ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

2019年03月

 生まれたての赤ちゃんを除いて、この世界に、からだが全く歪んでいない人はおそらく一人もいないと思います。同様に、顔や頭の歪んでいない人も皆無だと思います。私たちの骨格はたくさんの骨が筋肉や靱帯によって結び付けられてできていますので、それは「歪むようにできている」と考えてもよいのではないかと思えます。
 ただ、歪みが、ある許容範囲を越えてしまいますと、生理機能に弊害がでたり、動作に支障が現れたり、痛みやだるさやシビレなどの症状が現れたりしますので、歪みはなるべく小さな範囲にとどめておきたいものです。

 さて、今回はからだの歪みが原因で、顔が歪んでしまっている場合についての説明です。
 顔は頭蓋骨の前面のことですが、骨で申しますと前頭骨(額)と側頭骨(耳)と鼻骨(鼻)と頬骨と上顎骨と下顎骨です。これらの中で下顎骨を除いた骨は丈夫な縫合関節でつながっていますので、半ば一体化しています。下顎骨は他の骨格と顎関節で繋がっていますが、顎関節はそしゃくや喋りでたくさん使いますので、非常に歪みやすい部分であると言うことができます。

からだ前面(腹側)の影響を受ける下顎骨と側頭骨

 顔面も含めて頭部は首を介して胴体とつながっているわけですが、ここで、胴体上半身を前面(腹側)と後面(背側)に分けて考えてみます。
 まず胴体上半身の前面には胸とお腹がありますが、首の筋肉(上図の胸鎖乳突筋と舌骨上筋群・舌骨下筋群)を介して頭部と上半身が直接繋がっているところは、頭部では下顎骨と側頭骨であり、上半身では鎖骨と胸骨です。
 ですから単純に考えますと、鎖骨と胸骨(=胸郭)の位置が狂ったとすれば、下顎骨と側頭骨の位置も狂ってしまうという理屈になります。そして実際、そのようになります。

 鎖骨は大胸筋と三角筋を介して腕(上腕骨)に繋がっています。胸骨もまた大胸筋を介して上腕骨に繋がっていますので、手先や腕の使い過ぎなどで三角筋や大胸筋がこわばった状態になりますと、鎖骨と胸骨を上腕骨の方に引っ張るようになります。あるいは肩関節が少しおかしくなって上腕骨が肩関節から少し離れた状態になりますと、同じように鎖骨と胸骨は上腕骨の方に引っ張られます。
 たとえば、右手指の使いすぎで右半身の大胸筋がこわばりますと、鎖骨と胸骨は本来の位置よりも右側にずれることになります。すると胸鎖乳突筋を介して鎖骨及び胸骨に繋がっています側頭骨は右後方にずれた状態になります。外見的には右耳が左耳に比べて「後ろにある」として知覚できると思います。
 また、舌骨下筋群(胸骨舌骨筋、胸骨甲状筋~甲状舌骨筋)によってつながっている舌骨も右側にずれる可能性がありますが、そうなりますと舌骨上筋群を介して下顎骨も右側に捻れるようになります。

 そして、右利きの人は右手をとてもたくさん使いますので、実際このようになっていると思います。顎先に手をあてて軽く右側に動かしたり、左側に動かしたときに、右側に動かす方が左側に動かすより顎先は楽に動いてくれるのではないでしょうか。それは下顎骨が少し右側に捻れているからです。

からだ背面と骨盤と背骨の影響を受ける後頭部

 私たちは脊椎動物であり、その中の哺乳類に分類されますが、脊椎動物としての最大の特徴は背骨があることです。背骨は7個の頚椎と12個の胸椎と5個の腰椎、つまり24個の脊椎で成り立っていますが、そこに骨盤の中心となる仙骨・尾骨が繋がってからだを支える土台となっています。
 そして骨盤から背骨や肋骨を経由して後頭部まで繋がっている脊柱起立筋群があります。

 ですから後頭部、そしてその中心である後頭骨は脊柱起立筋群を介して背骨や骨盤の影響を受けています。背骨が捻れたり、骨盤が歪んだりしますと、後頭骨も歪んでしまうことになります。
 さらに、からだの背面には肩甲骨がありますが、それは僧帽筋を介して後頭部に繋がっています。肩甲骨は専門的に上肢帯と呼ばれ、腕をからだ(体幹)に結び付ける役割をしていますので、腕の影響を受けていろいろと変位します。
 パソコン業務や腕を前に出す作業をたくさん行っている人は肩が前に出た体型になりがちですが、それは肩甲骨の位置が変位しているということです。そうしますと僧帽筋は後頭部を引っ張るようになりますので、肩が前に出ている(=背骨から遠ざかっている)方に後頭部が捻れるようになります。

 つまり、からだの背面では、骨盤や腕(=手指)の影響を受けて後頭部が歪むことになります。そして、後頭部の中心である後頭骨は頭蓋骨の基礎的存在ですから、後頭部が歪みますと下顎骨を除いた頭蓋骨の全ての骨は歪んでしまうことになります。

筋膜の影響による顔の歪み

 皮膚の下層には皮下筋膜(浅筋膜)があります。皮膚が全身を覆っていますように皮下筋膜も全身を覆っていますが、皮下筋膜は結合組織であり、皮膚よりもかなり丈夫です。
 私たちのからだは一番深部に骨があって、それを深層筋が包んでいるような状態になっています。そして部位によって層の数は異なりますが、深層筋の上に中層筋があり、さらにその上に浅層筋があります。そして全身の浅層筋を丸ごと包むように丈夫な皮下筋膜が覆っています。その表層に皮下脂肪があり、そして皮膚(真皮と表皮)があります。

