ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

2018年05月

 「体幹を鍛える」という言葉をご存じの方も多いと思います。からだの見方の一つとして、「体幹と四肢に分けて考える」というのがあります。
 体幹の正確な意味については幾つかの解釈があるようですが、四肢は上肢(腕~手)と下肢(太股~足)のことですから、体幹はそれ以外の骨盤から頭までの胴体を指していることになります。

 これまでの投稿で、「首や肩や手に力が入り、歯を噛みしめるなど顔に力が入っている人は不調になりやすい」というような説明をしてきました。そして「骨盤を中心にした腹部や腰部がしっかりしている方が健康を維持しやすく、リラックスして生きることができる」というようなお話しをさせていただきました。
 これらの説明については、その通りであると今なお考えております。そしてこれらの説明の中には精神的、心理的ストレスという要素も含まれていますが、今回は少し見方の角度を変えて肉体的な側面を中心にした内容です。

 今、糖尿病と闘っている方が定期的に来店されています。この方を仮にAさんとお呼びしますが、Aさんの糖尿病は遺伝的要因によるものが大きいとのことです。糖尿病の病態についての知識は私にはありませんので、Aさんの病状の進行状況がどのくらいなのかについては私には云々できません。ただ血糖値が250~300(食後は300以上)、尿タンパクが+2で、糖質制限を何日か続けると血糖値が200以下になるとのことです。遺伝性ということもあり、本人は病態の変化を日々とても気に掛けています。その他に、Aさんは幼い頃に鼡径ヘルニア(脱腸)を患ったとのことです。(手術はしていない)

 Aさんの整体的な面での一番の特徴は、ふくらはぎと太股が異様に張っていることです。本人は幼い頃から運動が苦手だったということで、現在も殆ど運動はしていません。仕事では「立っている時間は長いが、立ちっぱなしというほどでもない」とのことです。これまで立ち仕事の人はたくさん見ていますので、立ち続けることによるふくらはぎの張り感はよく知っています。しかし、それらとは質が違う感じで、ふくらはぎがパンパンに張っています。
 そして上肢である腕も硬く、肘から先(前腕)はふくらはぎ同様パンパンです。つまり四肢の筋肉は非常に強くこわばった状態になっているということです。
 対して体幹はまったく反対の感じです。体型的には腹部がゆるんで前に出た「お腹の出た人」なのですが、胸(胸郭)の厚みは薄く、肋骨が終わったあたりから筋肉のたるみが顕著となり、下腹部にはまったく力感が見られない状態です。鼡径ヘルニアの影響もあって臍の形が普通の人とは違い、臍から右鼡径部にかけて筋肉のゆるみが一層顕著に感じられる状態です。

体幹と四肢の関係(エネルギーと筋肉の変調)

 Aさん来店の当初の目的は、呼吸が悪いことと右足に上手く体重を乗せることができない状態を改善したいというものでした。糖尿病の体質改善を期待していたわけではありません。ところが、何度か施術を行っていますと、「施術した翌日は血糖値が良くなることがある。しかしその次の日はまた戻ってしまう」という話題になりまして、右足の状態も良くなった今、「体質改善に取り組みましょう!」ということになりました。

 あくまでも一般的な話ですが、健康な人は下腹部に力があります。「臍下丹田(せいかたんでん)」という言葉もありますが、下腹部が充実している状態が理想的です。お腹の状態は、みぞおち付近の胃のあるところが一番柔らかく、手を沈ませるように差し込んでいったとき、背中側まで届いてしまうくらい柔らかいのが理想です。大人でこのような人は稀にしかいないかもしれませんが、胃が空腹時の子供達にはこのような状態がたくさん見受けられると思います。そして下腹部に向かうに従って次第に硬くなり、臍下三寸、臍下丹田の辺りは、差し込もうとする手をしっかり跳ね返してくるくらいしっかりしているのが理想的だとされています。

