ゆめとわのblog

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神経

 下半身に痛みや不快感をもたらす有名な症状に坐骨神経痛があります。
 症状が非常に軽い状態ですと、太ももやふくらはぎなどが「だるい」と感じたり、「むくんでいるのかなぁ」と感じたり、あるいは皮膚の上に膜が一枚あるような皮膚感覚で違和感や不快感を感じる状態になります。
 それよりも症状が重くなりますと、シビレを感じたらり、特定の動作や姿勢によって耐えがたい重だるさや痛みを感じるようになります。座り続けていられない、腰を伸ばして立つことができない、痛くて歩けない、などもこの中に入ります。(腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症なども坐骨神経痛を発症します)
 そして、さらに症状が悪化しますと、まったく下半身を動かすことができなくなったり、楽な姿勢が見つからないような状態になります。たまらず整形外科を受診して神経ブロック注射などの処置をしなければしのげない状態になりますが、その苦痛は大変なものです。

 さて、坐骨神経痛を発症してしまう原因はいろいろとありますが、今回は殿部の筋肉の問題が原因になっていることについて取り上げます。

梨状筋(りじょうきん)と坐骨神経痛

 その原因が腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症や神経の病変などの場合を除きますと、坐骨神経痛の症状があるときに最も注目すべきポイントは梨状筋になります。
 梨状筋はちょうどお尻の真ん中辺りの最も深いところにあります。
 仙骨と大腿骨を繋いでいる筋肉ですが、その直下を通って、人によっては梨状筋の中を貫通するようにして太い坐骨神経が骨盤の内部から表に出てきます。

 ですから、梨状筋が強くこわばって硬くなり太くなりますと坐骨神経を圧迫する状況になります。それによって坐骨神経の神経伝達に支障が生じたり、神経管が不具合を呈していろいろな神経異常症状を現すようになりますが、坐骨神経痛の多くはこのような仕組みよって発症していると思われます。

 坐骨神経は太股の後側を膝関節の手前まで真っ直ぐに下り、膝関節の手前で二手に分かれます。一方(脛骨神経)はそのままふくらはぎの裏側を下って足裏を経由して足先に進んでいきます。
 もう一方(総腓骨神経)は、ふくらはぎ前面の外側を下って足の甲に進んでいきます。

 これら神経の大元である坐骨神経は太もも裏側のハムストリングやふくらはぎや足の筋肉を支配していますので、坐骨神経にトラブルが生じますと、太ももの裏側と膝下のどこかにシビレや熱感や痛み、場合によっては運動障害が起こります。

 また、坐骨神経の症状の一つとして太ももの外側に違和感やシビレや痛みが現れることがしばしばあります。太もも外側の筋肉は坐骨神経によって支配されているわけではありませんので「そこの異常も坐骨神経の問題であり、梨状筋が絡んでいる」と言うのは理屈に合いません。しかし、ふくらはぎ前面外側や側面の筋肉が神経異常による強い張りやこわばり状態になりますと、筋肉連動の仕組みで太もも外側や側面の筋肉がこわばることが起こります。

殿部の損傷による坐骨神経痛

 坐骨神経痛の多くは梨状筋の強いこわばりによってもたらされますが、そうなる理由はいくつか考えられます。骨盤や股関節の歪み、筋連動による梨状筋の強い緊張状態(こわばり)、殿部筋肉の使いすぎ、打撲やその他の理由による殿部筋肉の損傷などが主なものになります。
 これらの中で、今回は殿部筋肉の損傷における坐骨神経痛について取り上げます。

1.打撲による大殿筋(だいでんきん)の損傷が原因

 Sさんはお椀をつくっている職人です。多くの時間を座った状態で、かなりの腕力を使って作業を行っています。ですから、手も腕もいつもカチカチに硬くなっています。隔週のペースで来店され揉みほぐしを行っていますが、私もかなりの力を使わざるを得ないので、施術の後はくたくたになってしまいます。
 そのSさんは現在、左殿部から太ももにかけて坐骨神経痛を抱えています。職人さん気質で言葉が少ないSさんはあまり語りませんが、その左殿部の筋肉が弱々しい状態なので、「尻餅をついたとか、何かありましたか?」と尋ねました。
 すると自宅で足を滑らせて尻餅をついたとのことです。そして、その時にテーブルの角に大殿筋の大腿骨との境あたりを強く打撲したとのことでした。

 大殿筋の損傷が原因で坐骨神経痛になってしまったことがわかりましたので、私がするべきことは損傷した大殿筋が修復するように促すことです。
 Sさんの具体的な症状は次の2点です。

  1. 1時間ほど立ち続けていると左下肢にシビレと痛みが現れる
  2. 仕事で、座った状態で左殿部に体重が掛かるような作業になると坐骨神経の症状が現れる。ただし、その時に大腿骨を内側に捻ると症状が軽減する。

 打撲による損傷が大きな原因であると判断しましたので、大殿筋の損傷していると感じられる部位を探しだし、そこを重点的に10分ほど手当てし、いつものようにダイオードを貼って、大殿筋の回復を促すようにしました。すると殿部の状態もしっかりして坐骨神経痛の症状は改善しました。左殿部に荷重がかかるように座っていただいてもまったく症状は感じられない状態になりました。

 Sさんの坐骨神経痛について簡単に解説しますと以下の通りです。
 梨状筋の表層には大殿筋があります。ともに骨盤(仙骨)と大腿骨をつないでいる筋肉ですから、互いにバランスを取り合って殿部の状態を安定させる働きを担っています。
 この状態をもっと簡単に表現しますと、大殿筋と梨状筋の二つの筋肉が働いて仙骨と大腿骨の関係を維持していますので、どちらかの筋肉がおかしくなりますと、他方の筋肉に必ず影響が現れます。Sさんの場合は大殿筋が働けない状態=大腿骨を支えられない状態になってしまいましたので、梨状筋により頑張っていただかなければならない状態になってしまいました。そして、この状況が梨状筋の緊張(こわばり)につながり、坐骨神経痛を発症しやすい状況になりました。

 また、大殿筋の働きは太ももを後方に伸ばす(=股関節の伸展。階段を上る、座位から立ち上がるなど、特に屈曲位から大腿を伸展させる。)ことですから、その損傷は長時間立ち続けることができない症状につながります。
 さらに座った時に左の殿部や太ももに体重が掛かりますと、大殿筋がその重みに耐えられなくなり、骨盤が歪んだり梨状筋がさらに強くこわばって坐骨神経を圧迫する状況を招いたのだと思います。
 座りながら大腿骨を内側に捻ると症状が軽減したことにつきましては、大腿骨を内旋させると、そのゆるみ過ぎ状態を少し緩和することができることが理由です。(詳細は省略)

