ゆめとわのblog

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2015年11月

 首を回旋したり横に倒したりすると肩上部が張って痛くなったり、じっとしていても常に肩上部に張
りを感じてしまうという場合、一番疑われるのは肩甲骨のズレです。
 首から肩甲骨につながっている筋肉には僧帽筋(上部線維)、肩甲挙筋、肩甲舌骨筋があります。肩甲舌骨筋は目立たない筋肉で、専門家の間でもあまり取り上げられない筋肉ですが、実際のところ、肩上部の張りや不具合にとても深く関与しています。
 これら3つの筋肉で、僧帽筋と肩甲挙筋は首の後面~肩甲骨にかけての張りをもたらしますが、肩甲舌骨筋は首の前側、喉仏の直上にある舌骨と肩甲骨の上面を結んでいますので、印象としては“首の真横”に張りをもたらし、首を回旋したり横に倒したときに“肩の真上”が痛むといった症状をもたらします。

僧帽筋上部線維と肩甲挙筋
 いわゆる“肩こり”で一番気になり、ついつい手がいってしまうのが、僧帽筋上部線維です。肩甲骨を持ち上げたり、腕を挙上したり、頭を後に倒すきに収縮する筋肉です。筋肉をたくさん鍛えているアスリートの首が短く見えてしまうのは、僧帽筋がとても発達しているからです。私のように肩の揉みほぐしを行っている施術者にとってこの筋肉が発達している人は、首肩の奥の方にある筋肉に手が届きにくくなるため、施術のしづらいタイプとなります。
 
首の運動制限に関わる筋01

 肩甲挙筋は頚椎の1~4番と肩甲骨の内側上面を結んでいますので、頚椎の歪みと関係する筋肉の一つです。その点が施術において重要なポイントとなります。また、目を動かす筋肉(外眼筋)と繋がりが深いので、“目が凝ってこめかみが張ると、肩甲挙筋が張ってしまう”という事象が臨床的に大切なポイントとなります。
 首を下方に向けたときに首の後面~肩甲骨の内側にかけて張りや痛みを感じる場合は肩甲挙筋の張りが疑われます。

肩甲舌骨筋
肩甲舌骨筋

 肩甲舌骨筋は一般的にマイナーな筋肉ですが、声楽家など発声に関係する人たちにとっては重要な筋肉であると考えられているようです。頚椎の3~4番の前面には宙に浮いた状態で舌骨があります。舌骨は舌(舌筋)の出発点ですから舌の動きや状態に関係します。舌骨が捻れていますと舌を噛みやすくなったり、滑舌が悪くなったり、無呼吸症候群になったりします。
 前述しましたとおり肩甲舌骨筋の張りは首の側面~肩上部の張りや痛みをもたらしますが、その原因として考えられるのは①舌骨がずれていること、②肩甲骨がずれていること、③発声によってこわばってしまったことなどが主なものです。一般の発声でこわばることは考えにくいですが、声楽家のように大きな声を連続して、かつ微妙な喉や舌の使い方を頻繁にされている人はこわばる可能性が高いかもしれません。大きな声を出すと肩に張りや凝りを感じるようでしたら、肩甲舌骨筋のこわばりが疑われます。

 舌骨がずれることでもたらされる肩甲舌骨筋のこわばりは、①頚椎の捻れ(舌骨が頚椎3~4番の前面にあるので)、②噛みしめや片噛み(噛みしめている方に舌骨はずれる)、③持ち上げる動作でこの筋肉を使ってしまう、などが考えられます。
 舌骨にはこの筋肉以外に顎二腹筋、頚突舌骨筋という筋肉がつながっています。噛みしめや片噛みによってこれらの筋肉がこわばりますと、そちらの方に舌骨が引き寄せられますので反対側の肩甲舌骨筋が張ってしまうということになります。右側ばかりで噛んでいる人は舌骨が右側にずれます。すると左側の肩甲骨と舌骨の距離が少し遠くなりますので、それを結んでいる肩甲舌骨筋が張ってしまうようになるという理屈です。
 また、例えば四十肩や五十肩になって、あるいは腕や肩に力が入らない状態になって肩関節が上手く使えない状態なのに重い物を持ち上げたり運んだりしなければならない状況になったとき、私たちのからだは肩関節の筋肉ではなく僧帽筋や肩甲挙筋や肩甲舌骨筋や菱形筋を使って肩甲骨そのものを挙げることで動作を行おうとしてしまいます。これは肩関節周囲炎の状態が悪化した人にとてもよく見られる現象ですが、「腕で持ち上げられないので肩で持ち上げてしまう」という表現があてはまるかもしれません。
 この状態が長く続きますと、僧帽筋、肩甲挙筋、肩甲舌骨筋、菱形筋はとてもこわばってしまいます。常に張りを感じるだけでなく、ちょっと触っただけでも痛みを感じたり、指圧などされたときには耐えられないくらいの痛みを感じるかもしれません。

