ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

2016年01月

 いよいよ花粉症の時期になりますが、この時期になりますと多くの人の鼻が下がってしまいます。花粉症と鼻が下がることとの因果関係を云々する説はないかもしれませんが、整体的に見て、鼻、つまり鼻骨の下がりと鼻づまりはとても関係が深いように思います。そして鼻呼吸のきめてとなる副鼻腔の状態が悪くなる人も多くなります。花粉症の人は全員一時的な軽い副鼻腔炎になっているのかもしれません。
 インドの伝統医学(アーユルヴェーダ)に未消化物(アーマ)という考え方があります。アーマが体内に溜まると病気になってしまうという見解です。アーマは一般的には、食べたものが消化されず体内に毒素として溜まってしまったものであり、デトックス(排泄)する必要があるというように説明されています。しかし、アーユルヴェーダの本来の考え方に則せば、アーマとは食べたものに限らず体内に取り入れたもの全般を指しているはずです。呼吸によって取り入れる空気、空気中のチリやホコリ、ウイルス、微生物、PM2.5などの有害物質も含めて体内で無毒化できなければアーマになってからだの健康を阻害する要因になるという考え方だと思います。
 有害物質や異物が体内に入ってきたときに、私たちの免疫系がそれらに対処しますが、それらを上手く処理できずに、あるいは免疫系の処理能力を超えて入ってきてしまうため、体内で無毒な物質に変換できないと毒素として蓄積してしまい健康を害してしまうという考え方です。
 花粉症といえば“アレルギー”とすぐに連想できますが、アレルギー反応をもたらすアレルゲン(花粉)を体内に侵入させないようにマスクなどで対応することともに、アーマの考え方を取り入れて私たちの免疫系の力を適切に保ち、なおかつ体内に溜まっている毒素を排泄させることも花粉症対策として大切なことだと私は考えています。

①花粉をなるべく取り入れないようにする
②免疫系の力を増強する
③毒素を排泄する
の3つが花粉症にかぎらず、様々なアレルギー性疾患にたいする必要な対策だと思います。

鼻と副鼻腔と免疫系
 鼻呼吸が良くて口呼吸が悪いとされる根拠の一つは、口呼吸では大気中にあるチリやホコリやバイ菌が気管を通して肺に入ってしまう可能性が高いため健康を害しやすいということです。さらに大気をそのまま口に入れて気管を通過させますので、冷たい空気、乾燥した空気はそのままに近い状態で体内に入ってしまいます。元々水の中で生活していた私たちは(魚だった時代)、エラ呼吸によって水の中に含まれている酸素を取り入れるようにできていました。その名残はヒトである現在も残っていて、肺で空気から酸素を取り出すときにかなりの湿度がなければガス交換(血液中に酸素を入れて、血液中の二酸化炭素を取り出して排泄する)が上手くできません。また私たちの生理活動(化学反応)は酵素の働きによってなされていますので、肺が冷えた状態ではやはりガス交換に支障がでます。
 ですから呼吸によって取り入れる空気は肺に入るまでに、ホコリやチリやバイ菌類が除去され、湿度と温度が調整される必要があります。そしてそのために活躍する器官が鼻(鼻腔)と副鼻腔であり、鼻は匂いを嗅ぐ働きだけではなく免疫系の入口でもあるといえます。
 
 鼻の穴を通して入ってきた空気は粘液に覆われている鼻腔(鼻の奥)に入ります。そこで大きなチリやホコリやバイ菌は粘液にキャッチされ除去されます。鼻汁がでるのは汚れた粘液を排出することを意味します。その後、ある程度きれいになった空気は頬や額の骨にある副鼻腔に入ります。鼻から息を吸ったときに頬や額がひんやりしたりスーッとしたりするのは空気がここを通過しているからです。ここでは鼻腔で除去しきれなかった小さな異物を除去するとともに咽頭や気管を通して肺に送り込む空気の湿度と温度を瞬時に調整します。こうして肺で理想的なガス交換ができる状態に空気がかわります。

副鼻腔

 鼻腔が乾いていて粘液が足りなければ、あるいは副鼻腔炎などで副鼻腔に空気が入らなければ、口呼吸ほどではないとしても肺が負担を強いられることになり、からだに負担がかかってしまうことになってしまいます。
 喘息、気管支炎などの他、集中力の欠如、頭がスッキリしない、思考が働かないなどの脳の酸欠状態の原因として、口呼吸、鼻腔の乾燥やつまり、副鼻腔のつまりや炎症は十分に考えられることです。

鼻が下がってしまう=鼻骨の下がり
 鼻骨は鼻の一番上、額との境のすぐ下にある骨ですが、それを手で軽くつまんで額の方へ押し上げてみてください。鼻の奥(鼻腔)が広がった感じがしたり呼吸がしやすくなるのであれば、あなたの鼻は下がっているということです。
 反対に鼻骨を口の方に下げますと鼻づまりに近い感じで息が入りにくくなると思います。つまり鼻骨がさがると鼻呼吸では間に合わなくなってしまうので、知らず知らずのうちに口呼吸をしてしまう可能性が高まります。スポーツ選手など常に大量の酸素を消費している人たちは鼻呼吸では間に合わないので、口呼吸の人が多いです。口呼吸の人の特徴として上唇が上を向いていて上の歯が見えやすいことがあります。

 鼻骨が下がってしまう原因として考えられることはいくつかあります。
①加齢
②頭蓋骨の歪み
③眼鏡の重み
④お腹の冷え
⑤胸の状態(季節やストレスなど)

