ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

2016年10月

 「奥歯を抜いてから体調が悪化し、顔や首に引きつりを感じるようになった」「歯科治療で歯を削られた後から、どこで噛んでよいのかわからなくなり、体調がどんどん悪化した」というような訴えや問い合わせが時々きます。
 “そしゃく”は私たち人間に限らず、哺乳動物にとって最も根源的な動作であり行為ですから、そしゃくが満足にできなくなりますと、からだはバランスを失い、体調は悪化の一途を辿ってしまうと考えられます。その意味で“歯”は非常に重要です。

 歯の問題がからだに強く影響を与えて体調を悪化させてしまった幾つかの例をあげてみます。

①からだの歪みを食い止めていた歯を削られてしまったために顔立ちが変わり、体調が悪化した
 誰もが大小の差はあれ、からだに歪みを持っています。歯ぎしりをしたり、噛みしめてしまったりするのはその歪みのせいかもしれません。例えば、かつて足首を捻挫した、あるいは膝を傷めたというような経験がありますと、からだは自然と下半身の方から歪み始めます。からだが若く、あるいは健康で体力が十分なときは、その歪みを下半身の筋肉が自然に調整して影響が上半身まで及ばないようにしているかもしれません。ところが体調が悪くなり、体力が低下しますと筋肉の調整能力が低下するために歪みが上半身~頭部へと伝わってしまいます。頭部には脳があり、顔面には繊細な感覚器官がありますので、歪みが頭部の方まで及びますと感覚器官の能力が低下したり、頭の回転が悪くなったりします。ですから、からだはそうならないように自然と歯や顎のところで歪みを食い止めようとしている可能性があります。
 具体的には、何かに集中しているとき、つまり脳をフル回転で働かせているとき、知らず知らずのうちに噛みしめる癖を持っている人がいますが、それはからだの歪みが頭部に及ばないように特定の歯を合わせることで阻止しているのかもしれません。頭部が歪んでしまいますと脳がフル回転で働けなくなるからです。見方を変えますと、集中力を高めるためのスイッチが特定の歯を合わせる行為だということになります。(人それぞれに集中力を高めるための癖を持っていると思いますが、それは脳が活発に働ける状態をつくるためのものなのかもしれません。)
 このように上の特定の歯と下の特定の歯を合わせること=噛みしめることでバランスを取っていたものが、その特定の歯を削られてしまったがためにバランスがとれなくなり、頭の状態がおかしくなったり、目や耳といった感覚器官の働きがおかしくなってしまったという例があります。
 「その歯がからだのバランスを維持するための支えだったのに、それができなくなったので、どこでバランスを取ったら良いのかまったくわからない。」いろいろな歯科医院を巡り、そう訴えたのに、なかなか理解してくれる歯医者さんはいないと訴えていた方がいました。

腹側と背側の境(上顎と下顎)

 以前に申しましたが、下の歯がある下顎骨は腹側(陰)で、上の歯がある上顎骨からは背側(陽)です。ですから歯の上下は正しくからだの陰と陽の接点です。正しい噛み合わせが重要であることの理由の一つは、陰陽の接点にズレが生じますとからだ全体の陰陽バランスがおかしくなってしまうからです。

 さて、からだの歪みは下顎と上顎に捻れを生じ、例えば下顎を右側に上顎を左側に歪ませます。このままですと顔も歪みますが頭も歪み、脳の働きが悪くなったりします。幸い、顎つまり歯は、ある程度思い通りに動かすことができますので、無意識のうちに自分(からだ)の都合の良いように噛み合わせを変えて頭の歪みを最小限に食い止め、脳の働きが低下しないようにすることができます。その現れが仕事や勉強で集中力を発揮しなければならないときに、ついつい噛みしめてしまう癖だと考えられます。特定の歯を噛みしめることによって何とかバランスを維持していると言ってもよいと思います。
 このような状態の時に、その肝心の歯を抜いたり削ったりしてしまいますと途端にからだはバランスを維持することができなくなってしまいます。あるいは何処か別の場所を使ってバランスをとろうとします。例えば首の右側筋肉を収縮させてバランスをとる場合は、いつも首を右に倒した状態になりますし、あるいは歯の合わなくなった側の唇(口角)を強く収縮してしまうために口が曲がった状態になってしまうかもしれません。歯を抜いてしまった場合は、入れ歯やインプラントで対応しなければなりませんが、削った場合はどう処理すればよいのか、専門家に聞いてみたいところです。
 かつて来店された方は、削ってしまった歯が噛み合うように他の歯も削ったようですが、結果は最悪の状況になってしまったということです。そしゃく筋は削ることができませんので、噛み合わせようとしますとそれまで以上に筋肉を収縮させなければなりません。ですから、結果的に噛みしめ(そしゃく筋の収縮)がきつくなってしまいます。あるいは歯を合わせただけでは微妙に筋肉が余ってしまいますので、そしゃく筋がたるんでしまい頬のハリが失われ、顔立ちがすっかり変わってしまったりします。
 ですから、抜歯や歯を削ることは慎重に考え抜いてから行っていただきたいと思います。歯科医の中には、歯のことばかりに注目してからだの歪みについてはほとんど考えない先生方もいるようですので、患者として妥協することなく治療方針について質問するなど、対応する心構えが大切だと思います。