肩甲骨のズレと首の動き
 肩甲骨と首を結んでいる僧帽筋、肩甲挙筋、肩甲舌骨筋は肩甲骨のズレによって影響を受けますので、肩甲骨のズレが原因で首の動きが制限されてしまうことが考えられます。
 肩甲骨のズレには幾つかのパターンがありますが、首の動きを制限する代表的なもの二つを取り上げてみます。
①肩甲骨が外側にずれると3つの筋肉は全部張ってしまう
 筋肉は骨と骨を結んでいますので、2つの骨の位置関係が本来の状態より遠くなりますとピーンと張ってしまいます。位置関係を元に戻そうとする力が働きますので筋肉はこわばります。反対に骨の位置関係で距離が短くなりますと筋肉はたるんでしまい上手く働けなくなります。
 これは電柱と電線の関係をイメージしていただければわかると思います。2つの電柱とそこに張られた電線は、ちょうどよい張りのバランスを保っています。ところが何かの影響で、たとえば地震で電柱の1本が倒れかけて電柱間の距離が遠くなったとします。すると、それまで良いバランスで張られていた電線には強い負荷がかかることになり、電線は頑張らなければならない状態になります。頑張りきれなくなりますと切断してしまいますが、これと同じような状態が骨と骨の間が離れたときの筋肉の状態にあてはまります。筋肉は頑張り続けなくてはいけませんので、身を縮めるようにこわばって硬くなってしまいます。頑張り続けることで一杯一杯になり、もはや柔軟性は期待できませんので、首の可動域がとても狭くなってしまいます。
 そしてこれまで幾度となく取り上げてきましたが、肩甲骨を外側にずらす原因の一番は前鋸筋です。前鋸筋は肩甲骨を外側や前方に出すときに働く筋肉ですが、パソコン操作をはじめ、私たちの現代の仕事は腕を前に出しっぱなしにすることが多いので、この筋肉がこわばっている人が大変多いです。自分は猫背だと感じている人はまず間違いありません。

②肩甲骨が下にずれると肩甲挙筋の張りが目立つ
 肩甲骨を下にずらす筋肉の代表は僧帽筋の下部線維です。同じ僧帽筋ですが、上部線維がこわばると肩甲骨が上に上がり、下部線維がこわばると下に下がります。またムチウチなどの影響で上部線維の働きが悪くなりますと肩甲骨は下がってしまいます。その他には菱形筋の働きが悪くなったり、胸にあります小胸筋の働きが悪くなっても肩甲骨は下がってしまいます。
 僧帽筋下部線維のこわばりに焦点を当てて考えますと、ポイントは胸椎下部の歪みです。僧帽筋は背骨の真ん中にあたる棘突起と肩甲骨を結んでいますので、棘突起が右側に歪んだり、胸椎自体が右側にずれますと左側の僧帽筋はこわばることになります。胸椎の最下部12番は腰椎との関節部分になりますが、腰椎や仙骨の影響を受けます。つまり下半身からの影響で歪みやすいポイントであるといえます。
 胸椎12番が下半身からの影響で右側にずれ(頭から見て反時計回りの捻れ)ますと左側の僧帽筋下部線維がこわばり左の肩甲骨を下げてしまい、左側の僧帽筋上部線維と肩甲挙筋がこわばり張ってしまいます。例えば(からだに歪みのない人が)椅子に座るとき左脚を上にするように脚を組みますと仙骨が右側に捻れ(頭から見て反時計回り)ますが、それに合わせて胸椎12番も同じようになり左肩が下がります。脚を反対にして右脚を上にしますと、これとは反対の現象がおこり右肩が下がります。これは骨盤の歪み~背骨の歪み~肩甲骨の歪みとつながる骨と筋肉の連動関係ですが、私たちのからだはこのようにして全身がつながっています。

 またムチウチで後頭部の首付根付近を伸ばしますと、それは間違いなく僧帽筋上部線維の働きを悪くします。それによって肩甲骨は下がってしまい常に肩甲挙筋など首筋が張ってしまうという状態を招きます。
 その他に肩甲骨が後方(背面方向)にずれても肩甲挙筋が張って下を向きづらくなりますが、これは骨盤の後傾、あるいは噛みしめや歯ぎしりによる胸鎖乳突筋のこわばりと関係します。
 右利きの多くの人は、左側の腰骨(腸骨)が後に傾いている傾向があります。すると肩甲骨も連動して左側が後に傾きます。そうなりますと頚椎と肩甲骨の距離が離れますので、肩甲挙筋や僧帽筋上部線維がこわばってしまい、下を向くと首の左側後部に張りを感じて動かしづらくなります。
 
胸鎖乳突筋と肩甲骨の関係

 また鎖骨につながっている胸鎖乳突筋がこわばって縮みますと、鎖骨を背面に引っ張ります。鎖骨は肩甲骨とつながっていますので、肩甲骨も背面方向にずれてしまうという理屈です。左右の鎖骨を触ったときにどちらかの鎖骨が「引っ込んでいる」と感じたときには、そちらの鎖骨が背面方向にずれていて、同様に肩甲骨もずれている状態であると判断することができます。
 こんな時には、首筋をいくら揉んだとしても張りはとれません。揉まれているときには気持ちよさを感じるかもしれませんが、揉み終えた瞬間からまた張りがやってきてしまいます。(筋肉の働きが戻らないほどに揉み倒してしまえば別ですが)

 以上、“肩甲骨のズレは首の動きを制限する”ということを説明してきましたが、肩甲骨の位置を本来の状態に戻して首の運動をスムーズにすためには次の項目をチェックして整える必要があります。

 1.手や腕からの影響の有無‥‥前鋸筋‥‥肩甲骨の外方、前方へのずれ
 2.舌骨の位置による影響の有無‥‥目・噛みしめ・片噛み‥‥肩甲舌骨筋のこわばり
 3.頭部や頸部の損傷による影響‥‥ムチウチ、寝違え、打撲‥‥僧帽筋上部線維、肩甲挙筋などの損傷によって肩甲骨が下がっていないか。
 4.胸椎の捻れや歪みによる影響の有無‥‥胸郭や骨盤の歪み‥‥僧帽筋下部線維や広背筋のこわばりにより肩甲骨が下がっていないか。
 5.骨盤の影響による肩甲骨の後傾の有無‥‥腰骨と肩甲骨の連動関係‥‥下半身からの影響で首筋が張っている可能性。
 6.噛みしめや片噛みにる肩甲骨のずれの有無‥‥鎖骨の歪み=肩甲骨の歪み‥‥胸鎖乳突筋のこわばりは肩甲骨を後にずらす。
 7.僧帽筋上部線維、肩甲挙筋、菱形筋、肩甲舌骨筋、小胸筋など筋肉自体の変調の有無‥‥肩関節の状態と関係‥‥腕で持ち上げられないので、これらの筋肉を使って作業を行っている可能性はないか。

