ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

2019年01月

 棘上筋(きょくじょうきん)につきましてはこれまで幾度となく取り上げてきましたが、私にとっての新たな発見がありましたので、今回お知らせしたく投稿させていただきました。

 棘上筋は肩甲骨にあるインナーマッスルですが、その位置している場所は棘上窩と呼ばれる「肩甲骨真上の凹み」です。そして私は、どういうわけか以前から”その場所”が個人的に気になっています。そして頑固な肩こりは棘上筋の硬結が芯になっていますので、この硬結を解決しないかぎり本当の意味で肩こりから解放されることは難しいのではないかと思ったりします。
 私たちは人生の中でいろいろなものを背負って生きていますが、その場所が棘上窩であり、棘上筋なのではないか? などと思っています。お父さんが小さいお子さんを肩車したときに、お子さんのお尻が乗っかる場所が棘上窩であり棘上筋ですが、つまり、棘上筋の硬結が頑固な肩こりの「芯」であるということは、私たちが人生の重荷を下ろすまで肩はこり続けてしまうことを暗示しているのかもしれません。


 また、肩甲骨は「天使の羽」として喩えられることもありますが、私たちに天上界や別次元の世界を連想させる象徴の一つでもあるようです。
 ですから天使の羽を軽やかな状態にして軽やかに生きていくためには肩甲骨の重たさを取り除くためにも棘上筋のこばばりや硬結を解消したいものです。


 (http://b-gata-diary.com/archives/1455より引用)

頭部の損傷は棘上筋のこわばりにつながる

 以前の投稿で、スノーボードで後頭部を強打し、その影響で中殿筋の働きが悪くなってしまった長距離走アスリートの話をさせていただきました。(後頭部の打撲による影響‥‥スノーボードなど)
 そして今回は頭部の強打やムチウチの影響が棘上筋のこわばりにつながるという内容です。
 O脚についての説明で股関節にある小殿筋(しょうでんきん)と棘上筋は連動関係にあるという話をさせていただきました。


 棘上筋がこわばりますと小殿筋も連動してこわばりますが、その影響で股関節が拡がってしまいO脚が始まってしまう‥‥というような内容です。(O脚修正でのポイント①‥‥小殿筋)

 今、20歳前の女子がO脚を直すために隔週のペースで来店されています。「以前にシンクロナイズドスイミングを習っていたのだけれど、脚の形が今一つ決まらなくて‥‥」というお母様のお話でしたが、それはO脚によるものだったと考えられます。
 O脚の場合、施術に際して一番最初に確認するところは小殿筋の状態ですから、当然、連動する棘上筋をチェックすることになります。そして予想通り、この女子の小殿筋も棘上筋もこわばっていました。
 「こんなに若いのに肩こり、気の毒だね~」などと内心で思いながら、棘上筋のこわばりを解消すべく施術を行っていましたが、どうもスッキリ解消できません。そこで「子供の頃、何かケガなどしませんでしたか?」とお母様に尋ねてみました。すると「シンクロナイズドスイミングの練習し始めの頃にプールの底に頭部を強打したことがある」と仰いました。
 それで頭頂部を探ってみました。すると頭頂部の少し右側に頭皮(筋膜)のゆるんで凹んだところがありました。そこで、その部分に手指をあてて(力を)補ってみますと棘上筋のこわばりがゆるんでいくのが感じられました。
 次に立っていただき、同じように頭頂部に私の手をあてますとO脚で小趾側重心だった状況が変化しました。重心が内側に移動し、両膝が少し寄るようになりました。
 ダメージを受けた頭頂部を手当てすることで棘上筋と小殿筋のこわばりがゆるんできてO脚状態も少し良くなることがハッキリしたわけです。
 O脚の場合、小殿筋のこわばりだけが原因ではありませんので、他にもいろいろ施術しなければなりません。しかし小殿筋は一番最初の要ですから、こわばりの原因がハッキリして対処法も確定しましたので、それは大きな一歩となりました。

ムチウチの後遺症‥‥棘上筋のこわばり

 上記のように、頭頂部の損傷が小殿筋のこわばりを招くことに加えてムチウチによる損傷の影響で棘上筋がこわばってしまう場合もあります。
 ムチウチの後遺症にはいろいろなものがありますが、経験された人達の話をうかがいますと「事故の後、半年間くらいは自動車保険が補助してくれるので整形外科で治療やリハビリ(牽引など)を受けることができ、なんとなく気にならない程度に回復するんだけれど、しばらく経って保険も適応されなくなった後から首や肩が重苦しく感じられたりするようになる」という内容の話が多いようです。
 ムチウチの直後は損傷してしまった後頭部から首にかけての症状が一番気になりますが、やがてその症状が一段落しますと肩上部や肩甲骨周辺に残ったままになっている症状がクローズアップされるようになるからかもしれません。

 ところで、普通「肩が凝って! 凝って!」と思わず手を当ててしまうのは肩上部が多いと思いますが、そこは棘上筋の場所ではありません。棘上筋は肩上部の少し後側(背中側)を上から強く指圧して、深く入ったところで強い張りと硬さを感じる部分です。私は、棘上筋のこわばりを「肩こりの芯」であると受け止めていますが、この硬さやこわばりは揉んだり指圧したりして解決する類のものではありません。その場では痛み(イタキモ)や気持ち良さを感じるかもしれませんが、その場限りです。次の朝には肩こり状態が元に戻っていると思います。



 「どうしてこの人はこの部分がこんなにこわばっているのだろう?」と思いながら施術していることが多いのですが、棘上筋のこわばりも“からだの秘密”、謎めいているものの一つだと感じています。

