ゆめとわのblog

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2015年12月

 以前に、大学の陸上競技部に所属する走り幅跳びの選手が来店されました。反対咬合気味で、「地面を蹴るとき、どうも蹴り足がしっかりしない。反対咬合が影響しているかもしれないと思って‥‥。」ということでした。当時、4年生で最後の競技会に臨むに際して反対咬合を直したいという目的での来店でした。

 からだを見ますと、案の上、左の足首はグラグラしていました。これではしっかりした蹴り出しはできません。
 反対咬合と左足首のぐらつきが関係するのかどうか判断するために、反対咬合に対する施術から入りました。それほどの反対咬合ではなかったので、初回の施術で咬合は正しくなりました。左足首を確認しますと、最初よりはぐらつき感は改善されたものの、”カチッとした”しっかりした状態にはなりませんでした。
 そこでもう一度顔に戻って筋肉の状態を確認していきますと、左側咬筋のちょうど下顎のエラに近いところがゆるんでいました。ここは食物を(牛が草を噛むように) モグモグと噛むとき、キュッキュッと縮んで力こぶができるところです。この人は左側でモグモグと噛んでいないことがわかりました。
 そこで本人に右側ばかりで噛んでいる“片噛み癖”を指摘し、改善するようにアドバイスしました。また、試しに「左側のエラのところ、そこに力こぶができるようキュッと噛んでみて」とやってもらいますと、左側の足首がしっかりしました。
 この人は反対咬合が影響して地面をしっかり蹴ることができないのではなく、左側で噛んでいないため左足首や左足に力が入りきらない状態にある、ということがわかりました。そこで両方の奥歯でよく噛むことをアドバイスするとともに、マグレインという小さな粒があるのですが、それを「左側のエラのところに貼って幅跳びの練習をしてみて」と言いました。
 再度来店された時に蹴り足の具合を確認しますと、「バッチリです! すごいですね、この粒」と言っていました。競技会にはマグレインを貼って臨むと言っていました。
 
噛みしめと正しい咀嚼の咬筋

 噛むことと噛みしめることは違います。咬筋でいいますと、モグモグと噛むとき、上記の通りエラ(下顎角)の近くの部分に噛む度に力こぶができます。それがとても大切だと思います。ガムを噛むのは、どちらかというとクチャクチャに近いですから力こぶはできません。噛みながらしゃべっている人はクチャクチャと噛んでいる人ですから、たくさん噛んでいるからといって咬筋をしっかりさせていくことにはつながりません。その違いはとても大切です。
 また、噛みしめるとき力が入るのは咬筋の上の方、耳周辺部になりますのでそれはよくありません。食事でモグモグと噛む動作は筋肉を縮めたり伸ばしたりすることなので、筋肉は鍛えられます。噛みしめる動作は持続的に筋肉に刺激を入れ続けることなので、こわばりをつくってしまいます。つまり噛むことは筋肉をしっかりさせ、噛みしめることや歯ぎしりは筋肉をこわばらせてしまう傾向があるという違いがあります。からだに与える影響という意味で、この差は大きいです。
 しかし噛むことが大切だからといって、硬いものをたくさん噛むのも弊害が出ます。スルメや硬い煎餅などの食べすぎは、そしゃく筋に負担をかけることにつながりますので、こわばりをつくってしまいますし顎関節にも負担をかけてしまいます。

 さて、そしゃく筋は全身筋肉の司令塔のような役割をしているということを幾度となく取り上げていますが、今回は咬筋がゆるんでいると足に力が伝わりきれない状態になってしまうという例を挙げました。
 マグレインというのは1㎜くらいの小さな金属の粒を絆創膏で皮膚に貼り付けるものです(インターネットで検索できます)。ツボを刺激するという意味で使っている治療家が多いのかもしれませんが、私は筋肉や筋膜のゆるんでいるところを補ってしっかりさせるために使っています。ギックリ腰や過去のギックリ腰などで骨盤の筋膜が損傷していて筋力が発揮できなかったり、骨盤が歪んでいる場合などに使うことが多いのです。小さな粒ですが、普通の人からするとビックリするような変化がもたらされると感じられると思います。
 今回のケースではゆるんでいる咬筋の部分にポチョッと1つ貼っただけで足首がしっかりしました。ギックリ腰の場合は損傷部分の皮膚(仙骨・尾骨周辺が多い)に貼るだけで、それまで歩くこともままならなかったものが、普通に歩けるようになったりします。筋肉、筋膜、皮膚の不思議さが感じられる現象ですが、とても役に立つものです。