 これらのことをチェックして整えれば、肩甲骨のズレによる首の動作制限や痛みの問題はほとんど解決します。ただし、時々手強いと感じる時もあります。
 代表的なのは、四十肩・五十肩を悪化させてしまい時間が経過した状態の時です。「7」のように筋肉自体が強くこわばってしまった場合は、それをゆるめる施術が痛いですし、これらの筋肉を使って腕を動かす癖が抜けないため1週間後にはまた強いこわばりの状態で来店されるようになってしまいます。五十肩(肩関節周囲炎)をこじらしてしまいますと肩関節を動かすための筋肉がほとんど働かない状態になりますが、それを補うように今回取り上げた肩甲骨を動かすための筋肉を代用してしまう癖がついてしまうのです。その癖を抜け出すまでに労力と時間がかかってしまうのが実際です。

 首の運動を制限して痛みをもたらす要因として、前回は“頚椎の歪み”を取り上げ、今回は“肩甲骨のズレ”を取り上げましたが、もう一つ大きな要因があります。それは胸郭(肋骨)の歪みとそれに関係する筋肉の変調です。これについては次回に説明させていただきます。

 首を回旋したり上下や左右に動かそうとした時に痛みを感じたり、途中までしか動かない場合、考え方は大きく二つに分かれます。一つは頚椎が捻れたり歪んだりして、骨の動きに制限がかかってしまうことです。もう一つは首や肩の筋肉が張っていて、首の動きを制限してしまうことです。
 ともに首の筋肉に張りやこわばりができますが、頚椎に近いところに触れたときピンポイント的に痛みが出る場合は頚椎の捻れ、首筋全体が張っていて押すと痛みを感じる場合は首に繋がる筋肉のこわばりが疑われます。
 今回は頚椎の捻れが原因となっている場合について取り上げます。

上部頚椎の捻れ‥‥頚椎1番と2番
 後頭部の真ん中の出っ張り(後頭隆起)に手をあて、まっすぐ下に降ろしてきて首のつけ根の凹んだ部分を通過して次にぶつかる骨の出っ張りは頚椎2番の棘突起です。首を下向き加減で、少し強めの力で圧しながら触ると棘突起がわかりやすいかもしれません。その棘突起は真っ直ぐのライン上にありますでしょうか。
 
頚椎の捻れ_C1右C2左

 頚椎に問題があるときに多く見られるのは、2番の棘突起が左側にずれていることです。この場合は首を左側に回旋することが苦手だったり、回旋し始めに違和感や痛みを感じると思います。
 頚椎2番が左に捻れる理由はいくつかかんがえられますが、一番手強いのはその上部の頚椎1番が右側に捻れ、その反動で2番が左に捻れることです。頚椎1番の捻れは後頭骨の歪みや片噛み癖、目を動かす筋肉のこわばりなどが関係します。右目ばかりを使っているか、右の方ばかりを見ていると頚椎1番は右にずれます。右側ばかりで噛んでいても同様です。
 首の動きが制限されて痛みが出るほどの状態であれば、噛む筋肉や目を動かす筋のこわばりがかなり強いことが考えられます。また、頚椎1番・2番は次に説明します頚椎7番の影響も受けますので、施術においては、目と咬筋と頚椎7番を歪ませている原因を改善しなければなりません。

 頚椎2番が左側に捻れ、その下の頚椎も左側にずれているような状態では、左側の首から肩にかけても張りが強い状態ですが、頚椎の右側の筋肉が引っ張られた状態になっていますので、自覚としては首のつけ根の右側がとても辛く感じるかもしれません。だからといって首の右側をいくら揉んでほぐしたとしても、解決には向かいません。上部頚椎を中心に、頚椎全体の歪みを改善することが何よりも優先すべき事だと思います。

頚椎7番の捻れ
 頚椎7番は首をガクンと下に向けたとき、首の最下部の一番出っ張るところです。この頚椎が右側にずれている人がとても多くいます。それは右利きの人がとても多いことと関係していると考えられます。右手ばかりを使っていると右側の肩甲骨が外側(右)にずれます。それに合わせるように鎖骨とともに頚椎7番が右側に引っ張られます。あるいは仙骨や後頭骨との関係でそうなっているかもしれません。
 頚椎7番がずれますと、肩甲挙筋への影響が症状として顕著になります。首を下に向けたり、倒したりすると首筋から背中(肩甲骨の内側あたり)に突っ張りが感じられます。あるいは、いつもそこが張っていて辛く感じます。その他には肩上部が張ったり、背中の上部に張りを感じたりします。

めまいに関係する頚椎4番
 めまいを起こす原因はいろいろ考えられますが、その一つに首の中間(頚椎4番くらい)が歪んでいることがあります。起き上がろうとしたり、首を動かそうとすると突然めまいに襲われ吐き気が伴うような場合は、頚椎4番あたりの歪みを疑ってみるのも一つの手だと思います。
頚椎の歪みに関係する主な筋肉

 頚椎の3番から6番までの歪みは斜角筋の変調を確認することが最初の方法だと私は考えています。
 斜角筋は前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋と三本ありますが、それぞれ頚椎と肋骨を繋いでいますので、肋骨(胸郭)が捻れたり歪んだりしますと、頚椎に歪みをもたらします。また噛みしめや歯ぎしりの癖がありますと、あるいは一時的にでも強く食いしばったりしますと斜角筋がこわばってしまい胸郭を歪ませます。斜角筋以外では肩甲挙筋が頚椎の歪みに関係します。スマホなどの見過ぎで、目の筋肉が固まってしまいますと、肩甲挙筋がこわばって頚椎が歪みます。

