ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

2018年06月

 手術痕が整体的な面でからだに影響を及ぼしていることは「必ずある」と私は考えています。
 帝王切開による出産の影響については以前に取り上げたことがありますが、一般的に、からだに負担が少ないとされている内視鏡による手術も、実際は少なからず影響をもたらすことがこの度わかりました。
 そして「こんなちいさな傷も影響があるの?」ということも実際にありますので、今回はそのことについて説明させていただきます。

内視鏡手術による負担
 外科的手術の技術も進歩し、内視鏡手術が盛んに行われるようになって入院日数はかなり短縮されていると聞きます。メスで切開する面積が減ったことで縫合範囲が大幅に狭まったことが大きな要因なのかもしれません。
 私は「それは良いことだ」と単純に思っていますが、しかし同時に「油断はできない」とも思っています。

 からだケアのために定期的に来店されている方が内視鏡による手術を受けました。お腹に3箇所穴を開けての手術だったようですが、入院日数は一週間程度で、予定通り順調に退院されました。手術の工程で、ガスを体内に注入したとのことです。術後しばらくの間はそのガスが体内に残っていることによる痛みを感じていましたが、その他には特に問題も生じていないとこのことでした。ガスによる影響も1ヶ月くらいでなくなり、「順調に回復しているのかなぁ」と思っていましたが、手術後2ヶ月ほど経った頃から手術による影響が現れ始めました。
 下腹部の病巣部分を切除して取り除いたのですが、その辺りが周辺部に比べてヘニョヘニョと腑抜け状態に感じられました。手術直後はからだも”緊急事態”と判断したのか、血液を手術したところに集め、筋肉の働きを強めていました。やがて、からだの状態も回復してきたので緊急事態モードから通常モードに移行したのですが、病巣を切除した箇所はまだまだ力が弱いために、触ると腑抜け状態が目立った感じに残ってしまっている、ということだと思います。

内視鏡手術による影響

 この腑抜け状態は、筋肉の働きに置きかえて表現しますと“収縮力や張りの弱い状態=働きの悪い状態”ですから、その影響で股関節が不安定になってしまいました。ご本人の自覚では「足首が硬くなって動きが悪い」ということでしたが、股関節が不安定なために足首周りの筋肉がこわばってしまい足首の動きを制限している状態です。
 このようなときに行う施術は、腑抜け状態に感じる部分に手を当てて、血液を呼び込むようにして筋肉や組織の回復を促すことです。10分くらい手を当て続けていますと次第に腑抜け部分に張りが戻ってきて股関節がしっかりしてきました。そして足首を動かしてもらうと、動きも回復し、左右の足首の動きが同じような状態になりました。
 しかしながら10分間の施術を1回行うだけでは、また時間の経過と元の腑抜け状態に戻ってしまいますので、このような施術を何回か行う必要があります。

 内視鏡手術を選択することで切開部分が少なくなるため、表面的な回復(傷も痛みも解消する)時間は明らかに短縮されます。しかしながら表面的には回復しても“筋肉や組織の機能”という“見えない傷”が回復したわけではありません。そのことをもっと知っていただきたいと思っています。

カテーテル治療による負担
 私事ですが、2016年10月に40日間ほど入院する病を患いました。その時、カテーテルによる治療を一回受けました。右鼡径部の大腿動脈からカテーテルを挿入していく治療でした。退院後、普通の生活に戻り、仕事も普通に行っていますが、2017年の秋頃から時々皮膚に湿疹が出ては冬場にかけて症状が少しずつ悪化していきました。これまでの人生で皮膚に湿疹が現れるようなことはありませんでしたから、「やはり入院がきっかけだろうか?」などと思っていました。
 カテーテル治療を受けたとき、医師から「カテーテルを挿入したところが痛くなるかもしれませんが、やがて痛みは治まるので気にしないでください。」と言われました。実際のところ、特に痛みは感じませんでしたので、ほとんど気にすることもありませんでした。
 秋口から症状が出始めた皮膚の湿疹も「温かくなれば良くなるのかなぁ」などと思いながら春を迎えましたが、症状が改善する兆候はでてきません。そこで、ふと、カテーテル治療のことを思い出しました。そして鼡径部を左右で触り比べてみました。すると明らかに左右で違いがあり、カテーテルを挿入した右鼡径部が大腿動脈の辺りを中心に全体的にゆるんで腑抜けのような状態でした。