 少し話は飛びますが、私たちの肉体は脊椎動物が最高に進化したものだと考えられています。脊椎動物の始まりは、今なお東北地方でよく食べられている海鞘(ほや)の仲間だったということで、まだ頭と尻尾が分かれていない海中動物だったということです。これをイメージ的に表現しますと、私たちの骨盤と頭部がくっついていて、一体化していた生物です。
 やがて時の流れとともに、骨盤から次第に頭部が離れていき(頭進という)、間に背骨(脊椎)ができました。ですから脊椎動物と呼ばれるわけですが、この状態は魚であり、「私たちの太古の祖先は魚だった」と言われる所以です。

海鞘

 そしてここで重要なことは、骨盤から頭部が離れていったことです。頭部から骨盤が離れていったわけではありません。骨盤が始まりなので、骨盤が肉体の中心になります。ですから、私たちは骨盤を中心とした腰部と下腹部がしっかりしていないといけないのです。
 私たちはいろいろな動作を行いますが、動作に必要な力は骨盤からやって来る力(エネルギー)でまかなわれるのが自然な状態です。今、私はパソコンのキーボードを叩いていますが、この指先を動かす力は骨盤や下腹部からやって来ます。ですから、実際には手指を動かしているのですが、手指を意図的に使っている感覚もなく、手指がそれほど疲れることもありません。頭を使い、目を使っていますので、それらが疲労して肩がこることはあっても、手指に疲労を感じることはありません。
 ところが、いろいろな理由から下腹部からの力ではなく肩や腕の力を使ってキーボードを操作せざるを得ない人がけっこういます。そういった人は“指を動かすのに手指に力を入れなければならない状態”にならざるを得なくなります。「思わず首や肩や手に力が入ってしまう」のです。ですからパソコン操作の時間が少し長くなりますと手や腕や肩や首に疲労を感じますし、字を書いたり、あるいはスマホを操作したりするだけでも疲労を感じるかもしれません。

 “ギックリ腰”については諸説ありますが、私は骨盤の更に中心部、尾骨と仙骨の境界辺りが肉離れのようになった状態だと考えています。つまり”ギックリ腰は骨盤の傷”です。その傷が手や足などの末梢部分であれば、部分的に不具合や痛みを感じるかもしれませんが、全身的にはさほど大きな問題にはなりません。しかし、その傷が骨盤の中心部になりますと話はまったく変わります。骨盤が上手く機能しなくなってしまいますので、中心部からの動作に必要なエネルギーが途絶えてしまうのです。するとそれまで無意識的にできていた動作の多くが意識しないとできなくなりますし、足や腕や首などの力をたくさん使わないと動作ができなくなりますので、全身はとても疲労するようになります。ギックリ腰を経験しますと骨盤の機能と力が如何に重要であるかが身をもって理解できるのではないかと思います。

 さて、話をAさんに戻しますが、Aさんの下腹部の力は大変弱いものです。筋肉で説明しますと腹筋がとてもゆるんで働きの悪い状態です。腹筋には、皆さんがパッとイメージを浮かべやすい腹直筋と、腹部を斜めに走る外腹斜筋と内腹斜筋、そしてお腹にサラシを巻いて腹圧を受け止めるような働きをする腹横筋(最深部)がありますが、とりわけ腹横筋の働きが悪いのかもしれません。これはもしかしたら先天的な体質的であり、腹圧に対抗できなくて鼡径ヘルニア(脱腸)になってしまったのかもしれません。

腹筋_前面

 お腹がゆるんで大きく前に出ているAさんですが、胸郭の方は厚みがなく、筋肉が硬くなって動きが悪くなっている状態です。呼吸をしていても胸郭の動きは弱々しいのですが、その主な原因は肋骨と肋骨の間にある内肋間筋が硬くこわばっていて、息を吸うときに肋骨を引き上げることができないからです。胸郭は常に息を吐いた時の状態になっているのですが、さらに胸の前面を広く占めている大胸筋もこわばっているため、胸郭の動きがとても制限された状態になっています。

