ゆめとわのblog

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カテゴリ:体力・免疫力 > 血流(循環)

 骨盤前面の中央には恥骨結合という頑丈な関節があります。

 この恥骨結合が硬直化しているのか、左右の恥骨間が狭くなっている女性がたくさんいます。
 恥骨および恥骨結合と鼡径部は股関節や骨盤前面の血液やリンパの“流れ”の要になる部分ですので、上半身と下半身の流通を快適に保つためにはとても大切です。
 そして、恥骨と恥骨結合は思いの外、重要な役割を果たしているようです。今回は、恥骨結合を中心にした話題です。

 例えば電車に乗って座った時、男性の多くは股間について殆ど意識しないと思います。隣の人に迷惑を掛けないように意識するかもしれませんが、膝の間が開かないようにと意識することはほとんどないと思います。
 ところが女性は、スカートを履いていることが多いせいなのか、無意識的に股間を締めて膝が開かないようにしているように察します。電車だけでなくオフィスでも、レストランなどでも同じかもしれませんが、このような行動は自然と太股の内側(内転筋群)に力を入れる体勢ですので、自ずと左右の恥骨間は狭くなり、恥骨結合が硬くなってしまう原因になると思われます。

恥骨結合と内側広筋

 太股前面には有名な大腿四頭筋(だいたいしとうきん)がありますが、その中の一つ、内側広筋(ないそくこうきん)が太く硬くなっている女性がたくさんいます。筋肉はこわばって常に収縮している状態になりますと硬く太くなりますので、膝の内側が太くて硬いと感じている人は内側広筋がこわばっている可能性が考えられます。

 そして太股の内側には大伏在静脈が通っていますので、内側広筋やその他の内転筋がこわばった状態になりますと膝関節での静脈血の流れもわるくなり、膝周りがむくんだ状態になりやすくなります。
 体型的には痩せているのに、膝周りがスッキリしなくて、太股の内側が太いと感じている人がいますが、その原因は内側広筋や内転筋群のこわばりによる可能性が高いと思われます。そして内股の人にこの傾向は強いかもしれません。

1)内股と内側広筋

 内股の人の最大の特徴は太股内側にあります内転筋群や内側広筋が強くこわばっていることです。そのこわばりは非常に頑固な状態、つまり形状記憶のような状態になっていますので、筋肉に変調のない普通の状態に戻すことに時間と労力がかかります。

 私は内股の人に対して「どうして内股になってしまったのだろう?」「どこを調整すれば内股状態が良くなっていくのだろうか?」と考えるときに、着物や浴衣を着た状態での動作をイメージして下半身各部の使い方を思い浮かべています。
 そうしますと、例えば歩くときには靴を履いて、大きな歩幅でさっそうと歩く姿は想像できません。小股で主に膝から下を使いながら、足はつま先側が狭くなった「ハの字」型で、小趾側を前に出しながらつま先から着地するような、ツンツンと突っ込むような歩き方が頭に浮かんできます。(音をたてない「忍び足」ができない歩き方です。)
 両膝は少し内側を向き合い、擦れるようにして膝を前に出すようになりますので、内側広筋がたくさん使われるようになります。それは内側広筋がこわばる理由の第一ですが、さらに、股(恥骨結節)を締めるようにして動きますので、左右の恥骨間は狭まった状態になります。骨盤も狭くなりますが、恥骨結節も硬くなります。そして、それが内側広筋のこわばりを頑固な状態にしているのではないかと考えています。

参照‥‥内股について

2)腰椎椎間板ヘルニアと内側広筋

 腰椎椎間板ヘルニアは坐骨神経痛を伴う腰部の疾患ですが、MRI診断などで発症部位は特定することができますが、その原因を探し出して(手術以外の)効果的な治療を行うことは難しいようです。
 「第4腰椎と第5腰椎の間が狭くなって、椎間板が潰された状態ではみ出し、神経を圧迫している」というのが一番多いのかもしれませんが、では、「どうしてその椎間が狭くなってしまったのか? どうすれば椎間が拡がるのか?」という問いには、医学はなかなか的確な答えを出してくれないようです。

 さて、私が知る限り、同じ椎間板ヘルニアでもいろいろなケースがありますが、今回のテーマに関連してのケースを紹介いたします。

 腰椎が軽く側弯状態になっていて、それが椎間板を扁平させる原因になっていることがあります。
 腰椎椎間板ヘルニアの症状の多くは坐骨神経痛です。
 坐骨神経は第4、第5腰椎と仙骨の椎間を通って骨盤の中に入り、そして殿部から再び表に現れて太股の裏を下方に降りていく太い神経ですが、この神経が圧迫されるなどの理由で異常な状態になりますとシビレ、痛み、筋肉の異様なこわばりなど坐骨神経痛の症状が現れます。

 腰椎を側弯状態にする原因としまして、腰部筋肉のこわばりがあります。骨盤と腰椎にに関係する筋肉としましては、脊柱起立筋群、腰方形筋、外腹斜筋、内腹斜筋、大腰筋などがあります。

 例えば右側の内腹斜筋がこわばります(常時収縮状態)と右側の胸郭と骨盤の間が左側に比べて狭くなります。
 (左側を下にして)横に寝転びながら左手で頭を支えてテレビや雑誌などを見る姿勢では背骨が「Cの字」型に歪みますが、右側の内腹斜筋がこわばりますと同じような状態になります。そうなりますと腰椎の椎間は右側が狭くなりますので、椎間板が圧迫されて右側にはみ出す可能性が生じます。そして、それが神経を圧迫して坐骨神経痛の症状が現れるという理屈が成り立ちます。
 食卓に普通に座っている間は何も感じないけれど、食後、畳に横になってテレビを見始めると脚が重くなったり、シビレを感じたりすることがあるという人は、このような原理で坐骨神経痛が発症している可能性が考えられます。

 腰椎が「Cの字」型に歪んでいる場合、その原因の多くは筋肉の問題ですから、右側の内腹斜筋、外腹斜筋、腰方形筋などを整えますと、腰椎が真っ直ぐになり、ヘルニア状態は改善されて症状は消失すると考えることができます。
 ところが、それらの筋肉を整えても腰椎の側弯が僅かに残ってしまう人がいました。そしてその原因を追及していったところ、なんとかたどり着いたのが内側広筋のこわばりであり、恥骨の変位でした。
 右側の恥骨が僅かに浮いた状態になっていたために内側広筋がこわばっていたのですが、そのこわばりが腰椎の際の筋肉(脊柱固有筋群)に連動して、第3~4腰椎の右側が左側に比べて硬くなっていました。その部分は狭い範囲でしたが、キュッなっていて、硬い側弯状態をもたらしていたのです。
 浮いていた右側の恥骨を整えることで内側広筋のこわばり状態が解消したのですが、同時に腰椎右側の硬いこわばりも取れて、腰椎に余裕が生まれました。
 結局、この人に対しては右側の内腹斜筋を整え、内側広筋を整えることをしましたが、それで例の左側を下にして横になり、背骨が「Cの字」になる姿勢をしてもらっても、右下肢に何の異常や違和感も現れない状態を実現することができました。
 あらためて恥骨の大切さを感じた次第です。