ケガによる頚椎の歪み
 ムチウチ、打撲、それらは頚椎を歪ませる大きな原因となります。
 先日、スノーボードで転倒し頭部を強打して首を痛めた方が来店されました。一月経っても症状が改善されないということでした。
 
後頭下筋群

 からだを観ますと、普通のムチウチではほとんど損傷しないような一番深い筋肉が損傷を起こしているようでした。後頭下筋群と言いまして、後頭骨と頚椎1番、2番を繋いでいる最も深い筋肉です。30分近く、その筋肉だけを施術していましたが、スッキリ改善とはいきませんでした。かなりのダメージだったと思われます。施術の後は、首を緩やかに動かすことには痛みがそれほど感じられなくなったのですが、ちょっとした瞬間的な動きではまだ痛みを感じてしまうとのことでした。
 後頭下筋群も最も深い部分にある筋肉なので手が届きません。あと何回か来店していただくことになると思いますが、この筋肉群の状態が良くなるのを願うばかりです。

 以上、頚椎の捻れに関する説明を行ってきましたが、上部頚椎は後頭骨との境であり、その内部には触れることのできない筋肉や組織が複雑に存在します。手技でそれらを的確に捉えて状態を把握し、整えることはなかなかできないことですから、頚椎の問題は時にとても厄介だったりします。それでも、片噛み、噛みしめ、歯ぎしりなどによるそしゃく筋のこわばり、目の使い方によるこわばり、胸郭や肩甲骨の歪みなどを修整することで改善されるものも多くあります。ですから、いろいろ試したが症状の改善が見受けられないと感じていらっしゃる方は、一度ご来店いただければと思います。

 私の業界もネット予約システムが少しずつ浸透しているようです。
 ネット予約を管理するのは、しょっちゅうパソコンを見ていないといけないので、私のように一人で営業しているところでは業務が煩雑になるかなと思い、これまでは敬遠してきました。
 しかし、営業時間外に予約のメールをいただいたりすることもしばしばありますので、このたび試験的な意味も込めて取り組んでみることにしました。
 その準備に当たって業者さんから「取材シート」なるものに記入するよう頼まれまして、それを書き上げました。それはそれで簡潔な情報として役に立つかもしれないと思い、下記に列挙します。

○姿勢の改善
(原因)
パソコンでのデスクワークは肩と腕を前に出す姿勢です。椅子に座り続けることでお尻が硬くなり骨盤が歪みます。その影響で背骨を真っ直ぐ保つための背筋の働きが悪くなり猫背になってしまうことが考えられます。
また、お腹の冷えで腹筋の働きが悪くなるため、姿勢を保つための腹筋と背筋のバランスが崩れ、からだを真っ直ぐにしていられなくなることもあります。

(アプローチ)
肩甲骨の位置を本来の状態に戻すための指圧と揉みほぐし、硬くなっている骨盤底を弛め骨盤調整をして背中の筋肉の働きが良くなるようにするなどの施術を行います。
また、腹筋の働きが良くなり伸びやかになるための施術やかかと体重を改善するための施術を行います。

(クライアントの声)
施術後は姿勢を正すために意識的に背中を伸ばすようにしたり、顎を引いたりする必要はなくなり、ごく自然に姿勢が改善され、かかと体重も改善するので、足がしっかり地面についてからだも伸びやかになると言われます。

(施術への不安に対して)
背骨や首の骨をボキボキするような手技は一切ありません。筋肉が硬く凝り固まっているところ、たとえば足先や指先、手のひらなどは凝りを取るとき短時間痛みを感じるかもしれませんが、その時限りのことで後を引くことはありません。それらの凝りが取れますとからだは芯からリラックスします。
その他の施術はソフトですので痛みを感じるようなことはありませんからご安心ください。

○疲れている、だるい、疲れにくいカラダになりたい
(原因)
血液やリンパ液の循環が悪いことが原因のほとんどだと思います。静脈とリンパの流れが悪いと体内でできた老廃物が組織に停滞してしまうので、細胞が活力を失いこのような状態になると予想できます。首・肩・目・顎周辺の凝りも血行を悪化させる要因ですが、上半身では鎖骨と肋骨の関係、下半身では鼡径部(股関節)が血液とリンパの循環に強く影響を与えます。からだが捻れている、骨盤が歪んでいる、これらは全身疲労の原因として大いに考えられます。また深い呼吸ができないことも原因になります。

(アプローチ)
首・肩・目・顎周辺の凝りは、指圧や揉みほぐしによって半分くらいは改善されます。上半身の循環にとても深く関係する鎖骨と肋骨の不正な関係は上半身の歪みですから、それを解消するようにします。そして股関節や鼡径部は骨盤の歪みや下肢筋肉の変調が深い関わりを持っていますので、骨盤調整とともにふくらはぎや足裏、足指などへの施術を行うようになります。
浅い呼吸を改善するためには、肋骨の状態を整えること、腹筋を整えること、そのような施術になります。

(クライアントの声)
鎖骨と肋骨の関係、鼡径部などを調整して血液循環を整えますと、まずむくみが改善されます。リンパマッサージやむくんでいる箇所を揉みほぐしたりするわけでもないのに、パンパンだった太ももや足、手のひら、それらに余裕ができ目も開いて視界が明るくなりますので、それは驚きとともに喜ばれます。
さらに呼吸が深くなりますと全身の筋肉がゆるみ心からリラックスできるようになりますので、温泉に浸かった後のような感じになると喜ばれます。

(施術への不安に対して)
目の凝りに対してはコメカミへの指圧、顎の凝りは硬くなった咬筋をほぐしますので、多少痛みは感じます。しかし「痛気持ちいい」という声が多いです。
からだの歪みや骨盤、鼡径部の調整は主に手指や手のひら、足裏や足指、ふくらはぎへの施術で行います。これも施術している部分は短時間の痛みを感じると思いますがその場限りのものです。
“ソフト整体”という感じにはなりませんが、無理に何かを動かしたり、骨を操作したり、カラダをひねったりすることはまったくありませんので、不安は感じないと思います。

