数が必要になりますので時間が掛かってしまいます。しかし、細かく一つ一つの歪みを修整していきますので、着実に成果が期待できるのです。

 確かに私のところはお金が掛かります。月に2度のペースで来店していただきたいと思っていますので、年間26回で金額としては年122,200円になります。
 この金額をどう思われるかは、それぞれの考え方だと思いますが、私は整形外科が採用する「装具装着で様子を観る」というのは、あまりにも消極的な手段であり、「患者を治す」という医療従事者としての取り組み方ではないと思ってしまいます。

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