大胸筋と肋間筋

 大胸筋は腕(上腕)に繋がっている大きくて強力な筋肉です。腕立て伏せを行ったり、何かを押したりするときに使われる筋肉ですので上肢を動かすための筋肉であると言えます。
 そして先ほど申しましたように、腕の筋肉、特に肘から下(前腕)が強くこわばった状態でパンパンです。仕事で手作業を多くしているわけでもないのに腕がパンパンになっている状態で、それは昔からだと言います。

 ですからAさんは、 体幹の中心である下腹部がエネルギー不足で「ゆるゆるの状態」、四肢は反対にこわばって「カチカチの状態」という状況です。
 繰り返しになりますが、四肢は体幹からエネルギーをもらって働くのが本来の姿、自然的な在り方です。しかしAさんはエネルギー源である体幹がエネルギー不足の状態ですので、四肢はそれぞれに自己の力に頼って働かなければならないため、負担が過剰になりこわばった状態になってしまっているということです。
 この状況は理解しづらいかもしれませんので例え話をしますと、包丁を使って硬い食材を切る時に、両足がしっかり地面に着地した状態であれば、からだ全体の力を使って食材を切ることができますので、手や腕だけに負担を強いることはありません。しかし、椅子に座って足が宙に浮いた状況で包丁を使おうとしますと、からだの力を動員することはできませんので、腕と手にたくさん力を入れなければならないためそれらの筋肉が硬くこわばってしまいますが、これと同じような状況だということです。

 実際Aさんは、何十年もこのような状態で生きてきましたので、そのエネルギーの流れ方を変えるのは容易なことではありません。施術を行い、お腹を整え、脱腸したであろうところを手当てし、胸郭を整えて呼吸が上手くできるようにするなど体幹を整えますと、自然と四肢から力が抜けて楽な状態になります。「まずまず上手くいったかな?」などと思い、ベッドから起き上がっていただき立ってもらいますと、また速やかに四肢にこわばりの兆候が現れだします。
 立ち方も歩き方も良くなって、血色も良くなり、呼吸の状態も良くなるのですが、体幹がゆるんで四肢がこわばり出す兆候はそう簡単には解消されません。

 「エネルギーの流れ方を変えることで、からだの使い方を変えるのが私の仕事」と、最近はずっと思っています。Aさんの場合も、四肢の運動が体幹からの力(エネルギー)で行えるようにエネルギーの流れ方を変えることができれば、糖尿病の改善にも役立つことができるのではないかと考えています。
 現に施術をおこなった次の日は血糖値が良くなるとのことですし、幾度か行ってきた施術の甲斐があってか尿タンパクの方は改善したようで、+2だった数値が安定して+1になっているとのことです。背中を指圧するといつも痛がっていた右側の肝臓や腎臓のあたりも痛みを感じなくなりましたし、腫れぼったさもなくなりました。
 血糖値は高めで推移しているものの顔色も良く元気さも出てきていますので、良い方向には向かったいるのだと思います。もうしばらく同じような施術を繰り返すことで、体幹がしっかりした状態が安定すれば、きっと「良いことになる」と思っております。

 さて、Aさんの例を引き合いに出して体幹と四肢の関係を説明してきましたが、肉体的な面で体幹が充実していることは、健康を築き、健康を維持する上で大切なことだと考えています。体幹がしっかりしていれば「楽に暮らす」ことが実現できると思います。
 足やふくらはぎが気になる人は体幹を見直す必要があるかもしれません。手や肩から力が抜けずリラックスできない人は体幹の在り方を考えてみるのも一つの方法だと思います。かといって「体幹を鍛える」「体幹のトレーニング」といった類の特別な運動やトレーニングが必要だということではありません。
 体幹を鍛える運動としては、私は“骨盤底筋”を使うことをお勧めします。以前にご紹介したバランスクッションやバランスボールに座って骨盤を動かしていれば骨盤底筋の運動になります。骨盤底の中心には“会陰”がありますが、“すべての動作を会陰から始める”というような感覚が養われれば素晴らしいことだと思います。
 ピラティスや加圧トレーニングやヨガなどいろいろありますが、「それよりも骨盤底筋(会陰)が大切」と思ってしまいます。