恥骨の損傷による影響

 現在30歳前後のOさんは、子供の頃はおてんばだったようで、たくさんのケガを経験しています。そのケガの中に恥骨に関係する出来事は2つありました。
 一つは子供の頃遊んでいて転び、地面に正面から恥骨を強打したことでした。
 もう一つは鉄棒遊びをしていて、股(恥骨の下方)に鉄棒を強く強打したことでした。
 Oさんは親からのDVなどもあり、その影響でいろいろな症状を抱えています。
 その症状の一つに、どうしても首肩顔に力が入ってしまい、反対に腹部や下腹部には力が入らないために、肉体面での「頑張りが効かない」というものがあります。そして、それは恥骨の一つ目のケガ、正面から打撲したことに関係がありました。
 恥骨をそっと触りながら観察していきますと、右側の恥骨に骨膜がゆるんでいる部分がありました。打撲によって骨膜が損傷したのだと思います。
 骨膜は骨を包む筋膜ですが、骨に栄養を与えたり情報を与えたりする役割も担っていますので骨の生育や在り方にとって重要です。骨折した場合、骨が元の状態にもどったとしても骨膜が損傷したままだったり、捻れていたり、皺が寄っているように感じられるままだったりする場合があります。 そのような状態では関係する筋肉は十分に力を発揮することができません。そして、その状態は自然治癒することなく何十年経ってもそのままになっていることが多々あります。強い捻挫などによる靱帯の損傷も同じような感じですが、痛みがなくなると「それで大丈夫」と考えられているようです。しかし、それでは不十分です。ですから、骨折や捻挫は、形だけでなく機能が正常に戻るまでしっかりと直す必要があります。

 話をOさんに戻しますが、その恥骨の骨膜が損傷していると思われる部分に手を当ててケアをしますと、顔から力が抜け、首肩の筋肉もゆるみ、だるさを感じて力が入りにくいと訴えていた手や腕にも力が入るようになりました。
 恥骨に関係する、例えば腹筋や骨盤底筋などの働きが良くなったために体幹がしっかりするようになったのだと思います。

 二つ目の恥骨下方の損傷につきましては、さすがに私は手をあてることはできませんので、Oさん本人に手を当てていたでき、私が言葉で指示しながらセルフケアをしていただきました。Oさんの右目は瞳が少し内に向いてしまう斜視だったのですが、恥骨のケアをしていただきますと、その斜視が改善されていきました。本人もビックリしていましたが、希望の光が灯った瞬間でした。
 このことについての原理は、まだ私にはわかりませんが、恥骨と恥骨結合の大切さを再認識した現象でした。
 

恥骨結合へのケア

 ガニ股の人を除いて、多くの人は恥骨結合が硬くて左右の恥骨間が狭まっていると思いますので、硬くなった恥骨結合をゆるめ、恥骨および骨盤をゆったりさせる目的のケアを紹介させていただきます。

 お臍に手をあてて、その手をゆっくり下方に降ろしていきますと恥骨の手前で骨の存在感を感じることができます。それが恥骨であり、右と左の対になっています。そしてその間に恥骨結節がありますが、ご自分でケアされるなら直接的に恥骨結節に手を当ててゆっくりそっと持続的な指圧を行うことで恥骨結節の硬さをゆるめることができます。あるいは、恥骨結節を直接触るのはなく、左右の恥骨に手をあてて、そっと、しかししっかりと両手を1㎜くらい拡げる感じで、縮んでいる恥骨結節を伸ばすようにゆるめてもよいかと思います。

 私が施術で行う時は、深く恥骨結節を触ることはしませんので、恥骨と恥骨結節の上辺に手をあてて行っています。
 どのくらいの時間、手を当てていればよいかということに関しましては個人差がありますので、それぞれ「適当な時間で」という答えになってしまいます。
 人によっては最初の2~3分間はほとんど変化を感じることもなく、その後次第に内側広筋や内転筋やふくらはぎの筋肉から力が抜けていくのが感じられ、さらにケアを続けていますと全身がゆるんで脚もほっそりし、お腹がゆるんで胃の調子も良くなったりすることもありました。

 セルフケアにとって大切なことは、心を静かにして集中(フォーカス)することです。私は実際、その部分の細胞に語りかけるような気持ち、細胞の言葉に耳を傾けるような集中力で施術を行っていますが、“手当て”とはそういうものだと思います。
 ですから、テレビやスマホを見ながらだったり、何か別の考え事をしながらだったりでは、セルフケアの効果はまったく望めないと思います。願望みたいな邪心があっても効果は薄いと思います。
 最初は、なかなか効果が実感できないかもしれませんが、自分のからだを心の底からいたわる気持ちで毎日粘り強く行っていただければ、コツがつかめると思いますし、必ずやからだから何らかの反応が返ってくると思います。

 また、例えば出産後のケアが不適切だったりして、恥骨結合や仙腸関節がゆるんだまま戻らず、骨盤が不安定になって様々な症状が現れてしまっている人もいらっしゃると思います。この場合は、「ゆるめるケア」ではなく、「締めるケア」「機能を回復させるケア」が必要です。
 本当に軽い力で恥骨結節にソーッと手を当ててじっくりエネルギーを注入するようなイメージでケアを行うようにしてください。ケアが上手くいきますと、ズーンと重苦しさを感じたり、からだの別の部分が反応したりする状態が訪れるかもしれません。嫌な感じでなければ、ケアを保持しながらその状態をじっくり観察してください。大切なことはフォーカスを途切れさせないことです。するとやがて、ズーンという感覚やその他の反応も自然とおさまっていくと思います。そのようなことを何回か繰り返していれば恥骨結節は能力を回復して、骨盤がしっかりすると思います。

