ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

2019年01月

(過去に投稿した記事を修正加筆したものです)

 首を回旋したり横に倒したりすると肩上部が張って痛くなったり、じっとしていても常に肩上部に張りを感じてしまうという場合、原因として最も多いのは肩甲骨のずれです。
 首(頚椎および後頭部)から肩甲骨につながっている筋肉には僧帽筋(上部線維)、肩甲挙筋、肩甲舌骨筋があります。肩甲舌骨筋は目立たない筋肉で、専門家の間でもあまり取り上げられない筋肉ですが、肩上部の張りや不具合の原因になっていることがしばしば見受けられます。
 これら3つの筋肉で、僧帽筋と肩甲挙筋は首の後面~肩甲骨にかけての張りをもたらしますが、肩甲舌骨筋は首の前側、喉仏の直上にある舌骨と肩甲骨の上面を結んでいますので、印象としては“首の真横”に張りをもたらし、首を回旋したり横に倒したときに“肩の真上”が痛むといった症状をもたらします。

僧帽筋上部線維と肩甲挙筋

 いわゆる“肩こり”で一番気になり、ついつい手がいってしまうのが僧帽筋上部線維です。肩甲骨を持ち上げたり、腕を挙上したり、頭を後に倒すきに収縮する筋肉です。筋肉をたくさん鍛えているアスリートの首が短く見えてしまうのは、僧帽筋がとても発達しているからです。


 肩甲挙筋は第1~第4頚椎と肩甲骨の内側上面を繋いでいますので、頚椎の歪みと関係する筋肉の一つです。そして、その点が施術においてポイントとなります。また、目を動かす筋肉(外眼筋)と関係性が深いので、“目が凝ってこめかみが張ると、肩甲挙筋が張ってしまう”という状況がになります。
 首を下方に向けたときに首の後面~肩甲骨の内側にかけて張りや痛みを感じる場合は肩甲挙筋の張りが疑われます。

肩甲舌骨筋


 肩甲舌骨筋は一般的にマイナーな筋肉ですが、声楽家など発声に関係する人たちにとっては重要な筋肉であると考えられているようです。第3~第4頚椎の前には宙に浮いた状態で舌骨がありますが、肩甲舌骨筋はこの舌骨と肩甲骨を繋いでいます。また、舌骨は舌(舌筋)の起点になる足場のような存在ですから舌の動きや状態に深く関係します。舌骨が捻れていますと舌を噛みやすくなったり、滑舌が悪くなったり、無呼吸症候群になったりします。
 前述しましたとおり肩甲舌骨筋の張りは首の側面~肩上部の張りや痛みをもたらしますが、その原因として考えられるのは
 ①舌骨がずれていること、
 ②肩甲骨がずれていること、
 ③発声によってこわばってしまったこと
などが主なものです。一般の発声でこわばることは考えにくいですが、声楽家のように大きな声を連続して、かつ微妙な喉や舌の使い方を頻繁にされている人はこわばる可能性が高いかもしれません。大きな声を出すと肩に張りや凝りを感じるようでしたら、肩甲舌骨筋のこわばりが疑われます。

 舌骨がずれることでもたらされる肩甲舌骨筋のこわばりは、
 ①頚椎の捻れ(舌骨が第3頚~第4頚椎の前にあるので)、
 ②噛みしめや片噛み(噛みしめている方に舌骨はずれる)、
 ③物を持ち上げる動作でこの筋肉を使ってしまう、
などが考えられます。

 舌骨にはこの筋肉以外に顎二腹筋、頚突舌骨筋という筋肉がつながっています。噛みしめや片噛みによってこれらの筋肉がこわばりますと、そちらの方に舌骨が引き寄せられますので反対側の肩甲舌骨筋が張ってしまうという現象がおこります。右側ばかりで噛んでいる人は舌骨が右側にずれます。すると左側の肩甲骨と舌骨の距離が少し遠くなりますので、それを結んでいる肩甲舌骨筋が張ってしまうようになります。
 また、例えば四十肩や五十肩になって、あるいは腕や肩に力が入らない状態になって肩関節が上手く使えない状態なのに重い物を持ち上げたり運んだりしなければならない状況になったとき、私たちのからだは肩関節の筋肉ではなく僧帽筋や肩甲挙筋や肩甲舌骨筋や菱形筋を使って肩甲骨そのものを挙げることで動作を行おうとします。これは肩関節周囲炎の状態が悪化した人にとてもよく見られる現象ですが、「腕で持ち上げられないので肩で持ち上げてしまう」という表現があてはまるかもしれません。
 この状態が長く続きますと、僧帽筋、肩甲挙筋、肩甲舌骨筋、菱形筋はとてもこわばってしまいます。常に張りを感じるだけでなく、ちょっと触っただけでも痛みを感じたり、指圧などされたときには耐えられないくらいの痛みを感じるようになるかもしれません。

肩甲骨のずれと首の運動制限

 肩甲骨と首を結んでいる僧帽筋、肩甲挙筋、肩甲舌骨筋は肩甲骨のずれによって影響を受けますので、肩甲骨のずれが原因で首の動きが制限されてしまうことが起きます。
 肩甲骨をずらしてしまう原因には幾つかのパターンがありますが、首の動きを制限する代表的なもの二つを取り上げてみます。

①肩甲骨が外側にずれる場合

 肩甲骨の内側(内縁、背骨と間)には小菱形筋(しょうりょうけいきん)と大菱形筋(だいりょうけいきん)があります。これら二つの筋肉の働きが悪くなってゆるんだり、伸びた状態になりますと肩甲骨は外側にズレた状態になり、肩甲挙筋と僧帽筋は張った状態になりますので、首の運動に支障が出ます。

