ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

2016年02月

 歯ぎしりや噛みしめの癖を持った人はかなり多くいますが、“なぜ噛みしめてしまうのか?”というテーマが私の中にあります。
 これまで幾度となく取り上げてきましたが、そしゃく筋は全身筋肉の司令塔としての役割をしていますので、そしゃく筋がこわばりますと全身的に緊張気味のからだになってしまいます。からだを芯からリラックスさせたいと思って体操やストレッチや呼吸法などやってみたところで、そしゃく筋がゆるまないと本当のリラックスは達成できません。

 噛みしめ癖を持っている人に対して「噛みしめないように注意してください。」とアドバイスしたところで、からだの何処かに不具合や調子の悪いところがあってどうしてもそしゃく筋に力が入ってしまう(収縮してしまう)状態の人には無理な要求になってしまいます。
 施術を受けに来られる方々の多くは噛みしめの癖を持っています。特に顎関節症や顎が痛いわけではないので自覚していないことがほとんどですが、そしゃく筋がゆるまないと頭痛は解消されませんし、膝の調子が改善しなかったりします。五十肩でもないのに腕が上がりにくい、常に息苦しい、クビの緊張感が取れない‥‥、そしゃく筋のこわばりによる不調は多岐にわたります。

 現在私は”自然にそしゃく筋がゆるむように”というテーマで施術に取り組んでいますが、いくつか例を挙げてみます。

ピアスをはずすと瞬時に噛みしめなくなった
 この方は20代の女性です。とても小柄で痩せています。私のところにはだいたい2週間に一度のペースで通われています。慢性的に胃の調子が悪く食事がそれほど摂れません。さらに痩せていて筋肉量も少ないですから熱をつくり出す能力が低いといえます。しかし仕事柄、冬の冷気にも耐えなければならず、11月から2月初旬まで“冷え”が根本原因と思われる背中~首筋にかけての張りと体調不良に悩んでいました。
 昨日(2/25)の来店では「肌が荒れる一方で‥‥。食事や生活習慣にも気をつけ、なるべく化粧品も使わないようにしているけど、全然改善の兆しがなくて。」と訴えました。さらに皮膚科では金属アレルギーであると診断されたということでした。20年近く前に歯の治療で埋めた銀歯しか金属は身につけていないので、昨日歯科医でそれをプラスチックに変えてみた、ということでした。銀歯のようなアレルギーの場合、唾液と反応して徐々にアレルゲンが体内に溜まっていくため、10年後20年後にアレルギー反応が現れる場合があると医師からの説明もあったようです。
 肌荒れの目立つ箇所は右頬や下顎の周りでした。いろいろ施術を行いましたが、気になったのはそしゃく筋のこわばりでした。特に右側の方が強くこわばっていました。こわばっているそしゃく筋を直接ゆるめることなく、からだを調整しながらこわばる可能性をひとつひとつ除去していきましたが、施術だけではこわばりが取り切れませんでした。そしてたどり着いたのが、左右の耳に3つずつつけていたピアスでした。金属性ではなく樹脂性の小さなピアスでしたのでアレルギー反応の一つとしてそしゃく筋がこわばっていたわけではありませ。しかしピアスを外してもらうと瞬時にそしゃく筋のこわばりはとれ、頬にあった緊張感が抜けました。苦しそうに見えていた眉間もゆるみ瞳の色が濃くなりました。顔全体の血流が良くなったので、肌荒れも良くなっていくと期待しています。
 施術後30分くらいして自宅からメールが入り、「顔がとてもスッキリした!」と喜んでいました。

スマホのしすぎで母指先がこわばり噛みしめ癖がついてしまった
 私の娘もそうですが、若い人たちはとても器用にスマホを片手で操作します。親指を俊敏に動かして文字を入力していますが、職業柄私は以前からその偏った指の使い方や酷使が原因でいろいろなトラブルが現れると思っていました。
 親指の先が使い過ぎで強くこわばりますと筋肉の連動関係で肩甲骨が外側に引っ張られます。肩幅が拡がると言っていいかもしれません。すると下顎も同様に外側下方に引っ張られるようになります。右手でスマホを操作している人は、右肩が外側に出て、右顎を右下方に引っ張る力が常に働いているということです。すると下顎が右下方にずれてしまいますので、からだはそれを阻止しようとして自然(無意識)に咬筋を収縮させて顎がずれないようにします。”噛みしめ”というイメージとはかけ離れたそしゃく筋のとても小さな収縮ですが、しかし”常に”収縮しているわけですから、やがて強いこわばりに変化してしまうことになります。
 本人にはまったく噛みしめているという意識はありません。しかし徐々に顔の形が歪みはじめ、ある日顎関節症の症状が現れてしまうかもしれません。
 このような場合は親指の先(第1関節付近)のこわばりをほぐして対処しますが、とても強くこわばっているため施術が思いの外痛くなります。ほとんどの人が指先をほぐすことがそんなに痛いことだとは思っていませんが、使い方の偏りや酷使はからだの中に不自然な状態をつくってしまうということの現れです。