①加齢とともに頬がたるみやすくなるのは避けられないことかもしれません。筋力や関節線維の力が衰えてくるので、頬にかぎらず顔全体が下がりやすくなってしまいます。加齢とともに少しずつ顔が変化していくのは自然の流れとも言えます。しかし鼻呼吸のことを考えますと鼻骨の下がりは改善いたいものです。
②前にも記しましたが、鼻骨は後頭骨と深い関係にあって後頭骨が上がりますと鼻骨が下がります。後頭骨が上がってしまうもっとも多い原因は背筋のゆるみです。猫背などで背中を丸める悪い姿勢は背筋をゆるませますので、お尻が下がり後頭部が上にずれてしまいます。
 また、鼻骨は前頭骨と上顎骨に関節していますので、額(前頭骨)や上顎が歪みますとどちらかの鼻骨が下がってしまう可能性が高まります。
③今はかなり軽い眼鏡が普及していますが、それでも重さはあります。ですから長い時間眼鏡をかけ続けている人はどうしても鼻骨が下がってしまいます。しかし対処法はあります。
④腹筋がこわばると肋骨を下に引っ張ります。すると頸の前面、下顎、頬、目なども同様に下に引っ張られますので当然鼻骨も下がってしまいます。
 腹筋がこわばる理由はいくつもありますが、お腹の冷えもその一つです。その他免疫力のことも考えますと、お腹の冷えには十分注意していただきたいと思います。
⑤胸の中心にある胸骨の内側には免疫系の要として研究されつつある胸腺があります。胸腺の重要性はこれからもっともっと言われるようになると思います。
 胸はからだ全体のセンサー的な役割を果たしているようで、しょっちゅう変化しています。ストレスを感じるとすぐに胸を閉ざすように肋骨や胸骨が動きますし、喜ばしくワクワクするようなことがありますと大きく開いて開放的になったりします。そして季節的な影響も受けるようで、この時期は胸骨が凹み気味になる時間が増えるように感じます。鼻骨と胸骨(あるいは胸腺?)の関連性の理屈についてはわかりませんが、胸骨の状態によって鼻骨が上がったり下がったりする現実があります。

頬骨・前頭骨と副鼻腔
 鼻腔を通過した吸気は次に副鼻腔に入りますが、副鼻腔は前頭洞、篩骨洞、蝶形骨洞、上顎洞という名前のとおり骨の中に空いた“洞穴”です。副鼻腔炎はこれらの洞穴の内面(薄い粘膜)が炎症を起こして空気の通りが悪くなった状態です。そして新鮮な空気が通らない状態が続きますと、川の水が流れず澱んで汚くなるのと同様、汚れた粘液が溜まった状態になり不潔になります。この状態が慢性化しますと蓄膿症と呼ばれる病気になってしまいます。
 さて、副鼻腔の通りと頭蓋骨の歪み、表情筋などのこわばりとの関係について考えてみます。
 息を鼻から吸い上げて額の内部に通すイメージで呼吸をしてみてください。鼻腔で取り込んだ空気が前頭骨(額)にある前頭洞に入っていくかどうかがわかります。空気が入っていくのであれば額がひんやりしたり、あるいは何かが通っている感じがすると思います。前頭骨と鼻骨は関節していますので、頭蓋骨が歪んでいたり鼻が下がっていますと前頭洞に空気を通すことが難しくなります。
 同様に目の下の骨(頬骨)の奥には上顎洞、篩骨洞、蝶形骨洞がありますが、鼻から息を吸ってそこに空気を通すことはできますでしょうか。空気がしっかり通るようであれば、同じくひんやりしたり、電気的な何かを感じられると思います。次に、両手を頬骨(目の下の出っ張り)の内側にあてて強めの力で外側に広げるようにして息を吸ってみてください。この時、息が吸いやすくなったり副鼻腔にたくさん空気が通るように感じるのであれば、頬骨の間が狭くなっているために副鼻腔に空気が通りにくい状態になっているということです。
 息を吸ったときに額(前頭洞)にも頬骨の深部にも空気が入って顔面が広がるように感じられる状態になっていることが理想的ですが、どちらかでも空気を通すことができるのであれば、まずまずの状態だといえます。

鼻骨と頬骨を操作

 前頭洞に空気を通すためには、頭蓋骨の歪みをなくす必要があります。勉強や考え事をたくさんする人は前頭葉をフル回転させてたくさんの思考イメージをつくらなければなりません。ですから前頭洞に空気がたくさん通るように頭蓋骨を調整した方が良いと思います。
 頬骨の深部の副鼻腔に空気を通すためには、狭くなっている左右の頬骨間を広げることが一丸簡単な方法です。現代の私たちの暮らしはパソコンやスマホ、書類、家事・台所仕事などなど下を向く機会が上を向いたり遠くを見たりする機会よりはるかに多いです。ですから、目の下の筋肉が非常にこわばっています。また一点を集中して見たり、会話をして口をたくさん動かしたりすることによって鼻の周りの筋肉がたくさん使われこわばってしまうために顔のパーツが中央に寄ってしまいます。5歳の子供と、20歳の人と、50歳の人では、顔の筋肉のバランスがかなり違っています。50歳の人は鼻を中心に顔の中心部の筋肉はカチカチになっているのに対して、顎下ラインや頬の筋肉はたるんでいることがほとんどです。ですから鼻から頬骨にかけてのこわばっている筋肉を持続的な指圧でゆるめ、鼻の周りを広々とさせる必要があります。これだけも頬骨間は広がり副鼻腔に空気が通りやすくなると思います。

