ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

2014年10月

 顔の歪みは①生まれつきのもの、②体の歪みが顔を歪ませているもの、③噛み癖や噛みしめの癖などによって歪んでしまったもの、④打撲や外力によって凹んだりずれたりして歪んでしまったもの、の四つに大別することができます。今回は④の打撲や外力によるものについて取り上げます。転んで打撲した、殴られて凹んだ、小顔矯正などで無理やり頭蓋骨を動かされたなどがこの部類に入ります。

 小顔や顔の矯正を行う整体院などに行き、強い施術を受けたことで鼻骨が曲がったり、上顎骨が凹んだりして顔が崩れ、元の状態に戻したいというお客さんからの問い合わせがしばしばあります。
 過去の苦い体験から皆さんとても心配され、私のところではどういった施術をするのかとよく聞かれますので、ここで概略を説明したいと思います。
 まず、私は顔に限らず骨や骨格自体を外力を使って強制的に動かすことはしません。顔や頭蓋骨であれば、骨格を押したり引っ張ったりすることはしませんし、その他のところでもバキバキとすることはありません。筋肉や筋膜などを丁寧に調整していき、自ずと骨格が元の状態に戻るような調整方法を行っています。

 頭蓋骨を強い力で押され、あるいは強引に矯正され、どこかの骨が曲がったり凹んだりしてしまったのは、頭蓋骨の関節がゆるんでしまったことが原因の一つと考えられます。頭蓋骨は骨と骨が“縫合”と呼ばれるしっかりした結合組織でつながっていますが、強い外力がかかり縫合がゆるんでしまうと軽く押しても骨が動いてしまったり、骨が垂れ下がった状態になったりします。そして下顎骨を除く頭蓋は一つ一つの骨が立体パズルのように組み合わさって全体が成り立っていますので、どこか一個所の縫合がゆるんでしまい関連する骨が一つか二つ動いてしまうと、それは全体に影響を与え頭蓋全体が歪んでしまうことになります。
 また、頭蓋骨全体が歪んでしまうと噛み合わせが合わなくなり、噛み方がおかしくなったり噛みしめる癖をもつようになったりします。すると頭蓋骨だけでなく、関係する筋肉(そしゃく筋や表情筋)も変調します。これらによってますます頭蓋が歪むことになりますし、感覚器官や体の機能に不調が現れたり、首や肩が張りだしたりします。
 つまり、外力によって頭蓋骨が歪んだり凹んだりした場合、①縫合がゆるむ、そして②顔の筋肉に変調が起こる、という経過をたどり、ますます顔が歪むことになると思われます。
 
頭蓋骨の縫合

補足:小顔矯正などでは、鼻の際(上顎骨と頬骨と鼻骨の境界あたり)を強く押すようですが、それによって上顎骨が凹みます、すると関節している前頭骨、鼻骨、頬骨も影響を受けますので、額にへんなシワができたり、鼻が曲がったり、頬が下がったりしてほうれい線が深くなったりする可能性が高くなります。