 棘上筋は肩関節のインナーマッスルとして肩関節を安定させる重要な役割を担っています。棘上筋が疲弊した状態になりますと腕が肩関節から落ちたような状態になります。四十肩や五十肩のきっかけになる状況ですが、状態が悪化しますと肩腱板断裂と診断されるかもしれません。
 そして棘上筋がこわばる理由として考えやすい要因は二つあります。一つは筋連動によるこわばりですが、再三登場します小殿筋や他の連動筋がこわばってしまったがために棘上筋もこわばってしまうというものです。もう一つは、肩関節で肩甲骨と上腕骨(じょうわんこつ=二の腕の骨)の関係がおかしくなってしまったために(=肩関節の歪み)棘上筋が緊張状態になってこわばってしまうというものです。
 しかし、これら二つの要因を解消しても棘上筋のこわばりが解消されないことがあります。そのことを私は謎めいているともうしましたが、その中の一つに頭部の損傷やムチウチによる影響があります。

頭頂部のゆるんだ状態と棘上筋と全身の緊張

 子供の頃、机の下に潜って遊んだりしている時に頭を“ゴツーン!”と強打したような経験は多くの人にあると思いますが、そのようなことで頭皮(頭部の筋膜)がダメージを受けますと、その影響で棘上筋がこわばってしまうことがあります。そして、その状態が何十年も続いて、今尚からだに影響を及ぼしている人もいます。
 そして、このような頭頂部の損傷は棘上筋のこわばりだけでなく顔に力が入ってしまう原因にもなるようです。
 現在は稀になっていると思いますが、子供達が言うことを聞かないからといって頭にゲンコツでゴツンなどとやりますと、それは将来にわたって顔・首・肩から力が抜けない原因になってしまうかもしれません。

 集中すると顔の中心部や眉間に力が入って目や頬が内側に引き寄せられる状態になる人がいます。最近の投稿で「前頭部で考えること」について記しましたが、自ずと前頭部で考えることが苦手な人が前頭葉で考えようとしますと、額の中央や眉間に力が入ることになります。頑張って考えようとしますので力が入ってしまうのだと思います。私の主観的な感じ方になりますが、そのような人は額が尖っているように感じます。そして、そういう人を施術するときには「何処を手当てすれば額が平たく開いたようになるだろうか?」と思い、意識を集中して施術箇所を探します。
 額が尖っていようが眉間に力が入っていようが、そんなことは「大したことではない」と受け取られてしまうかもしれません。しかし、眉間や顔の中心部に力が入ってしまうことや、首や肩についつい力が入ってしまうことは、からだに緊張状態をもたらすことですから、セラピストとして無視したり、ないがしろにするわけにはいきません。その人が楽に、リラックスして日々の暮らすためには、緊張状態を解消して自律神経の働きを整える必要があるからです。

 以上をまとめますと以下のように言えます。
 頭頂部や後頭部が損傷状態でゆるんでいる人は眉間や額の中央部に力が入りやすく、そして棘上筋もこわばった状態になってしまうようです。そして、それは全身の緊張に繋がりますので自律神経を乱す原因になる可能性があります。自律神経は内臓の働きや生理機能をコントロールしていますので、不定愁訴など「よくわからないけど不調」だとか「快眠・快便・快食」の状態が遠ざかってしまいますので、毎日を生きることが辛く感じられるようになってしまう可能性があります。
 ですから、頭頂部や後頭部の損傷は「痛みや腫れが引いたから良くなった」で終わらせずに、適切に対処していただきたいと思います。(適切な対処とは、例えば問題意識をしっかり持っている医師やセラピストに相談されることなどです)

棘上筋は重要なポイント筋肉の一つ

 私たちの肉体には400以上の骨格筋があります。舌や腹直筋など一部を除きますと左右に同数ありますので、200対以上の骨格筋が存在しているわけです。これだけたくさんあります筋肉の中で、整体の施術として注目すべき重要な筋肉というものがありますが、私にとって棘上筋はその一つです。
 顔面・頭部のそしゃく筋、舌に関係する筋肉、上部頚椎に関係する筋肉、そして棘上筋、肩から上部ではこれらの筋肉の状態がその人の健康状態を左右する要になると考えています。
 そして、これらのどの筋肉も単純でありながら、整えるのに手間のかかる筋肉です。
 冒頭に、棘上筋は「何かを背負っている」と表現しましたが、この筋肉がすっかり変調(こわばりなど)や硬結から解放された状態にするためには「あと何をすれば良いのだろう?」と思い続けています。
 おそらくストレスをはじめ、心理的な要因も絡んでいると思いますので、私の施術だけでは完璧な状態にはならないかもしれません。しかし、皆さんがこの重荷感からすっかり解放されて、天使の羽を持っているかのように軽やかになられるようお手伝いさせていただければと思っています。

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(過去に投稿した記事を修正加筆したものです)

 もうずいぶん前の話ですが、大事な契約書を取り交わす直前になって胃がキューっと縮むように痛くなった経験があります。「これが、神経性の胃の痛みということか?」とその時に思いました。”神経性胃炎”というのは確かに存在するのだと実感しました。
 私の場合は、その時以来、それほど胃が痛んだことはありませんが、毎日のように精神的ストレスを感じている人は、これに近い経験を毎日のようにしているということですから、胃潰瘍や、さらにそれが重症化して”胃に穴が開いてしまう”状態になってしまうのも理解することができます。