カテーテル挿入による「ゆ」

 「やはり血管がゆるんでしまったんだ」と思いました。治療後の痛みは殆どありませんでしたから気にしていませんでしたが、カテーテルを挿入した部分の血管壁や、もしかしたら他の場所も、血管の筋肉層が弱い状態になってしまい、それで血液の流れが変わって皮膚に湿疹がでるようになったのかもしれない、と思いました。(このあたりの見解はあくまでも私感ですので、間違っているかもしれませんが。)
 それから毎朝ベッドから起きる前に15分間くらい自分でセルフケアをしていますが、不思議なことになかなか腑抜け状態は改善されません。血管そのもののゆるんだ状態も、その場では良くなるのですが、翌朝はまたゆるんだ状態になっているという状況がもう3ヶ月ほど続いています。

 私の母(80歳)は昨年の8月に心臓のカテーテル検査を受けました。その後、何かの症状が現れたということはありません。しかし、最近になってお腹が太ってきました。どちらかというと痩せ型の体型でしたが、この2~3ヶ月の間に「けっこう太ったなぁ」という印象です。
 母は10年ほど前にリウマチを患い左膝が変形してしまいました。その影響でこの2年ほどは杖を使って歩いていたのですが、いよいよ痛みがきつくなり、昨年10月に膝の人工関節置換手術を受けました。その後の経過は良好で、今は杖に頼ることもなく毎日よく歩いています。ですから運動量は以前より確実に増えました。食事の量が増えたわけでもないのに体型が太ったこと、それも退院直後から少しずつ変化してきということではなく、半年ほど経過した頃から、カテーテル検査から8~9ヶ月ほど経った頃から変化が現れてきたことを考えますと、私の場合と同じように、「もしかして血液の流れ方が変わり、その影響が表面化し始めたのが最近のことなのかな?」などとも思えます。

 カテーテルによる治療や検査と、私の皮膚湿疹、母の体型変化に直接的な因果関係があると思っているわけではありません。ただ、私のことで申し上げれば、カテーテルを挿入した場所の血管(右側大腿動脈)はゆるんだ状態になっています。そして不思議なことなのですが、同側の右側ではなく左側の頚動脈や橈骨動脈の血管がゆるんだ状態になっています。(橈骨動脈は、手首のところで“脈を測る”血管ところです。)そして右側はややこわばった状態になっています。
 血管の状態は自律神経の交感神経によってコントロールされますので、血管がこわばったり弛緩したりするのは自律神経の影響によるものと一般的には受け止められるかもしれません。しかし血管も筋肉でできていますから、神経支配とは関係なく筋肉自体の性質としてこわばった状態になったり、ゆるんだ状態になったりすることがあります。そして血管の状態は当然血圧にも影響を及ぼしますので、“血液の流れ”に変化をもたらします。私の場合は、右下半身と左上半身の動脈がゆるんだ状態で、左下半身と右上半身の動脈が少しこわばった状態ですので、全身の血流が“一様な状態”というわけではないと考えることができます。その状態が半年、1年と続いたために、皮膚に湿疹という形で歪みが現れたのかもしれません。
 実際、この3ヶ月ほどセルフケアを続けていますが、大腿動脈のゆるんだ状態はなかなか思うように改善しません。「ちょっとずつ、ちょっとずつ回復している」という感じでしょうか。単にカテーテルを挿入したところの問題なのか、あるいは薬剤を用いたのであれば、その影響によるものなのか、そのあたりはよく解りませんが、実感としては「血管の変調はそう簡単に改善するものではないのかなぁ」という感じです。