膝周辺の問題で噛みしめてしまう
 その方がケガをしたのは30年近く前の子供の頃のことです。車の後部座席に乗っていたのですが、車が急ブレーキを掛けた時に反動で前に飛び出し、膝頭が前の座席の背面についている取っ手の間に入ってしまいました。救助隊を要請して膝を抜くことができたくらいの大きな出来事でしたが、結果的にその時の損傷の影響を現在まで引きずってしまったことになりました。
 その方が初めて来店されたのはちょうど1年前になりますが、本当にひどい腰痛で、歩くことも立つことも介助なしでは出来ない状態で、座ることも出来ず、一日の大半を寝て過ごさなければならなかったのですが、それでも度々ギックリをしてしまうような状態でした。やっとの思いで車に乗り大きな病院を訪れて検査を受けても、例によって「骨にも神経にも異常は見られません」との診断だけで、痛み止めと湿布薬を処方されるだけの対処しかされませんでした。私がこれまで経験した中で最悪の状態の方です。今現在は40分くらいなら歩くことも、座り続けることも、車に乗ることも出来る状態にまで回復してきて、食卓に座って家族と一緒に食事が出来たり、ちょっとした家事もできるようになりました。この一年は大変な苦労と大きな出費でしたが、本人も私も明らかな回復の兆しをつかんでいますので希望の光に向かって着実に進んでいます。
 この方が今よりもっと回復するためには、単に腰部の悪いところを修正し運動をして筋肉を鍛えるだけでは無理ですので、からだのもっと隅々まで悪いところを修正していかなければなりません。「いつまたギクッとしてしまうか恐怖」という感情が心からなくならないかぎり、常に不安感がつきまとい緊張感が心とからだから抜けませんので、今はそこへの挑戦を始めているところです。そしてその中で緊張感の代表である“噛みしめ癖”を改善すべく改めてからだを見直していった時に左膝周辺の筋肉に異常を発見しました。そのことについて尋ねたところ30年前の膝のアクシデントを思い出して話してくれました。
 出来事から想像すると、かなりのダメージを受けていると思われます。筋膜や筋肉だけでなく骨膜まで損傷していると感じます。すでに何日か施術を行っていますが、明らかな回復の兆しという手応えはまだつかめていません。なかなか手強いです。しかし明らかなことが幾つか分かりました。この膝周辺の状態が良くなって膝関節がしっかりすれば、噛みしめ状態(そしゃく筋のこわばり)が解除されるとともに首肩から力が抜け呼吸がしやすくなって花粉症も状態が良くなること。これまでほとんど出来なかった上半身を横に捻る動作が少し出来るようになること。腰を中心に歩くことができ、地面を踏みしめて蹴る感覚が甦るのでからだの他の部分から余計な力が抜けること。普通の人から見ると“それきしのこと”となってしまいますが、こういう状態は、言わば“普通の人”のようになる、“日常生活が普通になる”ための明らかな前進ステップです。
 この膝周辺の問題を解決するまでにどれだけの時間が必要なのかまだ分かりませんが、噛みしめが取れ、からだがリラックスできることは全身の回復にとって大きなプラスになります。ですから今は互いに認識を共有して忍耐強く取り組んでいくしかないと思っています。この方の実家は栃木にありますが、当面はそこまで車に乗って行き、病気のお母様に会うことが出来るようになることが目標です。

肩関節や股関節の不具合は歯ぎしり、噛みしめの癖をまねく
 朝起きると顎が痛くなっているほどの強い噛みしめや歯ぎしり癖を持った人の多くは股関節に何らかの不具合がある可能性が高いです。これは臨床的に前々から感じていたことです。股関節の不具合にもいろいろな症状がありますが、鼡径部のところがパンパンにむくんでいるというのも症状の一つです。単なる“むくみ”とは言い切れません。
 四十肩や五十肩など肩関節の不具合でもそしゃく筋がこわばっている場合が多くあります。口(顎)が大きく開けられない、顎が引っかかって話しづらい、食事で噛むと顎が疲れる、これらの症状もそしゃく筋の問題が深く関わっていますが、何処かの関節の不具合が原因なのかもしれません。

 また、手汗や足裏に汗で悩んでいる人のほとんどは噛みしめの癖を持っていますが、直接的には体内エネルギーの循環が悪いことが原因していると考えられます。血流やリンパの流れも含めてエネルギー循環が悪い理由として考えられることは、自律神経系、冷え(低体温)、関節の不具合などです。(心理的なことは除いて)
 私はまだ手汗、足裏の汗、腋の多汗などについての的確な対応策を確立しているわけではありませんが、鍵になるのはやはりそしゃく筋だと感じています。
 考え方は二つあります。一つは“体内循環が悪いので噛みしめないとエネルギーが廻らない”ということです。そしゃく筋は全身筋肉の司令塔ですから、大きな力を必要とするときには誰でも”歯を食いしばって力を出す”ことをします。その延長線上で考えると、歯ぎしりや噛みしめ状態を起こさないと働かない筋肉や組織が何処かにあるという結論にたどり着きます。この場合は、噛みしめないでもエネルギーが十分に伝わるようにからだを整えれば自ずと噛みしめなくなる、という対策がとれます。
 二つ目は、噛みしめによるそしゃく筋のこわばりは全身の緊張状態につながりますので、それは“精神的緊張状態になると手のひらから汗が出てくる”のと通じるものがあります。こう考えますと、手を尽くしてそしゃく筋がこわばらない状態にすることで全身から緊張感が取れることを目指します。すると、自ずとこれらの汗は出てこなくなるのではないかと考えることができますし、実際そうなることが多いです。
 まだ的確なことが解っていない段階ですので、現在は一つ目、二つ目の両面から施術を行って対応しています。ただ“汗”は自律神経がコントロールしている領域ですので、整体の方法だけでは対応しきれない分野でもあります。しかし対応方法としてはこのよう考え方や対処方法があるということを知って頂ければと思います。