2.鍼治療のやり過ぎによる坐骨神経痛

 Tさんは腰痛持ちです。膝も時々不具合になります。長年のお客さんですが、症状がかなり悪化しないと来店されないという特長があります。
 このたび半年ぶりくらいに電話が入りまして、坐骨神経痛がひどくて歩くことがままならないと症状を仰いました。
 来店されて経過を尋ねますと、症状が出始めたのは二月ほど前で、周囲の人達の意見を聴いて、整体院ではなく鍼灸治療院を選択したとのことです。
 二月も経過したのに歩くことがままならない状態であるというのは、症状をこじらせてしまっていると私は判断します。「すぐに来れば、症状が悪化することもなくすぐに良くなったのに」と私は内心思いましたが、それは口にしませんでした。

 坐骨神経痛の症状が出始めた頃は、歩くことは苦ではなく、仕事で座り続けていることが辛かったとのことです。その後、鍼灸院での治療を続けていると症状に変化が現れはじめ、座ることは苦でなくなくなった反面、からだを真っ直ぐにして立つことができなくなり、やがて普通に歩くことができなくなってしまったということです。
 からだを屈めたまま両手を太ももにつけて上半身を支え、手と足を一緒に出すような動き方でないと歩くことができない状況です。

 経過を聞いたので施術に移ろうとしたのですが、ベッドにうつ伏せになることも、仰向けで寝るとこともできません。坐骨神経痛を悪化させるとこのようになってしまうことがあります。
 左下肢に神経痛の症状が出ていましたので右側を下にしてベッドに横になったもらいました。しかし、この姿勢では骨盤や股関節の状態を詳細に把握することができません。ですから私は、まずうつ伏せになれる状態にすることを目指して施術を始めました。
 ところが、しばらくしますと横に寝ていることも辛くなってきたと仰いました。それでしかたなく、ベッドに座った状態で施術を継続することにしました。座っていることはまったく苦ではないとのことでしたが、この時点で普通の坐骨神経痛ではないと感じました。

 座っている状態=からだを屈めた状態は大丈夫でも、立ち上がって腰を伸ばそうとすると、その姿勢ができません。つまり股関節の伸展ができないのです。
 この状況を筋肉の働きに置きかえますと、腹筋を伸ばすことができないか、大殿筋やハムストリングを収縮することができないか、という状態が考えられます。そして大殿筋を観察しますとユルユルになっていてほとんど収縮することができない状態でした。
 「??? どうして?」と思いましたので、「鍼灸院ではお尻に鍼をたくさん刺したのですか?」と尋ねました。すると、毎回の治療でお尻に20~30本くらいは刺していたと仰いました。
 鍼の刺しすぎで、筋肉が損傷状態になってしまったことが考えられます。

 これまでの経験から、鍼の刺しすぎによる損傷は、その範囲が広い場合、筋・筋膜の働きを回復させるのは大変なことだと知っています。手間と時間がかかります。
 ギックリ腰や肉離れや寝違えのように損傷部分の範囲が小さく点に近い状況であれば、マグレインやダイオード、あるいはピップエレキバンなどを使うことでかなりの改善を期待することができます。しかし「左殿部の全部」というように範囲が広い場合は、それは叶いません。
 結局、手当てによる施術を行って、最後にキネシオテープを貼って施術を終えましたが、それでもかなりからだを伸ばすことができるようになりました。そしてまだ痛みは感じるとのことですが、歩く姿も「まぁまぁ」といった状態になりました。

 Tさんの状況を簡単に説明し直しますと以下の通りです。
 最初は普通の坐骨神経痛でした。座って体重が掛かるなど梨状筋に負荷が掛かると坐骨神経痛の症状がでる状態でした。慢性的な腰痛と膝痛持ちでしたから、それらに関連して坐骨神経痛になってしまったのかもしれません。
 坐骨神経痛に対しては、鍼灸治療を行う選択をしました。それが間違いだというわけではありませんが、通われた治療院では殿部の硬くなった筋肉に直に鍼を刺す治療を行いました。それによって坐骨神経痛の症状は軽快したのかもしれません。しかしながら、鍼の刺しすぎで殿部の筋・筋膜がゆるみきった状態になってしまい大殿筋が収縮できなくなってしまいました。
 ですから、腰(股関節)を伸ばして立つことができなくなり、さらに歩行で地面を蹴る動作もできなくなってしまいました。股関節を伸ばすことができないので、からだを屈める姿勢をとるしかありませんが、その影響で腹筋は縮んで硬くなり、ますます股関節の伸展が難しい状況になってしまいました。

 首肩の凝りに対して鍼灸治療のやり過ぎで筋肉が鍼の刺激に負けて損傷状態になった人もいました。肩の筋肉(僧帽筋)が働かなくなり、肩甲骨を保つことができなくなって、首肩の筋肉が引っ張られ、非常に苦しい状態になってしまった人もいました。
 また、鍼ではありませんが、低周波治療器の使いすぎや刺激に筋・筋膜が耐えられなくなって坐骨神経痛を患った人、膝関節をおかしくしてしまった人もいました。
 小顔整体で頭蓋骨を強引に動かされて頭蓋骨の縫合関節がゆるんでしまい、マシュマロのようにフワフワした頭蓋骨になってしまった人もいました。
 私のような業界では、肩こりなどに代表されるように、硬くなってしまった組織や筋肉をゆるめることを得意としている人達はたくさんいます。ところが、ゆるんだり損傷したりして働きの悪くなっている筋肉を本来の状態に戻すことは一般に苦手です。ですから、なんでもゆるめたがります。
 そしてお客さんの方も「揉みほぐせば良くなるかも」という観念に囚われている人がたくさんいます。しかし、揉んだりほぐしたりすることで良くなる状況もありますし、反対に症状の悪化を招く状況もあります。
 今回取り上げた事例は、揉みほぐしてはいけない症例です。

足つぼ・整体 ゆめとわ
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 顔面神経麻痺を患いますと、表情筋の働きが極端に低下しますので、目が閉じられない、口が閉じられないので食べたり喋ったりすることが困難になる、顔の表情がなくなってしまうので怖い顔になる等々の不便で不快な自覚症状に襲われることになります。私自身、7~8年前に顔面神経麻痺を患いましたので、そのことはよく知っています。

 さて、この度、顔右側の顔面神経麻痺を患った若い女性が来店されました。顔面神経麻痺になって3ヶ月ほど経っているということです。病院では、いろいろな検査を行いましたが原因が特定できず、それでも一応ウイルスが絡んでいるかもしれないとのこと(血液検査でも異常はないとのことだそうですが)で、ストロイドの注射で対応しているとのことです。

 顔面神経は脳神経の一つであり、その問題と整体とはまったく関連性のないことだとほとんどの人が思っていると思います。しかし、けっこう関連性は深いと私は考えています。
 私自身のことで申せば、顔面神経麻痺になったときに耳鼻科などの病院を訪れましたが、結局、ほとんど原因については何もわかりませんでした。そして、決まり事のようにステロイド薬とビタミン剤を処方されて「顔面神経麻痺に間違いありませんね。あとは薬を飲んで様子を見てください。」という言葉だけでした。「これで本当に治療と言えるのだろうか?」と釈然としない思い抱いたわけですが、それも「いつものことだ」と諦めるしかありませんでした。

顔面神経麻痺の原因は?

