ゆめとわのblog

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カテゴリ:顔面・頭部 > 脳の働き

 「うつ病と診断されたわけではないけど、うつ症状が長引き、このままではうつ病になってしまうのではないかと思って。整体で少しでも良くなるといいのですが‥‥」と来店される人が時々いらっしゃいます。
 “うつ症状”と言われても、私の専門外ですし、症状や病態についての知識もそれほどありません。ですから施術に際しては、心理的な面とか、生活環境のこととか、症状や病態のこととか、そういうことは一切考えることなく単純にからだを観察して、必要な施術を行うようにしています。
 ただ多くの人を観察し、施術してきた経験で申しますと、うつ症状を訴える人、心理的に弱っている人に共通している状態があります。それは呼吸が悪く、脳が酸素不足、つまり酸欠状態ではないかと思われる状態です。
 医学的に酸欠状態をどのように定義しているのかは知りませんが、脳に酸素が足りなくて頭の働きが鈍っていたり、ドヨ~ンとしてスッキリしていなかったりする状態は明らかに存在します。思考が停止状態に陥っていたり、あるいはいつも同じ思考回路ばかり使っていてそこから抜け出すことができなかったり、そんな経験は多くの人にあると思います。精神的ダメージが強かったり、押し寄せるストレスに耐えられないような状況が続きますと「どうしていいかわからない」「物事が手につかない」などの状況になるかもしれませんが、脳の酸欠状態もそんな感じになるのではないかと、そんなふうに思います。

 そして施術を行い、呼吸のあり方を改善して血液循環が良くなるように整えますと、多くの人がその場で楽な状態になります。
 酸欠状態の人に「酸欠状態で‥‥」と申してもピンときませんが、酸欠状態が改善された状態になったときに「酸欠状態だったのだと思います」と申しますと皆さん合点がいくようです。酸素が行き渡った頭の思考は、それまでのうつ症状の時とは違ったものになっているからです。
 
 酸欠状態=酸素不足ですから、その原因を単純に考えますと“呼吸が悪い”となります。そして実際、その通りです。ならば大きな深呼吸を繰り返して肺にたくさん酸素を取り入れれば解決するのではないかと思われるかもしれませんが、それは、そう簡単ではありません。
 今回はこのことについて掘り下げて考えてみます。

要は“内呼吸”
  生理学の言葉になりますが、呼吸には“外呼吸”と”内呼吸”があります。
 外呼吸は誰もがイメージしています、肺で息を吸って血液中に酸素を取り入れ、不要な二酸化炭素(炭酸ガス)を吐き出す呼吸のことです。肺と呼吸運動に関係する筋肉と骨格(胸郭)が主役の呼吸です。
 一方、内呼吸は、血液(動脈血)中の酸素を細胞内に取り入れ、細胞内で不要となった炭酸ガスや老廃物を静脈血へ排出する作業のことです。細胞の中にはミトコンドリアがいますが、ミトコンドリアが動脈から取り入れた酸素を利用してエネルギー物質を生産し、そのエネルギーを利用して細胞は様々な活動を行っています。ですから細胞に動脈血が十分に届かなければエネルギー不足の状態となり細胞の機能は低下してしまいます。こんな状態が広範囲に及びますと、からだの生理機能は低下してしまいます。
 さらに、ミトコンドリアが消費した酸素は炭酸ガスとなって細胞から排出され、静脈に乗って一端心臓に戻ります。そして肺に送られて口や鼻から体外に放出されるという仕組みになっています。仮に何らかの理由で静脈の流れが悪くなりますと、炭酸ガスの心臓への戻りと肺への運搬が不十分な状態になってしまいますので、体内に炭酸ガスが溜まった状態になってしまいます。つまり内呼吸にとっては、動脈と静脈の両方の流れが重要な要素になっているということです。“血圧”や”コレステロール”や”動脈硬化”など、動脈系のことばかりに着目する傾向がありますが、それでは片手落ちの状態だと言えると思います。

 血圧は動脈の流れと関連性が深いですから、血圧の低い人は動脈血不足になりやすい傾向があると考えられます。しばしば脳貧血の症状になってしまうのは低血圧に原因があると考えられます。“冷え”は動脈、静脈にかかわらず血管の働きを弱め細胞の働きも弱めますので、内呼吸の働きを低下させる原因になります。動脈硬化、自律神経失調、それらも動脈の循環に影響を与えます。

 整体的に重要なことだと私は思っていますが、”静脈血が出ていかないと動脈血が入ってこない”という原理があります。ですから整体の施術において静脈の流れを整えることは非常に重要なことだと考えていますが、それを少し説明させていただきます。
 細胞は毛細血管によって運ばれてきた血液を内部に取り入れ、ミトコンドリアがそれを消費します。消費された酸素は炭酸ガスに変わって細胞から排出されますが、それらがまとまって水分に溶け込み静脈血となります。そして静脈血は血管(静脈)の中に戻って心臓への道を進むわけですが、もしその流れが停滞してしまいますと細胞に出入りする毛細血管からの血液の流れも止まってしいますので、「酸素が細胞に届けられない」という現象が起きてしまいます。
 毛細血管の血液の流れにはもはや血圧は関係ありません。ですから「血圧の力を利用して血液を細胞内に押し込む」ということはまったく期待できません。「静脈血がどんどん流れ去っていくので、動脈血がスムーズに細胞内に取り込まれていく」といったイメージの方が現状に近いのだと思います。
 そして静脈は動脈と違い、血圧や血管の弾力性を利用して血液を流しているのではなく、周りの筋肉の働きを利用して血液を運んでいます。動脈の流れが能動的であるのに対して静脈(リンパも含めて)の流れは受動的であると表現できます。筋肉が疲れ果てて働けない状態ですと、その周辺の静脈血は前に進むことができなくなってしまいます。ふくらはぎや足がむくみやすい理由の一つです。ですから骨格筋の働きと運動は静脈の流れにとって非常に重要だと言えます。その
意味で、整体の施術は内呼吸にとって価値のあるものとなってきます。

 “脳の酸欠状態を改善する”ということで考えたとき、まず「脳細胞に十分な動脈血が届いているか?」という視点があります。そして脳内の血液循環を停滞させないために「静脈の流れが滞っていないか?」という視点が出てきます。
 十分な動脈血を供給するという視点では、血圧、動脈硬化、首肩のコリや捻れといったキーワードが登場します。
 静脈の流れを整え血液循環を活発にするという視点では、鎖骨下静脈、鎖骨と肋骨の歪みというキーワードが登場します。
 そして血液(動脈血)の中に十分に酸素を取り込むために、外呼吸、肺、鉄分というキーワードが登場します。鉄分は血液中で酸素を運搬するヘモグロビンに関係しますが、それは食事で、あるいはサプリや薬で補うことができます。肺の病変については医療機関に頼ることが最善です。
 そして外呼吸につきましては、医療機関や薬などよりも整体的なアプローチが最も適していると私は考えます。

外呼吸を改善するときに着目するポイント
 私たちの様々な生理機能にとって内呼吸は最も重要な問題ですが、そのためにも外呼吸がしっかり行える状態にすることは重要なことです。
 胸式呼吸と腹式呼吸のどちらが良いか? あるいは他の呼吸法の方が優れているとか、外呼吸に対しての考え方は幾つかあるようですが、それらはそれとして、方法論ばかりに目を奪われますと肝心なポイントを外してしまうと私は考えています。
 おそらく殆どの人は鼻から息を吸って肺に空気を取り入れ、そして肺から空気を吐き出すことの繰り返しが“呼吸(外呼吸)の殆どである”と考えていると思います。それは間違いではありません。しかし、その外呼吸の効率を高め、外呼吸と内呼吸にリズム的な繋がりを持たせ、さらに外呼吸によって快適な状態を維持するためには、整えておかなければならないポイントがいくつかあります。
 それは、頭部の柔軟性、副鼻腔(鼻呼吸)、胸郭と肋間筋、首の筋肉、喉と舌、腹筋になります。

頭部の柔軟性と呼吸
 今の世の中、頭と目(感覚器官)の使い過ぎで頭部がガチガチに硬くなり、頭の中がパンクしそうにたくさん詰まっている人がたくさんいます。そのような人は頭蓋骨の柔軟性に乏しいのですが、すると呼吸が中途半端な状態になってしまいます。
 以前にも取り上げましたが、頭蓋骨は一般に「硬いもの」とイメージされていると思いますが、そんなことはまったくありません。本来は柔軟に動くものです。もちろん動ける範囲は非常に小さいですが、骨同士が関節(縫合)で繋がれているということは、「動くようにできている」ということです。
 さて本来であれば、私たちが息を吸うとき、後頭部が上方に動き、側頭部が膨らみます。耳の上部に軽く手を当てて繊細に観察しますと、呼吸動作における頭蓋骨の動きが感じられると思います。
 ところが頭(頭皮など)が硬く、その中がパンパン状態の人は、呼吸における頭蓋骨の動きがほとんど感じられません。