メスを入れた部分とメスの入れ方と
 再び私事ですが、18歳の時に臍のすぐ下、ベルトのバックルが当たる部分に“おでき”ができました。当時は野球を真剣にしていましたので、バックルに当たってしまう“おでき”は痛いので、とても邪魔な存在でした。
 我が家の家庭の医学では、“おでき”ができたときには、ある程度熟すのを待って膿を吸い出す薬( 「たこの吸出し」)を塗って、手指を使って膿を絞り出していました。ところが、その時には周りの人たちの勧めもあって聖路加国際病院に行きました。すると医師は何の躊躇もなく、巾2㎝くらいメスで切開して“おでき”の中身を出してしまう治療を行いました。アッという間の出来事でしたが、まだ若かったこともあってか回復も大変速く、バックルが気にならなくなったのも早かったように記憶しています。
 今の仕事に携わっていなければ、その時のことは全く気にならないことだったと思いますが、この仕事に携わってしまった今では「からだに悪いことをしたなぁ!」と思ってしまいます。たった2㎝程度の浅いメスの傷ですが、からだの正中線上を横に切ってしまったためにエネルギーの流れが弱くなってしまい、腹直筋の働きが今ひとつパシッとしない状態になっています。私の仕事の姿勢は前屈みが多いこともあってか、慢性的な軽い腰痛状態なのですが、「もしあの時メスを入れなければもっと楽だったかもしれない」と思っています。

任脈と切開

 東洋医学の見解では、からだの腹側正中線上を「任脈」と言いまして、生命力に密接に関係する大切なところとされています。「急所」がたくさんあるライン、と考えてもよいと思います。ですから、そこを傷つけてしまうことは“からだを弱めてしまう行為”と考えられます。あるいは、そこを大切にすれば「活力が高まる」と考えることもできます。インドの人が額の真ん中に赤いクムクムを塗ったり、アフリカの人が鼻輪をしたり、臍を飾ったりする伝統的な習慣は、おそらく活力を高めるための行為なのだと思います。ペンダントヘッドが首や胸の正中線上にくるように工夫されているのも、そのような意味があるのだと思います。
 最近は、ファッションとして臍ピアスをするために臍下に穴を開けている人もいますが、時々それが悪影響を及ぼしているのを見ることもあります。「ちゃんと理解した上でやってほしいな」と思ってしまいます。

 さて、以前にも申し上げましたが、からだのエネルギーの流れは基本的に縦方向です。ですから、メスを入れなければならないときは“縦に入れる”べきです。縦に切開するのであればエネルギーの流れを阻害する部分はとても小さくなります。私のように、たとえ2㎝であったとしても横方向にメスを入れてしまいますと、その2㎝巾でエネルギーの流れが切断されます。
 以前に、肝臓手術のために腹部を大きく横切るように切開された人が来店されたことがあります。腹筋をすっかり横切るように切開したこともあって、“まったく”と言っていいほど腹筋が働かない状態になっていました。そのシワ寄せが背筋の方にかかり、背中が盛り上がるほどガチガチになっていました。「ともかく切開したところにテーピングをして、少しでもエネルギーが流れるように工夫するしかない」そんな風にアドバイスしたと思います。
 薬局などで販売されているキネシオテープはエネルギーの流れを補助する意味で役に立ちます。テープかぶれの対策は考えなければなりませんが、もし腹部や背部、あるいは他のところでも、メスを入れた後が残っているようでしたらテープを縦方向に貼ってみてください。(メスの傷が横方向だからといって横方向に貼っても意味はないと思います。)それは筋肉の働きや機能を高めてくれると思います。



