ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

2019年05月

 昨年の4月の検査で側弯症と診断された、当時中学1年生(現在は2年生)の女子が昨年8月から月2回のペースで来店されています。
 その時の検査で角度(コブ角)が30°だったということで、学校側の指定する医療機関で装具を装着するように強く勧められているとのことでした。

 本人と母親の希望もあって、「装具を装着することなく側弯症が良くならないものだろうか?」と相談を受けました。からだを観察しますと、明らかに側弯症と認識できる状態でしたが、症状がかなり進行しているというレベルでもありませんでしたので、「装具は必要ないと思いますし、安心できる状態になるまでは時間は掛かりますが、十分に対応できますよ。」と申し上げて、施術で対応することに決めました。
 施術を始めて8ヶ月が経ちましたが、今年の4月に再び学校側の検査がありました。レントゲンによる診断では、昨年30°だった角度が18°になっていて、医師から「装具を装着する必要はない」と言われたとのことです。
 私自身は「まだ18°もあるのか‥‥」と少し残念な気持ちでしたが、母親はご自分の選択(当院での施術を選んだこと)で改善が見られたことで一安心といった様子でした。同じように側弯症と診断されて装具装着を選ばれたクラスメイトの女子は、昨年に比べて更に側弯が進行していたということでした。

側弯症への具体的対応

 成長期の側弯症進行を阻止する目的で、装具を装着させる治療法があります。装具によって側弯のさらなる進行が抑えられると考えての方法かもしれませんが、私にはその理屈が理解できません。

 歯列矯正のために装具を用いることはなんとなく理解できます。歯は軽い力で横方向には動きますので、装具を装着して軽い力をかけ続けていれば、歯列がそのようになるのだろうと思います。
 あるいは、ムチウチをしてしまった頚椎を保護するために装具をつけたり、捻挫や骨折から骨格や組織を保護するために装具を装着するのも理解できます。
 ところが背骨の歪みを進行させないように、大がかりな装具を、それも一日中窮屈な思いをしながら装着したとして、どれだけの効果が期待できるのか、私はとても懐疑的です。
 背骨はからだのセンターラインです。ですから、からだが望むようなバランスを反映するようにして背骨は歪みます。例えば、いつも右側にばかりからだを捻っている人は、その状態でバランスが取れるように背骨が捻れます。からだが右に捻れているのに背骨だけ捻れない状態でいることはできません。装具を使って強制的に背骨だけ捻れない状態にしたとしますと、からだ全体と背骨の在り方が乖離していしまいますので、からだにとってはとても辛い状況になってしまいます。ですから、背骨の捻れや歪みを改善したいと考えるのであれば、からだの捻れや歪みが改善するようにすることが王道であると私は考えます。
 「どうしてからだが歪んでしまったのだろう?」、このことを追求することなく形だけ強制的に整えようとしても、からだはそれに応えてくれません。細かく、繊細で、多くの忍耐を要求される作業になりますが、歪みが生じた原因を探し出す作業を欠かすことはできません。そして、それこそが解決に至るための最も重要なポイントであると私は考えています。

きっかけがあって歪み始める

 病気や先天性の要因による場合は別にして、からだや背骨が歪んでしまうのには必ず原因ときっかけがあると私は考えて観察と施術を行っています。
 「いつもの姿勢が悪かったから、歪んでしまったのだろうか?」という問いかけをされる人がいます。確かに姿勢の悪さは歪みの原因ですが、「どうして姿勢が悪くなってしまったのだろう?」というところに着目しなければならないと思っています。
 3歳とか、5歳とか、小学校低学年の子供たちの中には、落ち着きがなくてじっとしていることが苦手な子がいます。食卓に座ってご飯を食べることができなかったり、いつも肩肘をついてダラダラと食事していたりと、「ちゃんと座ってご飯をたべなさい!」と母親をイライラさせる子供がいます。そんな子供たちは将来、側弯症になる可能性を秘めていますが、ちゃんと座ることができないのは性格などの問題ではなく、骨盤に問題があったり、腹筋に力が入らなかったりと、肉体的な問題が原因になっていることが多いと思います。
 乳幼児と呼ばれる頃の子供たちは関節がとても柔らかいので、肩や股関節が瞬間的に脱臼したとしてもすぐに戻ったりします。そして親にぶら下がってブン回されたりする遊びが好きです。もしかしたら、それによって肩関節や股関節がゆるんだ状態になってしまい、骨盤が不安定になって座位で体重を支えることができないために、ちゃんと座ることができないのかもしれません。あるいは出産時の臍の緒の処理に問題があって、腹直筋の働きが悪く、舌の動きも悪くなって、なんとなくしゃべり方もおかしく、しっかり座位を保つことができない状態になっているのかもしれません。
 「そんなことが影響しているんですか!?」と、皆さんにとっては思いも寄らないことが原因やきっかけになって、からだが歪んでいることは実際とても多いのです。