 さて、このような状態になってしまった頭蓋を修正する方法ですが、それは①ゆるんだ縫合を元のように強くすることと、②顔周辺の筋肉を整えることの二つを行うことになります。
 頭蓋骨が歪んで、さらに関節があまいため、頭部は非常に不安定な状態です。ですから自ずと顔面の筋肉やそしゃく筋を硬くこわばらせて不安定な頭蓋をなんとか保とうとすることになります。噛みしめ癖になってしまうでしょうし顔面の筋肉(特に鼻~頬骨にかけて)も硬くなってしまうでしょう。
 ですから、それらのこわばりを取ることから始めます。その人の状態によっても違いますが、かなりきつく噛みしめている場合が多く、特に咬筋はカチカチになっていると思われます。それをゆるめるためにジワーっと強めの力で指圧をします。それは痛みを感じます。骨を指圧するのではなく筋肉を指圧するので、頭蓋骨の歪みがさらに悪化するということはありません。私の思いとしては、なるべく痛みを感じないように優しく行いたいのですが、それでは硬くなった咬筋が全然ゆるまないので、ある程度痛みを我慢していただいています。ただ、痛いながらも次第にゆるんでくると気持ちよさを感じるタイプの痛みですのでご理解いただいています。
 そしゃく筋以外では顔面の表情筋のこわばりを解消します。こちらは非常に繊細に行います。鼻の周りや頬骨の下、その辺りが中心になります。多くの人が気持ちよいと言ってくれます。
 顔周辺の筋肉や筋膜を整え、頭部に影響を与える体の歪みを整えた後は縫合の修正になります。
 縫合の修正の仕方は非常に単純です。損傷や疲弊してしまった部分を見つけ、そっと手を当てて細胞の働きが良くなるように働きかけるだけです。「“気”を使っているのか」と聞かれることもありますが、私は気功師ではありませんので「違います」と答えます。指先の感触をたよりに、ゆるんでいる部分の深さに手先を当てているとやがて自然にその部分がしっかりしてくるのです。ただ、筋肉や筋膜のゆるみはそれほど時間がかかりませんが、縫合やじん帯などの結合組織は時間がかかります。ですから根気よく丁寧に行わなければなりません。また、かなりダメージを受けているわけですから一度くらいの施術では時間とともにゆるんでしまう可能性も高いので、何回かの施術が必要になります。自分でできるように、その場所とやり方をお教えしますので、日常のケアとして毎日ご自分でやっていただければ回復も速くなると思います。

頭蓋の内部図

 縫合の修正で、顔の表面にでている部分、例えば鼻骨や前頭骨や頬骨などの部分は直接手で触れることができますが、上顎骨が凹んでしまっている場合などは頭蓋内部との関連を考える必要があります。蝶形骨と後頭骨が道標ととなりますが、非常に微妙でとても神経を集中させて取り組む必要があります。
 いずれにせよ“縫合がゆるんでいる”わけですから、私のすることは“ゆるんでいるものを元の状態にする”ということですので、“強い力”は一切使うことはありません。
 頭蓋内部の修正を口の中に手を入れて行う施術方法があるようですが、それで口腔内の粘膜や筋膜を傷つけてしまったらどうするのだろう? と疑問に思うばかりです。

 顔面を強い力で動かされた苦い経験のある人は、顔を施術すること自体に恐怖心があると思います。かといって今のままでは不具合が改善する見込みはないし、「どうしたらよいのだろう?」と悩みも深いことだと思います。それに対してストレートに「ゆめとわの施術なら安心です!」と即答するのもどうかと思いまして、今回この説明を記すことにしました。
 ご自身でじっくりお考えになっていただき、「一度受けてみようかな」と思われたなら、どうぞいらっしゃってください。精一杯やらせていただきます。

 腕が上がらない、後に回らない、重たいなど、四十肩、五十肩と呼ばれる肩関節痛の問い合わせが多いので私の考え方と施術について説明させていただきます。
 肩関節痛の初期の段階は、肩から腕にかけて違和感を感じる、筋肉に張りを感じる、肩先を触ると痛みを感じる、何となくしっくりしない、腕が重たく感じるというものです。手を使いすぎたり、普段あまり歩かないのに歩きすぎたり、体に捻れが生じたりすることが原因でこのような症状になることがあります。
 この段階では、無理をせず疲労がとれて体が元の状態に戻ればやがて症状は解消されていくものと考えられます。ところが肩がしっくりしないので肩や腕を回したり、ストレッチをしたり、あるいは違和感を感じつつも使い続けているとある時、洗濯物を干すのに腕が上がらなくなったり、ドライヤーをかけることが辛くなったりします。肩がジンジンしたりして腕を大きく上げることができなくなってしまうかもしれません。こうなると本格的な四十肩・五十肩の段階になったと考えられます。
 ひと月くらいしても症状が改善されないと整形外科を訪れ、そこでリハビリ運動を教えられます。痛みを感じながらもリハビリ運動を続けているのに期待を裏切ってますます症状が悪化してしまうという経過をたどっている人は意外に多いのかもしれません。そして「五十肩は治るのに1年とか1年半とかかかる」というのが定説になってしまったのかもしれません。
 私のところに肩関節痛のためにやってこられる方々は、だいたい3ヶ月以上症状が改善されない人が多いのですが、中には5年くらいという人もいてビックリすることがあります。

