ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

肩関節

 誰もがスマホを使い、さらにデスクワークではPC操作が主流になっていますが、それによって肩(肩甲骨)が前に出て、胸が狭くなっている人がたくさんいます。
 そのような人達の多くは「猫背」など普段の姿勢を気にしていますが、それだけでなく、日々の生理機能にも悪影響が出ていますので、今回はそのことを題材にしたいと思います。

猫背‥‥肩が前に出るとむくみやすくなる

 多くの人達が気にしている猫背は背中が丸くなるのが特徴の一つですが、その他に左右の肩甲骨の間が拡がってしまい肩先が前にでてしまうことや、首が前にでてしまうという特徴があります。
 左右の肩甲骨間が拡がっていますので、そこに筋肉の張りができてしまい、常にそれが気になっているかもしれません。(背中の張りや痛み① 参照)
 肩甲骨の間が拡がってしまうのは、肩甲骨を前に引き出す筋肉がこわばっているからですが、それは腕を前に出している姿勢が多いこと、脇を開いて肘を浮かせた状態で手を使ってしまう癖を持っていることなどが主な原因です。

 さて肩甲骨が前に出た状態は、見方によって、背中側が拡がり胸側が狭くなった状態です。鎖骨は肩甲骨と一対になっていますので、肩甲骨の回転に合わせて鎖骨も位置を変化するようになります。

 鎖骨の位置が本来よりずれますと鎖骨と第1肋骨の間にあります鎖骨下静脈の血管が圧迫をうけ、静脈の流れが悪くなります。そして鎖骨下静脈には全身のリンパ液も合流していますので、肩甲骨の位置がずれたことによってリンパの流れも悪くなってしまうということになります。体液(血液+リンパ)の心臓への還りが悪くなりますので「全身がむくむ」という状況を招くことになります。
 頭の中も血液が溜まって循環の悪い状態になりますので、常に頭がスッキリせず重たくて、酸欠に近い症状を感じやすくなる可能性があります。つまり、ボーッとして思考力や集中力が乏しくなり、眠気に襲われやすい状況です。(鎖骨下静脈 参照)

上腕骨頭と頚椎と呼吸

 肩甲骨が前に出ている状況に加え、さらに腕(上腕骨頭)が前に出ている人もたくさんいます。
 上腕骨頭が前に出てしまう理由はいくつかありますが、その中の一つに親指と人差し指ばかりを使っている手指の使い癖によるものがあります。

 二の腕(上腕骨)の内側に烏口腕筋(うこうわんきん)があります。この筋肉は親指を動かす短母指外転筋(たんぼしがいてんきん)や長母指外転筋(ちょうぼしがいてんきん)の影響を受けてこわばることがあります。

 たとえば、スマホの文字入力やゲームで親指を頻繁に動かしますと短母指外転筋、長母指外転筋は酷使されることになりますが、そうしますと烏口腕筋もこわばってしまい、それによって上腕骨頭が前に出てしまうということがおこります。

 そして上腕骨頭が前に出ますと、骨連動の関係で上部胸郭(肋骨)が相対的に後方に下がるようになってしまいます。つまり胸元が少し凹んだような感じになるわけですが、それは胸郭上部(第1~3肋骨)が後方に歪み、さらに鎖骨と胸骨も喉の方に近づいたからです。見た目としては、鎖骨が埋もれてハッキリ見えないように感じるかもしれません。

 ところで、第1肋骨と第2肋骨には頚椎から斜角筋が繋がっていますが、骨が後方にずれますと斜角筋はこわばります。斜角筋はこわばりますと肋骨(胸郭)の方に頚椎を引き寄せますので、つまり、首が前に出てしまう姿勢となってしまいます。
 さらに、斜角筋はそしゃく筋と連動関係にありますので、本人の意志や癖とは関係なく常にそしゃく筋がこわばった状態になってしまい、噛みしめによる頭痛や顎関節の不調、緊張した表情などの症状を招く可能性が高くなります。

 そして、これらの鎖骨が埋もれ上部胸椎が凹んだ状況は肺を圧迫する、あるいは息を吸っても胸が広がらない状況を招きますので、吸気が中途半端になってしまいます。「もっと気持ちよく息を吸いたい」と感じますし、酸欠状態を助長します。

・上腕骨頭だけが前に出ていることもある

 多いのは肩が前に出ていて、さらに上腕骨頭も前に出ている状況ですが、肩の位置は良いのに上腕骨頭だけ前にでているという場合もあります。
 ご自分は「決して猫背ではない」と思っていても、首の横(斜角筋)が硬くて押すと痛みを感じるし、気持ちよく息を吸うことが難しいと感じるのであれば、上腕骨頭だけが前に出ているのかもしれません。

 また、上腕骨頭が前に出ている人は、筋肉連動の関係で大円筋(だいえんきん)がこわばります。脇の下の後側の壁が硬く感じ、手で摘まむと痛みを感じますが、背中側にあります大菱形筋(だいりょうけいきん)の働きが悪くなりますので、手を後ろに回す動作が十分にできなくなります。さらに歩行においても内股の筋肉(大腰筋と大内転筋)があまり働きませんので、股関節の外側ばかりを使って歩いているように感じると思います。

肩甲骨と上腕骨頭と立ち方や歩行の関係

 詳細は省きますが、肩甲骨が前に出ている、あるいは上腕骨頭が前に出ている人は、大腰筋の働きが悪くなり、大腿筋膜張筋に力が入りやすくなります。つまり、股関節では太股の内側ではなく外側に力が掛かってしまう状態になります。

