あるところから寄稿の依頼を受けました。
 これからの季節、女性にとって気になるダイエットと日焼けトラブルについて、日常生活でできるケアについて書いて欲しいとのことでした。以下がその原稿ですが、参考になればと思いブログに投稿します。

 ダイエットや日焼けによるトラブルを考える時、“新陳代謝”と“細胞の修復”というキーワードが登場します。新陳代謝は古い細胞が新しい細胞に入れ替わる変わることですが、それによって若々しいからだを保つことができます。単に体重を落とすとか、痩せるということではなく、健康的なダイエットを目指すなら活発な新陳代謝を維持することが必要になります。細胞が古いままでは脂肪を燃焼させる力も弱いですから体脂肪を落とすことが難しくなります。
 また紫外線は皮膚のメラニンを黒色に変化させますが、それは表皮で起こります。表皮は28日周期で入れ替わります(ターンオーバー)ので、理屈の上では日焼けしたとしても28日後には元の皮膚に戻るということになります。しかし実際は表皮のターンオーバーができない部分が皮膚に残るため“日焼け後のシミ”が所々にできてしまい、女性を悩ますことになります。
 紫外線はメラニンを黒色に変化させるだけでなく、細胞そのものを傷つけます。表皮やその下の真皮細胞が傷つきますと、その部分のターンオーバー機能は失われてしまいます。ですから傷ついた細胞を修復されなければなりません。そして、新陳代謝と細胞の修復を順調に機能させるためには、肝臓、核酸、タンパク質、血液循環というキーワードが現れます。
 新陳代謝は古い細胞が新しい細胞に入れ替わることですが、それは細胞分裂という方法によって行われます。細胞は自身の寿命が訪れますと自分と全く同じ情報を持った細胞、つまり自分自身のコピー(分身)を作ります。一時的に自分自身が二つになるわけですが、その後自分自身は死んで新しい細胞をその場に残します。これを生涯繰り返しているわけですが、この時に必要な物質が核酸でありタンパク質です。

 ところで、私たちが食べる食べ物は消化器官を通過したながら分解されて、小腸で吸収されて血液の中に栄養物質として入ります。その後その栄養豊かな血液は肝臓にそのまま送られ、肝臓でからだの細胞が必要とする様々な物質に合成されます。肝臓はからだの中の「化学工場」に喩えられますが、そこでは分解、合成、解毒など、様々な処理が行われています。新陳代謝に必要な核酸やタンパク質は肝臓で合成されますし、細胞の修復に必要なタンパク質も肝臓で作られます。またアルコールや有害物を解毒して血液を無害の状態に保つのもの肝臓の働きです。ですから健康で若々しいからだを維持するためには、肝臓を万全の状態に保つ必要があるということになります。
 たとえばアルコールを飲み過ぎて、肝臓が解毒作業ばかりに力を取られるようになりますと、新陳代謝や細胞の修復に必要な物質を合成する能力が低下してしまうと考えられますので、皮膚は荒れたままになったり、ダイエット食品をたくさん摂ったところで何の効果も現れないという結果を招いてしまいます。新陳代謝も鈍くなりますので若々しさが失われ老化が進んでしまいます。
 そして肝臓の働きを弱める要素はアルコールだけではありません。毎日飲み続けている合成薬や摂り続けているサプリメントが肝臓の働きを弱めているかもしれません。また、東洋医学では肝臓と目は関連性が深いと考えられていますが、眼精疲労は肝臓の疲労に直結しているかもしれません。さらにある種の感情(怒り)は肝臓の働きを弱めてしまうと考えられています。
五行色体表

 スマホ、パソコン、テレビなど、私たちが毎日多くの時間接しているものは目に疲労をもたらすものばかりです。同じ場所をずっと見続けることは目を動かす筋肉や焦点を調整する筋肉を硬直させます。ですから、画面に集中しすぎないように、しょっちゅう目を左右上下に動かしたり、遠くを見たりして目に関係する筋肉が偏らないようにしていただきたいと思います。さらに一日の終わりには、コメカミを強めの力で持続的に指圧したり、目のすぐ下、でっぱっている頬骨の下際の硬くなった筋肉を指圧してゆるめていただきたいと思います。また目を動かす筋肉をストレッチする意味で非常にゆっくりと大きく、瞳で八の字を描くような“目の運動”をしてケアしていただきたいと思います。筋肉が硬くなっていますとストレッチ運動を始めた最初のうちは少し痛みを感じるかもしれませんが、時間とともに筋肉がゆるみだし心地よさがやってくると思います。そこまでやってください。
 
目のストレッチ

 新陳代謝と細胞の修復のために肝臓でつくられたタンパク質やアミノ酸など、即戦力としての物質は心臓に戻り、酸素を含んだ血液(動脈血)となって全身を巡り目的の細胞に届けられるわけですが、血液循環が悪いとからだの隅々まで到達することができなくなってしまいます。動脈血は心臓(ポンプ力)と血管の働き(搏動)で全身を巡るわけですが、末端の毛細血管まではその力は及びません。
 実際に細胞が血液から必要な物質を受け取るのは毛細血管からになるわけですが、ここでの循環で重要になってくるのは静脈の流れです。新陳代謝を終えて死んだ細胞や二酸化炭素や老廃物は静脈やリンパの流れによってその場から去って行くのですが、静脈もリンパも自身の力で流れることはできません。周りの筋肉の働きによってゆっくりと流れていきます。ですから筋肉の働きが悪いと流れが停滞してしまいます。これがデスクワークや立ち仕事の多い人が夕方になると膝下のむくみが悪化する主な原因です。時々歩くなどして足やふくらはぎの筋肉を動かすことが静脈とリンパの流れにとって重要な理由です。
 細胞レベルでの循環は“動脈血が入り静脈血が出て行く”ことに他なりませんが、静脈血がそこから去って行かなければ動脈血が入っていく余地ができません。有酸素運動やいろいろな体操をして筋肉を鍛え、心肺機能を高めて動脈の働きが良くなるようにしてみたところで静脈が停滞してしまっていては努力が無駄になってしまいます。ですから全身の血液循環を考えるときには多くの場合、静脈とリンパの流れを改善することを優先させて対処する方が効率的です。私は血液循環を整えようとするときには、まず静脈の流れを整える作業からはじめます。その上で不十分であれば、心臓の働きを考えながら胸郭を整えたりして、動脈系の循環に対応するようにしていますが、多くの場合、静脈系を整えるだけで事足りてしまいます。

