ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

2018年09月

 当店は駅前にあるのですが、玄関前の道路には小田原市水道局の大きなマンホールの蓋が設置されています。その蓋の上をしばしば車が通過していきますが、その時に「ペッコン、ペッコン」と音がします。
 毎週のように来店されている常連の方がいますが、「あの音、なぁに? 気になるわね!」と文句を言いました。毎週のように来店されているので、聞き慣れているはずなのですが、その時に限って不愉快に感じたようです。
 「耳が過敏な状態になっているんですね」と私は応えました。「???」、きっとその方はそう思ったと思います。音がうるさいわけで、自分の耳がおかしいとは想像できなかったのだと思います。

 こういう状況は誰にでもけっこうありまして、耳が過敏な状態になっているので“音に負けてしまう”という現象が起こってしまいます。それを確認するために私は次のテストを行います。
 まず肘を90°に曲げていただき、私が手首辺りを掴んで「肘を伸ばそうと力を加えますので、肘が伸びないように力を入れて肘が曲がった状態を保持してください」と行います。私はその時の反応を観察します。平然と耐え続けられるようであればOKですが、何秒もしないうちにガクガクしたり、顔や別の場所に力を入れて耐えるような仕草をしたり、あるいは力が抜けてしまって耐えることができないようになってしまったら問題有りです。
 まず、ただそのテストだけを行い、状態を確認します。そして次に、テストしながら耳元で音を鳴らします。私がいつも使うのは小さな鐘の音で、「チリーン、チリーン‥‥」という高音の音ですが、それはどんな音でもかまわないと思います。耳が音を聞いたときに、からだから力が抜けてしまうか、平然としていられるかのテストです。
 耳および聴覚系が普通の状態であれば、音があっても無くても、肘の筋力(耐える力)に大きな変化はありません。ところが聴覚系が過敏な状態になっていますと、耳に音が入ッタ瞬間に肘の力を保つことができなくなってしまいます。私は片手で鐘を鳴らしながら、他方の手だけで筋力検査を行わなければならないので肘の力が保持できるかどうかの筋力検査にしていますが、どんな筋力検査でもかまいません。Oリングテストなどに馴染みのある人は、Oリングテストで試してみてください。

 さて、冒頭に取り上げた常連の人は、左耳の検査では大丈夫でしたが、右耳の方は耳元で鐘の音をならした瞬間に肘から力がすっかり抜けてしまい、まったく耐えることができなくなってしまいました。耳がとても過敏になっていることがわかりました。

過敏になっている状態とは?
 春先になりますと多くの人が花粉症で悩まされます。それは純粋に花粉に対して「アレルギー反応を起こしてしまう」ということもありますが、鼻の粘膜が過敏になってしまい、花粉だけでなくハウスダストやその他のものにまでアレルギー反応を起こすようになってしまったり、ちょっとした気温の差や風などに反応するようになってしまったりします。元々の「花粉アレルギー」から鼻や眼が過敏になってしまった「花粉症」という状態になってしまったのだと思われます。
 
 では、「過敏になる」とはどういうことでしょう? 「素肌が過敏ですぐに肌荒れしてしまう」「目が過敏で昼間のまぶしさに耐えられない」そして今回話題の「耳が過敏で、キーーっという金属音に耐えられない」という感覚器官の過敏状態があります。

耳の構造2


 耳(聴覚器)は音を聞き分ける感覚器官ですが、その仕組みを簡単に説明してみます。
 「音」の実態は空気の振動だとされています。ですから耳は空気の振動を感じて反応する器官であるということができます。
 耳は外耳、中耳、内耳の3つの部屋に分かれていますが、耳の穴(外耳道)から入ってきた空気の振動は外耳と中耳の境にある鼓膜を振動させます。すると鼓膜の振動は中耳にあります耳小骨と呼ばれる三つの小骨の振動に変換されます。音がしない(?)のに音を伝える「骨伝導イヤホン」などがありますが、それは鼓膜を介さずに直接中耳に働きかける仕組みになっています。
 中耳の奥には内耳がありますが、そこはリンパ液で満たされた仕組みになっています。かつて海の中で生活していた私たちの遠い祖先(=魚)の面影がそこに残されています。中耳で骨の振動に変換された音は、内耳の水を振動させます。つまり最初は空気の振動だった音が最終的に液体の振動に変換される仕組みになっているわけです。そして内耳の液体振動は、そこにある細かい毛を揺らすのですが、それによって微弱な電流が発生します。その微弱な電流は電気信号として神経(蝸牛神経など)を伝わり脳の中に入っていきます。そして脳内の担当部位で処理されて私たちが「音」として認識できるようになるわけです。