 ですから、太股~ふくらはぎにかけて外側に重心が逃げてしまいますので、O脚になってしまう可能性が高まります。
 猫背気味で姿勢の悪い人は「自動的にO脚に進んでしまう」ということを私はここで申し上げていますが、実際、そのようになっている人がたくさんいます。
 私たちのからだは筋肉にしても骨格にしても「連動性」がありますので、一箇所を限定して、そこだけを修正を完了させることは不可能です。
 肩甲骨や上腕骨頭が前に出いているので、一生懸命肩周りを揉みほぐしたり、ストレッチして骨格を正しい状態にしようとしても、あるいは骨格をポキポキして整えようとしても、それは困難です。
 O脚を矯正するために膝を縛り付けて骨格を矯正しようとしても、あるいは特殊な靴を履いてO脚にならないようにと試みても、それは理屈に合わない行為です。かえって股関節や膝や足首の関節を傷めてしまうかもしれません。
 それよりも、上腕骨頭が前に出てしまった根本的な原因、たとえば短母指外転筋の硬いこわばりをほぐしたり、手首や肘関節の捻れが解消されるようなことを行った方が効果的です。

 肩甲骨が前に出ないように、パソコンやスマホを操作するときに「肘を下に降ろす」、ボクササイズのトレーニング後は肩甲骨を後に戻すようなストレッチを行いなどした方が良いと思います。
 そして上腕骨頭や肩甲骨の位置が正しい状態になれば、股関節~太股の内側の筋肉が使えるようになりますので、自ずと両膝は寄り、次第にO脚状態は改善されていきます。(O脚がすっかり固定化してしまった場合は、他の手段も必要)


 今回は、「肩が前に出ている」という、大変多く見られる骨格の歪みについて取り上げました。些細なことと言えば、それまでですが、呼吸を改善して楽に生きる、ドライアイを改善する、歩くことが心地良くなる、立ち仕事でも疲労を少なくする、といったことに関係する話題でした。
 

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
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 上の写真は私の店舗の看板ですが、からだは一繋がりのものであり、手と足はつながっていますし、頭とお腹や背中も繋がっていて、必ず関連し合っているということ是非多くの人に理科していただきたいという思いを持って開業いたしました。開業から13年になりますが、その思いは今も全く変わりません。
 私の施術は、からだが一繋がりで繋がっていることが大前提となっています。ですから、他の多くの整体師やセラピストとは考え方も施術方法も全く異なっていると思います。そのことが解りやすい例が昨日ありましたので、紹介させていただきます。
(開業当時は、「身体」あるいは「体」と漢字で表記していましたが、今はなんとなくひらがなの方が私はしっくりきますので「からだ」と表記しています)


左手首の損傷で、右肩関節が動かせなくなった

 その中年の女性Bさんは、惣菜を作る仕事をしています。ですから包丁もたくさん使っていますし、両手をたくさん使っています。
 2週間ほど前に、仕事中につまずいてしまい前方に転んでしまいました。その時に左膝を床で打撲し、左手の掌側をかなり強く床に打撲したとのことです。そして、左手首はかなりの衝撃で腫れ上がったそうですが、転んだ直後から右肩に異変が現れ、すぐに右肩関節の動きが制限されるようになってしまい、右腕を動かすと激痛を感じるようになってしまったということです。
 「左手と左膝を打撲したのに、どうして右肩が動かせなくなったのか??? (自分の記憶にはないけど)もしかしたら右肩も打撲してしまったのか?」という思いを抱え、整形外科を受診されました。
 右肩のレントゲンでは異常は見つからず、原因のわからないまま医師からは「五十肩のようで、半年はかかるかなぁ」という診断がなされ、痛み止めの内服薬と湿布が処方されたということです。ところが日が経つほどに状態が悪くなり、痛みが耐えがたいほどになったので、「なんとかして欲しい」ということで来店されました。

 右肩の状態を確認しますと、正面に真っ直ぐには90°くらいの高さまでは腕を上げることができますが、それ以上は無理で、腕を横に動かす動作は痛くてほとんどできない状態でした。症状としては五十肩によく似ています。しかし、じわじわと五十肩(肩関節周囲炎)が悪化して腕が動かせなくなることはよくあることですが、ケガでもしない限り、普通の状態から「急に動かせない」状態になることは、ほとんどあり得ません。ですから、私としましては当初聞かされた左手と左膝の打撲がとても気になりました。

 Bさんのケースで申し上げれば、左手と左膝の打撲について説明したものの整形外科の医師は、症状のある右肩周辺ばかりを診察の対象としていました。ところが、「ひとつながりのからだ」が大前提の私は、右肩のことは後回しにして、左手と左膝に着目することから施術を始めました。
 ベッドに仰向けの状態で寝ていただき、左手及び左膝の打撲に関連するところから観察を始めました。
 左手のケガによって左腕の筋肉の働きが悪くなり、鎖骨の位置が狂ってしまい右肩に影響を及ぼすことは充分に考えられることです。ですから、左手首周辺の打撲箇所と鎖骨の関係、頚椎との関係などを探っていきました。すると、左小胸筋(しょうきょうきん)と左小菱形筋(しょうりょうけいきん)が非常にこわばっていて、第6頚椎から第1胸椎が強く左側に捻れているのが確認できました。

 また、小菱形筋は内股の薄筋(はくきん)と関連性がありますので、薄筋を確認しますとやはり深部が硬く張った状態にこわばっていました。そして小菱形筋と薄筋の関係では、薄筋がこわばったことによって連動する小菱形筋がこわばってしまったという順番になっていました。小菱形筋の強いこわばりは頚椎や上部胸椎をきつく捻れさせた状態にしていましたが、その影響で右肩の動きが制限されている可能性が考えられました。

 膝の打撲によって膝関節が不安定になり薄筋がこわばってしまうことは十分に考えられることですが、実際、そのような側面もありました。ところが膝関節を安定させるだけでは薄筋の状態が少し良くなるものの、深部の強いこわばりが解消される状態にはなりませんでした。右肩の動きは少し良くなるものの痛みは残ったままになっています。

