整形外科のリハビリや整骨院、接骨院などでの治療では低周波治療器(一般にいわれる“電気をかける”)がよく使われています。家庭用としても広く販売されている治療器ですので誰もが“からだに良い作用をもたらす”と認識していると思います。ところが使い方によってはからだを損傷することがあります。また低周波治療器に限らず、光線や高周波、レーザーなどでも同様だと思います。

①一日の終わりに、入浴後、殿部から太ももにかけて低周波治療器をあてマッサージがわりに使っていた方がいました。使い始めから少しの間は良かったようです。しかし、しばらく使い続けているといつの間にか坐骨神経痛の症状が現れだしました。
 その方が来店された目的は坐骨神経痛を改善することでしたが、原因について心当たりを尋ねても「思い当たることがない」ということでした。何らかの原因がなければ坐骨神経痛のような症状を起こすことはないと考える私は、いろいろとお尋ねし会話の中で原因を探ろうとしました。すると毎晩低周波治療器を太ももの外側にかけていたということでした。それは十分原因として考えられることです。最初は軽い坐骨神経痛の症状だったはずですが、低周波治療器を使い続けているうちにどんどん筋肉がやられてしまい、重度の神経痛になってしまった例です。

②これまで家庭用の低周波治療器は使ったことがなかった方が、結婚式の引き出物で手に入れたので、どんなものかと思い、膝の不調が良くなればと思い、説明書に書いてある通りに膝関節の上と下に器具をあてて使用してみたところ翌朝になって膝が腫れだし、数日すると歩くこともままならなくなってしまいました。その方も「まさかあれ(治療器)が原因だとは思わなかった」と仰いました。

③坐骨神経痛になったので会社近くの治療院に何度か通われた方は、その治療院で言う“特殊な電気治療器”を毎回使用されたそうです。最初は“効いているのかな?”と感じたそうですが、次第に症状が悪化していき神経痛の痛みで満足に眠ることもできないほどになりました。痛み止めを毎日飲まなければ過ごせなくなり、いろいろな治療院、大学病院などを訪れても痛みが和らぐことはありませんでした。
 私のところに来店されてからも最初の2週間(5回くらい)は、症状が改善される兆候がでてきません。それでも原因と対策について細かくお話しし、我慢強く来店されることを勧めました。一月くらい経つと痛み止めは飲まなくてもすむようになり、座ること以外は痛みを感じることも少なくなりました。2ヶ月くらい経つと長時間座り続けること以外は普通に暮らせるようになり、3ヶ月くらいすると2週間に一度くらいの来店ペースになり、それ以降は月に一度2~3回来店されましたが、最初の来店から半年くらいですっかり良くなりました。症状が悪化の一途をたどっているときは「一生治らないのでは?」と思ったそうです。

④整形外科で受けた低周波治療器によるリハビリの後、脚を動かすことがほとんどできなくなってしまった方もいます。膝関節のお皿(膝蓋骨)の位置がおかしくなってしまい、膝関節が動かせなくなり、脚にも力が入らなくなってしまったのです。たった15分ほどの、それも病院で受けた治療でそうなってしまいました。おそらく扱う人が治療器のあて方を間違ったのでしょう。

⑤ショッピングセンターのデモンストレーション販売で売られている高電圧健康器具(椅子)にお試しで何度か座ってみた方は、その後膝関節がおかしくなりました。それから降圧剤を出してもらっているかかりつけの内科クリニックで光線による治療を何度か受けましたが膝の調子は改善しません(内科でどうして膝の治療をするのかわかりませんが)。本人はお試しの健康器具も光線治療も膝がおかしくなった原因だとは思っていませんでした。私は光線治療は避けるように言いました。しかし医師から勧められると断り切れないと仰いましたので、かかりつけとは言え、しばらくは通院しないように言いました。

