ゆめとわのblog

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2020年07月

 今回は肘関節に関係する話題です。
 肘はぶつけやすいところですから、机やテーブルにコツン、壁にゴツン、とぶつけていながら、そのことをすっかり忘れてしまっている人も多いと思います。
 ところが、肘の打撲や捻挫、あるいは筋膜や皮膚の損傷が原因になって下半身や全身がむくんでしまっていたり、筋肉が張ってしまい、全身がいつもパツンパツンの状態になっている人もいます。

 肘周辺の損傷は、痛みがなくなりますとすっかり頭から離れてしまうくらいの目立たない出来事ですが、私たちの思いも掛けないところで不調や不具合の原因になっています。
 今回はそんな話題です。

肘の損傷と不具合

前腕の筋肉が常に張っていて硬い

 手指を操作する筋には手から指につながっている短い筋肉と、肘関節や前腕(肘と手首の間)から始まり手首を超えて手指につながっている長い筋肉があります。
 今回のテーマは肘関節ですから、前腕にある長い筋肉と肘関節との関係が主な題材です。

 ご自分の前腕を触ったときに「硬いなぁ」とか「コリコリだなぁ」「張っているなぁ」と感じる人は前腕に筋肉がこわばった状態になっているわけですが、それが手指の使い過ぎによるものであれば、手や手指をよくマッサージすることでこわばり状態は改善して前腕は軟らかくなるはずです。
 ところが、たいして手を使っていわけでもなく、重い物を持っているわけでもないのに前腕や手の筋肉が硬くなっている人がいます。あるいは、マッサージしてもほとんど効果を感じられない人がいます。
 「パソコンをちょっと使だけでも、親指のつけ根がコリコリと硬くなってしまう」というような人もこの類いだと思います。
 このような人は肘関節が歪んでいる可能性が高いのですが、その原因としてかつての肘関節の打撲や捻れがあるかもしれません。

 YさんはデスクワークでたくさんノートPCを使っています。
 PC操作では、キーボードの上に手のひらを乗せた状態でキーボードを叩くのが本来の在り方だと思います。このことはきっと誰もが「そうだ」と同意すると思いますが、問題は、肘を下ろした状態で手のひらを真っ直ぐに、どこにも力をいれることなくキーボードに置くことができるかどうかです。

 そのためには、肘関節で確実に腕の向きが変わることができなければなりません。肘関節で前腕をしっかり内側に捻ることができなくて方向変換が中途半端な状態ですと、手首でさらに手を内側に捻る動作を加えなければキーボードに手のひらを置くことができません。親指のつけ根がすんなり自然に着くような手の置き方はできません。
 たとえば腕立て伏せをするように肘をしっかりと曲げたとき、すんなり肘を曲げきることができなかったり、あるいは手のひらが前を向くのではなく内側を向いて小指側が前になるようでは、それは肘関節が好ましい状態ではないと判断することができます。

 さて、Yさんは肘関節で前腕を十分に内側に捻る(回内動作)ことができませので、キーボードに手を置くためには手首を捻らなければならない状況でした。そして、この状況は特に親指のつけ根が浮いた状態になりますので、例えば親指でスペースキーを叩くときには親指を普通の人以上に強く曲げて使わなくてはなりません。ですから、そのための筋肉(短母指外転筋)が使い過ぎの状態になりこわばってしまいます。
 「ちょっとパソコンを操作すると、親指のつけ根がすぐに張ってしまい辛くなる」としばしば訴えます。

 以前に「前腕を捻る‥‥円回内筋と回外筋」で説明しましたが、肘関節を内側に捻る動作は回内筋が主体になった行われなければなりません。諸々の理由で回内筋がしっかり働けない状況ですと手首の方形回内筋を使って前腕を内側に捻るようになりますが、本来それは不自然な状態です。そしてこの不自然な状態で親指を使うようになりますので、それは親指つけ根の酷使状態となりますので、すぐに筋肉はこわばってしまい辛くなってしまうと考えることができます。

