ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

カテゴリ:顔面・頭部 > 脳の働き

 「上部頚椎を整える」ことを専門にしているカイロプラクティックや整体院があります。上部頚椎というのは頚椎1番と頚椎2番のことですが、意味するところは頭蓋骨の基部である後頭骨と首との接続部分を整えると全身に影響が及び、からだが元から改善される可能性があるということだと思います。
 後頭骨と頚椎1番の関節部分は、その周りに筋肉を含め軟部組織が分厚くありますので直接触って状態を観察するのはなかなか難しいところです。また、歪みの状況が解ったとしても、それを素速くきれいに修正するのはなかなか難儀だと私は感じています。カイロプラクターや骨を直接動かす施術を行う整体師は「コツン」と軽く一撃することで歪みを修整するということですが、私はそういう技を持っていませんので修正に時間を要してしまいます。
 しかしながら、この部分が歪んでいるために首の動きが制限されていたり、「痛くて首を動かせない」状況だったり、さらには目や耳など感覚器官の働きが「今一」だったりすることがありますので、からだの能力を十分に発揮できるようになるためには、整えておかなければならないところだと考えています。

目の働き、舌の動きに影響する環椎後頭関節
 頚椎1番のことを専門用語として環椎(かんつい)と呼びます。私たちが軽くうなずいたり、少しだけ顎を上げたりする動作は、頭蓋骨(後頭骨)と環椎の間の関節(環椎後頭関節)で行われています。後頭骨は環椎の上で前後に滑るように少し動きますので、頭を少しだけ動かす時にはほとんどこの関節だけを使っている感じです。

 あるデザイナーの人は一日中パソコンを使ってデザインの仕事をしていますが、瞼が重たくなってしまい目を開けていることが辛い状態です。それでも目を開けていないと仕事になりませんので、頭の筋肉を使って瞼を引き上げているため頭もカチカチに硬くなっています。そんな辛い状況でも頑張らなければならないため噛みしめ癖も持つようになってしまい、更に辛い思いをする日々を過ごしています。

 私が施術を行った直後は、症状は軽快します。しかし、1分くらい座ったままでいますとまた瞼が重たくなってしまいます。原因について、いろいろな可能性を考えて対処しましたが「うまくいったようで‥‥、やっぱり駄目か」という状況が続きました。
 私も悩みまして「あと残った可能性は?」などと自問していましたが、すると「もしかしたら頭が乗っている位置が狂っているのかも」という思いが浮かび上がってきました。そこで、座った状態で頭を少しだけ後に引いてみました。すると“どよ~ん”としていた眼や瞼が開き出しました。そして私が頭から手を離して、再び元の状態(少し頭が前に出た状態)に戻ってしまうと、また“どよ~ん”としてしまいます。
 「頭の位置が悪くて脳の血流が悪くなっている」と私は思いました。

椎骨動脈(ついこつどうみゃく)
 心臓から頭(脳や顔面)に動脈血を運ぶルートには“頚動脈”と呼ばれて多くの人が知っている内頚動脈と外頚動脈がありますが、それ以外に頚椎に沿って進む椎骨動脈があります。

脳を養う内頚動脈と椎骨動脈

 椎骨動脈は鎖骨下動脈から枝分かれして頚椎6番の横突孔に進み、そのまま環椎(頚椎1番)の横突孔まで昇っていきますが、その後ほぼ直角に後方に曲がり、さらに大きく前方に曲がって後頭骨の中に入り脳へと進んでいきます(脳底動脈)。血流という面で、頚椎2番(軸椎)と環椎と後頭骨の関係性は気になるところです。
 椎骨動脈は左右2本ありますが、後頭骨に入ると1本に合して脳底動脈という名前になります。脳幹や小脳に血液を供給し、大脳の後頭葉に進みますので、脳の後方循環系と呼ばれます。脳幹には脳神経の核がありますが、鼻、眼、耳、舌といった感覚器官を司っているほか、表情筋とそしゃく筋の働き、嚥下の働きなども司っています。ですから、椎骨動脈の流れが悪化すると視力や視界が悪くなり、瞼の動きも悪くなるということは説明がつくことです。