 今回は“肉体面のみ”という限定的観点で、体幹と四肢の関係について説明させていただきました。しかし、実際には、私たちには心があり、脳がありますので、それらによって生み出される精神活動にからだは大きく影響されるという実態があります。
 それまで20分くらいかけて施術を行い肩こりを改善したとしても、心配事や不安に心が支配された瞬間にまたキューッと肩が張ってしまったり胃が痛くなってしまったりすることはよくあることです。
 随分前の投稿になりますが、「首・肩・顔から力が抜けない」という話題で説明させていただきましたが、それらは心理や思考といった精神面と密接に結びついていまし、癖の一種でもありますので本当に強敵です。
 精神面が及ぼす肉体への影響についても、これまでとは違った角度から取り上げてお話しさせていただきたいと考えています。

足つぼ・整体 ゆめとわ
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 数年前、女子サッカーの代表選手が「良性発作性頭位めまい症」という病名の“めまい”で苦しんでいたこともあって、めまいについての情報がある程度認は知られるようになったようです。

 常連のお客さんがしばらくぶりに来店され「めまいで苦しんでいたのよ!」「あのサッカー選手と一緒よ」と仰いました。
 「めまいなら、すぐに来れば良いのに」と私は心の中で呟きながら応対しました。
 “めまい”や“ふらつき”の場合は、まずクリニックなどに相談して、それでも上手くいかなければMRIなどの画像診断で脳の状態を確認する、という手順を踏むというのが多いのかもしれません。それは正しいことだと思います。まずは重大な病気でないことを確認して安心することが第一で、そうするだけで症状が軽減するかもしれません。

 さて、“めまい”や“ふらつき”についてはこれまでにも幾度となく取り上げてきましたが、内容を整理する意味も含めて、整体的な観点で改めて考えてみます。(ただし脳の病変は除いて)

循環不良によるものなのか? 器官の機能が異常なのか?
 “めまい”や“ふらつき”と言った症状を訴える人が来店された時に、私が先ず確認して行うことは、血液が不足して機能がおかしくなっているのか、血流は足りているけれど機能そのものが異常な状態にあるのか、という観点で区分することです。

①脳への血流が悪く、必要な血液が足りない状態(≒酸欠状態
 椅子に座った状態から立ち上がったときに瞬間的にクラッとしたり、目の前が暗くなったりする起立性低血圧あるいは脳貧血という症状があります。立ち上がることで頭の位置は高くなったのに、血液が脳まで昇るのに時間がかかってしまうため、一時的に脳が貧血状態になって機能の一部が麻痺状態になってしまう症状です。血圧が低かったり、高齢で心臓の瞬発力が低下していたり、首肩のコリが激しくて脳への血管が圧迫された状態の人はこのようになることがあると思います。
 起立性低血圧症は一時的な症状ですが、恒常的にこのような状態になってしまいますと、つまり脳への血液供給が不足した状態になってしまいますと、起き上がっているだけで“めまい”や“ふらつき”などの症状を起こしてしまう可能性があります。寝た状態では脳に血液が届くので大丈夫ですが、起き上がると血液が届きにくくなり、立ち上がるとさらに届かないので、クラックラッ、フワッフワッの状態になってしまったり吐き気を伴ったりするかもしれません。

心臓から頭部の血管

 ある高齢者が「立ち上がるとフワフワしてしまうけど、歩いているうちにだんだん症状は良くなる」という症状を訴えました。つまり、立っているだけでは脳への血液が不足しがちですが、歩くことで血液循環が良くなりますと脳に必要な血液が届くようになる、ということです。
 また、別の高齢者は「朝方は大丈夫だけど、仕事をしていて夕方になるとフワフワしてしまう」と訴えました。この方は若い頃から現在に至るまでずっと、つまり先天的な低血圧症です。仕事で疲労が溜まる夕方になると、からだの活力も乏しくなり、心臓や血管の力も衰えて血液を頭頂まで十分に上げることができなくなってしまうのかもしれません。