 私自身、毎日硬い肩や首を揉みほぐしたり、そしゃく筋などをほぐしたりしていますので両手先の関節がかなりこわばっています。ですから、そしゃく筋にこわばりが固定化していて噛みしめ状態にあります。折に触れ大きなあくびをしてそしゃく筋をストレッチして対処していますが、それでは不十分です。指先のこわばりを取らないと解決しないとわかっているのですが、セルフケアに時間を割くことはおろそかにしています。頭痛まではいきませんが常に頭を締めつけられているような感覚がありますし耳鳴りもあります。
 今こうして文章を書きながらも親指の先をゆるめますと、そしゃく筋がゆるみ、お腹が鳴り出し、眼が潤い、頭がゆるんでいくのがわかります。そんなことを自己観察しながらも”やはりそしゃく筋のこわばりは不調の大きな原因になる”と再確認しています。

 過度の喫煙やアルコールがからだを壊す、発がん性物質の摂取が病気を招く、ということだけでなく、不必要なそしゃく筋のこわばりは全身に不調をもたらす可能性があるということも知っていただければと思います。

 ほとんどの人が“噛みしめている自覚はない”と仰いますが、私の知るところ、多くの人のそしゃく筋はこわばっています。それがゆるんだ状態になったときの開放感を是非自分のものにしていただきたいと思います。

 小学生の頃からダンスが好きで、現在高校のクラブ活動でもダンスを一生懸命している女子高生が時々来店されます。症状は股関節痛です。はじめて来店されたのは高校入学して間もなくの頃でした。ダンスで股関節を大きく動かすと痛みを発するというものでしたが、その時にはすでにO脚の状態でした。何回かの施術で股関節痛は良くなりましたが、「このO脚を直さないと痛みは再発するよ」と話しました。その後1~2度来店されましたが、本人はO脚のことを気にしながらも痛みが取れれば練習できるので、そちらが優先です。ところが最近になって「歩いているだけでも股関節が痛くなって‥‥」と来店されたのですが、股関節の痛みもさることながらO脚の状態が悪化していました。来店当初の時にO脚を改善しておけばこのような状態にならなかったと思うのですが、本人は整体に通うことよりクラブ活動を優先させる方を選びました。
 
 高齢者で膝が悪くなっている人の多くはO脚です。膝が悪くなったからO脚になったのか、O脚の状態が悪化して膝が悪くなったのか、多くの場合、O脚が悪化して膝が悪くなったのだと私は思います。私の母はこれとは違って関節リウマチで膝関節が変形したことによって左側だけO脚になってしまいましたが、こうなってしまうと、いろいろ考えても改善はなかなか難しいところです。
 若い人たちにもO脚の人は多くいます。O脚はスタイルが悪くなるということだけでなく、将来膝関節を悪くしないためにも是非改善していただきたいと考えます。そしてO脚の矯正は、形を矯正することだけに眼を奪われるのではなく、からだの使い方が正しくなるようにするという視点も加えてやっていただきたいと思っています。「O脚矯正」を前面に出して集客をしている整体院などでは、形のことばかりを強調して強引(理屈に合わない)な施術を行っているようですが、それでは“使い方”が変わらないので、一度矯正されたと思っても間もなくO脚の状態に戻ってしまうと考えられます。将来の膝関節痛を予防するという意味ではほとんど役に立たないと思います。

 からだの動作を効率的に行うためには重心(力の加わる方向)の位置が何処にあるかということがとても大切です。いわゆる“運動神経の良い人”は重心移動がとても上手です。こういう人は激しい運動を行ってもからだを故障することは少ないです。ところが重心移動が下手な人はしばしば何処かを傷めます。掃除機をかけるだけもで腰痛になったりします。
 O脚やガニ股の人は重心が外側に向かってしまいます。立った時に足の小指側で立ってしまい、土踏まずのところは半分宙に浮いたような状態で、その分親指を曲げて踏ん張った感じで立ってしまいます。
 理想的な重心の人は、立った時に下半身の力が一度膝の内側に集まり、そこから真下に重心が向かいますので、足裏全体でしっかり地面をとらえることができ、足の半分より内側(母趾と2趾)で全体重を支える感覚になります。このような人は、あるいはこのような時はO脚とは無縁になります。
 ですから本当の意味でO脚を矯正するということは、形を整えることに加えて重心の位置が理想的な状態になるように調整することだと私は考えています。
 また、「もうO脚を気にする歳でもないし」と思っている方も、立った時の重心の位置が外側にあるようでは膝関節を悪くする可能性が高まりますので、重心の位置が正しくなり、からだの使い方が理想に近づけるようにするべきだと思います。長寿になった私たちは、70歳になったとしても20年近く生きる可能性があります。その20年間を膝関節痛や車椅子とは無縁の人生にしたいと思われるなら、是非取り組んでいただきたいと思います。

重心と筋肉の関係
 O脚になる原因として考えられることはいくつかありますが、今回はO脚やガニ股の状態を改善するための考え方について説明いたします。

O脚と下肢の筋肉・骨格02

 O脚ではない人の脚は外見上は真っ直ぐに近い状態に見えますが、大腿骨は股関節から膝に向かってかなり内側に入っていきます。太ももの筋肉は大腿骨にくっついていますから、単純に考えると筋肉も“内側に向かっているのが自然”となります。ですから立った時に下半身の重心が一度膝の内側に集まる感じがします。
O脚と下肢の筋肉・骨格01

