このブログを読んでいただき、私の施術内容に興味をもたれた方々がしばしば来店されます。遠くの場所から定期的に通われている方もいらっしゃいます。そして、遠くからわざわざ来ていただいた方々のお話に共通しているのは、「明らかに自覚症状として顔や頭が歪んでいると感じ不調を訴えているのに、医療機関では結果的にまったく相手にしてくれない」「整体院で顔の歪みの矯正を頼むと、強い力でグイグイ押されるので怖い」「顔や体の歪みを調整してくれるところに巡り会わなかった」というものです。
 脳の思考回路というか、思い込みや先入観というのは時に困ったもので「頭蓋骨が動くはずはない」と思い込んでいる医師や治療家は、はなからまったく相手にしませんでしょうし、訴えている方の心理や精神を疑い「心療内科」をすすめる場合があると聞きます。ところが理屈でちゃんと合理的に考えるなら、頭蓋骨は当然歪むものであり、体の骨格も歪んで当たり前のものです。息を吸うだけで頭部は膨らみ、仙骨は下がります。反対に息を吐くときには頭部は縮まり、仙骨は上がります。それは頭や仙骨に手を当てているだけで容易に観察できることです。
 
 誰もが頭や体に歪みを持っています。その歪みがある一定の範囲内におさまっていれば、体の機能に不具合は起きません。ところがその範囲を超えて歪みが大きくなりますと、最初は自覚的に違和感を感じるところから始まって、次第に明らかな不調や機能不全を感じるようになります。大まかに云えば、そういう流れになります。
 ですから施術者としての私は、最初は、歪みをパーフェクトに解消することよりも、全体として歪みが許容範囲内におさまることを目標に施術を始めます。そして全体としてバランスがよくなり、自覚としての不調も軽減したと判断してから、パーフェクトにより近づくように施術を進めていきます。

顔や体の歪みが当然な“わけ”
 私たちの骨格は200個以上の骨が関節で繋がりできています。なぜ関節があるかというと、そこは動きが起きる場所だからです。肩関節、股関節、肘関節、膝関節といった大きな関節は、動きをもたらす部分としてすぐに理解できることでしょう。
 ところが、頭蓋骨も23個の骨が繋がってできているにもかかわらず、未だに「頭蓋骨の骨が動くはずはない」という先入観や思い込みをもっている専門家が多いようで残念です。どんな関節であれ、関節であるかぎり必ず動きがあります。そして動きがあるということは歪む可能性があるということです。もっと云うならば、誰もが多少歪んでいる状態が”普通”であり、”当然”だと云えます。問題は、ある範囲を超えて大きくゆがんだり、もっと問題なのは、関節がグラグラしていて骨格が不安定な状態です。ある若い女性が来店されて、「額を軽く押すだけで頭蓋骨全体がグニューッと動いてしまって怖い」と仰っていましたが、これはかなり重度な状態で、ゆがみを整えることの前に関節をしっかりさせることを優先しなければならない状態です。
 
頭蓋骨の縫合

頭蓋骨のゆがみを修正するために‥‥縫合関節
 顎関節を除いて、頭蓋骨は縫合という結合線維で一つ一つの骨が連結しています。そして全部の骨が繋がって一つの頭蓋骨となっていますが、それはあたかもパズルのようです。ですから、パズルのピースの一つが何かの理由でずれますと、全体が歪んでしまうという結果を招きます。例えば腰痛などで背中の筋肉(脊柱起立筋)が張ってしまいますと後頭骨が歪みます。すると後頭骨と接している側頭骨、頭頂骨、蝶形骨がゆがみます。そうなりますとそれらに繋がっている骨も歪みますので、結果として頭蓋骨全体が歪むことになります。ですから頭蓋骨の歪みを修整するためには、歪みの出発点となっている骨を特定し、それを修正することが肝心です。(前例で云えば、後頭骨のずれを直すことであり、そのためには腰痛を改善して脊柱起立筋の張りを解消すること。)そうでないことをいくらやったとしても、一時的に良くなるかもしれませんが、すぐに歪んだ状態に戻ってしまいます。
 ケガや無理な矯正などを除いた多くの場合、歪みの元となりやすいのは後頭骨と側頭骨です。後頭骨は仙骨、背骨との関係が強いので頚椎が歪むだけですぐに変位します。側頭骨は下顎骨と顎関節を形成していますので、片噛み癖や噛みしめ癖、歯ぎしり癖などによって咬筋が変調しますとすぐにずれます。また、頸部の筋肉(胸鎖乳突筋、斜角筋、胸骨舌骨筋、舌骨上筋など)を経由して鎖骨・肋骨と繋がっていますので、上半身が歪みますと側頭骨も歪むことになります。

ゆるんだ縫合を修復するのは時間がかかる
 歪んだ頭蓋骨は関節で骨と骨の関係が微妙に、あるいは結構ずれているということです。噛みしめや歯ぎしりなどで咬筋がこわばって縮み、側頭骨を引っ張っていることによるずれは、咬筋をゆるめることで修正できます。頚椎が歪んでいて後頭骨がずれている場合は、頚椎を修正することで改善できます。これらは関節縫合にダメージがない場合の例です。
 ところが打撲やムチウチなどで、(縫合線維の働きに影響力が強い)頭部の筋膜がダメージを受けたり、強い力で骨を操作したために、あるいは軽い力でも長い期間にわたる操作で縫合線維そのものがゆるんでしまった場合などは、それを修復するために時間がかかってしまいます。小顔整体などで頭蓋骨を押し込まれたりすると上顎骨や頬骨が凹んだ状態になったりしますが、それを修復するのはなかなか大変です。また、自分で毎日のように顔の骨をいじったりしていますとやはり筋膜や縫合線維がダメージを受けた状態になりますので要注意です。顔や額にできたニキビや吹き出物を、指でつぶすことを癖のようにやっている人は、力で頭蓋骨を押し続けているのと同じです。そのことによっていつの日か縫合線維がゆるんで、頭蓋骨がゆるゆるの状態になってしまう可能性もあります。