 膝周辺を施術した後は、手首の施術に移りました。Bさんは「血管がこんなに浮き出るほど腫れたんですよ」と仕草をまじえて話してくださいましたが、そんなにも腫れたのであれば、深部の組織は弱り、働きはかなり悪くなっているだろうと察しまして、手首周辺の深部を丁寧に手当てしていきました。
 じっくりと施術を行っていますと、次第に薄筋深部のこわばりがゆるんでいき、小菱形筋のこわばりもゆるんでいきました。そして筋肉の強い張りで捻れていた頚椎や胸椎の状態が改善していきました。そこで仰向けになったままの状態ですが、右腕をいろいろと動かしてもらいますと、それまで痛みを感じていた動作が普通にできるようになっていたので、本人はビックリした様子でした。

 その後ベッドに座っていただき、膝周辺を再度チェックして整え、手首には弱った組織を修復させるために「お灸膏」を貼りました。
 「お灸膏」は最近知り合った、ちょっとお気に入りのシールです。こういった弱った箇所の修復を促すために、私は通常はダイオードを用いるのですが、手首の掌側であり、惣菜づくりの仕事でもありますので、貼ってもすぐに取れてしまいます。ですから、剥がれてもご自分で貼ることができる「お灸膏」をしばらくの間貼り続けていただくことをお願いしました。ちなみに膝の打撲で弱ってしまっているところにはダイオードを貼りました。

 これでBさんに対する施術は終了です。
 右肩の痛みや運動制限はすっかり良くなりました。手首周辺と膝周辺の弱まった部分が回復してくれば
それですっかり元の状態に戻ると思います。
 そして、今回は右肩の症状であったにも関わらず、私は右手も右肩も一切施術しませんでした。筋肉の状態を確認するために何度か触りましたが、施術は行いませんでした。
 施術中、Bさん本人は「ココが痛い」と左指で痛い箇所を私に訴えてきましたが、私はすべて無視した感じで左手や左膝周辺ばかりを施術していましたが、施術が終わると右肩がすっかり良くなっていたので驚いていました。

 私の施術を経験された人はご存じだと思いますが、私が施術する場所は症状が出ているところとは大きく離れているところが多いです。足や膝や腰の痛みに対して手を施術したり、背中や首の症状に対して足を施術したりしますが、それは筋肉の連動、骨の連動という仕組みを介して、私たちのからだは本当に一繋がりになっているからです。
 今回は、そのことを象徴するケースでしたので、紹介させていただきました。


 私は時々マグレインやピップエレキバン(最も磁力の弱いタイプ)やお灸膏を貼ることを推奨することがあります。これらは、おそらく「肩こり」など筋肉が硬くなってものを和らげる目的の製品だと思いますが、私が使う目的はそうではありません。打撲や損傷や使いすぎなどで筋肉の働きが悪くなっている部分の働きを補い、その部分の修復を促す目的で用いています。ですから、磁力や刺激が弱いものを選んでいます。

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 腕を動かすと肩が痛む・腕が上がらない・腕が後にまわらない・肩がジクジク痛む・いつも肩に違和感がある‥‥という症状は俗に“五十肩(四十肩)”と呼ばれていますが、年代や年齢に関係なく20歳代の人も60歳代の人も患ってしまう症状です。
 五十肩になってしまうと治るまでに、半年、一年、一年半の期間を要するという俗説が定説のように語られているようです。しかし、そんなことはまったくありません。症状をもたらすことになった原因を的確に捉え、それを修正することができれば、多くの場合、症状はそれほど時間がかからずに改善し痛みは和らぐと思います。
 四十肩・五十肩に対しては“アイロン体操”など、肩関節を動かす運動がリハビリとして採用されている場合が多いようですが、私は良いことだとは思いません。筋肉に無理をさせて症状を更に悪化させてしまうのではないかと危惧しています。
 今回は肩関節周囲炎(四十肩・五十肩など)について説明させていただきます。尚、四十肩も五十肩も肩関節周囲炎のことですが、以下、簡略して「五十肩」という呼び名にさせていただきます。

五十肩(肩関節の異常)の四つの項目

  • 肩を揉みほぐしても無駄‥‥五十肩・肩関節異常の確認方法
  • 筋肉のバランスを整えることがカギ
  • 手の疲れはとても強く影響する
  • 大切な肩甲骨の働き
  • 五十肩はすぐに改善できる
     ‥‥しかし、こじらすと時間がかかる


肩を揉みほぐしても無駄
  ‥‥五十肩・肩関節異常の確認方法

 五十肩は肩関節や肩周辺の痛みやしびれですから、肩こりが原因しているのではないかと思っている人がたくさんいます。しかし、それはまったく見当外れです。いわゆる“肩こり”というのは首・肩の筋肉や筋膜に水分や老廃物が溜まってしまい、内圧が高くなってコチコチになってしまっている状態です。これは揉みほぐすことで中の水分や老廃物を流してしまえば内圧が下がりますので、筋肉や筋膜は本来の柔らかい状態に近づきコリが取れていきます。。ところが五十肩に代表される肩関節周囲の痛みやしびれは、肩関節に関係する筋肉のバランスが悪くなってしまったことにが元々の原因ですから、筋肉のバランスが元に戻るように整えることが必要になってきます。


 上の写真のように腕を水平近くに保ち、内回し、外回しをしてみてください。この時、肩や腕に痛みやツッパリ感が生じたり、よく回らなかったりするようでしたら、程度の差こそあれ五十肩(肩関節異常)の兆候があります。

