ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

2018年12月

 以前にも取り上げたことですが、これまでたくさんの人達を観察してきてわかったことの一つに、人それぞれに頭の中に“考える場所がある”ことです。頭の中で考えることは思考を展開しているということですが、頭の前方(額、前頭葉)でイメージを築きながら思考を展開している人もいますし、頭の右側や左側、頭頂付近や後頭部で思考を展開している人もいます。
 私は、前頭葉でイメージを構築しながら思考を展開するのが理想的なのではないかと思っていますが、このあたりのことにつきましては脳科学の専門家に聞いてみたいところです。
(思考を展開することとは別に、記憶を呼び起こす作業では意識を脳内のいろいろなところに向けながら探し出すようなことをします。)

 今回は整体的観点から、からだの状態と思考を展開する場所との関係についての話しをさせていただきます。

 今年の1月からセラピストになるための勉強会を行っています。月2回のペースで行っていますが、参加メンバーは現在3人で、全員この業界とは無縁の素人です。
 このブログでは、私が日々実際に経験していますことをお話しさせていただいていますが、それはやはり理屈だけですので、私が伝えたいと思っていることのほんの少ししか伝わらないのかもしれません。勉強会では、実際にからだを触りながら、あるいは触られながら体験しますので、理屈だけではなく「体験を通して学ぶ」「体得する」ということが可能になります。それは素晴らしいことなのですが、反面、難関にも直面します。
 難関は幾つかありますが、現在、参加メンバーにとって一番の難関は、筋肉の変調を検査することと骨の歪みや動きを検査することです。
 このブログによく登場します、筋肉の「こわばり」とか「ゆるみ過ぎ」という状態は筋肉の変調状態のことですが、筋肉を触る、あるやり方によって変調状態を確認する検査方法があります。骨格の歪みにつきましても、実際に骨を軽い力で操作して状態を把握するのですが、やり方に一種の「コツ」があります。
 変調の検査も骨格の検査も手先の感覚の鋭敏さが要求されますが、それは練習することによってどんどん鍛えられていきます。ところが、メンバーにとって一番の難関は自分の頭に浮かんでしまう「疑いの思い」を克服することです。
 検査のために操作している自分の手は正確に変調や骨格の歪みを捉えているのですが、「これで間違いないだろうか?」という疑念が湧いてきてしまい、何度も同じ場所の検査を繰り返してしまったりします。すると「本当にこれで間違いないだろうか?」と念を押したくなる気持ちが強くなるのですが、それに伴い検査している手にどんどん力が入ってしまいます。そうなりますと当初は正確に捉えていた手が狂った動きをするようになってしまいます。自分が自分の手で感じ取ったものを疑ってしまい、その疑いを払拭するために何度も何度も同じことを繰り返すのですが、そんなことをしているうちにどんどん混乱してしまい、ドツボにはまった状態になってしまうのです。
 こんな時は、「何も考えなくていいですから、ただ自分の手の動きだけを見てください」とアドバイスしますが、すると皆さん、すんなりと正確に検査を行うことができるようになります。“疑い”という余計な思いが消えますと検査はとても単純なものになるのですが、それが実際にはなかなか難しいのです。

 メンバーの一人が、何度アドバイスしてもすぐに混乱した状態に陥ってしまいますので、その人の頭の使い方を観察してみました。そうしますと、その人は頭頂より少し後のところで思考を巡らせているように感じました。「ああ、ここが疑いの回路なのか」と私は思いました。そして「頭の後の方で考えるのではなく、額のところにイメージを作ることだけに集中して検査してみてください」と言いました。

 筋肉が骨盤の方に向かっている状態は「こわばり」であり、末梢の方に向かっている状態は「ゆるみ過ぎ」の変調状態なのですが、検査では筋肉を触ってその方向を確かめます。検査するときに自分の手の動きだけを前頭葉(額)にイメージするようにとアドバイスしました。決して後頭部で「本当はどっちだろうか? などと考えないこと」と言いました。そうしましたら、いとも簡単に筋肉の変調を検査することができるようになりました。

 話は少し飛躍しますが、この人は“かかと重心の人”です。そして後頭部で思考を展開する癖があります。私もかつてはこの人と同じような場所で考える癖を持っていましたので、何となく解るのですが、そこで考える人は「聞いている人」かもしれません。後頭部にモデルを提示して、「どっち? どっち?」と、それに対する答えを待っているのかもしれません。
 「人それぞれに(脳の中で)考える特定の場所がある」と私は思っています。前頭部から頭頂部の右側の場所を使って考えている人が多いのですが、そこは心配や不安を生み出す回路のような気がします。何か頭の中に楽しいアイディアが浮かんだとしても、そのイメージを脳の右側に持っていって考えてしまいますと「やっぱり難しいかもしれない」などというマイナス思考が働いてしまい、結局、楽しいアイデアを自分で没にしてしまうのかもしれません。あるいは、何についても“心配”がついてまわったり、実行することよりも不安の方が先立ってしまうのかもしれません。頭の右側を使って考える癖を持っている人を観察しますと、このような傾向があるように感じられます。

イメージトレーニングと前頭部(前頭葉)
 私は若い頃、一生懸命スポーツをやっていました。その頃は「イメージトレーニング」なるものが流行りはじめた頃です。脳の前頭葉に自分が成功するイメージを構築することによって、実際にからだがそのように動き、成功する確率が高まるというものでしたが、当時の私はあまり興味を持っていませんでした。
 ところが時が経っていろいろ振り返りますと、偶然のように成功したのではなく、失敗する恐れがまったくなくて、確実に成功することを確信していたときには、確かに「前頭葉にイメージが在り在りとしていた」ことが、ついさっきの出来事のように思い出されます。そして、この仕事で毎日いろいろな人を観察して施術していますと、前頭葉でイメージを展開することがとても素晴らしいことだと思うようになりました。
 本当に集中力が研ぎ澄まされたときには、前頭葉に抱いたイメージ以外は意識から消えてしまい、時間が止まったように感じて、ただあるがままにそれだけを行うことができるようになるのではないでしょうか。“不安”や心配や恐れとは無縁な状態になると思います。

 ところが整体師として申し上げれば、からだが整っていませんと前頭葉以外で考える癖を克服することはなかなか難しいことです。かかと重心の人は思考の場所も後側になりますし、足の骨格が歪んでいる人や骨盤が歪んでいる人は頭の右側や左側で考える癖になってしまいます。意識を集中しているときは前頭葉の中央部で考えることができますが、気を抜くとすぐに元々の癖に戻ってしまいます。
 そして実際、かかと重心の人は多いですし、小趾側に重心が乗ってしまい足や骨盤が歪んでいる人も多いです。
 この状態を克服して快適に考えることを身につけるためには、まず、自分がどうであるかを知らなければなりません。そして次に、その原因を知る必要があります。そして、具体的にどうすれば原因を克服することができるかを知り、日々実践しなければなりません。

 私の母は現在80歳ですが、数年前まで、何かを尋ねますと頭を少し右下に向けて視線を右下やや後方に落とさないと記憶を呼び出したり、考え事ができないと言いますか、思考を働かせるスイッチが入らないような癖を持っていました。その後、左膝の変形が悪化し、歩くのに苦労するようになった頃から認知症の気配がするようになりました。そして一時的に体調を悪化させ3週間ほど入院したのですが、それを期に認知症がどんどん進行してしまいました。昨年秋に膝の人工関節置換手術を受けるために一月間ほど入院しましたが、認知症の問題で、ベッドに拘束されてしまうほどに認知症が進行していました。
 体調のいろいろな変化、リウマチのための投薬、膝の痛みを軽減するための鎮痛薬、加齢と老化、そんな諸々が重なり認知症が進行したのかもしませんが、あの、右下に視線を落とさないと思考回路のスイッチが入らない状態はすでに脳に異変が起こり始めた兆候だったのかもしれません。
 現在、膝の手術から1年以上が経過しましたが、毎朝私が15分くらいリハビリを兼ねて膝周辺のマッサージを行っています。膝の方はすっかり良くなって今は杖無しで普通に毎日たくさん歩いていますが、認知症の方もだいぶ軽くなってきました。毎朝(仰向けで寝た状態で)マッサージをしながらいろいろ考え事を投げかけるのですが、今は右を見ながら考えるのではなく、視線をまっすぐ天井に向けた状態、つまり前頭葉にイメージを浮かべながら考えるようになりました。膝の調子が良くなった影響かもしれませんし、毎日たくさん歩くようになった影響かもしれませんが、明らかにからだが改善したことで考え方(思考を展開する場所=思考回路)が変わり、脳の働きが良くなってきたのだと思います。