 今回の女子は、やはり小学校高学年の頃から食卓の椅子に真っ直ぐ座って食事することができず、いつも脚を曲げているような変な格好をしていたとのことでした。
 そこで本人に「小学生の時、何か大きなケガなどしたの?」と尋ねました。同伴した母親にも尋ねてみましたが、特に大きなケガをした記憶はないとのことでした。しかしながらからだを観察していきますと、腹部左側の肋骨とみぞおちの境辺りに他の場所とは感触の違う場所がありました。
 「ここ少しおかしいのだけれど、何かあったのかな?」と本人に尋ねました。すると「小学校4年生の時、体育の跳び箱の授業で踏切のタイミング合わなくて、そのまま真っ直ぐ跳び箱に突っ込んでしまいお腹を強打してしまった」とのことでした。
 「しばらくの間、息ができなくて苦しかったけど、少し休んでいたら大丈夫になったので‥‥」
 これは場所的に見て、充分に歪みのきっかけになる出来事だと思いました。
 また、その後の母親との会話からいろいろな情報を得ました。幼い頃から、歩いていてしょっちゅう何かにぶつかってしまう、つまり本人はぶつかるつもりはなくても廊下の壁にぶつかったり、テーブルにぶつかったりしてしまう癖があったとのことでした。これも貴重な情報です。1歳の時に髄膜炎を患ったとのことですが、それが関係しているのかもしれません。

歪みの始まりを特定して、そこを施術する

 「背骨の歪み」が側弯症ですから、それを修正するためには背骨がどこから歪み始めたのかを特定することが非常に重要です。歪みが一番大きくなる部位は大概肩甲骨の下部辺りになりますが、そこから背骨が歪み始めるということはほとんどないと思います。下半身の問題で背骨が歪んでしまったのであれば、その歪みは骨盤近くから始まります。頭部や手や腕、上半身の問題であれば、頚椎、あるいは胸椎の上の方から歪みが始まります。
 そして、その始まりである脊椎の歪みや捻れに従って上半身が捻れるようになりますが、やがてその捻れが定着するようになってしまいます。そうなりますと「ちゃんと座っていられない」など姿勢の悪い状態になりますが、その悪い姿勢を長く続けていますと、次第に最初の歪みが増幅されて脊椎全体を歪めるようになってしまいます。そして成長期という要因も合わさって背骨が肩甲骨下部辺りで大きく歪んだ状態になってしまうのではないかと思います。

 ですから歪みを修整しようとする場合は、最初の歪み、つまり歪みの始まりの場所を特定して、その歪みが始まった原因を修正する必要があります。
 例えば側弯症の場合、肩甲骨辺りに一番大きな歪みがありますが、そこばかりに着目して、その部位にたくさん施術を行って歪みを正そうとしても、それでは上手くいきません。そこは結果的に歪んでしまった部位、歪みのシワ寄せが最も大きくなって現れた部位ですから、たとえその部位の歪みが一時的に改善されたとしても、原因であり、歪みの始まりの部位が修正されていなければ、すぐに再び歪んだ状態に戻ってしまいます。そしてこれが、私が装具は意味をなさないと考える理由でもあります。
 クラスメイトの女子が、「装具を装着していたのに、一年前より歪みが大きくなってしまった」というのは、このことの具体的な現象です。

 この女子の場合、頚椎から歪みが始まっていました。ただし、歪みの原因は一つだけではありませんでした。腹部の打撲により腹筋の一部の働きが悪くなっていて、それによる胸郭の歪みもありました。また、頭皮やその下の筋膜にも打撲によると思われる損傷が残った状態になっていました。右肘もゆるんだ状態になっていましたが、しばしばテーブルなどにぶつけていたということです。
 頚椎全体が左側に弯曲した状態になっていて、その反動のような感じで胸椎が右側に弯曲し、それが肩甲骨の下部あたりで最大の歪みになっていました。そして、その結果として首の左側筋肉が強くこわばって張っていました。胸郭は右側へ歪んでいましたが、それを強調するかのように右側の肩甲骨が右前方に大きく回った状態になっていました。上半身が逆「く」の字のようになっていましたが、腰部は左側の脊柱起立筋が「ボーン」と棒のように突っ張った状態になっていました。
 このような骨格の状態ですから、当然運動制限もありまして、首を下に向けることも反ることも途中までしかできませんし、腰を捻る動作も不十分な状態です。