免疫力は消化力とも考えられる
 最初の話に戻って“アーマ(未消化物)がからだに蓄積すると病気になってしまう”という考え方に立ちますと、病気に対抗する力、病気にならない力、つまり抵抗力や免疫力はアーマを体内に溜め込まないようにすることと同じ意味になります。
 “消化”といいますと、食べたものを胃で消化して、さらに十二指腸で消化して‥‥というのが連想されると思いまが、もっと細かいレベル、細胞のレベルで考えますと、からだに有害な物質が侵入したとしても、それらを細胞の働きで無害な物質に変換することができれば問題ないことになります。そしてこれは毎日、毎時間、刻々と私たちのからだが自動的に行っていることです。白血球、リンパ球、食細胞‥‥という免疫系の用語はこのことを表しています。
 鼻呼吸によって様々なバイ菌類が鼻腔に侵入したとします。鼻腔や副鼻腔の粘膜はそれらバイ菌類を線毛や粘液でキャッチします。その後、鼻汁としてからだの外に出してしまうか、食細胞のようなリンパ系の細胞がやってきて有毒物を食べてしまい無毒化します。つまり細胞が有毒物を食べて消化が行われたということです。副鼻腔で処理できなければその先の咽頭にあるリンパ節の輪が捉えて、有毒物を消化して無毒化します。
 免疫力(抵抗力)はアレルギー疾患対策のキーワードであり、その他の病気でも、病を改善して健康を維持するためのキーワードです。ところが専門書には難しいことがたくさん書いてあって解りにくいですし、実際のところまだ確かなことは解明されていないようです。

 免疫力の専門的なことは学者や研究者など専門家に任せることにして、今私たちができることで免疫力を高めることを考えてみます。
 花粉症の場合、症状が出るのは主に鼻と眼ですから、鼻腔・副鼻腔と眼の粘膜を快適な状態にすることがまず大切です(口腔や耳の奥も粘膜ですから同様です)。それらの粘膜に花粉はキャッチされますが、それを無害化できないためにアレルギー反応がおこります。あるいは粘膜が機能できない状態にあるので花粉が体内に侵入してアレルギー反応をおこし、その結果が鼻や眼などの粘膜に現れるのかもしれません。いずれにしましても“穴の粘膜の状態”がポイントになります。
 粘膜ですから、
 ①湿っていないと駄目です。鼻孔の渇き、ドライアイ、唇や口腔の渇きなどは良くありません。
 ②適度な粘度が必要です。鼻水や涙で湿っていても、目薬や飲水などで湿らせても、それはちょっと違います。
 ドライアイは血液循環や外眼筋の状態がかなりの影響を与えると考えています。そういう意味でパソコン仕事の多い人、スマホやテレビの画面をたくさん見ていて眼をあまり動かさない人はドライアイになりやすいと思います。
 口腔内の湿り気は唾液の問題になりますが、緊張感の多い人、交感神経ばかり働かせている人、噛みしめる癖のある人、よく噛まない人などは口の中が乾きやすいと言えます。
 鼻腔・副鼻腔内の湿り気には“空気を通すことが必要”ではないかと私は考えています。鼻腔・副鼻腔には線毛と呼ばれる細かい毛があります。空気を通すことで線毛が運動する(揺れる)と電気的な刺激が生まれるはずです。その刺激が粘液の分泌に関係しているように思っています。

 アレルギー反応では粘膜が異物の侵入に対する最前線、つまり免疫力の最前線ですから、花粉に対処しなければならないこれからの時期、鼻腔と副鼻腔、口と唇、眼の粘膜をなるべく良い状態に保つことが花粉症を重症化させないための一つの手段だと思います。
 私自身、若い頃から花粉症でこれからの時期辛い思いをします。昔は飲み薬や点鼻薬、点眼薬に頼って対処していました。ところが薬を使うと渇いてしまい鼻血が出たり、眼を擦って結膜炎になったり、喉の渇きを感じましたので、この20年くらいはよほどでない限り薬は使わないようにしています。
 現在の薬は“渇き”をもたらさないようになっているのかもしれませんが、そうでないとしたら、一方(血液レベル)でアレルギー反応を軽減するようになっているとしても粘膜が渇いて機能が果たせない状態になってしまいますので、免疫という面では片手落ちであると言えます。渇きにくい薬を選んでいただきたいと思います。