椎骨動脈の流れ

 先ほどのデザイナーの人は、首に対して頭がちょっとだけ前に出た状態でした。つまり環椎後頭関節にズレが生じている状態ですが、それによって椎骨動脈の流れが悪くなり眼や瞼の動きが悪くなってしまった可能性があります。私が手で頭を後方に少し引っ張ると眼や瞼の状態が良くなったのは、その現れだと思います。

頭(後頭骨)のずれが舌の動きに影響を与える
 「しゃべると顎先が上下に動き、息苦しくなって舌の動きも悪くなる」と訴える人がいます。顎を下げた状態(顎先がからだに近づいた状態)では口を大きく動かすことができなくなってしまうので、言葉をしゃべるときは頭を上向き加減にして顎先を上げるようにしてしまいます。しかしそうなりますと気道がふさがってしまい呼吸が苦しくなって言葉を続けることができなくなってしまうということです。顎を下向き加減にすると呼吸ができて楽になるのですが、すると口が開かず喉が詰まるようになってしまいます。ですから結局この人は、言葉をしゃべりながら顎先を上下に揺らすようにしています。
 その他、この人は舌が硬く思い通りに動かせないという症状を抱えていました。現在、この問題はほとんど解決されましたが、動かない舌を無理して動かし続けていたことが今回の問題につながっているのかもしれません。
 
頭長筋と後頭下筋群の関係

頭長筋と頚長筋と斜角筋

 頭蓋骨と首の骨(頚椎)との接点は後頭骨と環椎(第1頚椎)で、環椎後頭関節と言います。環椎後頭関節は、環椎に対して後頭骨が前後に滑ることができる構造になっています。私たちがうなずいたり、ちょっと頭を上げたりする動きは後頭骨が環椎の上を滑ることによって行われますが、その動きをもたらす主な筋肉は頭長筋(とうちょうきん)と後頭下筋群です。頭長筋を収縮させることによって後頭骨の底部が前下方に引っ張られ、うなずく動作が行われます。スマホを見る、読書をするなど“ちょっと下を向き続ける”動作は頭長筋を収縮し続けることになりますので、頭長筋がこわばる可能性が高まります。(頭長筋がこわばったことによって頭部が下を向いた状態では後頭下筋群は張ってしまい、後頭部の頭痛や首後面の張りをもたらす可能性があります。)

 さて、この人は頭長筋も、その下にある頚長筋(けいちょうきん)もこわばっていました。動きづらい舌を無理して動かしていたたために喉周辺の筋肉も強くこわばっていましたが、合わせて頭長筋も頚長筋もこわばってしまったのだと思います。それによって常に頭や顔は下向き状態になっていますので、舌骨を含め喉が下顎に近づいた状態になっています。下顎を大きく開けようとしても舌骨や喉のところで詰まってしまうので、しゃべるときには自然と顎先を上げてこの状態を回避するのだと思います。
 顎先を上げる動作では後頭下筋群を収縮させることになりますが、張ってこわばった状態の筋肉をさらに収縮させなければならないということもあって、気道がふさがってしまう状況になってしまうのかもしれません。

 今回、この人に対する施術はこわばっている頭長筋と頚長筋をゆるめることでした。頚長筋は頚部から胸部までつながっていますが、そこそこ触ることができますので、こわばりを解消することが、まあ可能です。一方、頭長筋は一部しか触ることができません。ですから満足するほどこわばりを解消することはできませんでしたが、それでもまずまず成果がありました。下向き状態だった頭蓋骨はほぼまっすぐな状態になり、張っていた後頭下筋群もゆるみ後頭部に余裕が生まれました。そして、顎先を上げずとも口を大きく開くことができるようになり、頭を上下に揺らすことなくしゃべり続けることできるようになりました。

後頭骨と上部頚椎と椎骨動脈

椎骨動脈の走行

 椎骨動脈は頚椎の横突起にあります横突孔という穴の中を通って頭部に昇っていきますが、第3頚椎から軸椎、そして環椎のところで弯曲が生じ、環椎の横突孔を抜けた後はほぼ直角に後方に曲がります。その後、上関節窩(椎骨動脈溝)を大きく回り込み後頭骨に入って前方に進みます。後頭骨と環椎と軸椎は頭を動かす度に動きますので、椎骨動脈は大きくうねった状態で常に伸び縮みを強いられていることになります。