 さて、かかと重心で後頭部で考え、疑いの回路を使ってしまう勉強会のメンバーに対しては、かかと重心を改善するための施術を行いました。前回取り上げました小趾側のアーチをしっかりさせることもその中に含まれますが、重心の位置が足の中央部(距骨)になりますと、思考を展開する場所も自ずと前方に移ってきます。この状態では、普通に考えると前頭葉を使うようになりますが、すると変調の検査が簡単にできるようになりました。疑心暗鬼の思いを生み出す回路を使うことなく答えを導き出せるようになったからではないかと私は思っています。
 ですから、この人にとっては、この状態を長く維持することが大切になってきますが、そのためには何に注意し、日々どんなことを実践すれば良いのかということが日常生活での課題となってきます。

集中力が持続しない‥‥考える場所が定まらない
 時々「この人はどこで考えているのかわからない」と感じる人がいます。
 考える時、脳細胞は非常に活発に働くわけですが、そのためには多くの血液(酸素)が必要になります。ですからその人が脳内の特定の場所を使って思考を展開している時にはその場所の血流量が増大することになります。その人が頭を使って考えている状況を注意深く観察していますと、その人が脳のどの辺りの場所を主に使って考えているかを把握することができます。
 ところが、時々そのような特徴を持たない人がいます。今右耳の辺りで考えていたのに次の瞬間には左耳の方に移ってしまったり、そして次には頭頂の右側に変わってしまったりするのです。あるいは普段は多くの人達と同じように特定の場所を使って思考を展開しているのですが、何かあって動揺したり、自分の知らないことや不得意なことに遭遇しますと思考を展開する場所が定まらなくなってしまったりすることもあります。「思考が停止してしまったようだ」「頭が回転しない」とはそういうことなのかもしれません。そして、このように考える場所が定まらない場合は集中力の欠如した状態になるわけですが、考え続けることができない、熟考することができない、注意散漫の状態になってしまう、などという感じで認識されるのかもしれません。

からだの力を発揮するために
 私が整体の勉強をし始めた頃、ある本に「仙骨の傾きとからだの推進力には密接な関係がある」という内容がありました。実際、短距離走などのスタートでは、ダッシュ力を得るためにからだを前傾させますが「仙骨が前傾しているとからだを前に押しだす力(=推進力)が増す」という原理と関係があるのかもしれません。
 一般論として、仙骨が前傾している(=骨盤が前傾している)傾向が強い代表は黒人系の人達だと思います。そしてこれも一般的な印象としての話ですが、黒人系の人達は陽気で明るくいつも前向きな感じがします。そして足も速いです。
 私たち日本人は骨盤が後傾気味です。つまり仙骨の前傾が乏しいわけですが、いろんな面で推進力に乏しい傾向があると言うことができるかもしれません。反面、慎重で、平穏で、伝統を重んじ、古き良きものを護るという保守的な良い面があるとも言えます。

 さて、精神面や肉体面に限らず、疲れ切っていたり、落ち込んでいたりする人を観察しますと、まず下腹部(臍下丹田周辺)に力感が乏しく、全身が一体化していないように感じます。(「全身の一体化」というのは曖昧な表現ですが、自分の統一された意識がからだの隅々まで行き渡っていて、一つのエネルギーで全身が覆われているような感じの状態です)
 そしてこのような人を前にして、施術に入るときには「何処をどうすれば元気がでて、全身の一体感が甦るだろう?」と考えてしまいます。このような状態の人は前頭葉を使って集中して考え続けることが苦手ですし、骨盤もゆるんでいて仙骨は下がった状態になっています。だからといって頭蓋骨や骨盤を整えても問題は解決しません。
 ここが整体師としての経験と技術の発揮どころになりますが、いくつかのポイントをとても繊細に観察しながら施術ポイントを決めていくことになります。
 呼吸状態を改善する必要があるかもしれませんし、足のバランスを改善する必要があるかもしれません。あるいは手指先の問題や頭皮の硬さが原因になっていて、それらを整える必要があるかもしれません。
 主観的な言い方になりますが、ベッドに仰向けで寝ていただいたときに、状態の悪いときは全身がベッドにへばりついた状態、つまり重力のなすがままの状態になっているように感じます。思考する場所も頭頂から後頭部にかけての場合が多いですし、腹部をはじめ全身に力感が乏しいように感じます。
 そして、施術を進めている間に少しずつ元気が回復してきますと、思考する場所が前頭部に移り視線が真っ直ぐ上(天井方向)に向くようになります。そして呼吸が深くなって胸やお腹が呼吸に合わせてゆったり動くようになりますが、やがて下腹部や骨盤がしっかりしてくるようになります。
 ここまで辿り着けますと、その人に内在している本来の力であったり、心地良さ、快適さなどが表に現れて、その人自身が自信を回復して自ずからポジティブな状態になると思います。
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 うつ病やうつ症状で苦しんでいる人、自信が持てずに精神的にきつい人、根暗だと感じている人、不安や恐れや疑いなどの精神状態につきまとわれている人、心療内科に通っても進歩が見られない人、このような人達は、是非、前頭葉にイメージを描いて考えるようにしてみてくほしいと思います。
 もしかしたら、前頭葉を使い続けることができない場合もあるかもしれません。その時は、からだを整える必要があるかもしれませんし、方法をアドバイスさせていただきますので、一度ご来店ください。

足つぼ・整体 ゆめとわ
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 パソコン業務でコピー&ペーストを頻繁に行うなどショートカットキーを多用している人は、左手の小指の第一関節周りが非常にこわばっている可能性があります。そして、その影響でからだに不調な状態になっているかもしれません。
 ショートカットキーの使い過ぎが原因で、背中の左側が張って痛くなり、左側の坐骨神経痛になってしまった人が来店されました。

 来店時のこの人の状況を説明いたします。
 ベッドで伏臥位(うつ伏せ)になっていただいたときに、左側の肩甲骨が背骨の方に大きく寄っていて肩甲骨内側の筋肉が盛り上がった状態になっていました。そして坐骨神経痛を発症した左側殿部では、大腿骨が股関節から少し離れた状態になっていました。

左肩甲骨と大転子

 坐骨神経痛になってしまう原因はいくつかありますが、殿部の仙骨~大腿骨に繋がっています梨状筋(りじょうきん)の強い張りが原因となっている場合が多いです。坐骨神経は骨盤の内部から骨盤外に出てくるときに梨状筋と他の外旋筋群の間隙を通過しているのですが、梨状筋がこわばって硬くなりますと、その部分で坐骨神経を圧迫するようになり神経痛のいろいろな症状が現れます。(梨状筋症候群と呼ばれます)
 この状態は一般的な受け止めでは、「お尻がすごく硬くなって神経痛の痛みやしびれを感じる」といった感じだと思います。ですからこのような場合、施術では梨状筋のこわばりが解消されて、お尻に柔軟性が戻るようになることを目指すことになります。

梨状筋と坐骨神経2

 さて、この人の場合、今回梨状筋がこわばってしまったのは、股関節で大腿骨が本来の位置よりも外側にずれてしまったことが原因です。梨状筋の出発点(起始)である仙骨と終着点(停止)である大腿骨大転子との間が広がったために梨状筋は引き伸ばされた状態になりますが、その力に対抗しようとして梨状筋は収縮状態になります。これを梨状筋の緊張状態と表現してもよいと思いますが、このような原理で梨状筋が硬く太くなって坐骨神経を圧迫するようになります。
 ですから、大腿骨(大転子)の位置を本来の位置に戻す作業が必要になります。

 私は勉強会などで筋肉と骨格の関係を説明するときに、しばしば電柱とそこに張られている電線の関係を例に取り上げています。筋肉の最大の特徴は自ら伸び縮みすることですから、その時の能力の範囲内で伸びたり縮んだりしている分には問題は生じません。それはストレッチ運動を体験すればわかることだと思います。筋肉がジワーッとスムーズに伸びていく感覚は心地よいものです。ところが限界近くまで伸場されますと「それ以上伸ばさないで!」というサインが痛みとして現れます。ですからストレッチは心地よい範囲内で行うのが原則となります。
 もし、痛みを感じてもさらに伸ばそうとしますと、筋肉は自己防衛のために収縮する力を発動します。引き延ばされる力に対抗するためです。そしてこの状態は緊張状態であり、筋肉がこわばった状態ですから、筋肉はピーンと筋張って柔軟性を失い硬く太くなります。
 この原理を筋肉と骨格の関係にあてはめますと、筋肉が直接つないでいる骨と骨の間が本来の状態よりも離れますと、それは筋肉が引っ張られている状況と同じですから、筋肉はこわばり、硬く太くなります。そして反対に骨と骨の間が狭まりますと、筋肉はたるんだ状態になりますので、本来の能力(=収縮力)を発揮することができなくなります。筋肉の働きが不十分な状態です。

