ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

カテゴリ:筋・筋膜・骨 > 筋肉の変調

 薬局を経営されている60歳代後半の女性Sさんが、4ヶ月ほど前から首を普通に保つことが出来なくなってしまったと来店されました。「年末の仕事が忙しく、ずっと下を向いた状態でいたのがいけなかったのかなぁ?」と仰っていました。

 からだの状況を観察しますと、立位では、首はその根元(第7頸椎)のところからすっかり前に倒れていて、無理をしないと首を起こして正面を向くことができません。
 首が倒れたままの状態で頭を回旋させ、横を向きながら覗き込むような感じで目の前の相手と会話しなければならない状況です。
 そして、下腹を大きく前に出すような反り腰で、その反動として猫背であり、確実なかかと重心です。骨盤はすっかり後傾していて、お尻はすごく垂れた状態になっていました。

 座位では背もたれもないのに、背もたれのある椅子に座っているように上半身が後に傾いています。
 「少し上半身を前傾させるように座ってみてください」と申し上げても、それができません。坐骨のかなり後側に重心があって、そこから重心を前に移動することができないので、前傾姿勢ができないのです。

ポイントは3つ

 Sさんは、これまでにギックリ腰の経験はなく、腰痛の経験もそれほどないとのことです。それなのに下腹を前に突き出すような反り腰の立ち姿になってしまったのは何故なのか? という疑問が生じます。(この疑問に対する明確な答えはまだ掴みきれていません)

 反り腰の姿勢は、それだけで猫背をまねき首が前に出てしまいますが、おそらく何十年もその姿勢を続けていたと予想されますので、背面の筋肉はゆるみきった状態になっていると思われます。そして前に出た首を支えるために、首前面や胸元の筋肉は反対に硬くなっていると思われます。

 そして全身を触りながら確認していきましたが、実際そのような感じになっていました。
 お尻の筋肉はとてもゆるゆるで、「しっかりした状態に戻せるだろうか?」と考え込んでしまうほどの状況でした。
 それでも、この問題(反り腰)が1番の要だと感じました。骨盤の後傾が改善され、お尻の筋肉がしっかりすれば、骨盤を中心に動くことができるようになって反り腰は改善されると思います。反り腰が改善されれば、猫背も改善され、首は自ずと立ってくると思います。
 ですから、次の3つのポイントに重点をおいて施術を行うことにしました。

  1. 反り腰の改善‥‥かかと重心にも通じることですが、骨盤が前傾して中殿筋に力が入る状態になれば、骨盤を中心に立ったり座ったりすることができるようになります。すると自然と反り腰状態は改善されていきます。
  2. ゆるんだ背面筋肉の機能回復‥‥長年の姿勢や下を向き続けることの多い仕事の影響で、首の後側の筋肉が伸びきった状態になっています。そして、その状態は首の後側だけでなく、背骨を支える筋肉(脊柱起立筋群)にまで及んでいますので、普通の人なら何の苦もなく行える「顔を上げる動作」ができない状態になっています。
     うつ伏せで寝た状態で、頭を上げて前を向くことが出来ないことからも、それがわかります。
  3. 首の前面~胸にかけてのこわばった筋肉の改善‥‥猫背で首が前に出てしまった姿勢であり、さらに首背面の筋肉が働きの悪い状態でありながら、なんとか首の状態を支えるためには、首前面の筋肉で頑張るしかありません。
     ですから、首前面の筋肉は強くこわばった状態になっていましたが、こわばりは胸回りの筋肉にまで及んでしました。顎は噛みしめ状態になって緊張していますので、肩こりも酷くなってしまいます。

 上記の3つのポイントは互いに関連し合っていますので、一度の施術で全部を行う必要があります。
 たとえば、首後面の筋肉を調整を行わないまま首前面のこわばりを取ってしまいますと、首を支えるために頑張っているのものがなくなってしまいますので、症状はさらに悪化してしまいます。
 このことは重要で、一般の人は「硬いところをほぐせば良くなる」と思っているようですが、首後面の調整を行わないまま、硬くこわばっているところを揉みほぐしたり、あるいは低周波などの電気をかけてゆるめたりしますと、とんでもない状況になってしまう可能性もありますので十分に注意してください。

反り腰を改善するために

 反り腰は「下腹を前にだしてバランスを取っている姿」とも解釈することが出来ます。ですから、「どうして元々のバランスが崩れてしまったのか?」という問題を追及しなければなりませんが、多くの場合で、ケガ(ギックリ腰や肉離れも含む)や歯の治療や手術といったことがきっかけになっています。ところが、Sさんの今の段階では記憶では、そのようなものは覚えもなく思い出せないとのことでした。(何度か施術しているうちに、フッと思い出すかもしれません。そのような人は多いので)

 Sさんの下腹を前に出す姿は骨盤に寄りかかっている状態であるとも解釈できます。このような状態をほとんどの人は骨盤を使って立っていると認識するかもしれませんが、それは間違いです。ただ骨盤に寄りかかっているだけです。

 反り腰の人は、骨盤が後に傾いていてお尻の筋肉がたるんでいるという特徴があります。若い人や子供たちはお尻の筋肉がプリプリしていますのでたるんでいるようには見えないかもしれませんが、年齢や若々しさに関係なく、骨盤が後傾しますとお尻の筋肉はたるみます。

 ですから、反り腰を改善するためには骨盤の後傾を改善する必要がありますが、要となるのは骨盤の中心である仙骨・尾骨です。

 仙骨は直接背骨(脊椎)に繋がっていますので、頸椎の状態や頭蓋骨(後頭骨)の影響を受けます。また尾骨は会陰や肛門を含んでいる骨盤底筋と直接関係していますし、間接的には太股裏側のハムストリングや大内転筋などの影響を受けます。