椎骨動脈の関節突起回り込み比較

 仮に頭長筋がこわばって後頭骨が前下方に引っ張られた状態になりますと、環椎の上関節窩(椎骨動脈溝)を回り込む辺りが圧迫を受け、血流が悪くなる可能性があります。
 先ほど例として取り上げたデザイナーの人は、頭部を後側に少しずらすことによって眼の働きが良くなったわけですが、それは環椎に対して前方にずれていた後頭骨を正しい位置に戻したので椎骨動脈の流れが回復し、脳の働きが良くなったからだと考えることができます。

上部頚椎と後頭骨を整えることの意味
 冒頭の話題に戻りますが、上部頚椎を整える専門家は「上部頚椎を整えると全身に影響が及び、からだが快適になる」というようなことを仰います。「首を整えると脳が体を治しだす」という題名の本もあります。
 私は、この方々が提唱されていることを「そうかもしれない」と思いながらも具体的にはどういうことを意味しているのか理解できないでいました。理屈を聞かされても今一、なんとなく漠然としているように感じられて腑に落ちませんでした。上部頚椎を整えることで確かに骨格の歪みは改善され、首の動きが良くなって肩こりが改善するというようなことは想像しやすいことですが、だからといって大したことではないと感じていました。ところが、ここにきてやっとその意味がわかりかけてきました。まだ途中の段階で、日々検証している最中ですが、上部頚椎と後頭骨の関係が整いますと椎骨動脈の流れが良くなる可能性があって、そのことがからだに様々な良い影響を及ぼすからなのではないかと思い始めています。
 左右の椎骨動脈は合流して脳底動脈となり、脳幹に血液を供給し、小脳と後頭葉へ血液を供給します。ですから椎骨動脈の流れが良くなりますと脳幹と小脳の働きが良くなるという理屈になります。
 脳幹には脳神経の核があります。脳神経は嗅覚、視覚、聴覚、味覚、そしゃく、嚥下、表情筋(顔面神経)などを司っています。ですから、脳幹の働きが良くなりますと、視界が広がってよく目が見えたり、耳の働きが良くなったり、嚥下や舌の動き、しゃべりが楽になったり、顔のたるみが軽減したり‥‥という現象が現れるはずです。
 そして実際、後頭骨と上部頚椎の関係性を整えますと、そのような現象が現れました。

 また、「座っているときは頭やからだがふらついたりすることはないのだけれど、立ち上がるとからだがふらついてしまって前に倒れそうになる」と訴える高齢者の人に対して、後頭骨の位置を整える施術を行いますとふらつきがなくなり、安定して立っていられるようになりました。これは小脳の働きが良くなったからなのではないかと思っています。

 脳幹や小脳の働きは勿論これらのことだけではありませんので、これからもいろいろ観察していきたいと考えていますが、からだを根本的に変えていくための方法や可能性が少し見えてきたような気がしています。
 「首を整えると脳が体を治しだす」という意味は、具体的には脳幹と小脳、そして後頭葉の働きがパワーアップするということかもしれません。それによってからだが自然と自らを治癒して改善し、より高いレベルの健康を実現できるようになるのかもしれません。
 「小脳」は私たちにとってまだまだ未知の領域ですが、私にとっては魅惑的に感じる存在です。そんなことも含めて、改めて投稿したいと考えています。


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 超大型台風21号が接近してきた昨日、「頭痛とめまいがする」と訴える方が来店されました。
そして「台風の影響かな? どうして低気圧や台風が近づくと体調が悪くなるんですか?」と質問されました。
 関節痛を抱えた高齢者もよく同じようなことを言われます。「低気圧が近づくと膝が痛くなる。どうして?」
 気象病という名称も付けられているようですが、気圧の変化が自律神経に影響を与え体調を崩しやすくなると説明されています。

 私はこれまで、からだの中でセンサーとして働いている部分は胸であると考えてきました。胸が環境の変化を始めいろいろなものを感じ、それによってからだが変化すると考えてきました。実際、肋骨は閉じたり開いたり、硬くなった柔らかくなったりして環境や心理に反応しています。
 ですから、昨日頭痛とめまいを訴えて来店された方に対して一番最初に胸を触り観察しました。案の上、胸の筋肉(大胸筋)は強くこわばっていて肋骨の動きが制限されていました。ですから呼吸も悪い状態で、息を吸うことも吐くことも満足にできていませんでした。