電柱と電線の関係

 さてこの人の場合、梨状筋の起始である仙骨と停止である大腿骨大転子の間が広がってしまったために梨状筋がこわばってしまったのですが、「なぜ間が広がったのか?」をまず考えなければなりません。
 股関節で骨盤と大腿骨を繋いでいる筋肉は幾つかありますが、一般に腸腰筋(ちょうようきん)と呼ばれている腸骨筋(ちょうこつきん)と大腰筋(だいようきん)は大きな影響力を持っています。
 そして腸骨筋は肩甲骨内縁にあります小菱形筋(しょうりょうけいきん)と、大腰筋は大菱形筋(だいりょうけいきん)と連動関係にありますが、ここでこの人の左側肩甲骨が本来よりも背骨に近づいている状況が絡んできます。

菱形筋と腸腰筋

 股関節で大腿骨が本来の位置よりも骨盤から離れているということは、腸骨筋と大腰筋の働きが悪く、大腿骨を骨盤に引き寄せる力が弱くなっている可能性が考えられます。ということは連動関係にあります小菱形筋や大菱形筋の働き=収縮力も悪くなっているはずです。
 この人の場合、左側の肩甲骨が背骨に近づいている、つまり小菱形筋と大菱形筋が直接つないでいる骨と骨の間が本来よりも狭くなっている状況ですから、これら二つの筋肉は働きの悪い状態になっています。
 繰り返しになってしまいますが、以上の状況から予想できますことは以下のとおりです。
  1. 左側の肩甲骨が背骨に近づいていることで小菱形筋と大菱形筋が収縮力を発揮できない状態になっており、
  2. それが連動する腸骨筋と大腰筋に及んでそれらの筋肉も収縮力の悪い状態になっているために大腿骨が股関節から遠ざかった状況をもたらし、
  3. 梨状筋が引っ張られて強くこわばってしまい坐骨神経を圧迫して坐骨神経痛を発症してしまった。
 ですから左側の肩甲骨の位置が坐骨神経痛の主な原因であるという予想となりますが、実際、私の手で左側の肩甲骨を本来の位置に引っ張りだします(背骨に近づいていたものを外側に動かして引き離す)と大腿骨の位置が骨盤に近づき、梨状筋のこわばりも改善しました。ですから、今度は「何故、肩甲骨が背骨に近づいてしまったのか?」という問題に取り組むことになります。

小指先の強いこわばりと僧帽筋と背中の痛み
 この人の仕事は終日パソコンでのデスクワークです。そして左手でのショートカットキーを頻繁に使っているとのことです。ショートカットキーを頻繁に使っている人の特徴として、小指の先端、第一関節の周辺が強くこわばっていることがあります。左手でのショートカットキーを頻繁に使っているのであれば、右手の小指に比べて左手の小指先が少し曲がったようになっているかもしれません。それは、小指先を軸にしてキーを押さえたまま他の指を操作しますので、どうしても小指に負担が掛かってしまうからです。

小指先の「こ」

 そして、この第一関節周辺の強いこわばりは手や腕の筋肉や筋膜のこわばりへとつながり、体幹の方につながっていきますが、この人の今回の場合は、僧帽筋(そうぼうきん)の中部線維の強いこわばりを招いていました。
 僧帽筋は背骨を起始(出発点)として肩甲骨を覆うように肩甲骨の外端(肩峰と肩甲棘)に付着していますので、こわばる(収縮する)ことで肩甲骨を背骨に近づけていました。さらに、僧帽筋中部線維の強いこわばりは「背中左側の痛み」を招いていました。

中部僧帽筋「こ」による菱形筋の「ゆ」

 小指先の強いこわばりは、第一関節付近の深部に、「コリッとしたマメ」のような存在として確認できます。第一関節付近の硬いところを揉んでいますと、次第に表面が柔らかくなりますが、そうしますと揉んでいる手先が奥の方に届くようになります。すると、この硬いマメのような塊を感じることができるようになりますが、その塊はちょっと圧するだけでもかなりの痛みを伴います。しかしこの硬い塊をほぐさないと様々な問題が解決しませんので、痛みをこらえていただきながら揉んだり、指圧し続けることになります。そして、2~3分くらい施術を行っていますとマメ状の塊が柔らかくなりますが、同時に僧帽筋のこわばりも解消されて肩甲骨の位置が本来のところに戻るようになります。
 
 上記で説明させていただきました理屈が正しければ、肩甲骨の位置が本来のところに戻りますと小菱形筋と大菱形筋の張りと働きが戻りますので、連動する腸骨筋と大腰筋の働きも回復して大腿骨と骨盤との関係が正しくなり、梨状筋のこわばりが解消されるはずです。そして坐骨神経の症状はなくなるはずですが、実際、そのようになりました。

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 この人は元々左肩の酷い五十肩をなんとかして欲しいということで来店されました。腕を抱えていないと夜も眠れないほどの重症でしたが、今は、まだ完全に良くなったとは言えませんが、ほとんど日常生活には支障がない程度になっています。
 「もしかしたら五十肩の原因もショートカットキーの使いすぎから始まったのかな?」などと思ったりしています。

 実際、コピー&ペーストなどで頻繁にショートカットキーを使われている人は多いと思います。右手や右腕や右肩に比べて「どうも左側が気になる」とか「左側が辛い、うっとうしい」などと感じているのであれば、それは小指先のこわばりが原因である可能性もあります。けっこう痛みを感じると思いますが、第一関節付近を「強い痛みを感じ、そして痛みが和らいでいく」まで揉みほぐしてみてください。きっと左側の状態が変化すると思います。
 ただし、表面だけほぐしていたのでは痛みも感じませんし、効果もありません。

足つぼ・整体 ゆめとわ
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 頚椎(けいつい)は「首の骨」のことですが、それは背骨の一部であり、専門用語で脊椎(せきつい)と呼ばれる椎骨(ついこつ)の首の部分の名前です。脊椎には7個の頚椎の他に、胸椎(きょうつい)が12個、腰椎(ようつい)が5個あり、骨盤の中心ラインにある仙骨(せんこつ)及び尾骨(びこつ)と合わさって体幹の基礎を築いています。
 さて、肩こりや首のこりで悩まされている人はレントゲン撮影の診断などで「ストレートネック」と指摘されることが多いと思います。先日来店された女性の方から「ストレートネックは手術しないと治らないのですか?」と聞かれました。
 「ストレートネックで手術???」と私は思いました。「世間ではそんな情報も広まっているかぁ?」、まったくと言っていいほどテレビを見ない私は、お客さんとの会話の中によって情報番組などの情報を知るのですが、しばしばビックリしてしまいます。

 確かにストレートネック状態は、頚椎の角度から、頚椎から肩甲骨につながっています肩甲挙筋(けんこうきょきん)や頚椎から肋骨に繋がっています斜角筋(しゃかくきん)などを緊張状態にしますので、慢性的な「首肩のこり」状態を招きます。ですから「ストレートネックは慢性的な首肩こりの原因である」ということには私も賛同します。ところがストレートネックのほとんどは生まれつきのものでもありませんし、改善できないものでもありません。手術なんて、とても考えにくいことです。

上部頚椎
 このブログでも何度か登場しました専門用語に「上部頚椎」があります。それは頚椎1番と頚椎2番のことですが、この二つの頚椎が乱れていますと全身的に影響して不調状態になってしまうという話を聞きます。整体と類似の療法にカイロプラクティックがありますが、その専門家の中には上部頚椎のみ調整している方もいらっしゃいます。
 以前にも申し上げたことですが、上部頚椎は後頭部と後頭下筋群で直接繋がっています。今の私たちはパソコンを使ったりスマホをいじったりすることが多いのですが、その時は頭や首はやや下向きの角度になっています。首が前に出ていると言い換えてもよいと思いますが、その状態のまま顔を起こして前方を見る動作をしますと、それは後頭骨と頚椎1番の間にあります関節(環椎後頭関節)を使う動作になります。後頭下筋群を収縮させて環椎後頭関節をスライドさせているのですが、「下顎を前に突き出すような動作」と言った方が解りやすいかもしれません。そして、この動作は正しいものではありません。

