ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

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 「物をつかむ基本は小指側で行う」というと驚かれるかもしれません。正確に表現するなら「小指側で支えて他の指を使う」となります。ぺんを使う、コーヒーカップを持つなど、何かをつかむ時はほとんどの場合、親指と人差し指をで行いますので“小指側”という表現に疑問がでるのは当然のことです。しかし不調のからだを改善しようとする時、この“小指側を中心に手を使う”ことは重要なポイントになってきます。
 動作や運動を行う時には原則があります。例えば自転車や自動車が道路を走る時には道路がしっかりしていないとタイヤは上手く動いてくれません。歩く時にも砂浜のように足場がしっかりしていないところでは、道路を歩くようには上手く歩けませんし非常に疲れます。道路が私たちの動きをしっかり支えてくれるので、思いのままに歩くことができ走ることができます。からだの動作も同様で、その動作を支えるものがしっかりしていないと楽に動くことができません。反対に言えば、しっかりとした支えがあれば動作がとても楽にスムーズにできるようになる、ということになります。
 ペンで字を書く時、小指を少し曲げて、つまり小指側の筋肉を少し収縮させてしっかりとした支えをつくることによって実際にペンを握って操作する親指と人差し指の動きが軽快で自由になります。ペンを握る親指と人差し指にギュッと力が入ってしまい筆圧が強くなってしまう人は、しばらく字を書いていると手が痛くなりますが、それは動作を行う指も動作を支える指も同じになってしまうからです。すらすらと字を書くためには小指側の筋肉をしっかりした状態にした上で字を書き続けることがポイントになります。

小指側が中心の人は手のひらが上を向き、親指側中心の人は手の甲が上を向く
 小中学生の頃、運動会でリレーをやった時、バトンをどの指で握っていたでしょうか。雑巾を絞る時、どの指に力を入れて絞っていますでしょうか。これらはからだの使い方の癖を表すとともに、壊れやすいからだか、壊れにくいからだかを予測するポイントにもなり得ます。
 
カップを持ち上げる動作

 たとえばコーヒーカップを持とうとしてカップの穴に人差し指をかける時、手の甲が上を向いた状態で穴の縁を親指と人差し指で挟むようにして持つ人は、小指側の筋肉を使っていない傾向の人です。穴の中に人差し指を入れると同時に小指を曲げて、どちらかというと手のひら側を上向き加減でカップを持ち上げる人は、小指側を中心に動作を行っている人です。
体の中心部ライン・外側部ライン

 これは以前にも記しましたが、からだを“中心”と“外側”に分けて考えた時、手では小指側が中心で、下半身では親指側が中心になります。つまり手の親指側と足の小趾側は外側です。“中心がしっかりしていると外側の動作がスムーズになる”と考えますと、中心部分をしっかりさせることが楽に動作するためのコツになります。
 からだの筋肉は必ず連動して作用するという特徴がありますが、その一つに拮抗関係があります。それは一方の筋肉が収縮する時は必ず他方の筋肉が弛緩伸張するという筋肉のシステムです。手の小指を曲げて小指球を収縮させますと母指球がゆるんで親指や人差し指側の筋肉が解放されるような感覚が得られます。親指と人差し指を曲げて母指球を収縮させると小指球がゆるんで小指、薬指、中指が解放されます。そして解放された指が自由に動けるようになります。ですから手首を柔らかくして太鼓を叩く、箸を使う、ペンを使うためには親指と人差し指が自由に動けるように小指球を収縮させる必要があるということになります。
 バトンを持って走るとき、落とすまいとして親指や人差し指に力を入れてギュッと握りしめてしまうと速く走ることはできません。そして自分の思いとは反対にバトンを落としやすくなってしまいます。走る姿が、“肩に力が入っている”ように見える人は、きっとこのような人でしょう。
 小指を中心に中指・薬指・小指の3指でバトンを握るようにしますと、手首や肩から力が抜けて脚が上がり速く走ることができます。