 「頭痛とめまい、か?」と私は心の中で考えました。胸が動かないので呼吸が満足にできないために、頭が酸欠状態のようになって頭痛とめまいを発症してしまったという仕組みも考えられます。しかし、そうであるなら「息苦しくて、頭痛とめまいがする」という表現になると思うのですが、そうではなかったので、今回の根本的な原因は「胸ではないかもしれない」と思いました。
 そして「頭痛とめまい」ということは頭の問題ですから、まず頭を観察していきました。すると後頭部がとても硬くなっていました。「そういえば今日来た(別の)お客さん達も後頭部が硬かったな」と思いました。台風と後頭部は関係性があるのかもしれません。そして、後頭部が柔らかくなるようにと思いながら、後頭部にそっと掌を当ててみました。

小脳と延髄

 後頭部は延髄と小脳の場所です。延髄は呼吸と心臓のコントロールを行っているところです。小脳の働きについてはまだまだ未解明のことが多いのですが「めまい」とは関わり合いがあると考えられるようになっていますし、私は自律神経との関わりも大きいのではないかと思っています。

 台風(低気圧)の影響で後頭部が硬くなり小脳を圧迫しているので頭痛とめまいをもたらしているのか、あるいは小脳が低気圧に反応して緊張状態になってしまったためにめまいを起こし、かつ後頭部の筋肉が収縮して頭痛の原因となっているのか、どちらかかもしれないと考えました。
1分ほど手を当てていますと、後頭部が少しずつゆるみ始めました。するとそれまで全然できていなかった腹式呼吸ができるようになってきましたので、胸がゆるみ始めたこともわかりました。7~8分は後頭部に掌を当てたままにしていましたが、すっかりからだや頭や首から緊張が取れリラックスした状態になりました。

 低気圧に弱い人は、後頭部に掌を当てたり、あるいは首~後頭部にかけてホットタオルなどで温めたりすることで楽になるかもしれないと思いました。皆さんも試してみてください。

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 いくつか前の記事で、帝王切開などの手術で腹側の正中線である任脈にメスを入れたりしますと内臓の働きや体調に影響がでるというお話しをさせていただきました。
 今回は背中側の正中線上にメスを入れたりすることの影響について取り上げます。東洋医学(中医学)では背側の正中線を督脈(トクミャク)と呼び、腹側(陰)の任脈同様、からだのエネルギーの通り道として、またエネルギーの調整場所として大切にされています。
 
督脈

 私たちのからだは、腹側(陰)と背側(陽)、内臓系と体壁系という分け方に大別することができます。腹側には内臓があって、それは主として自律神経の働きによってコントロールされています。背側には背骨がありますが、背骨の中には脊髄が通っています。脊髄の先端が膨らんだものが脳であるわけですが、脳と脊髄は私たちも含めた脊椎動物の活動にとってなくてはならないものです。
 「頭をたくさん使う仕事をすると首や背中が張る」、「頭脳労働者は背中が張っている」という現象があります。脳をたくさん使うことは一体となっている脊髄もたくさん使われるので、背骨を中心にその周りの筋肉が張ってしまうことを現しています。オフィスでパソコン仕事ばかりしている人は、姿勢に問題があるだけでなく、目や頭、すなわち脳・脊髄を使い過ぎているので、首や肩や背中が凝りやすいですし、張りやすいと言うことができます。

督脈を傷つけると脳の働きが鈍る?
 側弯症を改善するために手術された若い女性が来店されました。7年ほど前に手術されたとのことですが、その後、思考力が低下し、計算が苦手になり、会話中に言葉がすんなり浮かんでこない、頭の中が真っ白、という症状に悩まされているとのことです。手術を選択したわけですから側弯も強かったのだと思いますが、手術前にはこれらの症状はなく、学業も優秀だったようです。
 背中を拝見しますと、骨盤の上7~8㎝のところから首のつけ根(頚椎6番くらい)までメスで切開した痕がありました。この時点での症状としてはには、頭の中が定まらない、全体的にボーッとした感じがしている、ということでした。そこで、背中の手術痕と頭の関係を確認するために、メスを入れ縫合したところに粘着力の弱い幅2㎝の絆創膏を貼ってみました。すると頭部全体がボーッとした感じ、つまり何処がボーッとしているのか解らない状態だったものが、「頭のこの辺りがおかしい」と指を差して示せるようになりました。症状を出している“元の部分”を絞ることができたことも収穫ですが、背中の縫合部分を何らかの方法で補うことができれば、頭(脳の働き)は変化するということが解りましたので、症状改善のための道筋が見えてきたということです。(この方に対する施術については後述します)