恥骨と鼡径部

 長年仕事をしていますが、恥骨や恥骨結合に着目するようになったのは最近のことです。それまでは、例えば下半身のむくみに関しては「鼡径部の流れ」を中心に腸腰筋や大腿部の筋肉を調整することに主眼をおいていました。
 ところが恥骨と恥骨結合に着目し、それらを調整することで、もっと大きな効果を期待できることがわかりました。
 ですから新たな認識として、むくみのないスッキリとした下半身を実現するためには、恥骨、恥骨結合、鼡径部に主眼を置くことが重要で、加えて骨盤全体の在り方も大切だということが言えると思います。


 膝の内側が太くなって、膝周りがスッキリしていない人はたくさんいます。それは骨格の歪みだったり、内転筋や内側広筋のこわばりが原因であることはわかっていました。ところが内側広筋のこわばりを合格レベルまで解消することはなかなか難しいことでした。
 しかし、恥骨と恥骨結合のことを知ってからは、一つの壁をクリアした感じがします。

 骨盤は、私たちのからだの基礎です。その骨盤が窮屈な状態では、私たちの生理機能は十分な状態であるとは言えません。しっかりしながらも、ゆったりとしている骨盤の在り方が理想だと思います。そしてそのためには、今回取り上げました恥骨と恥骨結合、骨盤後方の仙腸関節、そして会陰と称される骨盤底の在り方が重要だと私は考えています。

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「冷え症」でつらい思いをしている女性はたくさんいますが、同じ「冷え」でも体の健康にとって、もっと注目して気をつけていただきたいものは「低体温」です。
 私たちの体の深部体温は37℃を基準に±1℃の範囲におさまるよう厳密に体温調節がなされています。
 からだを病原菌などから守る免疫力は、体温が35℃台に低下しますと能力を十分に発揮することができなくなり、病気になりやすくなると云われています。また、食物の消化吸収や細胞の新陳代謝などに深く関わっている酵素などの働きも極端に低下してしまうと云われています。
 現在、老若男女を問わず低体温の人が多くなっているということです。低体温を放っておきますと病気になる危険性が高まりますので十分に注意しなければなりません。
 若い女性に増えている婦人科系のさまざまな問題には低体温が関係している可能性が考えられます。

からだの冷えの3つのタイプ

①手足などの「冷え症」だが、深部体温は大丈夫
②手足は温かく「冷え症」だと思わないが、低体温
③「冷え症」でもあり、低体温でもある


冷え症は低体温にならないための体の仕組み

 私たちの体温は、からだが食物の力や筋肉の働きによって熱を産み出し、その熱を血液の流れに乗せてからだの隅々まで配ることによって保たれているということです。
 「冷え症」に直接関係するのは毛細血管とそれより少し太い細動脈・細静脈と呼ばれる血管です。冷え症の人は手先や足先が冷たくなる場合が多いのですが、手指の毛細血管は皮膚(深さ0.2㎜位)の位置にありますので外気温の影響を大きく受けます。細動脈・細静脈は皮膚の下(深さ1㎜位)にありますので外気温の影響をあまり受けないようになっています。
 冬場など外気温が低くなりますと、からだは37℃という深部体温を維持するために血液の温度を下げないように働きます。具体的には、体表の毛細血管に流れる血液の量を大きく減らすのですが、それは自律神経(交感神経)の働きによるものです。毛細血管への血流量が減りますので、皮膚の細胞の働きは鈍くなりますし温度も低くなってしまいます。ですから「冷え」という辛い症状が現れてしまうのです。


 多くの人が実感している「冷え」は先の項目の①のタイプかと思いますが、それは四肢(手足)を犠牲にしてでも内臓や脳を守ろうとするからだの防御システムが正常に機能している現れであるともいえます。
 ②のタイプは、これとは反対になりますが、自律神経(交感神経と副交感神経)の切り換えが上手くできないので体表の毛細血管にどんどん血液が流れます。そのため表面はポカポカしますが、深部の体温が奪われていき低体温になってしまう可能性が高まります。これは本人に「冷え」という自覚がないだけに、十分注意する必要があります。
 寒いときでも「私の手はポカポカしているから、冷えとは無縁」と考え、自慢気に思っている人が時々いますが、とても危険だと私は思います。

 ③タイプの人は高齢者に多いかもしれませんが、このような人は基本的に熱不足だと思います。後の項目で体熱の産生について説明いたしますが、食事と運動を増やす必要があります。ただ、②の人と違って本人に自覚があると思いますので、その分だけ安心かもしれません。

低体温にならないために――お腹を冷やさない

 からだの深部(お腹)に熱が足りなくなるので手足や皮膚表層への血流を止めてでも内臓と脳の働きを守ろうとするのが私たちのからだに本来備わった仕組みです。ですから、これを反対から考えますと、お腹に熱が十二分にあれば、その熱は手足や皮膚表面に回ってくるということになります。
 運動をしているときは筋肉がたくさん働きますので、外気温が低くても汗が出るほど温まります。また、温かい食事や香辛料の入った食事をしているときは、内臓が刺激されて温まりますので、やはり体中がポカポカしてきます。ここに冷え対策のヒントがあります。
 からだの熱は主に肝臓と筋肉の働きによって産み出されます。ですから、食事と運動が大切になってきます。ふくらはぎの筋肉を鍛える運動(スクワットなど)は効果的だと言います。

 冷えを感じる人はからだを温める食材を選んで食べるようにしましょう。冷たい飲み物やアイスクリームには気をつけましょう。適度な運動によって筋肉をつけ、筋肉をしっかりさせることを目指してください。筋肉がしっかりした状態であれば、それほど運動をしなくても熱をつくってくれます。そして積極的にお腹を温める工夫をしてください。手足を温める以上にお腹を温めることを考えてみてください。これが冷え症克服の鍵だと思います。

体熱‥‥低体温に注意

 私たちの体温(平熱)は36.5℃前後に保たれていますが、それは体の生理機能が潤滑に順調に働くためです。風邪など引いて、これより1℃高くなりますと体がだるくなり違和感を感じることは誰もが経験していることです。また、平熱が35℃代になりますと低体温となり、自覚がない人もいるかもしれませんが、やはり体の機能が不完全な状態になってしまいます。


 ところで、腋の下や口の中で計る平熱は36.5℃かもしれませんが、内臓や脳などの深部体温は37℃に保たれています。私たちの内臓では、消化・吸収・代謝という化学反応が常に行われていますが、それは体内の酵素の働きによってまかなわれています。そして酵素は37℃の温度がないと効率よく働くことができません。深部体温が36~34℃の状態になりますと、猛烈に寒く感じてからだが震え出すといいます。からだが震えるのは、それによって筋肉を動かし、熱をつくろうとするからだの自然な防衛反応です。
 また“冬山で遭難して凍死した”という話題が時々でますが、“凍死”と言いますと体が凍ってしまったというイメージだと思います。ところが実際は凍らずとも体温が20℃くらいになってしまうと死に至ってしまいます。ですから、低体温には十分に注意しなければなりません。