 今回はそしゃく筋のからだに対する役割が以下に大切かという一例を挙げましたが、かつて私が子供の頃、小学校の給食時間に先生が何度も何度も言っていた「一口30回、しっかり噛んで食べなさい」という言葉の大切さが本当にありがたい教育だったと思えます。
 冷え症、手汗、活力が出ない、姿勢が保てない、集中力が持続しない等々、今の私たち(特に気になるのは若い人たち)に多く見られる症状の大元は、もしかしたら単に“噛んでいない”ことからもたらされている可能性もあると思います。私たちの内に内在しているエネルギーを発揮するためにもよく噛んで食べて欲しいと思います。

 歯ぎしりは寝ている間に行っていることなので、気を付けようがない、対処法が考えにくい癖、あるいは症状と言えます。噛みしめ癖もやはり“知らぬ間に”、”無意識で”行っていますので対処法に苦労する症状であるとも言えます。
 歯ぎしりも噛みしめも咬筋や側頭筋などそしゃく筋を硬くこわばらせますので、直接的には肩から上に不快感や不調をもたらします。こめかみの頭痛はそのものずばり側頭筋のこわばりによる場合がほとんどですので、噛みしめや歯ぎしりの癖を取り除かない限り一生つきまとう症状となってしまいます。その他にも首の張りや痛み、鼻づまり、耳の不調、目の不調をもたらす原因になっています。
 噛みしめ癖の対処法として、かつてNHKの”ためしてガッテン”では自分の行動する場所のあらゆる所に「歯をはなす」という張り紙をしてなるべく噛みしめないようにする、といったことが取り上げられました。それはそれで一つの対処法に違いはありませんが、どうもしっくりとこない方法だと感じています。そこで、歯ぎしりも噛みしめも“癖”ではなく“症状”であるという見方に変えて考え、いろいろ試してみました。

リラックスした状態は奥歯が離れているのが普通
 皆さんはからだから力を抜いてリラックスしようとしたとき左右とも奥歯が離れていますでしょうか。そしゃく筋がこわばりすぎて縮んでいる人を除いて、リラックスした状態では奥歯が離れているのが正常です。歯がくっついてしまっている人は、リラックスしていてもそしゃく筋が作動して収縮している、つまり力が入っている状態です。こういう人に「奥歯をはなしてください」と言ってやってもらいますと、途端に居心地が悪くなったりします。反対に正常な人に「奥歯を噛み合わせ続けてください」とやってもらいますと、次第に息苦しさがやってくるなど居心地が悪くなります。
 
噛みしめ・歯ぎしりによるそしゃく筋の「こ」

 リラックスした状態でも奥歯がくっついてしまう人は、常に筋肉を作動させている状態ですので筋肉はこわばって硬くなってしまいます。それは意識的に噛みしめるときの力に比べれば非常に小さな力かもしれませんが、力を入れ続けていることには変わりがないからです。こういう人は今日施術を行い、そしゃく筋のこわばりをゆるめても翌日にはまたそしゃく筋がこわばった状態で来店されるようになります。常に頭が締めつけられていたり、目の見え方がおかしかったりして、何となくいつも頭がスッキリしないと感じているのではないかと思います。

歯ぎしりの癖を改善するための考え方(心理的影響は除いて)
 仮に、日中は噛みしめる癖を持っていないが、寝ているときには歯ぎしりをしてしまう人がいるとします。この時の考え方はいくつかあります。

①心臓の働きが低下すると血液循環が悪くなる場合
 昼間は活動時間ですので心臓が一生懸命働いて血圧を上げ、酸素をたくさん消費する脳や動作を行う骨格筋などに血液を届けていますが、夜中は脳や骨格筋の酸素消費量が減るため心臓は働きを低下させ一種の休養状態に入ります。代わりに小腸や肝臓など内臓の活動が盛んになって、その日に摂取した食物を栄養に変えたり、新陳代謝やからだを修復するために必要な物質を製造したりしています。そのため血液は小腸や肝臓に集まります。つまり夜中の血液循環の主役は小腸や肝臓にバトンタッチされると考えることができます。(自律神経の働きによる=副交感神経優位)
 例えばお腹が冷えていて小腸の働きが悪くなりますと、夜中の血液循環が鈍くなると考えることができます。しかしそれではからだの末梢部分への血液循環が滞ってしまいますので、その日にからだに溜まった老廃物を回収したり、肝臓で製造された、細胞を修復するための物質を抹消まで届けたりすることができなくなってしまいます。このことは翌朝目が覚めてもスッキリしていなかったり、疲労や不具合を翌日まで持ち越してしまう一つの要因として考えられることだと思います。明け方にふくらはぎが攣ってしまうことと、体熱が足りなくて小腸の働きが悪いことは関係しているように思います。
 そこで、この状態を解消するために歯ぎしりをして骨格筋を作動させ、心臓の働きを高めて血液を循環させているのかもしれないと考えることもできます。寒い場所に長時間居て、からだが冷え切った状態になりますと、自分の意志とは関係なく顎をカタカタさせてふるえてしまいますが、それもそしゃく筋や骨格筋をたくさん使って血液循環を高めようとする自律神経の働きなのかもしれません。歯ぎしりは、これに通じるものがあるのではないかと思ったりします。