整体で対応できること
 最初に、①花粉をからだに入れないようにする、②免疫系の力を増強する、③毒素を排泄する、の三つが花粉症対策として必要なことだと申しましたが、①はマスクをしたり、対策用眼鏡をしたり、鼻腔や眼を洗浄することなどが対処法ですので整体の領域ではありません。
 ②については、頭蓋骨の歪みや顔面の筋肉を整えて鼻腔・副鼻腔と眼と口を良い状態に保つという意味で整体が役に立つところです。とくに鼻骨を上げ、頬骨や周りの筋肉を整えて鼻腔・副鼻腔が力を十分に発揮できるようにするためには整体的な方法しかないように思います。
 そして③の毒素の排泄に関しても整体は役に立ちます。食べて、消化吸収栄養化して、排泄するのは自律神経の副交感神経系の仕事です。ですから非常に大雑把に言いますと、交感神経優位の人はこれらのことが苦手です。つまりいつもストレスでイライラしていたり、起こったり悲しんだり不安を感じたりして感情の起伏が激しい人は交感神経優位の状態であり、体内の毒素を排泄することが得意ではありません。
 排泄といいますと便や尿、その他に発汗や呼気が目に見える現象としてあります。しかし中医学的な見方、つまり“気”や“エネルギー”の観点を加えますと、“邪気”や不要エネルギーの排出というテーマが出てきます。これは言葉ではとても伝えづらいことですが、毎日いろいろな人のからだを見、触って、施術をしていますとなんとなく“気の巡り”みたいなものが感じられるようになってきます。慢性的な不調を抱えている人は気が抜けて出て行かず溜め込んでしまうばかりの状態になっていることがわかります。
 “ストレートに足裏から気が出ていくようにするためには、どこをどう整えれば良いか?”というのが施術の最終的な段階です。気が途中で何処かに停滞してしまったり、足裏から出ては行くけど途中でくねっていたりしますと真のリラックスは達成できません。
 花粉症で言いますと、眼や鼻や副鼻腔に邪気や不要なエネルギーが溜まっています。それを足裏から出ていくようにするためには呼吸を整え、からだの歪みや筋膜の捻れを整え、股関節や膝、足首など気やエネルギーの滞りやすい関節を整えるなどの作業が必要です。そこまでやらずに眼と鼻に直接関係するところだけ整えても排泄が上手くいかないので効果としては不十分になってしまいます。実際、このようにして足裏から出してしまえば鼻の状態、眼の状態がよくなることがほとんどです。
 万全の花粉症対策をしてもなお辛いと感じている人は整体的な方法も選択肢としてお考えいただければと思います。

 整形外科のリハビリや整骨院、接骨院などでの治療では低周波治療器(一般にいわれる“電気をかける”)がよく使われています。家庭用としても広く販売されている治療器ですので誰もが“からだに良い作用をもたらす”と認識していると思います。ところが使い方によってはからだを損傷することがあります。また低周波治療器に限らず、光線や高周波、レーザーなどでも同様だと思います。

①一日の終わりに、入浴後、殿部から太ももにかけて低周波治療器をあてマッサージがわりに使っていた方がいました。使い始めから少しの間は良かったようです。しかし、しばらく使い続けているといつの間にか坐骨神経痛の症状が現れだしました。
 その方が来店された目的は坐骨神経痛を改善することでしたが、原因について心当たりを尋ねても「思い当たることがない」ということでした。何らかの原因がなければ坐骨神経痛のような症状を起こすことはないと考える私は、いろいろとお尋ねし会話の中で原因を探ろうとしました。すると毎晩低周波治療器を太ももの外側にかけていたということでした。それは十分原因として考えられることです。最初は軽い坐骨神経痛の症状だったはずですが、低周波治療器を使い続けているうちにどんどん筋肉がやられてしまい、重度の神経痛になってしまった例です。

②これまで家庭用の低周波治療器は使ったことがなかった方が、結婚式の引き出物で手に入れたので、どんなものかと思い、膝の不調が良くなればと思い、説明書に書いてある通りに膝関節の上と下に器具をあてて使用してみたところ翌朝になって膝が腫れだし、数日すると歩くこともままならなくなってしまいました。その方も「まさかあれ(治療器)が原因だとは思わなかった」と仰いました。

③坐骨神経痛になったので会社近くの治療院に何度か通われた方は、その治療院で言う“特殊な電気治療器”を毎回使用されたそうです。最初は“効いているのかな?”と感じたそうですが、次第に症状が悪化していき神経痛の痛みで満足に眠ることもできないほどになりました。痛み止めを毎日飲まなければ過ごせなくなり、いろいろな治療院、大学病院などを訪れても痛みが和らぐことはありませんでした。
 私のところに来店されてからも最初の2週間(5回くらい)は、症状が改善される兆候がでてきません。それでも原因と対策について細かくお話しし、我慢強く来店されることを勧めました。一月くらい経つと痛み止めは飲まなくてもすむようになり、座ること以外は痛みを感じることも少なくなりました。2ヶ月くらい経つと長時間座り続けること以外は普通に暮らせるようになり、3ヶ月くらいすると2週間に一度くらいの来店ペースになり、それ以降は月に一度2~3回来店されましたが、最初の来店から半年くらいですっかり良くなりました。症状が悪化の一途をたどっているときは「一生治らないのでは?」と思ったそうです。

④整形外科で受けた低周波治療器によるリハビリの後、脚を動かすことがほとんどできなくなってしまった方もいます。膝関節のお皿(膝蓋骨)の位置がおかしくなってしまい、膝関節が動かせなくなり、脚にも力が入らなくなってしまったのです。たった15分ほどの、それも病院で受けた治療でそうなってしまいました。おそらく扱う人が治療器のあて方を間違ったのでしょう。

⑤ショッピングセンターのデモンストレーション販売で売られている高電圧健康器具(椅子)にお試しで何度か座ってみた方は、その後膝関節がおかしくなりました。それから降圧剤を出してもらっているかかりつけの内科クリニックで光線による治療を何度か受けましたが膝の調子は改善しません(内科でどうして膝の治療をするのかわかりませんが)。本人はお試しの健康器具も光線治療も膝がおかしくなった原因だとは思っていませんでした。私は光線治療は避けるように言いました。しかし医師から勧められると断り切れないと仰いましたので、かかりつけとは言え、しばらくは通院しないように言いました。