 施術は、歪みの始まりであると特定した頚椎の修正からはじめました。左顎が噛みしめた状態になっていて、それが左首の筋肉(斜角筋)のこわばりをもたらし、頚椎を左側に引っ張っていました。さらに腹部の打撲による影響で第7頚椎やその下部の胸椎が、噛みしめによる頚椎の捻れとは反対方向の歪みをもたらしていました。そして右肘の損傷による影響で右肩甲骨が外側に大きくずれる状態になっていました。当初、何回かの施術はこれらの歪みを修整することを主目的に調整していきました。
 左顎の噛みしめ状態を解除すること(噛みしめない状態にすること)。腹部の打撲部位の損傷を改善すること。右肘の状態を改善すること。
 これら3点に集中して4~5回の施術を行いますと、背骨の状態は当初の側弯とは様相が変わっていきました。この女子はバレエ(踊り)を習っていますが、レオタードを着た容姿が大分変わったと10月くらいに母親が仰いました。普通の人がパッと見ただけでは側弯症だとは気がつかない程度にはなったのだろうと思います。

側弯症に対して気になること

 整形外科の先生たちの見解によりますと、成人時のコブ角が30°未満であれば生活にそれほど支障はでないだろうということです。成長期であっても20°(ありは25°)未満であれば装具は必要なく、要観察の状態だということですが、私はこの見解に不満を感じます。
 これまで幾人かの側弯症の人達を観てきたことで申し上げれば、明らかに側弯症であるとわかるようなコブ角が30°程度の人の場合、内臓の配置が通常の人とは異なります。上半身の右側か左側か、どちらかに寄っている状況になっていますので、通常の人とは消化吸収能力に差が出てもおかしくないと思えます。通常の人でも胃下垂などの状況になりますと胃もたれや不快感、消化不良を感じるわけですから、内臓の配置に偏りがある人は不調や不都合があるのが自然な状態になっているのではないかと思います。ただ、本人にとってはその状態が普通ですから、特に不調だとは思わないかもしれません。
 また、胸郭の歪みが大きいわけですから、呼吸運動には確実に影響が出ます。特に胸式呼吸の方への影響が強いと考えられますが、その場合「芯からリラックスする」という状態を達成することが難しくなります。
 このブログでは何回も呼吸の大切さについて記してきましたが、呼吸は単に肺でガス交換を行っているだけのことではありません。大切な脳も含めてからだの隅々の小さな細胞にまで酸素が充分に届けられ、そこでのガス交換がちゃんと行われることが最も重要なことです。肺呼吸がしっかりできていて、血中の酸素濃度にも問題がなかったとしても、脳が酸欠状態で、いつも頭がボーッとして半分寝ているような状態であれば、それは呼吸が良いとは言えません。

 現に、からだが大きく歪んでいる人は噛みしめや歯ぎしりの癖、片噛みの癖などを持つことになりますが、それはからだを緊張状態にします。私は施術で噛みしめや食いしばりの癖に対処する場合、からだの歪みや呼吸状態の改善を試みますが、側弯の大きい人は、そこでつまずいてしまいます。
 ですから、「コブ角30°未満であれば生活に支障がでない」などという医学的ガイドラインがあるとするのであれば、それは無責任な見解であると言わざるを得ません。たとえ成人であったとしても、30°が20°に、20°が10°になるような方策を考えて提供するのが専門家としての在り方ではないかと思います。

側弯症の改善は時間を要するが成果はでる

 この度の女子を受け入れるにあたって、お母様に「時間は掛かりますよ」と最初に申し上げましたが、現に、これまで9ヶ月が過ぎました。当初、コブ角30°だったものが、4月の時点で18°になりました。私はなんとか10°まで持っていきたいと考えています。
 これまでたくさんの人の背骨を観察してきましたが、真っ直ぐな人は一人もいませんでした。多少の歪みは誰にもあります。ですから、おそらく10°以下は標準であり、充分許容範囲であるのではないかと思っています。