②親知らずを抜いてバランスを失うこともある
 親知らずを抜いたために体調を悪くした人もけっこういます。「親知らずは必要性のないもの」という認識が私たちの頭にあるのか、歯科医から抜歯を勧められると躊躇することなく抜いてしまう人もいるようです。親知らずの必要性についての真偽は私にはわかりませんが、それまで親知らずを使ってそしゃくをしていた人にとっては“必要なもの”のはずです。反対に、もし親知らずがそしゃくの邪魔をしているのであれば、“不要なものかもしれない”と言えるのかもしれません。その辺りの見極めは自分自身の状況を自己責任で観察しなければならないと思います。医師任せで親知らずを全部抜いてしまい、後になって大変後悔している人を何人も知っています。
 話しはそれますが、かつて内臓の中で脾臓は“人体になくてはならない器官”という認識がなく、比較的安易に摘出してしまう傾向にあったようです。しかし現在では脾臓の役割についての再認識が進み、摘出について慎重な意見も出ているようです。
 「不要なものが生えてくるだろうか?」というのは私の個人的な感想ですが、もし親知らずによる悪影響をそれほど感じないのであれば抜かない方が良いのではないかと思います。
 抜歯は一時的とはいえ、必ず歯茎を傷つけます。歯茎がおかしくなると必ずからだに影響が現れます。その一つが舌が硬くなることですが、舌は私たちがイメージしている以上に全身に大きな影響力を持っています。発声に影響が出ます。そしゃくと嚥下に影響が出ます。目の動きに影響が出ます。呼吸に影響が出ます。その他にもまだまだあります。これらの影響については、実際に私が目の当たりにしてきたことです。
 ですから、親知らずであれ、他の歯であれ、「簡単い抜いて欲しくない」と、そう思います。抜歯に慎重な歯科医院は治療に時間がかかるので“まどろっこしい”と感じるかもしれませんが、将来的にはそちらを選択した方が良いと私は思います。

③歯科矯正は慎重に考えていただきたい
 そしゃくが足りない現代人は顎の発達が悪く、その影響で歯並びが悪くなる傾向にあるようです。ですから昔に比べて歯科矯正をしている子供さんや若い人たちも多くいます。昔は矯正のための装具も針金が表に出て目立つものだったのですが、今はいろいろな工夫がなされて矯正中の外見が普通の人と変わらない感じにできるため歯科矯正が多くなっているのかもしれません。
 歯科矯正についての直接的な懸念は二つあります。一つは歯茎が弱くなることです。これについては以前にも書きましたし、先ほども触れました。もう一つの懸念は、装具で上顎骨の動きを妨げてしまうことです。上の歯が付いている上顎骨は左右二つに分かれています。呼吸で鼻から息を吸う時、上顎骨は関節部分を境に外側に拡がりますが、装具を付けてしまいますとこの動きを阻害することになります。ですから満足な鼻呼吸ができなくなり口呼吸をするようになってしまいます。口呼吸が脳の働きや健康に良くないことは広く知れ渡っていますし、このブログでも取り上げました。
 歯並びが悪いことはいろいろな不都合につながりますし見栄えも良くありませんから、歯科矯正を選びたいという気持ちは理解できます。しかし将来的なことを考えるなら、できるかぎり慎重に考えていただきたいと思います。「せめて抜歯はして欲しくないなぁ」というのが、私見ですが、私の率直な願いでもあります。
 実際、30歳くらいから顔がたるみ始めて顔貌が気になりだしたり、あるいは舌が硬くなって呼吸や嚥下に違和感を感じるようになっている人がいます。歯茎がゆるむといろいろな問題につながるのです。それはそれで対応方法はありますので、過去に歯科矯正をしたからといってネガティブになることもないのですが、そのデメリットも知っていただきたいと思います。