音波の伝わり方


 ですから耳が過敏になる、あるいは難聴状態になるというのは、空気の振動を正確に処理して電気信号として脳に伝え、私たちが音として認識する一連の過程の何処かに不具合や不調があるという理屈になります。
 第一段階は外耳~鼓膜にかけて、第二段階は中耳、第三段階は内耳、第四段階は神経、第五段階は脳という五つの過程のどこに問題があって耳の不調や症状となっているのかを考えることが必要になります。

 さて、「過敏な状態」とはどういうことかを考えてみます。私たちは常にいろいろな外的刺激受け続けているわけですが、その刺激に対して「迅速に、正確に対応できない状態」あるいは「刺激に耐えられない状態」が過敏な状態ではないかと私は考えています。
 例えばパソコンで動画を見るとします。動画は静止画を1秒間に30枚の速度で画面に表示し続けるわけですが、スムーズに再生するためにはパソコンにそれなり処理速度が求められます。十分な処理能力を持っているパソコンであれば快適に動画を見ることができます。ところが10年前、20年前のパソコンを引っ張り出してきて同じ動画を再生しますと、途中で動画が止まってしまったり、あるいはまったく再生できなかったりすることが起こります。それは動画という情報量の大きなデータを正確に処理できる能力をパソコンが持っていないからです。
 通常、私たちはある範囲内(周波数や音量)の音波は正確かつ迅速に処理することができる聴覚器官を持っています。ところが適正範囲を超えるような音波、たとえば大音量の音楽などの刺激には耐えられなくなってその場から離れたくなったりします。そうでなければ上記の五段階プロセスの何処かが傷んでしまうと本能として感じるからだと思います。
 あるいは適正範囲であったとしても自分の体調が悪かったりしますと、処理能力が落ちてしまいますので、音波を正確かつ迅速に処理することができなくなってしまいます。
 「会話の声が頭の中でガンガン響いて頭痛がする」「いつも心地良く聞いている鳥の囀りが気に障る」「自分の声が響いてしまう」‥‥‥これらの不調は音波の処理に関して自分の能力に問題があると考えるのが理にかなっています。「音が気になるから窓を閉めて、音が入らないようにする」「なるべく会話しないようにする」といった方向での対処は、それこそ対処療法であり、解決には至らない方向です。

 ですから「過敏な状態」とは、あるいは「過敏な状態になる」とは下記の二通りではないかと思います。
  1. 自分の処理能力に問題は無いが、刺激が強すぎて正確に処理しきれないため暴走状態になってしまう。
  2. 刺激の強さや量は通常であれば十分にこなせる守備範囲内なのに、自分の処理能力に問題があって正確に処理し蹴れない状態。

 上記2.の場合、問題を解決するためには低下してしまった自分の処理能力を本来の状態に戻すことが必要です。
 冒頭に登場していただいた方は、後頭部右側の後頭下筋群と呼ばれる筋肉が大変強くこわばっていました。その他に右手の親指や人差し指が少し捻れていて強くこわばっていました。これらによって右耳周辺~首筋にかけて強い「張り」がありました。左右の耳の位置を比べますと、右耳は左耳に比べて後方やや下方向にずれた状態でした。
 結論的としては、右手のこわばりや後頭部筋肉のこわばりによって右耳が後下方に引っ張られていたため、外耳道が歪んだ状態になっていて、さらに首筋の筋肉の張りもあって中耳につながる耳管も少し歪んでいたのではないかと思います。耳管は耳の中と外気との気圧を調整する働きをしますが、耳管閉塞症、耳管開放症と呼ばれる症状もありますように、聴覚にかなり影響力を持っています。
 外耳道の歪みは鼓膜の働きに影響を与え、耳管の歪みは中耳の働きに影響を与えますので、それらによって右耳の音波処理能力が低下してしまい、耳が音に対して過敏な状態になってしまっていたと考えられます。
 