 静脈とリンパの流れを良くするために整えるポイントはいくつかありますが、普通の人が日常の生活で行うセルフケアとしてやっていただきたいのは、足と手の指の間をマッサージしてゆるめることです。手も足も表に出ている指は骨格としての指の一部ですが、マッサージしていただきたい筋肉は手の中や足の中にあります。パソコンでキーボードをたくさん使っている人は、手のこの筋肉(骨間筋)がとても硬くなっています。一日中立っているような人や歩き方の悪い人は足の骨間筋が非常に硬くなっています。
 手のひらを上に向けて手を大きくストレッチするように広げていますと手の骨間筋が引き伸ばされ、やがてジワーッとしだし気持ちよい開放感が感じられるようになります。30秒くらい続けていますと足の指がムズムズしだし、からだの血液が回り出すのが感じられるようになると思います。
 
足の骨間筋ストレッチ

 足の中にある足の指を一つずつ掴んで広げていますと足がジワーッとしてきませんでしょうか。特に足の親指と人差し指(2趾)の間と小指と薬指(4趾)の間を念入りにやっていただきたいと思います。
 このようなことでからだの血液循環は良くなります。それは検査の数値とかではなく、体感として感じられると思います。

 冒頭に申し上げましたとおり、活発な新陳代謝と細胞の修復のためには肝臓の働きと血液循環と食物としてはタンパク質と核酸が必要です。サプリメントを利用すると考えるなら、是非核酸を摂っていただきたいと思います。また大豆をはじめ良質なタンパク質を摂取することが良いと思いますし、白子など高核酸食を積極的に摂取するのも良いと思います。そして肝臓の健康を維持する意味で、アルコールや薬を飲み過ぎないようにすること、目の疲れを蓄積しないこと、ストレスを溜め込んで感情の起伏が大きくならないようにすることなどに注意していただきたいと思います。さらに全身の血液循環を順調に行うためにセルフケアとして手と足へのマッサージや指圧をおすすめします。

以下は、以前に中国の伝統中医学の先生に教えていただいたことです。「寒性・熱性」という言葉が出てきますが、それは体質をあらわしています。

【目は肝臓の窓】
 中国の諺に「目から心を洞察する」があります。
 黄帝内経にも「五臓六腑の精気はすべて目に注がれ、目の精となる」という言葉があります。漢方においては、これらの考え方からもわかる通り、目の観察はとても重要であります。
 まず目の結膜部。我々は暑い部屋の中に長くいると目が赤くなります。なぜならば身体が外からの熱によって「受熱」した状態になったからです。逆に云うならば、目の結膜部が赤いということは熱の体質であるということになります。
 また、直接熱を受ける「受熱」ばかりでなく、例えば夜勤・疲労・情緒の波動などによって目が赤くなることがあります。これらも熱の体質と考えなければなりません。
 以上の反対、結膜部が清く澄み切っている状態は寒の体質と考えられます。臨床においては熱性の目より寒性を判断することは難しく、かなりの経験を要します。
 以上のようなことから、熱性の場合は「目赤(モクセキ)」、寒性の場合は「目白(モクハク)」と云いますが、ここでいう目とは、目の全体ではなく結膜部のことです。
 例えば「目赤」の場合、熱性の生薬や食物を即時に止めなければなりません。また、仕事の疲労や徹夜のために目が赤くなったのならば注意を要します。それは内臓から訴えられた赤信号とも考えられるからです。もしもそれを無視して続けているならば、身体に何かが起こる危険性は十分にあることでしょう。
 飲酒についても当然考えなければなりません。酒は大熱という性質です。つまり、飲酒には身体を温めたり熱くしたりする効能があります。しかし、飲酒によって目が赤くなるということに関しては、それほど恐れることではありませんが、通常の場合、翌日ないしは2・3日で赤みが取れなければなりません。もしその赤みが消えないならば飲酒を中止してください。なぜならば体内にその熱が蓄積されているからです。そうしなければ目の問題だけではなく、肝臓が侵されることになります。
 「目は肝臓の窓」です。「目赤」という信号は無視してはなりません。

 また、「目の色」以外、目の分泌物も寒熱を探知する情報のひとつです。例えば、朝起きた時きに目が乾燥していて開けようと思ってもなかなか開けられなく、ネバネバした粘液ができた経験は多くの人がもっているでしょう。これは熱の症候です。この場合は寒性である緑茶やウーロン茶を飲んだりして、その熱を抑えなければなりません。漢方療法で行われることに、緑茶や菊花茶の汁で目を洗うことがあります。
 これらの反対に、何のきっかけもなくして涙を流すならば、それは寒性として考えることになります。