 椅子に座り続けることの多い人は骨盤底筋が硬くなっていますので、ストレッチは有効です。

 また、ふくらはぎがガチガチに硬くなっているのに反して、太股の裏側がユルユルになっている状態の人がいます。それはかかと重心の兆候であり、足裏の筋肉も硬くなっているはずです。ですから足裏の筋肉をよく揉みほぐすことは対症療法として有効です。
 ふくらはぎの筋肉は足の指(足趾)や足裏の筋肉の状態が反映されますので、硬いふくらはぎを揉みほぐすよりも足裏や足趾をよく揉みほぐした方が効果的です。
 そしてふくらはぎの筋肉の硬さが改善されますと、太股裏側のユルユルも良くなってしっかりとした感じになりますが、仙骨の状態もしっかりして、ある程度骨盤の後傾は改善されると思います。
(専門的には、半膜様筋と大内転筋の状態が良くなることが肝心です)

 頭部や頚部の問題で脊椎が歪み、その影響で仙骨が下がって骨盤が後傾している状況もあります。これについては、他(以下)の2つのポイントを調整することで修正します。

ゆるんでいる背面筋肉の回復

 ゆるんで働きの悪くなっている状態の筋肉を、私が専門家として施術で回復させるためには、以下の2つのことを行います。

  1. 筋肉の働きを邪魔する要因となっている骨格(脊椎)を調整する
  2. 細胞の働きが悪くなっている部分にエネルギーがやって来て細胞の働きが活性化するように手を当てる

 背骨は24個の脊椎が繋がって形成されていますので、一つ一つの脊椎(椎骨)はある程度自由に動ける状態になっています。そしてそれが故に、骨格は歪みやすいわけですが、椎骨が下を向いた状態(背骨の出っ張り=棘突起は上を向いた状態)では、その部分の筋肉は収縮しづらい状況になりますので、仙骨を引き上げる能力が低下してしまいます。
 ですから、脊椎の一つ一つを確認しながら椎骨が下向きになっているものを正すように調整を行います。(施術の詳細は省きますが、背骨をバキバキすることは全くありません)

 このブログを読んでくださっている人には何度もこの話を出して恐縮しますが、筋肉がゆるんで働きが悪くなってしまった状態は、伸びきってしまい戻らなくなったゴムにたとえることができます。ジャージやパジャマなどのウエストのゴムは使い続けているうちに伸びてしまい、ダラーンとしてしまいますが、筋肉も疲弊してしまいますと同じような感じになってしまいます。

 猫背の姿勢では、肩甲骨周辺の山(出っ張り)の部分の筋肉は伸びやすくなってしまいます。加えて首が下に向いているわけですから、首後面の筋肉は伸ばされ続けているわけで、疲弊して戻らないゴムに近い状態になってしまうのは当然のことであると言えます。
 ただ、ゴムはその弾力性や収縮力を取り戻すことは不可能ですが、筋肉の場合は、少しずつでも機能を回復することができます。そこに望みはあります。そして、そのためには筋細胞がしっかり働けるようになることが必要ですし、エネルギーが必要です。ですから、手当ては有効な手段です。

首前面~胸にかけてのこわばり

 私たちのからだには「補ってバランスをとる」という仕組みが備わっています。
 たとえば、左足の小指をケガして小指側に荷重をかけられない状態になったとします。すると、からだが勝手に調整して自動的に右足を主体にして動くようになったり、あるいは左足の親指側で頑張るようにして小指側の負担がなくなるような使い方をするようになったりします。

 Sさんの場合もこの仕組みが働いて、ゆるんで働きの悪くなっている背側の筋肉を補うように自動的に腹側の筋肉が頑張って姿勢を支えるようになります。つまり、腹筋や胸筋や首前面や喉の筋肉が背筋の分まで頑張るのです。ところが、反り腰の姿勢が影響して下腹の筋肉(腹筋)もゆるんでしまい力が入らないので、胸~首にかけての筋肉で頑張るしかない状態になってしまいます。
 ですから、胸回りの筋肉と首前面の筋肉はこわばった状態になっていますが、それもまた、首を上げることが出来ない原因になっています。

 斜角筋(しゃかくきん)はこのブログでもしばしば登場する筋肉ですが、首の運動と運動制限に深く関与する筋肉です。
 文献上は、その本来の働きは呼吸運動を補助することになっています。しかし実態は、頚部の不快感や首のコリと運動制限などの原因になる筋肉です。さらに、そしゃく筋と深い関係にありますので、噛みしめや歯ぎしりなどの癖に直接関わっています。
 また、頚椎を歪める筋肉ですので、脳神経の働きにも影響をもたらします。中斜角筋が強くこわばって眼の働きが悪くなっていることは頻繁に見受けられる現象です。

 Sさんの場合、普通はあまり見られない現象として3つある斜角筋のすべてがこわばった状態になっていました。つまり、3つの斜角筋のすべてが首(頚椎)を前下に引っ張っている状態でした。この状態では、首を起こすことは難しいですから、斜角筋のこわばりを解消することが必須事項となります。

〇大胸筋のこわばりと前鋸筋のこわばり

 Sさんの斜角筋がこわばっている原因を探していきますと、胸に拡がっている大胸筋が硬くこわばっているところにたどり着きました。中でも腕のつけ根の辺りの線維が強くこわばっていました。
 胸を揉みほぐすようにしてこわばっている大胸筋をゆるめますと、頑固にこわばっていた斜角筋が少しずつゆるみ始めました。

 そして次に大胸筋がこわばっている理由を探しましたが、それは体側にあります前鋸筋(ぜんきょきん)の硬さが原因でした。長年にわたるこわばりの蓄積なのか、ゆるめる施術を行ってもなかなか筋線維がゆるみません。前鋸筋は手の親指と関係する筋肉ですが、脇が開いた状態で手を使い続けていたのかもしれません。
 両側の前鋸筋をしばらくの間ゆるめていましたが、すると呼吸が深くなり始めて次第に全身から力が抜けていきました。そして、大胸筋のこわばりもゆるみ、斜角筋や首周りの他の筋肉もゆるんで、楽な状態になりました。