呼吸と頭蓋と骨盤の動き

 年度の切り替え時期になりますと事務職の人はパソコン仕事で大忙しになりますが、目と頭を酷使するためこのような状態になる人も多くいます。「マッサージしても疲れが取れなくて‥‥」「寝ても全然疲労感が抜けていかない」と感じている人は、頭のマッサージをすることで改善されるかもしれません。
 「頭が硬くなっている」というのは具体的には頭皮や頭部の筋膜が張っていたり、側頭筋や額や鼻周り筋肉がこわばっている状態のことですが、疲れているにもかかわらず仕事をしなければならないので歯を食いしばって頑張っていたり、目を酷使しているためにそのようになってしまったのかもしれません。
 また「頭が詰まった状態」というのは頭をたくさん使うため血液(動脈)がたくさんやって来たのですが、静脈の流れが悪く頭の中が血液過剰の状態になっている、つまり脳内がむくんだようになっている状態のことです。これは鎖骨下静脈の流れと密接に絡み合うことですが、詳細については過去の記事をご覧になってください。
 この二つの状態=“頭が硬くなって詰まっている状態”がありますと頭蓋骨は動きにくくなりますので、結論的に申しますと吸気が中途半端な状態になってしまいます。するとからだや頭は酸素不足の状態になってしまいますので、「からだをマッサージしても、休めても疲労がとれない」となってしまいます。
 これまでの経験で申しますと、頭を柔らかい状態にして静脈の流れを改善しますと何分もしないうちに呼吸状態が良くなり、間もなく活力が戻ってくるようになります。

副鼻腔
 私たちが息を吸うときは鼻孔で行うのが本来の在り方です。しかしながら、昨今は口呼吸、つまり口から息を吸ってしまう人が大変多くなっています。口呼吸ばかりの人は口の形にその特徴が現れます。鼻の下を人中(じんちゅう)と呼びますが、そこが短くなっていたり上唇が上を向いていて前歯がすぐに見えてしまう口の形がそれです。激しくハアハアと呼吸を繰り返さなければならないために鼻で吸っていたのでは間に合わない、たとえばサッカー選手などはどうしても口呼吸になりやすいですが、口呼吸には弊害があります。
 鼻孔を通して取り入れた空気は、副鼻腔を通過させることで健康を維持することに貢献します。副鼻腔は頬のところ(上顎洞)と額のところ(前頭洞)にあります。鼻でスーッと吸った空気を頬や額の副鼻腔を通過させますと顔の中に風が通るような感じになりますが、それによって空気は汚れを除かれ、温度と湿度を調整されます。1秒も掛からない短時間の間に外気をからだにとって最適な状態に調整する能力が副鼻腔にはあります。調整された空気はそのまま気管や肺に入っていっても安全で臓器に負担をかけることはないと言います。

副鼻腔2

 一方、口呼吸によって鼻孔や副鼻腔を通さずに取り入れた空気は、このような調整機能をまったく受けることなく咽頭や気管や肺の中に入っていきますので、からだに負担を掛けることになります。口の中には扁桃腺などがあって汚れやバイ菌をある程度除去してくれますが、それらは本来は食物に対するものですので、副鼻腔の空気浄化力にはかないません。扁桃腺が腫れやすい人は口呼吸を改めることを積極的に考える必要があると思います。
 また副鼻腔炎になりやすい人もおりますが、それは副鼻腔に新鮮な空気が通っていない、つまり、副鼻腔の中の空気が停滞してしまっていることが原因かもしれません。
 鼻孔で呼吸をしていても副鼻腔に空気を通さずにそのまま咽頭の方に空気を通過させている人もいます。鼻(鼻骨)が下がっていますと額の副鼻腔には空気が通りにくくなってしまいます。目元や鼻の周りが硬くこわばっている人、あるいは顔の骨格が歪んでいる人は頬の副鼻腔に空気が入りにくい状態になっていますが、このような人はせっかく鼻呼吸をしているのに、鼻呼吸の恩恵が半減している状態です。

胸郭と肋間筋
 胸郭は12本の肋骨と背骨でできています。その中には肺と心臓が収まっていて底面に横隔膜があります。肺にはほとんど筋肉がありませんので、肺は自らの力で膨らんだり縮んだりすることはできません。胸郭が拡がり、横隔膜が収縮して胸の底面が下がることによって袋である肺に空気が入ってくる仕組みになっています。
 さて、私たちのからだには鼻孔と副鼻腔を通して息を吸う動作に合わせて胸郭が拡がり横隔膜が収縮して肺に空気が入る連動性が備わっています。鼻のつけ根、鼻骨のところにスーッと音を立てて空気を吸い上げるように吸い込みますと、自然に肋骨が上がって胸が拡がり空気がたくさん肺に入ってきます。この一連の流れは呼吸独特のリズム感を生み出しますが、それに伴ってからだは次第にリラックスするようになります。
 ところが、口で息を吸う場合はこのような連動性は生じません。すぐに胸やお腹が詰まったような状態になってしまいます。

 ベッドに横たわっている人の呼吸を観察していますと幾つかのパターンがあります。胸郭の下部だけが動いて胸式呼吸をしている人、お腹だけが上下に動いて、胸郭の動かない腹式呼吸をしている人、喉元だけで呼吸をしているように見える人、その様子は様々です。理想は鼻孔~副鼻腔を通して吸気行い、一連のリズムで胸郭が拡がり横隔膜が下がって腹式呼吸をしている状態になることですが、そのためには肋間筋が整っている必要があります。また、胸鎖乳突筋や斜角筋、肩甲挙筋といった頚部の筋肉がしっかり働ける状態になっている必要もあります。

呼吸時における外肋間筋と横隔膜の動き

 肋骨は12本あります。そして肋骨と肋骨の間には2種類の肋間筋があります。内側にある内肋間筋(ないろっかんきん)は収縮することによって上部の肋骨を下方に引っ張りますが、全体の内肋間筋が働きますと胸郭全体が下がって平たく(薄く)なります。私たちが息を吐くとき、このような状態になりますが、それによって肺が縮まり中の空気が外に吐き出されます。
 外側にあります外肋間筋(がいろっかんきん)は収縮することによって下部の肋骨を上方へ引き上げますが、全体の外肋間筋が働くことによって胸郭全体が引き上げられ更に膨らみます。ちょうど内肋間筋と反対の働きをしますが、それによって肺も膨らんで空気がたくさん入ってくることになります。
 ところで外肋間筋も内肋間筋も正常な状態であれば、私たちが息を吸うときには内肋間筋がゆるんで伸張し、外肋間筋が収縮します。息を吐くときには内肋間筋が収縮して外肋間筋がゆるみます。ところが、内肋間筋がこわばっていてゆるむことができないために胸郭が拡がらず、心地良く肺に空気を入れることができない、つまり吸気が不十分な状態になっている人がいます。あるいは反対に、外肋間筋がこわばったままでゆるむことができないために、常に胸郭が拡がったままの人もいます。「鳩胸」ということで、単に個性的な特徴と捉えられるかもしれませんが、それは外肋間筋がこわばった状態になり続けているということなのかもしれません。このような人は息を吸ったままの状態と同じ状態ですので、いわゆる過呼吸状態であり息を吐き出すことが苦手な人だと言えます。首肩から力が抜けない緊張状態、ストレス一杯の状態であるとも考えられます。

 呼吸運動は波のような大きなリズム感を伴った一連の流れです。砂浜に海の波が心地良く押し寄せるようなリズムと臨場感に似た状態が理想ですが、そのためには肋間筋の状態が良くなければなりません。

 また肋間筋は使い過ぎによってこわばったり変調を起こすような類の筋肉ではありませんので、肋間筋の状態を整えるために胸郭に対して直接施術するようなことはほとんどありません。手先の使い方、目を開けるときに眉間辺りに力が入る癖などによってこわばってしまいます。ですから、その辺りをほぐして肋間筋の状態を整えることになります。

胸郭を引き上げる首の筋肉
 呼吸運動においては、吸気の時に胸郭が引き上げられて拡がるのですが、そのために働く筋肉が頭部と頚部から出ています。
 僧帽筋(そうぼうきん)の上部線維は頭部と肩甲骨及び鎖骨を繋いでいますが、収縮することで肩甲骨と鎖骨の外側部を引き上げる働きをします。
 頚部から肩甲骨に繋がっている肩甲挙筋(けんこうきょきん)は肩甲骨の内側部を引き上げる働きをします。僧帽筋の上部線維と肩甲挙筋は直接胸郭を引き上げるわけではありませんが、肩甲骨と鎖骨も引き上げられないと胸郭は上がってきませんので、呼吸運動においてこの二つの筋肉は脇役ながら重要な働きをしています。

吸息時に働く首周りの筋

 そして鎖骨を引き上げるもう一つの筋肉は胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)です。胸鎖乳突筋は鎖骨と胸骨の関節付近に付着していますので、収縮することで鎖骨の内側部と胸郭(胸骨)を引き上げる働きをします。
 そして首から胸郭の上部肋骨につながっていて胸郭を直接引き上げる働きをしている筋肉があります。それは斜角筋(しゃかくきん)のことですが、斜角筋には第1肋骨に繋がっている前斜角筋と中斜角筋、第2肋骨に繋がっている後斜角筋の3つがあります。斜角筋は首の側面にありますので、首の側面がガチガチで痛みを感じたり首を倒すと突っ張ったりする人は斜角筋がこわばっている可能性があります。そして斜角筋はそしゃく筋と関係が深い筋肉ですので、歯ぎしりや噛みしめの癖を持っている人は斜角筋がこわばった状態になっています。
 本来は吸気動作の時に斜角筋が収縮して胸郭が引き上げられ、呼気の動作の時に斜角筋がゆるみ同時に腹筋が働いて胸郭が下がるようになっています。ところが噛みしめの癖、歯ぎしり癖、首や顔に力の入りやすい癖の人などは斜角筋がこわばっているために常に胸郭が上がった状態になっていたりします。
 そして、それは息を吸ったときの状態ですので、その人は息苦しそうに見えます。本人の自覚ではそうは思っていないかもしれませんが、「過呼吸状態の人」であると考えることができます。胸郭が下がっていかないので息を吐き出せないのですが、その状態でさらに息を吸いますので、肺の中は常に空気でいっぱいの状態です。ですからしばしば溜め息をついて処理しなければならなったりします。
 「頭の中も(ストレスなどで)いっぱい、肺の中も空気でいっぱい。どうして溜め込んでばかりなんだろう?」と思われる人は、斜角筋をはじめとして首の筋肉をチェックする必要があるのかもしれません。