 また、脇(胸郭の側面)には肋骨と肩甲骨の裏側(腹側)内縁を繋いでいる前鋸筋(ぜんきょきん)という大きく強力な筋肉があります。前鋸筋は収縮することで肩甲骨を外側あるいは前方に出す働きをします。ボクシングのストレートパンチを打つときに肩甲骨も前に出ますが、そのような動作で働きます。棚の奥にある品物を手を大きく伸ばして掴む場合などの場合に活躍します。
 さて、前鋸筋がこわばり(収縮したままの状態)ますと常に肩甲骨が外側前方にずれた状態になります。パソコン業務で手前に書類があり、その先にキーボードやノートパソコンがあって、肘を浮かせたまま作業を行ったりしていますと肩もこりますが前鋸筋もこわばります。あるいは筋肉連動の関係で親指をたくさん使っていますと前鋸筋がこわばります。パソコンやスマホの操作をたくさん行っている人は要注意です。
 自分の肩が前に出ていると感じている人、脇の下の肋骨側が硬くて強めに指圧すると強い痛みを感じるような人は前鋸筋がこわばっている可能性が高いです。そして肩甲骨が外側にずれているわけですから、本来よりも肩幅が広がっていますし、首を動かすと肩上部や首筋に痛みを感じたり、あるいは首が動かしづらい状態になっています。

②肩甲骨が下にずれると肩甲挙筋が張る

 肩甲骨は下や後にずれることもあります。そうなりますと首(頚椎)から肩甲骨に繋がっています肩甲挙筋は張ってしまいます。また後頭部や首から肩甲骨に繋がっています僧帽筋上部線維、背骨と肩甲骨を繋いでいます小菱形筋と大菱形筋も張ってしまいます。そうなりますと「首を動かしたり下を向いたりすると首筋が痛くなり、背中まで痛くなる」という状況になります。

 肩甲骨を下にずらしてしまう主な理由には二つがあります。
 一つは僧帽筋や肩甲骨に関係する筋肉の変調です。僧帽筋は上部線維、中部線維、下部線維の3分けられますが、上部線維が収縮(こわばる)しますと肩甲骨が上に上がり、下部線維が収縮(こわばる)しますと下に下がります。またムチウチなどの影響で上部線維の働きが悪くなりますと肩甲骨は下がってしまいます。その他には菱形筋の働きが悪くなったり、胸にあります小胸筋がこわばっても肩甲骨は下がってしまいます。


 二つ目の理由は骨盤(腸骨)の後傾です。これは臨床的な経験に基づくものですが、腸骨の傾きと肩甲骨の傾は連動関係にあるようです。私たち日本人は骨盤そのものが後傾しやすい傾向にありますので、肩甲骨も理想的な位置よりも後側にある傾向があります。そのために肩上部の筋肉(僧帽筋上部線維や肩甲挙筋)が硬く盛り上がったような状態になりやすいと言えますが、さらに骨盤が後傾しますとそれは明らかな筋肉のこわばりをもたらし、首の運動制限や痛みに繋がります。
 肩甲骨が後方にずれているので骨盤が後傾しているという状況もあります。肩甲骨と鎖骨は一体化しているような関係ですので、鎖骨の存在感が薄い(奥に沈んでいる)人、喉の下(気管と胸骨の境)に圧迫感を感じている人は肩甲骨が後方にずれている可能性が高いです。この状態を改善するためには胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)や大胸筋(だいきょうきん)などを確認する必要があります。



 また骨盤の後傾によって肩甲骨が後方にずれている場合は、内腹斜筋(ないふくしゃきん)、長内転筋(ちょうないてんきん)といった筋肉のこわばりが原因になっている可能性が高いのですが、歩き方や立ち方に問題がある可能性があります。

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(過去に投稿した記事を修正加筆したものです)

 首を回旋したり上下や左右に動かそうとした時に痛みを感じたり、途中までしか動かないような場合、考え方は大きく二つあります。一つは頚椎が捻れたり歪んだりしていることが原因で、首の動作に制限がかかったり痛みを発したりする可能性です。もう一つは首や肩の筋肉が張っていて、首の動きを制限してしまっている可能性です。
 ともに首の筋肉に張りやこわばりができますが、頚椎に近いところに触れたときピンポイント的に痛みが出る場合は頚椎の捻れ(歪み)、首の筋肉が広い範囲で張っていて押すと痛みを感じる場合は首に関係している筋肉のこわばりが疑われます。
 今回は頚椎の捻れが原因となっている場合について取り上げます。

上部頚椎の捻れ‥‥第1頚椎(環椎)と第2頚椎(軸椎)

 頚椎は第1頚椎から第7頚椎まで7個ありますが、専門用語としまして頚椎の1番上(第1頚椎)を環椎(かんつい)、その下にあります第2頚椎を軸椎(じくつい)と呼びます。そして環椎と軸椎を合わせて上部頚椎と呼びます。

 後頭部の真ん中の出っ張り(後頭隆起)に手をあて、まっすぐ下に降ろしてきて首のつけ根の凹んだ部分を通過して最初にぶつかる骨の出っ張りは軸椎(第2頚椎)の棘突起です。首を下向き加減で、少し少し強めの力で圧しながら触ると棘突起がわかりやすいかもしれません。

 まず、その棘突起は真っ直ぐ(中心)のライン上にありますでしょうか?