 回内筋が上手く働けない理由はいくつか考えられますが、Yさんの場合は肘関節で上腕骨と尺骨の関係が歪んでいたことが原因でした。
 「付着している骨が不安定なので筋肉の働きが悪い」という項目に該当します。そして肘関節が不安定な理由は、かつて肘を打撲したことでした。

 肘のところには神経(尺骨神経)が通っていますので、肘をどこかにぶつけますと、小指の先にかけてジーンと強烈な痛みを感じることがありますが、ちょうど肘頭の神経の通っているあたりに損傷がありました。靱帯なのか筋膜なのか判別が難しいのですが、その損傷によって肘関節が少しグラつく状態になっているために肘関節に関係する筋肉(上腕三頭筋長頭と内側頭、上腕筋、回外筋など)が変調状態になってしまい、「前腕の筋肉がコリコリに硬くなっている」状態を招いていました。そして、その影響で回内筋がしっかり働けない状況でした。
 その損傷してゆるんでいる部分をじっくりと施術し、いつも使っている(摩法の石ような)ダイオードを貼りますと、肘廻りの変調していた筋肉は状態が良くなり、前腕の硬さは速やかに改善し、そして自然と親指のつけ根のこわばりと張りも解消されました。

 Yさんは、かつての肘の打撲により肘関節が不安定になったために前腕や上腕の筋肉がこわばって張ってしまい硬くなっていました。さらにその影響で前腕を内側にしっかり捻ることができないのにパソコンを操作しなければならない状況でしたから親指を酷使する状態となり、いつもそこに辛さを感じていたという状況でした。
 ですから肘関節の損傷部位を整えることで、この問題を改善することができました。
 そして、肘をぶつけている人はたくさんいると思いますので、そのような人は肘関節を整えてみてください。きっとからだの状態が良い方向に変わると思います。




肘の内側の損傷で全身のむくみ

 上記では肘関節の回内動作(前腕を内側に捻る)が上手くできな症例を取り上げましたが、今度は反対に肘関節で前腕を外側に捻る動作(=回外動作)が上手くできない状況が原因で全身的にむくんだ状態になってしまっている症例を取り上げます。

 Aさんは現在、週3日勤務の事務の仕事をしています。仕事内容はそれほどハードではありませんし、たくさん歩いていることもないのですが、常に下半身がパンパンの状態で、腕もパンパンしています。全身がむくんでいる状態ですが、水分が溜まった単なるむくみとは違って筋肉も全身的にこわばっていますので、からだ全体が硬く腫れているような状態です。

 Aさんは30歳代前半ですが、しばしば首の調子が悪くなりますし、毎日のように頭痛に悩まされているとのことです。Aさんは高校時代まで新体操をやっていて開脚なども大きくできますし、からだが硬いわけではありません。ところが筋肉はこわばった状態なのです。
 これらの状況から推察しますと、Aさんは本来、からだは軟らかく筋肉も軟らかいのですが、何かの理由によって全身的に筋肉がこわばった状態になっており、それによって静脈やリンパの流れが停滞して全身がパンパンした状態になってしまっていると考えられます。
 ですから、その「何かの理由」を探し出して特定し、それを修正する必要があります。

 Aさんは過去に大きなケガや故障は経験した記憶が無いとのことです。新体操の練習においてもケガは無かったとのことです。
 ですから、手首や肘や肩の関節、股関節、膝関節、足首などの状態を確認する作業から始めました。関節の状態を初めに確認するのは、むくみは関節の歪みに密接に関係しているからです。
 すると右の肘関節が不安定になっているのがとても気になりました。そこで肘関節を90°に曲げた状態で回内動作と回外動作を行ってもらいました。内側に捻る回内動作はそれほど問題はありませんでしたが、外側に捻る回外動作では、肘関節で回外を行うことができずに手首のところで外側に捻っている状態でした。つまり、肘関節の回外がまともにできない状態です。
 「右肘が歪んでいて力が入らないけど、何かこころ当たりはありますか?」と尋ねましたが特に思い当たることはないとのことです。
 そこで新体操の競技について尋ねながら、からだの使い方などを連想していきました。肘を打撲したり酷使したりすることはないだろうか? ボール競技で肘でボールを受けたりして筋肉を傷めたりしないだろうか? リボンやその他の競技で肘を傷めるようなことはないだろうか?
 よく解りませんでしたが、改めて詳しく肘周辺を観察しますと上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)が前腕の橈骨に付着している部分(腱)周辺がゆるんだ状態になっているのがわかりました。そしてその部分に手を当てて、ゆるんだ状態を補い、そして再度回外動作をしたもらいますと、今度はしっかりと回外動作を行うことができました。

