そしゃく筋は全身筋肉の司令塔のような役割をしているので、食事をよく噛んで食べることがとても重要であるという話はたくさんしてきました。それはその通りなのですが、もう一つ、とても潜在力を秘めた存在を発見したような気持ちになりました。それは“舌”です。
 舌やその周辺のトラブルで来店される方は時々いらっしゃいますが、このたびの方の場合は私もビックリしました。舌が強固にこわばってしまったのですが、そのこわばりを少しずつ弛めていく過程でからだが驚くべき反応をしました。現在、その驚くべき反応は通り越した段階ですが、それでも施術する度にいろいろな反応が現れています。今回はこのことを取り上げて改めて“舌の力”について考えてみます。

 その方が初めて来店されたのは3ヶ月ほど前です。今から7年半ほど前に、英語の発音練習をしていて、素速く舌を動かす訓練をしていたときに突然、発声やそしゃくや嚥下に異変が現れたということです。その後、顔の筋肉を動かすことができなくなり、呼吸も普通にはできない状態に陥ったとのことですが、7年半の間、あらゆる病院や治療院などを巡ったようです。ところが症状はほとんど改善さることもなく、改善の兆しも見つからなかったようです。おそらく私のところにもそれほど期待を持って来られたわけではないと思います。
 最初にお会いしたときは、会話することもままならない状態で、顔の筋肉はほとんど動かすことができない状態でした。顔の表情をつくる筋肉(表情筋)を動かす顔面神経は機能していませんでしたが、顎を動かしてそしゃくする筋肉(そしゃく筋)も動かせませんでした。そしゃく筋をコントロールしている三叉神経の働きも悪い状態だと見受けられました。また横隔膜も動きませんでしたので呼吸も大変浅く、「どうやって生きてきたのだろう?」と思わず思ってしまったほどです。
 非常に強くこわばっていた舌でしたが、その舌を上下に動かすことで顎を閉じたり開いたりして食物を噛み、舌の上下運動を使ってなんとか食塊を飲み込んで食事を行っていたということです。私たちのからだは“結構しぶとく”できているようです。顔の筋肉が全滅の状態でも舌の動きだけは確保できて、それで食べ物を食べて命を維持することができるのですね。
 会話することもままならない状態ですから、なるべく他人と会話をしない仕事を選び、夜間働いて昼間に来店されるという生活パターンで、最初の2ヶ月間はほとんど毎日来店されました。

 舌の硬結、顔面神経、三叉神経、横隔神経という四つの問題が先ず私の頭の中に浮かびました。この中でも一番最初に解決しなければならないと考えたのは横隔神経に関連して呼吸の問題でした。極端に表現すればこの方の呼吸は”口先呼吸”でした。肺まで空気を入れることができず口の中入れた空気を喉の力を使ってやっと肺に届かせるといった状態でした。「まず肺で呼吸できる状態にしなければ‥‥」と考えました。以前にも説明しましたが、舌と横隔膜は密接な関係があると私は考えています。舌が硬ければ横隔も硬くなっているはずです。また、横隔膜をコントロールしている横隔神経は首(頚神経)から出ていますので、頚椎の状態は横隔膜の働きに影響を与えます。
舌のつよいこわばり
(来店から2週間ほどしての画像、呼吸はまずまずできる状態になっている)

 この方は喉仏(喉頭隆起)がかなり上にあって、更に顎先(オトガイ)と喉仏の間隔が狭い状態でした。舌(舌筋)が不自然に巻くように硬くこわばっているため、舌骨と共に喉頭隆起を引き上げ、オトガイを引きつけていました。舌骨は頚椎3~4番の前方に位置していますが、それが舌筋や舌骨舌筋の強いこわばりによってオトガイの方に引っ張られているため、頚椎3~4番も前方に変位していました。これによって横隔神経の働きも鈍くなっているのではないかと考えました。ですから、まずは舌骨の位置が少しでも後退して、頚椎の並びが自然な状態に近づけるようにと施術を行いました。2~3回くらい施術しますと、次第に横隔膜が動かせるようになりました。まだまだ不十分な状態ですが、肺に空気が入るようになり浅いながらも胸呼吸はできる状態になりました。

 顔の表情筋を動かす神経は顔面神経です。顔の皮膚感覚を支配しているのは三叉神経で、そしゃく筋を動かす神経は三叉神経です。この方の表情筋は動かせないばかりか皮膚感覚も鈍くなっていましたので、そしゃく筋が動かせないことも合わせて考えますと、やはり顔面神経、三叉神経ともに状態が悪いと考えられました。顔面神経は頭蓋骨の表面上に現れていますので施術も可能ですが、三叉神経は深部にありますので直接触れることはできません。
顔面神経02
(顔面神経:耳のすぐ下から現れ、耳下腺の中を通って顔表面の表情筋をコントロールする)

