ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

2017年03月

 手先を動かしたり、からだを捻ったり、私たちの意志の力で筋肉を働かせる神経を随意神経と呼びます。反対に私たちの意志がほとんど通じない、例えば血圧をコントロールしたり、食物を消化・栄養・吸収したり、汗をかいて体温調整したりしている、からだの生理活動を自動的に行っている神経を自律神経と呼んでいます。
 自律神経は内臓を働かせる神経ですから、自律神経のバランスが乱れた状態が続きますと私たちは病気になります。そして病気になった時に処方される薬は、自律神経に働きかけて血圧を下げたり、血管を拡張したり、炎症を抑えたりしますので、「薬は自律神経を調整するためのもの」と言っても過言ではないと思います。
 私たちが普段口にしている食べ物(栄養)にもそういう側面がありますが、食べ物や薬以外では、呼吸が自律神経系をコントロールする窓口の一つです。
 自律神経は植物にもありますので別名、植物神経と呼び、随意神経は動物特有なので別名、動物神経と呼んだりすることがあります。

 さて、自律神経系は意志の力ではコントロールできませんので、実際のところ私たちは薬物を用いて調整しています。血圧をコントロールする薬は自律神経系をコントロールする薬です。血糖値やコレステロールをコントロールする薬は自律神経系をコントロールする薬です。
 ところで、これらの薬が存在していなかった時代、私たちの祖先は食物によって自律神経をコントロールしようとしていました。その名残は今でもたくさん残っていて、「ショウガは冷えに効く」とか「キュウリやトマトなど夏の野菜はからだの熱を冷ましてくれる」、「○○は血液をサラサラにする効果がある」などと、多くの人が食生活の中で実際に実践しています。また、さまざまにある呼吸法やヨガなどは、それぞれの表向きの目的もありますが、その根底には自律神経系のコントロールという目的が潜んでいます。からだをリラックスさせるのは自律神経の副交感神経系の働きですから、ゆったりとした深い呼吸が思いのままに実現できるようになるということは、いつでも自律神経をコントロールしてリラクゼーションを獲得することができるということに他なりません。
 その他、ペットと時を過ごすことによって「癒される」と感じるなら、それは自律神経のバランス回復にペットが役に立っているということです。海や山を眺めたり、波や水の音を聞いて癒されるなら、それも自律神経系が調整されているということです。

 これらのように自律神経系を調整する方法はいくつもありますが、「そんな気分になれない」と心理的に落ち込んでいる時や、もはや病気の域に突入していてペットや自然の力ではどうにもならないと感じている時は、今の時代、薬に頼ることになってしまうのでしょう。

片頭痛と自律神経の関係‥‥噛みしめと血管の収縮
 側頭部がズキンズキンと痛み出す耐えがたい片頭痛、頭部に“孫悟空の輪”が填められたかのように感じる慢性頭痛、これらは二つの側面から考える必要があります。

側頭筋と咬筋

 一つは筋肉の強い収縮によって頭が締めつけられている状態です。側頭部にはそしゃく筋である側頭筋がありますが、歯ぎしりや噛みしめの癖がありますと側頭筋が強く収縮した状態(筋肉のこわばり)になってしまいます。そのこわばりが頭部を締めつけますので頭痛をもたらします。
 もう一つは血管の収縮です。血管は自律神経の交感神経がコントロールしています。
 仮に、歯ぎしりや噛みしめを行う癖があったとします。その行為を行うためには側頭筋や咬筋への血流量を増やす必要があります。ところが側頭筋の血管がスムーズに拡張してくれなかった場合、心臓の働きで血液はどんどんやって来るのにホースである血管が拡がってくれないので内圧はどんどん高まってしまいます。この状態が長引きますとやがて血管は圧に耐えられなくなってしまうことでしょう。その反応が片頭痛であり、耐えがたい痛みをもたらすのかもしれません。
 あるいは、自律神経は正常に働いているのに“血液が流れにくい状態”になっているのかもしれません。筋肉には“収縮すると硬く太くなる”性質があります。側頭筋が強くこわばって筋線維が太くなりますと、筋肉内の血管を圧迫して血液が流れにくい状態になってしまいます。そこに心臓のポンプ力で血液がどんどんやってきますと、“狭い穴を無理やりこじ開けて通過する”ような状態になります。心臓の拍動に合わせて“ズキン、ズキン”と痛むような片頭痛は、このような状態なのかもしれません。