からだは電気仕掛け
 私たちのからだには微弱ですが電気(電磁波)が流れています。それはからだに流れているエネルギーの一つです。心電図や脳波計などは電気の流れを測定するものですから、このことが理解されるのではないかと思います。
 電気の流れに滞りがなければ細胞は順調に働きますが、流れが停滞したり乱れたりしますと細胞の働きが悪くなるため様々な不調が現れると考えることができます。治療器として使われる、低周波、高周波、レーザー、光線、遠赤外線、放射線、これらはすべて電磁波ですから、結局のところ、からだに流れている電気、あるいは細胞を構成している原子や分子や電子に働きかけて治療を行い健康を維持増進させようというものであるということになります。
 ですから使われる電気治療器が良い作用をもたらせば、不調や不具合の改善、健康の維持増進につながります。しかし反対に悪い作用をもたらせば、健康を損ね、からだに不調や不具合が現れる原因になってしまいます。
 そしてこのことは非常に重要です。使い方を誤ればからだに悪い影響をもたらすという認識が欠けていますと、良かれと思って使った治療器が上記のようにからだに損傷を与えてしまうからです。ところが多くの治療家はそのことを深く考えていないのが現実かもしれません。

 私は施術においてこれら外部から電磁波を与えるような治療器は一切使っていませんが、しばしばダイオードを使います。ダイオードはラジオなど電気製品の基盤に使う部品で、電気の流れを整える整流器です。それ自身は電気的な何かをもたらすわけではありませんが、乱れている電気の流れを整えてプラスからマイナスへ電気がスムーズに流れるようにするものです。
 
ダイオード

 ギックリ腰や肉離れなど筋肉や筋膜が損傷した部分、筋肉が伸びてしまって働きが悪くなってしまった部分は局所的に電気の流れが乱れていると考えられます。筋肉を動かすための神経伝達は電気信号の伝達に他なりません。ですから電気の流れが悪い部分がありますと、その部分の筋肉はうまく作動できません。あるいは神経伝達が大丈夫でも、その部分の細胞が働けないため筋肉が収縮できなくなります。
 ギックリ腰をした翌朝ベッドから起き上がろうとすると、腰に力が入らなくて起き上がることができなかったりするのはこのような状態です。部分的に筋肉が収縮できない、つまり力を発揮することができないのです。腰や骨盤はからだの中心ですから、そこに一部分でも力が発揮できないところができてしまいますと全身に影響がでます。肩関節の筋肉を伸ばしたり損傷しますと、全身に影響が出ることはありませんが、腕を上げることができなかったり、腕がすごく重たく感じたりしてしまいます。いわゆる四十肩、五十肩の症状です。
 こんなとき、その損傷している部分の体表にダイオードを貼ります。すると、それまでの状態が嘘だったかのように動けるようになります。瞬時に変わってしまうのです。ただし損傷した部分にピッタリ当たらなければなりません。1㎜のずれは大丈夫かもしれませんが3㎜場所がずれると効果はまったくありません。損傷した部分は内部であり体表から見ることはできませんので、触覚をたよりに探し出すしかありません。
 そしてダイオードの向きを反対に貼ってしまいますと、効果がないばかりか、症状がもっと悪化してしまいます。単なるギックリ腰だったものに坐骨神経痛の症状が加わったりしてしまいます。
 つまり電気の流れが良くなるように補えば筋細胞の働きが良くなってからだは改善に向かいますが、体内電気の流れに逆行するようなことをすると筋肉が働けないばかりかからだを壊す方向に向かってしまうということです。私が使うダイオードは方向を間違ったとしてもすぐに貼り直せばすむことですが、電気治療器を10分、15分と使用した場合は、“時すでに遅し”となってしまう可能性が高まります。
 その治療器の使い方が合っているか間違っているかは、筋力テストをすればすぐにわかることです。つまり治療器のスイッチを入れたときに、膝なら膝の、それまでの筋力よりも荷重に耐える力が増しているのか、あるいは筋力が弱くなってしまうのかを確認するだけですむことです。“Oリングテストもどき”をしてみてもよいと思います。仮に筋力がスイッチを入れる前より弱くなっているなら、それは間違ったやり方をしているということですから、やり直して筋力がアップする場所を探したり、あるいは電気の力を調整する必要があります。体内電圧の微弱さを考えますと、低周波治療器はなるべく弱い力の方が良いように思います。筋肉がグワングワンと動くような強い力は良くないのではないでしょうか。

電気治療器は面でやられてしまう
 例えば、腰が“ギクッとした”、”ピリッとした”というギックリ腰などでは、損傷の度合い(強さ)はまちまちでも、損傷範囲はとても小さいことがほとんどです。損傷した範囲は㎜単位の大きさがほとんどでしょう。ですから手当てをする部分も局所であり、ダイオードがピタリとあたれば劇的に効果が現れます。あとは傷が修復されるまでの時間が違うだけだと言ってもいいでしょう。(筋膜や筋肉の深い部分、あるいはじん帯まで損傷しますと完治するのに時間がかかりますが、表層の筋膜部分だけの損傷であれば改善するのにそんなに時間はかかりません。)
 ところが電気治療器で損傷を受けますと、その面積は広くなります。損傷の度合いが軽いとしても、面積が広いので施術には手間と時間がかかります。上記②の家庭用の低周波治療器を試しに一回15分だけ使った方は、膝を挟むように大腿部とスネに治療器の低周波治療器の端子を当てたのですが、その間の距離、30㎝近くの筋・筋膜が全部疲弊していました。それによって太ももから膝下にかけて前面も後面も水が溜まって腫れてしまいました。その疲弊した部分を回復させるまでに5回ぐらいの施術が必要でした。面積が広いのでダイオードは使えませんし、施術以外ではテーピングをするくらいしかできません。
 坐骨神経痛になって特殊治療器で施術された方は、背中~太ももの裏側膝上の部分まで全部ダメでした。ですから施術の回数も増え、ある程度の回復までに3ヶ月という時間がかかってしまいました。