 皮下筋膜は一枚のシート状のものですが、それが筋肉の層を直接包んでいますので、皮下筋膜が捻れた状態になりますと、筋肉の層も捻れ、骨も捻れた状態になります。
 「からだが歪む」ということは骨格が歪むことですから主役は骨(骨格)であり、筋肉が脇役であるという考え方が一般的かもしれません。しかし、これとは違って「皮下筋膜が主体となって筋肉の状態と骨の状態を決めているかもしれない」という考え方もあります。
 「筋膜リリース」という整体法も注目されつつありますが、研究が進めば「筋膜」に対する注目度はもっともっと高まっていくかもしれません。

 さて、骨盤の前面には鼡径部があります。鼡径部は骨盤の前面から骨盤内臓物(小腸や膀胱、直腸、子宮など)がはみ出さないようにブロックする役割もしていますが、内臓下垂などの影響で下がりやすい部位でもあります。
 また、足の小趾側アーチが失われている時は鼡径部が下がってしまう傾向があります。

 鼡径部の要は鼡径靱帯になりますが、そこは腹筋(外腹斜筋と内腹斜筋)の出発点(起始)になっているほか、その上を覆う皮下筋膜にとっても重要です。
 鼡径部が下がった状態になりますと、腹筋がこわばって肋骨を引き下げる状況になりますが、腹部を覆う皮下筋膜も下に引っ張られますので胸や首の皮下筋膜も引っ張られ、顔面全体が引っ張られて下がった状態になります。
 以上は鼡径部が下がった場合という単純な例ですが、皮下筋膜は筋肉にゆるやかに密着していますので、筋肉や骨格の在り方の影響を受けて捻れたり、よれたりします。
 例えば右側の外腹斜筋が収縮したままのこわばった状態になりますと胸郭は斜め左下の方に捻れるようになりますが、皮下筋膜もそのように捻れたり、よれたりします。そして、その流れは首や頭部まで影響を及ぼし顔を歪めてしまう原因となります。



からだの歪みが顔の歪みにつながる三大要因

 以上説明させていただきましたように、からだの前面では鎖骨と胸、背面では骨盤と背骨と肩甲骨、そして全身的に皮下筋膜の捻れが顔の歪みを招く三大要因であると私は考えています。
 そして、鎖骨と肩甲骨の位置をおかしくする原因の多くは手指や腕の問題ですし、骨盤を歪める原因としましては足首や足や足趾の問題が考えられます。
 また、これらの原因で顔が歪みますと、噛み合わせに不具合が生じたり、噛みしめや片噛みの癖になってしまうことがありますが、それによって更に顔の歪みが大きくなってしまうこともあります。

 ですから顔の歪みを調整する施術では、からだからの影響を先ず片付けるために、手指や腕、足周辺の状態を確認して調整することから施術を始めることが多いです。施術時間が60分間だったとして、最初の30~40分はからだばかりを調整し、残り20分くらいになったときにはじめて顔を調整し始めるという段取りになることも多々あります。それくらい、顔とからだの歪みは密接に関係し合っているのが実際です。
 からだの歪みを無視して放ったまま、顔や頭蓋骨ばかりを調整しても、それは理屈に合っていないことになります。

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(過去の記事を修正加筆したものです)

 顔の歪みは①生まれつきのもの、②からだの歪みが原因となって顔を歪ませているもの、③片噛み癖や噛みしめの癖になどによって歪んでしまったもの、④打撲による損傷や物理的な外力によって凹んだりずれたりして歪んでしまったもの、の四つに大別することができます。
 今回は④の打撲や外力の影響によって歪んでしまったものについて取り上げます。転んで打撲した、殴られて凹んだ、小顔矯正などで強引に頭蓋骨を動かされた、などがこのカテゴリーに入ります。
 小顔や顔の矯正を行う整体院などに行き、強い施術を受けたことで鼻骨が曲がったり、上顎骨が凹んだりして顔が崩れ、元の状態に戻したいというお客さんからの問い合わせが時々あります。
 過去の苦い体験から皆さんとても心配され、私のところではどういった施術をするのかとよく聞かれますので、ここで概略を説明したいと思います。
 まず、私は顔にかぎらず骨や骨格自体を外力(物理的力)を使って強制的に動かすことはいたしません。顔や頭蓋骨であれば、骨格を押したり引っ張ったりすることはしませんし、その他の部位でも骨をバキバキするような矯正は一切行いません。筋肉や筋膜などを丁寧に調整していき、自ずと骨格が元の状態に戻るような調整方法を行っています。



 頭蓋骨を強い力で押され、あるいは強引に矯正され、どこかの骨が曲がったり凹んだりしてしまったのは、頭蓋骨の関節が弛んでしまったことが主な原因であると考えられます。頭蓋骨は骨と骨が“縫合”と呼ばれる密度の高い繊維性の結合組織でつながっていますが、強い外力が加わり縫合が伸ばされた状態になりますと軽く押すだけでも骨が動いてしまったり、何もしなくても骨が垂れ下がったような状態になってしまいます。そして下顎骨を除く頭蓋は一つ一つの骨が立体パズルのように組み合わさって全体が成り立っていますので、どこか一個所の縫合がゆるんでしまい関連する骨が一つか二つ動いてしまいますと、それは全体に影響を与え頭蓋全体が歪んでしまうことになります。
 また、頭蓋骨全体が歪みますと噛み合わせが合わなくなり、噛み方がおかしくなったり噛みしめる癖をもつようになったりします。すると頭蓋骨だけでなく、関係する筋肉(そしゃく筋や表情筋)も変調します。すると、これら筋肉の変調によってますます頭蓋は歪むことになりますし、感覚器官やからだの機能に不調が現れたり、「首や肩が張る」といったことも起こります。
 このように外力によって頭蓋骨が歪んだり凹んだりした場合は、①縫合がゆるむ、そして②顔の筋肉に変調が起こる、という経過をたどることになりますが、それによって顔の歪みが悪化すると思われます。
 打撲などの損傷によって頭皮や皮下筋膜にダメージを受けた場合も、同じような感じです。
補足:小顔矯正などでは、鼻の際(上顎骨と頬骨と鼻骨の境界あたり)を強く押すようですが、それによって上顎骨が凹みます、すると関節している前頭骨、鼻骨、頬骨も影響を受けますので、額にへんなシワができたり、鼻が曲がったり、頬が下がったりしてほうれい線が深くなったりする可能性が高くなります。