 頚椎に問題があるときに多く見られるのは、軸椎の棘突起が左側にずれていることです。この場合は首を左側に回旋することが苦手だったり、回旋し始めに違和感や痛みを感じると思います。
 軸椎の棘突起が左側に歪む理由はいくつか考えられますが、一番多い状況はその上にあります環椎が右側に歪み、その反動で軸椎が左に歪んでいることです。環椎の歪みは後頭骨の歪みや片噛み癖、目を動かす筋肉のこわばりなどが関係します。右目ばかりを使っていたり、右の方ばかりを見ていますと環椎は右にずれます。右側の歯ばかりで噛んでいても同様です。

 首の動きが制限されていて痛みを感じるほどの状態であれば、噛む筋肉や目を動かす筋のこわばりがかなり強いことが考えられます。また、環椎と軸椎は次の項目で説明します第7頚椎の影響も受けますので、施術においては目の偏りやそしゃく筋のこわばりを解消したり、第7頚椎を歪ませている原因を解決する必要があります。

 軸椎棘突起が左側に捻れ、さらにその下の頚椎(第3~第5頚椎)も左側にずれているような状態であれば、それは左側の首~肩にかけての筋肉の張り(こわばり)が強く、頚椎を左側に引っ張っている状態が考えられます。そして頚椎が左側にずれているために右側の筋肉が張ってしまいますので、本人の自覚としては首の右側がとても辛く感じるかもしれません。
 環椎が右側にずれ、軸椎以下の頚椎が左側に歪み、左を向くことが苦手で、首の右筋が張って辛くなるような状況は時々見受けられますが、この時に辛い右首筋を揉みほぐしたところで解決には向かいません。上部頚椎を中心に頚椎全体の歪みを改善することが必要です。

第7頚椎の捻れの影響

 首をカクンと下に向けたときに首の一番下に大きく突出する突起が第7頚椎の棘突起です。この頚椎棘突起が右側にずれている人がとても多くいます。それは右利きの人がとても多いことと関係していると考えられます。右手ばかりを使っています右側の肩甲骨が外側(右)にずれます。そして、それに合わせるように鎖骨も外側に歪みますが、そうなりますと第7頚椎棘突起が右側に引っ張られます。あるいは仙骨や後頭骨との関係でそうなっているかもしれません。右目の使い過ぎでこうなることもあります。
 第7頚椎は首(頚椎全体)の土台ですから、その歪みは頚椎の運動に支障をきたしますが、それだけでなく腰椎の土台であります第5腰椎や仙骨の歪みを招くことになります。すると骨盤が歪むことになりますので全身的に影響が及んで何らかの不調や不具合が生じることになります。

めまいや耳の機能に関係する第4頚椎

 めまいを起こす原因はいろいろ考えられますが、その一つに首の中間(第4頚椎あたり)が歪んでいることがあります。起き上がろうとしたり、首を動かそうとすると突然めまいに襲われ吐き気が伴うような場合は、第4頚椎の歪みを整えることが一つの手段になります。
 めまいの多くは内耳にあります三半規管の不具合や不調によるものですが、内耳に関係する症状としてまして突発性難聴や低音難聴などがあります。第4頚椎の歪みはこれらの症状に関係していることもありますが、臨床的に後斜角筋(こうしゃかくきん)の変調が関わっていることが多く、胸郭の捻れが大元の原因になっていることもあります。


 頚椎の3番から6番までの歪みは斜角筋の変調を確認することが最初の方法だと私は考えています。
 斜角筋は前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋と三本ありますが、それぞれ頚椎と肋骨を繋いでいますので、肋骨(胸郭)が捻れたり歪んだりしますと、頚椎に歪みをもたらします。また噛みしめや歯ぎしりの癖がありますと、あるいは一時的にでも強く食いしばったりしますと斜角筋がこわばってしまい胸郭を歪ませます。斜角筋以外では肩甲挙筋が頚椎の歪みに関係します。スマホなどの見過ぎで、目の筋肉が固まってしまいますと、肩甲挙筋がこわばって頚椎が歪みます。

参考:耳の問題‥‥低音難聴


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(ずっとブログばかりを書いてきましたので、ゆめとわのホームページは放置したままになってきました。現在、ホームページを新しく作り始めていますのが、その中に記載する文章ですから、ちょっと固い話題ですが、最後まで読んでいただければ幸いです)

 階段をバタバタバタと駆け降りることはできても、ゆっくり、じっくり降りることのできない人がいます。上り坂はまったく苦にならないけど、下り坂を歩いたり走ったりするのが苦手な人もいます。このような状態の人は膝(太股)の前面にある中間広筋(ちゅうかんこうきん=大腿四頭筋の一つ)の働きが悪い人です。登山で、登りは大丈夫だったのに下山になると膝がカクカクしてしまった経験のある人は多いと思いますが、それは疲労によって中間広筋の働きが悪くなってしまったからです。このように中間広筋は”膝の粘り”に深く関係する筋肉です。


 では、膝に粘りが足りない人は中間広筋が弱いのでしょうか? また、そのような人は中間広筋を鍛えるトレーニングをした方が良いのでしょうか?
 膝にトラブルを抱えた人が整形外科を受診しますと、リハビリとして大腿四頭筋を鍛えるトレーニングを指導されたり勧められたりする場合があるようですが、私は疑問を感じます。

”筋肉の働きが悪い”ことと“筋力が弱い”こと

 例えば、トレーニングジムに通うなどして筋肉を鍛えていて、中間広筋の筋力もバッチリの人が、転んで膝を打撲したとします。すると本来の筋力を発揮することができなくなりますので、階段をゆっくり降りることができなくなってしまいます。膝に力が入らなくなってしまったからです。
 このような状態の人に対して「膝を強くする必要があるので、大腿四頭筋を鍛える運動をしてください」という指導は適切でしょうか? それは「不適切」であると多くの人が思うと思います。まずは打撲の傷を治すことが優先です。傷が癒えれば筋力が発揮できる状態に戻りますので、階段をゆっくり降りることができるようになるからです。鍛える必要があるとすればそれからです。

 上記の例では、打撲の傷によって筋肉がその能力を十分に発揮することのできない状態なりました。それは“筋肉の働きが悪い状態”です。そう考えますと、“筋肉がしっかり働くことのできる状態にする”ことが適切な対処法であるということになります。
 仮に、歩くと膝がカクカクし、階段を普通に降りることができない高齢者が来店されたとします。「ああ、この人は中間広筋の働きが悪いんだな」と私は思います。そして「どうすれば中間広筋の働きが良くなるのかな?」と考えながらからだを観察していきます。
 その後、中間広筋の働きが良くなるように施術を展開していきますが、その上でやはり筋力が不足している判断すれば、中間広筋を鍛えるための簡単なトレーニングをしていただくようアドバイスさせていただきます。「筋肉の働きが良い状態になった上でトレーニングを行えば効率よく筋力をアップさせることができる」と考えるからです。
 筋力を発揮することのできない状態で、筋肉に負荷を掛けるトレーニングは「しごき」であり、苦痛でもあるし、からだを壊すことにつながると私は考えています。仮に中間広筋の筋力がアップしたとしても、どこか別のところがおかしくなってしまうかもしれません。