 極端な例ですが、小脳や脳幹の脳梗塞を患いますと後遺症として足と頭が一致しないような症状になることがあります。寝たり座ったりしているときは大丈夫なのですが、立ち上がって歩いたり作業をしたりしますと、足元がふらついてヨロヨロしたりフワフワしたりしてしまいます。バランス調整に関係する小脳へ血液が届かないからだと考えることができます。

 これらのように脳に十分に血液が届かないでもたらされる症状に対しては、「どうすれば血液が十分に届くようになるのか?」というのが解決策ですが、実際の臨床ではなかなか難しいことのようです。“めまい”や“ふらつき”に対して「ビタミン剤を処方して血液の流れを良くする」という方法がしばしば用いられるようですが、「???」と私は思ってしまいます。それではあまりにも芸がなさ過ぎなのではないでしょうか。(かつて私は顔面神経麻痺を患ったことがありますが、その時も耳鼻科でビタミン剤が処方されました。しかし薬が効いたという感覚はありませんでした。)

 心臓の働きが弱いとか、体質的にかなりの低血圧だという場合は対策がなかなか難しいかもしれません。心臓に負担が掛かりすぎないように注意したり、疲労が蓄積しないように気をつけることは肝要だと思います。整体的手法として心臓や血管の働きを補助し、血流をアップする方法が無いわけではありません。私は時々行ったりしますが、「確実性」という面では何とも言えませんので、ここでは取り上げないことにします。

 脳への血液供給は、心臓のポンプ力で首の動脈を昇らせるわけですから、首の動脈が圧迫されていたり、あるいはその他の理由で流れが悪いと血液供給が十分ではなくなる可能性があります。
 首肩の強いコリは血管を圧迫するため循環不良の原因になる可能性があります。少し前の投稿で説明しました「椎骨動脈の流れ」はとても影響すると思います。それ以外に、「動脈の流れは静脈の状態に影響される」という整体的観点の見方があります。むくみなどで静脈血の流れが停滞していますと“渋滞状態”で動脈血が入っていけないというものです。
 これらのことを細かくチェックしていきますと、脳への血液供給量を増やす方法は見えてくると思います。

②血流の問題ではなく、機能の問題の場合
 めまいに関係する器官として真っ先にチェックすべきは内耳の平衡器(三半規管)です。「耳石が悪さをしている」と診断される場合もありますが、それ以外に「耳がずれている」というのもあります。また「頚椎が歪んでいる影響」というのもあります。
 私たちも含め、地球上の生物は海(水中)で誕生しました。ですから、すべての代謝や反応や機能は水の中で行われるようにできています。
 三半規管は「内リンパ」と呼ばれる水で満たされています。頭が傾くことによって耳石が動き、内リンパに流れが生じますが、それを感覚細胞が察知して平衡感覚が維持されるようにできています。ですから「リンパ」「水」というキーワードはとても重要です。
 「耳がずれる」というのは頭蓋骨が歪んでいるため、耳(内耳も含む)のある側頭骨が本来の位置からずれているということです。そして、このような人は本当にたくさんいます。(左右の耳がまったく正しい位置にあるということは殆ど無いと言ってもよいと思います。)
 おそらく、からだのすべての器官について言えることだと思いますが、許容範囲内での“ずれ”は“症状”という問題を起こすことはないと思います。しかし、許容範囲を超えたり、あるいは“ずれ”が幾つか重なってしまうと“症状”が現れるのだと思います。