施術について

 さて、外力や打撲などによって歪んでしまった頭蓋を修正する方法ですが、それは
 ①ゆるんだ縫合を本来の状態にもどすこと、
 ②顔と周辺の筋肉を整えること
の二つを行うことになります。

 頭蓋骨が歪んでいる上に、関節(縫合)の機能が低下しているために頭部は非常に不安定な状態になっています。症状が酷い場合は、歩いたり、ふり向いたりする程度の軽い頭の揺れでさえ、とても大きな揺れに感じられたり、残存現象が残るような感じがして心理的に不安感に襲われるようです。
 このような状態では、自ずと顔面の筋肉やそしゃく筋を硬くこわばらせて不安定な頭蓋をなんとか保とうとすることになりますので、自然と噛みしめ癖になってしまうでしょうし、顔面の筋肉も硬くなってしまいます。

 打撲によるケガや外力による頭蓋骨の歪みである場合は、ダメージ、損傷が主な原因ですから、先ずそれらの修復を試みて、その次に顔や頭蓋の筋肉を整えてバランスを取り戻すような段取りの施術となります。

・転んだり、殴られたりして、ダメージを受けている場所が明らかである場合は、まずそこから施術を始めます。頭皮やその下の皮下筋膜が損傷していることで頭蓋骨全体が歪んでしまうこともあります。また、先ほども申しましたが、そのダメージを補うために噛みしめたり、顔に力をいれていることによって顔や頭蓋が歪んでいることも考えられますが、そうであれば、ダメージ箇所を施術することで噛みしめ状態が改善されたり、顔から力が抜けるなどの変化が現れます。その変化を目安に、施術を進めることになります。

・小顔矯正などで頭蓋骨全体を動かされたり、あるいは頭蓋骨全体が不安定になってしまった場合などでは、打撲などと違ってダメージ箇所を最初から特定することは難しい面があります。ですから、先ずは頭蓋骨修正の基本的施術を行うことから始めます。
 頭蓋骨の基本は後頭骨(後頭部)です。骨格(体幹)の基本は仙骨であり、背骨でありますが、その同じセンターライン上にあります後頭骨が頭蓋骨の基本になります。
 後頭骨を整えることから施術を始めますが、小顔整体でおかしくなってしまった人のほとんどは後頭部の筋膜と縫合関節がゆるんだ状態になっています。
 そして後頭骨を施術した後は顔前面への施術を行うことになりますが、上顎骨が凹んでいる場合はかなり厄介です。顔を小さくするという目的で頬骨や鼻の横(上顎骨)あたりをグイグイ押し込むような施術を行うのでしょうか、上顎骨が陥没状態になっている場合があります。そのような状態になってしまった人は目頭部分が凹んで口の中がとても狭く感じ、噛み合わせもまったく合わなくなっていると思いますが、心理的にも「どうしよう?」という不安でいっぱいになっているかもしれません。


 凹んだ上顎骨が前に出てくれば、目の落ち込みも、噛み合わせも改善されると思いますが、そのための施術はなかなかたいへんです。後頭骨と側頭骨、後頭骨と頭頂骨、頭頂骨と前頭骨などは縫合関節の部分が大きいので、直接手を当てて施術することができますが、上顎骨は前頭骨と鼻骨に小さな関節しか持っていません。表面に現れている関節だけを施術してもあまり効果は期待できませんので、他の部分を施術することによって上顎骨が前にでてくるようにしなければなりません。

 ですから、力を使って骨を押し込み、強制的に頭蓋骨を小さくして小顔を実現しようとする整体は、絶対に避けていただきたいと思います。
 「頭蓋骨のバランスが整えば、むくみが減り、筋肉も引き締まって自然と小顔が実現する」
 このような方針で行っている小顔整体を探して訪れていただきたいと思います。むくみが減り、頬のタルミが減って、目が大きく開くようになり、顎の角度が変われば、それだけでかなり小顔に見えるはずです。

回復までの時間はまちまち

 顔の中には感覚器官がありますし、頭蓋には脳が収まっていますので、顔はとても敏感です。見た目では「もう大丈夫ではないだろうか」と感じても、本人の感覚がすっかり戻らないと、安心感は戻ってこないようです。
 ですから、回復までにどれくらいの時間と施術回数が必要なのかは、一概に申し上げることができません。私としましては、まずは不安感を除去して安心できる顔と頭の状態にすることが第1の目標と考えています。そして、それが実現した上で、それぞれのご要望に応じて細かいところを修正していくような、そんな段取りを考えています。