 ところが太ももの外側の筋肉(小殿筋、外側広筋、大腿筋膜張筋~腸脛靱帯)がこわばり(張り)ますと筋肉のバランスが崩れ膝の外側上部に力が溜まるようになってしまいます。特に小殿筋のこわばりは股関節で大腿骨を外側に引き上げます(外転させる)ので、本来股関節から膝にかけて内側に向かっていた大腿骨の角度を広げ、大腿骨が垂直に近い状態になってしまいます(O脚の始まり)。すると太ももの内側の筋肉(内側広筋や内転筋群)もその状態を本来の状態に引き戻そうとこわばります。筋肉にはこわばると起始部(筋肉の始まりの部分)が硬く太くなり、停止部(膝関節付近)がゆるんで細くなるという性質がありますので、股関節の内側(恥骨結節付近)は硬くなり(強く指圧すると痛みを感じる)ますが、膝の内側付近はフニュフニュした感じで頼りなくなります。この現象によって重心(力の加わる方向)はすっかり太ももの外側に移ってしまいます。
 膝から下はこの影響を受け、重心はふくらはぎの外側を通って小趾側に来てしまいますので、ふくらはぎの筋肉も骨(脛骨)より外側がたくましくなり、膝下が外側に出たような脚の形になってしまいます。この状態が長く続きますと、やがて膝関節の内側半月板が損傷して、膝関節で大腿骨と脛骨の関係がおかしくなり変形性膝関節症になってしまいます。

太もも外側のこわばりを解消することから始めるべき
 以上説明しましたとおり、太もも外側の筋肉(小殿筋、外側広筋、大腿筋膜張筋~腸脛靱帯)のこわばりがO脚の出発点ですので、それを解消することから始めることが矯正の本来のあり方だと考えています。これを無視して形にばかりとらわれ、両膝を矯正具などを使って強制的に近づけようとしたり、強引なストレッチをして外側の筋肉を伸ばして膝が内に入るよう試みたり、特殊な靴を履いて強制的にO脚を改善しようとしても、それはその場限りの効果しか期待できないと思います。あるいは、強制的に何かをすることはからだの使い方に無理を強いることですので、からだの他の部分に異常が現れる可能性も考えられます。

中殿筋と小殿筋

 小殿筋は股関節外側の一番深くにある筋肉です。働きは股関節の内旋(内に捻る)と外転(大腿骨を外側に引き上げる)と歩行時の安定です。ですからO脚の人に多い、つま先が内側に向いた内股歩きはこわばりの原因になります。また小殿筋の外側には中殿筋がありますが、歩行の時片足立ちの状態を安定させるためにこれら二つの筋肉が働いています。中殿筋の働きが悪い人は小殿筋にかなりの負担がかかりますので、小殿筋がこわばってしまいます。そして皮肉なことに重心が小趾にある人は筋肉連動の関係で中殿筋の働きが悪くなります。ですから外側重心の人はお尻が垂れ(中殿筋のゆるみ)、小殿筋がこわばることで内股歩きになりやすくさらにO脚になりやすい状態である、となってしまいます。
 ですから実際の施術で小殿筋のこわばりを解消するためには、中殿筋、小趾を含めて小殿筋にこわばりをもたらすであろう要素を探し出しては改善しなければなりません。
 他の太もも外側の筋肉(大腿筋膜張筋~腸脛靱帯、外側広筋)は多くの場合、腕や手と関係します。前鋸筋についてはこのブログでも幾度か取り上げていますが、腕を前に出し続けたり(腕を伸ばした状態でパソコンを操作し続ける、スーパーの商品揃えやピッキング作業で腕を伸ばして物を動かすなど)するとこわばってしまう脇の下の筋肉です。前鋸筋と腸脛靱帯は関係しています。前鋸筋がこわばると大腿筋膜張筋~腸脛靱帯もこわばります。外側広筋は手の母指を曲げる筋肉(短母趾屈筋)と連動しますので、字を書くときの筆圧が高いとか、その他の手の使い癖などによってこわばってしまいます。
 椅子に座った時、食事の時、パソコンを操作している時、肘がほぼ垂直に降りて脇が閉まった状態でリラックスできるなら大丈夫ですが、脇を開けていないと落ち着かないようであれば、それはからだ外側の筋肉が全体的にこわばっていると考えられます。O脚でこのような状態の人は、まずこれらを改善することから始める必要があるかもしれません。