体熱の産生(それぞれの数値は資料によって異なるため、参考値として)

 さて体温はどのようにしてるくられるかという話に移りますが、体熱の85%は筋肉の働きによるものだとも言われています。運動すると体温が上がりますし、汗をかきますので、筋肉を働かすことによって体熱が生み出されていることは容易に想像できると思います。しかし体熱の85%をも、筋肉がまかなっているとは、私もはじめて知ったときはビックリしました。
 一般に女性は男性に比べて寒さに弱い傾向にありますが、その理由は女性の筋肉量が男性に比べて少ないからだということが理解できると思います。
 また、冷えに負けないからだになるためには、筋トレなどをして筋肉量を増やすことが有効だということ理屈になりますが、実際、筋トレによって体熱アップの効果を実体験された人を知っていますので、それは間違いのないことだと思っています。


 安静時(寝ているときなど)の熱産生量をみますと、ほとんど働いていないはずの骨格筋(からだを動かす筋肉)が、なんと38%と一番多く熱を産生しています。ここにも低体温になるかどうかのヒントが隠されています。
 私は、働きが悪い状態(ゆるんだ状態)の筋肉を整えるとき、そっと手を当てるだけの施術を行います。すると速やかに筋肉の状態が良くなりますが、それだけで「からだが温まってきた」と多くの人が言います。筋肉を揉んだり動かしたりしているわけではなく、働きの悪い状態を修復し、筋肉が正常に働くことのできる状態に整えるだけで自然と熱は産まれてくるのです。安静時でも骨格筋が一番多く熱を産生している理由がここにあります。
 ですから平熱が35℃代の人は、筋肉トレーニングによって筋肉量を増やすことも一つの手段ですし、整体的手法によって筋肉の状態を整えることも手段の一つです。そして、こちらの方が素速く効果を期待することができますし、楽だと思います。

 また、肝臓・消化管・腎臓といった内臓も熱をつくっていますので、食欲の旺盛な人はからだが温かいということもうなずけます。

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 太股やふくらはぎなどの静脈が膨れあがってミミズが這っているように見えてしまったり、足首周辺の静脈までも膨れて紫色になってしまうのが下肢静脈瘤が進んだときの特徴です。着圧の靴下やサポーターが症状の進行を防ぐために「効果的かもしれない」ということで、病院などでも使用を薦められているようです。ところが進行してしまった下肢静脈瘤に対しては効果は期待できないのが実態かもしれません。
 下肢静脈瘤は、症状が悪化しますと手術を薦められ、あるいは見栄えを良くするための手段として手術を選択する人もいます。ところが「なぜ下肢静脈瘤になってしまったのか?」という根本的な原因が解決されなければ再び症状が発症してしまう可能性は残されたままになってしまいます。

 「手術を行った後は、予防措置として着圧靴下などでふくらはぎや足首などを圧迫しておけば症状の再発は防ぐことができる」という考え方もできるかもしれませんが、この方法では圧迫し続けることによる弊害という別の問題が生じます。

 ところで、「どうして下肢静脈瘤になる人と、ならない人がいるのか?」
 この極めて素朴な疑問に医学はどう答えるのでしょうか? 医学は原因を追及して下肢静脈瘤になる人が少なくなるように知らしめる必要があると私は思うのですが、どの病院のホームページを見ても、手術や処置のことばかりで、私たちが知りたい「肝心なこと」に対する対応は見受けられないようです。

 現在、下肢静脈瘤の症状をもった人が数人来店されています。中でも印象的な人が3人いらっしゃいます。高齢者でかなり症状が進んでいますがその他のこともあって手術が受けられない人、すでに手術を受けて表向きは静脈瘤が改善されているように見える人、妊娠してから静脈瘤と脱腸と下肢の痛みを発症した妊婦さんです。 

下肢静脈瘤と皮下筋膜の関係

骨と筋肉と筋膜と皮膚の構造イメージ

 筋肉など軟部組織と骨格の構造を簡単に申しますと、一番表層に皮膚があり、その下層に筋膜(皮下筋膜)があって、その下層に浅層筋や深層筋に分類される筋肉があります。そして、一番奥に骨膜にくるまれた骨があります。
 下肢静脈瘤で問題になる静脈は大伏在静脈や小伏在静脈など皮膚と皮下筋膜との間を走行している表層の静脈です。静脈というのは血管ですから、下肢静脈瘤は直接的には血管自体の問題です。しかし、その血管が皮膚と皮下筋膜の間に存在しているということは、静脈と皮下筋膜とには深い関係が存在すると、整体的にはそう考えます。

下肢静脈瘤に関係する主な静脈

 骨格と筋肉と皮下筋膜の関係を簡単に説明することは難しいのですが、一つの在り方として、皮下筋膜は筋肉の働きを支えるサポーター的な役割をしています。
 例えば足首を捻ってしまい軽い捻挫状態になったとします。この状態では足首を安定させる靱帯が伸びてしまったために足首がグラグラして不安定になります。すると足首周辺の筋肉が上手く機能しなくなりますので、普通に歩くことが困難になってしまったり、痛みを感じるようになってしまったりします。こんな時にはテーピングをしたり、サポーターをして足首の不安定な状態を補助することがありますが、それによって足の筋肉が働ける状態になって歩くことができるようになります。つまりこの時使用するサポーターなどは筋肉の働きを手助けする役割をしているわけです。
 皮下筋膜はこのサポーターのような働きもしています。皮下筋膜がしっかりしていることで、内部の筋肉と骨はその位置を正しく保持することができますし、筋肉は持てる力を発揮することができて動作をスムーズに行うことができるようになります。
筋膜がゆるんで筋肉が緊張

 太股の筋肉は骨盤から大腿骨に繋がっています。そして骨盤と大腿骨と筋肉全体を覆うように皮下筋膜がサポーター的な働きをしていますが、この皮下筋膜がゆるゆるな状態になってしまいますと筋肉の働きをサポートすることができなくなります。すると筋肉は通常よりも収縮力を強めて骨格を支えなければならなくなります。それは太股筋肉の慢性的な緊張状態を招き、慢性的に痛みを伴う状態を招きます。立っているだけで太股が辛くなったりします。
 ふくらはぎの皮下筋膜がゆるんだ状態では、椅子に座っているだけでふくらはぎが辛くなります。重力から解放される寝た状態が、唯一辛さを感じない状態になるかもしれません。