 「どうやったらいいのだろう?」と思いながらも顔面神経の働きが良くなるようにすることから始めることにしました。とても硬くなっている耳下腺(顔面神経がその中を通っている)をゆるめ、すかっりゆるみきっている表情筋やそしゃく筋への施術を行いました。変化が現れるまで数回の施術を要しましたが、そのうち表情筋を動かせる部分が現れ、皮膚感覚もはっきりするところと鈍いところが混在するような状態になりました。少しの変化も本人には希望の光です。当初の2週間くらいはちょっとずつ変化が現れるという経過でした。毎回の施術はほとんど同じ内容でした。硬くなっている舌や周辺の筋肉をゆるめ、耳下腺をゆるめ、表情筋やそしゃく筋を施術するといった内容でした。

 すると突然大きな変化が現れました。舌をゆるめているときに、口の中で急に舌が暴れ出したのです。“暴れる”という表現がぴったりの現象です。そしてそんな状況が2~3日続いたと思いますが、舌の暴れ方がいきなり強くなり、それはからだ全体を大きく揺らすほどの力でした。首が激しく振れだし、肩が激しく前後に動きだし、腹部や足までがドタンバタンと動きだしました。その力があまりにも強いので、舌を施術している私の手が何度もはじかれてしまいました。すると、それまで顎の奥の方に引き込まれていた喉が前に出てきました。「喉が本来の位置に戻ろうと動いている」と施術をしながら私は感じました。そしてこの時に「舌にはこんなに強い力が内在しているんだ!」と私は驚くとともに新たな発見をした気分なりました。普段は喋ったり食べたりするときに動いているだけの舌ですが、その内在している力はからだ全体を激しく揺り動かしてしまうほどの力です。
 施術を終えると、明らかに喉仏の位置が下に下がっていることがわかりました。普通の人と比べるとまだまだコチコチに硬くなっている状態でしたが、私も本人も改善に向けて希望の光が大きくなったと感じた瞬間でした。

 この大きな変化によって、それまでは口先だけで言葉を発していた状態が、口を動かして会話ができる状態になったと私は感じました。ただそしゃく筋の働きは戻っていませんので、口を開けたり閉めたりするのはやはり舌で行っている状態でした。ですから舌にはものすごい負担がかかり続けています。私たちが「オ」を発音するときのように唇と舌を使って口を開き、舌を口蓋(口の天井)に押しつけるようにして口を閉じる動作を行っていました。表情筋が動かないので「イー」と口角を横に広げることはできません。「アー」と顎を開くこともできません。この状態で言葉を喋るのはとても疲れることです。
 せっかく舌や喉に大きな変化が現れたわけですから、この変化をバネに確実に前進していかなければならないと私は感じました。そのためには舌の負担を減らさなければなりません。酷使する状況が続けば舌がゆるむのを期待することはできません。
 本来、口を閉じる働きを担っているのはそしゃく筋です。そして口を開くのは頬の筋肉や喉周辺の筋肉(舌骨上筋・舌骨下筋)の役割です。ですからそれらの筋肉が働きを回復すれば舌にかかっていた余計な負担は減ることになります。
 そしゃく筋が動くように! 喉が上下に動くように! これが次の段階の課題です。

 普通の状態の人はそしゃく筋を使って食べているので、そしゃく筋が動かない状態で食物を噛むということがどういうものか私には想像できませんでした。
 そこで「どうやって食事しているの?」と尋ねますと、「口も開けないので、口先に食物を入れ、舌を上に押しつけるようにして下顎を動かして噛んでいる」ということでした。
 施術を続けていくうちに喉の方は少し動くようになり、下顎を引き下げる動作ができるようになってきました。「それでもやはり舌の力が主体となって顎を下げて口を開いている。もっと大きく開こうとすると、舌の奥の方が盛り上がってしまい、それ以上下げることができない」という状態がしばらく続きました。「咬筋(そしゃく筋)は少し動いているように感じる日もあれば、やはり動いていないと感じる日あるけど、少しずつは前進しているように感じる」とのことでした。