○歳を重ねる度の不調
(原因)
加齢による体の大きな変化は体力と柔軟性の低下に集約されるかもしれません。あとはホルモン分泌の変化による体質の変化でしょうか。
体力が低下しますと、昔の古傷が再び症状をもたらすようになります。若い頃に捻挫や骨折やムチウチをしたとして、しばらくすると痛みや腫れは消え動作もできるようになりますので、それで完治したと思っている人がほとんどです。ところが若い時は体力があるので完治していなくても不具合を別の筋肉が補ってくれます。そのため症状が表には現れなくなります。しかし加齢とともに補う力が弱くなったり、体調を崩して体力がなくなったりすると、過去の完治していない傷の影響でからだに不具合が出る可能性が高くなります。
あるいは完治していない傷の影響でからだが歪んで使い方がおかしくなりますが、そういうことが積み重なって現在の不調になっている可能性も考えられます。

(アプローチ)
過去の捻挫、ムチウチ、骨折などは完治していない限り多かれ少なかれからだに影響を及ぼしています。また、手術の縫い痕も影響があります。それは何十年経ってもかわりません。ですから、まずそれらをしっかり治しながら、からだの歪みを取っていき、何よりも呼吸が改善されるようにします。呼吸は自律神経調整の窓口ですから、普段の呼吸が良くならなければ体調を良くすることはできません。
過去の影響が一回で解決するものもあれば、数回施術しないと解決しないものもあります。また、四十肩や五十肩の経験のある人は、それらもしっかり治す必要があります。

(クライアントの声)
40年ほど前に仕事で無理をして薬指の第一関節が曲がったままの人がいました。薬指は思いの外、からだ全体に影響を及ぼします。それを10分くらいの施術で改善し、動かすことができるようになりましたが、それによってからだがリラックスできるようになりました。本人は40年ぶりに動くようになった薬指に感動していました。

(施術への不安に対して)
古傷や手術痕の場所は筋肉や筋膜、靱帯の働きが悪くなっています。足首を捻挫した人は、靱帯が伸びたままになっていますので足首がグラグラしています。それに対する施術は、靱帯の伸びている部分に指先を当てるだけのとても優しい施術です。同様に働きが悪くなっている部分を改善するための施術は“手当て”のように優しいものです。

○肩こり
(原因)
肩こりの症状は2つに大別できます。一つは老廃物や水分が流れず滞って筋肉や組織がコチコチに硬くなってしまったもの。もう一つは筋肉や筋膜が張ってしまったため辛く感じ、動作で痛みを感じるものです。
「凝り性」は体質的に、あるいは心理的な影響で肩に力が入りやすく、血液やリンパ液の流れが悪くなりやすいということですが前者にあたります。頭をたくさん使う仕事ばかりしていたり、同じ姿勢を続けていることが多いと肩に力が入りっぱなしになり首や肩が凝ってしまいます。
また、パソコン作業など手をたくさん使う仕事をしていますと、手先の筋肉がこわばりますが、そのこわばりが肩や首までつながってしまい筋・筋膜に張りができてしまいます。あるいは首の骨や肩甲骨がずれますと、それによって張りができてしまい動作がしづらくなります。筋肉は「張ると太くなる」性質をもっていますので、これらが後者の肩こりに該当します。

(アプローチ)
実際のところ、肩こりで辛い思いをしている人は“凝り”と”張り”の両方を併せ持っています。“凝り”に対しては揉みほぐす施術を行います。一般的には両肩で20~25分の揉みほぐしを行い、その後で“張り”を取るための施術を行います。噛みしめなどの癖を持っている人は咬筋をゆるめ、目が凝っている人はコメカミを指圧します。また、手の凝りは肩の張りにつながりますので、手や手指のこわばりを取ったり、肩甲骨の位置を正しくする整体施術を行います。

(クライアントの声)
肩こりを揉みほぐすだけでは、その時は気持ちが良いのですが満足を得られることは少ないです。“張り”が取れ、首や肩の動きが軽くなり、頭もすっきりしてはじめて満足が得られます。
1時間近い時間とお金を使って「肩こりから解放されてスッキリしたい!」という望みは、首肩の揉みほぐしだけでなく、目の凝り、手や腕の張りを改善して達成されます。

○腰痛
(原因)
腰痛の原因は様々です。痛みを発する場所は腰部ですが、直接的原因の一番は骨盤の歪みです。打撲やケガ、ギックリ腰などで直接骨盤や殿部周辺を損傷した場合は、それが原因として腰痛を招いています。しかしそうではない場合は、別の要因によって骨盤が歪み、腰部の筋肉や筋膜が張って痛みにつながっています。そしてこちらの方が圧倒的に多いのが現実です。
姿勢や手足の使い癖、歩き方の癖、見方の癖それらが原因となってからだ歪み、骨盤の歪みにつながって腰部に無理がかかっている、というイメージでしょうか。
また、お腹が冷えて腹筋の働きが悪くなるだけでも腰痛になります。膝が悪くても腰部に負担がかかって腰痛になることがあります。ですから、腰痛の原因は様々です。

(アプローチ)
骨盤や股関節を整えることが腰痛改善の第一段階です。その上で、腰部に張りをもたらしている要因をひとつひとつ解消していくようになります。
骨盤は中心の仙骨・尾骨と左右の腰骨(完骨)のバランスで成り立っていますので、そのバランスを崩している原因を特定してそれを施術するようになります。ふくらはぎから足にかけての筋肉や手の筋肉の変調、頭蓋骨や肩甲骨の歪み、それらが骨盤のバランスを崩す要因として考えられますが、それ以外にギックリ腰などは仙骨・尾骨や腰椎自体に歪みをもたらしますので、それらの中でどれが本当の犯人になのかを見極めて対処することが大切です。