 下肢静脈瘤の人に対する対処法として着圧の靴下やサポーターを履く方法がありますが、その効果の一つは、ゆるんで働きの悪くなってしまった皮下筋膜に替わって筋肉と骨格を支える役割だと思います。“着圧”は血行を悪くするという意味で“就寝時は止めたほうがいい”と私はアドバイスしていますが、皮下筋膜の働きを補うという意味で昼間の活動時間帯は履いた方が良いと私も思います。

 もし、素足でいるよりも靴下やストッキングやスパッツを履いている方が“落ち着く”という感じになるのであれば、それは皮膚や皮下筋膜がゆるんでいて働きが悪いのかもしれません。今は下肢静脈瘤とは無縁だと考えているかもしれませんが、皮膚や皮下筋膜のゆるんだ状態が長引きますとやがて下肢静脈瘤になる可能性は高いと思います。
 もし、太股やふくらはぎを何かで軽く締め付けた状態の方が解放されている状態よりも“安心する”と感じるのであればそれは悪い兆候だと考えられます。対処することをおすすめします。
 (但し、冷え対策のために温めるものを履いている方が心地良い、というのは別です)

皮下筋膜の調整
 整体の一つの手法として「筋膜リリース」があります。これは筋膜を直接操作してからだを整えるという整体法のようです。私は今回「筋膜」について取り上げていますが、それは筋膜リリース法とは全く関係がありません。「筋膜」という耳慣れない専門用語が同じということで混同される人が多くいますが、内容は全く異なります。

 さて、筋膜には骨や筋線維や筋肉などを包む膜(骨膜、被包筋膜)と内臓を包む膜(胸膜、腹膜)と皮膚の下層にあって全身をシート状に包む膜(皮下筋膜)があります。下肢静脈瘤に関係するのは主に皮下筋膜になりますが、何故なら皮膚と皮下筋膜の間に下肢静脈瘤で問題になる静脈があるからです。(大伏在静脈・小伏在静脈など)
 ふくらはぎや足は心臓から遠く離れていることから、静脈の還りが悪くなりやすく停滞しやすいという見解があります。それも理由の一つかもしれませんが、静脈自体「自身の力では血液を流すことができない」という理由の方が影響力が強いと私は考えています。静脈の血管は、自ら収縮する力は非常に弱いので、血液を流すためには周囲の筋肉の働きを利用しなければなりません。それは“乳搾り(=ミルキングアクション)”のような原理です。下肢の静脈には血液の逆流を阻止するための弁があります。例えば歩くことによって足首が動き、ふくらはぎの筋肉が収縮と弛緩を繰り返しますが、すると静脈は圧迫されたり、解放されたりする状態になります。それはミルキングアクションの仕組みであり、それによって中の血液が前に前にと進むことになります。

ミルキングアクション

 ですから事務仕事などで一日何時間も座り続けているようですと、あるいはずっと立ちっぱなしの仕事ですと、このミルキングアクションがおろそかになりますので、次第にふくらはぎや足周辺に静脈血やリンパが溜まってしまい、夕方にはむくみのひどい状態になってしまったりします。
 さて、下肢静脈瘤の原因として「静脈弁が壊れてしまって血液の逆流が起こり血管が膨れあがる」という見解があるようですが、私は素直に同意できません。
 「果たして静脈弁が壊れるだろうか?」 「壊れる」のではなく「機能が低下している」ということなのではないかと私は思います。「機能が低下している」と考えるのであれば、「機能を向上させる」という考え方につながります。
 そして私は皮下筋膜の働きや状態が悪いことによって皮膚も含めて静脈の血管がゆるんでしまい、静脈弁が上手く機能できない状態になってしまうのではないかと考えています。
 筋膜は骨格や筋肉の位置を本来の状態に保持し、腹膜は内臓の位置を本来の状態に保持するために働いている申し上げましたが、同様に皮下筋膜は静脈の位置と在り方を本来の状態に保持する働きもしていると考えています。

 ここで、実際にどういう考え方と方法で皮下筋膜を整え静脈瘤に対応しているかについて説明します。

 まず50歳くらいの女性で少し前に静脈瘤の手術を受けた人です。この女性は子供の頃に右膝を脱臼した経験を持っています。膝から下が真横に曲がってしまうほどのひどい脱臼だったようです。小児喘息だった経験もあって常に呼吸状態が悪く、加えて右眼が光に弱く「涙目」で悩まされている状態です。下肢静脈瘤の症状も右脚の方が強かったとのことで、当然、右下肢の皮下筋膜はゆるんだ状態です。呼吸の悪い人に多いのですが、舌が下がっていて舌先は下の歯についている状態です。
 これらの症状や状態をもたらせている大元の原因は右膝脱臼により膝関節が少しずれていることです。ふくらはぎが太股の骨に対して外側やや後方にずれていて、さらに足首に向かってふくらはぎが内側に捻れています。この原因は子供の頃に経験した脱臼によるものですが、右膝内側の筋肉や靱帯が伸びてしまっているためにこのような状態になってしまったと私は考えています。そしてその損傷によるダメージがかなり強く、なかなか良い状態に回復してくれません。
 この女性は大腿部の皮下筋膜もふくらはぎの皮下筋膜もゆるんだ状態ですが、膝関節の状態を良い感じに戻しますと、つまり、ふくらはぎの骨を内側やや前方に移動して足首近くを外側に少し捻りますと、皮下筋膜の状態はすっかり改善しますし、舌も上がって呼吸と喋りが良くなり、涙目も改善します。ですから、なんとか膝関節が良い状態になるように、ダメージの残っているところを施術し続けるようにしています。最初に来店されてからそろそろ1年になりますが、今は静脈瘤の兆候は全くありません。来店当初は着圧靴下なども使用していましたが、今は使用しなくても大丈夫の状態です。

 次に30歳代で妊娠中の女性です。妊娠6ヶ月で来店されましたが、当初の目的は「脱腸をどうにかしたい」というものでした。左の鼡径部の辺りが脱腸状態でしたが、左ふくらはぎの内側と左足首の内側はかなり激しい静脈瘤を発症しています。その他には噛みしめる癖と手を握ってしまう癖が強く、毎朝起きると強い頭痛に悩まされるという症状を持っていました。妊娠中でお腹も大きくなっていますので、揉みほぐすなどの手技はできませんから、調整だけで何とかしなければなりません。
 脱腸状態(本当に脱腸だったかどうかは知りません)の主な原因は左側大内転筋がゆるんでいたことでした。大内転筋はお尻のすぐ下にある太股内側の筋肉ですが、この筋肉の働きが悪いことにで左鼡径部が下がってしまい、大きくなったお腹が鼡径部から少しはみ出るような状態になっていました。ですから立ち上がるとお腹の一部が左鼡径部のところではみ出てしまい、不快さと痛みを感じていたのだと思います。しかしながら大内転筋のゆるんだ状態は下肢内側筋膜(皮下筋膜)のゆるんだ状態に繋がりますので、ふくらはぎ内側と足首内側の静脈瘤の原因の一つにもなります。