 感覚的には“小指でつかむ”、“小指で握る”というのが自然な在り方です。例えば皿を持ち上げて自分の方に引き寄せようとした時、実際には親指と人差し指で皿の縁をつまんで持ち上げるのですが、この時に小指を曲げて小指球を収縮させていないと皿が不安定になってしまい中の物を落としそうになります。食器を洗うとき、小指を伸ばしたままの状態で洗っていますと腕や肩がとても疲れます。肩こりの原因です。そしてこのような人はけっこう多いようです。手指を器用に動かして細かい作業をすのは親指と人差し指の役割ですが、つかんだものを安定させるのは小指の働きです。そう考えますと、あまり大した役割はしていないように見えてしまう小指が、実は非常に重要な働きをしていると言うことができます。
 つい親指と人差し指に力をいれて作業をしてしまう人は、その癖を直すために小指を曲げてから物をつかみ上げるような練習をするのが良いかもしれません。
 
小指と小指球を使う練習_カップ

肘から先が内側に捻れている人が多い
 ベッドに仰向けで寝たとき、からだの横に置いた手はどのようになっていますでしょうか。手の甲がすっかり上を向いた状態が楽であれば、それは肘から手にかけて内側に捻れている歪みの状態です。手のひらがすっかり上を向いた状態が楽であるという人はあまりいないかもしれませんが、少し手のひらが開き気味の状態であれば問題はありません。

手の使い方と腕の捻れ

 パソコンのキーボードで作業する姿勢は手の甲が上を向いた状態ですので、パソコン作業の多い人は肘から先(前腕)が内側に捻れている可能性が高いです。また、先に説明したように字を書くときに親指と人差し指にたくさん力を入れて筆圧が強くなってしまう人も前腕が内側に捻れています。それ以外にも、実際、前腕が内側に捻れている人がたくさんいます。
 からだの仕組みとして、前腕が内側に捻れているときは上腕(肘から肩にかけての骨)が外側に捻れます。自分で前腕を内側に捻ろうとしてもこうはなりませんが、骨格が歪んでいる場合はこのようになっています。そしてこのような人は肩関節に違和感や問題を抱えていることが多いです。四十肩や五十肩がなかなか治らない理由の一つでもあります。

 そして前腕が内側に捻れている状態では、小指側を中心(軸)に手を使うことはできません。からだの仕組み上、手の小指側を中心に動作ができないということは足の親指側つまり下半身の内側を中心に動作をできないということですから、からだの力は外側に流れてしまいます。これを体型的に表現しますと、脇が開いて肘が張り、肩が前に出て猫背になり、骨盤が開いてお尻が下がり、O脚またはガニ股になりやすく、足の小指が捻れてマメができ外反母趾になりやすい、となります。スマートさからはかけ離れてしまいます。
 ほとんどの事務作業がパソコンになっている今日の社会では、私たちのからだはこうなりやすいという現実があります。だからといって対策方法がないわけではありません。手首や前腕の内側への捻れを改善することが対処方法ですが、そのための一番単純で簡単な方法は、小指側の筋肉(小指球)を収縮させる訓練を行うことです。
 
小指球の収縮と母指球の解放

小指球の収縮

 例えば仰向けに寝た状態で手の甲が上になっている人は、親指と人差し指軽く延ばした状態で力を抜いてジワーッと小指球を収縮させるように小指を曲げます(この時手首を曲げてしまう人がいますが、そうならないように注意してください)。それと同時に母指球から力が抜け親指と人差し指が解放されていく感覚を味わいます。次第に前腕の筋肉も伸びて肘が楽になると思います。この動作を10回くらい繰り返しますと次第に手の甲が横を向き出し、甲を上にして寝ていることに違和感を感じるようになるはずです。前腕の捻れが少し改善された状態です。そして下半身や背中を観察しますと、背中から力が抜けて背骨自体の存在感が増し、下半身が伸びてリラックスできる状態になっているのではないでしょうか。
 手の小指側の筋肉がしっかりすることによってからだの中心部の筋肉がしっかりするため背骨がしっかりします。ですから背骨の存在感が増し、からだの芯を感じやすくなります。

 今、“もっと楽に効率よく歩ける”ようになるために、からだを整えるとともに歩き方の練習をしている人がいます。この方の癖は、ついつい首肩に力が入ってしまい動作の中心がからだの上の方になってしまうことです。ちょっとだけ歩く分にはいいのですが、長く歩いていると呼吸が上がってしまい、腰やお尻が痛くなってしまいます。この方の前腕は内側に捻れていて肩関節に痛みがあります。
 この方には、前述した小指球を収縮させる練習と、座った状態で背骨と背筋だけに集中して力を集める練習をいていただき、その後で歩いてもらいました。すると首肩から力がすっかり抜けて、しかし背筋はしっかりと伸び、うつむき加減だった視線がしっかりと前を向くような歩き方に変わりました。外から見ますと背が高くなったように感じますし、本人の印象としては「視界が高くなった」となりました。
 からだの中心に力が集中するようにしただけです。それも施術ではなく、自分の意識の向け方を変え、簡単な練習をしただけです。とても単純なことですが、この練習を毎日、それが自分の自然な状態になるまで根気強く行っていただければ、この問題は施術の必要がなく解決してしまうことでしょう。