 この9ヶ月はこの女子にとっては確かに成長期でありまして、体重が10㎏以上、身長も10㎝以上は増えたのではないかと思います。幸いにして母親の協力がありまして、このように良い方向に進みました。あと半年くらいで施術を終える段階に到達したいというのが現在の目標ですが、半年が1年になったとしても、必ずその時はやって来ると思っています。
 これまでも何人かの側弯症と診断された成長期のお子さんが親御さんに連れられて来店されました。しかし、ほとんどの人達が3回程度来店されて、その後来店されなくなってしまいました。目に見えた結果が現れないので頼りなく感じたのかもしれません。

 確かに私たち整体の業界は、一般的な見解として「いいかげん」とか「口からでまかせ」とか「信用できない」などのレッテルが貼られているかもしれません。やはり「医師」の方が権威がありますし、検査機器などの機械が揃っていますので、信用しやすいのかもしれません。しかし現実には、「装具を装着して様子を観ましょう」、症状が進行したら「手術で対処しましょう」ということしかできないようです。それでは、揚々とした将来を持っている少年少女たちが可哀想です。そう私は思ってしまいます。

 側弯症を修正するためには、今回記しましたとおり、元々の原因を特定しなければなりませんし、一つや二つや三つくらいの原因でなったわけではありません。ですから、実際の作業では施術を進めながら別の問題点と直面し、それを修正するとまた別の問題点が表面化するといった工程を何度も繰り返すことになります。
 最初の原因で歪みバランスが悪くなってしまったからだは、どこかに要らぬ負担をかけてしまいますが、その状態を続けていることで別な場所が歪み始めます。すると、さらにその影響で別の場所が歪んでしまうというようなことが繰り返されますが、このような状態が常態化して側弯症という背骨の大きな歪みにつながってしまいます。
 ですから、一つの歪みが解消されるように施術を行いますと、潜んでいた新たな歪みに直面し、それに対処するとまた別な歪みが気になるといった状況になります。ですから、どうしても施術回数が必要になりますので時間が掛かってしまいます。しかし、細かく一つ一つの歪みを修整していきますので、着実に成果が期待できるのです。

 確かに私のところはお金が掛かります。月に2度のペースで来店していただきたいと思っていますので、年間26回で金額としては年122,200円になります。
 この金額をどう思われるかは、それぞれの考え方だと思いますが、私は整形外科が採用する「装具装着で様子を観る」というのは、あまりにも消極的な手段であり、「患者を治す」という医療従事者としての取り組み方ではないと思ってしまいます。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ http://yumetowa.com
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 「出っ尻・出っ腹の体型」と言いますと、一般的には、肥満傾向でお腹が前に大きく出ていて、お尻も大きくて、腰が少し反っているようなイメージかもしれません。ところが、痩せていても、からだの骨格として出っ尻・出っ腹の人がいます。そして実際、そのような人はたくさんいます。

 たとえば「腰(骨盤)にからだを乗せて立つ」という表現を皆さんはどのように受け止められるでしょうか?
 アスリートや骨格に歪みの少ない人はすぐに理解できるかもしれません。しかしこのイメージ的な表現、骨盤にからだを乗せる(委ねる)ということが実感として理解できない人は多いかもしれません。しかしながら、このことは私が皆さんに理解していただき、是非実現していただきたいと思っていることの一つです。
 座っているときも、立っているときも、骨盤にすっかり委ねることができるようになりますと、足や膝や太股にかかる負担は小さくなりますし、自然と顔や首や肩から力が抜けた状態になりますので、噛みしめの癖や肩こりなどもかなり軽減するようになります。

 ところが実際のところ、私のところに来店される人達の多くはこの状態とは違っています。現代はスマホやパソコンなどの影響もあってか、首が前に出いている人が本当にたくさんいます。そして、そのような人達のほとんどは、骨格的に、出っ尻・出っ腹の状態になっています。今回は、首が前にでていることと、出っ尻・出っ腹の関係について取り上げてみます。

第6頚椎と第4腰椎と骨盤の関係

 首の骨である頚椎は7個あります。ガクンと頭を前に倒したときに首の後側つけ根のところに大きく飛び出している突起は頚椎の7番目、第7頚椎の棘突起(きょくとっき)です。そして、その飛び出した第7頚椎のすぐ上にある棘突起が第6頚椎ですが、それが前方に落ちている人がたくさんいます。頚椎がどのような状況にあるのかを把握することは触り慣れないと難しいのですが、首を真っ直ぐに戻したときになんとなく第6頚椎が戻りきらず、前方に取り残された感じがすることで認識できるかもしれません。