後頭下筋群を使って前を見る動作

 本来、顔を起こしたり、首を起こしたりする動作は頚椎の一番下、頚椎7番あたりを支点にして首から肩に掛けての筋肉を使って行うのが自然ですが、現代人の多くは首が前に出ているために環椎後頭関節を主に使って動作を行っています。そして、これがストレートネックになってしまう原因の1番ではないかと私は考えています。


上部頚椎の図

上部頚椎と後頭下筋群の関係

 後頭下筋群の中で後頭骨と環椎(頚椎1番)を繋いでいる筋肉を小後頭直筋(しょうこうとうちょくきん)といいます。後頭部の「盆の窪」と呼ばれる凹みのすぐ両脇にある筋肉です。使いすぎなどによってこの筋肉がこわばった状態になりますと環椎の後結節を後方に引っ張り上げてしまいますので、環椎後頭関節(頚椎1番と後頭骨の関節)で後頭骨が前にスライドしてしまい、下顎が少し前にでた状態になります。そして環椎の後結節が上方に引っ張り上げられるということは前方の前結節が下を向いてしまうということですので、頚椎全体の前弯をなくしてしまうきっかけになります。
 また、後頭骨と軸椎(じくつい=頚椎2番)の棘突起をつなげている筋肉を大後頭直筋(だいこうとうちょくきん)と言いますが、この筋肉がこわばりますと軸椎の棘突起を上後方に引っ張り上げてしまいます。環椎同様、軸椎の前方は下を向きますので頚椎の前弯は崩れ、ストレートネックになってしまいます。
 軸椎の棘突起は大きいので触ることができます。盆の窪のすぐ下に触れることのできる骨性の突起がそれですが、ストレートネックではない人の軸椎棘突起は深いところにありますのでそれほど目立ちません。しかし、ストレートネックで軸椎棘突起が大きく上後方にずれている人は、盆の窪のすぐ下にありありと棘突起を感じられると思いますし、その周辺の筋肉が硬くなっているのが感じられると思います。

大小後頭直筋とストレートネック

ストレートネックと首筋のハリ
 ストレートネックの人の首は一般的にガチガチに硬くなっています。それは筋肉のコリ(凝り)というよりもハリが強くて首筋が棒のような状態になった感じです。
 首に関係する筋肉はいくつかありますが、その中で肩甲挙筋と斜角筋が硬くなっている主な筋肉です。

ストレートネックと首筋の硬さ

 肩甲挙筋は頚椎1番~4番の横突起から出発して肩甲骨の内縁上方に繋がっています。主な働きは首をすくめるように肩甲骨を持ち上げることですが、目の疲労などによってこわばりますので、スマホをたくさん見ている人はそれだけで首筋が張ってしまいます。頚椎1~4番に関係しているということは上部頚椎が歪みますと緊張状態になって張ってしまう可能性が高くなります。ですからストレートネックの人の肩甲挙筋は硬くなっているという理屈になります。
 斜角筋は頚椎と肋骨を繋いでいて、呼吸動作で息を吸うときに胸を持ち上げる働きをしますが、そしゃく筋と深い関係にあります。ですから噛みしめ癖や歯ぎしり癖などを持っている人の斜角筋は硬くこわばっています。首の側面~鎖骨の下にかけての部分が硬くなっていたり、触ると痛みを感じる場合は、斜角筋がこわばっている可能性があります。そして斜角筋には前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋の3つがあり、それぞれに頚椎とのつながり方は異なりますが、ストレートネックの状態では、やはりすべての斜角筋がこわばって硬くなってしまいます。
 実際に、上後方にずれてしまった環椎の後結節や軸椎棘の突起を下前方に押し下げてストレートネック状態を一時的に解消しますと肩甲挙筋の硬さや斜角筋の硬さは少しゆるみますので、上部頚椎の状態を改善することで首肩のコリが軽減することがわかります。

上部頚椎の歪みの影響
 上部頚椎についてはたくさん語ることがありますが、今回は上部頚椎が歪んでいる場合の影響について幾つか取り上げてみます。
 例えば、顔は正面を向いたまま瞳だけ右に動かすとします。すると環椎(頚椎1番)は右側に動きます。このことは目の使い方が右側に偏っている人、つまり顔は正面をむいたままの状態で瞳を右に向けることは容易にできても左に向けることが苦手な人は環椎が右側に寄っている可能性が高いということです。また、右側の奥歯ばかりで噛んだり、噛みしめている人も同様に環椎が右側に寄っていることが予想できます。そうしますと反動として軸椎は左側、つまり環椎とは反対側に動きます。実際このような歪みを持った人が多いのですが、このような人は首を左に回して頭を左横に向ける動作で、動かし始めの時にちょっと引っ掛かりを感じると思います。動かし始めの時に着目してみてください。首を大きく向くことがしづらいとか、首筋が張って向けない、というのは筋肉のハリと関係しますので、あくまでも首を動かし始める最初の1㎝くらいの時です。

環椎と軸椎の回旋

 といいますのは、その段階では環椎が軸椎の歯突起を軸にして回旋することで頭を回旋する仕組みになっているからです。環椎と軸椎の関係に問題がなければ、右にも左にもスムーズに軸椎の歯突起を軸にして環椎を回旋することができます。ところが環椎が右側にずれ、軸椎が左側にずれている状態では、左を向くときには一度環椎の位置を左にずらして軸椎の歯突起に合わせてからでないと首を回旋することができませんので、動かし始めの時に「ちょっと引っ掛かる感じ」になるのです。
 普通は誰もが目の使い方や奥歯の使い方に偏りを持っていますので、どちらかに向きづらいという傾向をもっていますが、片噛み癖や噛みしめの癖、目の偏りなどの状態が激しい人は上部頚椎のずれも大きく頑固になっていますので、軸椎辺りのところに強い痛みを感じることがあります。

 また、ストレートネック状態になっていて上部頚椎の後側が上がって前側が下がっている人は、頬が下がっています。頬と言いますのは頬骨と上顎骨のことですが、それによっていつも顔が下がっているように感じたり、目元がこわばっていて瞼の開閉に違和感を感じたりすることがあります。そして舌も下がってしまいますので、喋りづらく感じたり、滑舌が悪いように感じたりするかもしれません。さらに下がった舌は下の歯列を押しますので、その痕が舌先についていたり、下顎が前に出ていたり、下唇がだらしないような状態になっているように感じるかもしれません。
 上部頚椎の問題だけがこれらの原因ではありませんが、上部頚椎を整えることで顔に関するかなりの問題が改善されることがあります。
 さらに、いつもどことなく落ち着かない、からだがしっくりこないと感じている人に対して上部頚椎を整えることで、それらの問題が消失したこともありました。
 施術者としてこのような経験をしますと、上部頚椎専門のカイロプラクティックがあるのも合点がいきます。

上部頚椎を整える
 私は上部頚椎専門のカイロプラクティックを訪れたことがありませんので、経験者された人の話を聞いて想像するだけですが、上部頚椎の矯正方法はとても瞬間的なものだということです。軽い力で直接上部頚椎を「コツン」とやるだけだそうです。
 私の施術では直接骨を動かすような矯正はしませんので、他の頚椎との関係や筋肉との関係を観察しながら、そしてお客さんの話を聞きながら「何が原因で上部頚椎がずれてしまったのだろう?」と原因を追求していきます。

頚椎と胸椎

 頚椎のことで申し上げれば、歪みやすいところは上部頚椎である環椎と軸椎、そして頚椎の真ん中である頚椎4番と頚椎の土台である頚椎7番や6番です。そして「どの頚椎を整えればその他の頚椎も整うのか?」という観点でいろいろと進めていきます。理屈で考えれば、後頭下筋群がこわばっていることによって上部頚椎が後頭部の方へ引き付けられていますので、後頭下筋群を整えることでその問題はほとんど片付けられることになりますが、それは理屈であって、実際にはそれだけでは事足りません。頚椎7番の捻れも関係しますし頚椎6番、7番、胸椎1番、2番あたりの上下の向きなども関係します。
 これらを整えるために肋骨を見たり、腕や手首の捻れを整えたり、手指先を施術したりと、いろいろな施術を行います。「これだけのことをしないと上部頚椎を整えることができないのに、カイロプラクティックでは本当にコツンとやるだけで整えることができてしまうのだろうか?」などと内心思うこともあります。
 そして、最後は腰椎の動きが柔らかくなるように整えることも重要です。

