今年の梅雨はここ数年とは違った様相で、梅雨入りする直前は気温の高い日も続き「今年も猛暑なのかな~」とガッカリした気持ちになりました。ところが梅雨入りしてからは気温がガクンと下がり、肌寒い日が何日か続きました。この気温の大きな変化にからだが適応しきれず、体調を壊した人も多かったようです。
 今回は「天候不順によって感覚と呼吸状態が悪くなってしまった」という話題です。

 毎週来店されています女性のAさんは、「胸の周りが突っ張って苦しく、肩こりもいつもより酷く、体調が悪い」と訴えました。細身のAさんは日頃から胸回りが不快になりやすい傾向がありますが、今回はいつもより状態がかなり悪いということでした。
 からだを観察しますと、呼吸をしていても胸郭はほとんど動かない状態でした。そして肩甲骨がいつもより下がっていて骨盤方向に近づいていました。僧帽筋を触りますとゆるんだまま収縮しない状態でした。

 肩甲骨が本来の位置よりも下にあるということは、首筋の筋肉(肩甲挙筋)や背中の筋肉(菱形筋)に辛い状態をもたらしますので、肩甲挙筋と菱形筋は緊張してこわばります。そして、それが「辛い肩こり」として感じられたのだと思います。

脳神経の中の副神経

 脳神経は脳幹僧帽筋をコントロールしている神経を副神経と呼びます。副神経は脳幹にあります脳神経の一部ですが、僧帽筋と胸鎖乳突筋を支配しています。

 Aさんの場合、副神経の働きが悪かったようで、僧帽筋の収縮力が乏しい状態になっていて肩甲骨が下がっていました。そして胸鎖乳突筋の働きも悪かったので鎖骨も胸郭も下がった状態になっていましたが、胸鎖乳突筋と連動して胸郭を動かす外肋間筋と内肋間筋がほとんど働かない状況でした。ですから胸式呼吸がほとんどできない状態でした。
 私たちは普通の状態では無意識のうちに呼吸を行っていますが、それは横隔膜を中心とする腹式呼吸と外肋間筋と内肋間筋を働かせて胸郭を拡げたり狭めたりする胸式呼吸の両方を行っています。そしてどちらかがうまく行かなくても息苦しさを感じますし、実際、酸欠状態のような症状をもたらすこともあります。

 Aさんは胸式呼吸が行えず息苦しさを感じていましたので、普段以上に息を吸い込むことに意識を向けて胸を開こうとします。ところが肋骨は反応してくれませんので、Aさんの思いからしますと「胸(胸郭)の周りの筋肉や筋膜が突っ張っているために息が気持ちよく吸えない」と感じてしまったのだと思います。
 そしてこれらの問題を解決するためには、副神経の働き、つまり脳幹の働きが本来の状態になるように整えることが必要です。それによって僧帽筋の働きが戻って肩甲骨の位置が整い、胸鎖乳突筋の働きが戻って鎖骨と胸骨の位置が整うのと同時に、外肋間筋と内肋間筋が働きが戻ってくると私は考えました。
 Aさんが訴える症状、すなわち「首肩の強いコリや張り」「胸回りが突っ張って苦しい」の二つは脳幹の働きを整えることで一挙に解消されると感が増して、そのような施術を行いました。

仙骨周辺への施術‥‥オステオパシーと自然現象

 私たちの業態の一つにオステオパシーと呼ばれる考え方と方法(技術)があります。オステオパシーの詳細につきましては、私は無知に等しい状態ですので語ることはできませんが、その技術の一つに「頭蓋骨調整法」があります。説明によりますと「頭蓋骨にやさしく触れ、縫合を整復し、脳脊髄液の流れを促進させ、中枢神経系の働きを高めることにより、様々な効果を期待できる技術です」とあります。
 そして、今回のAさんのケースではこの「頭蓋骨調整法」が頭をよぎりました。そして私は、「もしかしたら大きな気温の変化で骨盤が冷え、脳脊髄液の流れが悪くなったために脳幹の働きが低下しているのかもしれない」と考えました。そこで頭蓋骨ではなく仙骨と尾骨の境辺りを中心に、手を当てたり擦ったりしてみました。5分間くらい施術を続けていましたが、すると僧帽筋と胸鎖乳突筋の働きが戻り、肩甲骨と胸郭の位置が整っていきました。ベッドにうつ伏せの状態でしたが、呼吸の度に胸郭が動くようにもなりました。

 仙骨部への施術を行った理由についてもう一度整理して説明させていただきます。

  1. 肩甲骨が下がり、胸式呼吸ができない原因は、脳神経の中の副神経(僧帽筋と胸鎖乳突筋を支配)の働きが鈍っているからだと考えました。
  2. 脳神経は脳幹の働きに依存していますので、脳幹全体の働きを本来の状態に戻そうと考えました。そのために私ができる範囲のことは、血流(椎骨動脈→脳底動脈)と脳脊髄液の流れを整えることですが、今回は自然現象(天候)による影響が怪しかったので、脳脊髄液の方に的を絞りました。
  3. 脳脊髄液の流れを整えるための考え方と方法論としましてオステオパシーがあります。その技術の中の頭蓋仙骨療法を参考にしまして、仙骨と尾骨の境目辺りを中心に仙骨部を手当てしたり、擦ったりしました。

 Aさん以外にも、同じように僧帽筋と胸鎖乳突筋の働きが鈍っていて呼吸状態が悪い人が何人か来店されました。目の見え方が悪かったり、顔がたるんでいたり、耳の調子が悪かったりと脳神経の働きに関係する症状を訴えておりましたが、これだけ天候がおかしくなりますと脳に対する影響が具体的に見える形で現れることを知りました。

エアコンによる初夏の冷えに注意

 もう初夏の季節ですから、湯船にゆったり浸かることもなくシャワーだけで済ませてしまう人が多くなってきたと思います。施術後、皆さんに入浴について尋ねますが、高齢でないほとんどの人は「シャワーだけ」と答えます。
 もしかしたら湯船に浸かってゆっくり過ごすという習慣を持っているのは私たち日本人だけかもしれませんが、それ故に私たちは湯船に浸かって一日の疲れを癒すとともに、からだを温める必要があるということでもあります。
 今回、私は仙骨部分を擦って温めるような施術をしましたが、それでかなりの改善が見られましたので、からだ(お腹と腰部)を温めれば、天候不順など自然界から受ける悪影響も緩和されると考えることができます。
 そして、エアコンからの風はからだを冷やしますが、この時期はギックリ腰になりやすい時でもあります。また、オフィスでの仕事でむくみが増えたり、目の見え方が悪くなったり、耳や喉の調子が悪くなったりすることが感じられたのであれば、それはからだの冷えに関係があるかもしれません。

 エアコンによるからだの冷えが気になったり、天候不順や気圧変化による影響が気になったりしたときには、意図的にゆっくりと湯船に浸かってみてはいかがでしょうか。脳脊髄液の流れが良くなって不調が緩和されるかもしれません。


 この原稿を書こうと思い始めたのは先週の木曜日(6/13)にAさんが来店され、その終末にかけて来店された人達の何人かが同じような状態だったからです。
 最近は天候も良くなり気温も安定していますので、もう同じような状態の人はそれほど来店されないと思っていました。しかし状態はAさんほどではありませんが、同じような傾向の人がその後も来店されています。
「梅雨時って、こうなのかなぁ?」などと感じているところです。

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