 お腹が冷えると腹筋の働きが悪くなります。「腹筋の働きが悪くて胸が上がってしまい、うまく息を吐き出すことができないので‥‥」と申し上げますと「では、腹筋を鍛えれば良いのですか?」という反応が返ってきます。ほとんどの人が「働きが悪い」ことの対応策は「鍛えること」と考えてしまうようですが、正解は「働きの良い状態に戻す」ことです。なぜなら筋肉の正常な(本来の)状態は「働きの良い状態」だからです。必要に応じて必要な分だけスムーズに収縮し、必要に応じて必要な分だけスムーズに弛緩伸張できる状態が筋肉の働きが良い状態です。
 筋肉を鍛えることは、筋力を強くすることですので、働きを良くすることとは意味合いが違ってきます。そして筋肉の働きが良くなるためには、あるいは筋肉の働きが良い状態を保つためには、幾つかの必要条件があります。

筋肉がしっかり働くための必要条件

 私たちのからだの筋肉は3つの種類に分けられます。骨格の安定とからだの運動に関わる骨格筋(こっかくきん)と内臓の働きを行っている平滑筋(へいかつきん)と生涯一時も休むことなく働き続ける心臓の筋肉である心筋(しんきん)です。それぞれに特徴がありますが、これらの筋肉がしっかり働いてその役割を十分に果たすためには幾つか必要条件があります。
 まず血液が届かなければ筋肉(筋細胞)は働くことができませんので、動脈に問題がないこと、加えて二酸化炭素(炭酸ガス)や老廃物も去って行かなければなりませんので静脈に問題がないことも必要条件になります。
 心筋や内臓の平滑筋は自律神経によってコントロールされています。また私たちの意志に従って骨格筋は働くわけですが、そのためには神経(随意神経)に問題があってはいけません。ですから中枢神経と末梢神経に問題がないことが必要条件になります。
 冬の寒い朝は、手先がかじかんで思い通りに動かせなくなります。私はこの時期、朝一番のお客さんを迎える前に3分間ほど湯で手を温めています。そうしないと手先に力が入らず施術を行うことができないからです。ですから、筋肉をしっかり働かすための条件として熱エネルギーが必要だということになります。そしてこのことは心筋や内臓の平滑筋にもあてはまりますので、お腹を冷やすと内臓の働きが悪くなって体調を崩したり病気になる確率が高まります。面倒でもちゃんと湯船に浸かってからだを芯から温めてください。
 肩こりや腰痛に効果があるとされているピップエレキバンは磁気エネルギーを利用して筋肉の状態を良くしようとするものです。整形外科や接骨院でかける低周波などの電気治療器は、からだに電気を流して筋肉の状態を良くしようとするものです。何故なら私たちのからだには微弱ながら電気が流れているからです。神経の働きも筋肉の収縮も、細胞内での出来事も、実はすべて電気的な現象です。私たちの肉体が行っている生命現象のすべては電気仕掛けですので、電気エネルギーは必要条件になります。地球が自転していることによって自然と私たちには磁気と電気エネルギーが与えられていますが、その流れがおかしくなりますと筋肉の働きは悪くなります。
 筋肉に損傷がないことは必要条件です。当然と言えば当然ですが、筋肉が打撲したり傷ついたりしますと電気エネルギーの流れが悪くなります。足首を捻挫しますと、炎症が治まり痛みや腫れが引いた後でも足や足首に力が入らず頼りない状況が続きます。それは損傷が治りきっていないということですが、電気エネルギーの流れが悪いために筋肉がしっかり働いてくれない、あるいは筋肉や靱帯がしっかり治ってくれないということです。
 手術などでメスを入れますと、大なり小なりその影響は必ず残ります。そのマイナス要素に対してどう対処して付き合って行くのか、そういう課題が残ります。

 さて、ここからは少し専門的になりますが、「加齢」という言葉でかたづけられ、本人も「そんなものか」と半ば諦めてしまう症状を改善するために、筋肉の持っている能力をしっかり発揮するために必要な条件になります。

・筋肉に変調がないこと

筋肉は使いすぎますと、つまり収縮ばかり行っていますと、しばしば収縮したままの状態になってしまいます。筋肉の中に硬く凝り固まって伸びてくれなくない部分ができてしまいます。それを「筋肉がこわばった状態」「筋肉の中のこわばり」と私は表現しますが、筋肉が変調を起こした一つの状態です。
 またこれとは反対に、使いすぎて疲労してしまい、あるいは伸ばされたまま放っておかれて疲弊してしまい、収縮することができなくなってしまうことがあります。打撲や損傷によってこういう状態になることもありますし、肉離れやギックリ腰などもこの状態です。筋肉が部分的に収縮できなくなってしまった状態を「疲弊した状態」あるいは「ゆるみ過ぎた状態」と表現していますが、日常的にあらゆる筋肉の中に見られる筋肉の変調です。熱が足りなくて、血行が悪くて、神経の働きが悪くて、筋肉がうまく収縮できなくなることがありますが、それもこれとおなじ変調状態だと考えて対処することになります。

・筋膜の状態が良いこと

私たちがイメージする一般的な筋肉は、細い筋線維が薄い筋膜に包まれ、それが幾つか集まって束になり、その束をまた筋膜が包み、さらにそれを束にしたものを更に筋膜が包んだものです。このように筋肉を包む筋膜は筋肉を束ねて名前の付く一つの筋肉にまとめ上げる働きをしています。