 ここで私自身の話をさせていただきます。
 私は20歳代半ばまで野球に取り組んでいました。ボールを投げる時、バットで打ち返す時、野球選手は歯を食いしばります。ですから、毎日毎日強い力で食いしばってばかりいたことになります。これは野球に限らず強い力を必要とするスポーツ選手も同様です。ですから、20歳くらいですでに歯はガタガタでした。野球をやめて33歳頃だったと思いますが、インプラントを何本か入れました。それから20年以上経っていますが、インプラントを入れた部分の顎骨は細くなっています。その他にもダメな歯がいくつかありまして、一つは歯茎の中で折れてしまっています。折れているので歯科医の先生は抜歯することを強く勧めましたが、周りの歯も弱いのでブリッジは架けられず部分入れ歯にするしか方法がないとのことです。かつてのインプラントのために顎骨も弱くなっているので、もうインプラントは考えない方がよいと言われました。結局、歯茎の中で折れた状態のままその歯は放置しています。歯茎の中で歯が折れた状態は、当然歯茎に負担をかけます。歯茎のその部分はいつも傷ついた状態のままです。ですから頭蓋骨は当然歪みます。しかし私は整体師ですからケアの方法を知っています。毎晩湯船の中で3分くらいその歯茎の部分に手を当ててケアをしていますが、それだけで頭蓋骨の歪みは元に戻ります。
 ですから歯科矯正のために、あるいは他の理由で抜歯をしたからといってネガティブになる必要はありません。改善する方法はあります。ただ、歯を抜いたり、歯槽膿漏などで歯茎の状態を悪くしますと顔や頭やからだに影響が及ぶことを知っていただきたいですし、そうなった場合は毎日のケアを行って欲しい、と思います。

 “老化”のシンボルとして、歯がなくなる、耳が遠くなる、頭の回転が悪くなる、脚が弱くなる、というものがありますが、それは“そしゃく”の問題が深く関係しているように思います。“そしゃく”は私たちのからだの原動力です。それは私たち人類を含め、哺乳動物の宿命です。生まれたばかりの赤ちゃんは、目もまったく見えないのに母親の乳房にくらいついて一生懸命乳を吸い取ります。なによりも最初に無我夢中になって行う行為が乳飲みですが、この行為が“そしゃく”の始まりです。哺乳動物だけが唇を持っていますが、それは“そしゃく”をするためです。蛇やワニなどの爬虫類はそしゃくして消化するのではなく、丸飲みして胃で消化します。つまり、“そしゃく”が哺乳動物の体力の源であると考えることができます。“牛がモグモグと草を食べている姿”それを連想してください、と私はよく申し上げますが、そのようにそしゃくして、そしゃく筋を常に鍛えていただきたいのです。すると私たちのからだはしっかりします。柔らかい食物ばかりが横行している今日、私たちは昔の人に比べてそしゃくが足りていません。この事実をすっかり何処かに放ってしまって、栄養価が高い食品やサプリメントなどを追い求めたり、あるいは反対に過剰な糖質をデトックスして痩せるための方法などが流行る傾向にありますが、それよりも「そしゃくをしっかりした方が効果が高いのでは‥‥」と思ったりします。
 そして“そしゃく”も歯や歯茎が健康でなければ満足にできません。ですから、歯や歯茎は大切にしていただきたいと思います。

 尚、歯や歯茎に問題があったとしても、からだの歪みが軽微であったり、あるいは筋力、体力が充実していてバランスが良ければ体調不良に悩まされるといった状況にはならないようです。ですから、私自身も含めて、そのような人は普段の体調管理に十分気をつけていただきたいと思います。   

 「娘が学校の検診で側弯症の初期段階だと指摘され、このまま進行すればコルセットが必要になると言われて‥‥。どうにかなりますか?」と、定期的に来院されている方から聞かれました。同様の相談は過去に何件かありましたし、側弯症が進行した状態で成人された方も幾人か来店されました。腰痛や膝痛や五十肩などは“症状”であって病気ではないと一般に思われいるのか、私のようなところで対応できると思われているようですが、側弯症は病気であって病院が取り扱う分野だと思われている人が多いようです。
 ところが病院では「このまま状態が悪化すればコルセットを装着しなければならなくなるし、もっと悪化するようだと手術も考える必要がでてくる。」というようなことを言われ、「で、では、どうすれば状態が改善するのか?」という最も素朴な疑問に対しては明快な回答が得られないようです。