 顔面神経は顔の表情筋の働きをコントロールする神経ですが、それは脳幹にある脳神経の一つです。ですから、顔面神経の働きが「弱い」とか「鈍い」といった場合は、脳幹の働きが低下している可能性が考えられます。そしてそれは脳幹に血液を供給している椎骨動脈の流れに問題がある可能性が考えられるわけですが、このことにつきましてはこれまでのブログで説明させていただきました。
 寝ていても眼が完全に閉じていない状態、ドライアイ、口の閉じ方が悪い、頬が垂れる、口角が上がりきらない等々は顔面神経の働きが弱い状態ですが、神経麻痺はこれらとは違い「動かない」「動かせない」という症状をもたらします。
 顔面神経麻痺は神経の働きが鈍いとか弱いということではなく、神経がほとんど機能していないということですから緊急事態ではあります。そして原因として考えられる可能性は以下の三つに絞られるのではないかと思います。

 一つ目は神経が病気の状態である可能性です。ウイルスなどはこのカテゴリーに含まれますが、病院で治療することが必須です。手遅れになりますと回復不可能になってしまう可能性がありますので、顔面神経麻痺になったと感じたら先ずは大きな病院で検査されることをお勧めします。そして脳関係の異常の有無も確認する必要があるのかもしれません。

 二つ目は神経管の切断や損傷の可能性です。強い打撲や衝撃、あるいは手術ミスなどで神経管が損傷したり切断した場合は、神経伝達が不可能になります。やはり脳外科など大きな病院で診てもらうことををお勧めします。頭部のケガや打撲、ムチウチなどの後で顔面神経麻痺の症状がでましたら、必ず病院に行ってください。

 三つ目は、神経管が強く圧迫されていることによって神経伝達ができない可能性です。そして、実際にはこれが最も多いのではないかと私は感じています。ヘルニアによるしびれや痛み、坐骨神経痛などもそうですが、神経管が強く圧迫された状態になりますと、神経伝達に異常が現れたり、神経伝達ができなくなったりすることがあります。
 顔面神経の経路の何処かで、神経管が強く圧迫されている状況がありますと、神経伝達がうまくできなくて顔面神経麻痺の状態になる場合がありますが、この状況は病院よりも整体的手法の方が適切に対処できるのだろうと思います。

顔面神経と耳下腺と咬筋(こうきん)

 顔面神経は頭蓋骨の耳穴のすぐ側にある穴を通って外側に現れますが、その後すぐに耳下腺の中を通過しながら枝分かれして顔面全体に広がっていく経路となっています。ですから、神経管を圧迫する可能性が最も高いと考えられますのは耳穴周辺(顎関節など)と耳下腺及び咬筋です。

  咬筋はそしゃく筋の一つですが、歯ぎしりや噛みしめる癖を持っている人は咬筋が硬くこわばっています。筋肉はこわばりますと硬く太くなりますので、耳下腺と咬筋の間を通過する顔面神経の本幹は圧迫を受けることになります。つまり、歯ぎしりや噛みしめの癖を持っている人は顔面神経が圧迫された状態になっているということです。それによって顔面神経の働きが弱くなりますので、瞼が完全に閉じないことでドライアイになっていたり、笑っても心地良い笑顔が作れなかったり、顔がたるんでしまったりという状態になっている可能性があります。
 そして、この状態が酷くなりますと、顔面神経麻痺と診断される状態になってしまうと思われます。

 さて、この度来店された女性は、4ヶ月前に歯科矯正のための外科手術を行いました。上顎骨と下顎骨を途中で切断して噛み合わせを調整しながら骨をつなげる大がかりな手術だったとのことです。そして、退院後間もなく顔面神経麻痺の症状が現れたということで、手術の影響によるものか、あるいは手術に関係してウイルスに感染したのか、いろいろと病院側もチェックしたようですが、そのような原因ではなかったということです。

 私は施術に際して一番最初に顔面神経麻痺のある方(右側)の耳下腺と咬筋を触りました。案の上、耳下腺も咬筋もカチカチの状態でした。また、それ以外に耳周辺や後頭部の右側もかなり硬くなっていました。
 「硬くなっている耳下腺や咬筋をゆるめれば何らかの変化があるかもしれない」と思いまして、そのように施術を始めました。しばらく持続指圧による施術を継続していましたが、なかなかゆるんでくれません。
 「どうしてこんなに硬いのだろう?」と思いながら施術を継続していましたが、顔面神経麻痺になりますと口も閉じられなくなりますので、「きっと無理して口を閉じようとしていたので、右の咬筋を強く収縮させていたからかもしれない。」(咬筋は三叉神経の支配で顔面神経とは直接関係ありません)と思いました。
 また咬筋や耳下腺が硬くなっている以外にも頚椎が歪んでいて、右側の肩こりもかなり強かったのですが、その原因は右目に関係する筋肉にありました。
 「右目(瞼)も閉じられなかったので、無理して閉じようとしていたためにこんなにコメカミも硬くなったしまったのかな?」などと思いながら耳下腺、咬筋、コメカミやその他関係する筋肉を調整して頭蓋骨の歪みもある程度調整しました。
 するとたるんでいた顔面右側の表情筋や皮膚に張りが戻ってきましたので、「これは改善の可能性がある」と感じました。ウイルスによる神経の病気でもなく、神経が損傷したわけでもなく、神経管が圧迫されていることが原因になっている可能性が高いことがわかったわけです。

 次に、核心に迫るために、この女性が一番気にしていました右目(瞼)の閉じ方を観察しながら、改めて咬筋が強くこわばり、耳下腺が硬くなってしまった原因を追及していきました。
 その作業は、私の右手を咬筋に当てながら、左手を使って頭蓋骨をいろいろと触りながら少し動かして、どの状態にすれば咬筋がゆるむかを観察する方法です。
 その過程で、前頭骨の右側が左側に比べ少し上がった状態になっていて、右眉毛の眉間寄りのところが少し浮いたような状態だったのですが、それを少し下に押し込んで前頭骨が水平な状態になるよう操作しましたが、その時にフッと右の咬筋がゆるみました。そして瞼の閉じ方について聞いてみましたところ「閉じている気がする」と仰いました。つまり、それまでは瞼を閉じても閉じた気がしていなかったということです。
 私は他にもいろいろと状態を確認していきましたが、その結果、これ(眉間の右側が浮いた状態)が大きな原因であると結論をだしました。あとは、「どうして、ここ(眉間の右側)が浮いてしまっているのだろう?」の追求です。
 そこで、手術のことを思い出しまして、「おそらく手術の影響で頭蓋骨が歪んでしまっているのだろう」と思いまして確認する作業を行いました。それは、上顎骨の切断したであろうと思われるところに手を当てていき、浮いている眉間の右側が沈むように動くポイントを探し出すという作業です。