②関節が歪んでいるため血液循環が悪くなっている可能性
鼡径部04

 歯ぎしり癖をもっていると自覚している人は、関節、特に股関節に問題がある場合が多く見受けられます。股関節は鼡径部の状態に直結しますが、鼡径部は狭いところに筋肉、神経、動脈と静脈、リンパが密集しています。ですから股関節が歪み、鼡径部の動脈や静脈が圧迫されますと上半身と下半身の間での血液循環が悪くなります。余談ですが、下半身ばかりがむくむような人はこのような状態です。
 そのため上記同様、心臓の働きを高めて動脈の力を高めるか、骨格筋を作動させて静脈の還りを促そうという目的で歯ぎしりを行い力を伝えようとしているのかもしれません。

 “そしゃく筋は全身の骨格筋の司令塔の役割をしている”と以前に記しましたが、私たちは“頑張ろう”とするとき、噛みしめて、あるいは食いしばって筋力を発揮します。サッカー選手がシュートを打つとき、野球選手がボールを打つ瞬間、バレーボールの選手がスパイクを打つとき、みんな食いしばっています。つまり私たちのからだはそしゃく筋を働かせることによって大きな力を出そうとする仕組みになっています。そのように考えますと、寝ている状態ではからだのどこかに力が伝わりにくいところが存在するので、無意識に歯ぎしりをして力を伝えているのかもしれません。
 もうかなり前のことですが、寝ているときの歯ぎしりか噛みしめ癖で、朝起きると顎が痛くてたまらないという若い女性が来店されたことを思い出します。結局その方の場合、左手首につけていたブレスレットがからだに悪い影響を与えていたことが原因でした。こういうことはしばしば見られます。自分の思いとは別に“からだの細胞はそれを嫌がっている”ということなのですが、ピアスやイヤリング、ペンダントや指輪など、身につけるアクセサリーは私の立場からすると、慎重に選んで欲しいと思います。付けて細胞の働きを高めるもの、弱めるもの、変わらないもの、の三つがあります。それは思い入れとか、値段とか、評判とか、言い伝えとか、霊感とか、そういうものとは全然関係ありません。筋力テストをするとすぐにわかります。からだの力を弱めてしまうものは身につけないことです。
 この方には何年もの間一度も外したことのないブレスレットを外してもらいました。1週間後に来店していただきましたが、その間の経過を尋ねますと、外した翌朝から激しい顎の痛みは消え、日が経つにつれ顎が楽になってきたということでした。ブレスレットを外したことによって血液循環が良くなったのではないかと思います。

 最近では、歯ぎしりや噛みしめの癖を持っている人に対して、リラックスした状態で奥歯が離れるようにからだを整えることを積極的に行っています。普通にしているときにそしゃく筋から力が抜ける状態にすることができれば、噛みしめの癖は自ずと改善されると考えられますし、歯ぎしりの癖を改善するきっかけになるかもしれないと思うからです。
 右下半身に力が入らない人は、立ったり座ったりすると無意識に右奥歯が噛み合ってしまいます。しかし右の太ももに力が入って左右の脚でバランス良く立てる状態に整えますと、自然と噛み合っていた奥歯が離れ、それまで少し力の入っていた右首肩から力が抜けてリラックスできる状態になりました。
 右手の人差し指のつけ根に深い傷をつくって、右人差し指に力が入りにくい状態をケアしますと、やはりそれまで噛み合っていた右の奥歯が瞬時に離れます。
 これらのように、からだのどこかに弱点がある人は自然と歯が噛み合ってしまうようですが、その弱点を整えますとそしゃく筋から力が抜けて噛み合っていた奥歯が離れるという現象が起こります。これが噛みしめや歯ぎしりの癖を改善するためのポイントになるのではないかと今は考えています。