 さて、内耳を含む側頭骨が歪みますと、静脈とリンパの流れに影響が出ます。それは膝の関節がずれると膝に水が溜まってしまうのと同じ原理です。ここで「リンパ」というキーワードが登場します。「内リンパとリンパは違う」という見解を示される方がきっといらっしゃると思いますが、私はそのように考えず施術を行っています。側頭骨の状態を修正し、耳の周りの筋肉や筋膜の状態を整えます。そうすることで耳周辺のリンパの流れが良くなり、内リンパの状態も改善し、三半規管の機能が正常な状態に戻ると考えるからです。
 そして同時に頚椎の歪みを整えます。「頚椎4番は耳に関係する」という整体的な見解があります。「どうしてそうなのか?」という理由については知りませんが、実際の現象としてそういうことが多いので、私はこの見解を支持して採用しています。
 一通り施術を行った後で、頭を振ってもらい、筋力検査を行います。平衡器官の働きにバランスが戻りますと、頭を振った直後でも筋肉の働きに影響はでません。少しでも筋肉の働きが低下するようでしたら、それはまだ「めまいの種は残っている」と判断して、施術を継続するようにします。

 ところで、このように機能を整えたとしても、座ったり、立ち上がったりするとおかしくなってしまうことがあります。①で説明しました「血流」のこともありますが、それ以外に骨盤や下半身に問題がある場合があります。
 「座った時に症状がでる」ということは、骨盤や坐骨に荷重が掛かるとからだの機能がおかしくなる、つまり骨盤がからだをしっかり支えられない状態にある、ということを意味します。「立ち上がったときに症状が出る」場合は、股関節、膝関節、足関節(足首)などに問題があって、しっかり立つことができないということを意味します。

足と頭の連係
 目から入る視覚情報は平衡感覚の安定性に貢献しているようです。普通に立っているときは大丈夫でも、目を閉じると不安定になってしまったり、真っ直ぐに立っていることができなくなってしまう人がいますのでこのことがわかります。比率的には高齢者の方に多いかもしれません。
 ところが、このような人でも座った状態では大丈夫だったりします。ですから視覚情報は直接平衡感覚に影響を及ぼすというより、足のバランス感覚を調整することを通じて平衡感覚に貢献しているのかもしれません。(但し、視覚障害の人でも平衡感覚に問題のない場合が殆どでしょうから、視覚情報は平衡感覚維持にとって必要条件というわけではないのでしょう。)

 では、足の状態が平衡感覚に影響を与えるか否かについてはどうでしょう? 
 冒頭に登場していただきました常連の方に対して、めまいに対するいろいろな施術を行った後でベッドから立ち上がっていただきました。症状は良くなったものの、今一つしっくりしない表情を浮かべました。「ふらつきもないし、フワフワもしないけど、何となく安心できない」という感想です。そこで「これは足の問題が残っているんだな‥‥」と思いまして、膝や足首や足の状態を詳しくチェックしてみました。すると右の膝関節が少し歪んでいることがわかりました。
 それを調整して、再び立ち上がっていただきますと今度は表情も晴れて、安心した様子になりました。足の不安定さが安心感も含めた平衡感覚に影響を与えていたということです。

 さて、膝や足首の悪い人はたくさんいますが、それらの人が全員、平衡感覚に問題を抱えているというわけでありません。ですから「膝や足首がおかしくなると“めまい”や”ふらつき”を起こす」という考え方は間違いということになります。
 しかしながら“めまい”や“ふらつき”など平衡感覚に問題が起きた状態を改善しようとする場合に、血流を整え、内耳の状態を整えるだけでは不十分で、足(下半身)の状態を整えなければならない場合もあります。
 ですから「足のバランスが悪くなると」あるいは「足からの何らかの情報が脳に届かなくなると」あるいは「足から頭への情報が乱れた状態になると」平衡感覚が正常ではなくなる可能性がある、と言うことはできるかもしれません。