 7年半前に数日間発音練習(本人の弁では「吹き上げるように舌を使い続けた」ということです)をしたら突然舌が反乱を起こしたようにおかしくなり、顔がおかしくなってしまったわけですが、7年半という長い年月、舌を酷使し続けた結果このような状態になってしまったのだと私は感じました。
 それでも最初の来店から2ヶ月が経過する頃からは会話もかなりできるようになり、食事では「万全ではないけどそしゃく筋を使って噛んでいるように感じる」というほどになりました。
 2ヶ月間、毎日のように60分間ベッドに寝て、舌をゆるめ、耳下腺、表情筋、そしゃく筋をじっと施術することを繰り返しただけですが、外見上は普通の人と変わらないように感じるほどになりました。しかしその頃から、起き上がることができず施術時間に間に合わなくて来店できなくなる日が現れるようになりました。舌の回復とともに体調に大きな変化が現れ「ぐったり寝入ってしまい目覚まし時計が鳴っても起きることができない」ということでした。
 「舌はこんなにもからだに影響力が強いのか!」というのが私の感想です。
 現在、3ヶ月が経過しましたが、週に3日程度の来店ペースになっています。それでも確実に回復に向かって進んでいますし、来店される度に顔つきや顔色にも変化が感じられますので、私自身「なんとか役に立てている」と実感しています。

 これまでも舌や喉、発声や滑舌などに問題を抱えている人達が来店されました。その中には声楽家や声優さんや声を仕事にしているプロの人もいます。その人達は微妙な違和感にも敏感です。ですからとても繊細に相対してきましたが、ここまで重症の方は私にとって未知の領域でした。
 この方は目を動かすこともできませんでした。今でも「大きく動かそうとすると舌に引っ張られてしまう」という状態です。舌の奥の方に硬結部分がまだ残っているからです。私が勉強した領域、つまり現代科学の見解では目を動かす筋肉(外眼筋)を働かせる神経は脳神経の中の滑車神経と動眼神経です。前述した表情筋を動かす顔面神経、顔面の皮膚感覚とそしゃく筋を動かす三叉神経もまた脳神経です。そして舌の運動に関わる神経は舌下神経(脳神経)ですから、勉強した知識で考えますと「脳神経がおかしい」という結論が導き出されます。
 しかし実際には、横隔神経と顔面神経を除いて、神経の問題ではなく、舌そのものの異常がいろいろな不調や不具合の根本原因になっていると感じています。何故なら三叉神経は触れることができないので施術していませんし、目を動かす神経も触れることができません。私が行ってきたことは、そしゃく筋そのもの、表情筋そのもの、舌そのものへの施術であって、三叉神経、舌下神経を触ったわけではないからです。それでも、舌の硬結がゆるんでくると“神経異常が原因”と診断されそうな症状が改善してくるからです。
 以前に激しい頭痛に襲われ、病院で三叉神経痛と診断されて、手術しか解決法はないと告げられた方が来店されました。しかし、単に頭蓋骨の歪みと強い噛みしめによる頭部筋膜のこわばりが原因でした。一回の施術ですっかり頭痛は改善しましたが、もし手術など選択していたら大変なことになったな、と思ったことがあります。現代医学ではまだまだよく解っていないことがあるという一面です。

舌と舌骨
 普段、舌は口の中で歯列の内部におとなしく収まっていますので、イメージ的には単純な構造のように思えるかもしれません。しかしその筋繊維の走行はとても複雑で、舌はたくさんの筋肉が一塊になったような存在です。
 ほとんどの骨格筋は骨に付着していて、その骨を足場として伸びたり縮んだりして動作を生み出します。胃や心臓や腸といった内臓の筋肉は骨とは関係なく動いていますが、舌は両方の性質を併せ持った存在のようです。そして骨格筋として側面では舌骨が舌の動きの足場であると考えることができます。
 舌の状態が少しおかしいと思われる方に対して「舌を大きく出してみてください」とやってもらうことがありますが、その出し方、出す方向、舌先の状態などを観察します。本人は真っ直ぐ出しているつもりでも、舌骨の捻れている人は真っ直ぐに出すことができません。また、舌が強くこわばっている人は舌を出すことができなかったり、出してもすぐに引っ込めてしまったり(出した状態を保持できない)、舌先を鼻の方(上方)に向けることができなかったりします。つまり、舌の筋肉に伸びることのできない硬い部分があるため自由に動かすことができません。また、舌全体がゆるんでいる人は、舌を動かす力が足りなくて大きく前に出すことができません。舌足らずの喋り方になったり、イビキや無呼吸症候群を招く可能性があります。 
 反対に舌が大きく出すぎる人は、舌全体がこわばっている傾向にあって、舌を引っ込める動作がやりづらいです。このような人は舌が口の中で余った状態になってしまうため下の前歯を押してしまいます。ですから放置しておくと噛み合わせに影響が出て反対咬合になってしまう可能性があります。
 