 外力によってダメージを受け、顔や頭が不安定になってしまった人は精神的にも非常に落ち込んでいます。若い女性などには、涙をポロポロ流しながら来店される人もいます。
 雑誌やネット情報を見ながら自分で自分の顔をグイグイ押したりしてしまい、「ちょっとまずいかも」と感じると小顔整体のお店を訪ねるようです。そしてそこでも上手くいかないと、同じようなお店を転々としては、さらに頭蓋骨をいじられ、症状や状態がどんどん悪化してしまったというパターンになるようです。そんな人が何人も来店されました。
 そして実際、このような人達は本人が満足するまで回復するのに半年から1年という時間がかかってしまいます。
 今も遠くから月に1度のペースで新幹線に乗って来店されている、まだ20歳前の女子がいます。最初の来店から半年くらいになると思いますが、そろそろ終了となりそうです。アルバイトをして新幹線代と施術料(4700円)を稼いで来店されているとのことですが、それでも希望が見えて、すっかり明るくなったので、私も一安心といった感じです。

 どうぞ、顔や頭は大切にしてください。安易な気持ちでいじらないように注意していただきたいと思います。


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 手の指を動かすと痛みを発する症状に腱鞘炎(けんしょうえん)があります。また、指を曲げ伸ばしするときに関節が引っ掛かって動きがギクシャクしたり、指を曲げた状態から伸ばそうとしてもなかなか伸ばすことができす、急にカクンとなって伸びるような、スムーズな指の曲げ伸ばしができない“バネ指”と呼ばれる症状があります。ともに腱と腱鞘(けんしょう)に関係する症状です。

 ここで、“腱”と“腱鞘”について少し説明させていただきます。
 腱は、筋肉の延長線上のもので、骨に付着する部分を言います。筋肉はそれ自身が伸び縮みをして骨格を動かしますが、それが骨に結合する部分では腱と呼ばれる結合組織(伸び縮みしないとされている)に移行します。腱の太さや長さは筋肉によって様々ですが、手指や足趾の運動に関わる腱はとても長いものになっています。
 例えば手の指を曲げる筋肉に浅指屈筋・深指屈筋がありますが、その筋肉の中心部分(筋腹)は手ではなく、前腕(肘~手首までの部分)にあります。これらの筋肉は手首の手前で細い腱に変わり、各指につながります。ですから手のひらには腱しかないということになります。(手には手首を超えた部分(手根)から始まる短い筋肉もあります。)

 手指や足趾につながっている腱は、操り人形を操作する紐のようなものだとイメージしていただいてもよいかと思います。そして手や足の内部では、これらの腱がスムーズに動くことができるよう、腱の一つ一つがそれぞれの腱鞘(けんしょう)というトンネルにくるまれています。つまり指を曲げ伸ばしする動作は、腱鞘というトンネルの中を腱(紐)が往ったり来たりしているという姿に他なりません。
 腱鞘の内部は腱がスムーズに動けるよう非常に滑らかになっています。ところが何かの理由で腱と腱鞘の間で摩擦などが生じますと、そこが炎症が起こし腫れたり痛みを発したりするようになってしまいます。そしてこれが腱鞘炎の始まりです。また、腱が腱鞘の中で引っかかってしまい一時的に動けなくなってしまうと、バネ指の状態になってしまいます。

腱鞘の圧迫や捻れが主な原因と考えられる

 腱と腱鞘の関係は、腱鞘という滑らかなトンネルの中を腱がスベリながら往ったり来たりするという関係ですが、腱鞘が何らかの理由で捻れたり歪んだりして本来の在り方ではなくなりますと、腱と腱鞘との関係に歪みが生じます。するとどこかに摩擦が生じて軽い炎症が起きることになります。軽い痛みを感じるかもしれませんが、それを無視して、あるいは我慢して同じように使い続けていますと、炎症が悪化して痛みが増し、腫れが生じるようになります。腱鞘が腫れ(内側に膨らむ)ますとそれだけで腱を圧迫した状態になりますので、腱の動きは制限された状態になってしまいます。それでも腱を動かし続けていますと炎症はどんどん悪化して、じっとしていても痛みを感じるようになり、ちょっと動かすだけで猛烈な痛みを感じるようになってしまうかもしれません。また、炎症は周りの組織にも拡がりますので、外見的にも腫れが目立つようになると思います。ここまで症状が進みますと、本格的な慢性的腱鞘炎です。

腱鞘が捻れる理由

 腱鞘は手指と手首、足首にたくさんありますので、腱鞘炎を起こすのもこの部位になります。そして私たちは手指をたくさん使いますし、手首や足首も頻繁に動かしていますので、これらの関節は歪みやすい傾向にあります。

 実際、手首で手が内側に捻れている(回内位)人はたくさんいますし、親指の関節が捻れている人もたくさんいます。このような人達は腱鞘もそのような状態になっているわけですから、腱鞘炎予備群と言えるかもしれません。手首や親指を内側に捻るような動作を続けていますと、炎症を起こす可能性は高いと思います。
 私は職業として毎日いろいろな人の手を見ていますので、手指や手首が捻じれていることはすぐに解りますが、一般の人は自分の手指や手首が捻れているかどうかは判断できないかもしれませんが、毎日パソコン業務をしている人、包丁をたくさん使っている人、文字を書くときに親指と人差し指に力を入れてしまう人、そして最近ではスマホゲームで親指を頻繁に使っている人は間違いなく内側に捻れています。ですから、そのような人達は一日の終わりに手首を反対側に捻るストレッチなどを行っていただきたいと思います。

腱鞘炎とバネ指に対する施術

 腱鞘炎もバネ指も腱と腱鞘の関係ですから、施術は同じようなものになります。
 施術の基本は腱鞘の捻れを解消するために関節の捻れや歪みを解消することです。そして、まずは症状の起こっている部位を整えるようにしますが、その関節の問題だけでなく他の関節が歪んでいることが大元の原因になっている場合も多くあります。