 ここに問題があったのです。その後、ゆるんでいる部部にしばらく手を当て続けていました。すると2分くらい経過した頃から、太股や鼡径部の硬い膨らみがやわらいでいきまして、筋肉からも力が抜け出し、その流れが次第に全身に及ぶようになりました。
 頭も首周りも楽になり、呼吸も大きく深くできる状態になっていきました。肉厚だった手の親指つけ根(母指球)も中身が消えたように薄くなり、全身がリラックスした状態になっていきました。
 さらに10分、15分と手当ての状態を続けていきました。パンパンだったジーンズはスカスカな状態になり、ウエストも細くなっていきました。
 右肘だけの問題で、これほどまで全身に影響が及んでいたということですが、改めて人体の不思議さ、人体に隠されている秘密を知ることになりました。


 ここで簡単に回外動作と筋肉の関係について説明します。
 肘関節で回外動作を行う代表的な筋肉は2つあります。ひとつは回外筋(かいがいきん)です。そしてもうひとつは今回取り上げました上腕二頭筋です。
 回外筋と上腕二頭筋は解説書などによりますと、ともに「回外に働く筋肉」となっていますが、肘を伸ばした状態で前腕を回外する動作では回外筋が収縮し、肘を曲げた状態では上腕二頭筋が収縮して回外動作が行われるという違いがあります。
 Aさんの場合、上腕二頭筋に問題がありましたので、肘を曲げた状態で回外動作を行うことが苦手な状況でした。このような状態の時にドアノブを握って外側に捻るような動作をしますと、手首を捻って動作を行うようになりますので、それはそれで別な不具合を招く恐れがあります。

つい忘れてしまう肘の打撲

 冒頭に、肘をコツンとぶつけても日常生活への影響が感じられなければ、それは一時的なことであり痛みが消えてしまえば、皆さんすぐにそのことを忘れてしまうようです。それはそれでOKなのですが、肘関節が不安定になるような影響が残っていますと、「手に力が入らない」「腕の筋肉がいつも硬い」「親指のつけ根が太くて硬い」などの症状が現れます。そして既に取り上げましたように全身がむくむなどの症状の原因になる可能性もあります。そして、それ以外にもいろいろと症状が現れますが、それらをいくつか簡単に紹介します。

坐骨神経痛の原因が肘の歪みだった

 常に坐骨神経痛を感じている状態は治まったのですが、横になってリラックスしていたりすると症状が現れると訴える人がいます。座っていても大丈夫、立っていても歩いていても大丈夫、それなのにからだを楽にしていると症状が現れるというのは、坐骨神経痛の現れ方としては異例の部類に入ると思います。そして結局、その原因は肘の歪みによる影響でした。その人は昔、頬杖をたくさん着いていたし、今も自宅で転がりながらテレビを見るときには肘で頭を支える(片側の頬杖状態)姿勢をするとのことです。つまり頬杖によって肘関節が歪み、その肘に荷重がかかる状況になると頚椎や背骨や股関節が歪み、坐骨神経痛の症状が現れるのではないかと私は考えました。

ヨガのブリッジができない

 仰向けの状態で背中を浮かせ、手と足でからだを支えるブリッジの状態をつくるためには、手首を最大限に背屈して掌を地面に着ける必要があります。
 掌が真っ直ぐ着地できるかどうかは重要な要素になります。