 さて、肩関節痛は基本的に鎖骨と肩甲骨と肋骨の関係と、これらの骨に関係する筋肉の変調が直接的な原因で起こります。ですから症状を解消するためには、おかしくなっているこれらの要素を整えることが必要です。単に腕が上がらないとか、何かの動作で肩や腕が痛む、肩先が痛むなどの段階であれば一回施術するだけでほとんど改善してしまうでしょう。ところが、腕が重たくてジッとしているだけでも痛む、腕をちょっと動かすだけでも痛い、フライパンが持てないなどの段階は、2~4回くらいの施術が必要になると思われます。何故なら、ある筋肉が損傷あるいは疲弊した状態になっていて力を発揮することができない状態になっているため、それを修復しなければならないからです。疲弊して働きの悪くなった筋肉を元の状態に戻すのは何回かの施術と時間が必要です。
 さらに状態が悪化している場合、あるいは一年以上症状が続いている場合は、もう少し施術回数と時間がかかると思います。

 長年にわたって症状が治まらない、あるいは「一時に比べればだいぶ良くなったけど、ある動作をすることができない」というような場合は、状態をこじらせてしまっていることが考えられます。
 例えばAという筋肉の働きが悪く肩関節痛になったとします。整形外科がすすめるリハビリ運動を無理をしながら継続していますと、A筋肉の状態は悪くなるばかりですが、体が本来持っている対応力によってAに隣接するBやCの筋肉がAの働きを代替するようになります。するとBとCの筋肉は本来の働き以上に頑張ることになります。それによってB、Cの筋肉はコチコチこわばってしまいます。これらの筋肉は自らを硬くして肩関節を保つようにしようとするのです。この理由で、一時に比べれば腕も上がるようになったし、力も入るようになったけど、ドアノブを回したり、腕を内側に捻ると痛む。あるいは腕が後に回らなくなってしまったなど、何かの動作ができなくなってしまいます。これが、こじれた状態の一例です。
 こうなりますとAの筋肉を修復しながら、BとCの筋肉のこわばりも解消していかなければなりません。体にも変な癖がついている可能性が高いので、それも調整しなければならなくなります。施術経験から言いますと、長年にわたってこわばり続けていたBとCの筋肉はそう簡単には本来の状態に戻りません。無理して戻そうとすると筋肉を傷める結果を招く恐れもでてきます。
 ですから、早く良くしてあげたいと思いますが、実際のところ6~10回程度の施術を要する場合が多いです。

 整形外科で勧めるリハビリ運動の詳細は知りませんが、お客さんからの話を聞くと、1㎏くらいの重りをぶらさげて一日200回くらい腕を回すように指導されているとのことです。そうしなければ肩関節が固まってしまうという理由だそうですが、私は逆だと思います。痛いのを無理してそのような運動をしていると、上記のB・Cのように筋肉がこわばってしまうため、それこそ肩関節が固まってしまうのではないかと思うのです。

肩甲下筋と前鋸筋がポイント
 さて、肩関節痛にも原因やきっかけや経過は様々ありますが、多くを見てきた経験で言いますと、最後の決め手になるのは“肩甲下筋の疲弊”と“前鋸筋(ぜんきょきん)のこわばり”を改善することです。その他にも鎖骨や肋骨が捻れているとか、肩甲骨の位置が悪いだとかありますが、それらを整えたとしても肩甲下筋と前鋸筋を整えないと症状は改善しないと考えています。