 その他に背中の督脈にメスを入れる手術としては、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などがあります。今は内視鏡を使用して傷口を最小限にする手術方法もあるようですが、それでも傷は付きますし、場合によっては脊椎の棘突起を切除してしまうこともあるようですので、督脈が乱れる可能性は否定できません。
 また、脳脊髄液を採取したり、液量の調節をしたりする検査法や治療法もあるようですが、やはり督脈の大切さを思うと慎重に考えていただきたいと思います。
 私と同業者の施術方法に脳脊髄液にアプローチする頭蓋仙骨療法がありますが、人によって様々な反応が出るようです。劇的に症状が改善する人、変化がほとんど感じられない人、マイナス方向に反応が出てしまう人、いずれにしても督脈に関係する脊髄、脳、脳脊髄液などに対しては慎重に考えて対処すべきだと私は思います。

尾てい骨付近の打撲によって頭や目などに違和感
 その方は60才代です。常に目に違和感を感じていて「自分の目ではないように感じる」と言います。さらに頭の中も「常にボーッとしている」と言います。目の違和感は20年以上続いているとのことで、今年になって100万円以上の高いお金を払って目の手術を受けました。手術から2ヶ月以上経過していますが、やはり違和感は消えないようです。
 「頭がボーッとして、目がおかしい‥‥」ということは脳の働き、つまり督脈に問題がある可能性も考えられます。もちろん他に原因がある可能性も考えられますが、今回は督脈でアプローチしてみました。

陽谷・腕骨・少沢

 手に「陽谷(ヨウコク)、腕骨(ワンコツ)」というツボがあります。説明は省きますが、陽谷と腕骨が位置している小指外転筋は背骨の際を通る脊柱起立筋と密接な関係があります。つまり仙骨・尾骨と関連しますので、督脈に関係するとツボであると考えることが出来ます。
 この方の場合、この陽谷付近の深い深い部分にコリッとした硬い塊がありました。それをジーッと長い時間指圧しました。途中「目が飛び出しそうな感じがする」と仰いましたが、塊が取れるまで我慢していただきました。そして塊がほぐれますと指圧による痛みも消えて、同時に目が飛び出しそうな感じもなくなったとのことです。
 「そういえば思い出したわ! ちょうど20年ほど前、体調をすごく悪くして吐き出すものがなくなっても吐き続けるような‥‥。とても苦しかったけど、その時目が飛び出しちゃうかもしれないと感じたけど、今、同じような感じだった。」「今、思い出しけど、あのとき以来、目が自分のものではないような感じになって‥‥。」と仰いました。
 その後座っていただき、目や頭の状態を確認していただいたところ、目が自分のものではない感じは消えたとのことですが、目の前がぼやけた感じは少し残っているとのことでした。座った姿勢を観察しますと、骨盤が少し傾いて背骨も少し歪んでいました。尾骨付近を探っていきますと、弱い部分があって、それが原因で骨盤に歪みが生じているのがわかりました。その弱い部分に手を当てて補いますと、クシャッとなっていた骨盤がしっかりし、背骨がスッと伸びました。「これは、かつて尾骨付近を打撲したりケガした可能性が考えられるのですが‥‥」(私)
 そういう記憶は残っていないとのことでした。しかし、座った状態でお尻の溝が右に傾くほど尾骨が歪んでいる状態でしたので、「間違いなく打撲、それも強く打撲したに違いない」と私は感じました。そして、いつもそうするように、その弱くなっている部分にダイオードを貼って自然治癒力を促しました。すると目の前のぼやけた感じも消えたとのことです。(ダイオードについては過去の記事を)