ストレートネックと腰椎との関係
 背骨はゆるやかな前弯と後弯を繰り返しながら、二足歩行の私たちを支える中心的な存在になっていますが、しばしば腰椎の前弯が適切な場所になくて、本来前弯すべきところが反対に後弯している人がいます。あるいはストレートネック同様に腰椎がストレート状態になっている人は多くいます。これらの原因は普段の座り方や座り姿勢によるものだと思われますが、このような人達は腰椎の前弯がないという理由でストレートネックになっているということもあります。
 といいますのは、いろんな施術を行ってもストレートネック状態が改善されない場合がありますが、そのようなときに腰椎を整えたり、腰椎を適切に使う運動をしていただきますとストレートネック状態が良くなることがあるからです。

脊椎の弯曲

 現在、定期的に来店されている印刷物デザイナーの人がいます。毎日長時間にわたってパソコンでデザインの仕事をしていますが、目がどんよりとして瞼が落ちてくるのが最大の悩みです。落ちてくる瞼を力を使って開けるようにしていますので、眉のところや額の筋肉はこわばってしまい、瞼は開かないのに額の部分は上に引っ張られているような状態になっています。(こういう状態だと「眼瞼下垂」と診断されてしまうかもしれません)
 隔週のペースで来店され、120分のコースを選ばれていますが、疲れ切っているのか、そのほとんどの時間眠っています。私は黙々と施術を行っていますが、目の疲労や頭の疲労と頭皮のこわばり、首の張りなどが特に強く、マウスを使いすぎているのか右手の手指がとてもこわばっていますので、それらを調整するだけで120分の時間がかかってしまいます。首は当然のごとくストレートネック状態です。
 施術が終わりに近づきますと声を掛けて目を覚ましていただくのですが、その後座っていただき目の開け具合などを確認しますと、座ったばかりの時はとても快調なのですが、しばらく座っていますと、また瞼が落ちてきてしまいます。当初は「何でなんだろう?」と理由が見当たらなくて私自身困っていましたが、最近は理由が分かるようになってきました。
 この人は仕事柄、一日中椅子に座り続けて作業をしています。座る姿勢にも問題はあるのだと思いますが、座り続けることによって骨盤周りや腹筋が硬くなっています。そんな影響もあってか腰椎の動きがとても悪いのです。腰椎の前弯は乏しくほとんどストレート状態ですが、それほど硬くなっているわけではありません。もっともっと状態の悪い人はいますが、それらの人達が「瞼がおちてくる現象」を持っているわけではありません。
 ところが、この人は座った状態で腰椎を動かすことができなかったのです。
 「臍や下腹を前に出すようにして、腰椎の部分を反るように動かしてみてください」とやってもらっても腰部を動かすことができないのです。腹筋が伸びないせいかもしれません。そこで私が腰椎に手をあてがって支えとし「これで少しずつ動かしてみてください」とやっていただきますと、「最初は1㎝くらい動かせるかな?」という感じで始まるのですが、次第に少しずつ大きく動かせるようになり、やがて腰椎下部のあたりを支点に動かせるようになりました。そうしますと、目がパッチリと大きく開けるようになりました。
 腰部が硬くて全身的に血流が悪く、目が開かなかったと考えることもできます。あるいは、硬く固定されていた腰椎が柔らかく使えるようになったので、連動して頚椎にも柔軟性が戻り、脳への血流量が増して脳神経の働きが良くなったので目が開くようになった、と考えることもできます。私は後者ではないかと思っていますが。

 このような経験もありましてストレートネックの人に対しては、日々のトレーニングとして腰椎を柔らかく使えるようになるための運動をアドバイスさせていただいています。
 腰椎が硬くなっている人はたくさんいます。腰椎については別の機会に説明させていただくつもりですが、腰椎が棒のように硬くなっている人はかかと重心の傾向にあります。ふくらはぎの裏側がいつも張っていると感じている人はかかと重心の可能性が高いのですが、おそらく腰椎がストレート状態か硬くなって動きが悪い状態になっていると思われます。そういう人は首もストレートネックの可能性が高いですから、首筋が慢性的に張っていて肩こりに苦しんでいるかもしれません。
 腰部が柔らかく動かせるようになりますと、かかと重心は改善され、立ち方が変わり、ストレートネックも良くなって肩こりの悩みは減ると思います。
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 今回はストレートネックを題材に上部頚椎についてお話しさせていただきました。上部頚椎の中でも環椎は直接触れることが難しいこともありまして、その状態を的確に捉えることは難しいのですが、背骨と頭の接点ですからとても重要な存在だと考えています。ですから、首周りや頚椎について違和感や不具合、不調を感じている人は整体的な手法で整えることも一つの方法だと思います。残念ながら整形外科で首の牽引をしたところでたいして意味はないと思います。
 但し、頚椎はとても重要なところですから、安易に整体院や治療院等を選ぶのではなく、慎重に慎重に検討を重ねた上で選んでください。


足つぼ・整体 ゆめとわ
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 私たちのからだは加齢にともなって不調や不具合を抱えるようになりますが、その代表的な症状の一つに四十肩、五十肩と呼ばれる肩関節周囲炎があります。
 この症状は軽微なうちは、肩を回す(腕を回す)と音がしたり、引っ掛かりや違和感を感じる程度のものですが、状態が悪化しますと腕が上がらない、腕が後ろに回らないなど、腕の動作ができない状態になります。そして、さらに症状が重たくなりますと、じっとしていてもジンジン痛みを感じたり、腕を抱えていないと辛くて耐えられない、ただ寝ているだけでも痛くて眠れないなどの状態になってしまいます。
 腰痛や膝痛や他の症状も同様ですが、症状が軽微なうちに適切に対応しますと症状を悪化させることなく速やかに状態は改善しますが、症状があるにも関わらず無理に動かしたり、負荷を掛け続けたりしますと状態はどんどん悪化していきます。
 肩関節の不具合で犯しやすい過ちは、「なんとなく肩関節がずれているように感じてしっくりこないので、腕や肩甲骨を何度も回してしまった」というものです。気持ちはとても理解できますが、こうすることで筋肉に無理が掛かり、肩関節のずれが大きくなってしまう道を進んでしまいます。

肩関節の不具合は骨格の歪みから始まる
 私たち人間の肩関節は他の四つ足動物に比べると遙かに大きな可動域を持っています。そして股関節よりも肩関節の方がとても大きく動かすことができるわけですが、それは反面、腕(上肢)と体幹との接続があまくなっているということでもあります。実際、骨性の関節があるのは鎖骨と胸骨の関節(胸鎖関節)だけです。ですから肩甲骨の動きも含めて肩関節は歪んで不具合を生じる可能性が高いということになります。

肩関節の骨格


 さて、肩関節を形成している骨格は、肩甲骨と鎖骨と上腕骨です。ですから肩関節の不具合では、まずそれらの骨の状態を確認するところから作業が始まります。これは整形外科でレントゲン撮影をして「骨には異常がありません」というのとはまったく異なりまして、三つの骨がどのような歪み方をしているのかを確認する作業です。
 次に肩甲骨と体幹、鎖骨と体幹との関係を確認します。私たちが腕を挙上するとき、水平近くまでは肩関節の動きだけで可能ですが、それ以上高く、真上まで腕を上げようとしますと肩甲骨を大きく回旋させなければなりません。肩甲骨の動きが制限されているような状態では満足に腕を上げることや、腕を後ろに回すことはできなくなってしまいます。そして同様の意味で鎖骨の状態を観察します。

 ところで、これら上腕骨、肩甲骨、鎖骨を歪め、動きを制限している主な犯人は筋肉です。脱臼などの経験がある場合は靱帯の状態も気になるところです。
 上腕骨や肩甲骨や鎖骨に付着している筋肉がアンバランスな状態になっているのでこれらの骨格が歪んでしまい、肩関節本来の動きができなかったり、腕(上腕骨)をしっかり保持することができず、いわゆる四十肩や五十肩という状態になってしまいます。ですから肩関節の不具合を修正する施術では、手と腕、首、胸と背中の筋肉を整えるという作業が大半になります。

