「頭の天辺が痛くて、軽く触れるだけでも痛みを感じるんだけど、それっておかしいのかな?」と質問されました。

 その人は電気工事関係の職人で、腰痛や膝痛などの症状で月に一度くらいのペースで来店されていますが、今回は左の顎関節が痛くなってしまい、開けることもできないし、食事で噛むこともできないという症状でした。
 腕力など力を使う仕事でもあり、窮屈な姿勢で作業を行うことも多いようですから、つい噛みしめたり食いしばったりしてしまう状況が想像できます。ですから、常に顎の筋肉(そしゃく筋)がこわばっているために顎の動きが悪くなっている状況は予想できます。
 「そのような状態が酷くなったのかな?」などと思いながら施術を始めましたが、結論としては、噛みしめや食いしばりによる影響はあったものの、根本的な原因は頭頂部の筋膜がとても硬くなっていたことと頭頂部が尖ったように歪んでいたことでした。

 このブログでは何度も書いていますが、現代医学の一般的(?)見解では、頭蓋骨は顎関節を除いて、骨と骨が「不動結合」によって結びついていますので、「ほとんど動かない」とされています。ところが私のように毎日いろいろな人の頭を触っていますと、頭蓋骨の骨は容易く動くことが実感できます。
 動く距離(幅)はとても短いですが、頭蓋骨の関節は動くようにできているとことがわかります。

 今でも"たんこぶ”と呼ばれるのかどうかわかりませんが、その職人さんの頭頂部は少しブヨブヨしていて”たんこぶ”のように感じられる膨らみがありました。
 頭の天辺には「百会(ひゃくえ)」という大切なツボ(経穴)がありますが、そこを中心にブヨブヨ感がありまして、何かが「溜まってしまっている」と感じました。そしてその底の部分と頭蓋骨との境はピーンと張っていましたので、確かに「ここに触れると痛いだろうな」と思いました。

 この部分は頭蓋骨で言いますと、左と右の頭頂骨が関節している部分です。その関節を矢状縫合(やじょうほうごう)と呼びますが、この人の場合、左右の頭頂骨が矢状縫合に向かってぶつかり合うように力が働いていることが感じられました。
 ブヨブヨに関しまして、私は左右の頭頂骨がぶつかり合って頭頂部の骨格が細く(狭く)なってしまったので筋膜が余った状態になり、そこに水分が溜まったのではないかと感じました。
 つまり、余ったような状態になった筋膜の下に水分が溜まり、それがブヨブヨとした"たんこぶ”に感じられ、頭頂部が尖って見える原因になっているのではないかと思います。

 ですから、ぶつかり合っている頭頂骨の状態を本来の状態に戻すことができれば、頭部の尖りや頭頂部の痛み、"たんこぶ”のような膨らみは解消されると思いました。

 ところで、この職人さんの訴える症状は"顎の痛み”ですから、顎関節の不具合と頭の尖りとの関係について説明させていただきます。

 体表にあるそしゃく筋には、側頭部のこめかみ周辺で頭痛を引き起こす側頭筋(そくとうきん)と、耳の前から下顎のエラに繋がっている咬筋(こうきん)があります。顎関節周辺がガチガチに硬くなっていると感じる場合は、側頭筋と咬筋が強くこわばった状態になっていることがまず考えられます。
 ですから、顎関節が開かないという症状がある場合は、まず側頭筋と咬筋のこわばりを解消するような方法をとります。
 さらに口の中には内側翼突筋(ないそくよくとつきん)と呼ばれるそしゃく筋があります。内側翼突筋は頭蓋骨の中心部にあります蝶形骨(ちょうけいこつ)と下顎のエラの内側を繋いでいて、食事で硬いものを噛みしめるときなどに力を発揮します。
 ですから、単に噛みしめや食いしばりの癖などによって側頭筋、咬筋、内側翼突筋がこわばった状態になり、伸びることができない状態になりますと口を大きく開けることができなくなります。

 しかし、この職人さんの場合は「食事で噛んでも痛む」という症状ですから、単純に噛みしめや食いしばりの癖による問題だけではありません。
 「噛んで痛む」状況は、口の中の内側翼突筋がしっかり収縮できない状態になっていることが予想されます。グッと奥歯に力を入れて噛もうとしたときに筋肉が縮んでくれないので痛みを出してしまう状況です。

