その方はスーパーの鮮魚売り場で働く中年の女性です。毎日、包丁を使って魚をさばいています。私のところに通われるようになってもう長い年月が経ちます。
 この方の悩みは、右足の母趾のつけ根が痛くなり、左膝が時々不調を起こすこととと、忙しいときなど包丁を使いすぎて手が痛くなることです。魚屋さんは足元が常に冷たく、いつも長靴を履いていて、包丁を力を入れて使い続けていますが、これらが体に負担をかける主な要因となっています。
 若い頃に患った外反母趾の影響で、両母趾のつけ根が少し内側に飛び出していますが、今は靴を履くことによって生じる外反母趾特有の痛みはないということです。しかし、疲れが溜まってくると靴を履いているときではなく、家で休んでいるときなどに母趾つけ根内側の突出している部分がうずいて痛むということです。また、数年前に転んで膝に重いケガをしてしまい、その影響で、やはり疲れが溜まってくると膝の上に水が溜まり、関節の動きがおかしくなるということです。
 そして私のところの足リフレ(足つぼマッサージ)を気に入ってくれているようで、毎回、足リフレ+整体のコースを選択されます。魚屋さんは足元が冷えますので、足がむくみやすいので、ふくらはぎのマッサージが気持ちいいのだと思います。
 施術では最初に足リフレを行い、その後ベッドに仰向けになって膝と母趾の痛みを改善するのがこの方の定番のメニューですが、今回は顔のむくみとたるみを改善して欲しいとの要望でした。整体にあてられる時間は45分くらいですから、その中で母趾と膝に対する施術と顔への施術を行わなければなりません。実際、顔への施術は20分くらいの短時間でしたので本格的な調整はできませんでしたが、顔のむくみを取ってたるみを改善するくらいは可能でした。そして施術が終わった後、鏡をご覧になって満足そうでしたので、「このコースのこういう使い方もいいのかなぁ」と思い、このブログに記すことにしました。

顔のむくみとたるみの改善
 本格的に顔の整体を行う場合は、やはり60分くらいの施術時間は必要になります。骨格の歪みを調べて、その原因を探り、歪みをもたらしている原因を一つ一つ改善していくという作業が必要になるからです。目の使い方、噛み方、手の使い方、骨盤の状態、それらが顔の骨格に影響を与えることはよくあることです。
 しかし限定的にはなりますが、20~25分くらいの時間で顔に対する施術を行うことも可能です。この方の場合のように、年齢的にもある程度いきますと、加齢とともにどうしても顔の筋肉が弾力を失いたるんでしまう傾向になります。それは仕方のないことではありますが、それでも骨格を整えますと筋肉の働きが良くなり、張りが戻ってきてたるみ具合がけっこう改善されたりします。また、むくみがありますと筋肉や組織内部の水分が多くなって重たくなり、筋肉の張りが重力に負けてしまうタイプのたるみも加わってしまいますが、骨格と筋肉を調整することでむくみを減らすことができます。
 むくみを取って筋肉の働きが良くなるよう調整することで、たるみも自ずと軽減し、見た目も触った感じもかなり変わったと実感できると思います。ただし、年齢的なこともあり、ずっとその状態をキープし続けることはフェイシャルマッサージなどをしないと難しいかもしれません。
 短時間でできる顔への施術は、根本的な改善を目指すという意味からすると不十分な施術となってしまいます。しかし、二週間に一回とか、三週間に一回とかいう間隔で定期的にケアするのであれば、3ヶ月後、半年後と時間が経過するにしたがい、顔の感じもだいぶ変わっていくものと思われます。

 この方のように、主目的は母趾の痛みと膝の痛みのケアであり、ついでに顔のたるみも改善したいという要望であるならば、足リフレと整体のコースをこのように利用されるのは良い手段だと思います。
 あるいは整体60分コースの中で、首肩を30分、顔を30分という使い方も良いと思います。ただし、これは前提として定期的に施術を受けられる場合のおすすめです。首肩もバッチリで改善したいし、顔もしっかり改善したいというのであれば、それぞれ60分ずつのコースを選んでいただければと思います。

参考までに、顔以外でこの方に施術した概要を下記に記します。
①足リフレクソロジー
 足リフレの施術には大きく分けて二つのタイプがあります。心地よさとリラックスに重点をおいた軽やかなものと、施術者がかなり力をいれてグイグイやるタイプのものです。西洋式と台湾式(東洋式)と分ける見方とも言えます。私のところは後者に近い強めの力で施術する方式です。ですから、馴れていない方にとっては最初はかなり痛みを感じる施術となります。馴れてしまうと、その痛み具合に心地よさを感じるようになると皆さんは仰います。
 そして私が目的とするところは、足やふくらはぎに滞っている老廃物を除去して血液やリンパの流れを改善することです。そうすることでむくみが改善し、硬かった足やふくらはぎが柔らかくなります。施術中は痛みを感じますが、施術後は膝から下が軽やかになりますし、全身の血流も良くなりますので、皆さん「気持ちいい」「サッパリした」と仰います。
 この方のように、普段足元が冷えたところで作業されている人にとってはとても良いものだと思います。
 ただ、筋肉の張りとかシビレ感とかは足リフレでは改善できませんので、そこを間違わないようにしていただければと思います。

②母趾つけ根の痛み
 現在、外反母趾症状の真っ最中ということであれば他の要因も考えなければなりませんが、この方のように普段は靴を履いていても痛みを感じることはないが、疲れが溜まってくると靴を履いていなくても痛みを感じてしまうという場合は、母趾の内側にある母趾外転筋がこわばっているからです。
 そして多くの場合、手の使い方や手の使いすぎが原因でこの筋肉のこわばりが発生します。母趾のつけ根と手に関係性があるとはほとんどの人は考えられないと思いますが、私はまず最初にこの関係性を確認することから施術を始めます。そしてその経路の途中に膝がありますので、手の問題が膝に不具合をもたらせている可能性も高いと考えます。
 この方の右手は包丁をたくさん使っていることから、ゴチゴチに硬くなっています。そして母趾の内側(母趾外転筋)と直接的に関連するのは手の母指と示指になりますが、どちらの指もグラグラになっていました。その辺りを調整することで、母趾外転筋のこわばりは解消しますので、この痛みに対する施術は手指を揉みほぐすだけで終了です。

③膝の不具合
 この方の場合、私から見ると両膝が万全とは言えなかったのですが、本人の自覚では以前に転んでケガをした左膝の上に水が溜まって曲げ伸ばしの際に違和感を感じるというものでした。
 そのケガはかなりのダメージを膝に与えるものでしたので膝周辺の筋肉が弱くなっていますが、疲れてくると症状が感じられるということです。ですから、他の何かの要因が加わったときに症状が現れると考えることができます。そして、やはり仕事柄、冷えと手の疲労が最も疑わしいものであると考えられます。足リフレによって冷えの方は改善されていると思われますので、あとは手の疲労となります。実際手の疲労で、ある筋肉がこわばり、それによって膝から下(脛骨)が外側に少し捻れていました。魚を切るのは右手ですが、左手も魚を押さえるためにかなり力を入れているとのことです。
 結局、左手を施術することで左膝を整えました。膝周辺は一切調整していません。ちなみに、左母趾も外反母趾気味になっていますが、こちら側が痛むことはないということでした。