心や精神の状態が体の働きや調子に影響を及ぼしたり、体の調子が精神面に影響を及ぼすことは、私たちが毎日体験していることです。ですから、これは当然と言えば当然のことなのですが、科学的、医学的にはその関連性の仕組みがすっかり解明されているわけではありません。
 心理的に落ち込むことがあると体が重く感じ、持久力も集中力も低下してしまうのはどうしてなのか? 風邪を引いて体の調子が悪くなると、心が弱くなってやる気が低下してしまうのはどうしてなのか? 私たちの誰もがこういうことを経験しているにも関わらず、未だ科学は“どうしてなのか?”に対して明確な答えを出していないように思います。

 さて、心や精神の働きによって私たちの思考が生まれるとします。一方、体(肉体)は物質ですから、そうしますと、心と体の関連性は思考と物質の関連性に置きかえることができます。将来的に、思考が物質に変わり、物質が思考に変わるということが科学的に証明できるようになれば、心や精神面が体に影響を及ぼし、体が心理面・精神面に影響を及ぼすということが明らかになり、私たちの“心と体の健康”に対し科学的にも医学的にも研究がもっともっと進むのだと思います。
 残念ながら今はまだ、思考と物質の関連性に関して答えを出せずにいますので、原因がわからない病気に対しては「気のせい」とか「思い過ごし」のような、患者にとっては不愉快な、とても曖昧な診断が非常に多くなっているのではないかと思います。

 ところで、私たちの筋肉を働かせるには神経の働きが必要です。脊髄損傷などで神経の伝達が途中で途絶えてしまうと、足を動かそうと思っても足を動かすことはできません。ですから脳と体を繋ぐ物質として神経(神経伝達物質)があることがわかります。
 もう一つ脳と体を繋ぐ物質としてホルモンがあります。ホルモンは体にいくつかある内分泌腺から血液中に分泌されるわけですが、それを最終的にコントロールしているのは脳の中の下垂体です。
 ホルモンにはたくさんの種類がありますが、それ自体は卵のようなものであり、卵の黄身の中に暗号化されたメッセージ(命令)が書かれていると考えられているようです。その卵が血液の中を流れていき、必要とする細胞に受け取られると、細胞はメッセージを解読しその命令に従って働き出します。例えばステロイドホルモンは体を修復し、炎症を抑えて癒すための物質ですが、副腎皮質という内分泌腺でつくられます。体が傷ついてステロイドホルモンが必要な状況になったとき、脳下垂体は副腎に対して「ステロイドホルモンをつくって分泌せよ」というメッセージの入ったホルモンを分泌します。副腎はそのホルモン(命令書)を受け取ると、副腎皮質においてステロイドホルモンを製造し始め、どんどん血中に流し始めます。やがてステロイドホルモンが全身に回り、その役割を果たして体の損傷が癒えますと、今度はステロイドホルモン分泌中止の命令書が再び脳下垂体から副腎に対して分泌されステロイドホルモンの製造が終了します。こんな要領で脳下垂体、つまり脳は全身の細胞の働きをコントロールしていると考えられています。
 ですから脳と体を繋ぐ物質として神経伝達物質とホルモンがあることがわかります。それでは、思考と脳の関係、つまり思考が神経伝達物質やホルモンに変換されることが解明できれば、心や精神面と体との関連性が解ることになりますが、それは今後の科学の進歩に期待するほかありません。

 しかしながら、脳は神経以外にホルモンによって体をコントロールしていることは解っていますし、私たちの耳に馴染んでいる“ステロイド”、“卵巣ホルモン”、“甲状腺ホルモン”、“女性ホルモン”などの物質は本来的に脳のコントロールによって分泌されていて、それは私たちの思考にも関係があるという認識はしっかりと持っていた方がよいと思います。
 病院ではアレルギーや様々な炎症を抑える薬としてステロイドホルモンが飲み薬や外用薬として処方されます。ステロイドについては過去から現在に至るまで様々な見解がなされていますが、知っていただきたいことは、それは本来“脳の命令によって副腎で製造される物資である”ということです。個人的な見解としては、ステロイドの使用はあくまで一時的なものにし、常用はなるべく避けるべきであると考えています。常用によって常に血中にステロイドが存在している状況になりますと、脳からの命令や副腎の働きに異常が生じる可能性が考えられるからです。