 私の施術は、筋肉の連動や骨の連動といった仕組みを利用しながら全身を整えていくものですが、前鋸筋と大胸筋が連動し、さらに斜角筋が連動するといった流れがあることは認識していませんでした。しかし、今回は明らかにこのような現象が起きました。
 このことについては追々考察していこうと考えていますが、もしかしたら腹筋が使えない状態だったために、胸回りの筋肉が総動員で頑張っていた結果として前鋸筋も大胸筋も斜角筋も全部硬くなってしまったということなのかもしれません。

 さて、以上の3つのポイントについて施術を終え、ベッドに座っていただきました。すると、すっかり良くなったというわけではありませんが、背もたれに寄り掛かるような姿勢ではなくなっていました。ほぼ垂直な感じで座ることができていて、首も立ち、まっすぐ正面を向くことができる状態になっていました。
 そして、立位を確認しましたが、反り腰状態もだいぶ軽減していました。かかと重心がすっかり良くなったわけではありませんが、施術の方向性は正しいと知ることができました。

 Sさんから話しを伺いますと、若い頃から反り腰だったようです。
 長年にわたるその癖はすぐには改善できないと思いますので、何度か施術を行っても「3歩進んで2歩下がる」というような感じになると思います。しかし、やがては確実に症状は克服でき、さらに反り腰と猫背が改善されれば、この先、効率的で快適なからだの使い方ができると思います。


 前述しましたが、今回の説明で皆さんに知っておいていただきたい大切なことは、3つのポイント全部を調整しなければ良い結果を期待することはできないということです。
 そして3つはバラバラにあるのではなく、密接に関連し合っています。
 反り腰によって猫背になり、背面の筋肉が伸びて首が支えられなくなり、それを支えるために首前面~胸にかけて硬くなり、それが故に益々猫背が進み、それが故にさらに反り腰になってしまう、といった関連性があります。ですから、反り腰も修正しなければなりませんし、背中の筋肉の働きも戻さなければなりませんし、硬くなっている首前面~胸の筋肉もゆるめなければなりません。どれか一つ欠けても良いバランスを築くことはできないと私は考えています。

足つぼ・整体 ゆめとわ
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 “足つぼ”、”足リフレ”の施術にはエステの施術に近い、あまり痛みを感じないものと、強い痛みを感じる施術があります。テレビ版組などで話題性のために取り上げられるのは、まるで罰ゲームのように強烈な痛みを感じる場面になりますが、実際、足裏や足の指(足趾)には強烈に痛みを感じるポイントがあります。
 今回は足裏で、とても強い痛みを感じる部分についての話題です。と申しましても足の反射区(足裏のツボ)についてではありません。
 普段はまったく気にならないけれど、実は非常に強くこわばっているポイントが足裏の深部にあります。そして、それによってふくらはぎや太股がおかしな状態になっていたり、骨盤が歪むなど体型に影響を及んでいることがあります。また、その影響が手先にまで及んで、ペンの握り方がおかしかったり、筆圧に問題があったり、箸が上手く使えなかったりという問題が生じている場合もあります。

足裏(足底)の一番深い場所

 足裏は地面と接触するばしょですから、とても強靱にできています。筋肉も三層あって、その表層に厚い筋膜(足底腱膜)がありますので、本来は裸足でも生活できるようになっているのだろうと思います。
 
 今回、取り上げますのは足底の最も深くにあります長腓骨筋腱(ちょうひこつきんけん)と前脛骨筋腱(ぜんけいこつきんけん)の関係と、その影響についてです。
 「腱」というのは筋肉が骨に繋がる部分のことですが、手と足の腱は細長くなっていて、人形劇で人形を動かす紐のような役割をしています。つまり、筋肉の本体(筋腹)が伸び縮みすることによって腱を動かしますが、それによって腱の繋がっている骨が動くという仕組みになっています。

 足底の最も深いところには、足趾の奥の骨(中足骨といいます)同士を結び付ける骨間筋(底側骨間筋と背側骨間筋)があります。主な働きは中足骨同士を結び付けることで足の骨格を安定させ、体重の重みなどに負けない足を保つことですが、もちろん足趾を動かす時にも働きます。そしてふくらはぎの長腓骨筋、前脛骨筋、後脛骨筋の腱があります。

 多くの人達に共通する実態としまして、これら前脛骨筋、後脛骨筋、長腓骨筋と、それらが連動している他の筋肉の変調が、からだの歪みや動作の不具合に繋がっているケースが多くあります。
 一例を簡単に紹介します。

 前脛骨筋は手の親指を曲げる短母指屈筋、長腓骨筋は親指を伸ばすときに使う短母指外転筋、後脛骨筋は親指を閉じる母指内転筋と深い関係にありますので、これらの筋肉が変調をおこしますと、手の親指の働きがおかしくなったり、手の形がおかしくなったりします。そして、ペンや箸の持ち方がおかしい、手や腕を使う時に脇が開いてしまう、腕立て伏せをすると肩に負担が掛かる、息を大きく吸うことができない、股関節で太股が外に出っ張ってしまう、いつも太股やふくらはぎの外側が張っている、O脚になりやすい、靴が外側(小趾側)ばかり減ってしまうなどの症状がもたらされる可能性があります。

長腓骨筋と前脛骨筋の関係

 ここで、とても多く見受けられるケースを例にだして説明させていただきます。
 私のところに来店される人達は、からだの何処かの調子が悪い状態です。そういうこともあってか、多くの人達が踵重心(踵に重心が乗っている)の状態です。ふくらはぎに張りを感じやすい、というのは踵重心の人の特徴でもありますが、O脚やその傾向にある人も踵重心です。

 踵に重心が乗っている人は、そのままでは不安定で後に倒れてしまいますので、下腹を前に出して、反り腰の状態にしてバランスを保つようになります。この状態では、足の指を曲げて「足趾で踏ん張る」立ち方になってしまいますが、それが足底の深い部分に影響をもたらすことになります。足趾を曲げて踏ん張る状態は、必然的に第1背側骨間筋や土踏まずのところに力が入ってしまうのです。
 ちなみに重心の位置が正しい人は、立っていても決して踏ん張る状態にはなりません。