 この場合の対処しましては、まず噛みしめ状態を解除して側頭筋の収縮を弱めることから始めます。その上で、自律神経系をコントロールして血管の状態が整うようにするのがよいと思います。私のやり方としては、そしゃく筋をゆるめたり、手や足の指先を揉みほぐすことから施術を始めます。そして次に呼吸が整うようにからだ全体を調整していきます。

少商・母指先への施術

 以前に「本人の自覚に関係なく噛みしめ状態が存在する」ということを記しました。そしてそれは手の親指の先の部分(写真)のこわばりと深い関係があります。この部分が強くこわばって非常に硬くなっている人がいますが、そのような人はそしゃく筋が自動的にこわばっています。ですから、この手先のこわばりをほぐすことによってそしゃく筋のこわばりも弱まりますし、顎もゆるむようになります。それは片頭痛をもたらしている側頭筋もゆるむということでもあります。

老廃物や邪気が溜まりやすい部分・井穴

 そして、自律神経の働きを調整する意味で、手指の第一関節より先、爪との間を中心に指先の甲側をよく揉みほぐします。皆さんもやっていただくとわかると思いますが、揉みほぐしの最初のうちは痛みを感じることはありませんが、次第に痛みを感じるようになり、指によってはかなり痛く感じるようになるかもしれません。(非科学的な表現と受け取られるかもしれませんが、)この部分には老廃物やあるいは邪気が溜まりやすく、それが自律神経の乱れに関係している可能性がある私は思っています。指によっては爪と第一関節の間がプクッと膨らんでいるかもしれませんが、それは不必要な“老廃物(や未消化物)の溜まり”である可能性が高いと考えています。
 この指先の部分は東洋医学では井穴(セイケツ)とよばれるツボ(経穴)を含んでいますが、井穴は体内の気と外気の気とのやりとりをする部分であると考えられています。仮に井穴での通りが滞っていますと、体内の邪気や使い古された気を外に出して、自然界からの新鮮な気を取り入れることが不十分になってしまいますので、からだのバランスが乱れてしまうということになります。
 井穴については、もっともっと情報を集めて研究しなければならないと思っていますが、実際、指先への施術は有効です。

 さらに「頭が詰まったように感じる」タイプの頭痛もありますが、多くの場合、それは頭部の血液が心臓へ戻りにくい状態になっていることが原因だと思います。結果として頭に血がたくさん溜まった状態になってしまい、その圧迫によって頭が詰まったように感じているのだと思います。

外頚静脈と鎖骨下静脈の停滞

 このような場合、注目すべきは鎖骨下静脈の流れです。鎖骨下静脈は鎖骨と第1肋骨(一番上の肋骨)の間の狭い隙間を通っていますので、鎖骨が埋もれているような人をはじめ、鎖骨と第1肋骨の関係が歪んでいる人は流れの悪い状態になっています。鎖骨下静脈の流れが停滞しますと脳から心臓に戻る道筋の一つ(外頚静脈)が停滞しますので、「頭が重くスッキリしない」状態を招いてしまうのではないかと思います。
 埋もれた鎖骨を前に出すことによって鎖骨下静脈の流れを改善しようとした時、先ほどの手の親指の先を伸ばすことは有効です。
 親指先のこの部分は東洋医学では“少商”という肺経の井穴の部分になりますが、深部が硬くなっている人が多く、(自動的な)噛みしめ状態や鎖骨の後退をもたらしています。
 かなり痛みを感じますが、深いところにあるコリッと硬くなっている部分をほぐすことによって噛みしめ状態が改善し、鎖骨が前にでてきます。それによって“カカト重心”が改善し、鎖骨下静脈の流れも良くなりますので“頭がスッキリ”したり、自律神経のバランスにも影響して“片頭痛が楽になる”という複合的な効果を期待することができます。