 この記事を読んでくださる方には、例えば治療院や整形外科で電気治療器を使われた場合、スイッチが入ったときに少しでも“イヤな予感”がしたら、その治療を拒否していただきたいと思います。
 電気治療器は良い方向に作用する場合もあれば、反対に症状を悪化させる場合もあること、そして悪化したときには回復までに時間がかかってしまうことをわかっていただきたいと思います。
 病院や治療院でこのような話をされてもまったく無視されると思いますが、実際にそういう弊害に遭われた方を見ていますし、損するのはご自分ですので、断固たる態度で拒否していただきたいと思います。

補足:
 ダイオードは大きさ3㎜厚さ1㎜くらいのものを使っていますが、ピップエレキバンなどを体表に貼り付ける絆創膏を使用しています。ですから「エレキバンですか?」と聞かれたり、「置き針みたいなものですか?」と聞かれたりしますが、まったく違います。エレキバンは磁気を発生していて磁気による治療効果を期待したものですし、置き針は鍼灸治療の理論に則った治療効果を期待したものです。しかしダイオードは、それ自身電気的にも磁気的にも何も発生していません。ですから治療効果を期待したものではないのですが、結果として筋肉の働きが改善される効果があるというものです。
 そしてこのようなものは他にもあります。アロマの精油、色、単なる絆創膏‥‥。手のひらなど絆創膏を貼ることができない部分などには、油性のサインペンで小さな点を描くだけで効果があるときもあります(どの色にするかは選ばなくてはなりませんが)。
 誰もが知っていることですが、私たちの物質としてのからだは原子が集まったものです。原子の集合体ですから電子はグルグル回り続けていますので当然電気的ですし、放射線もレーザー光線も内在していることになります。レーザー治療、電気治療は私たちのからだに内在しているエネルギーに働きかけて症状を改善しようとするものだという認識がもっともっと必要ではないかと思ったりします。
 私は個人的には、外部からエネルギーを与えて、つまり電気治療器具を使って施術や治療を行うことよりも、内在しているエネルギーが自ずから順調に流れるようにからだを調整する方が好きです。

 車や電車や飛行機などに長時間座り続けているとお尻の骨(坐骨付近)が次第にゴツゴツしだし辛くなったり痛くなったりする経験はどなたにでもあると思います。
 その原因は“お尻が疲れるから?”というのが一般的な見解だと思いますが、中には1~2分くらいしか座っていないのに坐骨付近が痛くなってしまう人がいます。ですから一概にお尻の疲労が原因であるとは言えません。今回はこのことについて考えてみたいと思います。

ハムストと坐骨の関係
 太ももの裏側の筋肉をハムストリング(略して“ハムスト”)と言います。ハムストリングは坐骨から始まって太ももの裏を通り膝下の裏側につながっている筋肉群です。
 
ハムスト「ゆ」で坐骨「こ」

 坐骨を起始としていますので、坐骨の状態に深く関係する筋肉です。筋肉の性質上、同じ筋肉の何処かに働きの悪い部分が生まれますと別の部分がこわばって硬くなるという仕組みがあります。例えばハムストリングの中間部分、ちょうど太ももの裏側、座面についているところにゆるんだ部分ができますと、起始部の坐骨に近いところにこわばりができてしまいます。筋肉はこわばると硬くなりますので、“坐骨が尖ってゴツゴツした感じ”というのが現れます。
 基本的に筋肉は同じ状態を長時間保つことが得意ではありません。特に伸ばされた状態で長時間耐えることは苦手です。椅子に座り続けるということはハムストリングが座面に接触し続けるわけですが、加えて太ももの重みがかかっていますので、筋肉・筋膜・皮膚からすると伸ばされ続けているのと同じです。時々立ったり歩いたりして筋肉を動かしてあげれば辛い状態はリセットされるのですが、それが叶わないと荷重に負けてしまいハムストリングに働きの悪い部分ができてしまいます。働きの悪い部分というのは、筋肉や筋膜の一部に“伸びきってしまったゴム”のような部分ができてしまった状況を連想していただくとよろしいかと思います。筋肉の中に縮むことができない部分が生まれてしまうのです。すると筋肉全体の働きが悪くなりますので、それを補うように同じ筋肉の別の部分にキュッと縮まって硬くなってしまうこわばりが生まれてしまいます。座り続けていると次第に坐骨部分が“妙にありありと感じられる”状況が生じるようになりますが、それはこのようにしてもたらされます。

 坐骨が痛くなる理由は他にもありますが、“座り続けていると痛くなる”といった場合はこのような仕組によるものが最も多いと思います。また、何らかの理由でハムストリングがゆるんでしまっている人は座ると間もなく坐骨が痛くなったり腰が痛くなったりしてしまいます。ハムストリングはスポーツで肉離れを起こしやすいところですが、肉離れを患っている人は座面に太ももをつけるだけでも耐えられなくなってしまうことでしょう。

 さて、映画館などで長時間座り続けていなければならないときに坐骨や腰が痛くなった場合などの対処法としては、太ももと座面の間に手を入れて温めたり擦ったりしてハムストリングのゆるみを改善するようにすることが良いと思います。お尻をモゾモゾ動かしたり、お尻の痛くなったところに手を当てたりするより効果的です。