 このような状況が常態化しますと、当然土踏まずの筋肉はこわばることになりますが、最も深いところにあります第1背側骨間筋や長腓骨筋腱の停止部(中足骨付着部)のこわばりは頑固なものになります。すると第一中足骨は内側に捻れた状態なりますが、それによって前脛骨筋腱が引っ張られ、前脛骨筋もこわばった状態になります。
 つまりふくらはぎの外側面にあります長腓骨筋と前脛骨筋の両方がこわばって張った状態になりますので、「常にふくらはぎの外側に張りを感じてうっとうしい」といった心境になってしまいます。
 この状態を解消するためには、第1背側骨間筋や頑固にこわばっている長腓骨筋腱の状態を改善しなければなりません。ですから私は、指圧やその他の手技で念入りにし施術を行うのですが、これがとても強い痛みを伴います。
 施術が痛いのは心苦しいのですが、「かなり痛いですけど‥‥」と前置きしながら、状態が良くなるまで施術を行っています。


 今回取り上げました“足底深部の強いこわばり”は、「雑草の根」に似た存在に喩えられます。つまり、雑草が邪魔だから草刈りをしたところで根が土中に残ったままですと、また同じようにすぐに雑草が生えてきてしまいます。しばらく、あるいは永遠に雑草とお別れしたいのであれば、「根こそぎ」除去しなければなりません。
 足底深部に「芯」のように存在するこわばりが残っていますと、一時的に状態が良くなったとしましても再び同じような症状が現れてしまいます。
 ですから、私はそのような気持ちで施術を行っています。しかし、それまでのからだの使い方の癖が改善されませんと「しばらくするとまた根付いてしまう」という状況になってしまいます。「
 ほとんどの人は、症状が軽くなりますと来店されなくなります。しかし、こんかいのような場合は、使い方の癖」が改善されるまで来店していただきたいと思っています。

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 現在、パソコンを操作することが日常の業務になっている人がたくさんいますが、そういう人たちに共通して必ずおかしくなっている筋肉があります。腕の肘から手首にかけてを専門用語で「前腕」と呼びますが、前腕を内側に捻る働きをする円回内筋(えんかいないきん)がそれです。パソコンでキーボードを叩く動作、ピアノを弾く動作、字を書く動作では、肘を下ろして手の甲を上に向けますが、その動作を専門用語では「回内」と呼びます。一日の長い時間をパソコン操作で使っている人、ピアノを何時間も引いている人、勉強で何時間もペンを握っている人は、円回内筋を使い続けていますので、この筋肉が強くこわばっています。ベッド仰向けで寝たとき、自然と手の甲が上になってしまう人はこういう人です。
 加えてパソコンではマウスを頻繁に使いますが、すると人差し指(示指)と親指(母指)の筋肉が知らず知らずのうちにこわばった状態になります。そしてこれらの筋肉のこわばりがいろいろと悪影響を及ぼしますが、それについて説明させていただきます。

円回内筋のこわばりは肩関節を不安定にし顎を硬くする

円回内筋のこわばり

 骨格の仕組みとして、前腕が内側に捻れる(回内)と上腕が外側に捻れる(外旋)という連動性があります。座った状態ではよくわからないのですが、仰向けで寝た状態の時、円回内筋がこわばって手の甲が上を向いている人の肩関節では、腕(上腕)が少し垂れ下がって外に開いたような状態になっています。肩関節が不安定な状態です。これによって上腕二頭筋(長頭)がこわばりますので、腕(上腕)を前面から掴むと筋肉がピンと張っていて痛みを感じるかもしれません。また、この肩関節の不安定さは首や顔に緊張感をもたらしますので、顎関節にも自ずと力が入ってしまい、少し噛みしめた状態になってしまいます。
 今、もしパソコンを使っているのであれば、例えば左手の掌を下に向けた状態(回内位)にしたまま右手で左顎関節や左首筋を触りますとなんとなく緊張を感じると思います。その右手を当てたままの状態で、左掌を外側に回し少し上を向けるように動かしますと、顎関節や首筋の緊張感が弱まりゆるむ感じがすると思いますが、いかがでしょう? (回しすぎて掌がすっかり上を向くような状態になりますと別の緊張がもたらされると思います。)この現象は、肩関節が不安定になると顎関節や首筋の筋肉がこわばってしまうことを意味します。(他の理由で元々肩関節が不安定な人は、変化を感じることができないと思います。)

 ですから、仕事でたくさんパソコンを使っている人、勉強をしたりしてたくさん字を書いている人、ピアノの練習をたくさんしている人などは、円回内筋がこわばるので肩関節が不安定になり、首や顔や顎に力が入りやすい傾向がある、ということになります。

 このような人に対しての施術では、時間を掛けて円回内筋のこわばりをゆるめる施術を行いますが、それだけでもからだの緊張感がかなり軽減するのがわかります。文明は急速に発達し便利さは飛躍的に増しましたが、からだには不自然な負荷がかかようになり、それはストレスであり、いらぬ緊張をもたらす弊害があることが、こういった事実を取り上げることで明になります。

円回内筋の「こ」とストレッチ

 ご自分で対処するセルフケアとしましては、円回内筋を伸ばすストレッチを行うことです。片方の腕を前に出し、反対側の手で肘の上を押さえて上腕が動かないように固定します。そしてその状態で、掌や手首を外側に捻る(回外)ようにして筋肉が伸びるのを待ちます。
 奥歯が噛み合っている人は、円回内筋が伸びるに従って自然と歯が離れていくと思います。あるいは、顎の力が抜けていくのを感じませんでしょうか。パソコンなどの作業をたくさんする人は、一日に何度もこのストレッチをしていただくことをお勧めします。

マウスを酷使すると母指と示指の筋肉がこわばる
 パソコン操作では頻繁にマウスを使いますが、すると母指先を曲げる長母指屈筋(ちょうぼしくっきん)と示指を動かす筋肉がたくさん使われます。(示指伸筋と深指屈筋の示指につながら筋腹)