 ところで、妊娠は下肢静脈瘤を発症するきっかけになりやすいとのことですが、ベースには“皮下筋膜のゆるみ”があると思います。妊娠によって、それまで自分のためだけにあった血液は胎児を育てるためにも供給されなければならないので、当然全身の血液循環は変わります。もし妊娠が下肢静脈瘤の発症原因であるとするならば、左右両側に下肢静脈瘤の兆候が現れると思いますが、この女性は左下肢だけですので、妊娠が原因であるとは私は考えにくいところです。元々左下肢の血液循環に問題があって、それが妊娠によって静脈瘤という形で表に現れたと考えるのであれば、やはり改善すべきは“妊娠による影響”よりも“元々の血液循環”の方だと思います。
 さて、この方は現在妊娠中で休んでいますが、弓道をやっています。そこで弓道の練習におけるいろいろを尋ねてみました。すると左手が上手く使えないこと、左腕を挙げるのが辛いことなどの訴えがありました。その他には子供の頃(2歳の時)、前歯の左側を強打したことがあることなども聞きました。そこで、左肩から左手にかけて観察していきますと左肘に問題があることがわかりました。さらに左肘の問題で左手が上手く使えない状態なのに弓を操作しなければならないので、左手を不自然に使っていたこともわかりました。そしてこれらの問題は左膝の不安定さにつながり、問題の左大内転筋および左下肢内側筋膜のゆるみの原因となっていました。
 さらに2歳の時の前歯を強打したことによる影響もずっと残っていて、それが噛みしめてしまう原因の一つになっていて頭痛をもたらし、その他にも影響をもたらしていることがわかりました。
 これまで8回ほど来店していただきましたが、脱腸、噛みしめ、頭痛の問題はすっかり解消し、ふくらはぎの静脈瘤も良くなり、今は足首内側の静脈瘤が残っているだけの状態になっています。それも見た目には静脈瘤が残っているものの、痛みもだるさもほとんど感じない状態になったとのことです。
 妊娠するかどうかは別にして、女性は男性より(妊娠に備えるためか)複雑な構造と仕組みになっていると思います。ですから人生のいろいろで、影響を受けることも男性より多いと思います。ですからくれぐれも「からだを大切にして欲しいなぁ」と思います。余計なことですが、安易に美容整形の手術や、抜歯を伴う歯列矯正や、小顔矯正などに惹かれていって欲しくないと私は個人的に思います。

 3人目の両下肢が静脈瘤状態の後期高齢者の女性は、その他にいろいろな症状を持っています。今、最も悩んでいる症状は坐骨神経痛になりやすく、脚が棒のようになってしまい満足に歩くことができないことです。さらに立ち上がるとふらついてしまい、さらに歩きづらくなってしまうことも悩みです。
 ですから下肢静脈瘤については時々話題にのぼる程度ですが、両ふくらはぎとも血管がかなり浮き出ていますので、気になっていて「手術しなければいけないのかしら」と仰います。
 例えば腕と手について、子供や若い人たちと、高齢者の、見た目の違いを観察しますと、若い人たちの血管(静脈)はほとんど浮いていませんので、素肌が白ければブルーの血管が透けて見える感じです。夏など陽に焼けますと血管がすっかり隠れてしまうと思います。ところが高齢者では、手の甲の血管は太くて浮き上がり、腕の血管も太くなっていて浮き上がっている人が多くいます。
 この違いは、私は好きな言葉ではありませんが、「加齢によるもの」「老化現象」と言わざるを得ないのかもしれません。子供達や若い人たちの筋肉や筋膜は、それ自体がやはり若々しく締まっていますので、静脈の状態も同様であると考えることできます。ですから血管は“浮かない”のでしょう。一方、加齢に伴って筋肉も筋膜もゆるみやすくなりますが、血管も同様で、血管を形成している筋層がゆるんでしまうために弾力性が乏しくなり太くなってしまうと考えられます。さらに周囲の皮下筋膜や皮膚もゆるんでしまうので、「太くなった血管が浮いてしまう」という現象となり、「やけに血管が目立つ=老化」という事態になってしまいます。
 ふくらはぎも同様だと考えることができます。もし、ふくらはぎの血管が紫色であるならば、それは対処しなければならないと思いますが、そうでないのであれば、血管が太く浮き上がっている状態だったとしても、あまり気にされない方が良いのではないかと思います。血管がゆるんで太くなったことから静脈弁が機能できない場所がいくつかでき、そこの色が濃いブルーや多少紫色になるかもしれませんが、それは頻繁に擦ったりすることで血を流すなどして対処することができます。その程度が良いのではないかと思います。
 この女性の場合、ふくらはぎ全体の血管が太く浮き上がっていますので、手術しようにも「どの血管を焼いたり抜いたりすればいいのだろうか?」という問題と、からだに手術という負担を掛けてまで対処すべきことなのか、という疑問が浮かび上がってきます。私は手術による2次的影響のことを考えてしまいます。
 それよりも、今は坐骨神経痛を解消することを優先して、たくさん歩けるようになること、歩くことによってふくらはぎや足首の筋肉をたくさん使えば、ミルキングアクションによって静脈の流れも良くなり、皮下筋膜もしっかりするので静脈瘤のこともさほど気にならなくなるのではないかと思っています。

 下肢静脈瘤は外見的な憂鬱さをもたらすかもしれませんが、症状が進みますとだるさや痛みを感じることもあるようです。皮下筋膜がゆるむことで骨格を支える力が弱まりますので、筋肉はそれを補うために常に収縮した状態になります。つまり慢性的なこわばり状態、慢性的な緊張状態です。すると何かに触れただけで強い痛みを感じたり、立っていたり、座っていたりするだけで辛くなるので、ついつい横になってしまい、家庭内で「なまけもの」のような目で見られると、憂鬱になってしまう人もいます。
 また、お医者さんの指導に真面目に従って、寝るときも含めて常に着圧をつけていることで血行が悪くなっている人もいました。呼吸は肺だけで行っているのではありません。ふくらはぎや足先の細胞も呼吸を行っています。それが常に圧迫を受けているのであれば満足な呼吸ができない状態になっています。すると自律神経の働きにも影響が現れて眠りが浅くなったり、便通が悪くなったりするかもしれません。せめて夜、活動していないときだけでも着圧は外していただきたいと、そう思います。それが理にかなっていることだと思います。