上腕骨と鎖骨の関係
 上腕骨を鎖骨につなげている筋肉には三角筋(前部線維と中部線維)と大胸筋(鎖骨部)があります。実際、肩関節の不具合や肩関節痛で気になるところは、鎖骨と上腕骨の間の距離です。三角筋前部線維の働きが悪くなっている場合、鎖骨と上腕骨の距離が離れた状態になっていますが、この状態では腕を上げる動作の初期の段階で痛みを感じ、腕を上げたり、腕を上げた状態を保持することができなくなります。大胸筋鎖骨部の働きが悪くなっても同じような状況になりますが、打撲をしたなどケガによるもの以外では、あまりそのようなことは目にしません。
 また、鎖骨自体が上にずれたり、反対側に引っ張られていて上腕骨と鎖骨の距離が離れていることもあります。

肩関節前面の大胸筋と三角筋

肩関節痛への考え方と対処
 肩関節に違和感や痛みを感じたときの対処はどうのようにするのが良いのか? 
 四十肩や五十肩になって3ヶ月以上経過している、肩関節の痛みが慢性化してるといった場合は除いて、肩関節に違和感や痛みを感じたときの対処法について説明します。

 まず肩関節痛になった原因が、肩を打撲した、腕を引っ張られた、脱臼や亜脱臼をしたなど、ケガによるものであるならば、すぐに対処をするのが適切です。救急処置としては冷却し、骨折の心配があるのなら速やかに整形外科を受診してください。
 ケガによるものではなく、きっかけもハッキリしないのに何となく肩関節周囲に違和感を感じ、「しっくりこない」と思われるような状況、あるいは肩(腕)をまわすとゴリゴリしたり、少々痛みを感じるようになったのであれば、とりあえず何もしないで1週間ほど様子を見ることをお勧めします。からだの骨格が歪んだことによって肩関節にそのシワ寄せが現れたのかもしれません。そうであれば、1週間ほど待っていればからだの歪みも自然に修正され、肩関節の状態も自ずと改善すると思います。但し、この状態の時に注意していただきたいことがあります。それは肩関節に違和感や不快感を感じたとしてもグルグル肩(腕)を回したり、ストレッチを度々行ったりしないことです。そのようなことをしますと状態が悪化する恐れがあります。「そのままじっとしていれば、元の異常のない状態に戻れたのに、激しく動かしたことによって炎症おこり、四十肩や五十肩状態に突入してしまった」ということが起こり得ます。そして実際、そういう人がけっこういます。

 きっかけも原因も覚えがないのに肩関節に違和感や不具合を感じ、1週間程放置していても状況が良くならないのであれば、それは何らかの理由で肩関節の歪みが固定化してしまったか、肩甲骨や鎖骨及び関係する筋肉の状態がおかしくなっている可能性があります。しかしながらまだ「慢性化している」という状態にはなっていませんので、適切に調整することですぐに状態は改善すると思われます。信頼のできる整体院や治療院にいかれることをお勧めします。(整形外科は微妙です。整形外科の薦めるリハビリは適切でない場合もあって、状態を悪化させることもあります。)

肩関節痛の3つの段階
 「五十肩(四十肩)になったら治るまでに1年半~2年くらい掛かる」というようなことを聞くことがあります。巷では定説のようになっているのかもしれません。しかしながら実際に業務に携わっている私は、全然そんなことは関係ないと考えています。
 肩関節に異常を感じたときにまず考えなければならないことは、何よりも「状態を悪化させない」ことです。私たちは日常生活の中で思いの外、手や腕や肩をたくさん使っています。肩関節に問題がないときは実感がありませんが、肩関節痛になって腕が動かしにくい状態になりますと、そのことが実感としてよく解ります。つまり肩関節をとても頻繁に動かしていますので「肩関節の異常は悪化しやすい」ということになります。
 膝や腰が痛くなったときは「しばらく立ち仕事や歩くことは控えておこう」などと対応することができますが、「しばらく手を使うのは止めておこう」ということはできないのが実状です。ですから繰り返しになりますが、肩関節の異常は悪化しやすいので、悪化させないように心がけることが大切です。
 こう申し上げた上で、肩関節の異常や痛みは3つの段階に分けられ、それぞれの段階で適当と思われる対処法を行ってください。

1.異常が軽微で、違和感や軽い痛みを感じる程度の段階
 なんとなく腕のつけ根(肩関節)に違和感や重苦しさを感じる。じっとしていると肩関節の収まりが悪いように感じるので、ちょいちょい動かしてしまう。可動域に問題はなく腕の動きにも問題はないのだけれど大きく動かすと痛みを感じる。あるいは、腕の動かし始めだけ痛みを感じる。これまでは背中で両手を触ることができたのに、どちらかの手が届かなくなってしまった。
 このような状態は、肩関節異常の軽微な段階、初期の段階です。
 例えば、日々業務でパソコン入力をたくさんしている、マウスをたくさん使っている、というような人は肘が捻れていて手指が疲労したりこわばっていますので、その影響が肩に及んでこのようになっている可能性があります。あるいは噛み合わせや歯ぎしりや片噛みの影響でからだが捻れ、その歪みが肩関節に及んでいるのかもしれません。
 このような状態は好ましいものではありませんが、(肩関節がおかしいことで)肩や首のコリを感じるかもしれませんが日常生活にそれほど支障がでませんので「放って置いても大丈夫だ」という段階ではあります。
 但し上述しましたように、肩関節の違和感が気になって、あるいは首や肩のコリが気になって一生懸命ストレッチをしてみたり、肩を頻繁に回したりしますと、状態を悪化させて次の段階(四十肩、五十肩)に進んでしまう危険性があります。
 「テレビで肩関節を快適にするための運動を紹介していて、それを毎日やっていたら痛みが増してきた」というような人もいます。
 違和感や軽い痛みは筋肉が発するものですが、それは肩関節が歪んでいて、ある筋肉に負担が掛かっているからです。その筋肉は肩関節を保持するために緊張状態にありながらも一生懸命耐えて頑張っているのですが、そこにさらに負荷をかけるようなストレッチや運動を強いますと、耐えきれなくなって損傷状態になってしまいます。すると肩関節はそれまでとは違ったバランスになってしまいますので、「動かすと痛い」「手が上がらない」などの症状が現れます。

 「痛み」は「それ以上伸ばさないで!」という筋肉からのサインです。ストレッチや肩の運動は痛みの出ない範囲で行ってください。そして、そのような運動よりも前腕(肘から先)の筋肉のストレッチや手指の筋肉を揉みほぐした方が効果的だと思います。

前腕のストレッチの要領


2.四十肩、五十肩と呼ばれる段階
 「腕が上がらない」「腕が後ろに回らない」「腕を動かすと、腕のつけ根や肩が痛くなる」など肩関節の運動制限や顕著な痛みを感じる段階は、いわゆる四十肩、五十肩と呼ばれる段階です。
 こうなりますと、自然治癒は難しくなります。巷でいわれる「1年半くらいすれば治る」というのは、実際には状態が治っているのはなく、関節や骨格は歪んだままなのですが、付着している筋肉が「耐性ができた状態になった」ということであり、それまでに1年以上の時間がかかるということです。もっと平たく申しますと「ずれてしまった肩関節や肩甲骨(=変化した体型)に筋肉が馴れるまでに1年以上かかりますが、それで痛みは消えます。」ということです。痛みは感じなくなりますし、日常生活での動作も大丈夫になりますが、肩甲骨や腕の動きは正しくありませんので、軽快で快適な動作は戻っていません。

肩関節(腋窩)の筋肉

 さて、このような状態を本来の快適な状態に戻すためには、整体的な手法が必要になると思います。整体的な手法といっても骨格をバキバキッ鳴らしながら直接動かすような方法ではありません。それはやってはならないことです。
 からだの使い方によって、筋肉には硬く固まってしまったような部分(こわばり)や使いすぎて疲弊し、腑抜けになって伸びきってしまったような部分ができますが、そのようなもので骨格は容易に歪みます。歪みはじめの頃であれば、上記の1.で説明しましたように休養することで筋肉の働きが元の状態に戻りますので、自ずと関節や骨格の歪みも解消されます。
 ところが歪んだ状態でさらに使い続けていますと筋肉に無理が掛かり続けることになりますが、それによって痛みが生じます。そして、痛み止めなどで痛みを感じないようにして、さらに同じように使い続けていますとやがて筋肉に耐性ができるようになって痛みを感じなくなりますが、この時の筋肉は本来の在り方とは違った状態になっています。それは半ば形状記憶のように頑固な状態であり、もはや「時間の経過とともに自然に元に戻る」といった状態ではありません。それは何十年経っても元の状態に戻ることはありません。ですからこのようになってしまった筋肉を元の本来の状態に戻すためには、積極的なアプローチが必要になります。そして、それが私の申し上げる「整体的手法」という意味です。
 つまり、「四十肩や五十肩になったとしても1年半くらい経てば痛みは消えますし、日常生活に支障のない状態には戻りますが、それで十分に治ったということではありません。肩関節周囲はアンバランスな状態のままですので、からだの他の部分(膝など)がおかしくなっているかもしれません。この状態を解消するためには肩関節周囲の筋肉を本来の在り方に回復させる必要がありますし、そのためには整体的手法が必要です。」と私は考えています。