からだは電気仕掛け
 私たちのからだには微弱ですが電気(電磁波)が流れています。それはからだに流れているエネルギーの一つです。心電図や脳波計などは電気の流れを測定するものですから、このことが理解されるのではないかと思います。
 電気の流れに滞りがなければ細胞は順調に働きますが、流れが停滞したり乱れたりしますと細胞の働きが悪くなるため様々な不調が現れると考えることができます。治療器として使われる、低周波、高周波、レーザー、光線、遠赤外線、放射線、これらはすべて電磁波ですから、結局のところ、からだに流れている電気、あるいは細胞を構成している原子や分子や電子に働きかけて治療を行い健康を維持増進させようというものであるということになります。
 ですから使われる電気治療器が良い作用をもたらせば、不調や不具合の改善、健康の維持増進につながります。しかし反対に悪い作用をもたらせば、健康を損ね、からだに不調や不具合が現れる原因になってしまいます。
 そしてこのことは非常に重要です。使い方を誤ればからだに悪い影響をもたらすという認識が欠けていますと、良かれと思って使った治療器が上記のようにからだに損傷を与えてしまうからです。ところが多くの治療家はそのことを深く考えていないのが現実かもしれません。

 私は施術においてこれら外部から電磁波を与えるような治療器は一切使っていませんが、しばしばダイオードを使います。ダイオードはラジオなど電気製品の基盤に使う部品で、電気の流れを整える整流器です。それ自身は電気的な何かをもたらすわけではありませんが、乱れている電気の流れを整えてプラスからマイナスへ電気がスムーズに流れるようにするものです。
 
ダイオード

 ギックリ腰や肉離れなど筋肉や筋膜が損傷した部分、筋肉が伸びてしまって働きが悪くなってしまった部分は局所的に電気の流れが乱れていると考えられます。筋肉を動かすための神経伝達は電気信号の伝達に他なりません。ですから電気の流れが悪い部分がありますと、その部分の筋肉はうまく作動できません。あるいは神経伝達が大丈夫でも、その部分の細胞が働けないため筋肉が収縮できなくなります。
 ギックリ腰をした翌朝ベッドから起き上がろうとすると、腰に力が入らなくて起き上がることができなかったりするのはこのような状態です。部分的に筋肉が収縮できない、つまり力を発揮することができないのです。腰や骨盤はからだの中心ですから、そこに一部分でも力が発揮できないところができてしまいますと全身に影響がでます。肩関節の筋肉を伸ばしたり損傷しますと、全身に影響が出ることはありませんが、腕を上げることができなかったり、腕がすごく重たく感じたりしてしまいます。いわゆる四十肩、五十肩の症状です。
 こんなとき、その損傷している部分の体表にダイオードを貼ります。すると、それまでの状態が嘘だったかのように動けるようになります。瞬時に変わってしまうのです。ただし損傷した部分にピッタリ当たらなければなりません。1㎜のずれは大丈夫かもしれませんが3㎜場所がずれると効果はまったくありません。損傷した部分は内部であり体表から見ることはできませんので、触覚をたよりに探し出すしかありません。
 そしてダイオードの向きを反対に貼ってしまいますと、効果がないばかりか、症状がもっと悪化してしまいます。単なるギックリ腰だったものに坐骨神経痛の症状が加わったりしてしまいます。
 つまり電気の流れが良くなるように補えば筋細胞の働きが良くなってからだは改善に向かいますが、体内電気の流れに逆行するようなことをすると筋肉が働けないばかりかからだを壊す方向に向かってしまうということです。私が使うダイオードは方向を間違ったとしてもすぐに貼り直せばすむことですが、電気治療器を10分、15分と使用した場合は、“時すでに遅し”となってしまう可能性が高まります。
 その治療器の使い方が合っているか間違っているかは、筋力テストをすればすぐにわかることです。つまり治療器のスイッチを入れたときに、膝なら膝の、それまでの筋力よりも荷重に耐える力が増しているのか、あるいは筋力が弱くなってしまうのかを確認するだけですむことです。“Oリングテストもどき”をしてみてもよいと思います。仮に筋力がスイッチを入れる前より弱くなっているなら、それは間違ったやり方をしているということですから、やり直して筋力がアップする場所を探したり、あるいは電気の力を調整する必要があります。体内電圧の微弱さを考えますと、低周波治療器はなるべく弱い力の方が良いように思います。筋肉がグワングワンと動くような強い力は良くないのではないでしょうか。