(クライアントの声)
腰痛は、よっぽどひどい場合を除いて、あるいは特殊な場合を除いて
常に腰を酷使している仕事を行っている人は、腰部の筋肉がその重労働に耐えられるように硬くこわばっています。筋肉が変質していると言っていいかもしれません。それが腰痛の原因になっていますが、また腰部を守ってもいます。

○骨盤のズレや開きを感じる
(原因)
産後の骨盤の問題は、開いた骨盤が元に戻りきっていないということです。出産に際して靱帯、筋肉、筋膜のすべてがゆるみますが、それらのうちどれかのゆるみ切った状態にあると考えることができます。
加齢による骨盤の開きは、骨盤底の筋肉が硬くこわばっていることが原因だと考えられます。骨盤底が硬くなりますと、骨盤下部が狭くなり、上部が開くという状態になってしまいます。また、加齢にかぎらず座っている時間が多くなりますと同じような状態になりますので、デスクワークが多い人はその可能性があります。
骨盤状態は上半身の筋肉と下半身の筋肉のバランスで成り立っていますので、右手ばかりを使っているとか、右側に重心を乗せて立っている、背中を丸める姿勢や猫背である、というも骨盤の状態に影響を与えます。

(アプローチ)
産後の骨盤のように、ゆるんでしまった筋肉・靱帯に対しては、その部分にじっくり手を当ててゆるみを解消するようにします。それによって次第に開いていた骨盤がしまった状態に変化します。
加齢や座りすぎなどによって骨盤底が硬くなってしまったものに対しては、まずそれをゆるめます。
これら以外はからだの筋肉のバランスを整えることで対応します。からだが歪めば当然骨盤は歪みます。ですから骨盤のズレや開きを改善するためには、からだの歪みを修整することが不可欠です。

(クライアントの声)
骨盤が良くなると立ち姿がスマートになります。背筋を真っ直ぐにするために背中に力を入れたり、お腹を引っ込めたりするようなことをしなくても、自然と背筋が伸び、顎が引かれ、楽に立つことができるようになります。その変化だけでも、からだが変わったことを実感できると思います。

(施術への不安に対して)
骨盤を矯正するために、太ももや骨を押し込んだり、引っ張ったり、海老反りのような感じで伸ばしたりするようなことは一切ありません。骨盤が自然に整うように筋肉を調整していくのが私のやり方です。背骨をボキボキすることも一切ありません。ですから安心して施術を受けていただけると思います

 前回に、骨盤の歪みは“骨盤だけに着目するのではなく、からだ全身との関係性から考える必要があるという趣旨を記しました。
 ですから、実際の施術に際しては
 ①からだの歪みが骨盤に影響を与えているの場合
  ‥‥上半身からくる影響か、下半身からくる影響かを見極める必要
 ②骨盤の歪みがからだに影響を与えている場合
  ‥‥骨盤の中で、仙骨・尾骨と左右の完骨では、どの骨の歪みが全体に影響を与えているのか
 以上の二つを一番最初に判断することからはじめます。

①からだの歪みが骨盤に影響を与えている場合
・上半身からの影響で骨盤が歪んでいるケース
 上半身で歪みを起こす元となりやすいのは、顔(目、顎)と手や手先です。噛み癖、噛みしめや食いしばりの癖、歯ぎしり癖、これらは顎の状態に影響を与えます。また目の使い方の癖、つまり片方の目ばかりを使って物を見ているとか、右側を見ていることが多いとか、ということですが、これも上半身に歪みをもたらす原因になります。目と顎(口)の偏りは顔(頭蓋骨)を歪ませますが、後頭骨が歪みますと、それと対になって連動している仙骨も歪んでしまいますので骨盤全体が歪むことになります。
 
目の偏りと骨盤の歪み

 また、私たちは手をたくさん使って作業を行っていますが、それによって手や手先がたいへんこわばっています(ほとんどの人は自覚していませんが)。そのこわばりは、腕の筋肉~胸筋~腹筋を伝わって骨盤に影響を与えます。
 普段はあまり重い物を持ち歩かないのに、ある日遠出をして終日片手に重いカバンなどを持ち続けていた後で、何日かたって腰痛になってしまうということがありますが、それは手の筋肉が能力以上に酷使されたのでこわばってしまい、それが骨盤の歪みを引き起こしてしまったためだと考えられます。
 事務職などで終日椅子に座ってパソコンを操作している人は、強弱は別にして慢性的に腰痛を抱えている可能性が高いです。一つは座り続けていることで骨盤底筋が硬くなってしまったこと、もう一つは手のこわばりが骨盤に影響を与えてしまったことが原因であると考えることができます。
手と腹斜筋と骨盤の歪みの関係性

 以上のように上半身の歪みが骨盤に影響を与えている場合は、原因のほとんどは顔と手にありますので、それらを施術によって整えることが改善策になります。そして予防としては、目の使い方、噛み方、噛みしめや歯ぎしり癖を改善するか、それができなければ、毎日の終わりに偏ってしまった状態をセルフケアしてよりニュートラルに近い状態に一端戻すことが必要です。ただし、上半身の歪みで骨盤が歪んだ場合は、当然下半身にも歪みは伝わっていますので、次に挙げる下半身の歪みの影響も考える必要があります。