呼吸と手指の先端(井穴)との関係
 呼吸の状態が悪いと首肩に力が入り、からだはなかなかリラックスできないということは以前に記しました。ここで言う“呼吸の状態が悪い”状態は、横隔膜をゆっくりゆるめながら息を吐き出すことができない状態、と受け取っていただいてもよいと思います。普通の人は、普段の呼吸が胸式で浅かったとしても「腹筋をじっくり使いながら、吐いたところから更に吐き出す感じで最後まで息を吐ききってください。」とやってもらいますと、大概できます。しかし、呼吸の悪い人はこれができません。「フッ」と短い時間で息を吐き出すことはできても「フーーーッ」と長い時間を掛けて吐き出すことができないのです。「横隔膜をゆるめるイメージで腹筋をじっくり使って吐いてみてください」とやっていただくのですが、全然できない人がいます。しかし、このような人でも声を長く発し続けることはできたりします。長い時間にわたって「フウゥゥー」と声を出し続けることができるということは横隔膜がゆるみながら腹筋が使われているということですので、呼気(息を吐く)の動作がちゃんとできている状態です。しかし、声を出さないとそれができません。声を出すとできるのに、声を出さないとできない、というのはちょっと不思議に感じますが、現実としてそういうことがあります。
 ところがこのような人に対して、両手の指先、さらに両足の指先を揉みほぐす施術を行いますと、自然と呼気ができる状態になることがあります。ベッドに仰向けになっていただきながら施術をし始めるのですが、最初のうちはほとんどお腹の部分に動き(腹式呼吸による腹筋の運動)が見られなかったものが、施術が進んでいきますといつの間にか腹式呼吸をし始め、息を吐いている時間が次第に長くなったりします。指先への施術は痛みを伴うのですが、からだはリラックスした状態になっていくのです。それは、指先への施術によって自律神経の状態が調整されているからだと私は考えています。

井穴(セイケツ)は自律神経系を整えるツボ?
 東洋医学の世界では自律神経系を整えるためのツボとして井穴を捉えているようです。特に薬指の井穴に注目している治療家も多いようですが、薬指は別の面で私も注目しています。
 私の臨床経験では「井穴は自律神経を整えるための効果的なツボである」ということに完全に同意できる段階ではまだありません。しかし、井穴あるいは指先の状態が間違いなくからだに影響を及ぼしていることは知っています。
 「邪気や老廃物(未消化物)が溜まって腕が重たい」という表現を現代医学ではどう捉えるのか知りませんが、現実としてそういうことはあります。そんなときに、膨らんでいる爪と第一関節の間を中心に指先を(かなりの痛みをこらえながら)揉みほぐしますと、腕がスッキリして軽くなります。鎖骨が埋もれていてカカト重心の時に、あるいは本人の意志に関係なく噛みしめている状態(咬筋が収縮している)の時に親指の先を揉みほぐしますと鎖骨が前に出てきて、噛みしめ状態が緩和されます。カカト重心が改善し、血流も良くなり、頭がスッキリして顔から力が抜け、真にリラックスできる状態になります。
 私は毎日、湯船の中で両手の指先を揉みほぐしていますが、皆さんにも是非やっていただきたいと思っています。それだけで10分近く湯船の中にいるようになりますが、今の時期はからだが芯から温まります。
 揉み始めは痛みを感じません。しかし表層が柔らかくなり、揉んでいる指先が奥の方に届くようになりますと次第に痛みを感じ出します。ある指はものすごく痛くなるかもしれません。しかし許せる範囲で痛みをこらえながら揉み続けてください。一つの指は少なくとも30秒は揉んでください。さらっと揉んだだけでは効果は期待できません。

 病気から縁遠くなり、健康的なからだを維持するためには自律神経の働きがとても重要だと私は考えています。栄養について考えたり、薬やサプリメントを摂取したり、ウォーキングをしたりする目的の半分以上は、実は自律神経を整えるためだと思っています。
 植物は人工的な操作をしない限り、ほぼ100%、自然界のリズムに従って生きています。 自律神経は植物神経と呼ばれることもありますが、それは本来、宇宙や自然界のリズムと完全に調和した存在であるという意味です。
 自律神経失調=自律神経がバランスを失っているということは、からだのリズムが自然界のリズムと調和していない状態であるということです。自然の風景を眺めたり、風に触れ、波や水の流れる音に接することが自律神経を整える上で役に立つのは、それらの行為によってからだのリズムが自然界のリズムに同調して修正されるからだと思います。そして自己努力で自律神経を整えようと考えるのでしたら、規則正しい生活習慣を築き、呼吸を見直し、日々のケアとして手や足の指先をマッサージしていただきたいと、そう思います。