マウス操作における長母指屈筋・示指伸筋の「こ」

 以前の投稿で、母指と示指に力を入れて手を使うと首と肩に力が入ってしまう、という内容を説明しましたが、パソコンのマウス操作はまさにそのような感じです。前腕を回内位にしますと自ずと母指と示指を中心に手を動かすようになります。マウスを握り動かす時、母指球の側を中心(支え)にしてマウスを動かした方が、小指球側を中心に動かすよりも使いやすいのはそのためですが、マウスを頻繁に使うことによって母指と示指に関連する筋肉がこわばることになります。
 するとからだの使い方も、臍を中心とした体幹の内側や、太股~足にかけての内側が中心になるのではなく、脇の下から脇腹、骨盤の外側から太股の外側、ふくらはぎの外側に重心が掛かるようになります。これは効率の悪い状態ですし、O脚になりやすく、将来膝を痛める可能性が高まると考えられます。体型もスマートでなくなります。
 私の目から見ますと、街中にはO脚や、将来O脚になる予備軍の人がとてもたくさんいます。それは仕事がパソコンと切り離せないことと深く関係し合っていると思います。ですから、パソコン操作の弊害を溜め込まないように、毎日の終わりにリセットする意味で腕と手のストレッチやマッサージを習慣づけて欲しいと思います。

 先日、株式投資をしている人で、パソコン画面をマウスで頻繁に切り替えながら、多くの銘柄を一遍に見ているという人が来店されました。顔の右半分が右腕の方に引っ張られていて辛いとのことでした。右腕は棒のように硬くなっていましたが、特に長母指屈筋やその周辺の筋肉がとても強くこわばっていました。マウスの使いすぎです。
 そのこわばっている筋肉をゆるめて調整しますと、顔の状態も下肢がガニ股気味の状態も良くなるのですが、1週間後に来店されるとまた同じような状態に戻っていました。筋肉の使いすぎは良くありませんし、きっと気持ちを集中させて画面を見ているので呼吸も悪くなり、リズム感も悪くなってしまうので、どんどん母指や示指の筋肉がこわばってしまうのだと思います。

長母指屈筋と示指筋肉のストレッチ

 長母指屈筋も示指に関係する屈筋も前腕前面の奥深くにありますので、なかなか手が届きません。ですから、ストレッチの方法としては母指先と示指先を第一関節のところで反対側の指を使って引っ掛け、強めに反ることで伸ばすのが良いかもしれません。

 パソコンでばかり仕事をしている人は、うつむき加減で首(頭)が前に出やすく、肩が前に出て猫背気味という姿勢の特徴とともに、先ほども申しましたが重心が外側に掛かりますので、お腹や骨盤の力で座位を保つことができないため内股に力を入れて座るようになります。ですから体型的には外側に重心があってO脚気味なのに太股の内側がカチカチに硬くなっていたりします。背中~首筋~後頭部にかけてスーッとスッキリさせたいところですが、それがなかなか叶いません。想いとは裏腹になってしまうわけですが、それは筋肉連動の関係で、必然としてそうなってしまうのです。そして、この筋肉連動の出発点となる筋肉の一部が今回取り上げました円回内筋、長母指屈筋、示指に関係する筋肉です。うつむいて作業をすることによる筋肉のこわばりの弊害も除去しなければなりませんが、今回取り上げた筋肉をしっかりケアすることだけでも、かなりいろんなことが改善されると思います。


足つぼ・整体 ゆめとわ
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「オタクですね」とか「マニアックなブログですね」とか、私やこのブログ対する感想をいただきます。私の携わっている仕事は骨とか筋肉といった解剖学的世界ですので、どうしても専門用語を使わないと表現できないことが多くあります。一般の人にもなるべく解りやすく読みやすいようにと心掛けていますが、やっぱり毎回、マニアックな内容になってしまいます。
 そして今回も、マニアックな内容です。

長趾屈筋(ちょうしくっきん)
 私たちのからだの特徴の一つとして、指先の筋肉は最も深いところにあるインナーマッスルである、というのがあります。私が筋肉のことを勉強し始めてこのことを知ったときは驚きました。インナーマッスルは内部の筋肉、深層にある筋肉という意味ですから、からだの最も先端に出ていて頻繁に動かしている筋肉がそうであるとは思えなかったからです。
 一般に“第一関節”と呼ばれる指先は専門的に”末節”と呼びますが、足も手も第一関節を曲げる筋肉と第二関節を曲げる筋肉は異なります。末節である第一関節を曲げる筋肉は深層筋ですが、手指の場合は腕(前腕)から、足趾の場合はふくらはぎ(脛骨と腓骨)から始まり、手首や足首の関節を超えて指先まで繋がっています。

 足の2趾~5趾の末節を曲げる筋肉を長趾屈筋と呼びますが、ふくらはぎのスネの骨(脛骨)の後面内側から出発して足首の内くるぶし(内果)下を通って2趾~5趾の指先に繋がっています。

長趾屈筋02

 O脚の人や、立った時や歩く時に小趾側に重心が掛かってしまう人は、基本的に長趾屈筋を使って踏ん張ったり地面を蹴ったりしています。ですから長趾屈筋がとてもこわばっています。
 また内股の人は、歩くときに小趾側が母趾よりも前に出るような踏み出し(着地)になりますので、やはり長趾屈筋がこわばります。そして何十年も内股で生きている人は、思いの外とても強くこわばっていますので、こわばり状態を解消するのに労力と時間がかかってしまいます。
 歩き方が良くなくて、足を突っ込むように踏み出している人は足の指先が曲がっているのが一つの特徴ですが、それは必要以上に長趾屈筋や長母趾屈筋を使っているということですので、筋肉は当然こわばっています。外反母趾や内反小趾の人はこの傾向がありますが、健康を考えるなら歩き方を改善する必要があると言えます。

 長趾屈筋は足では外側(小趾側)ですが、ふくらはぎでは内側の最深部、太股では内側の筋肉(薄筋)に連動しますので、長趾屈筋がこわばっている人は“下肢の内側が硬い”という感じになります。
 「O脚で脚の外側が張っているのに、内側の筋肉もカチカチ」というのは長趾屈筋のこわばりが原因である可能性が高いです。