顎二腹筋と茎突舌骨筋と舌骨
 舌は舌骨を基盤に動いていますので舌骨の状態の影響を受けますが、同時に、舌骨もまた舌の状態の影響を受けます。
 耳の下の内側から喉の奥(舌骨)に掛けてのライン、ちょうど首が絞まるラインが突っ張って辛い思いをしている人が時々来店されます。そこには茎突舌骨筋、顎二腹筋がありますが、それらがこわばっているために首が常に絞めつけられているように感じてしまうのです。
 舌が強くこわばってしまいますと舌骨を顎先(オトガイ)の方に引き寄せてしまうことがあります。オトガイのすぐ側に喉仏が硬くなって感じられる人、つまり他の人に比べて顎先からすぐに喉になっているような人はこのような状態の人です。舌骨が本来の位置よりも前方にあるため、茎突舌骨筋も顎二腹筋も張ってしまいこわばります。
 反対咬合の人も下顎が前方に出ている分、舌骨が前方に移動している可能性がありますので、このような傾向にあると思います。
 このような、首を絞められているように感じている状態の人は、何処に行っても良くならないのか、あるいは何処に相談に行けば良いかわからないのか、心痛で不安気な顔をして来店されます。
 大概は硬くなっている舌をゆるめ側頭骨の位置を修正すること、つまり茎突舌骨筋、顎二腹筋の緊張を解消するだけで状態は大幅に改善します。首を絞められているような状況は恐怖心を誘発しますので「大変なこと」のように感じると思いますが、施術はとてもシンプルです。

気をつけたい舌のトレーニング
 イビキや無呼吸症候群の改善方法として、あるいは顔の引き締め効果を狙ったトレーニングとして舌を動かすトレーニングが最近話題になっているようです。
 トレーニング自体は良いことだと思いますし、舌の働きを高めることは健康を維持する上でも有効な手段だと思います。ところがトラブルもあるようです。それはトレーニング自体に問題があるのではなく、トレーニングする側の認識不足が原因のようです。
 「半日、集中して舌のトレーニングをしていたら耳の下から喉元にかけて突っ張りが生じ、首が絞められているようになってしまった」という若い方が来店されました。普段とは違う使い方で舌を酷使した結果です。例えば一日に3~5分くらいでトレーニングを行っていればこのようなことにはならなかったと思います。上記の人もそうですが、一生懸命になりすぎて、休むことなく1時間、2時間、舌を酷使していれば舌がこわばってしまうのは当然のことと言えます。
 パソコン、IT社会の今日、若い人から高齢者まで不調を抱えた人が多くなり、いろいろなトレーニングが流行っていますが、どのトレーニングも適切な範囲で行わないとトラブルを招いてしまいます。
 ドライアイ対策に眼綸筋を鍛えるトレーニング、無呼吸対策に舌のトレーニング、有名サッカー選手がCMしていた首を振るトレーニング、これらには落とし穴があります。特に首から上のトレーニングは感覚器官に影響が出る可能性がありますので、注意事項を厳守して適切な範囲で行ってください。

骨格筋としての舌、内臓としての舌
 カエルがハエを捕食するとき、とても素速く舌を長く伸ばしてハエを瞬く間に口に入れてしまいます。ですからカエルにとっての舌は、私たちの手と同じ役割をしています。この意味で舌は骨格筋であると言えますし、私たちも自分の意志で舌を動かすことができますので、随意筋であり骨格筋の性質を持っていると言えます。一方で、舌は味覚を感じる感覚器官であり、そしゃくや嚥下(食物を飲み込む)の過程では喉の筋肉と連携して“食べる”という行為を行いますので、内臓であると言うこともできます。
 そしゃく筋もそうですが、舌は私たちが自己表現したり日常生活を営む役割(=骨格筋)と生命を維持する役割(=内臓)の二つを担っていますので、とても大切で、私たちの「存在としての要」であると考えることもできます。

舌の潜在力
 何もなく静かにしていれば、口の中にひっそりと控えめに収まっている舌ですが、私は今回の施術経験で、その潜在力の強さを思い知らされました。
 今回取り上げた方が、表情筋もそしゃく筋も眼も動かすことができなくなり呼吸も満足にできない状態になってしまったのは、神経がどうのこうのとか、それぞれの筋肉がどうのこうのというよりも、単に舌が異様に固まってしまったことが原因なのかもしれないとも思えます。強く固まってしまった舌はブラックホールのように引力が増大し、周りの筋肉の力を奪ってしまったのかもしれない、そんなふうにも感じます。
 そうでなければ、舌がおかしくなったことと顔の皮膚感覚が鈍くなったこと、そしゃくができなくなったこと、眼球を動かすことができなくなったこと、それらの因果関係を説明することが難しいと思います。現代医学における“神経と筋肉”、東洋医学における“経絡やツボ”、それらの理屈では筋の通った説明ができません。