筋肉のバランスを整えることがカギ

 上記の運動テストで、内回しか外回しのどちらかで痛みを感じたり、強い突っ張りを感じたり、あるいは回すことができなかったりする場合は、肩関節に関係する筋肉のバランスが悪い状態であるということです。
 毎日をいろいろな作業をしながら暮らしている私たちは、完璧にバランスの取れた状態でいることは不可能です。ですから、多少のツッパリ感を感じたり、なんとなく回り方が不十分だと感じたりするかもしれませんが、その程度であれば問題は生じないと思います。しかし実感として「あれ~!」って感じるようであれば、肩関節に問題があると考えていただいた方がよろしいと思います。
 このような状態の時に肩関節を大きく、あるいは頻繁に動かすなどして無理をしますとやがて炎症が生じ、肩が痛い、腕が動かせないという状態になってしまう可能性があります。じっとしていると何となく違和感があってスッキリしないので、何度も腕や肩甲骨を回してしまう人がいますが、そういう動作は五十肩への入口になる可能性がありますので、「おかしいかも」と感じましたら無理をすることなく、しばらくは安静にされることをお勧めします。
 
 肩関節に関係する筋肉のバランスが悪い状態になっていますので、肩関節を形成している肩甲骨と鎖骨と上腕骨(二の腕の骨)の関係が歪んだ状態になっています。関節の歪んだ状態は違和感を感じる原因ですが、このような状態の時に肩関節を動かしますと筋肉に無理が掛かることになります。筋肉には対応力や柔軟性がありますので、少しの無理は耐えられます。しかし、その無理が何度も何度も繰り返されますとやがて炎症を起こして痛みを感じるようになり、その先は「疲弊して損傷する」といった状態になります。こうなりますと、明らかな五十肩の到来です。
 ですから筋肉のバランスを修正しないまま、少し痛みを感じても無理やり可動域を拡げようとするリハビリは理屈に合いません。私は反対です。「関節が固まらないように‥‥」という理由は五十肩の初期にはあてはまりませんし、筋肉に無理をさせ続けますと、五十肩の状態が重症化するばかりでしょう。

 私は整体の学校で、肩関節周囲炎に対する施術方法として肩関節を大きく動かして可動域を強制的にでも拡げるようにと教わりました。ですから、五十肩に対しては肩関節を動かすことが対処法として定説になっているのだと思います。ですから、このような考え方をしている整体師や治療家や整形外科の医師もたくさんいると思います。しかし、長年の臨床経験で申し上げれば、それはまったく理に反しています。そのようなことを続けていれば、炎症も悪化し、筋肉は器質そのものが変化してしまいますので、本当に1年~1年半、五十肩が治らないという状態になってしまうと思います。



 五十肩(四十肩)、つまり肩関節周囲炎を改善するための基本は肩関節を整えることです。肩関節は肩甲骨と上腕骨の関節ですが、鎖骨も間接的に関わってきます。これらの骨格に歪みや捻れがなく、肩関節がしっかりしている状態であれば、関係する筋肉はリラックスして楽な状態になります。
 しかし、例えば上腕骨が肩甲骨から少し離れた状態(よく見受けられます)になりますと肩甲骨から上腕骨に繋がっている筋肉(上腕二頭筋、上腕三頭筋、烏口腕筋、三角筋、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)や鎖骨から上腕骨に繋がっている筋肉(大胸筋、三角筋)が緊張状態になります。
 あるいは、鎖骨が内側にずれますと三角筋や大胸筋が緊張状態になります。筋肉が緊張状態になることは伸びが悪くなるということですから、関節がスムーズに動かなくなります。
 そして、関節の動きが悪いのに無理やり動かすようなことを行いますと、緊張した筋肉は耐えられなくなり損傷する可能性があります。筋肉が損傷状態になりますと収縮することができなくなりますが、それは筋肉に力が入らない状態です。仮に肩関節を支えている筋肉(例えば棘上筋など)が力の入らない状態になりますと、腕を肩からぶら下げることも満足にできなくなり、「立っているだけでも腕のつけ根がジンジンしてしまう」などという状況を招きます。状態が酷くなりますと眠る態勢すら痛みを伴うようになってしまいます。
 ですから、まず第一に考えなければならないことは骨格を整えて安定させることなのですが、骨格を歪めてしまう原因のほとんども筋肉の状態にありますので、筋肉を整えることによって骨格を整え、そして肩関節がリラックスした状態になるよう働きかけることが整体の施術になります。

大切な肩甲骨の働き

 腕を横に上げる動作では、もし肩甲骨が回転しないとしますと60°程度(斜め下)しか動かすことができません。その後は肩甲骨が回転することで肩甲骨と腕が一体となって真上まで腕を挙上することができます。車のハンドルを握ったり、洗濯物を干したりする動作は、腕を前方に上げる動作ですが、肩甲骨が一緒に動かなければなりません。腕を後ろに回す動作でも同様です。
 ですから、五十肩で腕の動きが悪い場合や動作が制限されている場合は、肩甲骨の状態を整える必要があります。そして肩甲骨を考えるときには鎖骨のことも同時に考えなければなりません。

 肩甲骨の動きに関しましては、背面では肩甲挙筋、小菱形筋、大菱形筋の状態が影響を与えます。下の写真のように腕を前方に挙上する動作では、右肩甲骨が反時計回りで動く(上方回旋)必要があります。このとき肩甲挙筋は伸び、小菱形筋も大菱形筋も伸びなければなりませんが、ある角度を超えて真上まで挙上する場合は小菱形筋が収縮して肩甲骨の上方が背骨に近づくようになります。


 また、上半身の側面や前面では前鋸筋や小胸筋や大胸筋が働いて肩甲骨の回転が実現しますが、このように肩甲骨と鎖骨および上腕骨に関係する筋肉のすべてが連携して伸びたり縮んだりすることで一つの動作がスムーズに行えるようになります。ですから、肩甲骨の動きに関しましても関係する筋肉の状態とバランスが基本になるといった点で共通しています。