 すると、右側上顎骨の中央部分、鼻が収まる穴のところに疑わしいポイントを見つけました。そしてそこに手指を当てますと前頭骨の状態が良くなり、咬筋がゆるみ、瞼の閉じ方も改善する状態になりました。そこで最終的に、この部分の手術の傷がまだ治りきってないことが根本的な原因である可能性が高いと判断しました。

 そして以下のように説明しました。
 「右側の顔面神経麻痺は、顔面神経が通っている耳下腺が硬くなっていることと、咬筋が強くこわばっていることで神経管が強く圧迫されてもたらされていると思います。そして耳下腺が硬くなった理由も、咬筋が常に強くこわばっている理由も頭蓋骨の歪みによるものであり、その歪みは手術によって切断した骨がまだ完全にくっついていないからだと思います。手術後半年はそんな影響が現れても仕方ないのかもしれません。ですから、この部分(上顎骨の穴)をよくケアしてください。それで次第に顔面麻痺は改善されていくと思います。」
 そして、最後にマグレイン金粒を小鼻の部分に貼り、「これを貼ってケアしてください」とマグレインを一袋渡して施術を終えました。
 施術後は、右目の具合も良くなり、顔に表情が戻っていました。まだ右口角の上がり方が十分ではありませんでしたが、一番の悩みであった右瞼の問題は解消された感じでした。

 私自身も顔面神経麻痺を経験しましたので、その不便さと、辛さと、なんとなく情けない気持ちは理解できますし、改善への道筋もイメージできます。そしてビタミン剤がまったく薬に立たないことも知っています。
 もし、顔面神経麻痺やそれに近い症状で悩まれている人がいらっしゃいましたら、是非一度ご相談ください。
 自分の顔が「無表情」「表情が乏しい」「笑顔がつくれない」「(意に反して)なんとなく怖い」などと思われている人は、顔面神経の問題かもしれません。そうであるならば、改善することは十分に可能だと思います。

足つぼ・整体 ゆめとわ
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 手先を動かしたり、からだを捻ったり、私たちの意志の力で筋肉を働かせる神経を随意神経と呼びます。反対に私たちの意志がほとんど通じない、例えば血圧をコントロールしたり、食物を消化・栄養・吸収したり、汗をかいて体温調整したりしている、からだの生理活動を自動的に行っている神経を自律神経と呼んでいます。
 自律神経は内臓を働かせる神経ですから、自律神経のバランスが乱れた状態が続きますと私たちは病気になります。そして病気になった時に処方される薬は、自律神経に働きかけて血圧を下げたり、血管を拡張したり、炎症を抑えたりしますので、「薬は自律神経を調整するためのもの」と言っても過言ではないと思います。
 私たちが普段口にしている食べ物(栄養)にもそういう側面がありますが、食べ物や薬以外では、呼吸が自律神経系をコントロールする窓口の一つです。
 自律神経は植物にもありますので別名、植物神経と呼び、随意神経は動物特有なので別名、動物神経と呼んだりすることがあります。

 さて、自律神経系は意志の力ではコントロールできませんので、実際のところ私たちは薬物を用いて調整しています。血圧をコントロールする薬は自律神経系をコントロールする薬です。血糖値やコレステロールをコントロールする薬は自律神経系をコントロールする薬です。
 ところで、これらの薬が存在していなかった時代、私たちの祖先は食物によって自律神経をコントロールしようとしていました。その名残は今でもたくさん残っていて、「ショウガは冷えに効く」とか「キュウリやトマトなど夏の野菜はからだの熱を冷ましてくれる」、「○○は血液をサラサラにする効果がある」などと、多くの人が食生活の中で実際に実践しています。また、さまざまにある呼吸法やヨガなどは、それぞれの表向きの目的もありますが、その根底には自律神経系のコントロールという目的が潜んでいます。からだをリラックスさせるのは自律神経の副交感神経系の働きですから、ゆったりとした深い呼吸が思いのままに実現できるようになるということは、いつでも自律神経をコントロールしてリラクゼーションを獲得することができるということに他なりません。
 その他、ペットと時を過ごすことによって「癒される」と感じるなら、それは自律神経のバランス回復にペットが役に立っているということです。海や山を眺めたり、波や水の音を聞いて癒されるなら、それも自律神経系が調整されているということです。

 これらのように自律神経系を調整する方法はいくつもありますが、「そんな気分になれない」と心理的に落ち込んでいる時や、もはや病気の域に突入していてペットや自然の力ではどうにもならないと感じている時は、今の時代、薬に頼ることになってしまうのでしょう。

片頭痛と自律神経の関係‥‥噛みしめと血管の収縮
 側頭部がズキンズキンと痛み出す耐えがたい片頭痛、頭部に“孫悟空の輪”が填められたかのように感じる慢性頭痛、これらは二つの側面から考える必要があります。

側頭筋と咬筋

 一つは筋肉の強い収縮によって頭が締めつけられている状態です。側頭部にはそしゃく筋である側頭筋がありますが、歯ぎしりや噛みしめの癖がありますと側頭筋が強く収縮した状態(筋肉のこわばり)になってしまいます。そのこわばりが頭部を締めつけますので頭痛をもたらします。
 もう一つは血管の収縮です。血管は自律神経の交感神経がコントロールしています。
 仮に、歯ぎしりや噛みしめを行う癖があったとします。その行為を行うためには側頭筋や咬筋への血流量を増やす必要があります。ところが側頭筋の血管がスムーズに拡張してくれなかった場合、心臓の働きで血液はどんどんやって来るのにホースである血管が拡がってくれないので内圧はどんどん高まってしまいます。この状態が長引きますとやがて血管は圧に耐えられなくなってしまうことでしょう。その反応が片頭痛であり、耐えがたい痛みをもたらすのかもしれません。
 あるいは、自律神経は正常に働いているのに“血液が流れにくい状態”になっているのかもしれません。筋肉には“収縮すると硬く太くなる”性質があります。側頭筋が強くこわばって筋線維が太くなりますと、筋肉内の血管を圧迫して血液が流れにくい状態になってしまいます。そこに心臓のポンプ力で血液がどんどんやってきますと、“狭い穴を無理やりこじ開けて通過する”ような状態になります。心臓の拍動に合わせて“ズキン、ズキン”と痛むような片頭痛は、このような状態なのかもしれません。