 例えば、腱鞘炎の部位が右手親指のMP関節であった場合、CM関節や手首(手関節)の捻れや歪みが影響していることは間違いありませんが、それらだけでなく肘関節や肩関節、あるいは反対側(左側)の肩関節の問題が原因になっていることすらあります。
 ですから、その人のいろいろな使い癖や環境、生活習慣、ケガや出来事なども尋ねながらの施術になることがほとんどです。

 腱鞘の炎症も軽微で症状が軽いのであれば、腱鞘の捻れを解消することで多くの場合、症状はかなり改善します。それはその場で実感できることです。
 ところが炎症や状態が重度であったり、症状がすっかり慢性化してしまっている場合などは、腱鞘の歪みや捻れを解消しただけでは症状の改善が感じられない場合があります。腱鞘が炎症に耐えられるように器質的に変化していたり、腱そのものが器質的変化してしまった場合などは、捻れが解消されても腱と腱鞘との間に滑らかさや隙間が戻ってこないので腱の動きに大きな変化が現れないこともあります。(ちょっとの変化しか感じられない)

今の私たちは手首が捻れやすい

 私のところに最初に来店された時は、カルテのようなものに自筆で記入していただきますが、その様子を見ながら手の使い方を観察することがあります。親指と人差し指に力を入れてペンを持っている人が意外に多いのですが、このような人達は手首が捻れやすいと言えます。デスクワークのほとんどをパソコンで行っている人は常に前腕(肘から先)を内側に捻った状態(回内位)で指を動かしていますので、そうするための筋肉(回内筋、方形回内筋)がこわばった状態になっています。すると手首も同じように内側に捻れていますので、親指のつけ根の関節(CM関節)が落ちてしまったような歪み方をしています。この状態で手指を使っていますと腱鞘炎になる可能性が高まります。



 病院等では腱鞘炎に対して「使いすぎ」という診断が多いようですが、私の見方は違います。手首や指が捻れた状態のままで使い続けているので、状態が次第に悪化していき、ある時、強い痛みを感じるようになったり、満足に動かすことができなくなったりするのだと考えています。ですから改善のためには、手首や指の捻れを修正することが要になります。

 腱鞘炎にならずとも手首が本来の状態ではない人は、本当にたくさんいます。仕事でパソコンを使っている人のほとんどは手首が捻れたりずれたりしています。
 手首が捻れますと腱鞘も捻れます。手首がずれますと腱鞘は圧迫を受けます。指の捻れやずれも同様です。そのために、最初は軽微な炎症で、手指の動きに違和感も感じないほどのものだったものが、同じ状態で使い続けていますとやがて指の動かし方に違和感を感じるようになります。それでもさらに同じ状態で使い続けていますと、指を動かすことのできないほどの痛みに襲われるようになるかもしれません。
 ここまで状態が進みますと炎症はかなりひどくなっていますので、腱と腱鞘との間に隙間が見られない状態になってしまうため、“手術”という言葉もお医者さんから聞かされることになるかもしれません。
 ばね指も上記とほとんど同じような状況です。ただ、これまでの経験で申し上げれば、ばね指や“曲がりきらない指”の場合は、単にその側の手指や手首の問題だけでなく、反対側の腕や肩、あるいは全身的な捻れが影響している場合もあります。

 腱鞘炎やばね指に限らずからだの不具合は、症状が出た後、速やかに対応すればすぐに改善できると言えますが、我慢に我慢を重ねてこじらせてしまった場合は、すぐに改善するとは言い切れません。
 症状がでてから整形外科を受診し、それでも駄目で何件かの接骨院に行き、発症から何ヶ月も経ってから私のところに来店されるという人が実際のところほとんどです。何とか1回で痛みを感じない状態にしたいと思いながらいつも施術にあたっていますが、慢性化して、器質的に変化してしまったものは、そう簡単にはいかないというのが正直なところです。

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 中高年の女性に多く見られる、手指の第一関節が腫れて曲がってしまうヘバーデン結節は学問的に原因がよくわかっていないようです。症状の進行過程においてはかなりの痛みを伴いますが、来店される人たちの話によれば、整形外科では「曲がりきってしまえば痛みは消えるから‥‥」と言われ、改善は半ば諦めるしかないような雰囲気を感じ取るとのことです。
 40歳くらいになりますと、それまでしなやかだった手や手指が次第にゴツゴツし出し、中年の手に変わっていくのは仕方のないことであるかもしれません。しかし、いつまでもしなやかな手でいたいと願う女性心理をもっと汲み取って、医学界はなんとか改善に向け努力していただきたいと思います。

 さて、ヘバーデン結節になってしまった人、あるいはその傾向を持っている人に対し、私が行っている施術について説明させていただきます。
 ところで、私たちは冬場の寒い時期など布団に入っても最初の内は寒いため体を丸めたくなります。縮こまってからだの温度を逃がさないようにしようと無意識に行います。この状態を筋肉にあてはめて考えますと、からだの屈筋(腹側)を縮め、伸筋(背側)を伸ばして体温の放出を防いでいる、となります。夏場の暑い時期は反対に腹側を伸ばして体温を放出しようとします。
 私はからだのこの根本的な原理がヘバーデン結節改善のためのヒントになると考えました。「きっと指が縮みたがっているんだ」と考えたのです。