肩甲下筋と前鋸筋

 肩甲下筋は肩関節において腕(上腕骨)を肩(肩甲骨)にくっつけておく筋肉(回旋腱板)の一つですが、ボールを投げたりする動作で働きます。野球の投手が肩を壊すといった場合、この筋肉が損傷していることが多いです。例えばベッドに仰向けで横になり、腕を真横にベッドの縁を越えるように開いてみます。180°を超えて開くということです。この時、ダラ~っと腕や肩の力を抜くことができるのであれば大丈夫ですが、肩や腕に力が入ってしまったり、この動作ができないようであれば肩甲下筋に問題があるということになります。
 
肩甲下筋のテスト

 前鋸筋は肩甲下筋と同じく肩甲骨の内側(肋骨側)にある筋肉ですが、肩甲骨を前方と外側に出す働きをします。パソコン作業の多い今日、多くの人が猫背で肩が前に出ていますが、それは前鋸筋のこわばりによるものです。
 どうも肩甲下筋の働きが悪くなると前鋸筋がこわばるという関係にあるようです。前鋸筋には肩甲骨が体幹(肋骨)から浮かないようにする働きもありますので、こわばることによって肩が体から離れないようにしているのかもしれません。
 前鋸筋がこわばり肩甲骨が外や前に動きますと鎖骨の位置はおかしくなるし肋骨も捻れます。それによって肩関節の動きに影響がでます。

 以上のように肩甲下筋と前鋸筋の状態を改善することが肩関節痛を改善するためには欠かすことのできない要素です。それを抜きにしていろいろなことをしたとしても、それは不完全な解決策でしかないと私は思います。
 

 足の力が弱くなってきた人は、杖にしようか、それともシルバーカーにしようかと選択に迷う時がいずれ訪れることでしょう。
 私のところに月に一度程度の割合で訪れる85歳の方は、「息子夫婦がシルバーカーを買ってくれたんだけど、どうも格好悪くて使えないよ。出かけるときは杖を使うようにしている。」と言います。
 また、スーパーにはカートが置いてありますが、足がおぼつかない人もカートを使うと歩き方が楽になっているように感じられます。
 今日は、お客さんから「母が先月脳梗塞で入院し、退院したんだけれど、それから歩くことがだいぶ弱くなってしまい、ほとんど外に出なくなってしまった。杖でも買ってあげようかと思っているんだけど‥‥」と相談されました。
 私は「もし本人が『格好悪いとか、年寄りくさくて嫌だよ』と言わなければ、シルバーカーの方が良いですよ。」と言いました。「何故なら杖は使い方を間違えやすく、杖に頼って体を支えようとすると手にものすごく力を入れてしまい、それがかえって歩けない状態を悪化させてしまうからです。」とつけ加えました。

 ギックリ腰を経験した人ならわかると思いますが、足腰に力が入らない状態になりますと、例えば床から起き上がるとき、あるいは椅子から立ち上がるとき、腕を踏ん張り、腕の力を使って立ち上がる動作をするようになります。すると手の筋肉に強い力を入れることになりますので、手の筋肉に強いこわばりができます。このこわばりは全身に伝わっていき、腰や膝の筋肉にも影響を与えます。それによってますます足腰の働きが悪くなってしまいます。現に私は、ギックリ腰で訪れた方や高齢者で腰や膝が辛いという方々には必ず手の揉みほぐしをおこなっています。そして手を使わないで椅子から立ち上がれる状態にしています。それが症状解決に欠かすことのできない必要条件と考えているからです。そして、「なるべく手を使わないようにして立ち上がってくださいね。ソファーや低い椅子は使わずに、スッと立ち上がれる椅子を使ってください。」と言います。

 冒頭の85歳の方は「足が痛くて‥‥!」とやってくることが多いのですが、私は「草取りしたんですか? それとも杖で歩いたんですか?」と聞きます。(この辺りは古い町で地の人の家はみんな庭が広いので雑草取りが大変みたいです。)草取りも杖も手に関係しますが、足が動かないほどになっているときは、手がガチガチです。