 さらに心臓や肺やその他の臓器も膜に包まれていますし、腹腔や胸腔といった体内の体腔も膜に包まれています。これらの仕切りのような膜によって臓器や器官はある程度一定の位置に保たれるようになっていると言います。また皮膚の下にも筋膜(皮下筋膜)があって全身を一枚のシートで覆うような状態にしています。
 骨は骨膜に覆われていますが、骨格筋はその腱が骨膜に繋がることによて骨に繋がっています。
 これらの膜はすべて筋膜と同じものですが、その働きについてはまだまだ解っていないことが多いようです。組織や器官や臓器や骨をガードしたり、体内での位置を決める働きをしているだけでなく何らかの情報をそれらにもたらしている可能性もあるということです。

 たとえば一般的な肩こりは、筋肉の中の水分が溜まったまま抜けていかないので筋肉がコリコリに硬くなった状態ですが、もっと細かく観察しますと、筋線維とそれを包んでいる筋膜との間に水が溜まってしまったものか、あるいは筋膜と筋膜の隙間に水分が溜まったままになっているものかもしれません。そう考えますと「筋膜を整えることで肩こりを改善する」という方法が思いつきますが、現にそのようなやり方を提唱している専門家もいます。
 私の実際の施術では筋膜を施術する割合が高いです。筋肉の変調を整えるためには筋膜にアプローチするのが最も効果的な方法かもしれません。
 体表を覆う皮下筋膜はしばしば捻れを起こしますが、その捻れによってからだが歪んでまったりすることがあります。骨格の歪みを修整することも大事ですが、筋膜の捻れを正すことも整体にとっては重要です。

・協働筋と拮抗筋の状態が整っていること

 ある筋肉を収縮させて動作を行うとき、その筋肉だけが収縮しているわけではありません。その筋肉の収縮を補助したり、動作の効率を上げるために他の複数の筋肉が同時に収縮します。それらの筋肉を共働筋、あるいは協働筋と呼びます。


 また、ある筋肉が収縮して動作をする場合、その筋肉と反対の働きをする筋肉がゆるんで伸びる必要があります。例えば上腕二頭筋を収縮させて肘を曲げるときは、上腕の背面にあります上腕三頭筋がゆるんで伸びなければなりません。もし上腕三頭筋にこわばりがあってうまく伸びることができなければ「肘を曲げたくても曲げられない」という状況になります。このように肘を曲げる働きをする上腕二頭筋に対して、肘を伸ばす働きをする上腕三頭筋を拮抗筋と呼びますが、拮抗筋にこわばりなどの変調がありますと動作がスムーズに自在に行うことができなくなってしまいます。

・付着する骨格が安定していること

 心臓や内臓の臓器や器官は直接骨に接していませんので、心筋と平滑筋は骨や骨格とは関係が薄いと思われるかもしれません。しかし、“からだの歪み”という観点で考えますと、歪みによって心筋や内臓平滑筋の働きも影響を受けますので「骨格の安定はすべての筋肉に対して影響を及ぼす」と言うことができます。そのように前置きした上で骨格筋について説明させていただきます。
 骨格筋は一部顔面の表情筋などを除いて、骨と骨の間にあって、収縮したり弛緩伸張したりすることによって骨を動かし、からだに動作をもたらす働きをしています。


 また肘関節を引き合いに出して説明させていただきますが、肘関節を曲げる働きをする筋肉には先ほど取り上げました上腕二頭筋の他に上腕筋があります。上腕筋は上腕骨と前腕の骨である尺骨を繋いでいますが、収縮することによって尺骨を上腕骨の方へ引き寄せ肘を曲げます。この動作では、上腕骨が土台となって上腕筋が収縮することで尺骨を引き寄せることを行っていますので、上腕筋にとっての土台、あるいは足場である上腕骨が安定している必要があります。もし上腕骨が不安定でグラグラしていますと、上腕筋は正常に、効率よく働くことができなくなります。私たちが平で安定した道路を歩くのと、足場が不安定な沼地のようなところを歩くのでは、緊張感や歩き方が変わってしまうのと同じことです。
 ですから、骨格筋の能力を十分に発揮してもらうためには足場である骨格が安定している必要があります。
 そして骨格を安定させる働きをするのもまた骨格筋であるという現実があります。「骨と骨を繋ぐ短い筋肉が骨格を安定させ、その上で長い筋肉が働いて動作を起こしている」というような感じで捉えていただければよいかと思います。

以上が筋肉がしっかり働くための必要条件になりますが、もう一度整理しますと、以下の通りです。

  • 血流(動脈・静脈)に滞りがない
  • 神経が正常に通っている
  • エネルギー(熱・電気‥‥)が必要量あり、流れに滞りがない
  • 筋に損傷や変調がない
  • 筋膜の状態が良いこと
  • 協働筋と拮抗筋に変調がない
  • 付着する骨が安定している

筋力よりも働きの良い状態が必要

 筋力を強くするためには筋肉に負荷を掛けてたくさん使うこと、つまりトレーニングが有効です。しかし整体的な観点で、あるいは日常的な健康を実現するという観点で考えますと、筋力が強くなることはそれほど好ましいというものでもありません。筋力が弱いよりは強い方が良いかもしれませんが、筋力が強くても変調があって働きが悪ければからだは歪みます。からだが歪みますといろいろな問題を起こしますし、内臓の働きにも悪影響を及ぼす可能性が高まります。
 ですから、日常生活に必要な筋力は確保しなければなりませんが、筋力を強くするよりも筋肉の働きが良くなることを考えていただきたいと思います。毎日5000歩も歩けば足腰に必要な筋力は十分に確保できると思いますし、筋肉連動の原理から、歩くだけでも体幹や手の筋肉もそれなり動きますので、特別に腕や手指を鍛える必要もないと私は思います。それよりも首・肩から力が抜けて腰を中心にからだを動かすことを身につけていただくことの方がよっぽど大切だと思います。そして、そのためには正しい呼吸をしなければなりません。
 正しい呼吸を実現するためにはからだの歪みを改善する必要があり、そのためには筋肉や筋膜の働きが良くなるようにする必要があります。ですから、上記に示した必要条件をよく見直していただきたいと思います。