喉と舌の状態は隠れたポイント
 性格が内向的で、思っていることがなかなか言葉にできなかったり、うつむき加減で顎を引いた状態で喋る癖になっている人は、構造的に息継ぎが上手くできない可能性があります。瞬間的な息継ぎが苦手なので、苦しくなって言葉を続けることが億劫になっているかもしれません。
 お喋りが得意な人は、次から次にと言葉が続いて出てくるわけですが、そのためには息継ぎがポイントになります。言葉を発することは息を吐き続けるということですから、瞬間的な息継ぎをして空気を吸わないと苦しくなってしまいます。素速い息継ぎのためには肋間筋が素速く働いて胸郭が拡がり、肺に空気が瞬時に入る必要がありますが、それ以外に舌と喉など内部の筋肉の連携が上手くいっている必要もあります。
 食物や唾を飲み込むときの舌や喉の動きを観察しますと、まず舌を使って口の中を塞ぎ、次に舌を口蓋(天井)に押しつけながら舌と喉の筋肉を連動させて食道内に食物や唾を送り込みます。正常であれば、この動作に合わせて喉仏が上下に大きく動きます。もし喉仏の上下運動が何かの原因で障害されるようですと、飲み込む動作が不自然な感じになってしまいます。タイミングを見計らってからでないと飲み込めないような人は舌と喉の連携に問題がある可能性があります。
 息継ぎをすることと食物や唾を飲み込むことは、気管に空気を通すか食道に食物を通すかという違いはありますが、舌と喉の連携、喉仏の上下運動という点では共通点があります。

甲状軟骨と舌骨筋群

 さて、喉仏の上下運動は左右の胸鎖乳突筋の間で行われます。ですから、頭部や首が歪んでいたり、鎖骨の位置が狂っていたりして左右の胸鎖乳突筋のバランスが悪い状態ですと、あるいは頚椎に捻れがあって喉も捻れている状態ですと、喉仏の上下運動が胸鎖乳突筋に当たってしまい十分にできない可能性があります。あるいは、顎を引いた状態で喋ることは、それだけで喉の動きを制限しますので、息継ぎが苦手になってしまい言葉を続けることが難しくなります。
 また、舌は非常に微妙な動きをすることができますが、そのために幾つもの筋線維が複雑に絡み合ってできています。さらに舌には食物を取捨選択するための非常に鋭く繊細な感覚が備わっていますので、舌そのものを壊してしまいますと本人がすっかり満足するほど完全な状態に戻すことにとても苦労します。「まぁまぁ」の状態に戻すことは速やかにできても、息継ぎなど他の筋肉との緊密で繊細な連携を必要とするような繊細さを取り戻すまでには、私の経験から申しますと時間がかかります。ですから舌は大切に、大切にしてください。

腹筋は呼吸筋でもある
 人体模型など見ますと、胸郭と骨盤との間には背骨しかありませんので、大切な内臓をおさめる腹部は無防備で頼りない感じに思えます。しかし私たちには4種類の腹筋があって骨格的に弱点となっている腹部をしっかりと守っています。

腹部の4つの筋

呼気に働く腹筋02


 腹部のセンターラインには腹直筋(ふくちょくきん)がありますが、ちょうど背骨と相対するようにして腹部の“芯”になっています。そして腹直筋と背骨をつなぐように一番深部に腹横筋(ふくおうきん)があります。その表層部に斜め方向クロスするように走っている内腹斜筋(ないふくしゃきん)と外腹斜筋(外腹斜筋)があります。腹直筋も内腹斜筋も外腹斜筋も収縮することによって胸郭を下げる働きをしますので、呼吸運動においては呼気(息を吐き出す)の時にこれらの腹筋が働くことになります。そして吸気の時は、これらの腹筋が伸びることで胸郭がスムーズに上方に動くので肺が大きく膨らむことを可能にしています。
 もしこれら腹筋群の働きが弱い状態ですと最後まで息を吐き出すことが難しくなります。呼吸をして新鮮な空気をたくさん取り入れたいのに古い空気が肺の中に残ったままの状態になっているので呼吸の効率が悪くなります。
 また、腹筋群がこわばった状態の人は胸郭が上に動きにくい状態ですので、吸気が十分にできません。呼吸が浅くなってしまいますので、すぐに息苦しくなったり、しばしば動悸に襲われたりするかもしれません。

その他の呼吸に関わる要素
 「胸はセンサー」と前にも申しましたが、呼吸運動の舞台である胸部は精神的なことや環境からの要素などいろいろな事象に反応して状態を刻々変化させます。心理的ストレスによって胸は塞がったりしますが、具体的な現象としては、肋骨が胸骨のほうに巻き込むように向かっていき、息を吸っても胸郭が拡がらなくなってしまったりします。そのような時には“胸腺”を主眼に、胸骨上をほぐしてみたり、肋骨を胸骨方向に引っ張っている大胸筋がゆるむような施術を行ったりします。
 また、呼吸に合わせて頭蓋骨が動くように、骨盤も拡がったり縮んだりしますが、この動きが起こらないと呼吸が全身的なものになりません。一つの呼吸リズムが全身に拡がって「呼吸が心地良いもの」と感じ、芯からリラックスするためには骨盤の柔軟性が必要になります。
 骨盤の柔軟性を奪うのは腹筋や殿部の筋肉であり、足や下半身からの影響が考えられますので、足やふくらはぎを施術したりします。

 呼吸の理想は、鼻の上部、鼻骨のところでスーッと吸い込んだ空気が副鼻腔を通過しながら頭部と骨盤を拡げ、同時に胸郭を引き上げながら拡げて、ゆったりと肺に空気が十分に静かに入っていくこと。そして次に呼気の段階では、横隔膜がゆるみだし腹筋が働いて息をゆっくり吐き出しながら胸郭が下がって骨盤が閉まるようになりますが、その波とリズムが太股を伝わり、ふくらはぎを伝わって足裏から出て行くようになることです。
 このような状態が理想ですし、私のところでの施術ではそこまで実現しようと常に思っていますが、普段はここまで実現できなくても、今回取り上げた項目の半分以上ができている状態になっていただきたいと考えています。

 さて、うつ症状(うつ病ではない)に対する対応として「酸欠状態を解決すること」が有効だと私は考えていて、そのためには呼吸のあり方を見直して改善する必要がある、というスタンスで長々と書いてきました。
 私たちのからだの中で、脳は最も酸素を必要としている臓器です。考え事をする=思考を展開するためには非常にたくさんの酸素が必要だと言います。脳内が常に十分な酸素で満たされていれば、脳神経の伝達がスムーズで、思考を素速く思い通りに展開することができると思います。しかし頭に疲労(物質)が溜まってしまい、酸素の供給が不十分な状態になってしまいますと「考えたいけど‥‥考えられない!」というような状況になってしまいます。そして、これは誰もが経験していることではないでしょうか。
 もし慢性的に、つまり常に脳内の酸素が不十分な状態であれば、心で思ってもそれを頭にイメージとして構築することができないので実際の行動に移すことができなくなってしまうかもしれません。「思ってはいるけど、からだがついていかない」、このようなうつ状態は、このようにしてもたらされるのかもしれません。

 インターネットなどの情報によれば、うつ症状を改善するための方法の一つとして「深呼吸で酸素不足を解消する」というのがあります。それは上記の理由からも理にかなっていることだと思います。しかしながら、深呼吸をすることによって実際に脳内の酸素が満たされた状態になるかどうかという問題が残ってきます。
 今回取り上げましたいろいろな要素―頭蓋、副鼻腔、首の筋肉、肋間筋、腹筋など―に問題がありますと、深呼吸の動作は「単なるポーズで効果薄し」となってしまいます。ハッキリとした効果が感じられなければ、日課として始めた深呼吸の習慣もいつの間にか続かなくなり、うつ症状というマイナスループから抜け出すことがなかなかできないという状態になってしまうでしょう。
 実際、うつ症状を抱えて困っている人は、何とか改善したいと思っているはずです。ところが、その思いを実際の行動に移すことができないので、うつ状態なのだと思います。
 そんな方は、どうぞご来店いただければと思っています。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
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 数年前、女子サッカーの代表選手が「良性発作性頭位めまい症」という病名の“めまい”で苦しんでいたこともあって、めまいについての情報がある程度認は知られるようになったようです。

 常連のお客さんがしばらくぶりに来店され「めまいで苦しんでいたのよ!」「あのサッカー選手と一緒よ」と仰いました。
 「めまいなら、すぐに来れば良いのに」と私は心の中で呟きながら応対しました。
 “めまい”や“ふらつき”の場合は、まずクリニックなどに相談して、それでも上手くいかなければMRIなどの画像診断で脳の状態を確認する、という手順を踏むというのが多いのかもしれません。それは正しいことだと思います。まずは重大な病気でないことを確認して安心することが第一で、そうするだけで症状が軽減するかもしれません。

 さて、“めまい”や“ふらつき”についてはこれまでにも幾度となく取り上げてきましたが、内容を整理する意味も含めて、整体的な観点で改めて考えてみます。(ただし脳の病変は除いて)

循環不良によるものなのか? 器官の機能が異常なのか?
 “めまい”や“ふらつき”と言った症状を訴える人が来店された時に、私が先ず確認して行うことは、血液が不足して機能がおかしくなっているのか、血流は足りているけれど機能そのものが異常な状態にあるのか、という観点で区分することです。