 杖は本来片方の脚の代わりを果たすものです。両方の脚に力が入らないのを杖一本に頼るようにはできていないのだと思います。ですから格好悪くとも、シルバーカーを選んだ方が快適だと思いますが、いかがでしょうか。
 

 私の母は後期高齢者ですが、最近になって物覚えが鈍くなってきたと訴えるようになってきました。リウマチの影響で膝関節が変形し、歩行に少し支障があるもののそれ以外は、体はまだまだしっかりしているし、頭の回転が目立って鈍くなっているというほどではありません。
 ところが時々「今のことはすぐに忘れてしまうのに昔のことは鮮明に思い出す。」と私にとって気になることを言います。そして整体のお客さんと話していても、高齢者の方はこれと同じような話をします。
 以前に、数人のお客さんに集まってもらい、体の働きについていくつかの実験をしたことがあります。その実験の一つに“筋力テスト”がありました。いろいろと状況を変えてみて筋力がどう変化するかを体感する非常に簡単なテストです。
 “瞳を右に向けると力が抜ける(=筋力が低下する)なら、普段右を見ていることが多い”
 “噛みしめる癖を持っている人は、歯を噛みしめた状態にすると筋力が低下するが、噛みしめて硬くなった筋肉を指圧してほぐすと、噛みしめても筋力は低下しない”
などといった感じのテストです。
 そのテストの中で「昨日の晩ご飯を思い出してテストしてみてください」と言いました。すると全員の筋力が低下しました。私は以前からいろいろな人にテストをしていたので結果はわかっていましたが、皆さんにそれを体験として実感していただきたかったのです。

 思考が過去に向かうと体の力が少し低下します。細胞の働きが鈍ると考えてもよいと思います。それはどんな喜ばしい過去の出来事でも同じです。ただひとつ例外があります。過去の記憶でも時間と空間(場所)に関係ない出来事、つまり“いつ、どこで、何があった”という思い出し方をしないもの、すっかり夢中になって、あるいは無心になって没頭していた事柄で、今でも「今」に感じられるものを思うときは筋力が低下することはありませんでした。
 これはあくまでも私の推測ですが、“今、この時”に自分(の意識)があるときは体はしっかり機能しますが、意識が過ぎてしまった時間の中に入ってしまうと体の機能が多少なりとも低下してしまうのではないかと考えています。「未来のことを想像してみてください。」とテストしても、過去のことほどではありませんが、やはり筋力は低下します。
 スピリチュアル的に表現すれば、「今、この瞬間の中に力は秘められている」となるのでしょうか。

 母が「昔のことは鮮明に覚えているのに‥‥」ということは、そうではないかもしれないけれど、知らず知らずのうちに思考回路が過去に向かっているのかと危惧してしまいます。
 すると体の機能や体力が弱まる方向に回りだし、老化に加速度がついていくのかと思ってしまいます。ですから、「昔のことではなく、今のことをたくさん考えてみて」とか「平凡な毎日だけど、その中で興味をもつこと、何か夢中になれることを探してみて」とついつい話してしまいます。

 それが善いことでも悪いことでも、過去の記憶を手放せない人を時々見かけます。
 「過ぎたことを考えると治るものも治りづらくなるので、今何をすべきかを考えてはどうでか。」とさらりと言う場合があります。「そうねぇ」と一応は同意してくれます。それでも私たちはそう簡単に手放せないのですね。それが現実かもしれません。
 それでも私はセラピストとして、やはり「今が大切です」と言わせていただいています。