胃が傷つく‥‥器質的変化、病変

 胃そのものがおかしくなって「胃の調子が悪い」「胃が痛い」となりますと、それは胃が傷ついて病変したということですから、医師に罹ってしっかり治療しなければなりません。

 嘔吐や胸焼けなどで胃液が口の方に上がってきた経験をお持ちの方は知っていると思いますが、胃液の中には胃酸と呼ばれる強い酸性の消化液(酸っぱい)が含まれています。胃酸は強い酸性の液体ですが、胃の中に入った食物を殺菌して消化する働きをしています。ところで、その強い酸は胃自体を傷つける可能性がありますので、そうならないように胃液に含まれる粘液が胃壁を守る働きをしています。
 健康な胃は胃酸と粘液をバランス良く分泌しますので問題になりませんが、粘液の能力を超えて胃酸が出過ぎますと、やがて胃壁が傷つき、炎症が起こったりして胃の器質的変化が始まり病気の状態に進んでしまいます。

 胃を傷つける要因として以下の項目が考えられているようです。
①薬の副作用
 鎮痛薬のロキソニンは胃薬と一緒に飲むことを勧められますが、それはロキソニンに含まれている成分が胃を傷つける可能性があるとされているからです。
 消炎鎮痛薬は胃壁を傷つける可能性がありますので、長期間服用するときは胃粘膜保護剤を一緒に服用した方が良いとのことです。

②過度のストレス
 過度のストレスがかかりますと自律神経の働きが乱れて胃液の分泌が過剰になり、胃の粘膜を傷つけるとされています。精神的ストレスだけでなく、暴飲暴食など胃に負担をかけることも胃液の過剰分泌を招くので気を付けなければならないということです。

③アルコール、コーヒーなどの飲料
 リラックス効果が期待できる反面、胃を刺激して胃酸を増加させる可能性がありますので摂りすぎないよう注意が必要だということです。

④ピロリ菌
 ピロリ菌は胃潰瘍や慢性胃炎、胃がんの原因になる可能性があるとされています。

自律神経と内分泌(ホルモン)

 胃をはじめ、私たちの内臓諸器官は自律神経によってコントロールされています。ですから内臓の働きや状態を整えようと考えるなら、まず自律神経を整えることを考えなければなりません。しかしながら実際の医療現場では、この単純で基本的な理屈を何処かに忘れ去っているようです。
 “規則正しい生活習慣”、“お腹を冷やさないために、シャワーだけで済まさずに湯船に浸かる”、“ご飯はよく噛んで食べる”、“気持ちよく歩く”、これらは自律神経を整える上で大切な事柄ですが、そのように指導されるお医者さんは少なくなってしまったようです。

 自律神経の働きとともに忘れてはいけないものがあります。それは内分泌系の働き、つまり“ホルモン”です。ホルモンについてはまだまだ解っていないことが多いようですが、細胞に働きを促す命令書のような存在だということです。
 病院での治療でよく使われるステロイド剤は、本来副腎という臓器(の皮質)で作られるホルモンで、血液の中に分泌されて全身の細胞に届いて働きます。ステロイドホルモンを受け取った細胞は、ストレスや炎症を緩和する働きをするようになり、結果として私たちのからだがストレスに打ち克ち、炎症を除去することができるようになります。
 ところで副腎はいつステロイドホルモンを産生するのでしょうか? また、どういった合図の元に産生するのでしょうか?
 それは脳下垂体から副腎に対して「ステロイドを産生せよ」という命令が届くことによって行われるということです。この脳からの命令もホルモン(副腎皮質刺激ホルモン)の形をとって血液の中に分泌され副腎に届くようになっています。
 つまり、からだの何処かに炎症が起きたり、ストレスを被った時などに、脳がそれらを処理するために副腎に対して命令を送り、ステロイドが生産されて処理が行われる仕組みになっています。(投薬などでステロイドが外部から与えられますと、脳と副腎の一連の連携と働きが省略されてしまいます。その状態が長期化しますと脳と副腎の働きが弱まります。その影響で副作用が起こる可能性が高いと考えられています。)

 胃に食べた物がやってきますと、それを消化するために胃自体が蠕動運動を起こし、食物分解のために胃酸が分泌されます。胃の蠕動運動には自律神経が、胃酸の分泌にはホルモンが関わっています。
 ですから、「胃の健康」を考えるときには、“自律神経の働きとホルモンの分泌”という両面で考える必要があることになります。

胃のツボや反射区は有効か?

 薬を使わずに胃の状態を整えようとする時、いくつかの手段があります。鍼灸治療はその一つです。私はその理論については詳しく知りませんが、おそらく経絡(ケイラク)や経穴(ツボ)を利用して治療されるのだと思います。

 足三里というツボは有名でよく用いられますが、それは胃の経絡上にあります。そしてお腹の臍の上部には中脘(チュウカン)という胃のツボがあります。

 足三里というツボは有名でよく用いられますが、それは胃の経絡上にあります。そしてお腹の臍の上部には中?(チュウカン)という胃のツボがあります。

 「足つぼマッサージ」という名称で呼ばれている足の反射療法(リフレクソロジー)には、“胃の反射区”を刺激することによって胃の状態を改善することができるという理屈があります。そして反射区は手にもありますので、胃の不調を訴える方に対して、私は両手両足の反射区を揉みほぐしますが、実際、即効的な効果を期待できることもあります。(全ての胃の不調が改善されるということではありませんが、有効性は高いです。)