手の疲労はとても強く影響する

 五十肩(肩関節の異常)のすべてがそうだというわけではありませんが、手の疲労は肩関節の不具合の多くに関係します。
 肩甲骨および鎖骨から上腕骨に繋がっている筋肉に問題がありますと骨格が歪んで五十肩になる可能性があると上記で申しましたが、これらの筋肉は当然、前腕(肘~手首)や手の筋肉に連動しています。
 また、肘関節が捻れている人が多いのですが、その影響が肩関節に及んでいることもありますし、肘が捻れてしまう理由として手指や手の疲労はとても関係します。 

 実際に腕と手を整えようとする場合は、前腕と手指を主に施術することになりますが、皆さんが予想もできないほどに手指の関節周辺や前腕の筋肉はコチコチに硬くこわばっています。これらのこわばりはほぐして解消しなければなりませんが、それはかなり痛みを伴う施術になります。
 パソコンのキーボードやマウスを操作したり、包丁を使ったり、いろいろ手先を使う動作は、一つ一つの動きではそれほど力を使わないかもしれませんが、何度も何度も同じ動作を繰り返すことによって手や手指に疲れは蓄積します。そしてそれが筋肉に強いこわばりをもたらしますが、それが原因で五十肩になってしまう可能性は十分に考えられます。


 ほとんどの人は自覚していませんが、手首の近く、いわゆる手の土手の部分(母指球・小指球)の深いところが強くこわばっている人がたくさんいます。さらに母指の第一関節、小指や薬指の第一関節付近がこわばっている人もたくさんいます。
 これらの強いこわばりは五十肩だけでなく、いろいろな体調不良や不具合の原因になっていますので、日々セルフケアとして揉みほぐしていただきたいと思っています。

五十肩はすぐに改善できる
 ‥‥しかし、こじらすと時間がかかる:筋肉の疲弊

 五十肩(肩関節の異常)は、初期段階であればすぐに改善できる症状です。それはおかしくなっている筋肉や骨のバランスを整えるだけですむものです。


 しかしながら「肩が痛いのに我慢して使い続ける」という状況が長引きますと、症状をこじらせてしまい、改善するのに時間がかかってしまうことになります。

 筋肉はしばしば変調を起こします。変調というのは収縮しっぱなしの状態=こわばって硬くなった状態と、反対に疲弊や損傷して腑抜けのようになってしまい上手く収縮することのできない状態のことです。特定の筋肉を偏った状態で使い続けることで硬くこわばることになりますが、反対に筋肉を伸ばしたままの状態で放置したり、さらに負荷を掛け続けたりしますと疲弊したり損傷して「伸びきってしまい戻らなくなったゴム」のようになってしまいます。
 筋肉が硬くこわばった状態は痛みを伴いますが、揉みほぐすことで変調を解消することが可能です。それはそれほど時間を要しません。ところが疲弊したり損傷して上手く収縮することができなくなってしまった筋肉を元の正常な状態に戻すのはたいへんです。
 五十肩も初期の段階であれば、多くが筋肉のこわばりによる関節の歪みが原因であると考えられます。ですから短時間あるいは短期間の施術で問題は解決すると思います。ところが、痛みがある(=関節が歪んでいる)にもかかわらず使い続けていますと、筋肉は耐えられなくなって疲弊した状態になります。あるいは損傷状態になります。こうなりますと「五十肩をこじらせてしまった状態」ということですが、回復までに時間が掛かることになります。

 このことを、どうぞ注意していただきたいと思います。
 ハッキリ申しまして、テレビや雑誌などの情報は正確ではないものが横行しています。整形外科のリハビリでさえ、今尚、アイロン体操などを推奨していたりします。筋肉の性質を深く理解していないと言わざるを得ません。
 また、整形外科を受診される時の注意事項としまして、注射は頻繁に行わない方が賢明だと申し上げます。注射は筋肉に針を刺すことですから筋線維が傷みます。数回程度であればそれほど支障が出ないかもしれませんし、回復も可能かもしれませんが、10回、20回と針を刺しますと、その筋肉は損傷状態になってしまいます。五十肩を治すための治療が五十肩を悪化させる結果をもたらすことになります。実際、過去にそのような人が来店されました。週に二度くらいのペースで20回ほど痛み止めの注射をしていたということでした。この人に対する私の施術はただただ手を当てて筋肉の回復を促すことだけでした。週に2度くらいのペースで5回くらい来店されたと記憶しますが、毎回60分、手を当て続けることだけでしたが、それで五十肩の症状はよくなりました。


 冒頭に申し上げましたが、五十肩になったら「治るまでに1年以上掛かってしまう」という定説のようなものがあるようですが、実際はそんなことはありません。
 私は肩関節が怪しいと感じたお客さんには「肩関節はどうですか?」と尋ねます。すると「回すとカクカクする」とか「真上まで上げられない」とか反応が返ってきます。そしてそのための施術をおこないますが、15~20分くらいの施術でほとんど解決してしまいます。
 
 私たちは手や腕を毎日たくさん使っています。ですから、肩関節が少々おかしくなることは当然のことでもあります。肝心なことは症状を悪化させないこと、慢性化させないことです。症状が軽微なうちに適切に対処することです。
 肩関節周辺に違和感や若干の不具合を感じてから10日間くらいは様子を見るのがよいと思います。体調の変化で肩関節がおかしくなったり、普段と違いことをしておかしくなったりすることもありますが、
10日もすれば、それらの問題も治まって肩関節の歪みも戻ると思います。そしてこの時に注意しなければならないことは、違和感を感じてもしつこく動かさないことです。違和感程度であれば気持ち悪いかもしれませんが、そっと安静にしておくことがよいと思います。
 そして、10日経っても症状が消えないようなら、整形外科や治療院などを訪れるのがよいと思いますが、再三申し上げていますように「無理してでも関節を動かす」ような治療を行うことは厳禁です。信頼のできるところを受診されてください。