長趾屈筋のこわばり① ふくらはぎと足首の捻れ
 O脚にも幾つかのパターンがあります。修正するのに厄介なのは、太股が内側に捻れていて膝小僧が内側を向いており、しかし膝関節のすぐ下は外側に飛び出ていて(腓骨頭が目立つ)、さらに脛骨が足首にかけて内側に捻れている状態です。立った時に重心は小趾側にあるのに足首の内側から内くるぶしにかけて折れ曲がったように沈んでいることがありますが、このような状態を修正するのはなかなか大変です。

O脚_下腿の内旋

 そしてこの脛骨の捻れを生み出している張本人は長趾屈筋の強いこわばりである可能性が高いと思います。
 長期屈筋は膝下の脛骨の裏側から始まりますが、最深部にありますので普通にふくらはぎのマッサージを行っただけでは手や圧が届くことはありません。O脚の人をはじめ、強くこわばっている人が多いのですが、丁寧に粘り強くほぐしていきますと、ふくらはぎの捻れは少しずつ修正されていきます。

長趾屈筋01

 長趾屈筋は上図のところ、足首の上部では容易に触ることができます。但し、足首周辺がスッキリしていない人は表層のむくみが硬くなっていますので、表層を揉みほぐして柔らかくしないと手が届かないかもしれません。

内股_足首の捻れ

 内股やO脚の人に多いのですが、仰向けで寝たとき、あるいは高い椅子などに座り足が浮いている状態の時、足首や足が内側に倒れるように捻れていたり、外くるぶしの方がダラーンと下がっている人がいます。足首内側の長趾屈筋や後脛骨筋のこわばりが原因の一つとして考えられます。そしてこの傾向の人は太股の内側がこわばっていることが多いのですが、その影響が腹部や首や顔に及び、顔に引きつりや突っ張り感をもたらし、眼や鼻の働きに影響を及ぼしている可能性もあります。
 左足は普通なのに右足だけ内側に倒れてしまう人がいましたが、光を見ると右眼から涙が溢れだして止まらなくなってしまうということでした。この人はかつて右膝を脱臼したことがあって右膝の内側に損傷状態が残ったままでした。それが大きな影響となって右長趾屈筋がこわばるような脚の使い方になってしまい足首が内側に捻れた状態になっていました。ふくらはぎのちょうど中間辺りに長趾屈筋の硬い塊(=こわばり)がありましたが、それを弛めることによって足首の捻れが修正され、眼の状態も普通になりました。

長趾屈筋のこわばり② 内転筋~顔のこわばりにつながる
 長趾屈筋は太股の内転筋である薄筋(はくきん)に連動します。薄筋は腸骨筋と連動しますが、小胸筋にも連動し、そしゃく筋の状態にも影響を与えます。ですから長趾屈筋のこわばりが固定化している人は常に顔に緊張感やツッパリ感を感じてしまうかもしれません。実際、内股のきつい人は顎がゆるまないため顔貌に緊張感が漂っていると思います。もちろん見かけだけでなく、自覚としても芯からのリラックス感を味わえないため、常に不快感と共にあるかもしれません。

長趾屈筋と連動する薄筋、腸骨筋、小胸筋

長趾屈筋のセルフケア
 長趾屈筋に限らず、インナーマッスルの変調(こわばったり、ゆるんだり、疲弊したりした状態)期間が長いと、良い状態に戻すのに時間と手間が掛かってしまいます。
 現在、後期高齢者になるまでずっと内股だった人に対して週に一度のペースで施術を行っています。施術を始めて半年になりますが、長趾屈筋のこわばりは取りきれていません。「形状記憶」という言葉を思い浮かべてしまいますが、強い長趾屈筋のこわばりは形状記憶のように、ほぐしても、ほぐしても、一週間後にはまたこわばった状態に戻ってしまいます。歩き方や足の使い方が悪いことも重なって長趾屈筋のこわばりが戻ってしまうのだと思います。使い方が改善しないと筋肉の状態は良くなりませんが、筋肉の状態が良くならないと使い方も改善しません。それは卵と鶏の喩え話のような状況ではありますが、根気強く対応することで、やがて今の状態を抜け出して大きく前に前進できる時が来るのだと考えています。

 「インナーマッスルの変調は手強い」というのが率直な私の思いです。
 四十肩・五十肩で苦しんだ方はうなずけると思いますが、症状をこじらせてしまいますと回復までに相当時間がかかってしまい、長い間苦しみ続けなければなりません。肩周辺のインナーマッスルが疲弊して肩関節を正しい状態に維持できなくなってしまったからです。インナーマッスルはなかなか疲弊しない筋肉ですが、一度疲弊してしまいますと機能回復までに時間がかかってしまいます。
 加齢によって手指の第一関節が腫れ上がり、やがて指先が曲がった状態で固まってしまうヘバーデン結節は、やはりインナーマッスルのこわばりと縮みが原因です。その状態が固定化しますと、元の状態に戻すのは難しくなります。
 足の指先が曲がっている人は長母趾屈筋、長趾屈筋というインナーマッスルがこわばった状態です。つまり修正して素直な状態に戻すのに時間と手間が掛かるということです。そして、こういう人はたくさんいます。
 ですから毎日のセルフケアとして是非、長趾屈筋をほぐす指圧をしてください。