3.じっとしていても耐えがたい‥‥重症な状態
 例えば肩関節で腕を脱臼しますと、(大人であれば)それはとても痛いものですし、その後、腕を抱え込んでいないと耐えられない状態になります。そして五十肩(四十肩)も状態が悪化しますと、これと同じような状態になってしまいます。
 「ただ座っているだけでも腕のつけ根あたりがジンジンしてきて耐えがたくなる」「反対の手で腕を抱え込んでいないと痛くて痛くて」「夜寝ているだけでも腕がジンジンしていまい目が覚めてしまう」などという状態になっているのであれば、それは重症です。

 ここまで症状が悪化しますと施術者として、とても慎重に対応しなければなりません。まずは痛みを感じない状態にすることが第1の目標です。夜ゆっくり眠ることができるようになることから始めます。そして次に普通に座っていられるようになること、腕を抱えていなくてもじっとしていられる状態になることを目指します。
 このようになってしまう一番の理由は、筋肉や靱帯が疲弊したり損傷した状態になってしまったために肩関節に上腕をしっかり保持しておくことができなくなってしまったからです。つまり、腕が肩からぶら下がったような状態になっているために、周囲の筋肉が全部強い緊張状態になってしまい、ジンジンしてしまうのです。肘や手先まで痛みを感じたり、シビレを感じたりすることもありますので、整形外科では「頚椎が‥‥」と診断されるかもしれません。しかし、過去の経験で申しますと、単に肩関節が亜脱臼状態になっているからだと言えます。そして、もっとも多い原因は肩甲骨と上腕を繋いでいます肩甲下筋(けんこうかきん)が伸びた状態になっていることです。野球の投手が「肩を壊す」ときに一番多いのが肩甲下筋の損傷ですが、腕を引っ張られたときに抵抗する筋肉であり、引っ張られる力が強いと損傷してしまう筋肉です。

肩甲下筋03

 五十肩状態なのに無理を重ねていますと肩甲下筋に負担がかかり疲弊した状態になりします。あるいは、犬との散歩などで、予期しないところで不意打ちをくらったように突然腕を強く引っ張られますと、一瞬にして肩甲下筋が伸びてしまうこともあります。
 この筋肉は肩関節の非常に深いところにあるインナーマッスルですが、施術でアプローチしようとする場合、ある程度腕を上げた状態にしないと触ることができません。ところが重症状態になってしまった人は、腕をちょっと動かしただけでも痛みを感じますので、とても肩甲下筋に触れる状況ではありません。それが施術者としてとても苦労するところです。
 肩関節の亜脱臼状態(=腕と肩の間が離れて腕がぶら下がった状態)を改善するためには肩甲下筋の状態を改善しなければなりませんが、その肩甲下筋には手が届かない、そんな苦労です。

 さて、このように重症化した肩関節痛の人に対しては、なんとか3回くらいの施術で、夜ゆっくり眠れるようになっていただければと考えています。そして、その状態にまでなりますと、ある程度腕は動かせますので肩甲下筋にも手が届き、いろいろな施術ができるようになります。そして、上記2.の段階まで戻して、着替えがある程度不自由なく出来るようになったり、洗濯物の干すのはまだ辛いしシャンプーやドライヤーも辛いけどその他の日常生活はできるようになった、といった順序で改善むけて進めていきたいと考えています。こうなるまで1ヶ月くらいの時間はかかるかもしれません。

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 以上が肩関節痛や肩関節周囲炎に対する当方での整体的考え方と施術の概要です。
 対応を間違えますと、上記の1.→2.→3.へと状態が悪化していきますの軽い肩関節の違和感であったとしても注意深く対応していただきたいと思います。そして、3.の状態になってしまった人は、まだまだ我慢と忍耐が必要ですが、3.→2.、そして2.→1.→改善と段階を一つずつ戻るように考えてください。改善を焦りますと注射とか不適切なリハビリ運動などを行うようになり、逆効果になる可能性もあります。
 そしてまた、1.の状態に戻ると痛みも感じなくなりますので、「これでいいや」と思ってしまう人がほとんどですが、肩関節の歪んだ状態は解消されていませんので、その歪みは必ず別の場所に不具合をもたらします。肩と膝は密接な関係がありますので、いつまでの膝の内側の痛みが残ってしまう可能性もあります。ですから、最後まで直していただきたいと考えます。

 また、この肩関節周囲炎の他に肩関節のトラブルとして石灰沈着性腱板炎や肩腱板断裂と診断される場合がありますが、これらは程度次第ですが、整体的手法で対応することもできます。私の考え方として、なるべく手術はしない方が良い、注射針を筋肉に刺すこともなるべく少ない方が良い、というのがあります。皮膚や筋膜や筋肉に傷をつけることは、それだけでハンデを背負った状態になりますので、避けられるなら避けていただきたいと思っています。
 過去に、何十回も腕に注射針を刺されたがために、それで筋肉の働きが悪くなり、当初は石灰沈着性腱板炎だったものが重度の四十肩に移行してしまった人がいました。ご自分のからだのことですから、十分に注意深くあってください。

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 今回は膝痛に対する考え方の概略を説明させていただきます。細かい、突っ込んだ内容につきましては追々投稿させていただきます。

 からだの痛みにはいろいろな症状がありますが、膝の痛みは高齢の女性く見受けられる症状です。膝が痛くなりますと歩く一歩一歩がとても辛くなりますので、歩くことが嫌になって足りなくなりますが、それによってからだが不調な状態になります。ですから、症状が軽微なうちに手入れをしたり、手当てをしたりして、症状が現れない状態に改善していただきたいと思います。
 ところが、多くの人達が頼りにしている整形外科では、ヒアルロン酸や痛み止めを注射するなどの対処法、あまり効果のないリハビリ運動などを推奨して、湿布を処方しているのが実態のようです。それは治療とは呼べないと思います。なぜなら、膝が痛みを出す原因を治していないからです。
 膝痛は初期の段階であれば、ほとんど一回の施術で解消されてしまいます。整体的観点では、それほど難しい問題では有りません。しかしながらどの症状でも同じなのですが、症状が慢性化してしまいますと元の状態に戻すまでに時間と手間を要するようになってしまいます。ですから、なるべく早い段階で改善することを心がけていただきたいと思います。

 さて整体的観点では、膝の痛みは先ず三つの観点で区別して考えます。
 一つ目は、膝を曲げる、あるいは膝を伸ばすと痛みを発する場合です。正座ができないというのもこの類になりますが、膝関節が歪んでいることが痛みの原因になる場合です。膝関節が歪んでいることで膝周辺の筋肉がバランスの悪い状態になっていて緊張度を増している筋肉もありますが、その状態で膝を動かしますと筋肉の緊張度が限界点に達して痛みを出すという仕組みになっています。
 二つ目は、膝に力が入らない状態です。階段を昇る、あるいは降りるときに痛みを感じる。正座した状態から立ち上がろうとする時に痛みを感じる、といったものがこの類に入りますが、膝に関係する一つか、あるいは幾つかの筋肉が上手く働けない状態になっているために「膝で踏ん張る」ことができなくなってしまったからです。階段をトントン降りることはできても、ゆっくり粘り強く降りることができない時などは、この兆候の現れです。
 三つ目は重度の状態ですが、膝関節を構成している半月板や靱帯が損傷していたり、軟骨が壊れて欠片が膝関節内部に浮遊しているためにしばしば炎症を起こしてしまうなどの場合です。皆さんがよく言われる「軟骨がすり減って‥‥」というのがこの類です。
 