 
 反射区の効果については、私は二通りの考え方をしています。日々のボディケアとして反射区を利用するなら、いわゆる「足つぼマッサージ」店が普通に行なっているような、一つの反射区に対して数回の刺激を足裏や手のひら全体に行えばよいと思います。しかし、即効性を求めたいと考えるなら、それでは不十分です。「今、胃が痛いのでなんとかしたい」のであるなら、胃の反射区をしつこいくらいにほぐさなければなりません。持続的な指圧が適していると思います。力不足などの理由で、思うように指圧ができないのであればツボ押し棒などを用いて、3分とか5分とか痛みをこらえながら押し続ける必要があります。グイグイ押すと皮膚を痛めたり水膨れができたりしますので、グイグイ押すのではなく、ジーと押し続けることをお勧めします。
 するとある瞬間に、フッと緩む感じとともに痛みが和らいでいくのが感じられると思います。是非、そこまでやり続けてください。
 一回では改善しなくても、2日、3日とやっているうちに胃の状態が良くなることもあります。

 今回の記事も含めて三度にわたり胃の問題に対する私の考え方を説明させていただきました。
 背骨と胃のハリの関係、お腹側の問題と胃の不調、そして今回の胃の器質的変化、これら三つの角度でアプローチすることで胃の問題の多くは対応可能だと思っています。
 器質的変化が慢性化した状態、つまり胃の病状が進行した状態は医師の治療が最優先です。
 ところで「場を整える」という考え方は大切だと思います。胃が自ら治ろうとしたとき、胃が置かれている空間(腹腔)に余裕があって、血液がしっかり届いて酸素と栄養が十分に供給される環境が大切です。体温も重要ですから、お腹を冷やさないようにしなければなりません。

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(過去に投稿した記事を修正加筆したものです)

 「胃がもたれる」「胃がピリピリする」などの訴えがあった場合、胸郭の柔軟性が失われていたり、胸郭が胃の動きを制限していたり、腹筋のこわばりが胃を圧迫している可能性なども考えられます。
 胸郭は胸椎と12本の肋骨でできた籠のようなものですが、その中に肺と心臓と食道が収まり、胸郭の底には横隔膜があります。そして横隔膜に接するように肝臓(右側)と胃(左側)があり、そのすぐ下に大腸の横行結腸が通っています。

 呼吸で息を吸いますと肺が広がりますが、実は肺自体が自ら拡がっているのではありません。肋骨が拡がり、籠の底(横隔膜)が下がることによって胸郭の内腔が拡がる仕組みになっていますが、その原理を利用して肺が拡がり空気が入るようになっています。ですから肋骨が拡がらなければ、また、横隔膜が収縮しなければ、息を吸っても空気は入ってきてくれないということになります。
 そして、”胃もたれ”や”胃のつかえ”を感じるときは、胸郭が拡がりにくく横隔膜の運動が不十分である場合が多いようです。

 さて、胸郭は下部では腹筋と背筋などによって骨盤につながっています。ですから、腹筋や背筋などがこわばって伸びにくい状態ですと、息を吸うとき上に上がってきてくれなくなります。さらに腹筋の中の外腹斜筋は胸郭を内側下方に動かす働きをしますので、外腹斜筋がこわばった状態ですと、胸郭は(正面から見て)幅が狭くなります。胸郭のゆとりが失われ、胸の厚みは増し、しかし細く絞られたような感じになります。見るからに息苦しそうです。
 その他にも肋骨の動きを制限してしまう筋肉がありますが、それらによって胸郭が身動きできない状態になってしまうことがあります。そうなりますと、狭い胸郭の中で心臓は動かなければなりませんし、胸郭の下部に接している胃や肝臓も窮屈な状態になってしまいます。
 この状況で、腹直筋のみぞおちの部分に硬いこわばりができていしまいますと、それによって胃はさらに圧迫を受けますので不調が増大した状態になってしまいますが、実際、胃もたれなどの症状を訴える時はそのような状況になっていることがとても多いです。

腹直筋のこわばりによる胃もたれ、圧迫感

 みぞおちのところが硬くなって胃の不調を訴えることがあります。「胃が炎症して張ってしまったのか?」と考えることもできますが、胃は張ると背中側に膨らむようですので、私は腹筋がこわばって硬くなり、その硬結が胃を圧迫していると考えて施術を行っています。実際、みぞおちのところがこわばっているのは腹直筋のこわばりです。

 「どうして腹直筋のみぞおちのところがこわばるのか?」、よく聞かれる質問ですが、お腹の冷えが原因であることが多いです。お腹が冷えている人はみぞおち部分に限らず、腹筋の深部が硬くなっています。手指を深いところに差し入れていきますと”まるで板のよう”と感じることもあります。腹直筋の表層は脂肪もあって柔らかいのですが、2㎝、3㎝‥‥と手を入れていきますと、とても硬くなっている部分につきあたることがあります。このような場合は、ほとんど冷えが原因だと思いますので、お風呂でゆっくり温まるだけで胃もたれは少し良くなるかもしれません。

手や腕の問題からくる胃の不調‥‥前鋸筋と腹斜筋のこわばり

 胃の問題を整体的に考えますと、胸郭の在り方はとても重要なポイントです。胸郭が狭い、胸郭が動かない、胸郭が硬い、胸郭が閉じている、これらの状態は胃の不調と浅い呼吸状態の原因になります。胸郭は背骨(胸椎)と12本の肋骨でできていますが、まず「それはとてもフレキシブルで、しょっちゅう動いてますし、いろんな要素で状態が変わるものである」と申し上げます。ほとんどの人は「骨なので動かない」というイメージを持たれていますが、それはまったく違います。
 息を吸うとき胸郭は拡がりながら持ち上がるのが普通の状態ですが、それは胸郭の上の方で筋肉が収縮して胸郭自体を持ち上げるのと同時に、肋骨と肋骨の間にあります外肋間筋(がいろっかんきん)が収縮し、胸郭の下方にあります腹直筋や腹斜筋が緩んで胸郭が持ち上がることを許すことを同時に行っているからです。ですから、肋骨でできている胸郭は関連する筋肉によって動いていることをまずイメージしてただきたいと思います。