「膝が痛い」とやってこられる方に、最初に尋ねることは「どんな時ですか?」です。
膝を曲げると痛いのか、力が掛かると痛いのか、そのことを知りたいからです。もちろんどちらの場合も痛いということもあります。
 正座ができない、椅子に座っているだけでも膝が痛む、あるいは反対に膝を伸ばすと痛む、これらの類の症状は膝関節自体に問題があることが多いです。
 ところが、膝を曲げることもできるし正座もできるが歩くと痛む、階段の昇り降りで痛む、床に座った状態から立ち上がるときに痛むなどの場合は、膝関節自体よりもその周囲の筋肉の働きがおかしくなっている場合が多いです。痛みはないが、膝の屈伸運動や曲げ伸ばしをすると音がしたり違和感を感じる場合もどちらかというと筋肉の問題です。
 この判別を見間違うと、太ももの筋肉(大腿四頭筋)の筋肉を懸命に鍛えるリハビリ運動は害になる場合もあります。(私から見れば、多くの場合、そのリハビリ運動は意味がないと思いますが)
 筋肉はそれ自体がしっかり機能できる状態にあれば、鍛えることによって強さや弾力を増し筋肉トレーニングの成果を期待することができます。しかし、しっかり働ける状態にないときに負荷をかけると“しごき”になってしまい、かえって状態を悪くする可能性がありますし、別の筋肉にも負担が掛かるので、さらなる故障の原因となるからです。このことについては別の機会にもっと詳しく取り上げたいと思います。

①膝の曲げ伸ばしが困難な場合
 膝関節は太ももの骨(大腿骨)とスネの骨(脛骨)と膝の皿(膝蓋骨)とでできていますが、大腿骨と脛骨の関係が正位でない場合、曲げ伸ばしの動作で周囲の筋肉や関節を包む袋(関節包)に負担をかけ、炎症をおこします。つまり“膝関節がずれている”場合です。この不具合の特徴は“水が溜まる”ことです。“膝の水”は関節を包む関節包の中が潤滑油でいっぱいになってしまうことに例えられます。曲げにくい関節を潤滑油を増やすことによって滑らかさを保とうとするからかもしれません。“膝の水”のもう一つの大切な役割は炎症を抑えることです。これは蚊に刺されて水ぶくれができるのと同じ理由です。蚊に刺されるとその毒素による炎症を解消するためにリンパ液が集まってきます。それが水ぶくれの原因です。解毒が澄み炎症がおさまると自然と水ぶくれはなくなります。膝の水もこれと同じ原理であると考えてよいと思います。
 実際、施術によって膝関節のずれを修正すると速やかに膝の水は減っていきます。腫れぼったさが改善されるので膝関節は楽になり、大きく曲げることができるようになります。
 いつまでも膝の水がとれないのは、いつまでも炎症がなくならないということを意味しています。水が溜まっているとそれだけで膝は曲がりにくいので、注射針によって水を抜く治療がありますが、確かに膝の腫れぼったさは一時的に解消されますので、膝は楽になり曲がりもよくなるでしょう。ところが、関節のずれを改善しないままでは、炎症の原因が改善されたわけではないので再び水が溜まって腫れてしまいます。
 関節がずれたままでしばらく使い続けていますと、半月板などに負担が掛かり、半月板や軟骨を傷めることになります。これが変形性膝関節症の出発点です。
 変形性膝関節症も初期の段階、つまり半月板の損傷が進んでいない段階では、施術によって普通の状態に近づけることは可能です。状態が進んでしまい半月板が減りすぎてしまうと、実際のところ正しい膝関節の状態に戻すことは難しくなります。膝の内側の半月板が減ります、膝のところでO脚になってしまいます。こうなりますと歩く度に足の外側に重心が掛かるようになりますので、益々O脚が進み、半月板の損傷がひどくなります。やがて大腿骨の内側と脛骨の内側が直接接触するようになり、その結果“軟骨が削れてしまい、その破片が関節包を刺激するので、ジッとしていても痛む”という状態に進む可能性があります。こうなってしまうと、整体では“元に戻す”ということは厳しくなり、日常生活でなるべく痛みを感じないような“ケア”のための施術になってしまいます。月に二度とか、週に一度の定期的な施術が必要になります。また正座できる状態に戻すことは難しくなります。