 側弯症が進行した状態で成人しますと、内臓の位置が普通の人に比べかなり偏った状態になると思います。体幹(首下~骨盤)の左側は薄く右側は厚くなって、正面から見ると「C型」に歪んでいる人がいましたが、「内臓はどのように配置されているのだろう?」と素朴に思ったりしました。「今(35歳)からでも側弯症を改善するように日々体操してみてはどうですか?」と言いましたが、本人は「病気なのでそんなことでは治らない」と思い込んでいて、私の助言は聞き流されました。
 また側弯症の影響で坐骨神経痛になっていた若い女性もいました。坐骨神経痛といっても症状としては軽く、太股から足にかけて「だるさを感じる」程度でしたが、側弯症による影響でしたから“常に症状がある”状態でした。この方にも「側弯症が原因なので、それを改善するために、この体操を毎晩寝る前にやってください。」と来店の度に幾度か進言しましたが、「そんなことで直るわけがない」みたいな反応でしたので、助言を止め、施術で側弯症が少しずつでも改善されるようにしていました。月1回程度の頻度で来店されていましたが、2年くらい経過した頃から坐骨神経痛の症状は消えました。その後は背中のハリや肩こりなどの症状で時折来店されましたが、今はすっかり来店されることもなくなりました。

機能性側弯症は“何処から歪み始めたか”を見極めることから
 側湾症には先天的な要因や神経の問題など病気としてもの(構築性側弯症 )と、生活習慣や姿勢などの問題で背骨が曲がってしまう機能性側湾症があるとされています。明らかに病気としての側湾症は、私の担当する領域ではありませんが、機能性側湾症に対してはできることもあります。
 側湾症が発症するのは幼少期から中学性の頃までの成長期がほとんどのようです。つまり関節が柔らかく筋肉や組織が成長している時期に背骨が曲がり始めると、どんどん曲がりが大きくなってしまうと解釈できます。ですから、そうならないように早い時期から対策を講じることが肝要であるということはわかります。しかし、その対策が“コルセット”では、あまり効果が期待できないのではないかと思います。

 背骨が歪んでいる人はたくさんいますが、歪みの程度が大きくなると側弯症と診断されるのであれば、歪みの度合いを軽減していけば良いという理屈になります。私のところに来られる方々のほとんどはからだに歪みを持った方々ですから、歪みを修整するという意味では、側弯症の人もその他の人も私にとっては大して違いはありません。ただ、側弯症の方々のほとんどは歪みが大きく、固定化している場合が多いので修正に時間がかかってしまいます。

 背骨の歪みに対する施術を行う場合、その歪みが何処から始まったのかを見極めることがポイントです。例えば、骨盤上部の腰椎が左側に歪んでいる人は胸椎下部が右側に、胸椎上部や頚椎下部が左側に、そして頚椎上部が右側に歪んでいたりしますが、その歪みは骨盤から始まったのか、それとも頭頚部から始まったのか、あるいは別の場所から始まったのか、それを見誤るといくら施術を繰り返しても改善には結びつきません。

 先日来店された中学2年生の女子は、小学生の頃からソフトボールを始め、現在もソフトボール部に所属しています。座った状態を観察しますと、左側のお尻に体重が乗っています。つまり、右の坐骨に体重を掛けられない状態です。次に立ってもらい片脚立ちをしてもらいましが、日々クラブ活動で鍛えているにもかかわらず、右脚の片脚立ちがしっかりできません。バランスが取れないのです。これは右側の中殿筋が上手く働いていないことの現れですが、過去のケガについて本人と母親に尋ねたところ、小学5年生の時に右足首に強い捻挫をしたが病院や治療院に行くこともなく放って置いたということです。これが中殿筋が機能しない原因でした。
 この女子は小学5年生の頃からおよそ4年間、右側に体重をかけられない状態でしたから、骨盤の左側ばかりにからだを乗せて座っていたということが推察できます。これは明らかに背骨を歪めてしまう原因です。
 また、首の方を観察しますと頚椎の1番が右側に歪んでいました。それは右側ばかりで噛んでいる片噛みによる影響です。お尻の左側に体重を乗せて座っているので腰部は左側に歪みます。するとバランスを取るために首を右側に倒して座るようになります。その状態で食事をするので自然と右側で噛んでしまう片噛み癖になってしまいますが、その積み重ねによって頚椎上部が右側に歪んでしまっているのだと推察できます。
 ですからこの女子の場合、右足首を整えて中殿筋が機能するようにしてまっすぐに座れるようにすることがポイントで、併せて右側の硬くこわばっているそしゃく筋を整えることが施術方針になります。
 初回はこの方法で背骨と首の歪みはかなり良くなりました。しかし成長期という大事な時期ですから、しばらくは月に1回の間隔で来店していただき経過を観察するとともに施術を行っていくことにしました。