 ですから私は右手の手指を整え、後頭下筋群のこわばりを改善して、頭蓋骨の歪みを修整することで右耳の位置を整え、首筋の張りがなくなるように施術を行いました。
 20分くらいの施術時間だったと思いますが、施術後、再び耳元で鐘を鳴らして肘の力がどうなるかのテストを行いました。するとまったく問題の無い状態になりました。そして、玄関外のマンホールの蓋が鳴ってしまう「ペッコン」という音も「さほど気にならない」と仰るようになりました。

 耳も目も鼻の穴も二つありますので、片方が他方を補う仕組みもあって、これら感覚器官の不調は自覚しづらいことではあります。しかしほとんどの人が、二つあるうちの一方を好んで使っている傾向があります。右眼ばかりを使って文字を見ていたり、右の鼻の穴は空気が通るけど左側の穴はほとんど呼吸で使っていなかったり、耳も聞きやすい方で聞いていたりします。両方の耳で受話器を使っている人は少ないと思います。
 不調は自覚しづらいかもしれませんが、実際には存在しているかもしれません。二つあるうちの一つを塞ぐなどして‥‥右の鼻の穴を塞いで鼻の通りを確認したり、眼も片方ずつ見え方を確認したりして不具合や不調の有る無しを確認してみてください。
 見たもの(=見え方)によって心は動かされますし、嗅いだ臭いや聞いた音によって、触れた感触によって感情は動きますので、感覚器官の状態は心を豊かに健やかに保つためにとても重要です。

 もし、「いつもストレスや圧迫感を感じる」とか「すぐにむかついてしまう」「短気をおこしてしまう」「心が塞いでしまう」など内的、心的問題を感じているなら、ご自分の感覚器官をチェックしてみることも必要なことだと思います。「(自分の)外の問題が降りかかっている」と感じていたものが、実は「自分の感覚器官に問題があった」となるかもしれません。それであれば、自分のやり方次第で問題は解決するわけですから、気持ちも楽になるのではないかと思います。


 今回登場していただいたの方は五つあるプロセスの最初の二つ、外耳と中耳の問題を修正しただけですみました。そしてこのような状況の人は「普通に居る」と私は思っています。
 外耳と中耳の問題であれば耳鼻科の医師が担当ですし、素人的な考えでは「それで事足りる」と思ってしまいます。ところが「外耳のズレ」とか「耳管の歪み」「首筋の張り」といった項目は耳鼻科の扱いにはないのかもしれません。
 ご自分の耳の働きに不具合があると認識された方は、一度は耳鼻科に行かれたほうがいいかもしれませんが、解決は期待できないかもしれません。その場合は、筋肉や骨格のことに詳しい治療院や整体院を探して訪れてみてはいかがでしょうか。普通にマッサージや揉みほぐしをしているチェーン店の整体院などでは話も通じないかもしれません。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
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 太股やふくらはぎなどの静脈が膨れあがってミミズが這っているように見えてしまったり、足首周辺の静脈までも膨れて紫色になってしまうのが下肢静脈瘤が進んだときの特徴です。着圧の靴下やサポーターが症状の進行を防ぐために「効果的かもしれない」ということで、病院などでも使用を薦められているようです。ところが進行してしまった下肢静脈瘤に対しては効果は期待できないのが実態かもしれません。
 下肢静脈瘤は、症状が悪化しますと手術を薦められ、あるいは見栄えを良くするための手段として手術を選択する人もいます。ところが「なぜ下肢静脈瘤になってしまったのか?」という根本的な原因が解決されなければ再び症状が発症してしまう可能性は残されたままになってしまいます。

 「手術を行った後は、予防措置として着圧靴下などでふくらはぎや足首などを圧迫しておけば症状の再発は防ぐことができる」という考え方もできるかもしれませんが、この方法では圧迫し続けることによる弊害という別の問題が生じます。