長趾屈筋へのセルフケア

下腿と足の筋肉_背面


 長趾屈筋はふくらはぎの裏面、最も深い部分にある筋肉です。皆さんがふくらはぎの筋肉を触ったときに“太さ”を感じる筋肉は表層にある腓腹筋(ひふくきん)です。その深部にヒラメ筋という丈夫な筋肉があります。普通はここまでしか触れませんし、“ふくらはぎマッサージ”の対象となるのもここまでです。
 しかし、ほぐしたい対象はその奥にあります筋肉です。スネ骨(脛骨)の内側から裏面を触るように手を滑り込ませるようにアプローチしますが、最初は周りの硬い組織やヒラメ筋が邪魔してなかなか長趾屈筋に触れることができません。それでも粘り強く続けていますと、やがてかたくなった筋肉をとらえることができ、それを指圧すると強い痛みを感じると思います。その痛みに耐えながら指圧を続けていますと少しずつ少しずつ柔らかくなり、「イタキモ(痛いが気持ちよさもある)」状態が訪れるようになると思います。
 膝下に近い部分はなかなか難しいかもしれませんが、足首の上、アキレス腱のところでは筋肉を捉えやすいと思います。しかし、そこには脂肪組織をはじめ筋肉以外のものもありますので、「そのさらに奥にある硬いもので押すと痛みを感じる」ものが長趾屈筋です。
 筋肉を捉えたら骨に押しあてるよう指圧するのが効率的かもしれません。この筋肉のこわばり状態が良くなりますと2~5趾先が少し伸びたように感じたり、あるいは温かく感じたりすると思います。日々のセルフケアとしてここまでやっていただきたいと思います。するとある時から変化が現れだし、太股が柔らかくなったり、脚のむくみが良くなったり、上半身の伸びが良くなったことを実感するようになると思います。


足つぼ・整体 ゆめとわ
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「腕を前に出そうとすると背中が痛む」「車のハンドルを握っていると腕~背中にかけて重たさを感じ、すぐに疲れる」など腕の動作を行うと背中にかけて重たさや痛みを感じる時は、菱形筋という肩甲骨内側の筋肉がこわばっている可能性が高いです。

菱形筋の「こ」と「ゆ」

 菱形筋は小菱形筋、大菱形筋に分けられますが、ともに背骨から出発(起始)し、肩甲骨の内側に付着(停止)しています。収縮することで肩甲骨を背骨の方へ引き寄せる働きをしますが、反対に伸びる(弛緩伸張)ことで肩甲骨の自由な動きを可能にする働きをしています。肩甲骨の動きと密接な関係がある筋肉の一つ(正確には二つ)です。

 二足歩行の私たちは他の四つ足哺乳動物たちとは違って、手や腕を歩いたり走ったりするためにではなく、いろいろな手作業のために使っています。そのために上肢(腕と肩)はとても大きな可動域を持っていますが、それは肩甲骨の動きがあるから可能になっています。

 からだの仕組みとして、もし肩甲骨が動くことができなければ私たちは最大限90°までしか腕を上げることが出来ません。肩(肩峰)と腕(上腕骨頭)がぶつかってしまうので、それ以上動かすことができなくなります。しかしながら実際には腕を真上まで上げることが出来ますが、それは肩甲骨が上方に回旋することによって可能になっています。(https://www.youtube.com/watch?v=CH3UZgg_lCM
 また反対に背中で手を組むなど、腕を背中側にグッと回し込むことができますが、それは肩甲骨が下方に回旋することができるので可能です。また、手の先にあるものを掴むために腕をグッと前に伸ばしますが、それは肩(肩甲骨)が前に出る(前方突出)ので可能です。
 ラジオ体操や準備体操やストレッチ運動は心地良いものですが、そこには普段あまり動かしていない筋肉を動かすことによる心地よさが含まれています。大きく腕を動かす動作は肩甲骨を最大限に動かす動作と言い換えることもできますが、肩甲骨を積極的に動かすことは心地良さをもたらす効果があると言うことができます。
 ところが時々、肩甲骨を動かすことを好まない人がいます。ラジオ体操は嫌いで、ストレッチや運動は面倒だと感じてしまう人は、怠惰という性格的なものもあるかもしれませんが、からだが運動を望んでいないという場合もあります。その理由の一つとして肩甲骨の動きをサポートする筋肉の状態が悪いことがありますが、今回はその中の菱形筋について考えてみます。

菱形筋のこわばりが背中に痛みをもたらすケース
 筋肉がこわばった状態とは、筋肉が収縮したままで上手く伸びることができない状態であると言い換えることができます。そして、こわばった筋線維は「硬くなって太くなる」という特徴もあります。例えば、日々パソコンを操作したり、重たいもの扱う仕事をしている人は手や腕の筋肉がこわばりますが、腕をグッと力強く掴んだり、押したりしますと深部に硬くなった筋肉を感じます。そして、さらに圧力を増やしますと痛みを感じると思います。つまり、こわばった筋肉は圧力を加えると痛みを発する(圧痛)という仕組みになっていますし、伸ばそうとしますと痛みを発する仕組みになっています。

 菱形筋は肩甲骨を背骨に近づける働きをしますので、菱形筋がこわばっていますと、常に、肩甲骨を背骨の方へ引きつける力が働き続けていることになります。そして菱形筋は硬くなり太くなりますので、肩甲骨の内側が厚ぼったくなり、布団に背中を付けることに違和感や不快感を感じるようになるかもしれません。「横向きでないと眠ることができない」理由の一つになります。
菱形筋と前鋸筋の「こ」による背中の痛み

 さらに、パソコン業務や腕を使う仕事を行っている人は前鋸筋がこわばって肩甲骨が外側に引っ張られる状態になっている場合が多いのですが、そうなりますと菱形筋のこわばりによって肩甲骨は背骨側に引きつけられているのに、一方で前鋸筋によって背骨から離れる方向に引っ張れるという状態になってしまいます。肩甲骨を介して菱形筋と前鋸筋が綱引きを行っているような状態です。こうなりますと菱形筋のこわばりは更に強くなりますので、肩甲骨が身動きのとれない状態になってしまったり、じっとしているだけでも背中(菱形筋)が重たく窮屈で、痛みを感じてしまう状態になってしまいます。

肩関節の屈曲動作

腕を前に出すと背中が痛む‥‥大菱形筋のこわばり
 「車を運転すると背中~腕にかけてだるくなり疲れる」「普通に座っているだけなら大丈夫なのに、食事をしたり、手作業をしたり、パソコンをすると腕や背中がつらくなる」といった場合は、二つある菱形筋の下方、大菱形筋がこわばっている可能性が高いと考えられます。
 車のハンドルを掴む姿勢、食事で茶碗を持ち上げたり、手作業で手を前に出すなどの動作では、肩甲骨が少し前に出て上方回旋する必要があります。そのためには大菱形筋が伸びなければなりませんが、筋肉がこわばっているために伸びにくかったり、縮む方向に力が働いていますと肩甲骨が上手く動いてくれなくなります。そのため、ハンドルを掴む姿勢は腕から背中にかけて負担が掛かり、茶碗を持つ姿勢は肩が前に出ないのでロボットの動作のような感じになってしまいます。手を前に出して行う作業は辛さをもたらすことでしょう。