足つぼ・整体 ゆめとわ
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 血液やリンパ(体液)の循環を考える時、まず動脈系と静脈系とに分けて考えることになります。動脈系は心臓の拍動によるポンプ力と血管の弾力性、毛細管現象を利用して大きな動脈や、そこから枝分かれしていく細い動脈、そして末端の毛細血管まで動脈血を届けます。一方、静脈系(リンパを含む)は全身の細胞で消費された血液、炭酸ガス(二酸化炭素)、新陳代謝で死骸となった細胞など老廃物が体液の中に混じったものですが、血管(静脈)とリンパ管の中に取り込んで心臓に還る道を進みます。
 血管が脈を打っているのは動脈ですが、それは心臓の拍動と連動して血管の筋肉が収縮したり弛緩したりしながら酸素と栄養豊かな動脈血を全身の細胞まで運んでいます。動脈と静脈系の一番の違いは、(心臓から離れた)静脈系は心臓や血管の力で血液やリンパ液を運ぶことができませんので、周りの筋肉の力を借りて進まなければならないことです。ふくらはぎや足首周辺の体表には静脈瘤や青紫色のうっ血状態ができやすいのですが、それは静脈が体表にあり、心臓から遠く離れたところは静脈の流れが停滞しやすいことを現しています。
 足やふくらはぎが「第2の心臓」と呼ばれることがあります。それは歩くことによって足やふくらはぎの筋肉が収縮・弛緩を繰り返しますが、それが「乳搾り」のような作用をもたらして静脈やリンパの流れを生み出しますので、心臓の働きに似た作用をしていると考えるからです。

静脈系の大切さ
 医学の世界で循環系と言えば、心臓と動脈に主眼がおかれているのかもしれません。よく耳にする「血圧」「動脈硬化」という言葉はこのことを象徴しています。心臓の働きが弱いと血液を血管(動脈)に送り出す力が乏しくなりますので動脈血がからだの隅々まで十分には行き渡らないかもしれません。たくさん酸素を消費するのは脳ですが、血圧が低かったり、他の要因で脳に動脈血が十分に行き渡らなければ酸欠状態になってしまい頭の回転が鈍ったり、ボーッとしたりしてしまいます。低血圧の人は理解できるのではないでしょうか。
 また、心臓には十分な力がありますが、動脈硬化によって血管の弾力性が失われたり、血管の中が狭くなってしまい、十分な量の血液が細胞に届かなくなってしまうかもしれません。すると心臓はますますポンプ力を高めてからだの隅々まで血液を届けようと対応することになります。これは心臓に余計な負担を掛けることにですし、高血圧の原因になります。

 さて、これら動脈系の問題以外に静脈系の問題で循環が悪くなってしまうことがあります。そして、こちらの方がよほど日常的で身近な問題だと私は思っています。
 例え話になりますが、高速道路が渋滞してしまう状況をイメージしてみてください。その場所は長く続く緩い下り坂が上り坂に変わった辺りが多いと言います。緩い下り坂では、それほどアクセルを踏まなくても車は順調な速度を保ってくれますが、その状態で上り坂に変わりますと自然と速度が低下してしまいます。すると後を走っている車は、下り坂を走っているにもかかわらず前の車の速度が低下したためにブレーキに足を掛ける状態になってしまいます。さらにその後を走行している車は、前の車のブレーキランプが点灯したので警戒してブレーキを踏み速度を落としますが、その連鎖が後続車に次々と続いてしまい、結局長い渋滞となってしまいます。渋滞箇所には特別何事もないわけですが、そこを抜けるとき「一体何が原因だったんだろう?」と思われた経験のある人はたくさんいると思います。つまり、前が詰まったために後から押し寄せてくるものの速度が低下し、やがてさらに後続が身動きの取れない状態になってしまう状況です。
 心臓も血管も何の問題もないのに静脈の流れる速度がが低下したために、動脈血が前に進めなくなる状況があります。
 血液を消費する細胞の様子を観察しますと、動脈血が細胞内に入る入口と、動脈血が消費され静脈血となって出て行く出口があります。「入口には後から後から動脈血がたくさんやって来るのですが、出口が詰まっているので細胞内に入っていけない、前に進めない」といったことが起こります。これが静脈系の問題により血液循環が停滞してしまう例です。
 そして、病気と診断されるわけでもないのに、血行不良にともなう体調不良やむくみや”頭がスッキリしない”などの症状に悩まされることがありますが、それは、静脈系の停滞が原因になっていることが多いのだと思います。

静脈とリンパの還り方
 心臓はポンプ力の圧で動脈血を勢いよく大動脈に送り出すわけですが、一方で大静脈の側は陰圧(心臓に吸い込む力が働く)になります。ですから心臓に近い大静脈や静脈の血液は心臓に吸い込まれるようにして還ることになります。ところがこの陰圧の力は心臓から遠く離れたところや細い血管には及びませんので、別の仕組みを利用して静脈血やリンパ液は心臓への還り道を進まなければなりません。

 心臓から離れている四肢(腕や脚)の静脈には弁があって、静脈血が心臓に向かう一方通行になる仕組みになっています。静脈の血管やリンパ管は自身が収縮したり弛緩したりする力は大してありませんので、周りの筋肉の力を借りて血液を運ぶ仕組みになっています。筋肉は収縮しますと太くなります。すると静脈の血管は圧迫されることになります。それは血管が搾られる状態になりますので中の血液は押し出されるわけですが、弁がありますので心臓に向かう方向にだけ押し出されます。次に筋肉が弛緩しますと血管が拡がるわけですが、すると弁と弁で区切られた血管の部屋に後からの血液が入ることになります。そしてまた筋肉の収縮に合わせてその血液が前に進むわけですが、このような仕組みを利用して四肢の静脈血は心臓の陰圧が及ぶ太い静脈まで進み、最終的に心臓に還ります。
 細胞から放出された体液で、静脈に取り込まれなかったものはリンパ液としてリンパ管に入り、心臓に戻る道を進みます。リンパ管も静脈同様、周りの筋肉の力を借りてリンパ液を進めますが、やはり弁があって逆流しない仕組みになっています。

細胞内の動脈・静脈・リンパ

・静脈もリンパも、流れ方の特徴を簡単に言い表しますと以下の通りです。
①自身の力ではなく、周りの筋肉の働きを利用して流れている。
②弁があって逆流しない仕組みになっている。
 ですから、筋肉の働きが悪くなりますと静脈とリンパの流れが悪くなりますので血液を含んだ体液全体の流れが悪くなってしまうことになります。