 骨格や筋肉に柔軟性のある成長期までの頃は、歪みを改善することもすぐに結果が現れます。ということは反面、悪い姿勢や悪いからだの使い方をしているとすぐにまた歪んでしまうということでもあります。子供さん達の姿勢の変化や噛み癖、目の使い方の癖には十分注意していただきたいと思います。
 そして、この女子のように過去のケガによってからだのバランスが崩れている場合は「ちゃんと座りなさい」「両方の歯で噛みなさい」と注意をしても、からだがそのようにできない状態である、ということもあります。その場合は厳しくしつけるよりも、からだの不具合を直すことを優先させた方が、親子と共にストレスを感じなくてすむと思いますので、そちらを選んでいただきたいと思います。
 
 もう一つの例として、20歳代半ばの女性のケースです。彼女の側湾はそれほど大きなものではありませんでしたが、自覚的には仰向けで寝ると背中の右側は肋骨~腰の上部までがしっかり床に着くのですが、左側はすっかり浮いてしまっているというものでした。うつ伏せになった状態を観察しますと、右側の背筋が棒のように張っているのに対して、左側は凹んだ状態です。フワッとした感じの服を着ていると側弯症であることがわからない程度のものでしたが、常に右脚にだるさを感じていました。本人はむくみが強くてだるくなってしまうのだと思っていましたが、実は側弯症による軽微の坐骨神経痛でした。
 彼女は小学生の頃に側弯症であると指摘されたようですが、病気なので治らないと思っていました。しかし、側弯症が改善しなければ脚のだるさは取れません。ですから、側弯症を少しずつでも改善するための3分程度の体操を教え、「毎晩寝るときにやってください。やり続けていれば必ず良くなるから」とアドバイスしましたが、全然やってくれませんでした。私の助言を馬鹿にしているというよりも、医師から言われた「治りません」の言葉が頭から離れないからかもしれません。

 彼女の側湾は首から始まっていました。首が歪み、胸が歪み、腰が歪み、骨盤が歪んで坐骨神経痛になっているというパターンでした。「どうして首が歪んだのだろう?」というのが当然の疑問です。顎関節の調子も悪かったので、噛みしめや歯ぎしりの影響は十分考えられます。
 そうだとして、では「どうして噛みしめてしまうのだろう?」というのが次の疑問です。
 からだを観察していきますと右手人差し指の先がが捻れているのが気になりました。その捻れを、私が操作して捻れの無い状態に戻しますとベッドを押しつけるようにくっついていた背中の右側が少し浮くようになりました。背骨の歪みが軽減して右側の張りが少し弛んだからです。
 「どうしてこの指先が捻れているのか心当たりはありますか?」と尋ねますと、しばらく記憶をたどった後、「幼稚園児の頃まで人差し指をしゃぶる癖があったからかもしれない」との返答でした。「これが側弯の原因かもしれない」そう私は思いました。
 人差し指の捻れは肋骨の2番目を中心に胸郭を歪ませ、首の筋肉(斜角筋)を緊張させせる傾向があります。斜角筋が緊張することで頚椎は歪みますが、同時にそしゃく筋も緊張させますので本人の意図に反して噛みしめの状態になってしまいます。
 その後来店される度に人差し指の捻れを解消するようにしていきますと、4~5回目くらいの来店時から右脚のだるさを訴えなくなりました。背骨の側弯は残ってはいるものの以前に比べ明らかに改善しています。そして、その後はしばらく来店されることもありませんでした。
 私としましては、もっと側弯が改善されるまで通っていただきたいという思いを持っていましたが、今は結婚をされ遠くに住まわれていますので、たまにご実家に戻られたときに来店される程度です。

 何故か女子に多い側弯症ですが、それが生活習慣や姿勢の問題に由来するものであるならば、改善する可能性はあると考えます。側弯に限らずからだの歪みには必ず最初の原因があります。それを丁寧に探っていけば歪みを改善するための方法は見つかります。
 ほとんどの人が私のような職種よりも医師の言うことの方を信じると思いますが、それはそれで懸命な判断だと思います。ところが「コルセットを付けて、それでも駄目なら手術まで考えなければならない」という診断は私から見ますと治療を放棄しているようにさえ思えます。「悪い兆候はあるけれど、もっと悪くなるまではやりようがない」と言っているのに等しいのではないでしょうか。患者の立場としては、症状が軽微なうちに治したいし、症状を進行させないためにどうすれば良いかを知りたいはずです。
 また“コルセット”という手段も私には解せません。固定して動きに制限をかければ歪みは進行しない、というような考え方はからだの仕組みを知っている人の発想とは思えないからです。「からだはそんな風にできていないのになぁ?」というのが率直な気持ちです。