 何らかの原因によって、下顎が通常より上に引き上げられた状態になっているので、内側翼突筋がたるんでしまい上手く収縮できない状況になっている可能性が考えられます。
 そして、頭の尖りが原因の一つになっている可能性が疑われます。

 例えば、頭皮も含めて頭部の筋肉や筋膜が収縮したままのこわばった状態になってしまいますと、下顎が上に引っ張り上げられた状況になります。
 この状況では顎を開く動作もしづらくなりますが、口の中の内側翼突筋は少したるんだ状態になってしまいます。筋肉はたるみますと収縮する動作に支障がでますので食事の際、奥歯で力強く噛み砕く動作ができなくなってしまう可能性が考えられます。
 そして、私はそのような状況になっている可能性が高いと考えて施術を始めました。

頭の尖りを修正して解決

 例えば考え事が多くて頭を使いすぎたりしますと、頭皮や頭部の筋膜がこわばって頭が硬くなり、頭重や頭痛を感じることがあります。ストレスの多い人もこの傾向があるかもしれません。
 しかし、この職人は肉体労働の人ですし、考え事で頭を使いすぎるタイプでもなさそうです。「最近、ストレスや悩み事などで頭をたくさん使ってますか?」とストレートに尋ねてみました。すると案の上、「そんなことはない」との返事でした。
 しかし、頭蓋骨はあきらかに中心(矢状縫合)方向に力が向かっていて尖っています。
 その原因はともかくとして、左右の頭頂骨に手をあてて、外側に少し開くような力を加えて縫合関節のストレッチを行いました。
 「詰まっている関節を開いて空気の通りを良くする」、そんなイメージの施術です。強い力を加えますと縫合関節が伸びてしまい別の問題を引き起こしますので、力加減は大切です。

 矢状縫合は長さが15㎝程度ですが、それを丁寧に少しずつ場所を変えながらストレッチしていきました。全部で20分くらいかかったかもしれません。
 施術を進めていますと次第に頭頂部の尖り具合が改善していきました。そしてブヨブヨして“たんこぶ”のような状態になっていたものも解消されていきました。

 その他に、噛みしめによる咬筋と側頭筋のこわばりへの施術、からだの歪みからくる下顎の変位を整える施術なども行いました。そして、顎関節の調子も良くなり、強く噛むこともできるようになりましたが、ポイントとなったのは頭部の尖り状態を改善したことでした。

季節による影響?

 上記の症例は一月前(一月下旬)のことですが、その後も頭の尖りによる影響で症状がでている人が何人か来店されました。
 そして注意深く観察しますと、頭が尖っているというほどではないですが、頭頂骨が矢状縫合に向かっている人が現在もけっこういらっしゃいます。

 花粉症が始まったこの時期は、鼻(鼻骨)の下がっている人がたくさんいます。そして、それは胸の状態と関連性があるのですが、鼻骨が下がったことで鼻腔粘膜の働きが悪くなり、花粉やその他の物質に対する処理能力が低下していることも要因の一つかもしれません。
 
 鼻骨が下がるのは季節的影響によるものだと私は考えているのですが、今回話題にしています頭の尖りも同様に季節的なものなのかもしれません。そして、両方とも胸(胸骨)に関係があるように私は感じています。胸は全身のセンサーであり、環境変化や心情変化の一々に反応するようです。胸が膨らんだり、扁平したり、内向きになって閉じるような状態になったり、高揚して大きく開いていたりと変化しますが、その影響で鼻骨が変化したり、頭頂部が変化したりする現象が現れるのではないかと考えています。

 もし、ご自分の頭頂部を触って「尖っているかも」と感じるようであれば、両手を頭頂部の頭頂骨にあてがい、矢状縫合を少し開くようなイメージでストレッチすると良いかもしれません。
 頭のモヤモヤが軽減したり、目尻から顎周りにかけてスッキリするかもしれません。ただし、強い力は使わないでください。気持ちよく、心地良くストレッチする感じで行ってください。

足つぼ・整体 ゆめとわ
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