・下半身からの影響で骨盤が歪んでいるケース
 顔や手の影響で上半身が歪み骨盤に影響を与える場合は、途中に腕、肩、胸、腹や背中という部位を経由しますので、からだが元気であれば、そこで歪みを吸収して自動調整し、骨盤にそれほど影響が及ばないケースも考えられます。しかし、下半身の歪みは途中で吸収される部位が少ないため、ほとんどダイレクトに骨盤に影響を与えてしまうという現実があります。
 私は骨盤の調整であれ、腰痛の改善であれ、まず足裏やふくらはぎから施術を始めます。最初に足とふくらはぎを整え、その上で骨盤が歪んでいる原因を改めてチェックし直し、次の作業に移るようにしています。足やふくらはぎを施術していると、その人の歩き方や下半身の使い癖がイメージとしてなんとなく頭の中に浮かんできます。そして太ももや骨盤底の筋肉をチェックしていきながら最終的に“どう整えようか”という作戦と施術の段取りが決めて施術を進めていくことにしています。

 下半身の影響で骨盤が歪んでしまうケースは様々ですが、外反母趾、内反小趾、扁平足、足首の捻挫痕、骨折痕、肉離れ痕、手術痕、膝の問題というのは原因となる可能性の高いものです。
 過去の捻挫や肉離れ、骨折痕などは、現在痛みがないから関係ないと考えている人がほとんどですが、痛みがなくとも筋肉がしっかり働けない状態であれば大いに関係します。それらを見直すことは骨盤矯正にとって重要です。

②骨盤の歪みがからだに影響を与えている場合‥‥骨盤自体に原因がある場合
 骨盤自体がからだの様々な不調の原因になっているケースで考えられることは、ケガと骨盤底の柔軟性不足と産後ケア不足などです。
 ケガというのは、打撲、骨折、ギックリ腰、尻もち、手術などです。
 骨盤底の柔軟性は加齢とともに失われる傾向にあります。また座り続けることが多いとやはり柔軟性は失われます。骨盤底が伸びないと全身の筋肉が伸びない、骨盤底が硬くなると坐骨間が狭くなり骨盤が後傾してお尻が下がる、と前回記しましたが、骨盤矯正で骨盤底を整えることは最も大切なことかもしれません。
 時々産後ケアの一環として骨盤矯正のために来店される人がいます。産後三ヶ月前後が一番効果的な時期かもしれませんが、何年経ったとしても産後の骨盤矯正をされた方が良いと思われる人はけっこういます。出産時にはホルモンの力で、通常はガチッとしてほとんど伸びることのない恥骨結節や骨盤の靱帯が大きく伸びて骨盤は上部も下部も拡がります。産後安静にして、ケアを適切に行っていれば通常は3ヶ月から半年ほどで骨盤はほとんど元の状態にもどるとされていますが、今の世の中、産後の安静を3ヶ月も保つことはなかなかできないというのも実情です。ですから、産後の骨盤変化が気になる方は、一度専門家に確認していただいてはどうでしょうか。

・仙骨・尾骨と完骨
 たとえばギックリ腰をして腰がいたくなった場合、ほとんどの人は腰部の痛みを発しているところに湿布を貼って痛みを軽減しようとします。それは正しいことです。痛みのあるところを冷やせば痛みが緩和するからです。ところが、実際に症状を改善しようとする場合は原因のあるところに施術を行わなければ意味がありません。そして統計的に見ますと、その場所は仙骨や尾骨周辺であることがほとんどです。そしてその中でも一番多い場所は仙骨と尾骨の間(関節)の中央よりちょっと右側の部分です。この部分の筋膜にちょっとした傷がついてしまいギックリ腰の症状になってしまったのです。この部分はからだの中心部の中の中心ですから、ちょっと傷がついて本来の働きができなくなっただけで全身に影響が及んでしまいます。
 どうして“中央のちょっと右側”なのか、その理由はわかりませんが、そうなりますと仙骨の上部(仙骨底)は右側に歪みます。仙骨が少し時計回りに回転した状態です。そして右側の完骨(腸骨)は外側に動き、左側の完骨は後傾します。

ギックリ腰でよく見られる状態

 また、尻もちをついた痕で一番気になるところは尾骨です。尾骨が曲がったり捻れている人をよく見かけます。私たち人間は尾骨がすっかり退化していますが、犬が喜びを表現するために激しく尻尾をふりますが、それを見ると尾骨と尾骨を動かす筋肉の強さが連想できます。その尾骨が曲がったり捻れたりしますと、当然骨盤は歪んでしまう、と私は単純に思います。ですから階段で足を滑らせて尾てい骨を強打した、転んで尻もちをついた、あるいは高いところから飛び降りて着地したときにお尻に響いた、という経験があるなら、それはからだの不調の根本原因かもしれません。

 今、定期的に顔の整体を受けに来られている若い女性がいます。顔面全体が少し下がっています。施術した直後はそれなりに良くなるのですが、1週間後に見るとまた下がっています。当人が言うには、今年の3月頃からなんとなく顔が下がったような気になり、いろいろな情報を頼りに自分で顔をいろいろいじっていたら6月くらいから顔の歪みが顕著になってきたということです。私は「何かケガしたとか、尻もちをついたとか、捻挫したとか、そういう心当たりはありませんか?」と尋ねていたのですが、「特に何もありません」という返事でしたので、本人の訴え通り顔や頭部ばかりを施術していました。「施術後と1週間後では状態が変わってしまうのは、よほど頭部や顔面部の筋膜がダメージを受けていたのかな?」と思っていたのですが、先日、二日連続で施術する機会がありました。一日目の施術を終えて、次の日来店された顔を見ると、やはり施術後よりも若干顔が下がっています。それで、もう一度最初から経緯を聞き直してみました。「3月の、ちょっと顔の状態が気になりだした、その少し前に何かあったのだと思うけど、思い出せないですか?」「2月に何か変わった事しませんでしたか?」などと質問をしていきました。すると2月に初体験のスキーをしたということでした。「では、たくさん転んだでしょう?」と聞きますと、「特別痛くはなかったけど、初めてだったのでたくさん転んだ。」ということでした。
 それで骨盤を見ると仙骨の真ん中くらいの筋膜がゆるんだ状態で、仙骨が少し下がっていました。 強い打撲ではなかったのでからだの動きには支障が感じられませんでしたが、軽いダメージを数多く重ねたことで筋膜の状態が悪くなったままになっていたのです。仙骨と後頭骨の関係については前回記しましたが、仙骨が下がると後頭骨は上がります。そして後頭骨が上がると顔面は下がりますので、これがベースにあったため顔への施術を行っても時間とともに顔が少し下がってしまったのです。