ハムストリングがゆるんでしまう理由
 上記のように筋肉が何かに長時間接触していたり、荷重がかかり続けていたりしますと筋線維が伸びて収縮できない部分ができて働きが悪くなりますが、それ以外にも筋肉がゆるんで働きが悪くなってしまう理由はあります。
 一つは使いすぎによるものです。これは筋肉疲労のことであり、この場合は休養することによって機能を回復することができます。
 もう一つは血液循環不良によるものです。端的な例は“冷え”です。からだ全体が冷えたり、部分的に冷えたりしますと動脈の巡りが悪くなり、細胞に十分な酸素が届けられないため筋細胞の働きが悪くなって筋肉はゆるんだ状態になってしまいます。
 その他には神経の問題もあります。ハムストリングで言えば、坐骨神経がコントロールしている筋肉ですので、坐骨神経痛になりますと働きが悪くなります。
 また他の筋肉の影響によってゆるんでしまう場合もあります(これが一番多いかもしれません)。例えば腰や膝が悪くて歩いたり立ったりするときに下半身全体で踏ん張ることができないため、必要以上に足の指に力を入れて頑張らなければならない状況になりますと、足裏や足指の筋肉はカチカチにこわばったりします。その影響でハムストリングがゆるんでしまうというのはよくあることです。ふくらはぎはパツンパツンに張っているのに、お尻や太ももの裏はユルユル、といった状態です。高いヒールを履いている人、靴のサイズが合っていない人、かかと体重の人、歩き方の悪い人、背中の丸まった人、こういう人達の足指はこわばっていることが多いです。すると筋肉の連動関係、拮抗関係でハムストリングはゆるんでしまうのです。

筋肉は同じ状態を長く続けることが苦手
 今となってほとんど死語になりつつある“根性!”は、私の幼い頃、漫画「巨人の星」の時代にはごくごく一般的な言葉でした。姿勢を正しく保ち続けることができないのは忍耐力が足りないからだ、などと親に言われた記憶があります。今、この仕事についていろいろな方と接していますと、“耐えられる身体”と“耐えられない身体”という判別がつきますので、「今の状態では、それ(姿勢良く座り続けようとすることなど)は無理」などとしばしば思います。「精神論は精神論として、からだには無理。しごきになるばかりで余計にからだを悪くする」などとお客さんに言うこともあります。
 ところが現実の今の社会では、この“無理”を強いられている場面がけっこうあります。デパートなどの売り場で働いている人は、お客さんが居ても居なくても座ることは許されない、などと耳にします。接客が忙しくて動き回っているのであれば、からだは疲労しますが、筋肉は同じ状態をじっと耐え続けるといった状況にはなりませんので疲弊してゆるんでしまう可能性は少ないです。ところが暇で動くこともないのに座ることは許されず立ち続けていなければならないとなると、筋肉には無理を強いることになります。下半身の筋肉が徐々に働けない状態になるのに、それでも立ち続けていなければならないとなると、肩や背中に力を入れて頑張り続けるようになってしまいます。肩こりがきつくなったり、背中の張りに辛さを感じる原因の一つであると思います。
 また反対にPC作業などで一日中座り続けていなければならない、というのも筋肉には良くありません。姿勢が崩れていくのは当然のことだと思います。筋肉は、それ自身が伸びたり縮んだりするようにできています。つまり伸縮を繰り返すのが本来の在り方ですので、どちらか一方に偏るというのは間違っているということになります。
 職場環境改善を取りざたされている今日、整体的な観点で見れば企業側はこういうことにも配慮する必要があると思います。売り場の片隅、お客さんから見えないところにちょっとの時間座れる椅子を用意すことも職場環境の改善ではないでしょうか。
 座り続けることの多い仕事では、上司の方が積極的に声を掛けて時々立ったり歩いたりすることを促すことも大切なように思います。

 からだを壊してハムストリングのゆるみを改善するのに時間のかかる人もいます。このような人は座って動作をすることが苦手です。ハムストリングに荷重がかかると腕も上げられなくなったり、首を上げるのが辛くなったり、肩に力が入って呼吸が悪くなったりすることもあります。
 食卓に座って家族とゆっくり食事を楽しむことを嫌い、テーブルに肘をつかないと茶碗や箸を口元まで運べなかったり、息苦しいので食事をしながらしばしば溜め息をついたりしてしまうかもしれません。家族団らんの一時が、その人がいるために気まずい雰囲気になったりするかもしれません。しかし、それは忍耐力や性格など内面的なことに問題があるのではなく、単に“からだが耐えられない状態”なのかもしれません。

 今朝目にしたテレビショッピングでは、“座っても辛くならない座椅子”というものを紹介していました。坐骨結節が座面に当たらないように工夫されているもので、骨盤自体もサポートするものでした。確かに、それで坐骨は痛みを感じなくなるかもしれませんが、ハムストリングがゆるまないように工夫されたものではありませんので、必ず歪みは何処かに現れると思います。首や肩の凝りが増したり、背中が張ったりと、別な場所に不調が現れるのではないでしょうか。それならいっそのこと、15分くらい座り続けたら自動的にハムストリングをマッサージしてくれるような仕組みにしたものを作った方が効果的なのではないかと思いました。マッサージ器の適当な何かを代用して実験してみたいと思います。