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 私たちのからだは加齢にともなって不調や不具合を抱えるようになりますが、その代表的な症状の一つに四十肩、五十肩と呼ばれる肩関節周囲炎があります。
 この症状は軽微なうちは、肩を回す(腕を回す)と音がしたり、引っ掛かりや違和感を感じる程度のものですが、状態が悪化しますと腕が上がらない、腕が後ろに回らないなど、腕の動作ができない状態になります。そして、さらに症状が重たくなりますと、じっとしていてもジンジン痛みを感じたり、腕を抱えていないと辛くて耐えられない、ただ寝ているだけでも痛くて眠れないなどの状態になってしまいます。
 腰痛や膝痛や他の症状も同様ですが、症状が軽微なうちに適切に対応しますと症状を悪化させることなく速やかに状態は改善しますが、症状があるにも関わらず無理に動かしたり、負荷を掛け続けたりしますと状態はどんどん悪化していきます。
 肩関節の不具合で犯しやすい過ちは、「なんとなく肩関節がずれているように感じてしっくりこないので、腕や肩甲骨を何度も回してしまった」というものです。気持ちはとても理解できますが、こうすることで筋肉に無理が掛かり、肩関節のずれが大きくなってしまう道を進んでしまいます。

肩関節の不具合は骨格の歪みから始まる
 私たち人間の肩関節は他の四つ足動物に比べると遙かに大きな可動域を持っています。そして股関節よりも肩関節の方がとても大きく動かすことができるわけですが、それは反面、腕(上肢)と体幹との接続があまくなっているということでもあります。実際、骨性の関節があるのは鎖骨と胸骨の関節(胸鎖関節)だけです。ですから肩甲骨の動きも含めて肩関節は歪んで不具合を生じる可能性が高いということになります。

肩関節の骨格


 さて、肩関節を形成している骨格は、肩甲骨と鎖骨と上腕骨です。ですから肩関節の不具合では、まずそれらの骨の状態を確認するところから作業が始まります。これは整形外科でレントゲン撮影をして「骨には異常がありません」というのとはまったく異なりまして、三つの骨がどのような歪み方をしているのかを確認する作業です。
 次に肩甲骨と体幹、鎖骨と体幹との関係を確認します。私たちが腕を挙上するとき、水平近くまでは肩関節の動きだけで可能ですが、それ以上高く、真上まで腕を上げようとしますと肩甲骨を大きく回旋させなければなりません。肩甲骨の動きが制限されているような状態では満足に腕を上げることや、腕を後ろに回すことはできなくなってしまいます。そして同様の意味で鎖骨の状態を観察します。

 ところで、これら上腕骨、肩甲骨、鎖骨を歪め、動きを制限している主な犯人は筋肉です。脱臼などの経験がある場合は靱帯の状態も気になるところです。
 上腕骨や肩甲骨や鎖骨に付着している筋肉がアンバランスな状態になっているのでこれらの骨格が歪んでしまい、肩関節本来の動きができなかったり、腕(上腕骨)をしっかり保持することができず、いわゆる四十肩や五十肩という状態になってしまいます。ですから肩関節の不具合を修正する施術では、手と腕、首、胸と背中の筋肉を整えるという作業が大半になります。

上腕骨と鎖骨の関係
 上腕骨を鎖骨につなげている筋肉には三角筋(前部線維と中部線維)と大胸筋(鎖骨部)があります。実際、肩関節の不具合や肩関節痛で気になるところは、鎖骨と上腕骨の間の距離です。三角筋前部線維の働きが悪くなっている場合、鎖骨と上腕骨の距離が離れた状態になっていますが、この状態では腕を上げる動作の初期の段階で痛みを感じ、腕を上げたり、腕を上げた状態を保持することができなくなります。大胸筋鎖骨部の働きが悪くなっても同じような状況になりますが、打撲をしたなどケガによるもの以外では、あまりそのようなことは目にしません。
 また、鎖骨自体が上にずれたり、反対側に引っ張られていて上腕骨と鎖骨の距離が離れていることもあります。

肩関節前面の大胸筋と三角筋

肩関節痛への考え方と対処
 肩関節に違和感や痛みを感じたときの対処はどうのようにするのが良いのか? 
 四十肩や五十肩になって3ヶ月以上経過している、肩関節の痛みが慢性化してるといった場合は除いて、肩関節に違和感や痛みを感じたときの対処法について説明します。

 まず肩関節痛になった原因が、肩を打撲した、腕を引っ張られた、脱臼や亜脱臼をしたなど、ケガによるものであるならば、すぐに対処をするのが適切です。救急処置としては冷却し、骨折の心配があるのなら速やかに整形外科を受診してください。
 ケガによるものではなく、きっかけもハッキリしないのに何となく肩関節周囲に違和感を感じ、「しっくりこない」と思われるような状況、あるいは肩(腕)をまわすとゴリゴリしたり、少々痛みを感じるようになったのであれば、とりあえず何もしないで1週間ほど様子を見ることをお勧めします。からだの骨格が歪んだことによって肩関節にそのシワ寄せが現れたのかもしれません。そうであれば、1週間ほど待っていればからだの歪みも自然に修正され、肩関節の状態も自ずと改善すると思います。但し、この状態の時に注意していただきたいことがあります。それは肩関節に違和感や不快感を感じたとしてもグルグル肩(腕)を回したり、ストレッチを度々行ったりしないことです。そのようなことをしますと状態が悪化する恐れがあります。「そのままじっとしていれば、元の異常のない状態に戻れたのに、激しく動かしたことによって炎症おこり、四十肩や五十肩状態に突入してしまった」ということが起こり得ます。そして実際、そういう人がけっこういます。

 きっかけも原因も覚えがないのに肩関節に違和感や不具合を感じ、1週間程放置していても状況が良くならないのであれば、それは何らかの理由で肩関節の歪みが固定化してしまったか、肩甲骨や鎖骨及び関係する筋肉の状態がおかしくなっている可能性があります。しかしながらまだ「慢性化している」という状態にはなっていませんので、適切に調整することですぐに状態は改善すると思われます。信頼のできる整体院や治療院にいかれることをお勧めします。(整形外科は微妙です。整形外科の薦めるリハビリは適切でない場合もあって、状態を悪化させることもあります。)