 さて、腹筋の中には外腹斜筋(がいふくしゃきん)と内腹斜筋(ないふくしゃきん)があります。両筋肉とも上半身を斜め方向に動かしますが、互いに反対方向に作用し合っています。例えば右側の外腹斜筋が収縮したり、こわばった状態になりますと、胸郭を右上外側から左下内側に向けて動かした状態になります。ですから両側の外腹斜筋がこわばりますと、胸郭は下に向かうほど内側に入りますので、胃や肝臓のある上腹部は狭い状態になってしまいます。この状態を正面から見ますと、上半身が細くなってゆとりがなくなっているように感じます。外腹斜筋のこわばりによって肋骨の動きは制限されていますので、呼吸は、腹部がペコペコ動いているくらいの状態になってしまいます。
 ところで、外腹斜筋がこわばってしまう原因はいくつかありますが、最も多い原因は手の使い方です。外腹斜筋は親指を曲げる筋肉(短母指屈筋)と連動する関係にありますので、親指に力を入れる癖(例えば筆圧の高い人など)を持っている人は外腹斜筋がこわばっている可能性が高いです。

 そして親指の状態と密接に関係している筋肉がもう一つありますが、それは前鋸筋(ぜんきょきん)です。前鋸筋は肩甲骨と胸郭を結び付けている大きく強力な筋肉です。パソコン業務などで肘を上げた状態で腕や肩を前に出している態勢が多いと前鋸筋がこわばります。実際のところ、デスクワークの仕事に従事している人たちの多くは前鋸筋がこわばっていますが、そうなりますと胸郭の動きはとても制限された状態になります。息を吸っても吐いても肋骨がほとんど動かなくなってしまいます。
 外腹斜筋がこわばり、前鋸筋がこわばった状態では、満足な腹式呼吸ができないので胸郭や横隔膜の動きは悪くなります。さらに胃や肝臓の居場所も窮屈になりますので、「狭い場所でじっとしていなければならない」状態になってしまいます。私たち自身、どこか狭い場所に閉じ込められて身動きのできない状態になってしまうと気分は落ち込み体調も悪くなってしまいますが、内臓も同様だと私は思います。窮屈な状態では胃や肝臓が不調になってしまうのは当然と思われます。胃は不調になれば不快さや痛みというサインをくれますが、肝臓は無言のままです。こんな状態のときは、胃も心配ですが肝臓も心配ですね。
 正面から見ると上半身が細く、しかし横から見ると胸に厚みがあって、呼吸をしても胸はほとんど動かず、胃の調子が悪いと感じているならこんな状態かもしれません。

座りすぎと胃の不調‥‥腸骨筋のこわばり

 先日、チェロを演奏されていらっしゃる女性が来店されました。「楽器を脚の間に挟んで椅子に座り続けるので、それがけっこうきつくて‥‥」と仰っていましたが、お話しを聞くだけで、股関節の筋肉がかなりこわばっていることが予想できました。

 腸骨筋(ちょうこつきん)という筋肉が骨盤の内側にあります。大腿骨を骨盤に繋いで股関節を安定させ、太ももを引き上げる働きをしますが、座る姿勢を保つためにも働きます。
 また長内転筋という筋肉があります。椅子に座りながら脚に力が入っている人はこの筋肉がこわばってしまいます。足を組むことなく、背筋を伸ばして姿勢良くしよと意識的に座っている人は、その姿勢を維持するために、知らず知らずのうちに内股に力が入ってしまうのですが、それによって長内転筋や恥骨筋がこわばってしまいます。
 ここで筋肉連動の話になりますが、腸骨筋は太ももの内転筋である薄筋(はくきん)と連動関係にありますので、腸骨筋のこわばっている人は薄筋もこわばっています。あるいは反対に薄筋のこわばっている人は腸骨筋もこわばっています。
 つまり、デスクワークやその他のことで長く座り続けている人は、腸骨筋、恥骨筋、薄筋、長内転筋がこわばっている可能性が高いと言えます。そしてこれらの筋肉は隙間の狭い鼡径部に影響をもたらします。筋肉はこわばると硬く太くなりますので、これらの筋肉がこわばりますと、狭い鼡径部の隙間が益々狭くなり、その中を通っている動脈、静脈、神経が圧迫を受けることになります。この状態は下半身にむくみをもたらす原因の第一ですが、血流が悪くなることで腹筋の働きが悪くなり、また内臓の働きに影響がでるということも考えられます。
 「呼吸が浅いし、胃がピリピリする」という方の薄筋と長内転筋がこわばっていましたので、「ちょっと痛いですが」と申し上げて、直にそれら内転筋を引き延ばしてストレッチしたところ、その場で呼吸と胃の問題が改善したことがあります。

 ですから、長時間デスクワークで座り続けているような人は、内転筋をゆるめるストレッチを毎日行ってみてください。きっと早々に効果が感じられると思います。

 チェロの奏者の女性は、実際のところ無理な姿勢で我慢しながら座り続けているわけで、内転筋(薄筋)というより腸骨筋自体がとてもこわばっていました。そこで、腸骨筋をゆるめるストレッチを左右10秒間ずつやっていただきました。すると、途中までしか回らなかった首が、十分に最後まで回るようになりました。股関節の動きが良くなったことで、連動して首の動きも良くなったのかもしれません。あるいは、腸骨筋が緩んだことで腹筋のこわばりがゆるみ、下がっていた胸郭が本来の位置に戻ったので首の筋肉に余裕が生まれ、動きがスムーズになったのかもしれません。