 この場合の対処しましては、まず噛みしめ状態を解除して側頭筋の収縮を弱めることから始めます。その上で、自律神経系をコントロールして血管の状態が整うようにするのがよいと思います。私のやり方としては、そしゃく筋をゆるめたり、手や足の指先を揉みほぐすことから施術を始めます。そして次に呼吸が整うようにからだ全体を調整していきます。

少商・母指先への施術

 以前に「本人の自覚に関係なく噛みしめ状態が存在する」ということを記しました。そしてそれは手の親指の先の部分(写真)のこわばりと深い関係があります。この部分が強くこわばって非常に硬くなっている人がいますが、そのような人はそしゃく筋が自動的にこわばっています。ですから、この手先のこわばりをほぐすことによってそしゃく筋のこわばりも弱まりますし、顎もゆるむようになります。それは片頭痛をもたらしている側頭筋もゆるむということでもあります。

老廃物や邪気が溜まりやすい部分・井穴

 そして、自律神経の働きを調整する意味で、手指の第一関節より先、爪との間を中心に指先の甲側をよく揉みほぐします。皆さんもやっていただくとわかると思いますが、揉みほぐしの最初のうちは痛みを感じることはありませんが、次第に痛みを感じるようになり、指によってはかなり痛く感じるようになるかもしれません。(非科学的な表現と受け取られるかもしれませんが、)この部分には老廃物やあるいは邪気が溜まりやすく、それが自律神経の乱れに関係している可能性がある私は思っています。指によっては爪と第一関節の間がプクッと膨らんでいるかもしれませんが、それは不必要な“老廃物(や未消化物)の溜まり”である可能性が高いと考えています。
 この指先の部分は東洋医学では井穴(セイケツ)とよばれるツボ(経穴)を含んでいますが、井穴は体内の気と外気の気とのやりとりをする部分であると考えられています。仮に井穴での通りが滞っていますと、体内の邪気や使い古された気を外に出して、自然界からの新鮮な気を取り入れることが不十分になってしまいますので、からだのバランスが乱れてしまうということになります。
 井穴については、もっともっと情報を集めて研究しなければならないと思っていますが、実際、指先への施術は有効です。

 さらに「頭が詰まったように感じる」タイプの頭痛もありますが、多くの場合、それは頭部の血液が心臓へ戻りにくい状態になっていることが原因だと思います。結果として頭に血がたくさん溜まった状態になってしまい、その圧迫によって頭が詰まったように感じているのだと思います。

外頚静脈と鎖骨下静脈の停滞

 このような場合、注目すべきは鎖骨下静脈の流れです。鎖骨下静脈は鎖骨と第1肋骨(一番上の肋骨)の間の狭い隙間を通っていますので、鎖骨が埋もれているような人をはじめ、鎖骨と第1肋骨の関係が歪んでいる人は流れの悪い状態になっています。鎖骨下静脈の流れが停滞しますと脳から心臓に戻る道筋の一つ(外頚静脈)が停滞しますので、「頭が重くスッキリしない」状態を招いてしまうのではないかと思います。
 埋もれた鎖骨を前に出すことによって鎖骨下静脈の流れを改善しようとした時、先ほどの手の親指の先を伸ばすことは有効です。
 親指先のこの部分は東洋医学では“少商”という肺経の井穴の部分になりますが、深部が硬くなっている人が多く、(自動的な)噛みしめ状態や鎖骨の後退をもたらしています。
 かなり痛みを感じますが、深いところにあるコリッと硬くなっている部分をほぐすことによって噛みしめ状態が改善し、鎖骨が前にでてきます。それによって“カカト重心”が改善し、鎖骨下静脈の流れも良くなりますので“頭がスッキリ”したり、自律神経のバランスにも影響して“片頭痛が楽になる”という複合的な効果を期待することができます。

呼吸と手指の先端(井穴)との関係
 呼吸の状態が悪いと首肩に力が入り、からだはなかなかリラックスできないということは以前に記しました。ここで言う“呼吸の状態が悪い”状態は、横隔膜をゆっくりゆるめながら息を吐き出すことができない状態、と受け取っていただいてもよいと思います。普通の人は、普段の呼吸が胸式で浅かったとしても「腹筋をじっくり使いながら、吐いたところから更に吐き出す感じで最後まで息を吐ききってください。」とやってもらいますと、大概できます。しかし、呼吸の悪い人はこれができません。「フッ」と短い時間で息を吐き出すことはできても「フーーーッ」と長い時間を掛けて吐き出すことができないのです。「横隔膜をゆるめるイメージで腹筋をじっくり使って吐いてみてください」とやっていただくのですが、全然できない人がいます。しかし、このような人でも声を長く発し続けることはできたりします。長い時間にわたって「フウゥゥー」と声を出し続けることができるということは横隔膜がゆるみながら腹筋が使われているということですので、呼気(息を吐く)の動作がちゃんとできている状態です。しかし、声を出さないとそれができません。声を出すとできるのに、声を出さないとできない、というのはちょっと不思議に感じますが、現実としてそういうことがあります。
 ところがこのような人に対して、両手の指先、さらに両足の指先を揉みほぐす施術を行いますと、自然と呼気ができる状態になることがあります。ベッドに仰向けになっていただきながら施術をし始めるのですが、最初のうちはほとんどお腹の部分に動き(腹式呼吸による腹筋の運動)が見られなかったものが、施術が進んでいきますといつの間にか腹式呼吸をし始め、息を吐いている時間が次第に長くなったりします。指先への施術は痛みを伴うのですが、からだはリラックスした状態になっていくのです。それは、指先への施術によって自律神経の状態が調整されているからだと私は考えています。

井穴(セイケツ)は自律神経系を整えるツボ?
 東洋医学の世界では自律神経系を整えるためのツボとして井穴を捉えているようです。特に薬指の井穴に注目している治療家も多いようですが、薬指は別の面で私も注目しています。
 私の臨床経験では「井穴は自律神経を整えるための効果的なツボである」ということに完全に同意できる段階ではまだありません。しかし、井穴あるいは指先の状態が間違いなくからだに影響を及ぼしていることは知っています。
 「邪気や老廃物(未消化物)が溜まって腕が重たい」という表現を現代医学ではどう捉えるのか知りませんが、現実としてそういうことはあります。そんなときに、膨らんでいる爪と第一関節の間を中心に指先を(かなりの痛みをこらえながら)揉みほぐしますと、腕がスッキリして軽くなります。鎖骨が埋もれていてカカト重心の時に、あるいは本人の意志に関係なく噛みしめている状態(咬筋が収縮している)の時に親指の先を揉みほぐしますと鎖骨が前に出てきて、噛みしめ状態が緩和されます。カカト重心が改善し、血流も良くなり、頭がスッキリして顔から力が抜け、真にリラックスできる状態になります。
 私は毎日、湯船の中で両手の指先を揉みほぐしていますが、皆さんにも是非やっていただきたいと思っています。それだけで10分近く湯船の中にいるようになりますが、今の時期はからだが芯から温まります。
 揉み始めは痛みを感じません。しかし表層が柔らかくなり、揉んでいる指先が奥の方に届くようになりますと次第に痛みを感じ出します。ある指はものすごく痛くなるかもしれません。しかし許せる範囲で痛みをこらえながら揉み続けてください。一つの指は少なくとも30秒は揉んでください。さらっと揉んだだけでは効果は期待できません。