①脳への血流が悪く、必要な血液が足りない状態(≒酸欠状態
 椅子に座った状態から立ち上がったときに瞬間的にクラッとしたり、目の前が暗くなったりする起立性低血圧あるいは脳貧血という症状があります。立ち上がることで頭の位置は高くなったのに、血液が脳まで昇るのに時間がかかってしまうため、一時的に脳が貧血状態になって機能の一部が麻痺状態になってしまう症状です。血圧が低かったり、高齢で心臓の瞬発力が低下していたり、首肩のコリが激しくて脳への血管が圧迫された状態の人はこのようになることがあると思います。
 起立性低血圧症は一時的な症状ですが、恒常的にこのような状態になってしまいますと、つまり脳への血液供給が不足した状態になってしまいますと、起き上がっているだけで“めまい”や“ふらつき”などの症状を起こしてしまう可能性があります。寝た状態では脳に血液が届くので大丈夫ですが、起き上がると血液が届きにくくなり、立ち上がるとさらに届かないので、クラックラッ、フワッフワッの状態になってしまったり吐き気を伴ったりするかもしれません。

心臓から頭部の血管

 ある高齢者が「立ち上がるとフワフワしてしまうけど、歩いているうちにだんだん症状は良くなる」という症状を訴えました。つまり、立っているだけでは脳への血液が不足しがちですが、歩くことで血液循環が良くなりますと脳に必要な血液が届くようになる、ということです。
 また、別の高齢者は「朝方は大丈夫だけど、仕事をしていて夕方になるとフワフワしてしまう」と訴えました。この方は若い頃から現在に至るまでずっと、つまり先天的な低血圧症です。仕事で疲労が溜まる夕方になると、からだの活力も乏しくなり、心臓や血管の力も衰えて血液を頭頂まで十分に上げることができなくなってしまうのかもしれません。

 極端な例ですが、小脳や脳幹の脳梗塞を患いますと後遺症として足と頭が一致しないような症状になることがあります。寝たり座ったりしているときは大丈夫なのですが、立ち上がって歩いたり作業をしたりしますと、足元がふらついてヨロヨロしたりフワフワしたりしてしまいます。バランス調整に関係する小脳へ血液が届かないからだと考えることができます。

 これらのように脳に十分に血液が届かないでもたらされる症状に対しては、「どうすれば血液が十分に届くようになるのか?」というのが解決策ですが、実際の臨床ではなかなか難しいことのようです。“めまい”や“ふらつき”に対して「ビタミン剤を処方して血液の流れを良くする」という方法がしばしば用いられるようですが、「???」と私は思ってしまいます。それではあまりにも芸がなさ過ぎなのではないでしょうか。(かつて私は顔面神経麻痺を患ったことがありますが、その時も耳鼻科でビタミン剤が処方されました。しかし薬が効いたという感覚はありませんでした。)

 心臓の働きが弱いとか、体質的にかなりの低血圧だという場合は対策がなかなか難しいかもしれません。心臓に負担が掛かりすぎないように注意したり、疲労が蓄積しないように気をつけることは肝要だと思います。整体的手法として心臓や血管の働きを補助し、血流をアップする方法が無いわけではありません。私は時々行ったりしますが、「確実性」という面では何とも言えませんので、ここでは取り上げないことにします。

 脳への血液供給は、心臓のポンプ力で首の動脈を昇らせるわけですから、首の動脈が圧迫されていたり、あるいはその他の理由で流れが悪いと血液供給が十分ではなくなる可能性があります。
 首肩の強いコリは血管を圧迫するため循環不良の原因になる可能性があります。少し前の投稿で説明しました「椎骨動脈の流れ」はとても影響すると思います。それ以外に、「動脈の流れは静脈の状態に影響される」という整体的観点の見方があります。むくみなどで静脈血の流れが停滞していますと“渋滞状態”で動脈血が入っていけないというものです。
 これらのことを細かくチェックしていきますと、脳への血液供給量を増やす方法は見えてくると思います。

②血流の問題ではなく、機能の問題の場合
 めまいに関係する器官として真っ先にチェックすべきは内耳の平衡器(三半規管)です。「耳石が悪さをしている」と診断される場合もありますが、それ以外に「耳がずれている」というのもあります。また「頚椎が歪んでいる影響」というのもあります。
 私たちも含め、地球上の生物は海(水中)で誕生しました。ですから、すべての代謝や反応や機能は水の中で行われるようにできています。
 三半規管は「内リンパ」と呼ばれる水で満たされています。頭が傾くことによって耳石が動き、内リンパに流れが生じますが、それを感覚細胞が察知して平衡感覚が維持されるようにできています。ですから「リンパ」「水」というキーワードはとても重要です。
 「耳がずれる」というのは頭蓋骨が歪んでいるため、耳(内耳も含む)のある側頭骨が本来の位置からずれているということです。そして、このような人は本当にたくさんいます。(左右の耳がまったく正しい位置にあるということは殆ど無いと言ってもよいと思います。)
 おそらく、からだのすべての器官について言えることだと思いますが、許容範囲内での“ずれ”は“症状”という問題を起こすことはないと思います。しかし、許容範囲を超えたり、あるいは“ずれ”が幾つか重なってしまうと“症状”が現れるのだと思います。

 さて、内耳を含む側頭骨が歪みますと、静脈とリンパの流れに影響が出ます。それは膝の関節がずれると膝に水が溜まってしまうのと同じ原理です。ここで「リンパ」というキーワードが登場します。「内リンパとリンパは違う」という見解を示される方がきっといらっしゃると思いますが、私はそのように考えず施術を行っています。側頭骨の状態を修正し、耳の周りの筋肉や筋膜の状態を整えます。そうすることで耳周辺のリンパの流れが良くなり、内リンパの状態も改善し、三半規管の機能が正常な状態に戻ると考えるからです。
 そして同時に頚椎の歪みを整えます。「頚椎4番は耳に関係する」という整体的な見解があります。「どうしてそうなのか?」という理由については知りませんが、実際の現象としてそういうことが多いので、私はこの見解を支持して採用しています。
 一通り施術を行った後で、頭を振ってもらい、筋力検査を行います。平衡器官の働きにバランスが戻りますと、頭を振った直後でも筋肉の働きに影響はでません。少しでも筋肉の働きが低下するようでしたら、それはまだ「めまいの種は残っている」と判断して、施術を継続するようにします。

 ところで、このように機能を整えたとしても、座ったり、立ち上がったりするとおかしくなってしまうことがあります。①で説明しました「血流」のこともありますが、それ以外に骨盤や下半身に問題がある場合があります。
 「座った時に症状がでる」ということは、骨盤や坐骨に荷重が掛かるとからだの機能がおかしくなる、つまり骨盤がからだをしっかり支えられない状態にある、ということを意味します。「立ち上がったときに症状が出る」場合は、股関節、膝関節、足関節(足首)などに問題があって、しっかり立つことができないということを意味します。

足と頭の連係
 目から入る視覚情報は平衡感覚の安定性に貢献しているようです。普通に立っているときは大丈夫でも、目を閉じると不安定になってしまったり、真っ直ぐに立っていることができなくなってしまう人がいますのでこのことがわかります。比率的には高齢者の方に多いかもしれません。
 ところが、このような人でも座った状態では大丈夫だったりします。ですから視覚情報は直接平衡感覚に影響を及ぼすというより、足のバランス感覚を調整することを通じて平衡感覚に貢献しているのかもしれません。(但し、視覚障害の人でも平衡感覚に問題のない場合が殆どでしょうから、視覚情報は平衡感覚維持にとって必要条件というわけではないのでしょう。)

 では、足の状態が平衡感覚に影響を与えるか否かについてはどうでしょう? 
 冒頭に登場していただきました常連の方に対して、めまいに対するいろいろな施術を行った後でベッドから立ち上がっていただきました。症状は良くなったものの、今一つしっくりしない表情を浮かべました。「ふらつきもないし、フワフワもしないけど、何となく安心できない」という感想です。そこで「これは足の問題が残っているんだな‥‥」と思いまして、膝や足首や足の状態を詳しくチェックしてみました。すると右の膝関節が少し歪んでいることがわかりました。
 それを調整して、再び立ち上がっていただきますと今度は表情も晴れて、安心した様子になりました。足の不安定さが安心感も含めた平衡感覚に影響を与えていたということです。

 さて、膝や足首の悪い人はたくさんいますが、それらの人が全員、平衡感覚に問題を抱えているというわけでありません。ですから「膝や足首がおかしくなると“めまい”や”ふらつき”を起こす」という考え方は間違いということになります。
 しかしながら“めまい”や“ふらつき”など平衡感覚に問題が起きた状態を改善しようとする場合に、血流を整え、内耳の状態を整えるだけでは不十分で、足(下半身)の状態を整えなければならない場合もあります。
 ですから「足のバランスが悪くなると」あるいは「足からの何らかの情報が脳に届かなくなると」あるいは「足から頭への情報が乱れた状態になると」平衡感覚が正常ではなくなる可能性がある、と言うことはできるかもしれません。

 ところで足と頭(脳)の精妙な連携にとって「小脳の働き」はとても気になります。下記のサイトを是非ご覧になってください。


 高齢化の現象として、加齢現象の一つとして、“足元の不安”があります。「段差もないのにつまずいてしまう」「なにしろ転ばないように用心深くなる」と高齢者はよく仰います。その用心深さが足首の動きを硬くしてしまうため、からだに悪影響が及んだりすることもあるのですが、そのことよりも“足元の不安感”の方が先に立つようです。
 ですから「足元に不安定さを感じるようになったら老化が進んだ」と言えるのかもしれません。それは単に「筋力が衰えた」「骨格が弱くなった」という老化現象ではなく、小脳と足の連携に“ずれ”が生じ始めたことによって“不安”が心を占めるようになってきたという老化現象です。
 もしそうであるならば、対策としては足趾や足底の感度を高めるために裸足で動く時間を増やしたり、足元に不安を感じたとしても外出して歩いたり作業したりする時間を増やすことなどかもしれません。
 「危ないから家でじっとしていて!」という家族の気持ちはわかりますが、それでは益々小脳と足との連携のずれが大きくなってしまうかもしれません。ですから、見守りながらも、なるべく足を使って動く時間を増やすのが良いのではないかと思います。