 前回は”背中側から見た胃の不調”について取り上げました。そういう観点で、今回は”お腹側から見た胃の不調”について説明させていただきました。
 繰り返しになりますが、胃の調子の悪い人を、お腹側から観察しますと以下のような特徴を見ることができます。
①胸が下がっている‥‥腹直筋と腸骨筋のこわばり
②上腹部が窮屈そうで胸郭の動きが悪い‥‥腹斜筋のこわばり
③呼吸が浅く、息を大きく吸うことができない‥‥胸郭が動かない
 ですから、これら3点を改善することが整体的なアプローチになります。そして、これらは生活習慣(湯船に浸からずお腹が冷えている、お腹を冷やすものを好んで食べている等々)、普段の姿勢やからだの使い癖によってもたらされる状態ですので、それらを改めないと根本的な解決にはなりません。

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(過去に投稿した記事を修正加筆したものです)

 胃の不調を訴える人達の状態を観察しますと、大きく3つくらいのパターンに分けられるようです。

  1. 胃そのものが不調だったり病変している場合
  2. 胸郭の動きが悪くなっていたり、腹筋のこわばりが胃を圧迫している場合
  3. 背骨が捻れている影響で呼吸や胃の状態が悪くなっている場合

 ですから、同じように感じる胃の不調であったとしても、少なくとも3つの側面から状態を確認して対応しなければならないと私は考えています。
 今回は、3番目の背骨が捻れているために胃の調子が悪くなっているケースについて取り上げます。

 その人は女性ですが、「子供の頃から胃腸が弱かった」ということです。二人のお子さんを持つ母親である現在も、しばしば胃の不調に悩まされています。自覚症状としては、食事が食べられなくなるほか、背中の上部に硬結と圧迫感を感じる、胃の存在感を感じるなどですが、その他、呼吸が浅くなって息苦しい症状もあります。

 からだを観察しますと以下の状態が見られました。

  • 胸郭が狭く(正面から見ると“細い”)なっているため胸郭内の臓器(肺、心臓、肝臓、胃、食道)が圧迫された状態になっている。
  • 本来は呼吸に合わせて動いている胸郭の動きがほとんど無く、横隔膜の動きも悪いので、酸欠状態に近くなっていると思われる。
  • 第4~第6胸椎が大きく右(頭部から見ると反時計回り)に捻れていて、その右側が盛り上がるように硬く張っている。他に同じような捻れを持つ脊椎は頚椎2番、6番、7番、腰椎4番。

 胃の不調や器質的変化の兆候の一つとして“背中の張り感”があります。胃は張ると背中側に膨らむということですが、そうなりますと“胃がもたれる”状態を超えて“背中が張って息苦しい”状態になるようです。背中を床につけるのが嫌なので仰向きで寝ることが出来ず、横向きやうつ伏せ寝でないと眠れなくなってしまうかもしれません。

 さて、こんな状態の人ですが、捻れている胸椎を私の手を使って正しい状態に戻しますと、途端に息が入って呼吸が楽になるのが感じられました。そのままその状態を少し保っていますと、「胃や腸が楽になる」と仰いました。そして、私が操作していた手を胸椎から離してしまいますと、すぐに不調の状態に戻ってしまいました。
 つまり、今回の胃の不調と背中のハリは胸椎が捻れていることが主な原因だったわけです。ですから、胸椎の状態を改善できれば胃の不調は改善されるということになりますので、そのような施術を行っていきました。

 胸椎の上部では第6、第7頚椎が同じような捻れをしていました。そしてその上部を探っていきますと第2頚椎が同じように捻れていまして、その第2頚椎を私の手で正しい位置に戻しますと、第6、第7頚椎と胸椎の捻れも直り、呼吸と胃の状態が楽になるのが確認できました。ですから、第2頚椎の捻れを修正することが、今回の問題を解決するための施術になります。
 途中の経過は省略しますが、左肩関節と左手に問題があって第2頚椎が捻れた状態になっていましたが、その原因をさらに探っていきますと左の膝関節で下腿(膝下)が外側にずれていまして、その原因は左足にありました。この人は腰が大変悪く、その影響で歩き方に問題があります。現在、歩き方を直すことに取り組んでいますが、その過程で左足のバランスが悪くなっていること、さらに目の使い方や頭の使い方の癖(考え方の癖など)もあって頚椎が捻れやすいという傾向を常に持っています。
 「子供の頃から胃の調子が悪い」ということでしたが、もしかしたら腰を悪くする以前から歩き方がおかしかった状態で、そこに頭や目の使い方の問題が重なったことで“胃の不調”がやってきていたのかもしれません。

 別の例では、「この何日間か胃の調子が悪く、背中が張って頭もモヤモヤ重たい」という人が来店されました。上記の例の人ほど状態は悪くありませんが、やはり第6胸椎が頭から見て反時計回りに少し捻れていました。この人の場合は第2頚椎が上記の例とは反対に、時計回りに捻れ、かつ少し左にずれていました。その原因としては二つありまして、一つは眉間から眉にかけてこわばっていたこと、そしてもう一つは右顎に強い噛みしめ(そしゃく筋のこわばり)があったことです。