 病気から縁遠くなり、健康的なからだを維持するためには自律神経の働きがとても重要だと私は考えています。栄養について考えたり、薬やサプリメントを摂取したり、ウォーキングをしたりする目的の半分以上は、実は自律神経を整えるためだと思っています。
 植物は人工的な操作をしない限り、ほぼ100%、自然界のリズムに従って生きています。 自律神経は植物神経と呼ばれることもありますが、それは本来、宇宙や自然界のリズムと完全に調和した存在であるという意味です。
 自律神経失調=自律神経がバランスを失っているということは、からだのリズムが自然界のリズムと調和していない状態であるということです。自然の風景を眺めたり、風に触れ、波や水の流れる音に接することが自律神経を整える上で役に立つのは、それらの行為によってからだのリズムが自然界のリズムに同調して修正されるからだと思います。そして自己努力で自律神経を整えようと考えるのでしたら、規則正しい生活習慣を築き、呼吸を見直し、日々のケアとして手や足の指先をマッサージしていただきたいと、そう思います。

 大脳がとても発達した私たち人間は、自律神経が担当する領域を脅かすほどに随意神経系、つまり意志や思考や感情の力の方が強くなっています。怒りや不安や心配事に頭が支配されますと、それまで正常だった血圧は一瞬にして異常な状態になってしまったりします。
 精神的に不安定な状態では、ゆったりした呼吸は実現できませんし、指先を揉みほぐしてもたいして効果は期待できません。ですから「自律神経を整えよう!」と実践する時には頭の中(随意神経系)を静かな状態にした上で、呼吸やマッサージを行ってください。これは大事なポイントだと思います。

足つぼ・整体 ゆめとわ
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 私は数年前、顔面神経麻痺を経験したことがあります。顔全体の筋肉が思うように動かせなくなり、顔の右側はほとんど動かせなくなりました。それは突然発症し、あれよあれよという間に進行しました。朝、洗面の時に「なんだか歯磨きがしづらい」と思っていたら、口をすすぐ時唇が閉じにくいことを感じました。そして、その日は電話での応対やお客さんとの会話で口が動かしづらかったのですが、晩には食事ができないほどになってしまいました。唇の右側、右の頬が動かせなくなってしまったのです。そして、その時「確実に顔面神経麻痺だ!」と思いました。
 翌日に一応耳鼻科を受診し、ステロイドを処方して服用し始めました。あとは自分なりに治してみようと、顔の解剖図を詳細に見たり、顔面神経に関する情報を集めてセルフケアし始めました。それから一週間ぐらいで会話や食事は普通にできるようになり、二週間くらい経過した頃には不自由さを感じなくなりました。ステロイド剤はそれで止めたと記憶していますが、医師の診断で“治癒した”と判断されるまでに一月ぐらいは掛かったでしょうか。

 自分自身がこのような経験をしたものですから、顔面神経麻痺の状態や対処法についてはある程度理解できているつもりです。
 おそらく私の顔右側は一時的にかなり状態の悪い顔面神経麻痺になったのだと思います。素速く対応しましたので、ほぼ一月で回復しましたが、対応が遅くなれば状態はこじれ、慢性化してしまったかもしれません。そして、そのような人が先日来店されました。本人は顔左側の眼瞼と口角が下がってしまっただけだと考えていたようで、顔の整体で改善する可能性があるかもしれないと考えたようです。その方の症状は5年ほど前からだったようです。顔を触った時に私は直感的に顔面神経麻痺の可能性があると思いました。筋肉の動き、皮膚や筋膜の感触、それらを観察してそう思いました。そしてそのことを本人に話し、「5年も経ってしまったので改善までに時間がかかるかもしれない」と伝えました。その後、その方はまだ来店されていませんが、病院に行かれたのかもしれません。

 現在、顔面神経と三叉神経と頚神経に問題がある人が毎日のように来店されています。まだ20代の若い方です。今から7年半ほど前に英語の発音練習を半日ほど一生懸命していたら突然顔の筋肉が使えなくなってしまったということです。それからたくさんの病院を訪れ、いろんな検査を行い治療にあたっていたようですが、症状が改善することなかったようです。それで鍼灸治療へ進み4年ほど経過したようです。鍼灸治療で少し症状が良くなったようですが、最近、私のこのブログを読んで「どんなものか?」と来店されました。
 現在最初の来店から3週間ほど経過していますが、少しずつ状態は良くなっています。この方の場合、単なる顔面神経麻痺だけでなく、そしゃく筋がほとんど動かせませんし、横隔膜もほとんど動きませんでした。ですから極端に言えば、しゃべったり食事をしたりするのは口先だけで行い、呼吸は喉の筋肉だけで行っていたという状態でした。顎先と喉の筋肉を使って口を開き、舌の力を使って口を閉じるという状態です。顔の表情をつくるのは顔面神経の働きですので、ほとんど無表情で口先を動かすことしかできないですし、鼻と喉を動かして浅い呼吸をたくさんしているような、そんな状態でした。今はまだまだ不完全ではありますが、横隔膜を使って腹式呼吸ができるようになりましたし、そしゃく筋も弱いながら使うことができるようになりました。そして顔面神経の働きも回復しつつありますので表情筋を動かせる部分も少しずつ拡がり、ほとんど無表情に近かった顔が自然さを取り戻しつつあります。
 顔の様々な表情をつくるのは顔面神経の働きです。そしゃく筋を動かして食べものを食べたり会話をしたりするのは三叉神経の働きです。そして横隔膜を動かして腹式呼吸を行うのは頚神経の働きです。その他に眼球を動かすのも不十分ですが、これらを総合して考えますと頚椎の問題もあって脳神経の伝達が悪いことも重なっていると判断することができます。私にとって、このような方は初めての経験ですが、おそらく本来の状態に戻るだろうと思っています。この方の症例については参考になる人もいると思いますので別途取り上げたいと考えています。