 私はこの職業に携わってから、背骨が真っ直ぐで理想的な状態の人に出会ったことがありません。大なり小なりすべての人は歪みを持っていると思っています、と言いますか、それが現実です。
 私はその歪みが大きくなってしまったのが機能性側弯症ではないかという考え方をしています。側弯が進行しますとスタイルが悪くなり、さらに進行しますと内臓機能にも影響が及ぶようになってしまいます。それは女性にとって、将来的に苦痛に結び付くことかもしれませんので、なんとか改善していただきたいです。
 現在、側弯症と診断される程歪みが大きくなってしまっている人は、改善までに時間を要すると思います。しかし、元々のきっかけを明らかにし、それを改善することに忍耐強く取り組んでいけば、きっと状態は良くなるはずだと考えています。
 側弯に対する施術は、腰痛や関節痛、頭痛などのように、すぐに変化を実感できるというものではありません。しかし日々の努力で必ず状態は良くなると思いますので、お悩みの方は一度ご来店の上、ご相談ください。

 今年は9月に入ってから立て続けに台風がやってきて、天候がとても不安定です。台風が発生すると具合が悪くなる人、低気圧が通過する頃体調が悪くなる人、そんな人はたくさんいます。高齢者で膝や股関節など関節を病んでいる人にとってはとても辛い季節かもしれません。

変形性膝関節症01

 私の母は既に後期高齢者ですが、70歳になる手前の頃、リウマチを患い左側の膝関節が変形してしまいました。リウマチの方は投薬治療によって寛解したのですが、変形してしまった膝は元には戻りません。右脚の方は変形することもなく普通の状態ですので、写真(数年前)にありますように左右で脚の形が違っているため(左脚が短いので)歩き方が変わってしまいました。その影響で少しずつ左脚のO脚が悪化し、今では左脚を引きずるような歩き方になってしまいました。今は同居していますので毎朝出勤前にマッサージをしているのですが、この長引く悪天候はマッサージの効果も少なく、とても辛いようです。

O脚で膝の内側に痛みを感じたらしっかり対処してください
 私たち日本人にはO脚の人がたくさんいます。特に高齢の女性には大変多いです。それは、O脚は加齢とともに進行するという現実を現しているのだと思います。スタイルが悪くなるということだけであれば、私があえて問題視することでもないのですが、進行したO脚は変形性膝関節症になる危険性が高くなりますので、そうならないように対策をしっかりしてO脚を進行させないように、あるいはO脚自体を改善するようにしていただきたいと思います。

 O脚は脚の外側面に力がかかりますので、ふくらはぎ(下腿)は膝関節で外側にずれるようになります。そのような状態が長年続きますとやがて膝関節の内側半月板(クッション)が損傷して大腿骨とスネ(脛骨)が直に接触するようになったりして炎症が生じます。ここまで状態が悪化しますと変形性膝関節症と診断されますが、こうなってしまいますと改善はなかなか難しくなります。 膝が変形する前の段階でも膝の内側に痛みを感じることはよくあります。一番多いのは膝関節が一時的に、あるいは慢性的に歪んでいるため、膝内側の筋肉が緊張状態になってしまい、曲げたり動かしたりすると痛みを感じるケースです。O脚ではない人でも、手や足を酷使した後で膝が痛むことはしばしば見受けられます。(この仕組みについては過去のブログやホームページを参照してください。)ほとんどの場合、一時的なものですので手足の疲労やコリが回復すれば膝は元の状態に戻ります。
 他方、O脚の人は常に脚の外側に力が掛かっており脛骨が外側に歪んでいますので、膝内側の筋肉は引っ張られていて緊張状態にあります。また筋肉だけでなく、膝関節を包んで中に関節の動きを円滑にするための潤滑液を含んいる“関節包”にも偏った力が掛かったり、圧迫が加わったりしてしまいますので炎症が起こりやすくなっています。ですから少し長く歩いたり、重たい物を持ったり、正座をしたりしますと膝の内側に痛みを感じたり水が溜まったりしてしまうという状況になります。状態が悪くなりますと膝を曲げることが辛くなったり、椅子に座っているだけでもジンジンしたり、何もしていなくても苦痛を感じるようになってしまうこともあります。このような状態でも湿布を貼ったり、温めたり、痛み止めの薬を飲んだりしますと苦痛は軽減します。ですからそのようにして対処している人が多いのですが、この段階は要注意です。この段階ではヒアルロン酸の注射は効果があると思います。痛みも和らぎ、関節包の状態も良くなりますので関節の動きもスムーズになります。しかし、膝内側の筋肉が緊張状態であることには変わりがありません。「良くなったはずなのに‥‥。また痛くなってしまった。」となってしまうことでしょう。