 膝関節のズレ以外で膝の曲げ伸ばしができなくなる場合もあります。それは動作の時に伸びるべき筋肉が伸びてくれなかったり、縮むべき筋肉が縮んでくれなかったりする場合です。
 これは「痛くはないけど、それ以上曲がってくれない」とか「そこまでは曲がるけど、それ以上曲げようとすると筋肉が突っ張ってしまい、その筋肉が痛くなる」という場合です。
 この状態は、膝関節自体がおかしいわけではなく、周囲の筋肉のバランスがおかしいからだと考えることができます。骨盤からの影響かもしれないし、足に問題があるのかもしれないし、手や肩の方の問題が原因であるかもしれません。手や肩の方からの可能性が意外に高いです。

膝の痛みと中間広筋の働き

②力が入らない、重力に耐えられない膝の痛み
 「階段を昇ることはできるけど、降りるときに膝が痛む」「しゃがんだ状態から立ち上がろうとすると膝が痛む」「下り坂を歩くのは苦手」「短い時間は大丈夫だけど、長い時間歩いていると膝が痛くなる」などの症状は、膝周辺の筋肉の働きが悪く、膝関節が弛み、力がしっかり入りきらないため起こると考えられます。
 その他にも、「椅子に座った状態で腰を曲げたり捻ったりすることは何ともないけど、朝顔を洗ったり中腰になったりすると腰が痛くなってしまう」なども膝周辺の筋肉に問題がある可能性があります。つまり、膝に負荷が掛からない状態では腰は大丈夫だけど、膝に負荷が掛かった状態では腰痛がでてしまうということです。
 この膝に力が入らない、つまり膝周辺の筋肉がちゃんと機能していない状態で、スクワットやその他の膝周辺の筋肉を鍛えるトレーニングを行うことは“鍛え”ではなく”しごき”になってしまいます。辛いばかりで、効果的な筋力アップにはつながりません。
 この判別は普通の人には難しいところですが、あえて申し上げれば、そのトレーニングをしていて“心地良いしんどさ”を感じるならOKですが、単に“しんどい”とか“疲れる”とか感じたるだけなら、それは止めた方が良いでしょう。ましてやトレーニングしながら痛みを感じるようなら絶対に止めてください。

 ここで“筋肉の働きが悪い状態”について考えてみます。
 これを言葉で説明することは難しいのですが、例えとしてゴムを連想してみてください。普通、ゴムは引っ張ると伸びていき、引っ張りを止めると元の状態に戻ります。ところがゴムのどこかに伸びきってしまった部分ができてしまうと、そこが縮んでくれないため元の状態に戻らなくなってしまいます。筋肉の働きが悪い、あるいは筋力が十分に発揮できない状態というのは、筋肉の中にこの伸びきってしまったゴムのようなところができてしまい、その部分が収縮できないため、その筋肉全体としての働きが悪くなってしまっている状態のことです。これは筋力の問題ではなく働きの問題ですから、トレーニングしても状態を改善することはできません。働けないのにもっと強い負荷をかけて働かせることは“しごき”に他なりません。かえって状態を悪化させてしまうでしょう。ですから、まずは働けるようにしてから、その上でトレーニングさせるべきです。
 働きを改善するための運動療法があるのかもしれません。それについては私はよく知りません。
 疲労が重なって働きが悪くなっている程度であれば、休養をとることで速やかに回復することでしょう。ところが、無理を重ねたために(酷使したために)すでに器質的変化が始まり休養だけでは回復しない場合は、やはり施術を受けていただくのがよいと思います。(それが早いです。)

 以上のように、膝の痛みに関しては“関節が歪んでいる”のか、それとも“力が入らない”のか、あるいはその両方なのかという判別をして対処しなければなりません。テレビ番組やCMなどでは、そういう識別もないままに「○○が犯人だった!」とかグルコサミンやヒアルロン酸などと広く伝えていますが、私から見ればとても非科学的な取り組み方であると言わざるを得ません。

 私の店のすぐ前に整形外科がありますが、毎朝早くから膝の悪い方々が並んでいるのを見ます。
 私のところは保険は関係ありませんので、整形外科や接骨院などに比べるとかなり高額の負担になります。しかし、「いつまでも辛い思いをしなくてすむのになぁ」とついつい思ってしまいます。

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