 私のこれまでの経験で申し上げれば、第6頚椎が前に落ちている(=第6頚椎が下を向いている)人は第4腰椎も下を向いた状態(=第4腰椎棘突起は上に動く)になっています。そして同時に大腰筋(だいようきん)が働きの悪い状態になっています。大腰筋は腰部を安定させるために非常に重要な働きをしています。

 私たちの骨格は、側面から見ますと頚椎がやや前弯していますが、その反動的に胸椎がやや後弯しています。そして腰椎は再び前弯しますが、第3~第5腰椎の間でカーブが大きくなって仙骨、つまり骨盤に続いています。
 ですから本来であれば、腰を反ったり、骨盤を前後に動かす動作(腰振りダンスなど)では第4腰椎を支点にして脊椎(背骨)が動くことになります。

 ところが第6頚椎が前方に落ち込んでいたり、首が前に出ていたり、猫背の人は第4腰椎が良い状態ではありません。腰椎の前弯が乏しくてストレートに近かったり、酷い場合は前弯ではなく反対に後弯していることもあります。

 先ほど申し上げた「腰(骨盤)にからだを乗せて立つ」と表現できる状態は、上図の左側のような脊椎の状態になっていて、頭部を含めた上半身の重さが骨盤に真っ直ぐ乗っかる状態になっています。
 右側の図のように首が前に出て腰椎の前弯も乏しくなった場合は、頭部も含めた上半身の重心ラインが骨盤より前になりますので、前のめりのような感じになってしまいます。つまり「出っ腹」の状態です。痩せていても下腹だけ出ているような人がいますが、それはこのような原理によるものだと思います。
 上半身が前に出いていることは、全身的に見ますと相対的に下半身(骨盤)が後方にあるということですから、つまり「出っ尻」の状態です。
 上半身が前のめりのような状態ですから、からだはバランスをとるために自然と下半身の重心を後方に移動します。ですから、自ずとからだは「かかと重心」になってしまいます。

 ですから「出っ尻・出っ腹」状態や下腹部が前に出ている状態を改善しようとするのであれば、理屈としましては第4腰椎を整えることを中心に腰椎の前弯を正すことがポイントになります。
 ダイエットするなどしてお腹が出ないように努力してみても、なかなか効果が現れないと感じている人は、是非第4腰椎を中心に腰椎を整えることを行ってみてください。素速く効果が現れるのではないかと思います。
 そして、第4腰椎を整える上で、要になるのは第6頚椎の在り方であると私は考えています。

後斜角筋のこわばりによる影響

 第6頚椎が歪んでしまう理由はいくつかありますが、最も多く見受けられる理由は後斜角筋(こうしゃかくきん)のこわばりによるものです。
 後斜角筋は第4~6頚椎と第2肋骨を繋いでいる筋肉ですから、こわばって常時収縮している状態になりますと、常に第4~6頚椎を下方に引っ張り続ける状況になります。これによって第6頚椎が前方に落ちてしまう状態がもたらされます。

 後斜角筋は、咬筋の深層筋線維と連動しますので、噛みしめの癖を持っている人は常にこわばっています。(耳穴のすぐ側がコチコチに硬い人)

 また、付着しているのは第2肋骨ですが、内肋間筋がこわばっている人は常に第2肋骨も含めて肋骨が下にある状態ですから(息を吐き出して胸が下に下がった状態)後斜角筋は下方に引っ張られた状態になっていてこわばっています。息を大きく吸っても鎖骨やそのすぐ下の肋骨がスムーズに上がってこない人はこのような状態の人です。
副鼻腔と肩甲骨と腰部の働き 参照) 

 さらに手指~腕~肩関節にかけての状態によって第2肋骨が歪んでいることがありますが、それによって後斜角筋がこわばっていることもあります。
 私は仕事柄、毎日母指をたくさん使っていますが、その影響で短母指屈筋や短母指外転筋とその関連が常にこわばっています。そして、それによって後斜角筋がこわばった状態になっています。

 私は毎朝30分ほどウォーキングをしていますが、首が前に落ちていて骨盤に上半身がちゃんと乗っていないと感じることがしばしばあります。そんなときは上の写真の赤く塗ったところあたりをキューッと指圧しながら歩くようにしていますが、それだけでからだが真っ直ぐになって気持ち良く歩くことができるようになります。大腰筋の働きも向上して仙骨も前傾するようになりますので、意図しなくてもどんどん脚が前にでるようになり、お尻をプリプリさせながら歩くことができるようになります。運動を盛んにしていた20代の頃に戻ったような感じになります。