重心が内側に入るようにすることがO脚を改善するための決め手
 “からだの使い方によって骨格は変化する”、これは私たち整体師が心掛ける一番大切なことかもしれません。一般の人は「姿勢が悪いから○○になったのかな?」とよく仰いますが、確かに姿勢と骨格の状態は密接な関係にあります。横を向いた状態でないと眠りに入ることができない、証明写真などの撮影の時いつも顔の向きを直される、これらは姿勢が悪いことの例ですが、実際は骨格が歪み筋肉のバランスが悪いので“そうなっている方が自然に感じられリラックスできる状態”ということです。そしてそうなってしまったのはからだの使い方の偏りの蓄積ですから、改善しようと思うなら“使い方を変える”ことから始める必要があります。いつも右ばかりを見ている人は眼が右に偏りますので、からだはそちらの方へ捻れ出します。いつも右ばかりで噛んでいる片噛み癖の人、いつもどちらか一方の脚を上にして脚を組んで座っている人(脚を交互に組み替えているならまだ良いが)、スマホ操作で右手の母指ばかりを酷使している人、こういう使い方の偏りは必ず骨格の歪みや筋肉のアンバランスにつながります。ですから自ずと姿勢は悪くなります。つまり、①使い方の偏り→②骨格の歪みと筋肉のアンバランス→③悪い姿勢の順番になりますので、使い方の偏りをなくすことが一番大切なこととなります。
 O脚の改善においても同様です。一時的な矯正で形を整えたとしても使い方が変わらなければ再びO脚に戻ってしまいます。これを反対に考えますと、今がO脚の状態であったとしても、下半身の使い方が良くなればやがて骨格や筋肉のバランスが整っていきO脚は改善されていきます。そしてこの“使い方の改善”が専門家として私が最も厳格に観察し修正にこだわる部分です。
 立った時の重心がどこにあるのか、片足立ちになった時股関節のどの筋肉を主に使っているのか、座った時膝が閉まるような方向に力が働いているか、歩行で脚を上げ始める時股関節のどの筋肉を使っているのか、着地の時足のどこから着いて、その後足の指をどのように使っているのか、そういった点を細かくチェックします。
 そして一つ一つを細かく修正するように施術を行っては、再び立ったり歩いたり座ったりしていただき確認し、また修正するというようなことを繰り返します。ですから施術はとても地味ですし、施術を受ける側は最初のうち何をやっているのかわからなかったりするかもしれません。

 からだを中心部(内側、正中)と外側部(体側)に分けたとき、どんな動作をしたとしても重心が中心部にあれば動作は効率よく行われ不調や不具合になる可能性は低いです。ところが重心が外側部に行ってしまうと疲れやすくなり、不具合になる可能性が高まります。からだの中心部というのは、上肢(手と腕)では小指側で、下半身では母趾側です。つまり股関節の内側~膝の内側~母趾にかけてのラインに重心があれば問題はありません。
O脚と股関節_片足立ち

 立った姿勢で、重心を左足に移し右足を少し浮かせたとき、左股関節の内側の筋肉が働いて頑張ることができていれば大丈夫ですが、股関節の中央から外側にかけての筋肉を主に使ってしまうようではO脚の改善にはつながりません。そして重心が外側に行かずに股関節内側の筋肉でからだを支えることができるようにするのは私の仕事です。

O脚と股関節_座位腿上げ

 椅子に座った時、膝が外側に開いて“股が開いた状態”にならないようにするのは私の仕事です。
 外側に重心が行ってしまうようなからだの状態で「歩くとき内側の筋肉を使い、膝が内に入るよう意識してください」みたいなアドバイスをすることはありません。それは意味がないですし、かえってからだの使い方をおかしくしてしまう可能性すらあります。(ですから特殊な靴を使い続けての矯正には疑問が生じます)
 下半身の使い方に関して私が要求することは、立つとき足先を内に向けた“ハの字”にならないよう気を付けてもらうことくらいです。「かかとをつけて足先を少し開き、お尻にエクボをつくるように殿部に力を入れて立つ癖をつけてください」と要求することはあります。

O脚の改善を成功させるためにはある程度継続した施術が必要
 これまでO脚改善を目的に来店された方々で成功した方々の特徴は“しつこい”ことです。両膝の隙間が狭くなれば“それで良し”と考える方々は2~3回来店されて、それが実現すると来なくなってしまいます。そしてまた忘れた頃にO脚の状態で来店されます。あるいは別のところに行くのでしょうか。
 ここで説明しましたとおり、形は使い方で変わりますので使い方がすっかり変わらなければやがて元の状態に戻ってしまいます。使い方=癖ですから、癖を直すことを考えますとそう容易いことではありません。手や腕の使い癖、噛み癖、眼の使い癖、スマホの使い癖、パソコンの使い癖‥‥、これらを改善することが実は大切だったりします。私は施術の度になるべく癖が直るようにとからだを整えますが、実際に癖を直すのは本人の自覚と努力です。ですから癖が抜けるまで“しつこく”努力して、来店していただきたいと願っています。
 
 冒頭に記しましたとおり、O脚は将来の膝関節痛の予備段階でもあります。膝関節が変形してしまってからでは完全な回復の可能性はとても低くなります。体型のことだけでなく、そのことを頭に入れていただきO脚は是非とも改善してください

 今回は“からだの痛み”について考えてみたいと思います。虫歯、打撲、創傷、炎症、捻挫、肩こり、腰痛、関節痛、神経痛、腹痛、頭痛‥‥、からだの痛みには様々なものがあります。そして現代科学は痛みを発するのメカニズムについて研究を進めています。そして解ってきたことは、とても大雑把に言えば、からだの細胞が放出する化学物質が神経を通じて脳に送られ信号として痛みを感じる、といった感じでしょうか。ですから痛みを緩和するためには、痛みにつながる化学物質をどうにかしようということで薬が開発されています。
 ところが現実として”飲み続けると効かなくなる”といった現象や“痛み止めの効かない痛み”もあり、なんとなく科学的進歩が停滞気味になっているのかもしれません。