 ところで足と頭(脳)の精妙な連携にとって「小脳の働き」はとても気になります。下記のサイトを是非ご覧になってください。


 高齢化の現象として、加齢現象の一つとして、“足元の不安”があります。「段差もないのにつまずいてしまう」「なにしろ転ばないように用心深くなる」と高齢者はよく仰います。その用心深さが足首の動きを硬くしてしまうため、からだに悪影響が及んだりすることもあるのですが、そのことよりも“足元の不安感”の方が先に立つようです。
 ですから「足元に不安定さを感じるようになったら老化が進んだ」と言えるのかもしれません。それは単に「筋力が衰えた」「骨格が弱くなった」という老化現象ではなく、小脳と足の連携に“ずれ”が生じ始めたことによって“不安”が心を占めるようになってきたという老化現象です。
 もしそうであるならば、対策としては足趾や足底の感度を高めるために裸足で動く時間を増やしたり、足元に不安を感じたとしても外出して歩いたり作業したりする時間を増やすことなどかもしれません。
 「危ないから家でじっとしていて!」という家族の気持ちはわかりますが、それでは益々小脳と足との連携のずれが大きくなってしまうかもしれません。ですから、見守りながらも、なるべく足を使って動く時間を増やすのが良いのではないかと思います。



 以上をまとめますと、めまい、ふらつき感、足元の不安定感の原因としては
①脳への血流が悪く、必要な血液が足りない状態(≒酸欠状態)
②頭蓋骨の歪みなどにより内耳(三半規管)機能のバランスが悪くなってしまった
③小脳と足の精妙な連携にずれが生じた
 などが考えられるということになります。
 そして、どれか一つの問題だけでは症状を発することはなく、2つ3つ悪い状態が重なったときに症状が現れるのではないかと思われます。
 ですから、症状を改善しようとする場合は、「①血流、②耳(頭蓋骨)、③足(下半身)の3つの側面を全部確認して調整する必要がある」ということになります。


参考文献‥‥「ヒトのからだ」(三木成夫著)より引用
平衡器(耳)
 われわれは、自分自身の体位や動きの変化を、耳の奥にある平衡器で感ずる。これは骨迷路に浮かぶ膜迷路の後ろ半分からなりたつ。それは球状と楕円状の袋(球形嚢および卵形嚢)に三つのドーナツ型のチューブ(三半規管)が、たがいに直角に交わるようにくっついたもので、これらの袋やチューブの中には液体(内リンパ)がみちている。

ヒトとクラゲの平衡覚器

 球形嚢と卵形嚢の底には、小さな石(耳石)がしずみ、そこにはえている感覚細胞の毛を静かにおさえつけている。そして、からだがよろめき、あるいは頭が上下、左右、前後に動いたとき、この石がゆれて、毛をなでるしかけとなっている。一方、三半規管のそれぞれの輪の一端は、わずかにふくれ上がって、その壁には、やはり毛のはえた感覚細胞がならんでいる。そして、頭が前後左右、あるいは水平に回転したとき、それぞれの半規管に内リンパの流動がおこって、この感覚細胞の毛をなびかせるしかけとなっている。そして、この興奮が脳へ伝えられるのである。
 このような平衡器は、すべての動物に共通したものである。すなわち、動物が地球上でひとつの運動をする時には、そこが水中であれ陸上であれ、あるいは空中であれ、これだけの装置が必要なのである。ただしこの場合、一般に運動の単純な無脊椎動物では、わずかに球形嚢に相当するものだけしかなく、もっとも簡単なアメーバでは、細胞質内の粒子の慣性だけでこれがまかなわれるという。
 一般に平衡反射は、全身の動物性筋肉によって体位の立て直し、すなわち、反動という形でなされるが、この際特に眼球の運動が、このひとつの代表として行なわれる。これは目標がからだの外になくて、その内にあるので、そこでは一般の向背運動は見られない。このように動物性筋肉によってささえられている平衡反射も、動物の分化とともに、しだいに植物性筋肉の運動がこれに加わり、特にめまいによる吐気(はきけ)は、日常しばしば経験するところである。


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