 からだが冷えますと熱が足りなくなりますし、血流が悪くなりますので内臓の筋肉も含めて筋肉の働きは悪くなります。面倒でも、湯船に浸かってからだを芯から温める習慣を身につけましょう。
 同じ作業を長時間続けていますと筋肉がこわばったり、あるいは疲弊してしまい変調を起こします。ですから使い方のバランスを考えましょう。
 片噛みの癖、目の使い方の偏り、パソコンのしすぎ、スマホの使いすぎ(眼の疲労や下を向いている時間が長くなる)などは、筋肉の働きを悪くし、からだに歪みをもたらします。


 さて、冒頭にとりあげましたような、中間広筋の働きが悪く膝の粘る力が足りないような場合、拮抗筋の問題が原因になっていることが多いようです。中間広筋は大腿四頭筋の一部ですから膝を伸ばす働きをします。ですから一般的に拮抗筋として考えられる筋肉は膝を曲げる働きをする筋肉です。ハムストリングとして知られる太股裏側の筋肉(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)やふくらはぎの腓腹筋がそれに該当します。しかし、実際には同じ大腿四頭筋の中の大腿直筋が中間広筋の拮抗筋となって膝の力に問題をもたらしていることが多いです。

 例えば階段を昇るとき、膝に力を入れて脚を伸ばし、からだを持ち上げますが、その時には大腿直筋と内側広筋が主に働きます。反対に階段を降りるときには、中間広筋と外側広筋が主に働いて軸脚の膝を粘らせ、反対側の足が下の段に着地することを可能にします。「上りは大腿直筋、下りは中間広筋」という合い言葉のように、私の頭の中には記憶されています。
 ですから登山に際して、山頂を目指して山を登っていく時には大腿直筋がたくさん使われます。すると大腿直筋は使い過ぎでこわばりますが、それは拮抗関係にある中間広筋に「ゆるんでうまく収縮できない状態」をもたらします。この状態で山を下りますと膝に力が入りませんのでカクカク、あるいはプルプルした状態を招いてしまいます。

 今は市町村で経営している公的なトレーニングジムも増え、手軽に器具をつかって筋力アップのトレーニングを行うことができます。汗をかいて発散することは、心理的ストレス解消としても、肉体的疲労回復としても、とても有効な手段だと思います。適度な運動は健康を維持するためにも大変役に立つものだと思います。
 しかし、「不具合を筋力アップで克服しよう!」という考え方には、素直にうなずけません。からだの不具合には原因があります。ですから不具合の原因を正し、不具合を直した上でトレーニングを楽しんでいただければと思います。
 私たちのからだには「耐性力」がありますので、不具合があって当初は痛みを感じていたとしても、運動を続けているうちに痛みが消えてしまうことがあります。昔の「根性論」的発想は、この耐性力に根ざしていたのかもしれません。
 あるいは、若く、からだにエネルギーが溢れているような状態であれば、不具合があったとしても他がカバーしてくれますので乗り切ることができるかもしれません。しかし加齢とともに体力が落ち、中年期あたりからカバー力が弱くなりだしますと「昔の古傷が‥‥」と不具合を放っておいたツケが廻ってきたりします。

 筋力を強くすることと、筋肉の働きを良くすることは、まったく別物であることを、皆さんにも知っていただき、健康を維持するために筋肉の働きを良くする環境に暮らしていただきたいと思います。
 先ほども申しましたが、からだを冷やさないこと、良い呼吸をすること、噛み方や目の使い方が偏らないこと、からだに少し負荷を掛ける程度の心地良い運動をおこなうこと、精神的な面を除くとこのようなことが大切ではないかと思います。


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 目に関する不調の一つにドライアイがあります。そして、近年はPCやスマホなどで液晶画面を凝視する人が非常に多くなったせいか、ドライアイの人がとても多くなったようです。
 そして皆さん、それがまるで普通であるかのように目薬を常用しています。‥‥でも、それは異常な状態だと思います。

 ドライアイの原因としてはアレルギー、眼精疲労、瞬目不全、コンタクトレンズなどが考えられるところでしょうか。眼科ではドライアイに対しては主に点眼薬で対応するようですが、それは応急処置の範囲内であり、「はたして治療と呼べるだろうか?」と思ってしまいます。
 
 数年前に「ドライアイは自分で治す 努力で治る」(著者 石川秀夫)というDVD付きの本を買いました。著者は沖縄の眼科医師です。この本の中で著者は、眼科に行っても良くならないドライアイをはじめ、目の不定愁訴(原因がよく解らない症状)のほとんどの原因は瞬きで目を閉じる動作の不全であると言っています。専門用語で“瞬目不全”と呼ぶようです。目を閉じる動作が中途半端で最後までしっかり閉じることができないので、涙で眼球全体を潤すことができないということです。車のワイパーの動きが中途半端な状態なので、フロントガラス全体をきれいに拭き取ることができない状況に似ています。瞬目の場合は、瞼の裏で眼球全体を潤すわけですが。
 DVDでは、たくさんの症例を取り上げて、瞬目(まばたき)の状態をスロー再生映像で解説しています。確かにこの先生が仰るように、ドライアイの原因の一つとして瞬目不全は大きく関係しているように私は感じました。
 ですから、今回は瞬目不全について考えてみたいと思います。