 ところで、「どうして下肢静脈瘤になる人と、ならない人がいるのか?」
 この極めて素朴な疑問に医学はどう答えるのでしょうか? 医学は原因を追及して下肢静脈瘤になる人が少なくなるように知らしめる必要があると私は思うのですが、どの病院のホームページを見ても、手術や処置のことばかりで、私たちが知りたい「肝心なこと」に対する対応は見受けられないようです。

 現在、下肢静脈瘤の症状をもった人が数人来店されています。中でも印象的な人が3人いらっしゃいます。高齢者でかなり症状が進んでいますがその他のこともあって手術が受けられない人、すでに手術を受けて表向きは静脈瘤が改善されているように見える人、妊娠してから静脈瘤と脱腸と下肢の痛みを発症した妊婦さんです。 

下肢静脈瘤と皮下筋膜の関係

骨と筋肉と筋膜と皮膚の構造イメージ

 筋肉など軟部組織と骨格の構造を簡単に申しますと、一番表層に皮膚があり、その下層に筋膜(皮下筋膜)があって、その下層に浅層筋や深層筋に分類される筋肉があります。そして、一番奥に骨膜にくるまれた骨があります。
 下肢静脈瘤で問題になる静脈は大伏在静脈や小伏在静脈など皮膚と皮下筋膜との間を走行している表層の静脈です。静脈というのは血管ですから、下肢静脈瘤は直接的には血管自体の問題です。しかし、その血管が皮膚と皮下筋膜の間に存在しているということは、静脈と皮下筋膜とには深い関係が存在すると、整体的にはそう考えます。



 骨格と筋肉と皮下筋膜の関係を簡単に説明することは難しいのですが、一つの在り方として、皮下筋膜は筋肉の働きを支えるサポーター的な役割をしています。
 例えば足首を捻ってしまい軽い捻挫状態になったとします。この状態では足首を安定させる靱帯が伸びてしまったために足首がグラグラして不安定になります。すると足首周辺の筋肉が上手く機能しなくなりますので、普通に歩くことが困難になってしまったり、痛みを感じるようになってしまったりします。こんな時にはテーピングをしたり、サポーターをして足首の不安定な状態を補助することがありますが、それによって足の筋肉が働ける状態になって歩くことができるようになります。つまりこの時使用するサポーターなどは筋肉の働きを手助けする役割をしているわけです。
 皮下筋膜はこのサポーターのような働きもしています。皮下筋膜がしっかりしていることで、内部の筋肉と骨はその位置を正しく保持することができますし、筋肉は持てる力を発揮することができて動作をスムーズに行うことができるようになります。
筋膜がゆるんで筋肉が緊張

 太股の筋肉は骨盤から大腿骨に繋がっています。そして骨盤と大腿骨と筋肉全体を覆うように皮下筋膜がサポーター的な働きをしていますが、この皮下筋膜がゆるゆるな状態になってしまいますと筋肉の働きをサポートすることができなくなります。すると筋肉は通常よりも収縮力を強めて骨格を支えなければならなくなります。それは太股筋肉の慢性的な緊張状態を招き、慢性的に痛みを伴う状態を招きます。立っているだけで太股が辛くなったりします。
 ふくらはぎの皮下筋膜がゆるんだ状態では、椅子に座っているだけでふくらはぎが辛くなります。重力から解放される寝た状態が、唯一辛さを感じない状態になるかもしれません。

 下肢静脈瘤の人に対する対処法として着圧の靴下やサポーターを履く方法がありますが、その効果の一つは、ゆるんで働きの悪くなってしまった皮下筋膜に替わって筋肉と骨格を支える役割だと思います。“着圧”は血行を悪くするという意味で“就寝時は止めたほうがいい”と私はアドバイスしていますが、皮下筋膜の働きを補うという意味で昼間の活動時間帯は履いた方が良いと私も思います。

 もし、素足でいるよりも靴下やストッキングやスパッツを履いている方が“落ち着く”という感じになるのであれば、それは皮膚や皮下筋膜がゆるんでいて働きが悪いのかもしれません。今は下肢静脈瘤とは無縁だと考えているかもしれませんが、皮膚や皮下筋膜のゆるんだ状態が長引きますとやがて下肢静脈瘤になる可能性は高いと思います。
 もし、太股やふくらはぎを何かで軽く締め付けた状態の方が解放されている状態よりも“安心する”と感じるのであればそれは悪い兆候だと考えられます。対処することをおすすめします。
 (但し、冷え対策のために温めるものを履いている方が心地良い、というのは別です)