 尾骨は督脈の出発点と言ってもよい部分です。「階段で足を滑らせて尾てい骨を強打した」「スキー(スノボ)で転んで尻もちをついた」「たびたびギックリ腰をしてしまう」「出産後腰の調子が悪い」というような経験をお持ちの人で「どうも頭がはっきりしない」と感じている人は、もしかしたら尾骨付近の問題が絡んでいるのかもしれません。

側弯症を手術した方への施術
 上記で取り上げました側弯症を手術された方についてですが、手術後も側弯症の状態は残ったままになっていました。手術前よりは見た目は当然改善されていると思いますが、側弯症の傾向、つまり背骨の捻れる力は解消されていませんでした。
 手術前は、捻れは大きかったものの、その“流れ”を邪魔する要素はなかったので頭は正常に働いている状態だった。それが、手術で器具を填め、捻れを強制的に修正したものの、捻れる力はそのままなので、“流れ”という面では器具によって邪魔される状況になっている。うまく流れないので、脊髄(脳)の働き方が悪くなってしまった。そんな風に考えることもできます。
 ここで言う“流れ”は、督脈のエネルギーと考えても良いと思いますし、脳脊髄液の中の電気的エネルギーと考えてもよいかもしれません。

側弯症(小菱形筋「こ」)

 さて、肩甲骨と背骨を結ぶ筋肉の一つに小菱形筋があります。この方の場合、左側の小菱形筋が非常に強く収縮した状態でした。その収縮によって頚椎7番、胸椎1番、2番が左側に大きく捻れた状態になっていました。私はこの捻れが側弯症の最初の原因ではないかと判断しました。小菱形筋は筋肉の連動として内転筋の一つ、薄筋と関連性があります。薄筋がこわばり、それが小菱形筋のこわばりとなって背骨の上部を捻れさせ、それによって背骨全体が歪み、時の経過や普段の姿勢(勉強をたくさんしていたようです)の影響で側弯症と診断されるほどになってしまったのではないかと想像します。
 左側の薄筋がこわばっている理由は左側の股関節がおかしかったからです。「小さい頃、股関節脱臼したとか、強い尻もちをついたとか、ケガした記憶はありますか?」と尋ねますと、尾てい骨を強く打ったことがあるということでした。そして調べていきますと、尾骨の本当に深い部分におかしな部分を発見しました。その部分に手を当てますと薄筋・小菱形筋のこわばりも軽減し、強く歪んでいた頚椎や胸椎の捻れが軽減しました。
 「幼少の頃の尾骨付近の強い打撲が原因で背骨が歪み始めた。」私はそう考えました。そして尾骨のその部分にダイオードを貼って傷の回復を促し、さらに歪みを改善すべく頭蓋骨の状態の確認作業に進みました。
 頭蓋骨は頭頂部が右に寝ているように歪んでいて、奥歯がしっかり噛み合わない状態でした。この方は学生の頃たくさん勉強をしていたようです。そんな話しを聞きますと、いつもペンを握っていて、右脇を開けた(肘を張ったような状態)姿勢が多かったことが予想されます。つまり右手の母指先や示指先が強くこわばり、右の前鋸筋がこわばって右肩甲骨が外側にずれ、それが原因で頭蓋骨が歪んでいることが連想できます。そして実際、そうでした。さらに毎日長い時間、カナル型のイヤホンで音楽を聴いているとのことでした。耳の穴はゆるんだ状態で、上顎骨が不安定なのはイヤホンの影響です。施術においてそれらを改善していきましたが、その頃になりますとぼやけていた頭の状態もだいぶ良くなったようです。
 この時までの施術状況を整理しますと、以下の通りです。
①背中の縫合部分である正中線上には幅2㎝の絆創膏が腰部から首のつけ根まで貼られています。
②尾骨の深い部分には打撲による影響を回復させるためにダイオードが貼ってあります。
③右手の主に母指先のこわばりをとって頭蓋骨の歪みを修整し、
④ゆるんでいた耳穴をしっかりさせることによって上顎骨がしっかりし噛み合わせが良くなった。