涙器

 目には目頭と目尻がありますが、垂れ目でない普通の人は目尻の方が目頭より上に位置しています。ドライアイは涙と深い関係がありますが、表からは見えない構造として目には涙腺と涙道があります。涙腺は目尻の方に、涙道は目頭の中にあります。瞬きの一つの役割を簡単に申しますと、涙腺で涙がつくられ、瞬きに合わせて涙が眼球を潤すと同時にそこにあった古い涙を洗い流し、目頭にある涙道から排出しています(鼻の奥に落ちる)。その作業が効率よく行われるように目尻の方が目頭より高い位置にあります。また、上瞼と下瞼が共働して目を閉じるのですが、その閉じ方もスローで確認しますと、目尻の方から目頭に向けてチャックを閉めるように行われます。眼球表面にある涙を目頭にある涙器に向けて押し流す動作になっています。

瞬目の動き02

 DVDの映像を見る限り、まずドライアイの人のほとんどは瞬目が正常に行われていませんでした。つまり目がしっかりと閉じていないのです。涙腺でつくられた新しい涙は、瞼を閉じることによって眼球全体に行き渡るようになっているようで、目が完全に閉じない状態では涙が眼球全体に広がらない状態、つまり目が潤っていない状態になってしまいます。正しくドライアイの状態です。

 ところで、瞬目不全がドライアイの原因だったとしまして、どうすれば改善することができるのかということを考えてみます。

眼輪筋など表情筋

(1)眼輪筋と瞬目不全
 目を閉じる動作は眼輪筋が主に行いますので、「眼輪筋を鍛える」という対応策がすぐに思い浮かびますし、ネット上でもそのような情報がたくさんあります。さらに「眼輪筋を鍛えると若返る」ということまで云々されています。
 ところが、私は「それは危険な行為です」とあえて申し上げます。過去に眼輪筋を鍛えるトレーニングをたくさんしたが為に、目元のシワが増えてしまったり、目元がこわばってしまい軽やかに瞬目することができなくなってしまった人を知っているからです。
 ここで理屈を述べると大変長くなってしまいますので、ポイントだけ申しますと、眼輪筋や口輪筋やその他の表情筋(顔の表面にあって様々な表情をつくる筋肉)は発生学的に内臓由来の筋肉です。つまり、胃や小腸や大腸、心臓や血管などと同じ類の筋肉です。手や足腰や背中やお腹の筋肉は体壁系の筋肉ですので、ある程度トレーニングなどして鍛えた方がからだを保つためには有効です。しかし胃や小腸や心臓を鍛えるという発想は誰も思いつかないと思います。それらは鍛える対象ではないと本能的に誰もが知っているからです。顔の表情筋も由来は内臓系ですから鍛えるのではなく、「十分に働けるようになっていただきたい」と考えるべきだと思います。
 筋肉を鍛えることは筋線維を収縮させることとほとんど同じです。つまり眼輪筋を鍛えることは眼輪筋を強く収縮させることを行うわけですが、それを大げさにやりますと、ギュッと目を閉じる動作です。このとき筋線維は目の中央に寄るようになります。この動作をたくさんしていますと、そのようなこわばりのシワが眼輪筋にできるようになります。目元の横皺ではなく縦皺が皮膚の奥に見え隠れするような状態になってしまう可能性があります。それは特に女性にとってはガックリしてしまうような状況です。ですから、そのようなことはして欲しくないと思います。

眼輪筋の働きを良くして瞬目を完全に行うために
 手技による施術は副交感神経が優位な状態に導きますので、眠ってしまう人がたくさんいます。大概の人は目を閉じて眠りに入りますが、中には薄ら目を開いたままの状態で眠っている人がいたりします。完全に瞼が閉じているのではなくて、1㎜とか薄ら瞼が開いているのです。きっとこんな人が瞬目不全なのだと思いますが、その理由は二つ考えられます。一つは神経の働きが不十分で眼輪筋の働きも不十分になっていることです。もう一つは骨格的問題か皮膚や筋膜の状態によってか、上瞼が上方に、あるいは下瞼が下方に引っ張られている状態になっていることです。

 眼輪筋の働きを支配している神経は顔面神経です。顔面神経は眼輪筋だけでなく他の表情筋も支配していますが、作用の仕方としましては、ほとんどの場合0%か100%かという感じではなく、60%になってみたり40%になってみたりするといった感じです。病気である”顔面神経麻痺”になりますと神経がまったく働かない0%の状況になりますが、通常は働き具合が十分な状態になったり、不十分な状態になったりします。そして眠っていても瞼や口が完全に閉じない状況であれば、顔面神経の働きが不十分な状態であると考えることができます。

顔面神経

 顔面神経は脳幹から出ている脳神経の一つですから、脳神経の働きが不十分な状態なのかもしれません。あるいは顔面神経が頭蓋骨の内部から顔面(外側)に出てくるときに耳下腺の中を通りますが、耳下腺が硬くなっていたり、あるいは咬筋のこわばりが耳下腺を圧迫していたりして、その働きが不十分な状態になっているのかもしれません。
 ですから、私は脳神経の働きをアップすることと耳下腺での圧迫が解消されるようにすることの両方を施術として行います。脳神経の働きをアップすることにつきましては、脳幹の働きをアップすることと同じことですが、それは椎骨動脈の流れを整えることで対応しています。
(椎骨動脈についての詳細はこのページを参照してください。)
 耳下腺への施術は基本的に持続指圧の手技です。耳下腺からの唾液の出方が不十分で、なおかつ瞼をはじめ表情筋の状態に問題があるのであれば、それは耳下腺がとても硬くなっていると考えられます。そしてそれは噛みしめ癖など咬筋のこわばりによる影響かもしれません。

(2)骨格の歪みなどによる瞬目不全
 眼輪筋の状態も良好で、顔面神経の働きにも問題がないのに瞬目不全になってしまう場合があります。それは骨格の歪みや頭皮の緊張あるいは筋膜のこわばりによって瞼を最後まで閉じることが困難な場合です。