 そして、そのためには肘関節での回内が十分に行える状態でなければなりません。回内が不十分な状態ですと、小指側は着くけど親指側は浮いてしまいますが、それを補うために手首を捻るようになります。するとその捻れはからだの別の部分にも及びますので、正しいブリッジの姿勢を築くことができなくなってしまいます。

片側の足の着地感がいつも気に入らない

 肘関節を曲げて、そこに買い物袋やバッグを引っ掛ける癖を持っている人は肘関節内側の筋膜が損傷していたり、あるいは筋肉がゆるみ過ぎの状態になっていて肘関節で前腕がすこし離れた状態になり不安定になっている場合もあります。そして肘関節の不安定さは肩関節、股関節、膝関節、足首へと連動し、下半身が不安定で足の着地感がいつも気になる状況を招くこともあります。
 手で重たいバッグを持ち続けることは苦痛なので、つい肘に引っ掛けてしまう人もいるかと思いますが、それはそれでリスクもあります。
 「極力、持ち歩くバッグは軽くしてほしい」と私は思っています。


 今回は肘関節について取り上げましたが、からだにある大きな関節‥‥肩関節、肘関節、手首、股関節、膝関節、足首は、どれも大切です。
 その他にも小さな関節はたくさんありますが、大きな関節が歪みますと全身的にバランスが変化しますし、循環に影響が生じます。ですから、まず大きな関節がしっかり整うようにと私は施術を心がけています。

 膝関節は変形しやすい関節ですが、骨と骨の関係が歪んでいる状態であれば、筋肉や靱帯を整えることで関節を良い状態に整えることはできます。ところが、軟骨やその他の大事な組織が消耗して無くなってしまうなど器質的に変化してしまいますと、手術によって人工関節に置換しなければならなくなったりします。股関節も肩関節も同様です。

 ですから、大きな関節に問題が生じたと感じたのであれば、速やかに対処されることをおすすめします。ただし、適切に対処できる専門家に相談してください。すべての整形外科がそうであるとは思っていませんが、レントゲンを撮って経過観察だけ行い、痛みに対しては湿布や痛み止めだけで対応するようなところは避けた方が賢明だと思います。結局のところ症状は徐々に進行し、やがて手術しなければならない状況になってしまう可能性があるからです。

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 今回は筋肉の話題です。
 ふくらはぎの外側に第3腓骨筋(だいさんひこつきん)と呼ばれる小さな筋肉があります。そして、この筋肉が非常に強くこわばっている人がたくさんいます。
 第3腓骨筋は足首を曲げる時に働く筋肉ですが、特に小趾側を引き上げる時に働きます。
 骨格的に問題があったり筋肉の働き方に問題があったりして股関節内側の筋肉を使って股を上げることが出来ない人は、太股やふくらはぎの外側の筋肉を使って歩くようになりますが、すると第3腓骨筋がこわばってしまいます。
 内股やO脚の人は、大方第3腓骨筋がこわばった状態になっていると思います。

 今回、第3腓骨筋のこわばりを取り上げた理由は2つあります。
 一つは、膝関節が歪んでしまい、膝の裏側が腫れぼったくなってしまい、リンパや静脈の流れも悪くなりますので、慢性的に下半身に違和感や不快感を感じ右ようになってしまう可能性が高くなることです。
 もう一つは、膝関節に不具合や不調を感じる頻度が高くなることです。第3腓骨筋と兄弟のような関係にある筋肉に長趾伸筋(ちょうししんきん)がありますが、これらの筋肉がこわばりますと、深くしゃがみ込むことができなかったり、しゃがんだ状態から立ち上がる時に膝やふくらはぎの外側に痛みを感じるようになったりします。あるいは、常にふくらはぎの外側に筋肉の張りを感じるようになるかもしれません。