 ある若い学生が「腕の外側の筋肉が痛くて‥‥」と訴えてこられたので、私は“手の親指側~肩の外側にかけての筋肉”の問題だと予想しました。ところが話を聞きますと、それは小指側の筋肉~肘の内側にかけての問題でした。この方は常に脇が開き、肘が張って腕が内側に捻れている状態なので、この方の意識では私が内側だと考えている方が外側になっていたのです。
 先にも記しましたが、腕が内側に捻れる問題、それに付随して起こる猫背、O脚、外反母趾や体調不良の問題は隠れた現代病であるとも言えます。本来の自然なからだの在り方には反しています。スマホやパソコンが大きなウエイトを占める今日の社会生活ではこういった方々が増えてしまうのでしょう。

 手の使い方が不自然でも、腱鞘炎やバネ指以外で直接的に手指や手首に不調が現れることは少ないかもしれません。ですからほとんどの人は普段、手の使い方については何も気にしていないと思います。ところが実際には手指の使い方の問題で腰痛や膝痛の原因になっていたり、ここで説明しましたように体型のくずれから首肩の張り、むくみ、体調不良の原因になっていることもあります。たかが“手の使い方一つの問題”と受け取られるかもしれませんが、施術において何かの症状を改善するときの最後の決め手になるのは手指の問題であったりします。
 字を書き続けると手が疲れたり、箸がうまく使えなかったり、食器洗いが苦手だったりする人は手指に問題があったり、手の使い方に問題がある可能性が高いと思います。
 からだに不調のある方は、どうぞご自分の手の使い方について検証してみてください。

 ペンや箸の持ち方は“個性”という面もありますので、一概にどうこう断言することはできません。しかし、ご自分が“本当はちゃんと持ちたいのに、それでは上手く使いこなすことができない”と思っているのであれば、それは筋肉の働きに問題があるからかもしれません。
 
ペンの持ち方

 先日来店された若い女性は、写真下のようにペンを人差し指と中指の間に挟んで使っていました。箸も上手く使いこなすことができないとも言っていました。そしてこの方は人差し指の延長線上、手首を越えたところにガングリオンができていました。
 この方の手や腕を調べていくと、橈骨の手首側が少し浮いていました。そして人差し指には全然力が入らない状態でした。この橈骨のずれはおそらくガングリオンと関係が深いと思います。
 浮いている橈骨を私が手動で沈め正常な位置に戻しますと、途端に人差し指に力が入るようになり、ペンを写真上のように持って使うことができるようになりました。本人は、幼い頃からペンも箸も上手く持つことができずにいたし、字を速く書くことができなかった、と言っていました。
 その後、施術によって橈骨の状態をしっかりさせ、ペンを持って字を書いていただくと、持ち方はごく普通になり、人差し指に力が入るため、しっかりとした字をスラスラ書くことができるようになりました。そして面白いことに、この状態で以前のような持ち方(写真下)をしていただき字を書いていただくと違和感を感じると言っていました。写真上の持ち方の方が自然な感じになるということでした。
 これは使い方が変わるように整体施術を行ったということです。浮いてた橈骨を浮かない状態に修正した結果、人差し指に力が入るようになったので、人差し指と親指でペンを挟む持ち方の方がしっくりし、自然の形になったということです。もし橈骨の状態を直すことなく人差し指にばかりにとらわれ、いろいろ施術してみたところで、普通の持ち方で自然と上手く使える状態にすることはできません。

 箸の使い方も同様だと思います。箸を上手く使えるよう練習してもなかなか使いこなすことができないと思っている方は、骨格的に修正すべき点があるのだと思います。親が子供の箸の使い方に不満があり、それを矯正するために口うるさくしつけたとしても、本人の手や腕の骨格に問題があるなら、何度練習しても上手くできないため、それは“しつけ”ではなく“しごき”になってしまい、強い精神的ストレスになるのだろうと思います。
 また、大人であってもこの方のように「箸の持ち方も‥‥」と思われている人は、マイナス思考を抱いているよりも“骨格を整えるだけで上手くできるようになりますから”と一度骨格を修正することをおすすめします。
 