頭蓋の歪みと眼輪筋

 眼輪筋は前頭骨と頬骨と上顎骨でできています(これら以外の骨も関係します)眼窩に付着していますので、これらの骨格が歪みますと眼輪筋の働きは鈍くなります。つまり普通に目を閉じようとするだけでは瞼が最後まで閉じてくれないかもしれません。(目をちゃんと閉じようとしますと力を入れなければならない状態になってしまうかもしれませんが、それはとても疲れることです。)
 また、眼輪筋の上方は前頭筋と繋がりさらに頭の筋膜(帽状腱膜)と繋がっていますので、背筋がこわばって背中~首~頭にかけて緊張状態になりますと、眼輪筋の上方が上に引っ張られる状況になって瞼を閉じるの苦労するかもしれません。
 あるいは顔面が下がった状態になって眼輪筋の下方が下に引っ張られた状況になりますと、やはり下瞼を閉じる動作に支障がでます。そしてそれが目元のこわばりに繋がる可能性は高いです。
 
 これらの状況もまた瞬目不全の状態を招く可能性が高くドライアイの原因になると考えることができます。

表情筋のこわばりが顔を下げる

 また、私たちは食べたり喋ったりして口をたくさん使いますし、いろいろな表情も口周辺の筋肉を使っておこないますので、頬から口元にかけての筋肉が硬くこわばってしまう傾向にあります。そして、その影響で頬骨が中心に寄って下がってしまい眼輪筋の働きが悪くなってしまいます。ですから、常に頬から口元にかけての表情筋を柔らかい状態に保つよう手入れをしていただきたいと思います。
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 今回は瞬目不全についての話が中心になりましたが、ドライアイの原因として考えられるものにはアレルギーや眼精疲労、コンタクトレンズの影響などもあるようです。その他にも「涙が十分に作られているのだろうか?」といった点も忘れてはいけないことです。血流や自律神経が絡んでくる問題ですね。
 これらについては後日取り上げたいと考えています。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ http://yumetowa.com

 いつも頭痛に悩まされていて鎮痛薬を常時携帯している人もかなりいるようです。鎮痛薬は安全性が高いということで手軽に購入することができますが、やはり頻繁に利用することは避けた方がいいと私は個人的に思います。認知症などとの因果関係については話題になりませんので、医学的には関係がないということになっているのかもしれません。しかし、少なくとも私の母に関しては、ピリン系の頭痛薬は頭の働きを弱めていることが観察できますので、私は懐疑的です。とはいえ、頭痛に限らず腰痛や膝痛、坐骨神経痛などで痛みが強くて日常生活に支障がきたすようであれば、やはり鎮痛薬は役に立ちますし、私もたまに使うことがあります。

緊張性の頭痛

 さて、激しい頭痛に襲われますと、多くの人が脳に異常がないことを確認するために脳神経外科を受診されるようです。MRIの画像診断を受け、大概は「脳はきれいですから、肩こりや首のこりが強くて緊張性の頭痛になっているのでしょう」と診断されるようです。そして首・肩のこりを和らげるために私のところを訪れ、頭痛を改善してほしいと仰います。
 
 大雑把に申し上げれば、あるいは大掴みで捉えれば、「首・肩のこりが酷いことが原因で緊張性の頭痛を招いている」ということは正しいと思います。しかしながら施術によって頭痛状態を解消しようとしますと、幾つかの観点での確認作業と施術が必要になります。「首肩を揉みほぐして、首肩のこりが解消されれば頭痛も解消する」というものでもありません。
 
 緊張性の頭痛というのは、筋肉や筋膜、あるいは皮膚(頭皮)が緊張した状態になっていて頭部を締めつけているために痛みを発するというものです。頭皮を動かそうとしたときに硬くて思うように動かせないような状態であれば、それは緊張性の頭痛であると考えられますが、頭痛を感じる場所によって施術に対する考え方が変わってきます。
 


偏頭痛

 緊張性の頭痛と似たような存在として偏頭痛があります。「ズキン、ズキン」と襲ってくる激しい痛みは耐えがたいものですが、この場合は血管(動脈)の緊張緩和も考えなければなりません。動脈の状態には自律神経(交感神経)が深く関わってきますので、イライラや怒りや興奮や緊張という精神状態は交感神経の働きを亢進させるので影響をもたらす可能性があります。また精神的・肉体的ストレスも間接的に影響をもたらすかもしれません。
 歯痛にも偏頭痛と同じようにズキンズキンと疼くような痛みのものがありますが、それは神経の問題や炎症が関わっていると考えられます。
 ですから偏頭痛に対しては、自律神経、神経、炎症という観点での対応も考える必要があるかもしれません。
 
 

頭重や圧迫感

 痛みまでいかなくても、「常に頭が重たい」「頭の中がいつも詰まっていてパンパンになっている」などという場合もありますが、これらの場合は“血流”の問題を第一番目に考える必要があるのではないかと私は考えています。
 そして血流には動脈と静脈がありますが、多くの場合で、静脈の流れが悪くて脳内の血液が抜けていってくれない状況だと思います。
 脳は活動のためにたくさんの酸素を必要としますので動脈血をたくさん要求しますが、静脈血が抜けて行かずいつまでもそこに停滞しているために、交通渋滞と同じような状況になってしまいます。すると脳内の血液量が本来よりも多くなりますので血管が膨張して脳内を中から圧迫した状態になると考えられます。このことが“頭重”や”頭の圧迫感”の症状を招いてしまうことに繋がると考えられます。
 脳内の細胞に動脈血が届けられなくなりますと、やがて脳細胞は死んでしまいます(脳梗塞と同じような状態)ので、心臓は血圧を上げて、言わば無理やりにでも血液を循環させようとします。この状況は高血圧の原因になりますし、脳内出血の危険性をもたらす要因の一つになると考えられます。
 ですから静脈が常に滞らないように整えておくことはとても大切なことです。そして、この時にポイントとなるのは鎖骨下静脈の流れであり、鎖骨と胸郭の関係、斜角筋の状態は重要な要素になってきます。
 

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