 以上をまとめますと、めまい、ふらつき感、足元の不安定感の原因としては
①脳への血流が悪く、必要な血液が足りない状態(≒酸欠状態)
②頭蓋骨の歪みなどにより内耳(三半規管)機能のバランスが悪くなってしまった
③小脳と足の精妙な連携にずれが生じた
 などが考えられるということになります。
 そして、どれか一つの問題だけでは症状を発することはなく、2つ3つ悪い状態が重なったときに症状が現れるのではないかと思われます。
 ですから、症状を改善しようとする場合は、「①血流、②耳(頭蓋骨)、③足(下半身)の3つの側面を全部確認して調整する必要がある」ということになります。


参考文献‥‥「ヒトのからだ」(三木成夫著)より引用
平衡器(耳)
 われわれは、自分自身の体位や動きの変化を、耳の奥にある平衡器で感ずる。これは骨迷路に浮かぶ膜迷路の後ろ半分からなりたつ。それは球状と楕円状の袋(球形嚢および卵形嚢)に三つのドーナツ型のチューブ(三半規管)が、たがいに直角に交わるようにくっついたもので、これらの袋やチューブの中には液体(内リンパ)がみちている。

ヒトとクラゲの平衡覚器

 球形嚢と卵形嚢の底には、小さな石(耳石)がしずみ、そこにはえている感覚細胞の毛を静かにおさえつけている。そして、からだがよろめき、あるいは頭が上下、左右、前後に動いたとき、この石がゆれて、毛をなでるしかけとなっている。一方、三半規管のそれぞれの輪の一端は、わずかにふくれ上がって、その壁には、やはり毛のはえた感覚細胞がならんでいる。そして、頭が前後左右、あるいは水平に回転したとき、それぞれの半規管に内リンパの流動がおこって、この感覚細胞の毛をなびかせるしかけとなっている。そして、この興奮が脳へ伝えられるのである。
 このような平衡器は、すべての動物に共通したものである。すなわち、動物が地球上でひとつの運動をする時には、そこが水中であれ陸上であれ、あるいは空中であれ、これだけの装置が必要なのである。ただしこの場合、一般に運動の単純な無脊椎動物では、わずかに球形嚢に相当するものだけしかなく、もっとも簡単なアメーバでは、細胞質内の粒子の慣性だけでこれがまかなわれるという。
 一般に平衡反射は、全身の動物性筋肉によって体位の立て直し、すなわち、反動という形でなされるが、この際特に眼球の運動が、このひとつの代表として行なわれる。これは目標がからだの外になくて、その内にあるので、そこでは一般の向背運動は見られない。このように動物性筋肉によってささえられている平衡反射も、動物の分化とともに、しだいに植物性筋肉の運動がこれに加わり、特にめまいによる吐気(はきけ)は、日常しばしば経験するところである。


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 椎骨動脈は頚椎の横突起の中を通って頚部を上り脳の中に入って行きますが、頚椎2番、頚椎1番、後頭骨の関係にズレが生じていますと流れが悪くなり、脳幹や小脳への血流量が減る可能性が考えられる、ということは前回の投稿で申し上げました。
 そして、現代社会環境で暮らす私たちは“下向き加減”の生活を強いられていますので、頭部が頚部に対して前にずれている可能性が高く、それが椎骨動脈の流れを悪くしている大きな要因になっている可能性があると申し上げました。
 実際、猫背気味で首が前にでている人が多いのですが、その姿勢では前に出ている首を支えるために頚長筋(けいちょうきん)が常に作動している状態になっています。つまり頚長筋がこわばっています。そしてこれは肩こりの人がよく指摘される“ストレートネック”の原因でもあります。

環椎後頭関節とその動きに関わる筋肉

 椎骨動脈の流れを考えたときに、最も注目すべき部位は頚椎1番(環椎)と後頭骨との関節である環椎後頭関節です。ここで後頭骨が環椎に対して前方にずれますと椎骨動脈に余計なテンションが掛かりますので椎骨動脈の流れが悪化する可能性があると以前にも記しました。そして、このずれを生じさせる原因の一つとして頭長筋のこわばりが考えられます。

頚長筋と頭長筋のこわばりは後頭下筋群のこわばりにつながる
 ここで、頚長筋と頭長筋のこわばった状況をイメージしてみます。

首が前に出た状態の後頭下筋群、舌骨下筋群、頚長筋、頭長筋

 頚長筋のこわばっている人は首が前にでている人で、その状態で読書や勉強や事務処理などで視線を落とし、顎を少し引いて下向き加減の状態を続けますと頭長筋もこわばります。さらにその状態を保ったまま顎を上げて前方を向きますと、後頭部と頚椎の境(環椎後頭関節)を中心に頭を上げることになりますので、後頭下筋群を使って前を向く姿勢を築いていることになります。
 例えば書類を見ながらその内容をパソコンに入力する作業で、書類をキーボードの手前に置き、背もたれにもたれながら(猫背の姿勢)前方にある画面と書類とを見比べながら作業を続けていたとします。この状態では首が前に出ている状態を保つために頚長筋は常に収縮しています。そして頭を上下させるのは頭長筋と後頭下筋群ですので、どちらの筋肉もこわばります。そして後頭下筋群がこわばりますと首の後側の筋肉(背中から繋がる背筋や脊柱起立筋群)は猫背による影響も加わりゆるんでしまいます。すると首を支えるために頚長筋にはさらなる負担がかかりますので、頚長筋のこわばりはとても強くなってしまいます。

頚椎7を中心に首を動かす

 頚椎は7個あります。本来上を向いたり下を向いたりする動作の支点であり起点となるのは頚椎7番と胸椎1番との関節です。「首のつけ根が動いて首が上下に動く」といった感じが本来の姿であり、そのように動作できていれば背筋が使われますので、背中はしっかりし、座っていても骨盤が立ってきて姿勢が自然と良くなります。頚長筋のこわばりも弛むようになりますので、背が高くなり視線が高くなる印象になると思います。硬くこわばっていた後頭下筋群の状態も良くなり、後頭部の頭痛が改善するかもしれません。

頚長筋と頭長筋のケア
 さて、多くの人の頚長筋と頭長筋はこわばっていると思いますが、それをケアする方法について説明させていただきます。

頚部前面と椎前筋2

 頚長筋も頭長筋も一番深部にある筋肉です。その前面には気道(気管)や喉、食道、そして幾つかの骨格筋がありますのでアプローチがけっこう難しく、触り馴れるまでは正確に捉えることができないかもしれません。またケアを始めたばかりの頃は、気管やその周辺の筋肉も硬くなっていますので、スムーズに手が奥に入っていきません。そのことを承知された上で、最初から「バッチリ決めよう!」とは思わずにケアを行ってください。ケアを行っている間に、少しずつ筋肉や組織が柔らかくなっていきますので、次第に手が深いところに入っていき、目的である頚長筋をと捉えることができるようになります。

 注意事項としては、
①必ず頚動脈を避けてください。
 そのためには、最初に頚動脈がどこにあるのかを確認してください。頚動脈はしっかり脈を打っていますので、その位置は把握しやすいはずです。目的である頚長筋は頚動脈よりも中心寄り、気道(気管)の方にあります。

②強い力で押さないようにしてください。
 気道と、その裏にある食道やその周辺の組織は敏感ですので傷つけないように注意する必要があります。
 要領がつかめないうちは、なかなか手が奥の方に入っていきませんから、ついつい力が入ってしまうかもしれません。そうならないように十分に注意してください。

頚長筋のこわばりを改善するケア
 頚長筋の下部は胸椎3番になりますので鎖骨より下にあります。しかし、そこには手が届きませんので先ずは鎖骨のところ辺りからケアを始めます。

頚長筋へのセルフケア

 鎖骨の上縁の深部を指先で軽く圧しながら中央部(胸骨)から外側にゆっくり辿っていきますと頚動脈の搏動にぶつかります。そこに頚動脈があり、それは垂直に上方に進んでいます。そこは圧しないように確認します。頚動脈より指1本分内側に気道の縁があります。そして気道の裏側に食道と関係する組織があります。目的の頚長筋はその更に奥にありますので、先ずは母指以外の四指の指先を使って気道と食道に関係する組織をグイッと反対側に動かして、決してそれらを圧しないように避けます。

 気道と食道とその周辺の組織を避けた状態で、そのまま四指の指先を少し奥に差し込んでいきますと搏動を感じると思います。それは頚動脈ではなく椎骨動脈の搏動です。椎骨動脈は頚椎の横突起の中を通っていますが、頚長筋の本体はその更に内側、椎体の方にありますので指先を差し込んだままの状態で更に四指を中央の方に移動しますと硬く緊張した頚長筋にぶつかります。こわばりの強い人はかなり痛みを感じるかもしれません。

 頚長筋に指先が当たっていることが確信できましたら、少し圧を増して筋肉を上方に引き上げるようにしてしばらくのあいだ圧を加え続けます。多少椎骨動脈の脈動を感じると思いますが、それはそれほど気にしなくても大丈夫です。
 はじめのうちは、硬い筋肉を圧したときの痛みが強かったかもしれませんが、次第に痛みが弱くなり、少し気持ち良さを感じるようになると思います。
 そうなりましたら、場所を少しずつ上方にずらしていき、同じようにケアを行いします。すると内臓が動き出してお腹が鳴り出したり、目の見え方変わってきたりという変化が現れると思います。椎骨動脈の流れが良くなり、脳神経の働きに変化が現れた現象です。