 ヘバーデン結節は手指の第一関節が腫れたり、痛みを出したり、曲がったりする症状ですが、手指を曲げる筋肉には二つの種類があります。一つは浅指屈筋(せんしくっきん)と言いまして、手指の第二関節を曲げる筋肉です。この筋肉は肘より上の骨(上腕骨)から出発し、途中から腱になって第二関節の先(中節骨)に付着しています。
 もう一つは浅指屈筋の深層にあって、肘より下の骨(橈骨と尺骨)から出発して、腱が第一関節の先(指先=末節骨)に付着しています。母指先を曲げる筋肉を長母指屈筋、その他の四指先を曲げる筋肉を深指屈筋と言います。
 ここで大事なことは、手指を曲げる筋肉は指先(第一関節)を曲げる筋肉と第二関節を曲げる筋肉では別々であって、指先を曲げる方が深い位置、骨に近い位置にあるということです。そして指先を曲げる筋肉はインナーマッスルであり、持久力が強い性質であるとともに、一度不具合を起こすしますとなかなか元に戻りにくい性質を持っています。鉄棒にぶら下がった時、疲れてくると手が弛んできますが、最後は指先だけで何とか引っかけて頑張りますが、それは指先の深指屈筋に持久力があるからです。


 さて、ヘバーデン結節は第一関節が腫れて痛みだし、やがて指先が曲がってしまう症状ですが、それは深指屈筋が縮んだ状態になっているのに浅指屈筋が縮まないために次第に第一関節が詰まってしまうからではないかと私は考えました。詰まり方が激しくなりますと関節で炎症が起こりますので痛くなります。そして詰まり方も限界を超えますと指先は第一関節で曲がった状態になって安定しますので、炎症が治まり痛みが消えるのではないかと思います。
 ですからヘバーデン結節を改善するためには、縮んでしまった深指屈筋が伸びるようにすることです。深指屈筋が伸びれば第一関節の詰まりは解消しますので、痛みが消失するとともにやがて腫れもおさまります。指先がすっかり曲がってしまった場合は、関節の変形という問題も絡んできますので深指屈筋を伸ばすことだけでは解決しませんが、それでもだいぶ楽になることでしょう。関節のこわばりをとる施術をしばらく続けていれば、次第に指が伸びる状態にもっていけると考えています。

お腹の奥(腹筋深部)の冷えが原因になっている可能性

 深指屈筋は体のなかで一番深層の筋肉ですから、同じ深層筋の影響を受けます。これまでの経験で申し上げれば、腹筋の深い奥の部分のこわばりを改善しますと指先の詰まりは改善されます。“あれほど痛かった指先”が15~20分、お腹を施術するだけで解消されるようになります。
 そして、腹筋の深部がこわばってしまう原因としても最も多いのはお腹の冷えですが、寒いとからだを丸めて縮こませてしまうのと同様、冷えると深層屈筋は縮みたがってしまうのです。

 上記の場合以外では、足の指先が曲がっている人は手指先も曲がりやすい傾向があります。
 筋肉は連動しますので、深層筋は深層筋とつながりやすい傾向があります。外反母趾・内反小趾の他、足裏全体で上手く立てない人は足の指に力を入れて(指先を曲げて)からだを支えようとします。その状態が長く続きますと、寝ていても足の指は曲がったままの状態になってしまいます。つまり足指の屈筋が慢性的にこわばった状態になってしまったのです。そしてそのこわばりは連動して、腹筋をこわばらせ、手の深指屈筋をこわばらせてしまう、という可能性も考えられます。

尺骨の歪みが原因になっている場合

 中年の女性が「左手小指の第一関節が腫れて痛い」ということで来店されました。整形外科のレントゲンで確認したところ骨には異常は認められないとのことでしたが、同時に、医師からヘバーデン結節の疑いが濃厚であると言われたようです。小指の第一関節は腫れて小指先が少し曲がっていましたが、中指と薬指の第一関節も詰まった状態で赤くなっていて、確かにヘバーデン結節の初期段階であることが確認できました。
 10年ほど前に、左手小指先を打撲して腫れ上がり、それから指先が曲がってしまったとのことですが、打撲した時を除いて10年間「特に痛みは感じなかった」とのことでした。痛みを感じるようになったのはこの1ヶ月くらいで、症状の原因は思い当たらないとのことでした。

 施術は、まずヘバーデン結節状態を解消することから始めました。ヘバーデン結節の初期段階にある指は中指、薬指、小指ですが、これらの深指屈筋は尺骨側から出ています。ですから、尺骨の状態は関係します。普通の状態であれば、尺骨の手首近くの突出(豆状骨)は小指の延長線上に薄ら膨らんだ感じで存在しています。ところがこの女性の場合、その位置が薬指の延長線上であり、手首から少し離れた場所にあり、更に大きく突出していました。つまり尺骨がかなり捻れた状態になっていました。そして、その原因の一番は、上腕骨の背側にあります上腕三頭筋長頭(じょうわんさんとうきんちょうとう)が強くこわばっていて尺骨を引っ張り上げていることでした。