 今回は第3腓骨筋のこわばりによる影響と日々のセルフケアについて説明させていただきます。

第3腓骨筋と長趾伸筋

 膝下から足首にかけてを一般的にはふくらはぎ、英語ではレッグ(reg)と呼びますが、専門用語では下腿(かたい)と言います。
 下腿には脛骨(けいこつ)と腓骨(ひこつ)の2つの骨があります。
 膝関節の外側にある骨の出っ張りは腓骨(腓骨頭)ですが、その骨に沿うようにして足首を超え、足につながっている筋肉を腓骨筋と呼びますが、それは3つあります。

 第3腓骨筋はそれらの中で最も小さい筋肉ですが、他の2つの腓骨筋とは違う特徴として外くるぶし(外果)の前を通過していることがあります。
 ですから第3腓骨筋がこわばりますと、外果が前にずれたり、足の小趾側に近づいたりするといった現象が起きます。(小趾中足骨を腓骨の方に引き寄せる結果として)

 そしてこのことは腓骨が歪んで、膝下の腓骨頭の位置がずれる状態を招きますが、それによっていろいろな弊害が生じます。

膝裏の腫れぼったさ

 膝関節の裏側は凹んだ状態になっているのが、正しい在り方です。膝関節の裏側では、ふくらはぎ(下腿)~太股(大腿骨)につながっている腓腹筋と反対に大腿骨から下腿につながっている大腿二頭筋(だいたいにとうきん)と半腱様筋(はんけんようきん)・半膜様筋(はんまくようきん)が交叉していますので、交叉している部分(膝関節裏側外側部)には筋肉と腱による盛り上がりあります。ですから、その間(膝関節裏側中央部)は相対的に凹んだ状態になります。(膝窩と呼ばれます)

 ところが何かの理由で大腿骨と下腿の関係に歪みが生じますと、その凹み(膝窩)は消えてしまい、反対に腫れぼったい感じになってしまいます。
 このような人は意外に多くいますが、そのほとんどの人は「脂肪」や「むくみ」による膨れだと思っているようです。
 「むくみ」であることは半分当たっています。膝関節が歪んだことによって膝周辺の静脈やリンパの流れが停滞してしまい、むくんだ状態になるからです。
 むくみ以外では、筋肉のこわばりが腫れぼったさの原因です。筋肉はこわばりますと、硬く太くなりますので、膝裏やその周辺やふくらはぎやが太くなってしまうのです。
 ですから、膝裏をスッキリした状態にしたいのであれば、膝関節の歪みを整えて筋肉のこわばり状態を解消する必要があります。
 膝関節の歪みを放って置いたまま、たくさんマッサージなどをしたところで、少しの間はスッキリ感を味わうことができるかもしれませんが、根本的な解決には繋がりません。

 膝関節の歪みによる筋肉の変調(こわばって太くなる)や位置のずれが原因と考えられますので、関節の状態を改善しませんと、根本的な問題解決には結びつきません。いくらマッサージなどしても「その場限り」の改善となってしまいます。

 さて、第3腓骨筋が強くこわばりますと、膝関節でふくらはぎの骨(脛骨と腓骨)が外側後方にはずれ、足首にかけて内側に捻れた状態になると私は感じています。この表現は実際にはかなり大げさですが、解りやすいイメージを思い浮かべていただくためには、適当な表現だと思います。

 細かく説明しますと以下のようになりますが、マニアックすぎると思われる人は、「第3腓骨筋がこわばると膝関節が外側に外れたような状態になって、膝裏が硬く膨らんでしまう」と簡略して理解していただければと思います。