鎖骨下静脈と鼡径部
 四肢ではなく体幹の太い静脈は心臓の吸い込む力によって心臓に還りますが、その流れが悪くなりやすいところが二箇所あります。一つは、鎖骨と第1肋骨の隙間を通っている鎖骨下静脈です。もう一つは、骨盤の鼡径部を通っている大腿静脈です。

鎖骨下静脈と鼡径部

 鎖骨下静脈が通っている鎖骨と第1肋骨の間は狭い隙間ですが、さらに鎖骨も肋骨も歪みやすいので、狭い隙間がなお一層狭くなってしまい血管が圧迫され鎖骨下静脈が悪くなってしまうことがしばしば起こります。

 そして、全身のリンパ液が合流して心臓に還るリンパ管も最終的に鎖骨下静脈に合流しますので、鎖骨下静脈の流れが悪くなりますと静脈だけでなくリンパの流れも停滞することになります。(詳しくは、https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1844 参照してください)
 顔や手や膝下から足にかけてはむくみやすいところですが、それらばかりでなく実際は全身がむくんでしまうことになります。
 上記の図を見ていただきたいのですが、点線で示されている大腿静脈~下大静脈はからだの深部を通って心臓の下方から還りますが、それ以外の手~腕、体表の静脈は下半身の大伏在静脈も含めてすべて鎖骨下静脈となって心臓の上方から還りますので、鎖骨下静脈の停滞は全身に影響を与えることになります。実際、施術で鎖骨と第1肋骨を整えて鎖骨下静脈がよく流れるようにしますと、足趾や足首の方からむくみが取れていったりします。頭部がパンパンになっている状態も鎖骨下静脈を整えることでかなりスッキリします。

鎖骨下静脈の通り道

 下半身ばかりがむくんでしまう人がしばしばおります。あるいは下半身の血行が悪く、下肢の冷えが辛く感じる場合があります。このような場合は鼡径部の大腿動脈と大腿静脈の流れを考える必要があります。そして鼡径部の問題は、多くの場合、股関節の問題が絡んでいると考えてもよいと思います。

鼡径部

 鼡径部は余裕がある隙間ではありません。そこに大腰筋、腸骨筋、恥骨筋があります。ここで大原則を是非覚えて欲しいのですが、それは「筋肉はこわばると太くなる」という性質です。“こわばる”というのは収縮しっぱなしになって硬くなっている状態のことですが、「筋肉が張る」というのも同じようなものです。
 例えば一日中座り仕事で椅子に座っている時間が長いとします。座る姿勢は股関節を90°に曲げるわけですが、その状態を続けますと腸骨筋がこわばった状態になります。すると狭い鼡径部の隙間の中で腸骨筋が太くなりますので、大腿静脈も大腿動脈も大腿神経も圧迫され続ける状態になります。大腿動脈は心臓の拍動と連動する血管の力で圧迫された中でも血液を流すことができるかもしれません。しかし大腿静脈とリンパ管にはそのような力はありませんので、静脈系は流れが弱くなります。ですから、仕事が終わった頃には下半身がむくみ、足首のところには靴下の痕がバッチリ付いてしまいます。

鼡径部のリンパ

 また股関節が歪んで、例えば大腿骨が少し骨盤から離れた状態になりますと腸骨筋も大腰筋も恥骨筋も緊張してこわばり、太くなってしまいます。すると上記と同じように静脈系は流れが悪くなります。そして実際のところ、股関節の歪みは動脈の流れにも影響しますので、「股関節がおかしいとエネルギー全体の流れが悪くなる」という状態になります。これは歯ぎしりの原因になりますし、手汗や足裏の汗の原因になります。

循環を改善するために必要なこと
 上記で説明してきたことを簡略してまとめますと以下の通りです。
・病気ではない日常的な循環不良は、静脈とリンパの流れを主体に考えて対処した方がよい
・静脈もリンパも管自体の力で血液やリンパ液を送ることは難しいので、周りの筋肉を利用している。
・全身的な循環を考えるときには鎖骨下静脈と鼡径部をチェックすることが大切。

 こんなことがあります。
 膝の調子が悪く、あるいはむくみが常態化し、膝周りがこちこち硬くなっている人に対し、膝小僧(膝蓋骨)を動かして膝の関節包をストレッチしますと滞っていた血流やリンパの流れが急に回復して、たちまち膝周りが細くなり柔らかくなったりします。
 捻挫して後、何年経っても腫れぼったさが取れない足首。捻挫で損傷した靱帯に手指をあてて靱帯の回復促していますと間もなく水膨れが消失しだし足首がスッキリし始めることがあります。それは溜まっていたリンパ液が靱帯機能の回復に伴って流れ出したからです。

 先ほどまで、静脈系の流れ方は周りの筋肉を収縮させたり弛緩させたりすることで「乳搾り」のように血管やリンパ管を圧迫することで血液やリンパが前に進むと説明しました。しかし、これだけしか方法がないのであれば、むくんだ状態にならないためには、あるいは下肢静脈瘤を防ぐためには「いつも筋肉を使っていなければならないのか?」という疑問が生じます。
 実際、この考え方に基づいて開発されたのが着圧靴下とか着圧ストッキングの類ではないかと思います。常に圧を加え続けることで静脈に余計な血液が溜まらないようにする、リンパ管にリンパ液が停滞しないようにする、そんな考え方ではないかと想像します。しかし、これは本来の在り方ではありません。
 筋肉を動かしていなくても、靱帯や筋肉や筋膜の状態を整えることで、静脈もリンパも流れるという現実があります。これを私は「筋肉などがしっかりしていれば」という表現で皆さんには説明していますが、この観点はとても重要だと思います。
 その現れが膝関節包のストレッチや捻挫で損傷した靱帯機能の回復によって停滞していた静脈やリンパが流れ出すという現象です。
 昼間座り続けて夕方パンパンにむくんでしまった下半身も、一晩寝て朝起きるとむくみが改善しているのは、こわばっていた腸骨筋が寝ることで伸ばされこわばりが取れたため鼡径部の流れが改善したからだと考えることができます。
 ですから、確かに静脈もリンパも周りの手助けによって血液やリンパを流しているわけですが、その「手助け」を得るためには、筋肉を動かして収縮と弛緩を繰り返すこと以外に、筋肉、筋膜、靱帯など軟部組織を整えることが重要です。さらに関節に歪みがあって流れが悪くなっていることもありますので、関節の歪みを整えることも重要です。

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