前腕の骨と屈筋

親指・人差し指と中指・薬指・小指は役割が違う
 肘より手首にかけてを前腕と言いますが、前腕には二つの骨があります。小指側を尺骨、親指側を橈骨と呼びます。手首付近では橈骨の方が太く親指側にありますので、一般的なイメージでは橈骨が前腕の中心であると思われているかもしれませんが、実際は小指側にある尺骨が中心になっています。筋肉の働きも同様で、尺骨に付着する筋肉が“力を出す働き”をし、橈骨に付着する筋肉が“細かい動き”を行います。そしてざっくり区分けしますと、親指と人差し指を曲げる筋肉は橈骨側にあり、中指・薬指・小指を曲げる筋肉は尺骨側にあります。ですから、何かを力強く握るとき、小指を中心に中指・薬指を合わせた三本の指で握るのが正しい在り方です。野球のバットを握る。テニスのラケットを握る。車のハンドルを握る。これらの動作は小指・薬指・中指の三本を中心に行わなければ体は崩れてしまいます。ところが緊張したりリキんだりしますと思わず親指と人差し指に力が入ってしまいます。すると手が細かい動作をすることができなくなるばかりでなく、肩にも力が入ってしまい肩こりを招く原因となります。
 字を書くとき、ペンを親指と人差し指でつまみますが、その時小指を軽く曲げます。小指を伸ばしたままだとペン先に力が入らないため、字を書く動きが頼りなくなり遅くなります。小指を曲げること、すなわち尺骨側の筋肉を収縮させることによって支えがしっかりするため、ペン先の細かい動きがスムーズにできるようになります。

 親指と人差し指は字を書いたり、箸を使ったり、針を使ったりと細かい作業を行うための指です。そしてその他の三本の指はその動作を支えるための指です。それが一般的な動作の基本だと考えます。
 先日、趣味でミュージックベル(ハンドベル)を長年されている女性が親指の腱鞘炎で来店されました。施術後、「どのようにベルを持っているのですか?」と再現してもらいました。すると柄を親指と人差し指でギュッと握り締めました。その状態でベルを動かし演奏しているとのことです。
 「その持ち方では腱鞘炎にもなるし、肩も凝るし、体に良くありません」と申し上げました。親指と人差し指に力を入れてしまうと肩に力が入った状態になり体の動きは制限されます。その状態で音楽演奏のような繊細な動きを行うことは体にとって非常に迷惑なことです。「小指を中心に中指・薬指の三本で柄を握り、親指と人差し指は軽く握って遊びを持たせた状態にすることで、繊細な動きが自在にできるようになるはずです。」と申し上げました。
 
 “小指を握ることで動作の支えとし、その土台があって親指と人差し指が自由に動けるようになる”

 そんなふうに考えていただければと思います。

 今回の話題を“些細なこと”と思われるかもしれませんが、体には使い方の道理があります。道理に従って使っていれば、体に不具合を招く可能性は低くなります。ところが道理に反して使っていますと、それは部分的な不具合だけでなく、体全体を歪ませ、思わぬところに不調を招く原因となります。
 目・口・手、これらは体の歪みの出発点になるところです。体の歪みが気になる方は、これらの使い方を見直してみてください。

 手の指を動かすと痛みを出す症状に腱鞘炎(けんしょうえん)があります。また、指を曲げると伸ばそうとしてもカクンとなって、スムーズな指の曲げ伸ばしができないものに“ばね指”があります。ともに腱と腱鞘(けんしょう)に関係する症状です。
 
手指屈筋の腱

 ここで、“腱”と“腱鞘”について少し説明させていただきます。
 腱は、筋肉の延長線上のもので、骨に付着する部分を言います。筋肉はそれ自身が伸び縮みして骨格の運動を行うものですが、それが骨に結合する部分では腱と呼ばれる結合組織(伸び縮みしないとされている)に変化します。腱の太さや長さは筋肉によって様々ですが、手指や足趾の運動に関わる腱はとても長いものになっています。
 例えば手の指を曲げる筋肉に浅指屈筋・深指屈筋がありますが、その筋肉の中心部分(筋腹)は手ではなく、肘から下の前腕にあります。これらの筋肉は手首の手前で細い腱に変わり、各指につながります。ですから手のひらには腱しかないということになります。(手には手首を超えた部分(手根)から始まる短い筋肉もあります。)
 