 それから座っていただき、脳の働きがどうなったかを確認していきました。計算が苦手なこと、そして言葉を聞いてもそれを頭の中でしっかり理解することが難しい、という本人の訴えがどうなったかを確認しました。
 計算については九九を暗算していただきました。額の中央(脳の前頭葉)辺りを作業場として、例えば「3×1=3」「3×2=6」‥‥というのを絵として素速く描くことができるのであれば理想的だと私は思っています。人によって作業場が額の右側だったり、頭の後の方だったり、まちまちかもしれませんが、頭の特定の場所を作用場として絵を描くことができるのであれば計算に対する集中力は大丈夫だと思います。頭がボーッとしたり、真っ白な状態では、頭の何処にイメージを浮かべればよいかが定まりません。計算する作業場ができない状態です。
 暗算していただいた結果、大丈夫だということでした。
 次に、私が声を出して本を読みまして、その言葉の内容がすんなり理解できるかどうかを確認しました。いろいろ微調整しながら、しっかり、すんなり理解できる状態になりました。

 これで施術としては終了になりますが、懸念材料が一つ残っています。この方は一人住まいなので、背中に絆創膏を貼ることが困難です。また、お住まいは東京の東の方ですので、神奈川の西の端である私のところまではかなりの距離があり頻繁に来店されることは難問です。ダイオードを貼った尾骨部分は毎日触ってもらえればそれでケアになりますし、母指先のこわばりも、その他のこわばりも揉みほぐしていただくことで対応できますが、背中のケアをどうすればよいか‥‥。
 それを考えるために背中に貼った絆創膏を一度全部剥がしまして、本の朗読をもう一度やってみました。絆創膏がまったくない状態では少し理解しづらい状態になってしまいました。次に私が背中の上の方や真ん中や腰の方に手を当てながら朗読をしてみました。すると腰部に手を当てたときは理解しやすい状態になりました。手を当てることの意味は、弱っていてエネルギーの流れが悪くなっている部分を“補ってあげる”ということです。絆創膏を貼る意味も同様です。
 背中の手術痕は腰部から首のつけ根まで50㎝以上の長さがありますが、影響が強い部分は腰部の15㎝くらいかもしれません。その部分であれば、他者の手を借りずとも自分の手探りで絆創膏を貼ることができます。現に、そのようにやっていただきました。15㎝くらいの長さに切った絆創膏を手探りで背骨に沿って貼っていただき、再度私が本を朗読して理解しやすいかどうかを確認していただきました。「大丈夫です」という返事でした。

 側弯症の手術は、背中を切って背骨に器具を装着して歪みを矯正するものですが、「いつも背中に板が入っているように感じる」と仰いました。まだ若い方ですが、生涯その違和感とともに過ごさなければなりません。
 仕方がないことと言ってしまえばそれまでですが、学者の先生方には違うアプローチの可能性について真剣に追求していただきたいと願う気持ちです。東洋医学や漢方には、科学的に非合理で迷信じみた部分があるかもしれませんが、現代医学にとって役立つ大事な情報もたくさんあると思います。それらにも耳を傾け、からだの構造とエネルギーの流れ方の関係についてもっと知っていただきたいと思います。
 本来の意味での“病気としての側弯症”以外の側弯症は、必ず捻れの出発点があるはずです。それを探しだして修正することが改善のためのポイントだと思います。ただ単に毎年検査測定して、歪みが大きくなっていく経過を観察しているだけでは医学的治療とは言えないはずです。コルセットを装着したり、手術をすれば”側弯が進行しない”という対処法では、“芸がない”といいますか、進歩的ではないと思います。

 整体の現場で、さまざまな状態のからだと毎日接していますと、私たちのからだはとても神秘的で、「秘密がたくさん隠されているなぁ」と感じます。今回もそんな話になりました。現代医学では、背中にメスを入れることが脳の働きに多大な影響を及ぼすとは考えることもないかもしれません。しかし、現実は上記の通りです。「なるべく切らないこと」(手術は極力避ける)と、私もそうお勧めします。

 私の整体は東洋医学系のツボや経絡や陰陽説ではなく、現代医学の解剖学を基盤とした筋と筋膜、骨と骨格を頼りにからだを整える手段をとっています。ところが時々施術に迷いが生じたりするときツボを利用することがあります。今回は陽谷、腕骨を利用しましたが、その他にも合谷、足三里など有名なツボを使うことがあります。そして、それらは確かに有効ですし、それは解剖学では説明できない効用をもたらすこともあります。今後は少しずつ東洋医学系の施術も取り入れていこうと考えています。そして投稿していきたいと思っています。

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