電気治療器は面でやられてしまう
 例えば、腰が“ギクッとした”、”ピリッとした”というギックリ腰などでは、損傷の度合い(強さ)はまちまちでも、損傷範囲はとても小さいことがほとんどです。損傷した範囲は㎜単位の大きさがほとんどでしょう。ですから手当てをする部分も局所であり、ダイオードがピタリとあたれば劇的に効果が現れます。あとは傷が修復されるまでの時間が違うだけだと言ってもいいでしょう。(筋膜や筋肉の深い部分、あるいはじん帯まで損傷しますと完治するのに時間がかかりますが、表層の筋膜部分だけの損傷であれば改善するのにそんなに時間はかかりません。)
 ところが電気治療器で損傷を受けますと、その面積は広くなります。損傷の度合いが軽いとしても、面積が広いので施術には手間と時間がかかります。上記②の家庭用の低周波治療器を試しに一回15分だけ使った方は、膝を挟むように大腿部とスネに治療器の低周波治療器の端子を当てたのですが、その間の距離、30㎝近くの筋・筋膜が全部疲弊していました。それによって太ももから膝下にかけて前面も後面も水が溜まって腫れてしまいました。その疲弊した部分を回復させるまでに5回ぐらいの施術が必要でした。面積が広いのでダイオードは使えませんし、施術以外ではテーピングをするくらいしかできません。
 坐骨神経痛になって特殊治療器で施術された方は、背中~太ももの裏側膝上の部分まで全部ダメでした。ですから施術の回数も増え、ある程度の回復までに3ヶ月という時間がかかってしまいました。

 この記事を読んでくださる方には、例えば治療院や整形外科で電気治療器を使われた場合、スイッチが入ったときに少しでも“イヤな予感”がしたら、その治療を拒否していただきたいと思います。
 電気治療器は良い方向に作用する場合もあれば、反対に症状を悪化させる場合もあること、そして悪化したときには回復までに時間がかかってしまうことをわかっていただきたいと思います。
 病院や治療院でこのような話をされてもまったく無視されると思いますが、実際にそういう弊害に遭われた方を見ていますし、損するのはご自分ですので、断固たる態度で拒否していただきたいと思います。

補足:
 ダイオードは大きさ3㎜厚さ1㎜くらいのものを使っていますが、ピップエレキバンなどを体表に貼り付ける絆創膏を使用しています。ですから「エレキバンですか?」と聞かれたり、「置き針みたいなものですか?」と聞かれたりしますが、まったく違います。エレキバンは磁気を発生していて磁気による治療効果を期待したものですし、置き針は鍼灸治療の理論に則った治療効果を期待したものです。しかしダイオードは、それ自身電気的にも磁気的にも何も発生していません。ですから治療効果を期待したものではないのですが、結果として筋肉の働きが改善される効果があるというものです。
 そしてこのようなものは他にもあります。アロマの精油、色、単なる絆創膏‥‥。手のひらなど絆創膏を貼ることができない部分などには、油性のサインペンで小さな点を描くだけで効果があるときもあります(どの色にするかは選ばなくてはなりませんが)。
 誰もが知っていることですが、私たちの物質としてのからだは原子が集まったものです。原子の集合体ですから電子はグルグル回り続けていますので当然電気的ですし、放射線もレーザー光線も内在していることになります。レーザー治療、電気治療は私たちのからだに内在しているエネルギーに働きかけて症状を改善しようとするものだという認識がもっともっと必要ではないかと思ったりします。
 私は個人的には、外部からエネルギーを与えて、つまり電気治療器具を使って施術や治療を行うことよりも、内在しているエネルギーが自ずから順調に流れるようにからだを調整する方が好きです。