 大脳がとても発達した私たち人間は、自律神経が担当する領域を脅かすほどに随意神経系、つまり意志や思考や感情の力の方が強くなっています。怒りや不安や心配事に頭が支配されますと、それまで正常だった血圧は一瞬にして異常な状態になってしまったりします。
 精神的に不安定な状態では、ゆったりした呼吸は実現できませんし、指先を揉みほぐしてもたいして効果は期待できません。ですから「自律神経を整えよう!」と実践する時には頭の中(随意神経系)を静かな状態にした上で、呼吸やマッサージを行ってください。これは大事なポイントだと思います。

 足裏(足底)やカカト(踵)がとても硬くなっている人がたくさんいることは前にもお話ししました。私は、腰痛や下半身に症状を抱えた方はもちろん、頭痛や首・肩のこりの人であってもほとんどの場合、足裏やふくらはぎを施術します。そして、「どうしてこんなに硬くなってしまうのだろう?」と思うことがよくあります。
 そしてたどりついた一つの見解が、“カカト重心の人が多い”ことです。私たちが普段立ったり歩いたりしている地面が硬いコンクリートやアスファルトなので自ずと足底は硬くなってしまうということを以前に記しましたが、それに加え、カカトで立っているためにどうしてもカカトが硬くなってしまうのだと思います。

カカト重心の人の特徴
 カカト重心の人の外見上の特徴があります。(すべてがあてはまるわけではありませんが)

①反り腰
 本人は背筋を伸ばして良い姿勢を保とうとしているのだと思いますが、腰の上部を反らせてしまうとカカトの方に重心が移ってしまいます。

②首が前に出ている
 肩甲骨の位置はカカト重心を改善するための決め手の一つです。肩甲骨が後方にあるとカカト重心になってしまいますが、このような人はバランスを維持するために頭部を前に出すようになってしまいます。「肩甲骨が後ろにあるので顔が前に出る」と言った方が解りやすいかもしれません。肩甲骨は鎖骨と対になっていますので、肩甲骨が後にある人は正面から見た時に鎖骨が埋もれてしまってよく見えないか、存在感が乏しい状態になっていると思います。首が前に出ていて鎖骨がハッキリ見えないような人は、カカト重心である可能性が高いと言えます。

③ガニ股歩き
 立った状態で意図的にカカトに体重を乗せようとしますと(少し後に反ろうとしますと)、膝の内側に力が入らなくなり膝が少し開いた状態になります。この状態で歩きますと、必然的にガニ股歩きになってしまいます。
 カカト重心の人は、常に後方から何かに引っ張られているのと同じ状態ですから、どうしても膝が外に向かってしまうような歩き方になってしまいます。女性の方で、それが気になる人は意図的に膝を締めて歩こうとしますので内股歩きのようになりますが、それはからだに無理を強いることになりますので、カカト重心を是非改善していただきたいと思います。

カカト重心の弊害
 カカトに体重が乗っているということは、後から何かの力で引っ張り続けられているようなものです。ですから前に進むためには普通の状態以上に力が必要になります。それはからだに疲労を蓄積しますし、筋肉に無理を強いる結果を招きます。また、カカトで立っているので、からだはバランスをとるためにいろいろ不自然な状態になります。

カカト重心の人2

 下半身の方から見ていきますと、後に倒れないようにするために腰や下腹部を前に出すようになります(=腹が出る)。そしてその反動として背中を反らせますので腰部や背中の下部にハリや緊張を感じるようになります(=反り腰、慢性的腰痛)。そして肩甲骨が後に位置するようになりますので首や頭が前に出て猫背になってしまいます。(上述の通り)