皮下筋膜の調整
 整体の一つの手法として「筋膜リリース」があります。これは筋膜を直接操作してからだを整えるという整体法のようです。私は今回「筋膜」について取り上げていますが、それは筋膜リリース法とは全く関係がありません。「筋膜」という耳慣れない専門用語が同じということで混同される人が多くいますが、内容は全く異なります。

 さて、筋膜には骨や筋線維や筋肉などを包む膜(骨膜、被包筋膜)と内臓を包む膜(胸膜、腹膜)と皮膚の下層にあって全身をシート状に包む膜(皮下筋膜)があります。下肢静脈瘤に関係するのは主に皮下筋膜になりますが、何故なら皮膚と皮下筋膜の間に下肢静脈瘤で問題になる静脈があるからです。(大伏在静脈・小伏在静脈など)
 ふくらはぎや足は心臓から遠く離れていることから、静脈の還りが悪くなりやすく停滞しやすいという見解があります。それも理由の一つかもしれませんが、静脈自体「自身の力では血液を流すことができない」という理由の方が影響力が強いと私は考えています。静脈の血管は、自ら収縮する力は非常に弱いので、血液を流すためには周囲の筋肉の働きを利用しなければなりません。それは“乳搾り(=ミルキングアクション)”のような原理です。下肢の静脈には血液の逆流を阻止するための弁があります。例えば歩くことによって足首が動き、ふくらはぎの筋肉が収縮と弛緩を繰り返しますが、すると静脈は圧迫されたり、解放されたりする状態になります。それはミルキングアクションの仕組みであり、それによって中の血液が前に前にと進むことになります。

ミルキングアクション

 ですから事務仕事などで一日何時間も座り続けているようですと、あるいはずっと立ちっぱなしの仕事ですと、このミルキングアクションがおろそかになりますので、次第にふくらはぎや足周辺に静脈血やリンパが溜まってしまい、夕方にはむくみのひどい状態になってしまったりします。
 さて、下肢静脈瘤の原因として「静脈弁が壊れてしまって血液の逆流が起こり血管が膨れあがる」という見解があるようですが、私は素直に同意できません。
 「果たして静脈弁が壊れるだろうか?」 「壊れる」のではなく「機能が低下している」ということなのではないかと私は思います。「機能が低下している」と考えるのであれば、「機能を向上させる」という考え方につながります。
 そして私は皮下筋膜の働きや状態が悪いことによって皮膚も含めて静脈の血管がゆるんでしまい、静脈弁が上手く機能できない状態になってしまうのではないかと考えています。
 筋膜は骨格や筋肉の位置を本来の状態に保持し、腹膜は内臓の位置を本来の状態に保持するために働いている申し上げましたが、同様に皮下筋膜は静脈の位置と在り方を本来の状態に保持する働きもしていると考えています。

 ここで、実際にどういう考え方と方法で皮下筋膜を整え静脈瘤に対応しているかについて説明します。

 まず50歳くらいの女性で少し前に静脈瘤の手術を受けた人です。この女性は子供の頃に右膝を脱臼した経験を持っています。膝から下が真横に曲がってしまうほどのひどい脱臼だったようです。小児喘息だった経験もあって常に呼吸状態が悪く、加えて右眼が光に弱く「涙目」で悩まされている状態です。下肢静脈瘤の症状も右脚の方が強かったとのことで、当然、右下肢の皮下筋膜はゆるんだ状態です。呼吸の悪い人に多いのですが、舌が下がっていて舌先は下の歯についている状態です。
 これらの症状や状態をもたらせている大元の原因は右膝脱臼により膝関節が少しずれていることです。ふくらはぎが太股の骨に対して外側やや後方にずれていて、さらに足首に向かってふくらはぎが内側に捻れています。この原因は子供の頃に経験した脱臼によるものですが、右膝内側の筋肉や靱帯が伸びてしまっているためにこのような状態になってしまったと私は考えています。そしてその損傷によるダメージがかなり強く、なかなか良い状態に回復してくれません。
 この女性は大腿部の皮下筋膜もふくらはぎの皮下筋膜もゆるんだ状態ですが、膝関節の状態を良い感じに戻しますと、つまり、ふくらはぎの骨を内側やや前方に移動して足首近くを外側に少し捻りますと、皮下筋膜の状態はすっかり改善しますし、舌も上がって呼吸と喋りが良くなり、涙目も改善します。ですから、なんとか膝関節が良い状態になるように、ダメージの残っているところを施術し続けるようにしています。最初に来店されてからそろそろ1年になりますが、今は静脈瘤の兆候は全くありません。来店当初は着圧靴下なども使用していましたが、今は使用しなくても大丈夫の状態です。