 上目使いをする人、猫背などで首が前にでている人は物を見るときに眉間から眉にかけてのラインに力を入れてしまう傾向がありますので、その部分がこわばっていることが多いです。すると後頭骨と第1頚椎、第2頚椎を繋いでいる後頭下筋群がこわばりますので、第2頚椎の棘突起を引き寄せるためストレートネックになったりします。また噛みしめたり、食いしばったりしてそしゃく筋がこわばりますと第1頚椎を引き寄せます。第1頚椎が右にずれますと反動で第2頚椎が左にずれ頭部から見て時計回りに捻れたのではないかと思われます。ですから、右顎そしゃく筋のこわばりを取って、眉間周辺のこわばりを取る施術を行いました。
 「どうして眉間に、特に右側の眉ラインやおでこに力が入ったのですかね?」と尋ねますと、「スマホを買い換えたばかりで、けっこう凝視していたからかなぁ‥‥」と思い当たることがあったようです。

 「肩こりをほぐして欲しい」と来店される人の場合、ベッドにうつぶせ寝の状態から施術に入るのがほとんどです。最初に背中の様子を見ますが、私は背中を大きく4つの区分に分けて観察します。背中の上部、肩甲骨の部分までが第1区分、その下~胸郭の上2/3くらいまでを第2区分、胸郭の下1/3~腰部の上部までを第3区分、そしてその下から骨盤までを第4区分といった感じです。

 第1区分の張りの多くは肩甲骨の位置がズレていることや肩甲骨に関わる筋肉がこわばっていることが原因です。そして第2区分の張りは胃の状態などに関係していると考えています。第3区分は腎臓の腫れが張りをもたらしている可能性が高いと思いますし、第4区分の張りは腰痛に関連する筋肉のこわばりである可能性が高いと言えます。

 このように観察しながら施術を行いますが、第2の区分に張りや硬さなどがある場合は、胃の調子などを尋ねるようにしています。
 肩が凝る要因はいくつもありますが、胃の具合が悪いときに肩が張ってしまうことはよくあることです。ですから、肩こりを解消してスッキリしていただくためにも、胃の調子に関連した背中の張りは気になるところです。
 そして、背中の第2区分に張りがある場合は、大抵胸椎が歪んでいます。胃が張っているから胸椎が歪んでいるのか、それとも胸椎が歪んでいるから胃が張っているのか、それをしっかり識別して施術を行わなければなりません。そこで間違ってしまいますと“無駄な施術”、“意味の無い施術”になってしまいます。

 余談になりますが、仰向けで眠ることが出来ない人がけっこういます。

  1. 座り仕事が多くて腰や股関節の筋肉がこわばって伸びない、
  2. 舌がゆるんでいたり、喉が捻れていて仰向けだと気道が狭くなってしまい、イビキ、無呼吸になってしまう、
  3. 内圧の高くなった(腫れた)腎臓が肋骨で圧迫されたり、胃の張りで背中を床に着けたくない、などの原因が考えられます。

脊椎の調整と背中のツボ

 東洋医学では、背骨に沿って内臓を調整するためのツボ(?穴)があると考えられています。また、内臓の働きを調整している自律神経も背骨に沿って通っていますので、「背骨に沿って、?穴を指圧すると内臓の働きが調整される可能性がある」と整体の学校では教えます。実際、お客さんの反応は「気持ちいい」「心地良い」というのが大半ですので施術に取り入れることも多いのですが、「本当に、内臓の調整効果があるのだろうか?」と思いますので、そのうち実証実験をしてみたいと考えています。
 ところが、歪んでいる脊椎を調整しますとからだの状態が変わることは実体験としてわかっています。頚椎の歪みを直しますと、モヤモヤしていた頭がスッキリしたり、噛みしめて痛みや重苦しさを感じていた顎周辺が楽になったり、動きの悪かった首が良く回るようになったりします。腰痛の時は大概腰椎が歪んでいますので、腰痛を改善するための道標として腰椎の状態を確認しながら施術したりします。そして胸椎の歪みを直すことで、呼吸が改善し胃腸の調子が良くなることがあります。

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電 話  0465-39-3827
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(過去に投稿した記事を修正加筆したものです)

 首に痛みをもたらし動きを悪くする要因として、①頚椎自体の捻れと②肩甲骨のずれについて説明してきましたが、もう一つ考えられる要因として胸郭の歪みがあります。

 胸郭上部と頚椎を繋ぐ筋肉に斜角筋(しゃかくきん)と胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)があります。
 胸鎖乳突筋は頭蓋骨の側面後部(耳のすぐ後=側頭骨)と胸郭の中心である胸骨、鎖骨につながっていますので、首の運動に関わるほか、喉の動きに関わります。「喉がスッキリしない」といったときには胸鎖乳突筋が喉の動きを制限しているかもしれません。
 そして大事なことは、胸鎖乳突筋も斜角筋もそしゃく筋と密接な関係にありますので、片噛み・噛みしめ・歯ぎしり・食いしばりなどの癖によってこれらの筋肉がこわばってしまうことです。

斜角筋と肋骨(胸郭)