 ここで注意しなければならないことは、鎖骨近辺から始め、上方にケアするポイントをずらしていきますと胸鎖乳突筋にぶつかりますので、それを避けなければならないことです。胸鎖乳突筋もお構いなしに圧してしまいますと頚長筋を捉えられなくなるばかりでなく、胸鎖乳突筋を傷つける可能性もありますので、上手に避けてください。

頭長筋のこわばりを改善するケア
 頭長筋へのケアは頭部と頚部の関係を改善するためのポイントとなります。ほとんどの人の頭長筋は、程度の差こそあれこわばっていると思います。
 頭長筋は頚長筋の上部にありますが、周囲には胸鎖乳突筋、顎二腹筋、茎突舌骨筋といった骨格筋や咽頭関係の組織がありますのでなかなか直に探り当てることは難しい筋肉です。

頭長筋へのセルフケア

 耳の下部の後頭部側には大きな突起(乳様突起)がありますが、そこと下顎のエラとの間に頚椎1番の横突起があります。その辺りに深めに指先を入れた状態で、軽くうなずいてみます。この時に収縮する筋肉が頭長筋ですが、エラのすぐ後あたりを更に強めに指を入れていきますと、硬く張っていて、うなずく動作に合わせて収縮する頭長筋の筋線維を探り当てることができると思います。けっこう痛みを感じる人も多いのではないかと思いますが、頭長筋へのケアはその張っている筋線維をゆるめることです。
 ゆるめ方は筋線維に指先で圧力をかけたままの状態で少し上方へ引き上げるようにします。筋線維が硬いうちはかなりの痛みを伴うと思いますが、躊躇せずに思い切って上方へ引き伸ばすように持続的に圧をかけ続けることがポイントです。決してグイグイ押したり、揉むようにしたりしないでください。筋線維を傷める危険性があります。
 痛みをこらえながら持続圧を続けていますと、頭長筋が少しずつゆるみだし、頭部と頚部の関係が改善し始めます。すると脳神経の働きが良くなり始めますので、視界が明るくなり目が開くようになったり、迷走神経の働きが良くなって内臓が反応し始めたりする変化が現れると思います。頬のタルミも改善し、フェイスラインがシャープになったりします。
 こういった変化は圧をゆるめると消えてしまったり、あるいは長持ちしなかったりするかもしれません。それは長年頭長筋をこわばらせてきたので、頭長筋が形状記憶のような状態になっているのだと思われます。「ゆるめてもすぐに元の張った状態に戻ってしまう」、「次の朝には元の状態に戻ってしまう」などという状態から始まるかもしれませんが、何日間かケアを続けますと良い状態が長持ちするようになると思います。


 今回取り上げました頭長筋と頚長筋のケアは実際のところ、「簡単にできる」というものではありません。
 現在整体の勉強会に参加されているメンバーに、“筋肉を正確に捉える”訓練の一環として上記の内容を練習してもらっていますが、なかなか上手くできないようです。ですから、技術的には“高度な手技”の部類に入るかもしれません。
 このことをご理解の上、最初から「上手にこなして結果を求めよう」ということにこだわらず、「何度かやっているうちに何となく上手くできるようになってきた」というスタンスで取り組んでいただければと思います。
 くれぐれも組織や筋肉を強く押しすぎて傷めることのないように注意してください。  
 

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 以前に椎骨動脈(ついこつどうみゃく)の流れについて取り上げました。首と頭の位置関係が悪くなると椎骨動脈の流れが悪くなり、脳幹や小脳の働きに影響がでる、といった内容でした。
 その後も観察を続けてきましたが、今はハッキリ「頭の位置が悪くなると脳神経の働きが鈍くなる」と言うことができます。「脳神経」という言葉の響きは「脳神経外科=脳の病気」というものを連想させますので、単なる整体師である私が口にするのは「不適切」と受け取られるかもしれませんが、それでもやはり脳神経のことなので、そう言わざるを得ません。

 ”頬のたるみ”を整えることは美容であり、エステティシャンや美容整形が取り扱う分野だと思われている人が多いと思います。ところが、頬の筋肉は顔面神経の働きによって機能していますので、顔面神経の働きが鈍くなりますと頬のたるみは取れません。エステティシャンの施術やいろんな美容機器を駆使して一時的にたるみが改善されたとしても、長持ちはしません。(素肌のハリなど皮膚に関することは顔面神経ではないのですが、たるみは表情筋のゆるみであり、顔面神経に関係します。)
 寝ているのに瞼がしっかり閉じきれない人がけっこういます。これは眼を閉じる眼輪筋の働きが中途半端な状態です。まばたきの多い人、ドライアイの人もこの傾向にあると思われます。これらの症状に対してネット上では「眼輪筋トレーニング」なるものが推奨されているようですが、眼輪筋トレーニングで目元がおかしくなった人を知っていますので、是非気をつけていただきたいと思います。そして、そんなトレーニングなどしなくても頭の位置を修正すれば何の苦労もすることなく症状は消えてしまうと私は考えています。

脳幹の働きに影響を与える脳底動脈
椎骨動脈の走行

 この写真は以前にも掲載しましたが、頚椎に沿って上り、頭蓋骨の中に入る左右の椎骨動脈の走行ラインを示しています。頭蓋骨に入った左右の椎骨動脈は合して一本になり、脳底動脈という名称に変わります。

椎骨動脈の流れ

 脳幹は生命維持に重要な機能の中枢部があるほか、感覚神経、運動神経の通路になっている大切なところです。そして、そこに血液を供給しているのが脳底動脈です。例えば椎骨動脈が狭窄したり閉塞したりして脳底動脈への血流が途絶えますと、脳梗塞を起こして脳幹の機能が麻痺してしまうこともあります。そこまでいかなくても、脳底動脈の流れが悪くなりますと脳幹への栄養が不十分になりますので、脳幹の機能が低下することが考えられます。
 そして、今回取り上げますのはそんな状態についてです。

脳神経の主な働きと椎骨動脈の流れの関係

脳神経

 脳神経は12対ありますが、上図に示されています通り、鼻(臭い)、耳(聴覚)、眼(視覚と眼球の運動)、口と顎(そしゃく運動と歯の知覚)、舌、顔の表情と知覚、平衡感覚の中枢的(神経核となっている)な役割をしています。さらに、迷走神経は副交感神経系として内臓の働きをコントロールし、副神経は胸鎖乳突筋と僧帽筋をコントロールして首と肩の運動に影響を与えています。

 ここで話は飛びますが、神経と血流の関係について考えてみます。例えば長い時間正座をしますと膝や足首の周りがしびれて辛くなりますが、さらにそのまま座り続けていますと感覚がとても鈍くなります。この現象は膝を曲げ続け、ふくらはぎを圧迫し続けたことによって膝から下への血流量が乏しくなったのか、あるいは神経が圧迫され続けたことによってもたらされたと考えることができます。
 つまり神経に酸素と栄養を供給する血流が乏しくなったことで神経が半ば麻痺状態になったのか、あるいは神経管が圧迫されて神経伝達が異常な状態になったと考えられます。

 ①神経を養っている血流が途絶えたので神経が麻痺状態のようになった
 ②神経管が圧迫されたことで、その中で行われる神経伝達が上手くいかなくなった

 正座を止めて膝を伸ばしますと、あの何とも言えない神経の反応現象を経験しますが、やがて麻痺状態だった神経は本来の状態に戻ります。
 ですから、長時間の正座という一時的な状況のために神経の働きが悪くなったわけですが、その一時的な状況が本来の状態に戻れば神経の働きは正常になりますので「神経が損傷したとか病的な状態になった」ということではありません。

 “脳神経”という言葉の響きは恐怖や不安を抱かす可能性が高いので、「脳神経の働きが鈍っている可能性がある」という説明は、実は私もしたくありません。しかし、そういう言葉がやはり適当だと思うのです。
 「MRIの検査では何処にも異常はないと診断された」と反論されることがありますが、確かに神経(神経管)にも血管にも異常はないことでしょう。ただ血管の中を流れている血液の量が正常な状態より乏しくなっているので、神経の働きが80%とか、70%とか(数値は知りませんが)の状態になっているのではないかと推察できるだけです。それは上記の正座によるしびれと同様の原理です。
 そしてその状況は眼の働きを弱め、表情筋の働きも弱めるので、頬がたるみ、口角が下がり、眼がしっかり閉じないのでドライアイになり、耳の過敏症(音が気になる)や「立つとふらついたりフワフワする」(平衡感覚や小脳の働き)といった症状となって現れるのだと思います。
 そうであるならば、ドライアイの目薬は効き目が実感できず、フェイシャルマッサージも効果が持続せず、平衡感覚の薬もそれほど効果が感じられない、という状態になってしまうのだと思います。

”下向きかげん”が多いことが血流に影響
 以前にも説明したことですが、頭部と頚部(首)との境には後頭骨と頚椎1番(環椎)の関節(環椎後頭関節)があります。そしてこの関節は前後にスライドできる仕組みになっています。これによって私たちは首を固定された状態でも、少しだけなら頭を前後に動かすことができます。私たちが軽くうなずく時、この関節でスライドが起こっているわけですが、その動きを起こす筋肉は、頚椎の前面では頭長筋であり、後面では後頭下筋群です。