 骨盤自体の歪みの中で仙骨と尾骨はこのように重要な位置を占めています。尻もち、ギックリ腰、打撲、それらの傷は場合によっては何年も何十年も残ったままになっている可能性もあります。それによって仙骨・尾骨と左右の完骨の関係がおかしくなった骨盤の歪みとなっているかもしれません。

・骨盤底の硬さ 
 骨盤底は会陰とも呼ばれ、下半身での腹側(陰)と背側(陽)の境目という、からだのバランスをとるという意味で大切なところであり、からだの中心(骨盤)を支える中心の中心というところでもあります。
小さい子供
 赤ちゃんや小さい子供は骨盤底がとても柔らかい状態です。その柔らかさが全身に伝わり、からだのどこもかしこも柔らかい状態です。一方、加齢を重ね高齢になっていきますと骨盤底の柔軟性は失われ、全身の筋肉も硬くなってしまいます。動作にもスムーズさが乏しくなり、しなやかな動きは期待できなくなっていきます。また、骨盤底の筋肉は腹直筋と一体のように繋がっていますので、骨盤底が硬くなると腹直筋も硬くなり伸びが悪くなるため、からだの前面に伸びやかさがなくなり、歩くときも少し前屈みになってしまいます。硬い腹筋に制限されて胃や腸も動きが悪くなりますので、食欲や栄養吸収、便通などに影響が出る可能性もあります。さらに横隔膜や舌筋とも連動しますので、肺活量が減り呼吸が浅くなって滑舌にも影響が出る可能性も考えられます。
 すっかり様式に変化してしまった私たちの生活では骨盤底を伸ばす動作は非常に少なくなっています。和式トイレに座る動作は股関節を大きく使い骨盤底を伸ばす動作ですが、そういうこともすっかりなくなってしまったので、誰もが骨盤底が硬くなってしまう状況であるとも言えます。また年齢に関係なく、仕事で一日中椅子や車に座っているような状況は骨盤底を硬くさせます。

 さて前回も記しましたが、骨盤底が硬くなる、つまり骨盤底筋がこわばりますと左右の坐骨間が狭まり、恥骨と尾骨の間も狭まります。お尻の底がすぼまった体型になってしまいます。
骨盤底のこわばりによるO脚

 そうなりますと、股関節では大腿骨の角度を本来より少し開かないと脚が途中でクロスしてしまいますので立っていられなくなります。本来、大腿骨は膝にかけて内側に向かっているので、左右の膝内側が接近するようになっているのですが、完骨の角度が変わったために大腿骨の角度が垂直に近くなってしまいます。当然左右の膝は離れた状態になりますので、結果としてO脚になってしまうという理屈になります。高齢者の多くがO脚状態に近くなってしまう理由はここにあるのかもしれません。
 ですから施術では骨盤底に柔軟性が戻るようなことを行います。加齢や座り過ぎなどで単純に骨盤底筋がこわばっているだけなら筋肉をゆるめることが主になります。あるいは骨盤底がこわばってしまった理由が他にあるなら、それを主体に施術することになります。
 かかとと骨盤底は関係性がありますので、かかと体重で常にかかとに無理がかかっているような人は、かかとのこわばりを取る施術と、かかと体重を改善する施術を行います。
 また以前に記したとおり、骨盤底筋は腹直筋を経由してはるばる舌まで続いていますので、例えばお腹が冷えて腹直筋がこわばったり、姿勢が悪く下顎が前に出て喉元がこわばったりしますと骨盤底筋にも影響が出ます。それらを全部チェックして根本的な原因を改善するのが専門的な施術の進め方になります。

・産後の骨盤
 出産に関連して伸びるところは子宮、腹部の筋肉と筋膜、骨盤底の筋肉と筋膜、恥骨結合、そして骨盤に関係する靱帯です。出産後、時間の経過とともにこれらが元の状態に戻れば体型的にも骨盤の歪みとしても問題はないことになります。
 私の場合、出産直後の骨盤を触ることはありませんが、産後3~6ヶ月くらいの骨盤を触ることはよくあります。産後3ヶ月前後の骨盤は“フワフワ”といった頼りない感じです。6ヶ月でも“しっかりした骨盤”の状態にはなっていません。しかし1年も経つと骨盤は“カシッ”とした感じになります。すっかり妊娠以前の元の状態です。
 出産に向かって腹部の筋・筋膜を弛め、骨盤の靱帯を弛めるのはホルモンの働きによるものですが、出産後、元の姿に戻すのもホルモンの働きによるものです。ですから、本来はからだの生理機能に任せるのが道理で整体が出る幕はないのですが、腹筋を整え、靱帯を整え、からだが元に戻る過程を邪魔する要素を排除するために施術を受けていただくのは意味のあることだと思います。ホルモンの分泌は脳と関係しますが、仙髄と呼ばれる仙骨部分も大切だと私は考えています。
 また、産後数年経過しても骨盤の開きが戻らないという場合は相談していただきたいと思います。骨盤には構造的な仕組みがありますし、靱帯、筋膜、筋肉といったものが協力し合って正しい骨盤の状態を築き上げています。“グイッ”とやったり、“ボキボキ”とやる骨盤矯正では、産後の骨盤矯正にはならないと思います。

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