手の腱鞘

 手指や足趾につながっている腱は、操り人形を操作する紐のようなものだとイメージしていただいてもよいかと思います。そして手や足の内部では、これらの腱がスムーズに動くことができるよう、腱の一つ一つがそれぞれの腱鞘というトンネルにくるまれています。つまり指を動かすということは、腱鞘というトンネルの中を腱(紐)が往ったり来たりしているという姿に他なりません。
 腱鞘の内部は腱がスムーズに動けるよう非常に滑らかになっています。ところが何かの理由で腱と腱鞘の間で摩擦などが生じますと、そこが炎症が起き、腫れたり痛みを出すようになります。そしてこれが腱鞘炎です。また、腱が腱鞘の中で引っかかってしまい一時的に動けなくなってしまうと、ばね指の状態になります。

腱鞘の圧迫や捻れが主な原因と考えられる
 腱鞘という滑らかなトンネルの中を腱がスベリながら往ったり来たりするわけですが、腱鞘が何らかの理由で本来の有り様でなくなると腱と腱鞘との関係に歪みが生じます。するとどこかに摩擦が生じ軽い炎症が起こります。この状態が長く続きますと、炎症した部分はやがて腫れるようになります。腱鞘が腫れる(内側に膨らむ)と腱を圧迫した形になりますので、腱の動きはとても制限されたものになります。それでも腱を動かし続けているとやがて痛みを感じるようになり、周りの組織にも炎症が及ぶため外見的にも腫れが目立つようになります。ここまで症状が進みますと、ちょっとしたことでも強い痛みを感じてしまうようになりまう。本格的な慢性的腱鞘炎です。

 さて、腱鞘炎に対する私の施術経験から申し上げれば、腱鞘を歪ませている原因は手首の捻れであったり、指の捻れです。病院では「使いすぎ」という診断が多いようですが、私の見方は違います。手首や指が捻れた状態で使い続けているので上記のように状態が次第に悪化していき、ある時、強い痛みを感じるようになり動かすことがつらくなった、と考えています。ですから改善の方法は、手首や指の捻れを修正することが要になります。
 手首が捻れているとか、指が捻れているというのは、普通の人にはわかりにくいことだと思います。私は毎日何人かの手を触り続けていますから、すぐにそれに気づくことができます。そして「○○のようにずれています」とか「△△のように捻れています」と説明しますが、ほとんどの方はそんなことが腱鞘炎に影響しているとは考えも及ばないようすです。腱鞘炎にならずとも手首が本来の状態ではない人は、本当にたくさんいます。仕事でパソコンを使っている人のほとんどは手首が捻れたりずれたりしています。

 上図で確認できると思いますが、手首が捻れますと腱鞘も捻れます。手首がずれますと腱鞘はどこからか圧迫を受けます。指の捻れやずれも同様です。そのために、最初は軽微な炎症で、手指の動きに違和感も感じないほどのものだったものが、同じ状態で使い続けているとやがて指の動かし方に違和感を感じるようになります。それでもさらに同じ状態で使い続けていますと、指を動かすことのできないほどの痛みに襲われるようになります。
 ここまで状態が進みますと炎症はかなりひどくなっていますので、腱と腱鞘との間に隙間が見られない状態になってしまうため、“手術”という言葉もお医者さんから聞かされることになるかもしれません。

 ばね指も上記とほとんど同じような状況です。ただ、これまでの経験で申し上げれば、ばね指や“曲がりきらない指”の場合は、単にその側の手指や手首の問題だけでなく、反対側の腕や肩、あるいは体全体の捻れも手指の問題に加えて影響している場合が多いです。

 腱鞘炎やばね指に限らず体の不具合は、症状が出たあと早めに施術すればすぐに改善しますが、我慢に我慢を重ねてこじらせてしまった場合は、すぐに改善するとは言い切れません。症状がでてから整形外科を受診し、それでも駄目で接骨院を何件か行き、発症から何ヶ月も経ってから私のところに来るという人が実際のところほとんどです。何とか1回で痛みを感じない状態にしたいと思っていつも施術にあたっていますが、慢性化してしまったものは、そう簡単にはいかないというのが正直なところです。
 それでも、手首や手指の捻れを解消することが原則であることには変わりがないといつも考えています。
 仮に、痛み止めや抗炎症の注射などで痛みや炎症が治まる状態にしたところで、腱鞘の捻れや歪みが解消しなければやがてすぐに再発する状況になってしまうでしょう。そして腱鞘を不自然な状態にしているのは、手首や指の捻れであり、その捻れがどこからもたらされているのか、それを改善することが本当の意味での改善だと考えています。