 足底では、カカトで立っていることは不安定ですから、自然と足の指(足趾)を曲げて足趾に力を入れて、足趾で踏ん張ってからだを支えるようになります。それは足底の筋肉に緊張状態をもたらしますので、カカトだけでなく足底も硬くなってしまいます。また足趾の筋肉はふくらはぎにつながっていますので、ふくらはぎも硬く太くなり血流も悪くなります。この状態は、足の冷えやむくみの原因の一つであると考えられます。

 足趾が曲がる=足趾に力を入れて立ったり歩いたり、あるいは座ったりする状態は、腰痛の原因になります。O脚、外反母趾、内反小趾等々下半身の問題の原因になるだけでなく、顔や首から力が抜けない、呼吸が悪いなどの問題にも絡んできますので、カカト重心は是非改善していただきたいと思います。

カカト重心と、硬いカカト、曲がった足趾との関係性
 「扁平足はからだが疲れやすい」というようなこと聞いたことがある人も多いと思います。足底には縦と横にアーチがあって、立ったり歩いたりする時にクッションのように働いてくれます。この仕組みによって地面からの衝撃は和らぎ、私たちの重み(体重)は分散されるので足をはじめからだの骨格が護られるようになっています。扁平足の人はこのアーチの働きが乏しくなってしまうので、足腰に掛かる負担が増えてしまい、“疲れやすい”、”故障しやすい”となってしまいます。
 ところが、この原理は重心の位置が良いところにある人に通じる理屈だと言えます。カカトに重心のある人の場合、足底のアーチがちゃんとしていたとしてもクッションの役割があまり果たせなくなってしまいます。

足に掛かる重心と足底_1

 重心が良い位置(私は足首の前側、足の甲の出発点くらいだと思っています)にある人の場合、体重の重みによって縦アーチが沈みますが、それによって重みは爪先側とカカト側に分散されます。足底の筋肉は伸ばされ、合わせて足趾も伸びます。重みが掛かることによって足が平たく引き伸ばされるようになります。

足に掛かる重心と足底_2


 一方、カカトに重心がある人の場合、立った時に爪先側が少し浮いたような状態になります。この状態は不安定ですので、自ずとからだは足趾を曲げて立位の安定を保つようになります。誰かに前方から押されて後に倒れそうにバランスを失った時、私たちは足趾をギュッと曲げて倒れないように頑張りますが、これと同じようなことがカカト重心の人には起こっていると考えていただければ解りやすいかもしれません。足趾を曲げることは足底の筋肉を収縮させることと同じですので、足底は硬くこわばった状態になります。また、重心も足底の力もカカトに集まりますので、カカトはとても硬くなってしまいます。

 カカトが硬くなるとどうなるのか? という疑問に全部答えられるわけではありませんが、幾つかの不都合については確認しています。
 カカトの内側にはふくらはぎの深部にある後脛骨筋と長趾屈筋の腱が通っています。また足底の母趾外転筋の出発点でもあります。これらの筋肉は太股の内転筋(長内転筋)と連動関係にありますので、カカト重心の人は太股の内側がコチコチに硬くなるのと同時に骨盤が後に傾きます。腹部では内腹斜筋もこわばってしまいますので、お腹の伸びやかさが失われたり、時には便秘になったりするかもしれません。
 また、カカトの外側には股関節の外側に位置する筋肉(中殿筋、小殿筋、大腿筋膜張筋)と関係の深い部分がありますので、股関節で太股の骨が出っ張ったような体型になったり、股の間が広くなってしまったりすることが考えられます。骨盤から下肢が少しはみ出たような状態です。さらに小殿筋は肩の棘上筋と連動しますので、肩関節の動きが鈍く感じたり、脇が常に開いているような体型になったり、肩に何かをしょい続けているように感じたりするかもしれません。
 その他には、舌が硬くなっていて喋りづらさを感じたり、飲み込み(嚥下動作)が悪く感じたりしているかもしれません。