 以前に「舌は神秘的」という表現をしたことがありますが、仙骨を中心にした骨盤力がからだ全体の中心であるとすれば、舌は感覚器官をはじめとする顔や頭の働きに強い影響力を持っていますので“舌は首から上の中心”ということができると思います。
 私自身の舌もこわばっています。舌を出して鼻先に向ける動作は舌を伸ばす動作ですが、すると右耳の耳鳴りが顕著になります。つまり舌と耳鳴りは関係性があるということですが、このことについては今後さらに追求していきたいと考えています。

舌の変調によるトラブル
 舌がこわばっていたり、反対にゆるんでいる場合のトラブルについて幾つか挙げてみます。

①顔、首、肩から力が抜けない
 顔・首・肩から力が抜けず、いつも肩が上がってしまうような人は、舌がこわばっている可能性が高いです。ご自分を振り返ってみて「胸から上で生きている」と感じるのであれば、息苦しく生きている人であって、舌のこわばりよる影響が大きいかもしれません。

②滑舌が悪い、発声の調子が悪い、歌唱力が落ちた
 声帯は喉にありますが、喉仏(後頭隆起)は舌骨と一体になっているようなものですから、舌の影響を大きく受けます。喉がこわばっても舌はこわばり、舌がこわばっても喉がこわばるという関係がありますので、声帯の動きが悪くなったり、声の出が悪くなったと感じる時は舌の状態を確認する必要があると思います。舌の状態が大丈夫であれば、舌を出して下方(顎先の方)にも上方(鼻の方)にも同じようにスムーズに動きます。上方に動かすことが苦手なときは舌がこわばっていると考えられます。
 また、舌がゆるんでいますと「舌足らず」の喋り方になってしまうでしょうし、舌がこわばっていますと舌を噛んでしまうような「舌余り」の喋り方になってしまいます。

③噛み合わせが不調、反対咬合
 噛み合わせが合わなくなる理由はいくつかありますが、舌がこわばっていますと舌先で下の歯を押してしまいます(舌先に歯型がついている)ので、下顎が前方に移動して噛み合わせが狂うほか、反対咬合(受け口)になってしまう可能性があります。

④そしゃく・嚥下の不調、飲み込みがスムーズにいかない
 顎を動かして食物を噛む筋肉の主体はそしゃく筋ですが、食物は噛み砕いただけでは喉を通っていきません。口の中で唾液と混ぜてドロッとした塊になるまでそしゃくしなければなりません。この時、舌と頬(の内壁)を絶妙に使いますので、舌の状態が悪いとしっかりそしゃくできないということになります。舌や頬に口内炎が生じますと途端に食べられなくなりますが、それは食塊をつくる作業がスムーズにできなくなるからです。
 また飲み込むことができる状態になった食塊は、実際に飲み込んで食道に送り込む(嚥下)とき、舌を口の天井(口蓋)にペタッとくっつけて空気の入らない状態(陰圧)にならないと喉を通っていきません。舌がゆるんでいて働きが悪い状態では陰圧をつくるのに時間がかかってしまうため、嚥下がスムーズにできなくなってしまいます。

⑤無呼吸症候群やイビキ
 舌がゆるんでいてハリがなくなりますと、仰向けで寝た時、舌が喉の方に落ちてしまい気道を塞いでしまいます。これが無呼吸症候群の一つの原因であり、イビキの原因でもあります。元々口呼吸の人はこの傾向がありますが、それは仰向けになって口を閉じた状態から口を開くと舌が気道の方に落ち込む現象をみればわかるかと思います。
 
⑥その他
 舌がこわばっている時の症状は認識しやすいのですが、舌がゆるんでいる時の症状はなかなかわかりにくいものです。舌がゆるんでいると活力が乏しくなりますが、単にからだ疲労しているだけでも活力は失われるからです。しかし「休養も十分取ったはずなのになかなか活力が戻らない」というような場合は、内臓の病気も疑われますが、舌がゆるんでいるからなのかもしれません。舌のトレーニングを幾日か行ってみてください。舌がしっかりすれば活力が戻ってくるかもしれません。
 また、東洋医学では舌と心臓は密接な関係にあると考えられています。舌の状態がなかなか良くならないと感じる場合は、一度循環器系の診察を受けてみることをお奨めします。

足つぼ・整体 ゆめとわ
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