 中高年の女性に多く見られる手指の第一関節が腫れて曲がってしまうヘバーデン結節は学術的に原因がよくわかっていないようです。症状の進行過程においてはかなりの痛みを伴いますが、来店される方々の話によれば、整形外科では「曲がりきってしまえば痛みは消えるから‥‥」と言われ、改善は半ば諦めるしかないような雰囲気を感じ取るとのことです。
 40歳くらいになると、それまでしなやかだった手や手指が次第にゴツゴツし出し、中年の手に変わっていくのは仕方のない面もあるかもしれません。しかし、いつまでもしなやかな手でいたいと願う女性心理をもっと汲み取って、なんとか改善に向け努力して欲しいと私も思います。
 
ヘバーデン結節

 さて、ヘバーデン結節になってしまった人、あるいはその傾向を持っている人に対し、私が行っている施術について説明いたします。

 ところで、私たちは冬場の寒い時期など布団に入っても最初の内は寒いため体を丸めたくなります。縮こまって体の温度を逃がさないようにしようと無意識に行います。この状態を筋肉にあてはめて考えますと、体の屈筋(腹側)を縮め、伸筋(背側)を伸ばして体温の放出を防いでいる、となります。夏場の暑い時期は反対に腹側を伸ばして体温を放出しようとします。
 私は体のこの根本的な原理がヘバーデン結節改善のためのヒントだと考えました。「きっと指が縮こまりたいんだと」考えました。

ヘバーデン結節02

 ヘバーデン結節は手指の第一関節が腫れたり、痛みを出したり、曲がったりする症状ですが、手指を曲げる筋肉には二つの種類があります。一つは浅指屈筋と言いまして、手指の第二関節を曲げる筋肉です。この筋肉は肘より上の骨(上腕骨)から出発し、途中から腱になって第二関節の先(中節骨)に付着しています。もう一つは浅指屈筋の深層にあって肘より下の骨(橈骨と尺骨)から出発して、腱が第一関節の先(指先=末節骨)に付着しています。母指先を曲げる筋肉を長母指屈筋、その他の四指先を曲げる筋肉を深指屈筋と言います。

ヘバーデン結節03

 ここで大事なことは、手指を曲げる筋肉は指先(第一関節)を曲げる筋肉と第二関節を曲げる筋肉では別々であって、指先を曲げる方が深い位置、骨に近い位置にあるということです。そして指先を曲げる筋肉はインナーマッスルであり、持久力が強い性質であるとともに、一度不具合を起こすとなかなか元に戻りにくい性質でもあるということです。鉄棒にぶら下がった時、疲れてくると手が弛んできますが、最後は指先だけで何とか引っかけていようとします。それは指先の深指屈筋に持久力があるからです。

 さて、ヘバーデン結節は第一関節が腫れて痛みだし、やがて指先が曲がってしまう症状ですが、それは深指屈筋が縮んでいくのに浅指屈筋が縮まないため次第に第一関節が詰まってしまうからだと私は考えています。詰まり方が激しくなると関節が炎症しますので痛くなります。そして詰まり方も限界をこえると指先が曲がったままの状態になると考えています。

 ですからヘバーデン結節を改善するためには、縮んでしまった深指屈筋が伸びるようにすることです。深指屈筋が伸びれば第一関節の詰まりは解消しますので、痛みが消失するとともにやがて腫れもおさまります。指先がすっかり曲がってしまった場合は、関節の変形という問題も絡んでくるので深指屈筋を伸ばすことだけでは解決しませんが、それでもだいぶ楽になることでしょう。関節のこわばりをとる施術を併用すれば、次第に指が伸びる状態にもっていけると考えています。
 深指屈筋は体のなかで一番深層の筋肉ですから、同じ深層筋の影響を受けます。これまでの経験で言えば、腹筋の深い奥の部分のこわばりを改善すると指先の詰まりは改善されます。“あれほど痛かった指先”が15~20分、お腹を施術するだけで解消されることがほとんどです。
 腹筋の深部をこわばらせてしまう原因としても最も多いのはお腹の冷えですが、寒いと体を丸めて縮こませてしまうのと同様、冷えると体の深層屈筋は縮みたがってしまうのです。
 ここのところ何度も何度も“お腹の冷え”に関する話題ばかりなので、私がそればかりを中心に施術をしているように捉えられてしまうかもしれませんが、この寒い時期は、ほとんどの方の不調にお腹の冷えが深く関わっていますので、この話題が多くなってしまいます。