①膝を曲げたり伸ばしたりするときに痛みを感じる場合
 膝関節は太ももの骨(大腿骨)とスネの骨(脛骨)と膝の皿(膝蓋骨)とでできていますが、大腿骨と脛骨の関係が歪んでいますと、曲げ伸ばしの動作のときに膝関節周囲の筋肉や関節を包む袋(関節包)に負担が掛かって炎症が起きることがあります。つまり平たく言いますと「膝関節がずれている」場合です。
 そしてこの不具合が進行した時の特徴は“水が溜まる”ことです。
 膝関節には関節をぐるっと取り囲むように関節包がありますが、その内部には膝関節の運動が滑らかなるように“滑液(かつえき)”とよばれる水があります。炎症が起こりますとこの水が関節包の中にたくさん溜まってしまいますが、それは炎症を鎮静させるためです。ですから炎症がいつまでも解消されませんと“膝の水”は残ったままの状態になりますので「膝がパンパンに腫れてしまう」という状態になります。いつも膝に水が溜まっていて膝がパンパンになっている人、整形外科で水を抜いてもらっても再び水が溜まってしまうような人は、常に炎症し続けているということです。この膝が腫れた状態では、さらに膝の曲げ伸ばしが辛くなりますし、膝を動かさずじっとしていても圧迫感がありますので不快な思いをし続けることになります。

 また、膝の水が目立たなくても膝の曲げ伸ばしのときに痛みを感じることがあります。それは膝周辺の筋肉や筋膜が発する痛みです。
 私たち日本人は、膝下が外側にずれやすい傾向があります。この典型例はO脚ですが、そこまでいかなくても欧米人などに比べて私たちの脚がスマートさに欠けるのは膝関節で膝下が外側にずれているからです。そしてこの状態が悪化しますと膝内側の筋肉や筋膜はいつも引っ張られた状態になり、緊張状態になってしまいます。

脛骨のズレによる膝内側の痛み

 このような状態が進行しますと膝の内側に痛みを感じるようになります。最初は膝の曲げ伸ばしなどの運動時に違和感を感じるところから始まりますが、その後違和感が痛みに変わり、さらに痛みが増すようになります。そして歩いて体重が乗るだけで痛みを感じるようになってしまうかもしれません。さらに状態が悪化しますと、椅子に座っているだけでもジンジン、ピリピリ痛みを感じるようになったりします。
 このような段階になりましても、半月板や軟骨に損傷が及んでいなければ膝の歪みを整えて筋肉のバランスを取り戻すようにすることで速やかに膝の痛みは軽減し、やがて解消するようになります。
 ところが適切に対応することなく、ヒアルロン酸を注射してごまかしたり、痛み止めの湿布などをしてごまかし、膝が歪んだ状態を放っておきますと、どんどん歪みが大きくなって将来的に変形膝関節症になってしまう可能性があります。そうなりますと歩行や立位に困難をきたすなど、なかなか厄介なことになりますので症状の軽いうちに膝関節を整えることを強くおすすめします。

②膝に力が入らなくなって痛みを発する場合
 たまにしか山登りをしない人は実感としてわかると思いますが、上り坂も確かにきついのですが、帰りの下りは膝がガクガクしてしまいスムーズに歩くことができなくなってしまうことがあります。その主な理由は筋肉疲労によるものですが、疲労によって脚力が低下したというよりも膝の粘る力が弱くなってしまったからです。
 階段の昇り降りでも同じなのですが、上りで使う主な筋肉と下りで使う主な筋肉は異なります。ですから「階段の昇りは全然平気だけど、降りるのが怖くて」といったことが起こります。
 階段を昇る動作は自分の全体重を上に持ち上げる動作ですから、重力に対抗するための脚力が必要になります。ところが私たちの殿部には大殿筋(だいでんきん)という大きな抗重力筋が備わっていますので、よっぽどでない限り「階段を昇ることができない」ということにはなりません。
 一方、階段を降りる動作では、自分の全体重を片方の膝と足首で受け止めて支える力が必要になります。この動作では「膝の粘る働き」が何よりも重要で、この時に活躍する主な筋肉は大腿四頭筋(だいたいしとうきん)の中の中間広筋(ちゅうかんこうきん)です。(外側広筋(がいそくこうきん)も働きます)
 
階段を降りる_中間広筋


 この中間広筋の働きが悪くなりますと膝の粘りが乏しくなりますので、階段をトントン、パタパタと音を立てながら降りることはできても、ゆっくり粘り強く降りることができなくなります。“下りが苦手”と感じてしまうことでしょう。そして中間広筋の働きがさらに悪化しますと、何処かにつかまらないと正座した状態から立ち上がることができない、椅子から立ち上がる時や椅子に座るときに膝の前面や内部に痛みを感じる、手すりに頼らないと怖くて階段が降りられない、などの状況になります。

 膝に力が入らないことの特徴は体重が掛かると膝が痛むことですが、「膝関節が悪いのかも」と思って整形外科を受診しても解決に向かう可能性は低いと考えられます。膝関節が悪いのではなく、筋肉(中間広筋)の働きが悪いのです。
 ですから、この状況を改善するためには中間広筋の働きを本来の状態に戻さなければなりません。山登りのように筋肉疲労が原因で中間広筋の働きが悪くなったのであれば、休んで何日かすれば疲労が癒えて能力が戻ってきますので心配する必要はありません。
 ところが膝に力が入らないことによるトラブルを抱えた人の多くは、筋肉疲労ではなくその他に原因があります。そしてそのほとんどが、筋肉がアンバランス状態に変調していることによるものです。筋肉の変調とかアンバランス状態というのはイメージしにくいと思いますが、私たちの筋肉はいろいろなことで変調しやすくアンバランスになりやす特性があります。皆さんが行う体操やヨガや水泳などのトレーニングやウォーキングなどは筋肉を鍛えるだけでなく、バランスを取り戻して変調を改善する目的もあります。同様に、整体の施術によって膝周辺の筋肉を調整しますと中間広筋の働きが戻ってきます。筋肉を強くするのではなく、筋肉がよく働ける状態にすることが、施術の目的です。

③膝関節の構造物が傷ついていたり損傷している場合
 膝関節は座ったり立ったりするときには前後に大きく動きます(屈曲と伸展)が、少し捻るような運動(回旋)も行います。また、真っ直ぐに立つときなどは自然と膝関節にロックがかかり下肢の筋肉に余計な負担が掛からないような働きもしています。そしてこれらの運動がスムーズに行えるように骨以外に幾つかの構造物があります。

膝の内部構造

 これらの構造物が健全な状態で順調に働いているのであれば膝関節に大きな問題は起こりません。しかし、何かの理由で靱帯が損傷したり半月板が傷んだりしますと、膝関節は変形の方向に進むようになります。
 そして状態が悪化しますと変形性膝関節症と診断されるようになりますが、その状態がさらに進行しますとやがて半月板を失うような状況になり、クッションを失った大腿骨と脛骨が直接接するようになります。

正常膝と変形膝(レントゲン)

 そうなりますと関節軟骨が欠損してその欠片が関節包内に浮遊する状態になりますが、これらの状況によって膝関節は慢性的な炎症状態となり常に痛みを感じるようになります。
 ここまで状態が悪化しますと整体的手法だけでは対応することが困難です。整形外科におけるヒアルロン酸、痛み止め、抗炎症薬などを併用しながら痛みと闘っていくことになろうかと思います。ただ整形外科任せだけでは、状況は次第に悪化していくと思います。残念ながら、実際のところ、整形外科では変形性膝関節症の進行を阻止する術を持っていないからです。
 変形性膝関節症は膝関節の歪みから始まります。関節が歪んでいるので膝に体重が掛かりますと、膝は歪んでいる方向にちょっとずれます。変形性膝関節症の多くは、大腿骨に対して脛骨が外側にずれたO脚状態ですが、その場合、歩行時など片膝に全体重が乗るときに脛骨は外側にはみ出るように少し動いてしまいます。そんなことがたくさん繰り返されますと関節内側の半月板が損傷しはじめますが、やがて上記右側の写真のような状態に向かって進んでしまいます。

 右側写真のように内側の半月板がすっかりなくなって関節軟骨も損傷しているような状態にまでなりますと、残された手段は人工関節置換手術だけになってしまうのかもしれません。それはそれで良い方法だと思いますが、できればそうならないように、つまり半月板が消失するまで悪化させないように膝関節の状態を保っていただきたいと思います。そして、そのためには整形外科による治療に加えて整体的手段を併用された方が良いと思います。

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