 第3腓骨筋が強くこわばった状態になりますと、ふくらはぎ(下腿)が足首に掛けて内側に捻れるような状態になります。その原因は先ほど申しましたが、外くるぶし(外果)が前下方に引き寄せられた状態になってしまうからです。
 下腿全体を包んでいる筋膜(皮下筋膜)も腓骨(外果)の動きに合わせるように捻れますので、下腿全体を足首にかけて内側に捻れさせる力が働いてしまうからだと考えられます。そして、その反動のように、膝関節の周辺では腓骨頭が後に動くような力が働いてしまいます。つまり、膝関節で腓骨頭は後下方に歪み、さらに後ろ向きの力が働いてしまいます。 
 言葉にするととても解りにくい説明になってしまいますが、結論的に申しますと、腓骨が、足首周辺では前の内側に引っ張られ、膝周辺では後下方に引っ張られるような状態になってしまうということです。普通に考えますと、このような状態は「起こりえない」となりますが、皮下筋膜のバランスを取る働きによってこのような状態になるのではないかと、私は考えています。

 膝関節で、腓骨頭を後下方に歪める力が働くことによって、腓骨頭から大腿骨に繋がっています大腿二頭筋(だいたいにとうきん)短頭にはテンションが掛かります。そして大腿二頭筋短頭は何とか腓骨(腓骨頭)を本来の位置に戻そうとしますので、腓骨を大腿骨の方に引き寄せようとしますが、それによって筋線維がこわばり、太股裏側の外側が棒のように硬くなってしまうことがあります。(実際には大腿二頭筋短頭と外側広筋や大殿筋の一部がこわばります)
 そして膝関節で腓骨頭が後下方に引っ張られた状態は膝裏の深部にあります膝窩筋にも影響を与え、膝裏が硬くなると同時に膨れあがった状態になる原因になります。

第3腓骨筋への施術

 実際、第3腓骨筋のこわばりによって膝関節の裏側が硬く腫れぼったくなっている人の第3腓骨筋は、頑固にこわばっています。
 「どうしてこんなに硬くなるのだろう?」と不思議に思いながら施術を行うこともありますが、長年の、からだの使い方の癖による蓄積なのかもしれません。
 ですから、私はただひたすらにこわばっている第3腓骨筋とその付着部(停止)である外くるぶしから小趾側にかけての硬さをゆるめる施術を行うのですが、施術を受ける側もかなりの痛みを感じてしまいます。

 そして片方15分くらい掛けてゆるめていきますと、外側後方にずれていた膝関節も「しっかりはまった」と感じるようになりますし、内側に捻れていた足首周辺の状態も改善されるようになります。左右両方で30分くらいの痛い施術になりますが、その後は、膝周辺もスッキリして膝裏に凹みが現れるようになります。
 足の着地状態も良くなって「足全体でしっかり立っている感じがする」と皆さん言います。そして「これがこの人の本来の脚の状態だ」と私は感じるのです。
 太くても、細くても、スマートな状態というものはありますし、それが本来であり、魅力的だと感じます。

軟らかすぎる足首の弊害

 今は私のからだも硬くなってしまいましたが、数十年前、運動をたくさんしていた頃の私は結構からだが軟らかい方でした。
 しかし、踵を上げないまま、膝を曲げてしゃがみ込むことはできませんでした。

踵を上げないでしゃがむ

 ところが、写真のように膝を揃えたままの状態で踵を上げることなくしゃがみ込むことが難なくできる人がいます。
 私が若い頃の時代、いわゆる「ヤンキー」と呼ばれていた人達の代表的なスタイルは股を開いて地べたにしゃがみ込む姿でした。しかし、それは両膝が開いているからできるのであって、膝を閉じたまましゃがみ込む人はいなかったです。
 しゃがみ込み続ける姿としては野球の捕手が思い浮かびますし、相撲や剣道で行われる蹲踞(そんきょ)もそうですが、踵を浮かせて、足首にからだを乗せるような状態でしゃがみます。ですから、普通はそうであると私は思い込んでいました。

 踵を浮かすことなくしゃがみ続けていられる人がいることを知り驚いたのですが、そのような人達の多くが膝にトラブルを抱えやすい現実も知ることになりました。
 そのような人達は膝関節が悪いということではないのですが、「しゃがみ込むときに最後まで深く膝を曲げることが厳しい」とか、「しゃがみ込んだ姿勢から立ち上がる時に膝周辺やふくらはぎの外側に痛みを感じる」、「膝がはまっていないように感じ、深く曲げるとツッパリ感を感じる」などの症状を時々訴えることがあります。