 私の母はリウマチを患い、数年にわたり投薬による治療を行ってきました。その薬の中にはステロイドが含まれていました。昨年末に大学病院に入院し退院しましたが、その後の処方薬の中にも少量ながらステロイド薬が入っていました。退院後の様子については以前に記しましたが、3月に入っても時々頭がフワーッとして目が霞み、血圧が高くなる症状がでました。血液検査のデータではリウマチの状態は改善されていたということもあり、ステロイドを飲むことを止めさせました。これには私なりの確認方法で、ステロイド薬が体の働きを弱めているということが確認できたからです。“リウマチは改善されたし、ステロイドは体の働き(筋力)を弱めている”ということで止めたということです。(リウマチが改善されていなければ、飲み続けてもらったと思います)
 そして、それまで続けていた毎朝のマッサージの中に、副腎の働きに関係するマッサージを加えました。足の反射区の副腎の場所は、東洋医学の“湧泉”というツボの場所と一致しますが、そこを丁寧に指圧するマッサージです。それと“万能のツボ”とされる“合谷”への刺激です。量は減ってきたとは言え、長年飲み続けてきたステロイドを止めることに当初は不安も感じましたが、そのことによる弊害は一月近く経った今もまったくありません。そしてそれまで時々あった血圧の上昇と、頭がフワーとして目がかすむ状態も見られなくなりました。認知症の方も、普段接している感じでは症状がとても小さくなったように感じています。
(ちなみに、3月末に病院の先生から電話をいただき、リウマチの方は寛解したということでした。完治ではないが、臨床的に問題ないという意味だそうです。もう通院は必要なくなりました。)
 
内分泌腺

 ホルモンについてはまだまだ解っていないことがたくさんあるようです。医学的に胸腺はホルモンを分泌していないとされていますが、米国の大金持ちの中には“若返り”のために胸腺ホルモンを注射しているという話も聞いたことがあります。胸腺は胸骨の裏側にあって子供の頃に一番発達するが、思春期頃から萎縮し始め成人になると働いているのかどうかも解らなくなってしまうそうです。脳の松果体からはメラトニンというホルモンが分泌されていますが、それ以外の働きは良くわかっていません。しかし、霊性を追求している人たちにとって胸腺や松果体は非常に重要な働きを担っていることが遙か昔から知られています。ヨーガにおける7つのチャクラは、副腎、性腺、膵臓、胸腺、甲状腺、松果体、脳下垂体といった人体の内分泌腺に対応していると考えられています。

 ステロイドは体を癒すためのホルモンですが、癒やしが必要な状態が多くなると血中にステロイドが溢れたような状態になるそうです。するといつの日にか体の細胞はステロイドの中毒になり、常にステロイドを要求する状態、つまり常に癒やしが必要な状態になるという話もあり、それが慢性的なうつ状態を招くのではないかという見解もあります。これらの真偽はともかくとして、思考と体をつなぐ物質としてホルモンが重要な役割を担っているのは、おそらく間違いのないことだと思います。

 私はセラピストとして胸腺について非常に興味があります。霊性の面では心臓のチャクラであり、東洋医学的には?中という特別なツボであります。整体的には、体が環境のいろいろを感じ取るセンサーの中心であると考えています。実際に体を触っていきますと、胸(胸郭)が閉じているときと開いているときがあって、それによって安心感が出たり、不安な気持ちになったりと心理面でも変化します。
 胸腺に関してはなかなか情報を得ることができませんが、いずれまた取り上げたいと考えています。