大菱形筋がこわばる理由
 トレーニングジムなどで器具を使い、負荷をかけながら肩甲骨を引く(後方牽引)などの運動をしますと菱形筋がこわばる可能性はありますが、日常生活での動作で大菱形筋や小菱形筋自体がこわばることはほとんどないと思います。
 ですから大菱形筋がこわばっているのは、他の要素との関係や他の筋肉との連動関係でこわばっていることがほとんどであると言えます。そして筋肉の連動関係では、大菱形筋は大腰筋、大内転筋などと密接な関係があります。

大菱形筋と大内転筋と大腰筋

 大腰筋は腰痛に関係するインナーマッスルですが、普通の日常生活でこわばる可能性としては、骨盤(股関節)や脊椎がずれていることが挙げられます。大腰筋は腰椎の腹部側から始まり股関節の大腿骨(小転子)に繋がっていますので、大腿骨が下がったり、あるいは腰椎が上方へずれますと骨と骨の間が本来より遠くなりますので、筋肉が張ってこわばります。実際、大腿骨が股関節で下がってしまうことはよくあることです。(整体院で「脚の長さが違いますね~」などと言う時など)
 この場合は片側の大腰筋がこわばりますので、大菱形筋も片側がこわばり背中のどちらかが違和感や痛みを感じることになります。また、腰椎が上にずれる場合で多いケースは頚椎が捻れているときなどです。右眼ばかりを使っている人は、右眼を動かす外眼筋がこわばりますが、それは頚椎と肩甲骨をつなぐ肩甲挙筋のこわばりへと連動し、同時に頚椎7番を右側に引っ張ります。その影響で胸椎も腰椎も不安定になり、上にずれてしまうことがあります。この場合は両側の大腰筋がこわばりますので、両側の大菱形筋がこわばることになり、両方の肩甲骨の動きが制限されることになります。
 実際、大菱形筋のこわばりを解消するためにコメカミを持続指圧して外眼筋のこわばりをゆるめ、頚椎を戻す施術はよく行っています。

 時々大内転筋がこわばっている影響で大菱形筋がこわばっている人と出会います。内股の人にその傾向は強いかもしれません。内股の人は内転筋のほとんどがこわばった状態になっていることが多いのですが、その原因を探っていきますと、足の外側(小趾側)が硬くなっていることが挙げられます。歩くとき足が「ハ」の字になってしまうので、小趾側が前に出た状態で着地してしまうからだと思います。母趾を除いた4本の足趾を曲げる筋肉に長指屈筋がありますが、この筋肉が大変こわばっていることが内股の人の特徴でもあります。

足の第4骨間筋と大内転筋

 そして足裏の4趾と5趾の間の筋肉(骨間筋)がとても硬くこわばっていますが、それが大内転筋のこわばりの原因だと考えられます。内股でなくても小趾側に重心がかかっている人は同様です。
 ですから大内転筋がこわばっている人に対しては、足裏の4趾5趾間をよく揉みほぐすことと長指屈筋を弛めることが対策になります。

 また、小菱形筋と大菱形筋は拮抗する関係になることがあります。例えば肩に重いショルダーバックをかけることが多い人は、肩甲骨の上部が外側に引っ張られるよう力をかけ続けられているわけですが、すると僧帽筋の上部線維と小菱形筋は疲弊して伸びた状態になってしまうことがあります。小菱形筋が機能不全に陥った状況になるわけですが、そうなりますと大菱形筋は小菱形筋の分まで頑張って肩甲骨の位置を保つように働くことになります。つまり大菱形筋は収縮し続けこわばった状態になります。

菱形筋が収縮できずに痛みを発する場合
 菱形筋のこわばりが背中の痛みにつながるケースについて説明してきましたが、それとは反対に菱形筋がゆるんで収縮できないために背中に痛みを発することもあります。
 腕を真上に上げて大きく背伸びする動作や、胸を大きく開いて肩甲骨を後ろに引く動作では菱形筋が収縮します。肩を回したり、胸を閉じたり開いたりする運動では菱形筋が伸びたり縮んだりするわけですが、菱形筋に上手く収縮できない部分(筋線維)がありますと「余分な肉が余ったような状態」になってしまい、縮めない状態なのに無理やり縮めようとするので痛みを発するという状況になります。

菱形筋と僧帽筋の「ゆ」による背中の痛み

 先日、菱形筋を“寝違えた”ように損傷してしまった人が来店されました。損傷によりこのような状態でしたが、その他にも、過去に太股の裏側を肉離れして大内転がゆるんだままであったり、腰が悪くて大腰筋が上手く働かないために連動する大菱形筋が上手く収縮できない状態になっているなどということもあります。

 菱形筋の問題が原因で背中が痛くなるケースはそれほど割合が高いというものではありません。(肩甲骨の内側が痛いという場合は、前鋸筋の問題が原因しているケースが多い)
 しかしながら「腕を動かすと腕や背中が重い」、「手を前に出しているのがかったるい」という場合は菱形筋が原因となっている可能性が高いと思います。
 そして再度申し上げますが、菱形筋自体を使いすぎてこわばってしまうことは普通の日常生活の中ではほとんどないと起こらないと思います。菱形筋がこわばっている原因のほとんどは、足や股関節や腰などの問題だと考えられます。そうであるならば、腕や背中が辛いからといって腕や背中をマッサージしたところで解決にはつながりません。それよりも足裏やふくらはぎを念入りに揉みほぐしていたら背中の問題が解決するかもしれません。腕を動かすことがかったるいと思われる方は、足裏やふくらはぎのマッサージを試されてみてください。


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