顔面神経01

 顔面神経は表情筋の働き関係する神経です。ですから顔面神経の働きが悪くなりますと唇が動かせなくなったり、目が最後まで閉じなかったり、瞼が下がってしまったり、頬の筋肉が動かせなくなったり、笑いや怒りなどの感情をあらわす表情をつくることができなくなったり、しづらくなったりします。反対に顔面神経に刺激が入り続けているような時は筋肉が常に収縮してしまうため、顔全体や額にこわばりや圧迫感を感じシワや凹凸ができてしまったりします。

顔面神経麻痺

 医学的にどのような基準で顔面神経麻痺と診断されるのかは知りませんが、本人にまったく自覚がなくても顔面神経の働きが悪い状態の人をよく見かけます。「昔に比べてすっかり頬がこけ、顔面の皮膚や肉が衰えてしまったように感じる‥‥」というのは加齢による変化も考えられますが、顔面神経の働きが悪くなっていることが関係しているかもしれません。表情をつくりにくくなったと感じる‥‥笑おうとすると何故か口角の周りがこわばったり、目の周りがこわばったり、口角を引き上げようとしても上がらない、これらは表情筋の笑筋や口角挙筋の働きが悪いことが要因の一つとして考えられますが、筋肉がゆるんでしまっているか顔面神経の働きが悪くなっていると考えることができます。眠りにつこうと目を閉じると眼瞼がピクピクしたり痙攣したりしてしまうのは、眼輪筋がゆるんでいるか顔面神経の働きが悪いか、他の筋肉の影響で引っ張られ瞼が閉じにくい状態であることなどが考えられます。瞼が閉じにくいからといって瞼を強く閉じる訓練を繰り返していますと、ある日突然、瞼が痙攣しだしてしまうということもありますが、筋肉の問題なのか顔面神経の問題なのか、両方を確認してみる必要があるように思います。
 概して顔面神経の働きに問題がある場合は“無表情”が何処かに潜んでいるように感じられます。
 眼瞼の動きに問題があったとして、頬がどこか無表情であったり口元も締まりが悪かったりするならば、顔面神経の問題を疑ってみる必要があります。過去に眼輪筋のトレーニングをしすぎて目元にシワがたくさんできてしまい、目を閉じると瞼が痙攣してしまう人がいらっしゃいました。その時、私は顔面神経のことはすっかり頭になく、骨格や筋肉や筋膜のことばかり施術していましたが、なかなか思うように回復しませんでした。今に思えば、年齢の割にシワのほとんどない頬、それはもしからしたら無表情の現れだったのかもしれません。
 顔面神経麻痺の症例として目にするのは大方、口角や瞼や頬が下がってしまい口元がおかしくなったような写真ですが、能面のように表情が変化しない状態も顔面神経麻痺の症状です。

顔面神経は耳下腺の中を通っている
 顔面神経は脳神経の一つです。神経についての詳細は私自身理解できているわけではありませんが、脳神経は脳の下部、脊髄との間にある脳幹に神経核(出発点)があって目、鼻、口、耳、頭部の知覚といった顔面にある感覚器官の働きと運動に主に関与しています。

顔面神経02

 脳幹から出発した顔面神経は頭蓋骨の内部を通って耳の穴のすぐ下から表に出てきます。そして顎関節のすぐ下にある耳下腺の中を通過した後、枝分かれをして顔面全体に拡がり表情筋の働きを支配しています。ですから“耳の穴”と“耳下腺”は顔面神経の働きに影響があると考えられます。ヘルペスの症状が耳の穴まで侵入し、顔面神経麻痺(ベル麻痺)になってしまったという話はよく聞きます。
 先日、数年前にヘルペスが左側の耳に侵入し、それ以来顔面神経麻痺の症状が現れてしまった方が来店されました。左目をすっかり閉じることができませんでした。私は頭蓋骨を整え耳の穴の状態が良くなるようにした後、硬くなっていた耳下腺をゆっくりと緩めていきました。するとそれだけで左目が最後まで閉じられるようになり、ギュッと強く閉じることも可能になりました。
 耳下腺は咬筋の顎関節直下部分を覆うように存在していますが、この部分が硬くなっている人がたくさんいます。つまり顔面神経が圧迫を受けている人がたくさんいるということです。そういう人は自覚として気づいていないかもしれませんが、顔面神経の状態が万全ではないということになります。表情をつくるのに疲労してしまったり、口笛が上手く吹けなかったり、目をしっかり閉じようとするとどこか別の場所が緊張したり、頬の動きが悪くもたつくように感じたりすることがあるならば、それは顔面神経の働きが鈍くなっているからかもしれません。
 ご自分の耳穴(あるいは顎関節)のすぐ下、下顎骨の上部を触ってみたとき「張っているなぁ」と感じるようであれば、それは耳下腺が硬くなっているということです。私自身のことで申し上げれば、普通に目を閉じた状態で、この硬くなっている顎関節のすぐ下(耳下腺)を強めの力でグイッと押して弛めるようにしますと、自然とそれまでよりも目がしっかり閉じた状態になります。眼輪筋の働きが良くなったということです。ですから施術において顔面神経麻痺や顔面神経の働きが疑われる場合は、まず耳下腺をゆるめることから始めるようにしています。

顔の変化と顔面神経
 女性の方々がとても気にされていることに“顔のたるみ”があります。残念なことに私たちは自然界に生きていますので、時の流れに逆らうことはできません。ある年代を超えると皮膚や筋肉がたるみ始めるのは避けることができません。しかしながら素肌をなるべくたるまないように保持することは可能です。
 顔にたるみをつくる原因としては、むくみ、筋肉・筋膜・皮膚の働きの低下、または“こわばり”や”ゆるみ"といった変調、そして顔面神経の働き低下が考えられます。
 顔面神経の働きが低下しますと表情が冴えなくなるのと同時に筋肉が痩せ細り突然老化したような肌質になってしまいます。まだ30歳や40歳になったばかりなのに「突然老けてしまった」と感じるようであれば顔面神経の働きも視野に入れて対策を考える必要があるかもしれません。「かつては表情が豊かで自然と笑みがこぼれていた自分が、笑顔をつくるだけでも顔が疲れてしまう」というのであれば、是非顔面神経の働きをチェックしてみてください。自分の想いとは違っていつも仏頂面に見られているようであれば、頬をもっと豊かにしたいと思うのであれば、顔面神経の働きを確認してみる必要があると思います。
 顔面神経の確認については耳鼻科の担当分野だと思いますが、明らかな顔面神経麻痺の症状が現れない限りは、病院では「問題なし」とされてしまうかもしれません。どの症状についてもそれが問題ですが、診断基準に満たないと病名が付かず「気のせい」みたいなことを言われてしまい、その後どう対処すればよいかわからなくなってしまいます。
 また顔面神経の問題は働きが低下していたり、麻痺していることだけではありません。反対に常に顔面神経に刺激が入り続けていて、表情筋や皮膚がこわばり続けているという症状にも関係します。額に力を入れているわけでもないのに額に不自然なシワや凹凸が現れていたり、頬や口の周りが「シワシワ、ジュワジュワ」しているように感じたり、皮膚がボコボコ硬くなっているようになっているのであれば、それは恒常的に顔面神経に刺激が入り続けていて筋肉が作動し放しの状態なのかもしれません。こういう人は常に額や顔面が圧迫を受けているように感じていることと思います。「もっと顔が解放されたい」と感じているかもしれません。