 上記の場合以外では、足の指先が曲がっている人は手指先も曲がりやすい傾向があります。
 筋肉は連動しますので、深層筋は深層筋とつながりやすいです。外反母趾・内反小趾の他、足裏で上手く立てない人は足の指に力を入れて(指先を曲げて)体を支えようとします。その状態が長く続けば、寝ていても足の指は曲がった状態になります。つまり足指の屈筋がこわばった状態です。そしてそのこわばりが連動して、腹筋をこわばらせ、手の深指屈筋をこわばらせている可能性も考えられます。

 私のところは保険の適用される整形外科に比べると料金が高いので、痛みに耐えきれなくなった人しかヘバーデン結節の症状では来ません。しかし“原因不明”みたいな説明と、痛み止めの処置や投薬では、何も解決しないままの無駄な通院と言わざるを得ません。そしてご自分で、物が触れても痛みが出ないようにサポーターなどで指先を保護しているのを見ると、とても気の毒に思います。そして冒頭に申し上げたとおり、手指の関節がゴツゴツしたり、指先が曲がることなく、いつまでもしなやかな手でいて欲しいと思います。

 手のひらに汗をかいてしまい、人と握手するのが恐怖に感じたり、ペンを使うだけでダラダラ汗をかいてしまい非常に辛い思いをしている人がいます。寒い季節でも足裏に汗をかいてしまい、靴下が濡れてそれが冷えとても辛い思いをしている人もいます。最近は十代という若い世代でもこういう人が増えています。
 東洋医学では、手のひらと足裏の汗を虚弱体質の現れとして重要な診断ポイントにしています。実際、このような人たちは持久力や粘り強さに欠けています。

 こういう人たちの体の特徴は、肩や肘、股関節や膝、足首などの関節がゆるんでいることと、呼吸が悪いことと、噛む力が弱いことです。ご飯をあまりよく噛んでいない感じです。
 関節がゆるむというのはイメージしにくいかもしれませんが、腕や脚がグラグラしていて頼りなく、力を入れようとしても力が入りきらない感じがしてしまいます。
 このような人たちは筋肉の連動性や共働性が悪いため、手で何か物を持つ場合、腕の力だけで行わなければならないため普通の人よりも非常に疲れます。普通の人が例えば包丁を使う場合、包丁を握っている手や腕の筋肉だけでなく、足先までの筋肉を働かせて作業を行います。仮に、足が地面に届かない椅子に座った状態で包丁を使うことを想像してみてください。立った状態で作業するようには上手くいかないし、腕や肩に余計な力が入ってしまいます。つまり、足がしっかり地面について踏ん張りながら包丁を使えるので軽やかに作業ができるわけです。足の筋肉も共働して働いているということです。
 関節がグラグラしていますと、この共働性が上手く機能しない状態になります。確かに腕や脚は胴体につながっていて一つの体になっていますが、機能性としては腕と脚と胴体がバラバラになっていて本来の能力を発揮できない状態であるということが言えます。そして手のひらや足裏に汗をかいてしまう人は、このような状態であると考えてよいと思います。

母指と示指・環指の対立筋検査
 私はこういうことが疑わしいと感じたときには最初に筋力テストを行います。人差し指の力と薬指の力を確認します。これはあくまでも私個人の尺度ですが、人差し指は表の力、薬指は芯の力を現していると考えています。手のひらや足裏に汗をかく人、歯ぎしりをする人、階段の下りや下り坂を歩くのが苦手な人、中腰での作業が辛く感じる人、すぐに疲れてしまう人、このような人たちは往々にして人差し指には力が入っても薬指には力が入りません。そして施術に際しては、薬指に力が十分入るようにすることが最初の目標になります。
 ただ、それだけで手のひらや足裏の汗が改善するかというと、実際はそんなに甘くありません。他の要因も絡んでいることがほとんどです。しかしながら、芯の力が高まるようにしなければ状態は改善に進まないと考えています。