環椎後頭関節とその動きに関わる筋肉

 現在の私たちの日常生活では、スマホやパソコンを見たり、新聞や本を読んだり、学生や受験生は勉強ばかりしていたりと下向き加減で過ごす時間が大変増えています。このことは頭長筋や頚長筋、そして首前面の筋肉(舌骨下筋群)を収縮し続けている時間が長いということですので、多くの人のそれらの筋肉がこわばっている可能性が高いと考えることができます。

頚部前面と椎前筋

・頭長筋と頚長筋
 私たちの首の前面には喉仏がありますが、喉を含めて空気の通る気管とそのすぐ後側に食物の通る食道があります。そしてその奥(裏側)に頚椎があって、頭長筋と頚長筋はそこにあります。ですから「奥に手を突っ込まないと触ることができない」筋肉が頭長筋であり、頚長筋です。
 この辺りには頚動脈がありますし、咽頭の働きに関係するデリケートな筋肉もありますので、慎重の上に慎重に触れていかなければならないのですが、頭長筋、頚長筋に手が届きますと少し痛みを感じます(こわばっていますので)。持続的に圧(指圧)をかけ続けていますと痛みからイタキモ(痛気持ちよい)にかわり、やがて痛みも柔らでいきます。そして同時に、眼の働き、顔のハリ、他の感覚器官の働きが良くなるのを感じることができると思います。椎骨動脈の流れが良くなり、脳幹への血液供給量が増えたからだと考えることができます。

・舌骨下筋群(胸骨舌骨筋、胸骨甲状筋、甲状舌骨筋)
 首の前面には軟骨でできている気管がありますが、その途中にはいわゆる「喉仏(のどぼとけ)」と呼ばれる喉頭隆起があり、その上部に舌骨があります。胸から舌骨に繋がっている筋肉を総称して舌骨下筋群(ぜっこつかきんぐん)と呼びますが、これらの筋肉がこわばりますと舌骨を引き下げますので、下顎も下方に引っ張られ顔は下向き加減になります。
 舌骨下筋群のこわばりによる下向き状態だけで椎骨動脈の流れに影響が及ぶかどうかは定かではありませんが、顔の下向き加減を修正して視線が高くなるようにするためには頭長筋、頚長筋のこわばりを解消するだけでなく、舌骨下筋群のこわばりも解消する必要があります。
 また、頭長筋と頚長筋のこわばりを解消したとしても、舌骨下筋群のこわばりが解消されなければ下向き加減の状態は変わりませんので、頭長筋がこわばりやすい状態が残されてしまうと考えることができます。  

脳神経の働きを高めると改善すること
 眼、鼻、耳、舌、顔面の皮膚感覚、平衡感覚に関係する症状は椎骨動脈の流れを良くすることで改善する可能性がたくさんあると思います。但し、頭蓋骨の歪みやその他の要素でこれらの働きが悪くなっていることもありますので、そちらも修正しなければなりません。
 それ以外に、第11脳神経の副神経は僧帽筋と胸鎖乳突筋の支配神経ですから、この神経の働きが悪くなりますと肩甲骨が下がり、鎖骨や胸骨が下がるという状態になります。首が他の人に比べて長く見える可能性が考えられますし、いわゆる「なで肩」はこの影響もあるのかもしれません。僧帽筋の働きが悪くなりますと、肩に荷を背負うことが苦手になります。リュックや肩掛けカバンは辛く感じると思いますし、極端な人では、コートやジャンパーなどを羽織るだけで瞼が重くなり眼の開け方が悪くなったりすることもあります。
 第10脳神経の迷走神経は自律神経の副交感神経系として内臓の働きに関わっています。「動悸がして、胃腸の働きが悪い」などと聞きますと「迷走神経の働きが悪い?」などと連想してしまいます。
 ピロリ菌を除去しても、胃薬を飲んでも「胃の状態がなかなか改善しない」思われている人は、脳神経の働きを高めることを試してみるのも良いのではないでしょうか。

頭のふらつき、フワフワ感‥‥小脳の働き?
 椎骨動脈は脳底動脈になりますが、その後、小脳や後頭葉に血液を供給する動脈となります。「めまいとは違うんだけれど、立つと頭がふらついてフワフワ感もある」という症状を訴える人がいます。
 立ちくらみや起立性の貧血症状は低血圧などの理由で脳への血液供給が遅れたしまったときなどに起こると思いますが、それとも違って、頭と足との連係にズレが生じてしまうように感じてしまうような症状もあります。
 小脳の脳梗塞を経験した人に聞きますと、失調と呼ばれる症状として、眼から入る情報と足から入る情報の処理がうまく噛み合わなくて、ふらついたりフワフワしたりするような状態になることもあるようです。洗濯物を干すために下を向いたり上を向いたりする動作が繰り返されるとフラフラになってしまったり、自転車を乗ることができなくなったり、立った状態でただ足元を見るだけでもフワッとした感じになったりするようです。

 脳梗塞を患ったわけでもないのに、同じような症状を訴える人が何人か来店されています。年齢的には中高年から高齢者になります。年齢的なこともあり、「血液や血圧や心臓や脳に問題があるのかもしれない?」といろいろ検査されていますが、決定的な診断はなされないようです。ですから本質的な治療は行われないようで「どうしてよいやら?」と、困った状態で日々を過ごしているのが実態です。
 私はこの「ふらつき症状」に関して確たる根拠を持っているというわけではありませんので、自ら積極的に「やってみましょう」と施術を行うことはしていませんが、頭長筋、頚長筋を整える施術を行いますと改善傾向が見られます。2~3度の施術ですっかり良くなってしまった人もおりますし、その時は良くなったように思えても何日か経つと症状が戻ってしまう人もおります。
 これらの違いについては観察と考察を続けて原因を探し出す必要がありますが、これまでの経験で申し上げれば、原因がよくわからないとされるフラフラ感やフワフワ感に対して、頭部と頚部の関係を整えることで明らかに改善の傾向は見られます。ですから医学的にも知っていただき、医療の現場での治療法の一つとして取り入れていただきたいと願うものです。

ライフスタイルの変化の中で
 今から150年前に明治維新があり、文明化の流れが始まりました。それまで庶民のほとんどは毎日肉体労働をしていて、遠くの山並みを眺めたり、遠くの水平線を眺めたりしながら暮らしていたと思われます。それから少しずつ文明化の流れが生活の中に入ってきましたが、戦後の工業化社会になるまではさほど生活様式に変化がなかったのかもしれません。ところがこの数十年で文明が高度に発達し、学歴社会が到来して新聞や書物に接する時間が増えました。現在は誰もがスマホを持ち、会社ではパソコン画面を見ている時間が増え、私たちの多くが毎日何時間も視線を落とした下向き加減の生活をするようになりました。山並みを眺めたり水平線を眺めたり、つまり視線を高くして伸び伸びと生活する姿は皆無に等しくなりました。この生活様式の変化は、私たちの筋肉の使い方に確実に変化をもたらしています。
 運動不足を解消して健康なからだを維持するためにジムに通ったり、ヨガをやったりと、皆自分のやり方で努力をしています。それはそれで良いことであります。ところが、からだの使い方として根本的なところに問題がありますと、いろいろな努力も効果が半減してしまいます。私は、今回取り上げた頭部と頚部の関係における椎骨動脈の血流の在り方は、私たちの感覚器官に直接関わってくるところですので、非常に大切なことだと考えます。
 この現代社会において、どのようなライフスタイルで暮らし、どのようなセルフケアを行えば良いのか? そういった研究は地味ではありますが、きっと多くの人の役に立つと思います。

 脳神経が本来の能力を十分に発揮でない状態だとするなら、それだけで「なんとなく冴えない」などと感じると思います。そしてそれは、やがて不調や不快感に発展していくと思います。
 ですから、心ある研究者が現れて、医学的、科学的見地からこのことに関して研究が進み、一般の人にも広く知識と情報が広まることを望みます。

 (次回は、頭長筋と頚長筋に対するセルフケアなどについて取り上げます。)


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 「上部頚椎を整える」ことを専門にしているカイロプラクティックや整体院があります。上部頚椎というのは頚椎1番と頚椎2番のことですが、意味するところは頭蓋骨の基部である後頭骨と首との接続部分を整えると全身に影響が及び、からだが元から改善される可能性があるということだと思います。
 後頭骨と頚椎1番の関節部分は、その周りに筋肉を含め軟部組織が分厚くありますので直接触って状態を観察するのはなかなか難しいところです。また、歪みの状況が解ったとしても、それを素速くきれいに修正するのはなかなか難儀だと私は感じています。カイロプラクターや骨を直接動かす施術を行う整体師は「コツン」と軽く一撃することで歪みを修整するということですが、私はそういう技を持っていませんので修正に時間を要してしまいます。
 しかしながら、この部分が歪んでいるために首の動きが制限されていたり、「痛くて首を動かせない」状況だったり、さらには目や耳など感覚器官の働きが「今一」だったりすることがありますので、からだの能力を十分に発揮できるようになるためには、整えておかなければならないところだと考えています。

目の働き、舌の動きに影響する環椎後頭関節
 頚椎1番のことを専門用語として環椎(かんつい)と呼びます。私たちが軽くうなずいたり、少しだけ顎を上げたりする動作は、頭蓋骨(後頭骨)と環椎の間の関節(環椎後頭関節)で行われています。後頭骨は環椎の上で前後に滑るように少し動きますので、頭を少しだけ動かす時にはほとんどこの関節だけを使っている感じです。

 あるデザイナーの人は一日中パソコンを使ってデザインの仕事をしていますが、瞼が重たくなってしまい目を開けていることが辛い状態です。それでも目を開けていないと仕事になりませんので、頭の筋肉を使って瞼を引き上げているため頭もカチカチに硬くなっています。そんな辛い状況でも頑張らなければならないため噛みしめ癖も持つようになってしまい、更に辛い思いをする日々を過ごしています。