 噛みしめや歯ぎしりでそしゃく筋がこわばりますと、いろいろな不調や不具合、不快感が現れます。たかが噛みしめ、たかが歯ぎしり、と私たちの頭は考えがちですが、そのからだに与える影響は根深いものがあります。全部を整えても、その部分が解決しなければスッキリしないし、リラックスできないのです。

 噛みしめ、歯ぎしりによるそしゃく筋のこわばりの代表的な症状は次の通りです。
1.リラックスしようとしても、首・肩から力が抜けきれない。
2.耳や顎関節周辺が硬くなってしまう。
3.目の見え方がハッキリしない。視界が何となく暗い。
4.顔が歪み、からだも捻れる。噛み合わせが悪く、片噛み癖になってしまう。
5.慢性的に首肩のこりを感じ、マッサージしてもすぐに戻ってしまう。
6.こめかみ(側頭部)の頭痛や片頭痛にたびたび襲われる。頭がスッキリしない。

 これら以外にもまだまだ症状はありますが、何とか癖を脱して、毎日を快適に楽しい気持ちで過ごしていただきたいと思います。そのためにはからだの弱点を整えて、普通にしているときに奥歯が噛み合わずに離れた状態になることが最低限必要なことかもしれないと考えています。

 首に痛みをもたらし動きを悪くする要因として、①頚椎自体の捻れと②肩甲骨のズレについて記してきましたが、もう一つ考えられる大きな要因として胸郭の歪みがあります。
 
斜角筋と胸鎖乳突筋01

 胸郭の上部と頚椎を結ぶ筋肉に3本の斜角筋と胸鎖乳突筋があります。胸鎖乳突筋は頭蓋骨の側面後部(耳のすぐ後=側頭骨)と胸郭の中心である胸骨、鎖骨につながっていますので、首の運動に関わるほか、喉の動きに関わります。「喉がスッキリしない」といったときには胸鎖乳突筋が喉の動きを制限しているかもしれません。
 そして大事なことは、胸鎖乳突筋も斜角筋もそしゃく筋と密接な関係にありますので、片噛み・噛みしめ・歯ぎしり・食いしばりなどの癖によって強くこわばってしまうことです。

斜角筋と肋骨(胸郭)
斜角筋02

 胸郭は12本の肋骨と背部の胸椎(背骨)、前面中央の胸骨でできていますが、一番上(第1肋骨)とその下(第2肋骨)の肋骨から前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋の三つの斜角筋が出ていて頚椎につながっています。大雑把に言えば、首側面の深い部分や鎖骨と首の間の凹んだ部分を押したときに痛みを感じるのであれば、それは斜角筋がこわばっているということです。
 からだにおける斜角筋の役割として大事なことの一つに“呼吸を助ける”ことがあります。息を吸ったときに胸郭は上がるのですが、斜角筋が収縮してこの動作を補助しています。つまり斜角筋は息を吸ったときに収縮し、息を吐いたときに伸張する性質を持った筋肉です。
 ということは、仮に斜角筋がこわばった状態にありますと、胸郭は上がったままの状態で下がることができなくなります。つまり息を上手く吐き出すことができなくなってしまうということです。吸うことはできても吐き出すことができないということは過呼吸状態です。過呼吸については心理的な問題とか、原因としていろいろ考えられているかもしれませんが、もしかしたら単に斜角筋がこわばっているだけなのかもしれません。噛みしめや歯ぎしりの癖を持っていて過呼吸状態にあるのであれば、ほとんど間違いなく斜角筋の問題が絡んでいるものと考えられます。
 そして斜角筋のもう一つの役割は、首を支え、運動を助けることです。
 以前に「首が落ち着かなくて辛く、手で首を支えていないと立っていることも座っていることもできない」という方が来店されました。原因は斜角筋がゆるんでいて働きが悪く、頚椎を支えることができなかったからです。この方は斜角筋自体に問題があったわけではなく、腹筋の働きが大変悪く胸郭が上がったままの状態になっていました。前にも記しましたが、筋肉は骨と骨を結んでいて、その間の距離が遠ざかるとこわばり、近づくとゆるんでしまいます。胸郭を下に下げるのは腹筋の働きによるものですが、腹筋の働きが悪いために胸郭が上に上がってしまい、第1肋骨、第2肋骨と頚椎との距離が短くなってしまったために斜角筋がゆるんで働けなくなってしまったのです。
 また首を動かす筋肉はいくつかありますが、斜角筋は首の運動を補助する働きを持っています。補助する筋肉ですから、斜角筋がゆるんで働きが悪くなったとしても首の運動ができなくなるということはほとんどありません。しかし反対に斜角筋がこわばってしまいますと、伸びづらくなりますので首の運動に制限がかかるようになったり、首を動かすと痛みを発するようになってしまいます。
 これらをまとめますと、次のようになります。
①斜角筋がゆるんでしまうと首を支えるのが辛くなり、肩や他の首の筋肉に負担がかかるようになってしまう。
②斜角筋がこわばってしまうと首の動きに制限がかかり、首の運動で痛みを発するようになってしまう。
③斜角筋がこわばってもゆるんでも呼吸が悪くなる。