 私のところに来られる方々の多くは“痛み止めが効かなくなった”あるいは“痛み止めが効かない”頭痛や腰痛などからだに痛みを感じている方々です。からだに痛みが発すると多くの人は整形外科や内科や脳外科など痛みを発している部位の専門科を受診されると思いますが、本来“痛み”は生理学の分野です。ですから例えば「神経が圧迫されているので痛みを出している可能性が考えられる」とか「脳はきれいなので頭痛は肩こりからきているのかもしれない。」などというどこか核心を得ていないような医師からの診断が返ってきてモヤモヤしてしまうのかもしれません。しかし、これらの医師は“痛みの専門医”ではないので仕方がないのかもしれません。

 さて、私も当然“痛みの専門家”ではありませんので、痛みのメカニズムを取り扱ったりはしませんが、「痛みのほとんどは筋肉(及び結合組織など軟部組織)が関係している」と考えています。心因性の、心理的な要因による痛みは脳内で生み出される化学物質による場合がほとんどだと思いますので、それは除外しての話ですが。
 多くの専門家が“神経”について着目していますし、実際レントゲンやMRIなどの画像診断を受けた方々は医師から「神経が‥‥」という説明を聞いていると思います。しかし“痛み=神経”みたいな見方に偏りますと問題の本質にたどり着けないのではないかと思います。神経は確かに化学物質(痛み物質)の刺激情報を脳に伝達する役割をしていいますが、歯科治療で神経を殺したり抜いたりしたはずなのにやはり歯が痛んだり、ヘルニアの手術をして神経の圧迫を取り除いたはずなのにシビレや痛みがスッキリしなかったりする現実を考えますと、どこか的外れな感じがしてしまいます。

筋肉が発する痛み
 私のところに来店される方々のからだの痛みは、ほとんどが筋肉が発する痛みです。おそらく胃痛や生理痛などの多くも筋肉が発する痛みだと思います。なぜなら胃や生殖系の臓器も全部筋肉でできているからです。偏頭痛など頭部の血管が強く脈打つような痛みも、血管に関係する痛みですから、やはり血管を形成している筋肉が発するいたみだと私は考えています。
 科学的には、痛みを誘発する化学物質を細胞が放出して云々、という見解かもしれませんが、その化学物質を放出する細胞はやはり筋細胞とその類似細胞ですので、からだのほとんどの痛みは筋肉や筋膜・腱・靱帯などの結合組織が発する痛みではないでしょうか。私はそのように単純に考えていろいろな痛みに対処していますが、それで胃痛などの内臓痛も生理痛も軽くなります。

 さて、腰痛は筋肉の痛みであることは想像が難しくないと思います。からだを捻ろうとすると腰に痛みが走るのは、腰部の筋肉が伸びてくれないからです。膝関節痛や肩関節痛(四十肩・五十肩)などの関節痛もつきつめればやはり筋肉やその兄弟である結合組織が発する痛みに行きつきます。
 そこで今回は、“からだが発する痛みのほとんどは筋肉の痛み”という前提で説明を行っていきます。もちろん私は痛みの専門家ではありませんので、学術的な科学的見解からすると“不足”や“不正確”な部分もあろうかと思いますが、実際に手技だけで痛みを改善している現場からの見方の一つとして参考にしていただければと思います。

筋肉の状態を四つに分ける
 私の整体は、筋肉や筋膜の状態を①正常(変調のない状態)、②こわばり状態、③働きの悪い(ゆるみ過ぎた)状態、④内圧の高まった状態の4つに分けて対処することにしています。
 さらに“筋肉は必ず連動している”ことと“骨格の位置や状態は筋肉や筋膜が決めている”ことを基本にしてすべての症状に対応しています。

 今回は筋肉が痛みを発する理由として(1)の筋肉の状態について説明したいと思います。

筋肉の4つの状態

 ①筋肉が正常な状態とは、思いのままに、あるいは状況に合わせて筋肉が伸びたり縮んだりすることが十分にできる状態、筋肉の収縮と伸張を邪魔する要素がない状態のことです。

 ②こわばり状態とは、筋肉の中に収縮したまま伸びることができない部分ができてしまったために、その筋肉全体として伸びにくくなっている状態のことであり、つまり筋肉から力が抜けずにゆるめようとしてもゆるまない状態のことです。筋肉の“はり”とは、この“こわばり状態”であると考えてもよいと思います。
 ストレッチ運動をしたとき、”どうしても一部分だけ気持ちよく伸びてくれない”と感じるときは、その部分がこわばり状態であると言えます。伸びないのに無理をして伸ばそうとしますと、筋肉は痛みを発し「それ以上伸ばさないで!」と信号をだしますが、それを無視して強引に伸ばし続けていますとやがて“ピリッ”となって損傷してしまう可能性があります。肩関節痛の初期段階で、肩関節の動きに何となく違和感を感じるので痛みを我慢しながらグイグイ肩を回し続けたりしていますと、関節は動くようになったもののある日突然腕が痺れ出したり、重たく感じられるようになったりして、いわゆる五十肩に向かって進んでいくようになってしまうかもしれません。