第4腰椎と大腰筋と大内転筋

 先ほども申し上げましたが、腰椎の前弯で重要なのは第3~5腰椎の大きなカーブと柔軟性です。子供たちのこの部分はフニャフニャですが、大人たちのこの部分は加齢にしたがって残念ながらどんどん硬くなっていき、柔軟性が失われてしまいます。
 腹ばいになった状態で腕を伸ばして上半身だけ反ろうとしたとき、小学生くらいまでの子供たちはなんの苦もなく腕を真っ直ぐに伸ばしきることができますが、大人たちは腰椎に柔軟性がありませんので骨盤を浮かせないと腕を伸ばすことができなかったりします。腰椎が後弯している人は、この動作すら危なっかしく見えてしまいます。

 ハワイのフラダンスやブラジルのサンバの踊りなどでは腰を非常に柔軟に、そして素速く動かしながら踊るわけですが、そのためには第3~5腰椎の柔軟性が何よりも重要です。この部分が硬い人は腰(骨盤)を振るような動作は非常に負担ですから、踊り続けることはできないと思います。

 加齢に伴って、あるいは悪い姿勢や強い衝撃などによって腰椎椎間板ヘルニアを患ってしまうことがありますが、その最も多い場所は第4腰椎と第5腰椎の間だということです。また、腰部の病気であります 「分離すべり症」「変性すべり症」も第4、第5腰椎に多いということです。
 つまり、腰椎下部の第4、第5腰椎は骨盤(仙骨)との連結部位でもあり、背骨(脊椎)の中で最も負担が掛かかる部位ですから故障を起こしやすいところだと考えることができます。ですから常に良い状態にしておきたいものです。

腰椎の前弯に最も関係が深い大腰筋

 大腰筋は腰椎の椎体を前方に引っ張っています。それによって腰椎の前弯が保持されるわけですが、特に腰椎前弯のカーブが最も大きくなっている第3~第5腰椎においては大腰筋の働きがとても重要です。仮に大腰筋の働きが悪くなりますと腰椎の前弯が乏しくなりますので「出っ尻・出っ腹」の状態になってしまいます。また、腰椎の椎間もしまりがなくなって不安定になりますので、周辺の筋肉がガチッとこわばってしまい、筋肉緊張による腰痛を招いてしまいます。
 また今回説明しておりますように、第6頚椎が落ち込むことと連動して第4腰椎も下方にずれ落ちた状況になりますと、それだけで大腰筋の働きは悪くなってしまいます。するとやはり腰部全体が不安定になります。そして大腰筋と連動する大内転筋の働きも悪くなりますが、すると立った時にお尻に力が入らない状況になってしまいます。

 冒頭に取り上げました、「腰(骨盤)にからだを乗せて立つ」状態というのは、実は「大内転と中殿筋がしっかりと働いて、お尻の穴をキュッと締めるようにして立つことができる」状態と同じことです。しっかり立とうとしますと仙骨が前傾して、太股内側から膝内側にかけて力が集中しますが、その反面、太股の前面やふくらはぎや足には余計な力が入らなくなります。足の指先を曲げることなくしかっりとした立位を保つことができます。
 足の指が曲がっている人が大変多いのですが、そのような人は足の指を曲げることでバランスを取りながら立っている、つまり指先で踏ん張って立っているということですが、それは好ましい状態ではありません。

 体操選手が演技の前にキュッとお尻を絞って立ちますが、それは正しく骨盤にからだを乗せている状態です。このような立位を実現するためには大腰筋の働きが良くなって、連動して大内転筋、中殿筋の働きが良くなる必要があります。
 中殿筋や大内転筋の能力を十分に引き出すためにも、大腰筋がしっかりと働ける状態を保つことは重要です。
(中殿筋や大内転筋をたくさん鍛えても、要である大腰筋がしっかり働けない状況であれば、それら筋肉の能力を十分に引き出すことができません。)


 以上、説明させていただきましたことを要約しますと、出っ尻・出っ腹の骨格を克服してスマートな体型と骨格を実現するためには以下の二つのポイントが重要だと考えられます。
①第6頚椎を整えること‥‥後斜角筋のこわばりを解消する
②第4腰椎を中心に腰椎の前弯を実現する‥‥大腰筋の働きが重要

 そしてキーワードとして、「噛みしめ癖」、「内肋間筋=胸式呼吸」、「手の母指ライン」、「仙骨の前傾」、「中殿筋と大内転筋」などが挙げられます。

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