 ゆるんで働きの悪くなった筋膜や縫合線維への施術は、その回復を促すためにそっと手当てをするのが施術の方法です。ゆるんでしまったということは部分的に細胞の働きが悪くなってしまったということです。ですから細胞の働きが活発になるよう意識を込めて、手先を当てながらじっと待ちます。するとやがて、フニュフニュとしていた部分に張りが戻ってきます。そして不安定だった骨格が安定していきます。
 そっと手先を当てているだけですから、施術を受けている方からすると「何をやっているのか?」と疑問の気持ちが芽生えるかもしれません。しかし経験上、今のところこの方法が一番です。
 これまでに顔の整体施術を受けられた多くの人たちに聞かれた疑問は「ただそっと手を当てているだけで頭蓋骨の歪みが本当に直っていくの?」ということです。不思議に思うのかもしれません。しかし私からしますと、ちゃんと理屈に則して、段取りを踏んで、施術を行っていることですから別に不思議なことでも何でもありません。当然の結果が現実としてやって来るだけのことです。ただ、このことはいくら説明しても本当のところは理解されないと思います。実際に施術を受けた方が実感として理解できることなのだと思います。

 さて、こうして頭蓋骨を整えたとしても、強くダメージを受けたり長年にわたりゆるんだ状態にあった筋膜や縫合繊維は1度や2度の施術で完全にしっかりした状態に戻すことは残念ながら難しいと云えます。その時はしっかりと修復した部分も、時間の経過とともに少しゆるんでしまうのが現実です。三歩進んで一歩か二歩後退、それを何回か繰り返しているうちに、やがて縫合も筋膜も安定した状態が訪れます。施術者としてもどかしさも若干感じますが、そこには形状記憶のような感じの力が働いているようでそれを克服するまでは仕方がないのかもしれないと感じています。

・出産のときに頭部を強くつかまれて生まれた赤ちゃんは、最初から斜頸と診断されるかもしれませんが、それは強くつかまれたときにゆるんでしまった頭部の筋膜が原因の可能性が高いと思います。ゆるんでいる筋膜を施術しますと縮んでいた首の筋肉が伸びてきて斜頸が改善されます。ところが1週間後にみると、やはり頭部筋膜のゆるみは残っていて再び同じように施術します。そんなことを何回か繰り返しているうちに斜頸をもたらしていた首の筋肉の縮み具合が改善していき斜頸もそれほどではなくなっていきます。生まれたときにできた傷は、やはり根深いものがあると感じます。

・子供の頃、遊んでいる間に頭から真っ逆さまに落ちて強くダメージを受けた頭頂部の筋膜損傷は、30年経っても回復されません。そして体の不調の基礎的要因になっています。このゆるんだ筋膜のために体の芯が定まらないのです。体のあちこちに不調があって、さまざまな治療を受けたとしても、どうも“しっくりした感じ”は現れません。子供の頃の傷の影響が根本にあるからです。ですから、それをまず回復させる必要があります。もしかしたら、それだけで体の多くの不調は改善されてしまうかもしれません。そして、傷を回復させる施術は手を当てるだけですから、ご自分でもできます。毎日、傷の部分に意識を込めて手を当てていれば良いだけです。

 以上のような長期間放置されたダメージの損傷であったとしても、3回、4回と施術を行っているうちに、次第にしっかりとした状態が継続するようになっていきます。
 こういった根本的な原因にアプローチすることなく、斜頸をもたらしている首の筋肉をいくらほぐしたところで一時的に斜頸が良くなったように見えるだけで、それはすぐに縮み始め斜頸は一向に改善されないでしょう。
 また、頭頂部の傷に手をつけることなく、体の歪みを一生懸命正すように施術したり努力してみたところで、歪みの出発点が良くならなければ、すべては徒労に終わってしまいます。
 そういう意味で、何十年も前のものであったとしても、過去の大きなケガや損傷、歪みのきっかけとなる出来事を思い出していただくことが整体を効率よく進めていくためには欠かすことができないと云えます。

 皆さんが感じている違和感や不調は、レントゲンやCTやMRI、その他の医学的検査では“異常なし”という結論の下、病院では相手にされないかもしれません。しかし、体の何処かに歪みがあるので違和感を感じたり、体が不調を訴えるのは間違いのないことです。進行した変形性膝関節症やリウマチなどによる関節の変位など、組織の回復が難しい場合を除いて、体の歪みはきめ細かく丁寧に施術を行っていけば必ず改善することができると私は考えています。
 「検査の結果、体に何処にも異常が見られないので、あなたの感じている不調は精神的な問題かもしれない。心療内科を受診してみてください。」と医師から云われたものの、どうも納得できないと思われている方は、機会があれば一度ご来店ください。病院とは違った、また他の整体院や治療院とも違った見方で、不調や違和感の原因と対策についてお知らせできるのではないかと思っています。