 上腕三頭筋長頭は仙骨や足の母趾の伸筋(長母趾伸筋(ちょうぼししんきん))と関係していますので、「左足や足首に何かありませんでしたか?」と尋ねてみました。すると、年末(2ヶ月前)に捻挫したとのことでした。さらに3年程前に母趾の先、爪との境辺りに物を落として骨にヒビが入ったことがあったと仰いました。
 「これがヘバーデン結節の大きな原因だ」と私は思いました。そして外くるぶしの後側、捻挫で伸びてしまった靱帯に施術を行い、母趾先の骨折したところに施術を行いますと、上腕三頭筋長頭のこわばりは解消して、尺骨の位置がかなり改善し、中指、薬指、小指の指先の詰まりは改善しました。第一関節部分が赤く腫れぼったい感じだったのですが、それも消失しました。
 そして、それから10年前に打撲して曲がって閉まった小指の第一関節に対して施術を行いました。こちらの方は、一回の施術で解決できる状態ではありませんでしたが、ヘバーデン結節状態が解消されたことで、強く圧しても、動かしても痛みを感じることはありませんでした。
 以上で、この女性が来店された目的は達成したのですが、私はどうしてもこの女性の手や腕の使い方が気になっていました。この人は母指と人差し指を中心にして手を使う状態になっていました。普段、筋トレが好きで軽いバーベルを持ち上げるようなトレーニングもしているとのことですが、傘をバーベルに見立てて、両手で持ち上げる動作を繰り返していただきますと、案の上、母指球側でバーベル(傘)を支えるように動かしていました。このような人は脇を開けた状態で肘の曲げ伸ばしを行いますので、前腕(肘から下)が内側に捻れやすく母指と人差し指を中心に手を使ってしまいます。そして、この癖も尺骨を捻れさせる原因になります。
 このような場合、「小指側を中心に力を使ってバーベルを持ち上げたり、包丁を持ったりするようにしてください」とアドバイスすることで簡単に済ますこともできますが、実際のところ、からだの状態だが狂っていますので、このような使い方しかできない状態になっています。ですから、やはりこの状態も改善しなければなりません。
 「いつ頃からペンの持ち方がおかしくなりましたか?」と質問しました。なかなか思い出せないようですので、「子供の頃からおかしかったですか? それとも大人になってからですか?」と再度尋ねますと、「そういえば三年ほど前に、右脚の太股の裏側を伸ばしたことがあって、それからかなぁ?」と仰いました。
 それで、太股の裏側を確認しますと肉離れ状態が残ったままになっている部分を発見しました。そして、その部分を手当てしますと、自ずと小指側に力が入って物を掴むことができるようになりました。バーベル(傘)の持ち方や上げ方にも変化がでたのを自覚されました。

 この女性は東京の大田区にお住まいですので、2時間半くらいかけて来店されました。当初予約をされた時点では「小指だけのことなので短時間の施術で」ということでしたが、実際には左足の母趾先骨折部分、左足首の捻挫痕、右太股裏の肉離れ痕、の三箇所を施術することになりました。
 たかが小指先のヘバーデン結節のこと、「そんなにたくさん施術することもないだろう」とお考えになるかもしれませんが、いろいろな状況が折り重なってヘバーデン結節状態になっているということがわかるケースでした。


 この女性のケースでは尺骨の状態がおかしくて深指屈筋でも尺骨に関係の深い中指、薬指、小指がヘバーデン結節の初期状態になっていましたが、橈骨の状態がおかしくなった場合などでは、親指や人差し指がヘバーデン結節になる可能性が高くなります。

 

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
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 湿疹は皮膚の病気ですから、医師の先生が担当される分野です。ところがアトピー性皮膚炎やその他にも、医学でなかなか思うように治癒できない症状があるのも実情です。
 皮膚科では殆どの場合、治療薬を使って対処されるのだと思いますが、薬によっては長期使用による副作用が懸念されたり、あるいは薬の効果が現れない場合などでは次第に強い薬を使うようになってしまう、などという懸念もあります。

 私はだいぶ以前から、アトピー性皮膚炎や皮膚湿疹に対して、整体的なアプローチも補助として有効ではないかと考えていました。しかし、一般的には皮膚と整体は結びつかないものと考えられているでしょうし、皮膚(湿疹)を整えるために来店される人もほとんどいませんので、このブログでも取り上げることはありませんでした。
 ところがこの度、私の娘が首の左側が痒くて、病院で処方された薬を塗っても痒みが治まらないと訴えてきましたので、一つの参考になればと思い、今回投稿させていただきました。
 娘の湿疹はすでに一月以上続いているとのことです。湿疹が慢性化してしまった状態ですね。現在はクリニックで処方された薬はまったく効かないとのことです。彼女は今、花粉症にも苦しんでいるのですが、そういった体質、そして乾燥など季節的な要因もあって湿疹がなかなか治まらないのかもしれませんが、整体的に対処できることもありますので、施術を行ってみました。

皮膚にとっては乾燥が大敵

 感染症や雑菌、ウイルスなどの類によってもたらされた症状を除いて、皮膚の状態が悪化する一番の理由は乾燥であろうかと思います。つまり保湿力の低下です。
 私たちの皮膚の外層には皮脂膜と角質層があります。
 皮脂膜は水と油が混ざったような状態の、つまりクリーム状の膜ですが、弱酸性になっていることで素肌に有益な菌の活動を応援し、アルカリ性を好む有害な菌類が活動しにくい状態にしています。また、その他に角質層の水分が蒸発しにくい状態に保つ働きをしています。
 そして皮脂膜の下層に角質層があります。角質層は、皮膚の新陳代謝によって表面に上がってきて、やがて垢となって剥がれ落ちていく運命の、死んだ細胞がレンガ造りの塀のように積み重なった構造になっています。
 通常、角質層の水分率は15~20%程度あると言われていますが、その水分と死んだ細胞から滲み出た油が手を組んでセラミドなど細胞間脂質を形成しています。細胞間脂質は筆一つの角質細胞を結び付ける糊のような役割をしていますが、それによって微生物やウイルスや雑菌類の皮膚への浸入を食い止める働きをしています。
 つまり、皮脂膜と角質層によって皮膚は外敵の侵入を防御しているわけですが、そのためには弱酸性、保湿力というキーワードが重要になってきます。