顔面神経の基礎と対策
 顔面神経は脳神経の一つで、核(始まり)は脳幹にあります。ですから顔面神経麻痺になった時には耳鼻科の医師は脳のMRI検査などを行うことを勧めます。
 脳から出発した後は耳に関係する器官の側を通り、耳穴(外耳孔)のすぐ下から体表に現れます。ヘルペスが耳穴まで侵入しますとベル麻痺と呼ばれる顔面神経麻痺になってしまうことがあるのはこのためです。
 体表に現れ耳下腺の中を通過した後、幾つかに枝分かれして顔全体に拡がり顔の表面を覆う表情筋の働きを支配しします。(皮膚感覚は三叉神経)ですから額や頬や口元、顎周辺といった部分部分で働き方が異なることもあります。
 また末梢神経全般に言えることですが、神経について考える時は管とその中を行き交うニューロン(神経細胞)の二つを思い描かなければならず、神経の伝達とは電気信号の伝達であると考える必要があります。更に神経管には神経を養うための血管がまとわりついています。
 ですから神経の働きに問題があるという場合は、神経管自体かそれを養うための血流のどちらかに問題があり、電気信号が乱れていたり、あるいは届かないため、目的の筋肉や皮膚が正常に機能しなくなっていると考える必要があるのだと思います。

 神経の働き(=電気信号の伝達)に問題あり
  ①神経管の損傷や圧迫など
  ②神経を養う血流(動脈)不足

 少し話しはそれますが、例えば坐骨神経痛は殿部の筋肉が強くこわばっているために神経管が圧迫を受けておこす症状です。圧迫により常に神経管に刺激が入っているため神経管内部に電気信号が発生し続けているのかもしれません。ですから坐骨神経に支配されている筋肉は収縮し続けてしまい、こわばって硬く太くなってしまいます。これが痛みやシビレの原因であると考えられます。筋肉がこわばり続けるとどんどん硬く太くなって血管を圧迫するようになってしまいます。その状態が慢性化しますと、やがて神経を養う血流量が減ってしまうため神経の働きも悪くなってしまいます。そうなりますと筋肉への伝達が悪くなりますので、筋肉が思うように動かせなくなってしまいますし、筋肉自体も痩せ細って質が悪くなってしまいます。顔面神経の作用の仕方も同様であると考えることができます。
 ケガや病気によって神経管自体が損傷を受けている場合は外科的処置が必要になってくるかもしれません。あるいはウイルスや雑菌類を無害化するために薬物を使用することも考えられます(ステロイド剤がよく処方されます)。
 神経管が圧迫を受けているのであれば、それを取り除くために骨格を整えたり筋肉や耳下腺のこわばりを取り除く手段が必要になりますが、整体は有効だと思います。
 血流量をアップするための手段として病院では薬剤が処方されたりしますが、それより整体的な手段の方が効果的であると私自身の体験からもそう思います。

 なお、顔面神経は顔の表情筋を働かせるための運動性神経です。顔面が痛くなったり
、皮膚感覚(知覚)がおかしくなるのは神経で言えば三叉神経の異常です。もちろん神経とは関係なくシビレや痛みを感じたり、知覚がおかしくなったりすることはあります。単に筋肉や筋膜や皮膚がこわばったり、張ったりしているだけでも痛み感じることはあります。単に血流が悪くなっているだけでも皮膚感覚がおかしく感じたりします。そして、こういったケースの方が三叉神経の異常よりずっと多いと思います。
 以前に顔面が強く痛むので大学病院で診察してもらったら三叉神経痛と診断され、治療のためには手術も含め大がかりなことになってしまうと告げられた人が来店されました。しかし実際には食いしばりの癖が強かっただけでした。側頭筋が強烈に硬くなっていて、その痛みが周囲にも放散していただけでした。丁寧に側頭筋のこわばりを取っていくと、それだけで問題はすっかり解決してしまいました。どうしてこれを三叉神経痛と診断するのか私にはさっぱりわかりませんでした。

 顔面神経については私もまだまだ手探り状態です。筋肉が正常に働くためには、骨格、血流(動脈と静脈)、神経、温度、電気、拮抗筋などの状態が“概ね良い”という必要条件があります。その他にも「気」と呼ばれたりするエネルギーも確実に筋肉の働きに影響を与えます。
 ですから顔面の筋肉や皮膚が正常に働かなかったり質が悪いと感じた場合は、これらの条件の一つ一つを確かめながら解決策を見いだすようにしていますが、顔面神経については、もっと比重をあげて対応していかなければならないと改めて自分に言い聞かせているところです。
 顔には感覚器官が集中していますし感覚も鋭敏です。ですから僅かな異常でも違和感や不快感を感じやすく、スッキリしないと感じてしまいます。また自分の顔は毎日鏡で見ていますので、少しの変化でも気づきますし、気になります。
 美容面から毎日一生懸命スキンケアを行っている人も多いと思いますが、その効果がなかなか上がらないと感じている人は“顔面神経の働き”という観点も含めてフェイシャルマッサージのやり方を見直してみるのも一つの方法だと思います。

硬い耳下腺を緩める
 もう一度顔面神経の図を見て下さい。
顔面神経02
 顔面神経は耳の穴のすぐ下のところから体表に現れてすぐに耳下腺の中に入ります。耳下腺の深部には咬筋がありますが、この部分が硬くなっている人がたくさんいます。口の中には幾つかの唾液を分泌する“腺”がありますが、耳下腺が硬くなっている人は、この部分からの唾液があまり分泌されていません。舌の底(舌下腺)や顎先(顎下腺)からは唾液が出ているのに耳のところからは出ていない状態ならば、耳下腺がこわばっていることが考えられます。
 両眼を閉じた状態で両方の耳下腺に手指を押し当て、耳下腺が柔らかくなるようにじっくりと持続的に指圧していきます。耳下腺のこわばりがゆるんできますとそこから唾液が分泌されるのを感じると共に、瞼がそれまでよりもしっかり閉じているように感じられると思います。耳下腺はけっこう大きなものですから、図を参考に顔面神経の通り道をイメージしながら指圧の場所を少しずつ変えてみて下さい。とても単純な方法ですが、多くの場合、これで顔面神経の働きは良くなると思います。

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