変形性膝関節症(半月板損傷)

 半月板や軟骨の損傷が進んでいない状態であれば、それがひどい膝関節痛や不具合だったとしても回復の可能性は十分にあります。膝関節を取り巻く筋肉のバランス状態を改善することで膝は良好な状態に戻ることができます。しかし、進行したO脚状態では筋肉バランスを整えることは難しくなりますので、少しずつでもO脚を改善することに取り組んでいただきたいと思います。
 若くて筋肉に力があるうちは膝内側が緊張状態であっても筋肉は耐えることができます。半月板が減ってしまうこともないかもしれませんので膝は変形しないでいられます。ところが加齢とともに筋肉や組織の力が衰えますと筋肉は緊張状態に耐えきれなくなり、少しずつゆるみ始めて膝関節の歪みが進行していきます。O脚状態で膝の歪みが進行しますと、内側の半月板はダメージを受け機能が低下してしまいます。すると大腿骨と脛骨の軟骨部分が接触するようになったりして膝にいろいろな問題が生じるようになります。
 ここまで状態が進行してしまいますと、“膝が良好な状態”に戻すことは難しくなります。正座ができない、早歩きができない、湿布や貼り薬が手放せない、しばしば整形外科のリハビリ器具を利用したくなる、などの状況になりますが、生涯膝の不具合と付き合って行かなければならない可能性がたかくなります。

 ですから、ご自分やご家族の誰かがO脚で、膝の内側に痛みを感じるようであれば、早い段階で適切に対処することを是非実行してください。その症状が一月も続くようであれば、関節を整えることを考えてください。
 現代医学の領域では、ヒアルロン酸によって関節の動きがスムーズになること、痛み止めの注射や薬で炎症が治まり痛みを感じなくなること、関節の変形が酷くて機能を果たすことができなければ人工関節に取り替えること、もしかしたらそういうことを“適切な対処法”と考えているのかもしれませんが、それでは医学が進歩しているとは私には思えません。
 O脚の人は“将来の変形性膝関節症の予備軍”みたいなものですから、如何にO脚を改善するか、あるいは如何にO脚を悪化させないようにするか、そういったことに取り組むのが、本当の意味での進歩ではないかと思うのですが‥‥。

O脚の改善は股関節から
 スタイル重視を掲げている“O脚矯正”では両膝の間が狭くなり脚がなるようにすることを主体に矯正を行っているのかもしれません。それは“形”に重点を置いたやり方です。しかしそれでは今回の、将来変形性膝関節症にならないためにO脚を改善するという目的を叶えることにはつながらないかもしれません。

O脚と下肢の筋肉・骨格02

 私たちの標準的な骨骼では、大腿骨は骨盤の外側から膝に向かって内に入るように降りています。そして膝から足にかけての脛骨はほぼ垂直に降りています。骨格の在り方は力の方向性を示しますので、下肢は“骨盤から膝にかけて力が内側に集まっている状態が正しい”ということになります。つまり立った時、膝のやや内側に力が集中している感じが得られる状態が良い、ということです。立った時、膝の外側に力が逃げてしまったり、どこに力が集まっているのかハッキリしないのであれば、それは改善する必要があるということです。

 O脚を改善するための第一段階は、力が膝の内側に集まるようにすることだと私は考えています。そしてそのためには、股関節では大腿骨を外側に開く働きをする筋肉を整えなければなりません。その要は小殿筋です。
 更に、股関節で大腿骨を外側に回旋させる働きをする筋肉を整える必要があります。その要は短内転筋です。
 その他に筋膜の影響があります。そしてその影響力はかなり強いです。大腿部の筋膜が少し内側に捻れる感じで膝に向かっているのが良いのですが、触診に馴れていない人にとって筋膜の流れを感じることは難しいかもしれません。仮に、筋膜が理想とは反対に外側に流れているような状態では、力はその方向に向かってしまいますので、膝の内側に力が集まる状態にはなりません。そして膝蓋骨(膝のお皿)は筋膜の影響を受けますので、他者に比べて膝蓋骨が外側に位置しているように感じるかもしれません。それは筋膜が外側に捻れていることを現しています。
 尚、立った時に足が「ハの字型」になっているO脚や内股の人は膝蓋骨が内側に入り筋膜も内側に捻れている状態になっていますが、それが良いわけではありません。股関節で脚が内側に捻れているということですから、膝裏が外側を向いてしまうので反張膝になってしまいO脚を助長してしまいます。