 私たちの通常の感覚では、細胞は新陳代謝によって再生されますので、ケガをしたとしても時間が経過すればすっかり元の状態に戻ると認識していると思います。おそらく90%以上は、その通りではないかと感覚的に思います。ところが、放って置いただけでは元に戻らないケガなどもあります。それは全体的に見ると数%かもしれません。その一つがメスによってできた手術痕です。その他には骨折によって傷ついてしまった骨膜、激しい捻挫によって伸びてしまった靱帯、産後のケアが悪く伸びたまま戻っていない骨盤底、ギックリ腰を繰り返したことによって働きがすっかり悪くなってしまった尾骨仙骨周辺の筋膜などがあります。これまでの私の経験で申し上げれば、それらは何十年経っても機能の悪いまま残り続けます。
 「10年前に出産して以来、ずっと腰痛」というのは骨盤底が戻る時期を逸してしまい骨盤が不安定なまま放置されているという意味です。
 また、40年前の捻挫、20年前の手術が、「これまで何ともなかったのに今頃になって影響が現れるの?」と質問を受けることがありますが、「若く体力のあるときは、そこの働きが悪くても他の部分がその働きを補ってくれていたのですが、体力の低下によって自分の仕事で精一杯になり、補う力がなくなってしまったために、昔の古傷の影響が急に表面化してきたのでは‥‥」と考えることができます。

 これらのマイナス面に対しては、積極的に改善を促さなければなりません。じっと待っていても自然治癒しません。つまりケガの90%以上は自然治癒力で改善しますが、数%は自然治癒しない可能性があるということです。
 これまでたくさんの人たちを施術してきての率直な見解です。
 反面、「この不調は一生ものかな」と感じていたとしても、古傷をしっかり改善することで不調が消失してしまうこともあります。
 一般的に病院等では、傷が癒えて痛みが消えれば、それで「治癒した」と判断されるのかもしれません。足首をねん挫したとしても、腫れが引いて、足首を動かしても、歩いても、走っても痛みを感じなくなれば、それで完治ということになってしまうと思います。ところが「機能が不十分な状態」で治療が終わってしまっていることはよくあることです。そして、それが原因で歯ぎしり癖になってしまった、というのもよくあることです。伸びてしまった靭帯をしっかりさせて足がカシッとした状態に戻すことで歯ぎしり癖がなくなったりすることもあります。

 今回は手術痕をメインに話をさせていただきましたが、ケガやギックリ腰や産後の不調などにも共通事項があります。何か心当たりのある方は、是非、専門家に相談されて積極的に対処されることをおすすめします。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
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 普段は海外で暮らされている方が次のような質問をされました。
 「向こう(西欧)で週3回ほどのペースでジムに通っているのだけれど、コーチに指導されて、お尻を突き出して中腰になり、膝を90°曲げたような姿勢をつくろうとするのだけど、太股の裏がきつくてきつくて。どうしてできないのだろう?」
 さらに、「いつも猫背を指摘されるだけれど、どうやったら猫背を直すことができるの?」

中腰


 外国の人たちに比べると我が国の人たちの姿勢は猫背が多く、お尻が下がっている人が多いと言えるかもしれません。私は外国の人では、中国人、韓国人、ブラジル人、フィリピン人のほんの少数しか施術したことがありませんので、もしかしたら間違った見解かもしれませんが、韓国人以外の他の国の人たちは明らかに日本人の体型とは違う印象を持っています。韓国の人も似ているようでやはり少し違うかもしれません。
 そして街で見かけたり、テレビなどを通じて目にするアメリカやアフリカの人たちは、やはり私たちとは体型的にまったく違うことがわかりますが、一番の違いは“骨盤の在り方”なのかもしれないと思っています。
 俗な言い方で表現しますと「外国人はお尻がプリッと上がって大きく、脚が長い」となると思いますし、それに比べて私たちは「お尻が下がって胴長で、ジーンズ姿も今ひとつ冴えない」となるのかもしれません。しかし、反対に着物姿は「やはり日本人が最高」だと思いますし、それは私たちの民族的な体型によるものかもしれません。お尻がプリッと大きな外国人の後ろ姿には帯は似合わないように思います。

お尻が下がるのは仙骨が後傾しているため
 一般的に、日本人は骨盤が後に傾きやすい(後傾)傾向にあると言われています。実際施術をしている実感からしても骨盤が後傾している人が多いですし、それがお尻が下がって見える一番の理由だと思います。