肩関節痛の3つの段階
 「五十肩(四十肩)になったら治るまでに1年半~2年くらい掛かる」というようなことを聞くことがあります。巷では定説のようになっているのかもしれません。しかしながら実際に業務に携わっている私は、全然そんなことは関係ないと考えています。
 肩関節に異常を感じたときにまず考えなければならないことは、何よりも「状態を悪化させない」ことです。私たちは日常生活の中で思いの外、手や腕や肩をたくさん使っています。肩関節に問題がないときは実感がありませんが、肩関節痛になって腕が動かしにくい状態になりますと、そのことが実感としてよく解ります。つまり肩関節をとても頻繁に動かしていますので「肩関節の異常は悪化しやすい」ということになります。
 膝や腰が痛くなったときは「しばらく立ち仕事や歩くことは控えておこう」などと対応することができますが、「しばらく手を使うのは止めておこう」ということはできないのが実状です。ですから繰り返しになりますが、肩関節の異常は悪化しやすいので、悪化させないように心がけることが大切です。
 こう申し上げた上で、肩関節の異常や痛みは3つの段階に分けられ、それぞれの段階で適当と思われる対処法を行ってください。

1.異常が軽微で、違和感や軽い痛みを感じる程度の段階
 なんとなく腕のつけ根(肩関節)に違和感や重苦しさを感じる。じっとしていると肩関節の収まりが悪いように感じるので、ちょいちょい動かしてしまう。可動域に問題はなく腕の動きにも問題はないのだけれど大きく動かすと痛みを感じる。あるいは、腕の動かし始めだけ痛みを感じる。これまでは背中で両手を触ることができたのに、どちらかの手が届かなくなってしまった。
 このような状態は、肩関節異常の軽微な段階、初期の段階です。
 例えば、日々業務でパソコン入力をたくさんしている、マウスをたくさん使っている、というような人は肘が捻れていて手指が疲労したりこわばっていますので、その影響が肩に及んでこのようになっている可能性があります。あるいは噛み合わせや歯ぎしりや片噛みの影響でからだが捻れ、その歪みが肩関節に及んでいるのかもしれません。
 このような状態は好ましいものではありませんが、(肩関節がおかしいことで)肩や首のコリを感じるかもしれませんが日常生活にそれほど支障がでませんので「放って置いても大丈夫だ」という段階ではあります。
 但し上述しましたように、肩関節の違和感が気になって、あるいは首や肩のコリが気になって一生懸命ストレッチをしてみたり、肩を頻繁に回したりしますと、状態を悪化させて次の段階(四十肩、五十肩)に進んでしまう危険性があります。
 「テレビで肩関節を快適にするための運動を紹介していて、それを毎日やっていたら痛みが増してきた」というような人もいます。
 違和感や軽い痛みは筋肉が発するものですが、それは肩関節が歪んでいて、ある筋肉に負担が掛かっているからです。その筋肉は肩関節を保持するために緊張状態にありながらも一生懸命耐えて頑張っているのですが、そこにさらに負荷をかけるようなストレッチや運動を強いますと、耐えきれなくなって損傷状態になってしまいます。すると肩関節はそれまでとは違ったバランスになってしまいますので、「動かすと痛い」「手が上がらない」などの症状が現れます。

 「痛み」は「それ以上伸ばさないで!」という筋肉からのサインです。ストレッチや肩の運動は痛みの出ない範囲で行ってください。そして、そのような運動よりも前腕(肘から先)の筋肉のストレッチや手指の筋肉を揉みほぐした方が効果的だと思います。

前腕のストレッチの要領


2.四十肩、五十肩と呼ばれる段階
 「腕が上がらない」「腕が後ろに回らない」「腕を動かすと、腕のつけ根や肩が痛くなる」など肩関節の運動制限や顕著な痛みを感じる段階は、いわゆる四十肩、五十肩と呼ばれる段階です。
 こうなりますと、自然治癒は難しくなります。巷でいわれる「1年半くらいすれば治る」というのは、実際には状態が治っているのはなく、関節や骨格は歪んだままなのですが、付着している筋肉が「耐性ができた状態になった」ということであり、それまでに1年以上の時間がかかるということです。もっと平たく申しますと「ずれてしまった肩関節や肩甲骨(=変化した体型)に筋肉が馴れるまでに1年以上かかりますが、それで痛みは消えます。」ということです。痛みは感じなくなりますし、日常生活での動作も大丈夫になりますが、肩甲骨や腕の動きは正しくありませんので、軽快で快適な動作は戻っていません。

肩関節(腋窩)の筋肉

 さて、このような状態を本来の快適な状態に戻すためには、整体的な手法が必要になると思います。整体的な手法といっても骨格をバキバキッ鳴らしながら直接動かすような方法ではありません。それはやってはならないことです。
 からだの使い方によって、筋肉には硬く固まってしまったような部分(こわばり)や使いすぎて疲弊し、腑抜けになって伸びきってしまったような部分ができますが、そのようなもので骨格は容易に歪みます。歪みはじめの頃であれば、上記の1.で説明しましたように休養することで筋肉の働きが元の状態に戻りますので、自ずと関節や骨格の歪みも解消されます。
 ところが歪んだ状態でさらに使い続けていますと筋肉に無理が掛かり続けることになりますが、それによって痛みが生じます。そして、痛み止めなどで痛みを感じないようにして、さらに同じように使い続けていますとやがて筋肉に耐性ができるようになって痛みを感じなくなりますが、この時の筋肉は本来の在り方とは違った状態になっています。それは半ば形状記憶のように頑固な状態であり、もはや「時間の経過とともに自然に元に戻る」といった状態ではありません。それは何十年経っても元の状態に戻ることはありません。ですからこのようになってしまった筋肉を元の本来の状態に戻すためには、積極的なアプローチが必要になります。そして、それが私の申し上げる「整体的手法」という意味です。
 つまり、「四十肩や五十肩になったとしても1年半くらい経てば痛みは消えますし、日常生活に支障のない状態には戻りますが、それで十分に治ったということではありません。肩関節周囲はアンバランスな状態のままですので、からだの他の部分(膝など)がおかしくなっているかもしれません。この状態を解消するためには肩関節周囲の筋肉を本来の在り方に回復させる必要がありますし、そのためには整体的手法が必要です。」と私は考えています。