 次に30歳代で妊娠中の女性です。妊娠6ヶ月で来店されましたが、当初の目的は「脱腸をどうにかしたい」というものでした。左の鼡径部の辺りが脱腸状態でしたが、左ふくらはぎの内側と左足首の内側はかなり激しい静脈瘤を発症しています。その他には噛みしめる癖と手を握ってしまう癖が強く、毎朝起きると強い頭痛に悩まされるという症状を持っていました。妊娠中でお腹も大きくなっていますので、揉みほぐすなどの手技はできませんから、調整だけで何とかしなければなりません。
 脱腸状態(本当に脱腸だったかどうかは知りません)の主な原因は左側大内転筋がゆるんでいたことでした。大内転筋はお尻のすぐ下にある太股内側の筋肉ですが、この筋肉の働きが悪いことにで左鼡径部が下がってしまい、大きくなったお腹が鼡径部から少しはみ出るような状態になっていました。ですから立ち上がるとお腹の一部が左鼡径部のところではみ出てしまい、不快さと痛みを感じていたのだと思います。しかしながら大内転筋のゆるんだ状態は下肢内側筋膜(皮下筋膜)のゆるんだ状態に繋がりますので、ふくらはぎ内側と足首内側の静脈瘤の原因の一つにもなります。

 ところで、妊娠は下肢静脈瘤を発症するきっかけになりやすいとのことですが、ベースには“皮下筋膜のゆるみ”があると思います。妊娠によって、それまで自分のためだけにあった血液は胎児を育てるためにも供給されなければならないので、当然全身の血液循環は変わります。もし妊娠が下肢静脈瘤の発症原因であるとするならば、左右両側に下肢静脈瘤の兆候が現れると思いますが、この女性は左下肢だけですので、妊娠が原因であるとは私は考えにくいところです。元々左下肢の血液循環に問題があって、それが妊娠によって静脈瘤という形で表に現れたと考えるのであれば、やはり改善すべきは“妊娠による影響”よりも“元々の血液循環”の方だと思います。
 さて、この方は現在妊娠中で休んでいますが、弓道をやっています。そこで弓道の練習におけるいろいろを尋ねてみました。すると左手が上手く使えないこと、左腕を挙げるのが辛いことなどの訴えがありました。その他には子供の頃(2歳の時)、前歯の左側を強打したことがあることなども聞きました。そこで、左肩から左手にかけて観察していきますと左肘に問題があることがわかりました。さらに左肘の問題で左手が上手く使えない状態なのに弓を操作しなければならないので、左手を不自然に使っていたこともわかりました。そしてこれらの問題は左膝の不安定さにつながり、問題の左大内転筋および左下肢内側筋膜のゆるみの原因となっていました。
 さらに2歳の時の前歯を強打したことによる影響もずっと残っていて、それが噛みしめてしまう原因の一つになっていて頭痛をもたらし、その他にも影響をもたらしていることがわかりました。
 これまで8回ほど来店していただきましたが、脱腸、噛みしめ、頭痛の問題はすっかり解消し、ふくらはぎの静脈瘤も良くなり、今は足首内側の静脈瘤が残っているだけの状態になっています。それも見た目には静脈瘤が残っているものの、痛みもだるさもほとんど感じない状態になったとのことです。
 妊娠するかどうかは別にして、女性は男性より(妊娠に備えるためか)複雑な構造と仕組みになっていると思います。ですから人生のいろいろで、影響を受けることも男性より多いと思います。ですからくれぐれも「からだを大切にして欲しいなぁ」と思います。余計なことですが、安易に美容整形の手術や、抜歯を伴う歯列矯正や、小顔矯正などに惹かれていって欲しくないと私は個人的に思います。