 私が施術を行った直後は、症状は軽快します。しかし、1分くらい座ったままでいますとまた瞼が重たくなってしまいます。原因について、いろいろな可能性を考えて対処しましたが「うまくいったようで‥‥、やっぱり駄目か」という状況が続きました。
 私も悩みまして「あと残った可能性は?」などと自問していましたが、すると「もしかしたら頭が乗っている位置が狂っているのかも」という思いが浮かび上がってきました。そこで、座った状態で頭を少しだけ後に引いてみました。すると“どよ~ん”としていた眼や瞼が開き出しました。そして私が頭から手を離して、再び元の状態(少し頭が前に出た状態)に戻ってしまうと、また“どよ~ん”としてしまいます。
 「頭の位置が悪くて脳の血流が悪くなっている」と私は思いました。

椎骨動脈(ついこつどうみゃく)
 心臓から頭(脳や顔面)に動脈血を運ぶルートには“頚動脈”と呼ばれて多くの人が知っている内頚動脈と外頚動脈がありますが、それ以外に頚椎に沿って進む椎骨動脈があります。

脳を養う内頚動脈と椎骨動脈

 椎骨動脈は鎖骨下動脈から枝分かれして頚椎6番の横突孔に進み、そのまま環椎(頚椎1番)の横突孔まで昇っていきますが、その後ほぼ直角に後方に曲がり、さらに大きく前方に曲がって後頭骨の中に入り脳へと進んでいきます(脳底動脈)。血流という面で、頚椎2番(軸椎)と環椎と後頭骨の関係性は気になるところです。
 椎骨動脈は左右2本ありますが、後頭骨に入ると1本に合して脳底動脈という名前になります。脳幹や小脳に血液を供給し、大脳の後頭葉に進みますので、脳の後方循環系と呼ばれます。脳幹には脳神経の核がありますが、鼻、眼、耳、舌といった感覚器官を司っているほか、表情筋とそしゃく筋の働き、嚥下の働きなども司っています。ですから、椎骨動脈の流れが悪化すると視力や視界が悪くなり、瞼の動きも悪くなるということは説明がつくことです。

椎骨動脈の流れ

 先ほどのデザイナーの人は、首に対して頭がちょっとだけ前に出た状態でした。つまり環椎後頭関節にズレが生じている状態ですが、それによって椎骨動脈の流れが悪くなり眼や瞼の動きが悪くなってしまった可能性があります。私が手で頭を後方に少し引っ張ると眼や瞼の状態が良くなったのは、その現れだと思います。

頭(後頭骨)のずれが舌の動きに影響を与える
 「しゃべると顎先が上下に動き、息苦しくなって舌の動きも悪くなる」と訴える人がいます。顎を下げた状態(顎先がからだに近づいた状態)では口を大きく動かすことができなくなってしまうので、言葉をしゃべるときは頭を上向き加減にして顎先を上げるようにしてしまいます。しかしそうなりますと気道がふさがってしまい呼吸が苦しくなって言葉を続けることができなくなってしまうということです。顎を下向き加減にすると呼吸ができて楽になるのですが、すると口が開かず喉が詰まるようになってしまいます。ですから結局この人は、言葉をしゃべりながら顎先を上下に揺らすようにしています。
 その他、この人は舌が硬く思い通りに動かせないという症状を抱えていました。現在、この問題はほとんど解決されましたが、動かない舌を無理して動かし続けていたことが今回の問題につながっているのかもしれません。
 
頭長筋と後頭下筋群の関係

頭長筋と頚長筋と斜角筋

 頭蓋骨と首の骨(頚椎)との接点は後頭骨と環椎(第1頚椎)で、環椎後頭関節と言います。環椎後頭関節は、環椎に対して後頭骨が前後に滑ることができる構造になっています。私たちがうなずいたり、ちょっと頭を上げたりする動きは後頭骨が環椎の上を滑ることによって行われますが、その動きをもたらす主な筋肉は頭長筋(とうちょうきん)と後頭下筋群です。頭長筋を収縮させることによって後頭骨の底部が前下方に引っ張られ、うなずく動作が行われます。スマホを見る、読書をするなど“ちょっと下を向き続ける”動作は頭長筋を収縮し続けることになりますので、頭長筋がこわばる可能性が高まります。(頭長筋がこわばったことによって頭部が下を向いた状態では後頭下筋群は張ってしまい、後頭部の頭痛や首後面の張りをもたらす可能性があります。)

 さて、この人は頭長筋も、その下にある頚長筋(けいちょうきん)もこわばっていました。動きづらい舌を無理して動かしていたたために喉周辺の筋肉も強くこわばっていましたが、合わせて頭長筋も頚長筋もこわばってしまったのだと思います。それによって常に頭や顔は下向き状態になっていますので、舌骨を含め喉が下顎に近づいた状態になっています。下顎を大きく開けようとしても舌骨や喉のところで詰まってしまうので、しゃべるときには自然と顎先を上げてこの状態を回避するのだと思います。
 顎先を上げる動作では後頭下筋群を収縮させることになりますが、張ってこわばった状態の筋肉をさらに収縮させなければならないということもあって、気道がふさがってしまう状況になってしまうのかもしれません。

 今回、この人に対する施術はこわばっている頭長筋と頚長筋をゆるめることでした。頚長筋は頚部から胸部までつながっていますが、そこそこ触ることができますので、こわばりを解消することが、まあ可能です。一方、頭長筋は一部しか触ることができません。ですから満足するほどこわばりを解消することはできませんでしたが、それでもまずまず成果がありました。下向き状態だった頭蓋骨はほぼまっすぐな状態になり、張っていた後頭下筋群もゆるみ後頭部に余裕が生まれました。そして、顎先を上げずとも口を大きく開くことができるようになり、頭を上下に揺らすことなくしゃべり続けることできるようになりました。

後頭骨と上部頚椎と椎骨動脈

椎骨動脈の走行

 椎骨動脈は頚椎の横突起にあります横突孔という穴の中を通って頭部に昇っていきますが、第3頚椎から軸椎、そして環椎のところで弯曲が生じ、環椎の横突孔を抜けた後はほぼ直角に後方に曲がります。その後、上関節窩(椎骨動脈溝)を大きく回り込み後頭骨に入って前方に進みます。後頭骨と環椎と軸椎は頭を動かす度に動きますので、椎骨動脈は大きくうねった状態で常に伸び縮みを強いられていることになります。

椎骨動脈の関節突起回り込み比較

 仮に頭長筋がこわばって後頭骨が前下方に引っ張られた状態になりますと、環椎の上関節窩(椎骨動脈溝)を回り込む辺りが圧迫を受け、血流が悪くなる可能性があります。
 先ほど例として取り上げたデザイナーの人は、頭部を後側に少しずらすことによって眼の働きが良くなったわけですが、それは環椎に対して前方にずれていた後頭骨を正しい位置に戻したので椎骨動脈の流れが回復し、脳の働きが良くなったからだと考えることができます。

上部頚椎と後頭骨を整えることの意味
 冒頭の話題に戻りますが、上部頚椎を整える専門家は「上部頚椎を整えると全身に影響が及び、からだが快適になる」というようなことを仰います。「首を整えると脳が体を治しだす」という題名の本もあります。
 私は、この方々が提唱されていることを「そうかもしれない」と思いながらも具体的にはどういうことを意味しているのか理解できないでいました。理屈を聞かされても今一、なんとなく漠然としているように感じられて腑に落ちませんでした。上部頚椎を整えることで確かに骨格の歪みは改善され、首の動きが良くなって肩こりが改善するというようなことは想像しやすいことですが、だからといって大したことではないと感じていました。ところが、ここにきてやっとその意味がわかりかけてきました。まだ途中の段階で、日々検証している最中ですが、上部頚椎と後頭骨の関係が整いますと椎骨動脈の流れが良くなる可能性があって、そのことがからだに様々な良い影響を及ぼすからなのではないかと思い始めています。
 左右の椎骨動脈は合流して脳底動脈となり、脳幹に血液を供給し、小脳と後頭葉へ血液を供給します。ですから椎骨動脈の流れが良くなりますと脳幹と小脳の働きが良くなるという理屈になります。
 脳幹には脳神経の核があります。脳神経は嗅覚、視覚、聴覚、味覚、そしゃく、嚥下、表情筋(顔面神経)などを司っています。ですから、脳幹の働きが良くなりますと、視界が広がってよく目が見えたり、耳の働きが良くなったり、嚥下や舌の動き、しゃべりが楽になったり、顔のたるみが軽減したり‥‥という現象が現れるはずです。
 そして実際、後頭骨と上部頚椎の関係性を整えますと、そのような現象が現れました。

 また、「座っているときは頭やからだがふらついたりすることはないのだけれど、立ち上がるとからだがふらついてしまって前に倒れそうになる」と訴える高齢者の人に対して、後頭骨の位置を整える施術を行いますとふらつきがなくなり、安定して立っていられるようになりました。これは小脳の働きが良くなったからなのではないかと思っています。

 脳幹や小脳の働きは勿論これらのことだけではありませんので、これからもいろいろ観察していきたいと考えていますが、からだを根本的に変えていくための方法や可能性が少し見えてきたような気がしています。
 「首を整えると脳が体を治しだす」という意味は、具体的には脳幹と小脳、そして後頭葉の働きがパワーアップするということかもしれません。それによってからだが自然と自らを治癒して改善し、より高いレベルの健康を実現できるようになるのかもしれません。
 「小脳」は私たちにとってまだまだ未知の領域ですが、私にとっては魅惑的に感じる存在です。そんなことも含めて、改めて投稿したいと考えています。


足つぼ・整体 ゆめとわ
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