 ③働きの悪い状態、ゆるみ過ぎた状態とは筋肉の一部に収縮することができない部分ができてしまったためにその筋肉全体として収縮しにくい状態になっていることです。筋肉は収縮することによって力を発揮しますので、このような状態では「力が入らない」となってしまいます。階段を降りるときに、普通に両足を交互に使って降りるのではなく、一段ずつ一度足を揃えないと痛んで降りることができないときがあります。これは一時的にあるいは慢性的に膝関節が悪い状態であるいえますが、筋肉的にみると片側の膝を支える筋肉の働きが悪いため体重を支えるだけの力が発揮できない状態です。長く走り続けたり、歩き続けたりしますとだんだんと脚やからだが重く感じられるようになります。それは疲労によるものですが、見方を変えますと、筋肉の能力を超えて使いすぎたために筋肉が疲弊してゆるみ過ぎの状態になり、筋力が十分に発揮できない状態になったということです。

 ④内圧の高まった状態というのは、単純な肩こりや膝下のむくみなどに代表される状態で、筋肉の内部に水分や老廃物が溜まってしまいコチコチに硬くなってしまったような状態のことです。よほどひどい状態にならない限り、この状態が直接強い痛みにつながることはほとんどありません。どちらかというと「重い」「スッキリしない」などという感覚に関係すると思います。マッサージや揉みほぐしで状態を改善できるものといえますが、首肩こりの場合、この状態と②こわばり状態を併せ持っていることがほとんどですので、「マッサージだけではスッキリしない」という感想になってしまうかもしれません。

“こわばり”は伸ばそうとすると痛み、“ゆるみ過ぎ”は収縮しようとすると痛む
 さて、筋肉が収縮したままの状態で伸びることができない状態(=こわばり状態)はその筋肉が縮む方向に力が働いているということです。こういうときにストレッチや指圧などで筋肉を伸ばそうとしますと、筋肉に働いている力と逆行することになりますので筋肉は痛みを発します。例えば背部の筋肉がこわばっている腰痛や背中痛、つまり腰や背中に強い張りを感じている状態では前に屈んで背中側の筋肉を伸ばそうとしますと痛みを感じます。首の背面がこわばっている状態では、下を向こうとすると首から背中にかけての背面に痛みがでます。単純な例ですが、痛みを出す原理はこのようなものです。
 反対に筋肉が収縮できない状態(=ゆるみ過ぎ状態、働きの悪い状態)では、そのゆるみ過ぎの部分は縮むことができませんので、無理して縮めようとすると痛みがでます。あるいは力が発揮できない状態ですので、力を発揮しようとすると痛みがでます。からだを背面に反ろうとすると(背面の筋肉を収縮させる)背部や腰部に痛みがでるときはこのような状態です。膝関節は十分に曲げることができるのに階段の昇り降りや歩行で膝に痛みを感じるのは、動作に関係する筋肉のどこかにゆるみ過ぎの状態があり筋力が発揮できないからです。また、首を後に大きく倒して上を向こうとすると首の後側にこぶのような塊を感じて十分に上を向けないようなときは、そのこぶのようなところは筋肉がゆるみすぎた状態で収縮できないため、周りは収縮しているのにその部分だけ置き去りにされたような状態だということです。(余計な肉や脂肪が邪魔している場合もありますが)

 以上は原理を理解していただくために単純な例をあげましたが、実際には一つの筋肉の中に“こわばり部分”も“ゆるみ過ぎ部分”も混在していて、総体としてこわばった状態、ゆるんだ状態になっています。また、それらのこわばりやゆるみ過ぎの原因がその筋肉自体にあるのか、他からの影響(筋肉の連動関係)でそうなっているのか、といったことも見極めて施術をしなければなりません。

“こわばり”と”ゆるみ過ぎ”の関係‥‥骨格の歪み
 筋肉(骨格筋)の働きの一つは、収縮したり伸張したりすることで骨を動かしからだを動作させることです。(その他の大きな働きとして、骨格を正しい位置に保ち安定させること、体熱を生み出すことがある)
 ですから(表情筋など一部の筋肉を除いて)骨格筋は骨と骨を結ぶようにつながっています。そしてからだの動作は単純に伸ばしたり曲げたりするだけでなく、捻ったり微妙に動かしたりする動きも加わりますので、一つの骨には幾つもの筋肉が付着しています。
 
3つの筋肉と骨格

 ここで仮に骨と骨の間が3本の筋肉でつながっていたとします。そしてその中の一つの筋肉が打撲によりダメージを受け働きの悪い状態になったとします。すると、それまで3本の筋肉が正常に働いていることによって骨と骨の関係は安定して動作がスムーズにできていたものが、実質2本の筋肉で骨格と動作を支えなければならなくなりました。2本の筋肉が前と同じように働いていたのでは、骨と骨の間は離れていってしまいますので、骨が離れていかないように2本の筋肉はこれまで以上に収縮力を強めなければなりません。つまり1本ダメージを受けたので、その負担を他の2本が強いられるということです。よく皆さんが口にする「かばっていたので痛くなってしまったのかも‥‥」に近い状態です。2本の筋肉は骨格を維持するために常に収縮し続けなければならなくなったため“こわばりの状態”になってしまいます。膝関節痛や五十肩では、こんな状態が常に起こっています。
 筋肉がこわばった状態ですから関節の動きは悪くなります。膝を曲げることができなくなったり、腕が途中までしか上がらなかったりします。こんなときに“関節が硬くなっているから”という理由で頑張っている2本の筋肉を揉みほぐしてこわばりを取ってしまいますと、骨と骨をつないでいる筋肉が全滅状態になってしまいますので骨格は大きく乱れますし、動作がほとんどできない状態になってしまいます。膝関節痛は悪化し、五十肩は重症化してしまいます。症状を“こじらせた”状態です。