骨盤基礎01

骨盤基礎02

 骨盤は、真ん中に仙骨と尾骨があり、その両側に完骨がつながったものです。後面には仙腸関節があり、前面は恥骨結合があります。
 完骨は、その昔バラバラであった腸骨と恥骨と坐骨が癒合して一つになったものですので、骨盤の話題になったときには仙骨と腸骨の関節である「仙腸関節」、座った時に骨盤が座面にあたる「坐骨」という言葉がしばしば登場します。そして骨盤の底にあって、子宮や膀胱など骨盤内臓物や小腸など内臓が下垂しないように支える強力な筋肉や筋膜がありますが、それらを総称して「骨盤底筋」と呼んでいます。そして、その代表的な存在として「会陰」があります。

会陰01

 骨盤の特徴の一つとして、仙骨が前傾すると骨盤底(坐骨結節間)が拡がるという仕組みがあります。反対に仙骨が後傾すると骨盤底が狭くなり、骨盤底が狭くなると仙骨が後傾するという仕組みです。実感として表現しますと、仙骨が前傾している人はお尻の形が「ハの字」であり、仙骨が後傾している人はお尻の形が「逆ハの字」になっています。

呼吸と骨盤との関係

 普通の状態であれば、骨盤は呼吸に合わせて少し動きます。息を吸うとき、仙骨は下がり(後傾する)ますが、同時に骨盤上部が拡がって骨盤底が狭くなりますので、左右の坐骨間の距離は短くなります。息を吐くときはこれとは反対に動きますので、骨盤底が拡がって仙骨が前傾するように動きます。
 つまり筋肉の状態がおかしくなければ、仙骨が前傾した状態では骨盤底が拡がり、仙骨が後傾した状態では骨盤底が縮んだ状態になります。あるいは、骨盤底が硬くなって縮むと仙骨は後傾し、骨盤底が広がった状態になれば仙骨は前傾しやすくなるということになります。

骨盤の前傾と後傾比較

 この骨盤の仕組みを元に、私たち日本人が外国の人たちに比べて骨盤が後傾し、お尻が下がっている理由を考えますと、「息を吸うことばかりしていて息を吐くことが上手くない=緊張度が高い、交感神経の働きが優位」あるいは「生活様式として会陰を収縮することが多くて骨盤底を硬くしやすい」、「民族性として元来骨盤が後傾している」などが思い浮かびます。
 昔の日本人の生活様式は正座を中心とした着物の生活でしたでしょうから、女性は内股になりやすいので骨盤が後傾しやすいことは理解できます。(O脚と内股の状態は骨盤が後傾してしまうという仕組みがあります)しかし、正座は骨盤底を伸ばす座り方ですので、正座の習慣によって骨盤底が硬くなるというのは考えにくいことです。
 私たちは他の国の人たちに比べて勤勉で真面目だと言われていますが、それは反面、緊張気味で、交感神経が優位の状態で日々を暮らしているということに繋がります。ですから息を吸った状態=骨盤底が狭い状態で生きている傾向がある、と考えることもできます。
 そして民族性として「本来の体型が骨盤が後傾気味」だという考え方に立てば、そのことによって息を吐くのが苦手で、交感神経が優位になりやすいので緊張気味の人生となり、体型的にも内股やO脚になりやすい、と考えることができます。反面、着物姿が「様になる」なるわけですが。

姿勢を正すことは背筋を伸ばすこと?
 普段の自分の姿勢が悪いと感じている人は、姿勢を正そうとするとき「背筋を伸ばす」ことをするようです。それは‥‥つまり、背中に力を入れて背筋を収縮させることなのですが‥‥無理のある不自然な動作と言えます。意図的に背筋を伸ばして座り続けるのは体操疲れますし、自ずと首や肩や顔に力が入ってしまいますの良いことではありません。
 パソコンやスマホやタブレットの操作、その他手作業を主体としている人はどうしても首と肩が前に出た猫背の姿勢になりやすいのですが、気をつけて欲しいことの一つに「骨盤が寝た状態にならない」ことがあります。「骨盤が寝る」というのは仙骨を含めて骨盤が後傾することなのですが、必然的に腰椎も丸くなって後弯するようになります。