 3人目の両下肢が静脈瘤状態の後期高齢者の女性は、その他にいろいろな症状を持っています。今、最も悩んでいる症状は坐骨神経痛になりやすく、脚が棒のようになってしまい満足に歩くことができないことです。さらに立ち上がるとふらついてしまい、さらに歩きづらくなってしまうことも悩みです。
 ですから下肢静脈瘤については時々話題にのぼる程度ですが、両ふくらはぎとも血管がかなり浮き出ていますので、気になっていて「手術しなければいけないのかしら」と仰います。
 例えば腕と手について、子供や若い人たちと、高齢者の、見た目の違いを観察しますと、若い人たちの血管(静脈)はほとんど浮いていませんので、素肌が白ければブルーの血管が透けて見える感じです。夏など陽に焼けますと血管がすっかり隠れてしまうと思います。ところが高齢者では、手の甲の血管は太くて浮き上がり、腕の血管も太くなっていて浮き上がっている人が多くいます。
 この違いは、私は好きな言葉ではありませんが、「加齢によるもの」「老化現象」と言わざるを得ないのかもしれません。子供達や若い人たちの筋肉や筋膜は、それ自体がやはり若々しく締まっていますので、静脈の状態も同様であると考えることできます。ですから血管は“浮かない”のでしょう。一方、加齢に伴って筋肉も筋膜もゆるみやすくなりますが、血管も同様で、血管を形成している筋層がゆるんでしまうために弾力性が乏しくなり太くなってしまうと考えられます。さらに周囲の皮下筋膜や皮膚もゆるんでしまうので、「太くなった血管が浮いてしまう」という現象となり、「やけに血管が目立つ=老化」という事態になってしまいます。
 ふくらはぎも同様だと考えることができます。もし、ふくらはぎの血管が紫色であるならば、それは対処しなければならないと思いますが、そうでないのであれば、血管が太く浮き上がっている状態だったとしても、あまり気にされない方が良いのではないかと思います。血管がゆるんで太くなったことから静脈弁が機能できない場所がいくつかでき、そこの色が濃いブルーや多少紫色になるかもしれませんが、それは頻繁に擦ったりすることで血を流すなどして対処することができます。その程度が良いのではないかと思います。
 この女性の場合、ふくらはぎ全体の血管が太く浮き上がっていますので、手術しようにも「どの血管を焼いたり抜いたりすればいいのだろうか?」という問題と、からだに手術という負担を掛けてまで対処すべきことなのか、という疑問が浮かび上がってきます。私は手術による2次的影響のことを考えてしまいます。
 それよりも、今は坐骨神経痛を解消することを優先して、たくさん歩けるようになること、歩くことによってふくらはぎや足首の筋肉をたくさん使えば、ミルキングアクションによって静脈の流れも良くなり、皮下筋膜もしっかりするので静脈瘤のこともさほど気にならなくなるのではないかと思っています。

 下肢静脈瘤は外見的な憂鬱さをもたらすかもしれませんが、症状が進みますとだるさや痛みを感じることもあるようです。皮下筋膜がゆるむことで骨格を支える力が弱まりますので、筋肉はそれを補うために常に収縮した状態になります。つまり慢性的なこわばり状態、慢性的な緊張状態です。すると何かに触れただけで強い痛みを感じたり、立っていたり、座っていたりするだけで辛くなるので、ついつい横になってしまい、家庭内で「なまけもの」のような目で見られると、憂鬱になってしまう人もいます。
 また、お医者さんの指導に真面目に従って、寝るときも含めて常に着圧をつけていることで血行が悪くなっている人もいました。呼吸は肺だけで行っているのではありません。ふくらはぎや足先の細胞も呼吸を行っています。それが常に圧迫を受けているのであれば満足な呼吸ができない状態になっています。すると自律神経の働きにも影響が現れて眠りが浅くなったり、便通が悪くなったりするかもしれません。せめて夜、活動していないときだけでも着圧は外していただきたいと、そう思います。それが理にかなっていることだと思います。


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