 たくさんの“科”に分かれている現在の医学医療の世界でも、耳と鼻はやはり関連性が深いと考えられているのか“耳鼻科”あるいは”耳鼻咽喉科”が今でも一般に馴染みの深い専門医院として認識されています。また、私のつたない施術経験ではありますが、耳の問題は鼻を抜きに考えてはいけないと最近は特に思うようになっています。
 私が子供の頃、プールからでたあと耳に入った水を抜くために首を曲げて頭をトントン叩いたりしましたが、すると何故か鼻から水が出てきたり、あるいは鼻から入ってしまった水が何となく耳の方へ行ってしまうような感覚を経験したことがあります。それによってなんとなく耳と鼻は通じているのかなと経験的に感じたりしました。
 その他にも、小さい子供達は風邪を引いて鼻づまりになったりすると、その後すぐに中耳炎になってしまったり、花粉症で鼻の調子が悪くなると耳の調子も悪くなってしまったりするなど、耳と鼻の関係性が深い現象はいろいろとあります。

 
耳の構造

 飛行機に乗ると上昇中や下降中に耳が詰まったように感じたりしますが、そのときに唾を飲むとそれが解消する(気圧が調整される)のは、耳(中耳)と上咽頭(鼻咽頭腔)が管でつながっているからですが、その管を耳管と呼びます。
 耳管は普段は閉じていますが、唾を飲んだりしますと一時的に解放されて口の中(咽頭)と中耳(鼓室)の間に通路ができて空気が通じますので、鼓室の気圧と口腔内の気圧が同じになります。耳がふさがったように感じたときに唾を飲むとそれが解消されるのは、こういう仕組みによるものです。

鼻骨の下がりと耳管の関係
 先日、「風邪を引いたあと鼻水をすすると鼓膜がペコペコする」という方が来店されました。鼓膜がペコペコするということは、鼻水をすすったときに鼓膜が内側に引っ張られていると考えることができます。つまり普段は閉じているはずの耳管が何らかの理由で少し開いていて、鼻水をすする、つまり咽頭に陰圧をつくる動作で鼓室も連動して陰圧になってしまうからなのかもしれません。
 そのように仮定した上で、耳管に関係する部位を観察していきました。耳の問題ですから、側頭骨やそしゃく筋の状態を確認するところから始めます。そして鼻骨、副鼻腔に関係する頬骨やその周りの筋肉、前頭骨、というように確認していったところ、鼻骨の右側が下がっていましたが、それが怪しいと思いました。その下がっている鼻骨を手で軽く上に押し上げ、鼻水をすする動作をしていただいたところ「ペコペコしない」ということでしたので、鼻骨が下がっていることが原因であることが明らかになりました。そして鼻骨を整えたところ、それで症状は解消され、さらに「耳の聞こえ方が良くなった」となりました。
 つまり本来は通常時閉じているはずの耳管が、鼻骨が下がったことによって少し開いていたため、口や鼻の中の空気の流れが鼓膜の動きに影響を与え、聴力にも影響を与えていたということがわかった一例でした。

鼻骨と耳管
頭蓋前面
頭蓋骨内部側面

 人それぞれの個性により違いはありますが、鼻は顔の真ん中にあってけっこう大きいものです。鼻骨は鼻の大きさにくらべ思いの外小さい骨で、左右二つが一対になっていて前頭骨、上顎骨と関節しています。鼻骨の深部には篩骨、蝶形骨があり、それらを経由して後頭骨につながっています。臨床的には、鼻骨と後頭骨はとても深い関係があり、後頭骨が上がると鼻骨がさがり顔面が下がる、後頭骨が下がると鼻骨が上がり顔面も上がる、という現実があります。
 鼻骨は眼鏡を引っかける骨でもありますので、常時眼鏡を使っている人は鼻骨が下がっている可能性が高いです。また、鼻の通りが悪いときは鼻骨が下がっていることが多いという現実もあります。これから花粉症の時期ですが、多くの人の鼻(鼻骨)は下がってしまうのです。このことについては後日触れたいと思います。
 
鼻腔の鼻中隔側面

 さて解剖図を見るかぎり、耳管は咽頭の上部に開口(耳管咽頭口)していますので、鼻全体の構造とは近い関係にありますが鼻骨とは距離があって直接的には関係性がないように感じます。ですから鼻骨の状態が直接的に耳管に影響を与えるということではなく、鼻骨の状態が鼻や咽頭の状態に影響を与え、それによって耳管の働きに影響するという関係なのかもしれません。そのあたりの関連性につきましては学者の研究に委ねることにして、臨床的に大切なポイントは、“鼻骨の状態が悪くなると耳管の働きに影響が出る可能性がある”ということです。
 耳管の働きがおかしくなりますと、耳鳴り、耳の圧迫感、各種難聴、中耳炎などの症状を招く可能性があります。ですから、これらの症状があった場合、側頭骨やそしゃく筋、頚椎などを整えることも重要ですが、鼻骨の状態を整えることも大切なことだと考えています。

 今回来店された方は、とてもシンプルな理由で右側の鼻骨が下がっていました。右足の母趾先に力を入れすぎていたため関連する筋肉がこわばってしまい、右側の腹直筋もこわばり、それによって顔右側の中心部に近いところが下に引っ張られていました。その流れで右側の鼻骨が下がっていたのです。ですから施術は右足母趾先の強いこわばりをゆるめることだけでした。それで鼓膜のペコペコが解消しました。施術時間は10分もかかりませんでしたが、今回のようなことは稀なケースです。
 鼻骨が下がってしまう理由は幾つかありますし、耳管の働きが悪くなる理由も幾つもあります。ですから耳の問題はしばしば時間がかかってしまったりするのですが、耳鼻科に通ってもなかなか症状が改善しないと感じていらっしゃる方は整体的なアプローチも手段の一つであるとアドバイスさせていただきます。

↑このページのトップヘ