 このような状態の時は、第3腓骨筋や長趾伸筋(ちょうししんきん)や小趾外転筋(しょうしがいてんきん)が強くこわばっています。さらに関係する靱帯も硬く縮んだ状態になってしまいます。
 それは踵を上げることなくしゃがむことができ、その姿勢を苦に感じることなく長時間持続することができるので、これらの筋肉や靱帯が収縮しっぱなしの状態になっているからではないかと思っています。筋肉は収縮した状態を長時間持続しますと、こわばった状態になるからです。

 今は昔ですが‥‥、たとえば和式トイレでしゃがみ続けていますと、ほとんどの人は足首に対する負荷に次第に苦痛や居心地の悪さを感じるだろうと思います。ときどき立ち上がって足首を解放するなどして疲労感を和らげたくなるのだろうと思います。つまり、そうすることで第3腓骨筋や長趾伸筋の収縮状態を一端リセットして筋肉がこわばらないようにしていることになります。

 さて、このように踵を上げることなくしゃがむことの出来る人は、そのしゃがみ込んだ姿勢が楽だと言います。
 大工のTさんは、たとでば建築現場での業者同士の打ち合わせの祭、30分くらいであれば平気でしゃがみ続けていられると言います。そして、その姿勢が最も楽だと言うのです。
 ところが、しばしば膝がおかしくなり、ふくらはぎの外側が「張って、張って!」と訴えるようになります。
 「その姿勢が楽かもしれないけど、足首には負担なので、踵を上げないでしゃがみ続けるのは止めてください」と私は申し上げます。
 そして、「蹲踞(そんきょ)のように、踵を浮かせて足首の前面を伸ばすようにしてしゃがむようにしてください。」と申し上げます。
 何故なら、そうすることで第3腓骨筋や長趾伸筋はこわばらなくなり、足首前面の靱帯は縮んだ状態にならないからです。

セルフケア

 第3腓骨筋および長趾伸筋のこわばりを改善するためのケアは、単純にこわばって縮んだ状態になっている筋肉を指圧等で引き伸ばすようにストレッチすることです。
 私は仕事として行っていますので、それぞれの筋線維に的を絞って施術を行いますが、普通の人は長趾伸筋と第3腓骨筋を区分けして把握することはできませんし、自分で自分のふくらはぎを伸ばす姿勢や作業は疲労しやすいとも言えます。ですからある程度的を絞って、外くるぶしの上4~5㎝くらいのところの深部にあります筋肉のコリッとした塊をゆるめるように指圧してください。

 筋肉が強くこわばって硬くなっている段階では、指圧してもほとんど痛みを感じないと思います。しかし指圧を続けていますと硬さが和らいできますが、そうなりますと痛みを感じるようになり、そしてだんだん痛みが強くなると思います。そして、ここからが勝負です。痛いからといって指圧の力をゆるめないでください。
 その痛みは強くなりますが、やがて少しずつ弱まっていき、そしてほとんど痛みを感じない状態になります。ここまでやっていただきたいのです。これで、その部分のこわばりが解消されたことになります。

 次にケアしたい場所は外くるぶしの下から小趾にかけての広い部分です。第3腓骨筋と長趾伸筋の腱が通っている部分になりますが、それらも含めて皮下筋膜も硬くなっています。
 この部分は指圧よりも少し軽めの力で、ぐるぐるマッサージするのがよいと思います。大丈夫な人はゲンコツを握った状態で軽くゴリゴリするようにマッサージしてください。
 その刺激が強すぎると感じる人は人差し指・中指・薬指の指先を使ってぐるぐるとほぐしてください。
 このケアもマッサージを進めているうちに痛みが増えてきて、そして痛みが和らいでいくようになります。ですから、そこまでケアを続けていただくことがポイントになります。

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