カカト重心を改善するために
 私が知っていることだけで申し上げれば、カカト重心を改善するための考え方は二つあります。(この先、もっと増えるかもしれませんが)
 一つ目の考え方は、“推進力のあるからだ”にすることです。カカト重心の人は後から何かの力に引かれているとか、向かい風の中に立ち続けているような状態ですから、前に進む力=推進力の乏しい状態です。骨盤は後傾し、お尻も垂れ気味になっています。この状態を克服して推進力のあるからだ、つまり歩いていても「自然に、前に前に脚が進んでいく」状態にするためには仙骨を前傾させて骨盤の後傾を改善することが必要です。
 仙骨の状態を整えることについてはだいぶ前に取り上げましたが、骨盤底の柔軟性やヒラメ筋、半膜様筋というハムストリングを整えることが必要になります。
 二つ目の考え方は、鎖骨を前に出すことです。鎖骨と肩甲骨は腕を動かす土台として一対になっていますが、合わせて上肢帯と呼ばれています。
 鎖骨を前に出すことは肩甲骨を前に出すという意味でもありますが、カカト重心の人のほとんどは肩甲骨あるいは鎖骨が本来の位置よりも後方にある状態ですので、これを改善する必要があります。

鎖骨を出すとかかと重心が改善_1
鎖骨を出すとかかと重心が改善_2

 パソコン作業が増えた今日、肩甲骨が外側に拡がり、肩が巻くように前に出て鎖骨が喉の下の方に埋もれてしまったような状態の人が増えています。猫背とも言えますし、胸が狭く閉じ込められたような状態であるとも言えます。このような状態はカカト重心になりやすい状態ですので、胸を開き(前鋸筋や大胸筋や小胸筋のこわばりを解消し)埋もれた鎖骨を表に出し、肩甲骨の位置を本来の状態に戻すことがカカト重心を改善するためには必要になります。

 普通は以上のように、仙骨のあり方を整え、鎖骨と肩甲骨の位置と状態を整えることで、多くのカカト重心を改善することは可能です。その他に、腰椎の在り方がおかしかったり、膝や足に故障を抱えていることによってカカト重心になっている場合などもありますが、基本としては仙骨と鎖骨・肩甲骨であると今の私は考えています。

 カカト重心にならないように意識的に体重を前に掛けて対応するという方法を思いつかれる方もいると思いますが、その状態はからだの何処かに力を入れて操作しているわけですから不自然な状態です。カカトの高い靴などを履いてもカカト重心を解消することができますが、それはそれで足の何処かに力が入ってしまいますのでやはり不自然な状態です。そうではなく、自然に立った時にカカト重心が克服されている状態になっていることが本道であり、大切です。
 以前に申し上げましたが、私たちが動作を行うということは“重心を移動させる”ことに他なりません。この重心移動がスムーズで上手な人が運動神経が良い人、バランス感覚の良い人であると言ってもよいと思います。
 そのためには、重心のホームポジションがカカトや爪先にあるのではなく、良い場所にくるようにからだを整えていただきたいと思います。ヨガやピラティスやいろんな健康運動によって、しなやかで健康的なからだを作り上げていくことは大切なことだと思いますが、その効率を高めるためにも重心の在り方を気に掛けていただきたいと思います。

 時々、小学生や中学性や高校生など若い人たちが来店されますが、椅子に座った状態でも、足底を床に着けるのではなく足趾を丸めている人たちをけっこう見かけます。これは単に“姿勢が悪い”とか”仕草がおかしい”という言葉で済ませてはいけないことだと思います。その状態が彼女や彼らにとっては自然であり、足裏を地面に着ける状態は不自然なわけですから、“貧乏揺すり”などと同じように、からだの何処かに狂いが生じているのだと考えられます。若い時分からそうであれば、将来的に不具合が表面化する可能性はとても高いと思います。
 ですから、若い人たちをもった親御さんは、“それくらいのことで‥‥”と見逃さないでいただきたいですし、スマホで酷使している親指などは原因になっているかもしれません。鎖骨を前に出す一つの方法は母指先を伸ばすことです。スマホ操作で酷使している指の第一関節はかなりこわばっています。それを伸ばすのはとても痛みを感じますが、それによってカカト重心が改善し、足趾が伸びて足裏で地面を捉えることが自然な状態になる可能性は高いと思います。

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