3.じっとしていても耐えがたい‥‥重症な状態
 例えば肩関節で腕を脱臼しますと、(大人であれば)それはとても痛いものですし、その後、腕を抱え込んでいないと耐えられない状態になります。そして五十肩(四十肩)も状態が悪化しますと、これと同じような状態になってしまいます。
 「ただ座っているだけでも腕のつけ根あたりがジンジンしてきて耐えがたくなる」「反対の手で腕を抱え込んでいないと痛くて痛くて」「夜寝ているだけでも腕がジンジンしていまい目が覚めてしまう」などという状態になっているのであれば、それは重症です。

 ここまで症状が悪化しますと施術者として、とても慎重に対応しなければなりません。まずは痛みを感じない状態にすることが第1の目標です。夜ゆっくり眠ることができるようになることから始めます。そして次に普通に座っていられるようになること、腕を抱えていなくてもじっとしていられる状態になることを目指します。
 このようになってしまう一番の理由は、筋肉や靱帯が疲弊したり損傷した状態になってしまったために肩関節に上腕をしっかり保持しておくことができなくなってしまったからです。つまり、腕が肩からぶら下がったような状態になっているために、周囲の筋肉が全部強い緊張状態になってしまい、ジンジンしてしまうのです。肘や手先まで痛みを感じたり、シビレを感じたりすることもありますので、整形外科では「頚椎が‥‥」と診断されるかもしれません。しかし、過去の経験で申しますと、単に肩関節が亜脱臼状態になっているからだと言えます。そして、もっとも多い原因は肩甲骨と上腕を繋いでいます肩甲下筋(けんこうかきん)が伸びた状態になっていることです。野球の投手が「肩を壊す」ときに一番多いのが肩甲下筋の損傷ですが、腕を引っ張られたときに抵抗する筋肉であり、引っ張られる力が強いと損傷してしまう筋肉です。

肩甲下筋03

 五十肩状態なのに無理を重ねていますと肩甲下筋に負担がかかり疲弊した状態になりします。あるいは、犬との散歩などで、予期しないところで不意打ちをくらったように突然腕を強く引っ張られますと、一瞬にして肩甲下筋が伸びてしまうこともあります。
 この筋肉は肩関節の非常に深いところにあるインナーマッスルですが、施術でアプローチしようとする場合、ある程度腕を上げた状態にしないと触ることができません。ところが重症状態になってしまった人は、腕をちょっと動かしただけでも痛みを感じますので、とても肩甲下筋に触れる状況ではありません。それが施術者としてとても苦労するところです。
 肩関節の亜脱臼状態(=腕と肩の間が離れて腕がぶら下がった状態)を改善するためには肩甲下筋の状態を改善しなければなりませんが、その肩甲下筋には手が届かない、そんな苦労です。

 さて、このように重症化した肩関節痛の人に対しては、なんとか3回くらいの施術で、夜ゆっくり眠れるようになっていただければと考えています。そして、その状態にまでなりますと、ある程度腕は動かせますので肩甲下筋にも手が届き、いろいろな施術ができるようになります。そして、上記2.の段階まで戻して、着替えがある程度不自由なく出来るようになったり、洗濯物の干すのはまだ辛いしシャンプーやドライヤーも辛いけどその他の日常生活はできるようになった、といった順序で改善むけて進めていきたいと考えています。こうなるまで1ヶ月くらいの時間はかかるかもしれません。

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 以上が肩関節痛や肩関節周囲炎に対する当方での整体的考え方と施術の概要です。
 対応を間違えますと、上記の1.→2.→3.へと状態が悪化していきますの軽い肩関節の違和感であったとしても注意深く対応していただきたいと思います。そして、3.の状態になってしまった人は、まだまだ我慢と忍耐が必要ですが、3.→2.、そして2.→1.→改善と段階を一つずつ戻るように考えてください。改善を焦りますと注射とか不適切なリハビリ運動などを行うようになり、逆効果になる可能性もあります。
 そしてまた、1.の状態に戻ると痛みも感じなくなりますので、「これでいいや」と思ってしまう人がほとんどですが、肩関節の歪んだ状態は解消されていませんので、その歪みは必ず別の場所に不具合をもたらします。肩と膝は密接な関係がありますので、いつまでの膝の内側の痛みが残ってしまう可能性もあります。ですから、最後まで直していただきたいと考えます。

 また、この肩関節周囲炎の他に肩関節のトラブルとして石灰沈着性腱板炎や肩腱板断裂と診断される場合がありますが、これらは程度次第ですが、整体的手法で対応することもできます。私の考え方として、なるべく手術はしない方が良い、注射針を筋肉に刺すこともなるべく少ない方が良い、というのがあります。皮膚や筋膜や筋肉に傷をつけることは、それだけでハンデを背負った状態になりますので、避けられるなら避けていただきたいと思っています。
 過去に、何十回も腕に注射針を刺されたがために、それで筋肉の働きが悪くなり、当初は石灰沈着性腱板炎だったものが重度の四十肩に移行してしまった人がいました。ご自分のからだのことですから、十分に注意深くあってください。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
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