 本来、仙骨近くの腰椎は前弯しています。普通の状態の人は座った状態で上半身を後に反らす動作をしますと、この仙骨近くの腰椎下部のところを支点として上半身が後方に倒れるようになります。こういう人は、姿勢を正そうとするときには、背筋を伸ばすのでは無く、骨盤を立てる、つまり仙骨を前傾させるようにします。すると腰椎下部で前弯が起こりますので、自ずと背筋は真っ直ぐになりますし、前に出ていた首も戻り、顎が自然と引かれた状態になります。「下腹部がしっかりして腰に上半身を乗せることができる」あるいは「骨盤に上半身を委ねることができる」状態になりますので、背中には力が入りません。顎もゆるみ首の力も抜けます。
 ですから、正しい姿勢に戻す(=姿勢を正す)とは仙骨を前傾させて骨盤を立たせ、坐骨結節部で座る状態になることだと言えます。ところが、猫背+背中(腰椎も)の丸くなった人は腰椎の前弯が失われていますので、骨盤を立てて座ることが辛くなります。座った状態で上半身を反らそうとしますと、背中の中間地点くらいでやっと脊椎を反らすことができる感じで、骨盤近くの腰部はなかなか動かせません。

 さて、このような状態の人でも、お尻の横(外側)から座面と坐骨の間に手を入れて坐骨を外側に引っ張り、左右の坐骨結節間の距離を拡げますと(=骨盤底を拡げる)、骨盤を立てることが比較的容易になり、腰椎下部で前弯が生まれるので背中に力をいれなくても背筋が伸びるような感覚を味わうことができると思います。
 つまり、骨盤底に柔軟性が戻れば骨盤を立てて座ることが容易になり、仙骨が前傾して下腹部に力が集まるので首や肩から力が抜けるようになります。そして自ずと背筋が伸びて姿勢が良くなります。
 ですから姿勢を正す動作とは背筋を伸ばすのではなく、仙骨を前傾させて骨盤を立たし、骨盤底が拡がるようにすることだと言えます。
 骨盤底の硬い人は最初のうちはなかなか思うようにはできないと思いますが、練習してどうにか“感じ”をつかんでいただきたいと思いますし、併せて骨盤底に柔軟性と力を取り戻す運動をしていただきたいと思います。

骨盤底の柔軟性を取り戻すために
 骨盤底が硬くて骨盤が後傾している人に対して、骨盤底をほぐすような施術を行うことがあります。すると、骨盤底をゆるめているにもかかわらず「頬や肩から力が抜けていく」という反応を得ることがあります。つまり、顔や肩に力が入ってしまう原因の一つとして骨盤底の硬さ(=こわばり)があるということです。
 以前にも紹介しましたが、私は骨盤底のトレーニングとしてバランスクッションを使うことを勧めています。骨盤底には骨盤底筋と呼ばれる幾つかの筋肉があります。そしてそれらの筋肉と筋膜は総体として会陰を形成していますが、会陰は顎関節と対称する関係になっているようです。
 「会陰がゆるむと顎関節もゆるむ」「顎関節がゆるむと会陰がゆるむ」「会陰がしっかりすればそしゃく筋もしっかりし、全身の筋肉がしっかりする」。反対に「噛みしめや歯ぎしりの癖などで顎関節がおかしな状態になると会陰も硬くなって柔軟性を失い、骨盤はさらに後傾する」という仕組みのようなものがあります。

 会陰の働きが悪い人は、例えば両足とも床から浮いてしまう高い椅子などに座って、骨盤の力を主体に右のお尻に重心を移したり左のお尻に重心を移動したりして片方のお尻にすっかり体重を乗っけて座る動作を繰り返すことが苦手です。つまり会陰の筋肉(=骨盤底筋)をつかって自分の重心を移動させることが上手くできません。この動作ができないので首を振ってみたり、骨盤より先に肩や腕を動かして重心移動させようとしてしまいます。そして、実際このような人は大変多いです。「会陰の筋肉が働いている実感」が味わえません。
 筋肉を鍛えるためには「使っている実感」が必要です。その実感を味わうために、バランスクッションを使用することを勧めています。バランスクッションは座ると不安定な反面、重心移動が容易です。簡単に右のお尻から左のお尻に重心を移すことができますが、この時の会陰の動きを感じて欲しいのです。