 胸郭は12本の肋骨と背部の胸椎(背骨)、前面中央の胸骨でできていますが、一番上(第1肋骨)とその下(第2肋骨)の肋骨から前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋の三つの斜角筋が出ていて頚椎に繋がっています。
 大雑把に申し上げれば、首側面の深い部分や鎖骨と首の間の凹んだ部分を押したときに痛みを感じるのであれば、それは斜角筋がこわばっているということです。
 斜角筋には“呼吸運動を助ける”という大切な役割があります。息を吸ったときに胸郭は上がるのですが、斜角筋が収縮してこの動作を補助します。つまり斜角筋は息を吸ったときに収縮して、息を吐いたときに弛緩伸張する性質を持った筋肉です。ですから、仮に斜角筋がこわばった状態にありますと、胸郭は上がったままの状態で下がることができなくなってしまいます。それは息を上手く吐き出すことができなくなってしまうということです。吸うことはできても吐き出すことができないということは過呼吸状態です。過呼吸については心理的な問題など原因としていくつか考えられているのかもしれませんが、もしかしたら単に斜角筋がこわばっているだけなのかもしれません。噛みしめや歯ぎしりの癖を持っていて過呼吸状態にあるのであれば、ほとんど間違いなく斜角筋の問題が絡んでいるものと思われます。
 そして斜角筋のもう一つの役割は、首を支え、首の運動を助けることです。
 以前に「首が落ち着かなくて辛く、手で首を支えていないと立っていることも座っていることもできない」という人が来店されました。原因は斜角筋がゆるんでいて働きが悪く、頚椎を支えることができなくなっていたからです。この人は斜角筋自体に問題があったわけではなく、腹筋の働きが大変悪くて胸郭が上がったままの状態になっていたために、胸郭と頚椎との距離が短くなり斜角筋の働きが悪い状態になってしまっていたのです。(参照:筋肉のはたらきと骨格の関係)

 また首を動かす筋肉はいくつかありますが、斜角筋は首の運動を補助する働きを持っています。補助する筋肉ですから、斜角筋がゆるんで働きが悪くなったとしても首の運動ができなくなるということはほとんどありません。しかし反対に斜角筋がこわばってしまいますと、伸びづらくなりますので首の運動に制限がかかるようになったり、首を動かすと痛みを発するようになってしまいます。
 これらをまとめますと、次のようになります。

  • 斜角筋がゆるんでしまうと首を支えるのが辛くなり、肩や他の首の筋肉に負担がかかるようになってしまう。
  • 斜角筋がこわばってしまうと首の動きに制限がかかり、首の運動で痛みを発するようになってしまう。
  • 斜角筋がこわばってもゆるんでも呼吸が悪くなる。

胸鎖乳突筋と胸郭

 頭蓋骨で、耳のすぐ後の下部に乳様突起と呼ばれる骨の出っ張りがあります。胸骨の上部と鎖骨を起点にして乳様突起に繋がっている太い筋肉を胸鎖乳突筋と呼びます。からだの前面から見ますと、耳の後部から首前面を斜め下に走って胸郭の上端中央につながっていますが、首の運動に関わる筋肉で、横を向いたときに首の前面に大きく張り出すのが特徴です。(左を向くとき右側の胸鎖乳突筋が収縮して張り出す)横を向いたり、首を後に傾ける動作で主に働く強い力を持った筋肉です。

 この筋肉のこわばりによる直接的な症状としては、耳の下から下顎角(エラ付近)の奥にかけての痛み、気管が詰まったような感じや飲み込み(嚥下)に引っかかりを感じる症状などがあります。胸鎖乳突筋が走行しているラインの深部には気管や甲状軟骨(喉仏)がありますが、筋肉がこわばることによって胸骨も鎖骨も気管の方(上後方)に引きつけられますので軽く首を絞められたような状態になります。また筋肉はこわばりますと太く硬くなりますので、気管や食道を圧迫してしまうことになります。常にノドがスッキリしないと感じている人は、もしかしたら恒常的に胸鎖乳突筋がこわばっているのかもしれません。

 首の動作に対する直接的な影響としましては、例えば右側の胸鎖乳突筋がこわばってしまいますと、右側が向きづらくなります。普通にしていても少し左を向いているような状態にあるときは、右側の胸鎖乳突筋がこわばっている可能性が考えられます。(斜頸の場合は別)
 また間接的な影響としまして側頭骨を歪ませ耳の調子を悪くする可能性があります。胸鎖乳突筋が繋がっています乳様突起は側頭骨にありますが、耳の機能に関係する外耳、中耳、内耳も側頭骨にあるからです。また、側頭骨が歪むということは頭蓋骨全体が歪むということですから、顔の歪みにつながり感覚器官の機能に不調が現れる可能性もあります。

 胸鎖乳突筋は鎖骨と胸骨に付着していますので、鎖骨と胸郭の影響を受けます。
 こんな例があります。右手をたくさん使う仕事をしている人は、右手~右腕の筋肉がこわばる可能性が高いのですが、そうなりますと鎖骨が右側にずれます。すると左側の鎖骨はノドの前あたりまでせり出してきますが、これによって左側の胸鎖乳突筋はこわばって硬くなり、左側の筋肉や気管を直接圧迫するようになります。首前面から左肩にかけてとノドの左側がいつも圧迫されているように感じ、ツバを飲み込んでも左側に引っかかりを感じるので常に不快感を感じる状態になってしまう可能性があります。

そしゃく筋と斜角筋と胸鎖乳突筋

 細かい連動関係については私もまだ把握しきっているわけではありませんが、そしゃく筋と斜角筋と胸鎖乳突筋はとても深い関係にあることはわかっています。片噛み、噛みしめ、歯ぎしり、食いしばりといった癖によってそしゃく筋がこわばりますと、連動して斜角筋や胸鎖乳突筋もこわばります。
 ですからこれらの癖を持っている人は、大なり小なり顔が歪み、首が捻れ、鎖骨や胸郭が捻れるといった状況になっています。そして首の動きが悪くなったり、肩関節の動きが悪くなったりと影響が及ぶ可能性があります。

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