 今来ている高校生は、小学校の低学年の頃から手のひらに汗をかくようになり、ずっとその状態が続いているということです。他の症状としては軽いアレルギーと皮膚炎、仰向けで寝ると腰が痛くなる、むくみがあります。いろいろな話を聞くと、体育は大の苦手、数学も苦手、睡眠が悪いということです。私にはうなずけることばかりです。
 この方はまず呼吸の状態が良くありませんでした。汗のことも気になりましたが、それをどうにかする以前に呼吸がちゃんとできる状態にすることが先決だと考えました。ですから初回の施術は呼吸ができて、空気が大きく体の中に入ってこられる状態にすることでした。呼吸運動ができていなければリラックスして眠ることはできないし、脳の血流も良くないので計算問題が苦手になります。計算間違いをよくするということです。
 1週間後に再び来店していただきました。その間の様子を聞くと、呼吸が楽にできていたし、睡眠もまあまあということでした。ただ計算間違いはしてしまったということです。
 今回から本格的に汗の問題に取り組みます。“汗”は水ですから、体内水分の流れ、という観点で体を観察する必要があります。精神的緊張状態とかなどの理由以外では、本来は手のひらや足裏に汗をかくことはありません。乾燥した季節では反対に手のひらの水分が足りないので、手を湿らせたいくらいです。ということは、何らかの理由で体が水の処理を上手く行えていないと考えることができます。一つはリンパや静脈の流れが悪いことが考えられます。この方の下半身はむくんでいます。もう一つは筋肉や筋膜に変調があって皮膚(体表)と深部との間の連絡が悪く上手く水が処理できていないことが考えられます。この方は手のひらも足裏も両側とも筋膜がゆるんでいました。そして観察の結果、右手のひらの筋膜のゆるみが大元の原因であるとわかりました。
 小学生低学年の頃から手汗をかいていたということは、幼い頃に何かがあってそうなってしまったと考えることができます。そしてこの方は右肘がゆるんでいましたので、小さい頃脱臼でもしたのかと思い、母親に尋ねてみました。すると赤ちゃんの頃、歳のはなれたお兄さんに両手を引っ張れブランブランぶら下がる遊びをよくやっていたということです。母親は肩が抜けてしまうのではないかと心配したそうですが、二人は楽しそうにいつもやっていたということです。これでこの方の右肘がゆるんでいる原因がわかりました。脱臼と同じように靱帯が伸びてしまったのだと思います。靱帯が伸びてゆるんでしまった関節を元の状態に戻すためには何回かの施術が必要ですが、それでも施術をしたことによって手のひらは乾いた状態になりました。
 この方は、長年の経験から自分が意志すれば簡単に手のひらから汗を出すことができます。「では、手のひらから汗を出してください。」と言いまして出していただきましたが、会話をしているうちに汗はすぐに引いてしまう状態になりました。“肘の状態を改善すること”、これがこの方の悩みを改善する方向性であると考えることができます。
 さらにこの方が“体育が苦手”なのは、体に思い通り力が入らないからだと考えました。食事の噛み方について質問をすると「餅を食べるのが嫌」という応えが返ってきました。顎が疲れるというのです。今の若い人にありがちな“そしゃく不足”です。普段からそしゃく筋をよく使っていないので、粘り強く噛まなければならない食物は顎が疲れて嫌になってしまうのです。それで、ガムを使って噛み方の練習を行いました。何度か練習を繰り返しているうちに体の筋肉がしっかりしてきました。膝に力が入らなかったものが、しっかりと入るようになりました。そしゃく筋は全身筋肉の司令塔のような役割りをしていますので、ちょっと鍛えるだけで全身がしっかりするようになります。ということは、鍛え方をおろそかにするとすぐに筋肉の働きが悪くなるということでもあります。ですから毎日、しっかりと噛んで食べて欲しいのです。
 2度目の今回は肘を施術し、そしゃく筋の使い方を練習して終えましたが、呼吸の状態もかなり良くなりました。10日後にもう一度来店していただきますが、その時どうなっているか楽しみです。

 手のひらと足裏に汗をかいてしまうケースは一通りのパターンというわけではありませんが、呼吸、そしゃく筋のたるみ、関節のゆるみというのが共通の問題としてあります。人それぞれ治り方の速さは違うと思いますが、原因さえ把握できれば必ず改善することができるはずです。お困りの方は是非一度ご来店ください。

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