胸鎖乳突筋と胸郭
 頭蓋骨で耳のすぐ後の下部に出っ張りがあります(乳様突起)。そこと胸骨の上部、鎖骨を結んでいる筋肉を胸鎖乳突筋といいます。前面から見ると、耳の後部から首前面を斜め下に走って胸郭の上端中央につながっている筋肉です。首の運動に関わる筋肉で、横を向いたときに首の前面に大きく張り出すのが特徴です。(左を向くとき右側の胸鎖乳突筋が収縮して張り出す)横を向いたり、首を後に傾けるときの主動作筋で強い力を持っています。
胸鎖乳突筋_側面01

 この筋肉のこわばりによる直接的な症状としては、耳の下から下顎角(エラ付近)の奥にかけての痛み、気管が詰まったような感じや飲み込み(嚥下)に引っかかりを感じる症状などがあります。胸鎖乳突筋が走行しているラインの深部には気管や甲状軟骨(喉仏)がありますが、筋肉がこわばることによって胸骨も鎖骨も気管の方に引きつけられますし(軽く首を絞められた状態)、筋肉が太くなって張ってしまうため、気管や食道が圧迫されてしまいます。常にノドがスッキリしないと感じている人は、もしかしたら恒常的に胸鎖乳突筋がこわばっているのかもしれません。
胸鎖乳突筋_前面

 首の動作に対する直接的な影響としては、例えば右側の胸鎖乳突筋がこわばっていますと、右側が向きづらくなります。普通にしていても少し左を向いているような状態にあるときは、右側の胸鎖乳突筋がこわばっているのかもしれません。(斜頸の場合は別)
 また間接的な影響としては乳様突起の位置をずらします。つまり側頭骨を歪ませますので耳の調子が悪くなったり顔や頭部の歪みの原因となります。

 胸鎖乳突筋は鎖骨と胸骨に付着していますので、鎖骨と胸郭の影響を受けます。
 こんな例があります。右手をたくさん使う仕事をしている人は、手~腕のこわばりによって鎖骨が右側にずれます。すると左側の鎖骨はノドの前あたりまでせり出してきますが、これによって左側の胸鎖乳突筋はこわばって硬くなり、左側の筋肉や気管を直接圧迫するようになります。首前面から左肩にかけてとノドの左側がいつも圧迫されているように感じ、ツバを飲み込んでも左側に引っかかりを感じるので常に不快感を感じる状態になってしまいます。
 胸骨は肋骨と一体になって胸郭を形成していますので、胸郭の歪みは即胸骨の歪みにつながります。そして胸郭は簡単に歪んでしまいますので、胸鎖乳突筋が変調をおこし側頭骨を歪ませて左右で耳の位置が違うといった人が多くいるという実態があります。

そしゃく筋と斜角筋と胸鎖乳突筋
 細かい連動関係については私もまだ把握しきっているわけではありませんが、そしゃく筋と斜角筋と胸鎖乳突筋はとても深い関係にあることはわかっています。片噛み、噛みしめ、歯ぎしり、食いしばりといった癖によってそしゃく筋がこわばりますと、連動して斜角筋や胸鎖乳突筋もこわばります。
 ですからこれらの癖を持っている人は、顔が歪み、首が捻れ、鎖骨や胸郭が捻れるといった状態を当然持ってしまいます。そして首の動きが悪くなったり、肩関節の動きが悪くなったり、膝の状態がおかしくなったりという状態を招くことになる可能性もあります。

 斜角筋、胸鎖乳突筋と胸郭の状態が首の痛みや運動制限につながるということで説明してきましたが、施術の上で実際に修正する部位は、手の筋肉、脇の下(前鋸筋)、そしゃく筋が主なところです。これらを整えることによって胸郭、鎖骨、頚椎をなるべく正しい状態にもどします。多くの場合は、これで今回取り上げた首の痛みや運動制限を改善することができます。

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