 お風呂に入って石けんやボディソープでからだを洗いますと、皮脂膜は汚れと一緒に流されてしまいます。ですから風呂上がりは少し時間が経ちますと素肌に乾燥を感じるようになります。若くて健康な人や子供達は、皮脂膜が洗い流されてもすぐに再形成されますので、一時乾燥状態になってもすぐに元の状態に戻ります。しかし、体調が悪かったり、皮脂の分泌が悪かったり、加齢によって皮脂膜の形成に時間がかかってしまうなどの場合は、乾燥状態が長引き、肌荒れを起こしやすい状態になってしまいます。ですから、乳液やクリームなどで保湿をして水分を補うとともに皮膚表面を弱酸性に整える必要があります。
 角質層の水分が足りなくなった乾燥状態になりますと、皮膚の防御機能が極端に低下してしまうからです。
 そして、石けん類や洗浄剤は基本的にアルカリ性です。食器用洗剤もアルカリ性です。つまりこれら洗浄剤を頻繁に使っていますと、皮膚表面の弱酸性が保持できなくなりますので、皮膚は乾燥状態になって肌荒れをおこすことになります。ですから、洗剤を使った後は速やかに素肌上に洗剤が残らないようにきれいに水で洗い流したり、場合によってはクリームやローション類を塗布して皮膚のpHを整える必要があります。

 さて、以上が肌荒れと肌荒れを防ぐための基本的な仕組みですが、この仕組みを保つためには内的な水と油(皮脂)の供給が必要だということになります。

皮膚と皮下筋膜と湿疹の関係

 娘の湿疹に話を戻しますが、湿疹は帯状に長さが7~8センチ程度で横長にできていました。赤く腫れていて、表面は乾燥してカサカサの状態でした。湿疹が慢性化している特徴が現れています。
 湿疹は皮膚にできますので、皮膚やその下にあります皮下筋膜の状態がおかしくなっている可能性が高いと考えられます。ですから、最初に皮膚と皮下筋膜の状態を確認することから施術を始めます。



 皮膚と皮下筋膜を観察しますと、湿疹部位の上と下とで皮下筋膜のねじれ方が反対方向になっていました。湿疹部位より上の部分の筋膜は顎関節の方向に捻じれた状態になっていて、湿疹部位より下部の皮下筋膜は喉の方向に捻じれていました。そしてその皮下筋膜の捻じれの境目にあたるところに湿疹ができていたのですが、なんとなく地震で生じた断層の亀裂に例えられるように感じました。つまり、断層の上部と下部ではエネルギーの流れ方が反対方向になっているような、そんな感じです。
 「きっと、この捻じれ方の違いによって水(体液、リンパ液)の処理がスムーズに行えず、皮膚への水分供給が不足して湿疹を発症してしまったのではないか」と思いました。
 ですから、まず私が行うことは首の皮下筋膜の捻じれを直すことです。
 そして、捻じれの原因を探していきますと、左顎関節のすぐ下、顎下腺の辺りが硬くこわばっていました。ここに筋膜が強く引き寄せられているために湿疹上部の筋膜が顎関節方向に捻れたのですが、その状況に耐えられなくなって湿疹部位で断層状態が形成され、その下の筋膜が反対方向に捻れてしまったのではないかと推察しました。
 そして、顎下腺部分の硬結をゆるめますと、筋膜の捻れが直りそうな感じがしましたので、次に「なぜ、顎下腺部分がこわばっているのか?」という問題を追及していくことになります。
 頚椎を観察しますと中程(第3~第5頚椎)が右側に引っ張られるように捻れていました。そしてその原因は右肩~右手にかけての問題にありました。右手の使い方に癖があるのは知っていましたが、それが悪影響を及ぼすほどの段階にまでなっていたのです。
 ですから、施術は右手や右腕の骨格の捻れや筋肉の変調を整えることでした。
 施術では湿疹部位を擦ることもしませんし、ストレッチすることも指圧することもしませんでした。ただ、皮下筋膜の状態を確認することと乾燥具合を確認するために時折触れただけです。施術の対象は右腕だけでした。そして、湿疹部位にある程度潤いが戻ってきて、触れても痒みを感じなくなったところで施術を終えました。(写真なのでわかりづらいと思いますが、写真右側の状態です)
 湿疹状態が一月以上経っていますので、皮膚は器質的に変化しています。ですから、湿疹が消えるまでにはまだ少し時間がかかると思います。
 現在、施術してから後3日ほど経っていますが、乾燥状態は気にならず、痒みも感じないとのことです。

水の代謝が重要なポイント

 私たちのからだは70%くらいが水分ですが、その働きは実に精妙で、全容を把握することは不可能かもしれません。
 “むくみ”は水分が停滞してしまったままで抜けていってくれない状態ですが、”乾燥”は水分が足りない状態であり、水分不足は生理機能の低下を招きます。なぜなら、体内で行われる生理機能はすべて電気的現象であり、化学変化であるからです。水は電気的現象や化学変化の舞台(=水の中でなければ電気的現象も化学変化も起こすことは困難)ですから、水分が足りなくなりますと生理機能が正常に働かない状態になっていまいます。

 皮膚の湿疹は部分的に生理機能が働いていない状態である、と考えますと「水分を補う必要がある」とう結論が導かれます。そしてそのためには外から保湿剤やクリームなどを塗布して水分を補うことも必要かもしれませんが、体内からの水分の供給はとても重要です。
 目が乾いてしまうドライアイの場合、点眼で外から補うよりも体内から必要な水分が涙として分泌された方が何倍も何十倍も効果的であるように、皮膚の乾燥に対しても体内からの水の分泌の方が大切です。そして、必要な水分が必要量分泌されるためには皮下筋膜の状態を改善することが重要であると私は考えています。

 外的な何かの影響や刺激物などで被れてしまい、それが湿疹状態にまでなってしまった場合などは、薬が有効であり、切れ味の優れた手段かもしれません。ところが、原因がよくわからなかったり、あるいは今回のように湿疹状態になってかなりの時間が経過して症状が慢性化してしまったような場合は、薬以外にも方法を考えるべきではないかと思います。
 その意味で、整体的なアプローチも薬に立てると考えています。


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