バランスクッション 体幹クッション

 注意事項も含めて使い方を説明しますと
 「骨盤の動きに上半身が抵抗しないようにしてください。バランスが崩れて倒れそうになったら手をついてもいいですから、上半身をくねらせて抵抗して欲しくないのです(右に倒れそうになったとき、首や肩を左に曲げて倒れないように抵抗するなどの動作をすると会陰が動いて要る実感が薄れてしまうので)。クッションの動きにすっかり身を委ねて欲しいのです。そして会陰がどのように働くかを観察してください。」と言っています。

会陰トレーニング

 最初は不安定でバランスが取れないので上手くできませんが、すぐに、何分もしないうちにできるようになると思います。そして、何分間か左右に重心を移す動作をしたり、あるいは回転させて会陰が上下左右に働くことを感じていますと、会陰は柔軟性を取り戻します。バランスクッションを外して、普通に座りますと、それまで座っていた感覚とは明らかに違った感じになると思います。会陰が拡がったため「逆ハの字」だった骨盤は「ハの字」に近くなり座面が拡がったように感じると思います。そして仙骨を前傾させることが容易になるため自然と背筋は伸びた状態になると思います。

 尚、バランスクッションを使わずとも上記のような運動はできます。ただ先ほども申し上げましたが、間違えやすい点は、自分では会陰を使って重心移動させているつもりでも、実際は頭や首や肩や腕を動かすことによって右から左へ、左から右へ上半身を動かしているだけになってしまうのでは、会陰の動きが取り残されて後から付いてくるような感じになってしまいます。これではトレーニングの意味はありません。
 その他の運動としては、「外人さんのようにお尻をプリプリさせながら歩く」というのも会陰を鍛えることになります。お尻をプリプリさせながら左右の骨盤や下半身に、交互に体重をすっかり乗せきって歩くのは、会陰の働きがなければ可能になりません。
 「お尻の穴をしめる」というのは骨盤底筋の一つ肛門括約筋を収縮させることなのですが、それも会陰を鍛える手段の一つです。街を歩いている人をよく観察しますが、会陰を働かせながら=お尻をキュッ、キュッとさせながら地面を軸脚で蹴って進んでいる人はとても少ないです。多くの人が、上半身が前に行くの合わせて脚が後からついてくるような歩き方をしています。これでは、骨盤底はまったく鍛えられないと思います。

 私はよく「モデルさんのように一本のラインの上を腰を捻りながらゆっくり歩いてみてください」と言って、お客さんにやってもらいますが、思いの外、皆さん上手くできません。
 極端に表現しますと、膝から下ばかりで歩いている人は、腰を使って歩いているわけではありませんので(内股歩きが良い例)、腰部の柔軟性に欠けますし、会陰を鍛えることとは無縁の歩き方になっています。“モデル歩き”は、腰を捻って(実際は脇腹に捻りが生まれる)軸脚(後ろ脚)に重心を残したまましっかり立っていられる状態でないと前脚を一本ラインの上に乗せることができません(綱渡りような状態)。この時軸脚のお尻と会陰は収縮しますので、骨盤底を鍛える訓練になります。



 さて、冒頭の外国暮らしの方ですが、この方の骨盤底がこわばっていた主な理由は幼い頃から股関節の状態が悪く内股であったことと、腰椎の4番が捻れていたことでした。そして腰椎の捻れの原因は右手の小指と薬指にあって、一歳の頃の写真を見せていただいたところ、乳母車の取っ手を握る右手が少しおかしかいことから本当に小さいときの出来事が原因だったと思われます。
 いろいろなところを調整して、右手を念入りに調整したところ腰椎の捻れが軽減し、例の苦手のポーズが楽にできるようになりました。あわせて噛みしめの癖も改善し、ひどかったドライアイも改善しました。
 腰椎の捻れが良くなったことで会陰のこわばり状態が改善したため、からだが楽な状態になったのだと思います。
 骨盤も骨盤底も大切です。

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