 上記の例では骨と筋肉の関係で説明をしましたが、実際には一つの筋肉の中で同じようなことが起こっています。筋肉線維のある部分に働きの悪い状態ができてしまいますと、それをカバーするように同じ筋肉の別のところにこわばった部分が発生します。あるいは使いすぎなどでこわばった部分ができますと別のところにゆるみ過ぎの部分が生まれます。こうなりますと筋肉を伸ばしても縮めても痛みを感じてしまうということになります。ギックリ腰などになって骨盤近くの腰部が働きの悪い状態になりますと、背筋のその上部がこわばって張ったりします。すると真っ直ぐ立ったりからだを反ろうとすると骨盤近くの筋肉が痛み(収縮できないので)、前に屈もうとするとそれより上部の背中に近い部分が痛くなります(伸びないので)。そしてこの場合は、骨盤近くにできた働きの悪い部分をケアして収縮できるようにすることが改善方法です。その部分の筋肉の働きが回復すれば自然と上部の張り(こわばり)は解消するからです。この時、間違って上部の張っている部分を揉みほぐしてしまいますと、ベッドに寝て施術を受けているときはこわばりも痛みも薄らいでいきますので改善に向かっているかのように感じますが、施術が終わって起き上がろうとしたとき、筋肉が作動してくれませんのでまったく腰が動かせない状態になったりします。施術する側としては、その見極めを慎重に行うことがとても重要になってきます。

強いこわばり、こわばりの連続は、それだけで痛みを発する
 ある程度高齢になりますと、寝ているとき朝方近くにふくらはぎが攣ったりすることを経験します。またテレビでしばしば目にする光景ですが、サッカー選手が試合の途中に脚が攣りグランドの中に座り込んでふくらはぎを伸ばしたりしています。
 体験した方はよくわかると思いますが、“攣る”というのは筋肉にこわばりが連続して発生することです。グッグッグッグッと筋肉が強くこわばって強い痛みを感じます。部分的な脱水状態とか血行不良だとか、原因についていろいろ言われていますが「陰極まれば陽と為す」の喩えどおり“ゆるみ過ぎの状態”が行きすぎて筋肉が耐えられなくなったために、筋肉が自ら収縮して機能を回復させようとする反応のように思います。いずれにせよ強いこわばり状態や筋肉が連続して収縮を繰り返しているような状態は、じっとしていてもそれだけで痛みを感じます。断続的に訪れる胃を締めつけられるような痛みもこの部類に入るのではないでしょうか。
 こわばりの奥にゆるみ過ぎ状態が隠れていると考えるなら、温めたり緩やかなマッサージをするなど休息とともに筋肉の働きを回復させるような手段を用いるのが良いように思います。

 今回は骨格筋の痛みについてとりあげました。簡単にまとめますと次の3つに集約できます。
①縮む方向に作動している(ベクトルが向いている)筋肉を伸ばそうとすると痛む
②縮むことのできない状態の筋肉を収縮させようとしたりすると痛む
③連続する収縮や強い収縮状態はそれだけ痛む

 生理学的な見方では、“痛みと感じる”化学物質の電気的刺激が脳に伝わって起こる脳やからだの反応ということのようです。ですからその化学物質に対する脳の反応が抑制されるように、あるいは化学物質の刺激が脳に伝わらないように薬物(化学物質)を用いて対応する方法が考えられています。鎮静剤や痛み止めの類はそのようなもののようです。心因性の痛み、つまり心理的な要因で脳が生み出す化学物質がもたらす痛みについても同じような考え方で対処しているのでしょうか、いわゆる精神疾患、心療内科で処方される薬剤があります。それはそれで科学の進歩であり、文明の発展かもしれませんが、薬剤への依存度が増していくことには大きな懸念を感じます。
 ここに記したことで、痛みに対して整体でもかなりのことができると言っているのではありません。対応する手段が整体にもあるということを知っていただき、選択肢の一つとして記憶していただきたいと思っています。日常生活の中で“痛みと感じる化学物質”がなるべく生まれないようにすることが整体の仕事の一つであると考えています。

追記:
 余談ですが、ヨガをなさっている人も増えてきた現在、ストレッチについてちょっとだけ言わせて頂きます。 
 ストレッチで筋肉を伸ばそうとするとき、限界までは気持ちよく伸ばすことができますが、それを超えると痛みを感じだし呼吸が乱れてきます。息をゆっくり吐き出しながら筋肉を伸ばしているのですが、途中から吐き出せなくなったりします。本当はそこで伸ばすのを止めなければなりません。というのは筋肉はそれ以上伸ばして欲しくないので痛みという信号を発し呼吸を乱すからです。しかし皆さんの話を聞いていますと、多くの人が何かに闘いを挑むように限界点を超えてストレッチを続行しています。
 視点を筋肉の側に移して考えますと、それ以上伸ばして欲しくないのでこわばりをつくって限界だと知らせているのに、さらに伸ばされると益々こわばりが強くなり、筋肉を縮ます方向の力が強くなってしまいます。数回なら大丈夫かもしれませんが毎日毎日同じことを繰り返していますと、こわばりが定着してしまいますので、ある日から「ストレッチ運動を続けるほどに筋肉が硬くなっていくような気がする」というようなことになってしまうかもしれません。健康のために行うストレッチもその他の運動も筋肉とよく会話しながら“心地良く”やっていただきたいと思います。

↑このページのトップヘ