 O脚の場合、膝関節で脛骨が外側にズレているわけですが、そのことばかりに注目して膝関節ばかり整えたとしても、股関節から膝関節にかけての力の掛かり方が改善されなければ、膝関節の矯正は極めて一時的なものになってしまいます。5分も歩けば元の状態に戻ってしまうかもしれません。
 ですから先ず第一に整えるべきところは股関節での大腿骨の角度であり、大腿部の筋膜の流れだと私は考えています。その上で、膝関節における大腿骨と脛骨の関係、足関節(足首)などを修正するのが順番になります。

 たとえ脚の形がすぐに真っ直ぐにならなかったとしても、立ったり、歩いたりするときの重心が太股と膝のやや内側に集まるような状態になっていれば、自ずと足の母趾側に力が入るようになります。このような状態でからだを使い続けていれば次第に骨格も筋肉のバランスもそのように変わっていきます。それまで負担の掛かっていた内側半月板も次第に偏った圧力から解放されるようになりますので、変形性膝関節症になる可能性は遠のいていきます。

O脚と骨密度
 高齢者、とくに女性の高齢者にとって骨密度は気になるところです。骨折しやすい状態かどうかは骨密度だけの問題ではないかもしれませんが、一つの目安として骨密度を気に掛けていることは良い方法かもしれません。
 また、私の母を例に出しますが、リウマチを患って少し経った頃骨密度を測定したことがあります。普通の状態である右脚の骨密度は年齢より若い値でした。一方、O脚である左脚は骨密度が芳しくなく投薬によって対処しなければならないレベルでした。
 これを一般の人はどう考えるのでしょうか? 骨密度が悪く、つまり骨が弱いのでO脚になってしまったと考えるのでしょうか?
 専門用語は忘れましたが、骨は重力の掛かり具合によって成長したり退化したりする傾向があります。重力のない宇宙では、じっとしていると筋肉だけでなく骨も細ってしまいますので、宇宙飛行士達は宇宙船の中でたくさんトレーニングをしています。それは骨や筋肉に重力をかけているということに他なりません。
 そう考えますと、普通の状態である母の右脚の骨にはしっかりと重力が掛かっていますが、O脚の左脚には重力があまり掛かっていないということになります。O脚が進行して左脚を引きずりながら歩いている現在であれば、「左脚をかばうために右脚ばかりに力をいれている」ということで骨密度の左右差の原因をイメージしやすいと思います。しかし、測定した頃は左脚で地面をしっかり踏めていた頃ですから、左右で大きな差があることは想像しにくいことでした。

変形性膝関節症01

 ここでもう一度母の写真を見ていただきたいのですが、O脚である左脚は股関節から膝のやや外側に重力が掛かっていて、膝から下は力の方向がすっかり外側に向かっています。この状態を見方を変えて観察しますと「右脚はからだの重み(重力)をしっかりと大腿骨と脛骨で受け止めているが、左脚は力が外側に流れて逃げてしまっている」となります。つまり骨に対する荷重が左側は弱くなっていますので骨が退化してしまう、となります。
 O脚(X脚も同様)の人は膝関節に対する負担が増えるので痛みや炎症を起こすのですが、骨そのものに対する負担は減るので骨密度が悪化するという結果になります。

 ホルモンの関係とも言われていますが、体質的に女性は骨密度が悪化しやすいと言います。高齢になって外出の機会、歩く距離も減りますと骨が弱くなってしまうのは仕方がないことではありますが、そこに膝関節の不具合、O脚が加わりますと尚さら骨の弱体化が加速します。ですから道理だけで考えますと、加齢に従いO脚は改善するようにしなければならないということになります。
「スタイルのことを考えていた若い頃はO脚を気にしていたけど、もうそんな歳でもないし、今更O脚を直そうとも思わない」というのは心情的には理解できますが、からだの健康を考え「いつまでも自分の脚で歩き続けていたい」と思われるのであれば、O脚を改善することを考えていただきたいと思います。
 O脚を改善することは重心をからだの中央に持っていき、動作を無理なく効率的に行うことにもつながりますので、単に脚だけの問題ではないことをつけ加えます。

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